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(1)

3 .

酸性霧 と森林衰退

‑フィール ド調査 と曝露実験一

3 .

1

.

大気汚染物質 の樹冠‑の沈着 3.1.1.緒言

欧米 だ けで は な く我 が 国で も各 地 で森 林 の枯損が広が ってい る。関東地方の広い地域 でスギの立ち枯れ、北関東の赤城 山でシラカ ンパ、 ミズナ ラ、カ ラマツの衰退、奥 日光の 亜高 山帯でシラピソ、ダケカ ンバの枯損 、神 奈川県の大 山ではモ ミの立ち枯れ 、丹沢 山地 ではブナの衰退が著 しい。その一因 と して酸 性沈着物が考 え られ る。

敢性沈着物の直接 的影響 として、植物体表 面か ら各種元素の溶脱 を引き起 こす作用があ る。通常の降雨で も植物の菜 か ら種 々の無機 物質や糖 、ア ミノ酸、有機酸 な どの有機物質 が体表面のクチクラ層 を通 って流亡す ること が知 られ ている l)。溶脱は主 として降水 中の 水素イオ ン H十による葉表面におけるイオン交 換反応 と考 え られてお り

H十を多 く含 む酸性 霧 は通常の雨や露 と比較 して菓か らの陽イオ ンの溶脱 を著 しく増加 させ る。植物体か ら溶 脱 され る陽イオンではK+、Mg2十、caZ十が主な も ので、降水 のpHが4以下になる と溶脱量が急 増す る。また、その量は植物 によって異なる。

有機酸 に関 しては、成長 した木の表面の特徴 である粗 い樹皮 に水 が長時間接触す るこ とと 多 くの場合 関連 してお り、長時間の接触 は有 機酸の溶脱 を容易 に し、pHの低 い樹幹流 を発 生 させ るZ)

大気汚染 に対す る応答 を見 るために行 なっ たマツの苗木 を対象 に した酸性 雨の曝露実験 に よる と、 pH3.0処 理 区で は曝 露 な し及 び pH5.1処理 区の苗木 よ りも成長が活発 であっ た。 これ は酸性雨が薬‑の窒素肥料 とな った ことが示唆 され る 3)。一方、pH4.5の降雨を 別種 のマツの苗木 に曝露す ることに よ り成長 を促す効果がわずかに見 られたが、pH3.3の 降雨では樹高 と幹径 の成長が減少 した とい う 報告 もある 4)。 スギの幼苗 を使 って人工酸性 雨を2か月にわた り週 に2‑ 3回の割合で散布

した実験 に よる と、雨水pH3.0の処理 区では 全実験期 間 を通 じて植物体 には可視 障害は認 め られ なか った。 しか し、pH2.0の処理 区で は雨水の散布 回数 が増す につれて、菜 の先端 部 に赤褐色 の可視障害が発現 したO また、ス ギの成長速度 は雨水pH3.0の処理 区で若干の 低 下がみ られたが、pH4.5の処理 区では変化 がみ られ なか った 5). 一方、モ ミでは pH4.0 の人工酸性 雨を30週 にわた り散布 した結果、

落葉 が促進 され た 6)0

本研究室 において も、擬似酸性霧暴露 によ るモ ミ苗 の衰退機構 に関 して検討 した。 1992 年 の9月 よ りpH3の溶液 (硝酸、塩化ナ トリ ウム、硫酸 ア ンモニ ウムをそれぞれ lmM含む) とpH5の溶液 (pH3の溶液 を100倍希釈) を 用 いた擬似酸性霧の曝露を開始 した。曝露は 霧 の発生頻度 が低 い1‑ 3月 と8月を除 き、毎 週

2

回で

1回に

2

時間ずつ曝露 した。その 結果 、実験 を開始 して数 ヶ月は酸溶液内に硝 酸塩や アンモニ ウム塩 が入 ってい るため、 こ れが栄養源 とな り成長はか えって促進 され、

緑が濃 くなった。ところが1993年 の6月にな って、枝先の新芽が枯れ る とい う現象が pH3 の霧 を曝露 しているモ ミだけに始 ま った。 こ の よ うなメカニズムは充分明 らかに された と は言 えないが、現段階では、①菜 の表面が酸 で破壊 され、蒸散速度 が制御 できな くな り乾 燥 に弱 くな るこ と、②酸溶綾 によ り栄養成分 が菜か ら溶 出す ることが確 かめ られ てい る 7)

丹沢大 山のモ ミは、標高400‑ 1000

m

にか けての南東斜 面 を中心 と した約100haの範 囲 に生息 してい る。古 くか ら大 山阿夫利神社 の もとで保護 され、1960年代 に神奈川県の天然 記念物 に指 定 され たが、その前後 か ら大 山下 社付近 にモ ミ原生林 の立ち枯れが多 くな り、

1970年代後 半まで枯死が急速 に進行 した。し か し、モ ミと同様 に 自生す るスギでは立ち枯 れは見 られていない。

樹冠‑沈着す る汚染物質の沈着 メカニズム や定量的評価 、酸性沈着 に対す る樹木 の感受 性 を解 明す ることは大気汚染 と樹木 の衰退 と

・61

(2)

の因果関係 を明 らかにす るために不可欠であ る。

本研究では樹冠 ‑の酸性沈着物 の沈着形態の 寄与 を雨 ・霧 ・エアロゾル ・ガスの観 点か ら 見て、それぞれ の沈着速度 を算 出 し、 これ ま でに報告 されてい る沈着速度 との比較 を行い、

得 られた沈着速度か ら沈着量を算 出 し、それ ぞれの寄与の定量的評価 を行 った。 また、樹 木の感受性 を評価す ることを 目的 として吸収 、 溶脱 といった観 点か らも評価 した。 さらに、

林 内雨量 と林内雨の主要無機 イオ ンの空間的 分布特性 を検討す るために、樹木 に対す る測 定点 を増や した観測 も行なった。

3.1.2.実験

調査 は大 山 (北緯 :350 26'15‥、東経 : 1390 14'04‥ 、標高 1252m、神奈川県伊勢原 市) の標高 700mに位置す る大 山阿夫利神社 下社境 内に生育す るモ ミお よびスギ林で行 っ た。 下社 は大山の中腹 に位置 し、伊勢原 市街 地の西北西 6.7km、相模湾 か ら約 15km離れ た場所 に位置す る。

林外雨の採 取器 は横浜 ・大 山の各 1地点 に 設置 した。大 山のモ ミ ・スギ林内雨 について は、採取器 を樹幹近傍 に各4地点、樹幹流に ついては各 2地点 に設置 した。 また 2005年 10月2日か ら11月14日にかけて2本 のモ ミ (Ml、M2)を対象 に林内雨の採取地点 を増や して採取 を行 った。採取器 を 1方向毎 に樹幹 か ら約 1.5m、3m間隔で2箇所ずつ、それぞ れ北東 ・南東 ・西 の3方向に計6箇所設置 し、

本来設置 してい る樹幹近傍 の採取器 とあわせ て、一つの樹木 に計7個の採取器 を設置 した。

林外雨 ・林内雨の採取はポ リプ ロピレン製 ボ トル (2L)に、ポ リカーボネー ト製 のフィ ル ター ホルダー (ザル トリウスSM165‑11、直 径80mm)を装着 した嬢過式採取器 (直径47… 、 孔径 1.0〝mのメンプランフィル ター を装着) を用いて行 った。 フィル ター を装着す ること に よ り、試料の蒸発 を防 ぐと共 に、バ クテ リ アやエア ロゾルの混入が最小限に抑 え られ、

主要無機イオ ンの採 取期 間中の変質 はほぼ無 視 できる。採取期間中にお けるボ トル 内での 直射 日光による試料の変質 を極力避 けるため に、ボ トルは木製 ケースで遮光 してい る。樹 幹流 の採取は、樹幹‑の損傷 を最小 限にす る ためにガーゼ トラップ法で行 った。試料 回収 時 には採取 され た試料液 の一部 (約 50mL) をポ リプ ロピレン製 ボ トル に移 して研 究室 に 持 ち帰 った.

採取 した林外雨、林内雨、樹幹流 は回収後 、 液量 を測定 し、直ちに孔径0.45〝mメンプ ラ ンフィル ター を用いて吸引漣過 して分析試料 とした。吸引演過 は試料 中の微生物 に よる劣 化や 、精密測定機器への異物混入 を防 ぐた め に行 った。

試料 は一部 を電気伝導度、pH測定に供 した 後、主要無機 イオンをイオ ンクロマ トグラフ 法、高周波誘導結合 プラズマ発光分析 法 (ICP

‑AES)によ りそれぞれ分析 した。また、全有 機炭素 (TOC)お よび無機炭素 (IC)濃度 の測 定は全有機炭素計を用いて分析 した。

大 山に林外 雨降雨強度計 を 1台、モ ミ ・ス ギに樹幹か ら約 1m離 した地点に林 内雨降雨 強度計 を各 1台設置 し、それぞれ林外 雨及 び 林 内雨の降雨強度 を測定 した。

林内雨はその中に含 まれ る有機物 について も分析 した。その分析方法 は次の通 りで ある。

(1)全糖 、 ウロン酸お よび 中性糖 の分析 降水 中に溶解 している糖類 は微 量である と 考 え られ るので、定量分析 を行 うにあたって 予 め 試 料 を ロ ー タ リー エ バ ポ レー タ ー (N‑1000V‑W、東京理化器械製)で約2mLまで 濃縮 した。沸縮試料 は分析機器 に供す るまで 冷凍保存 した (‑20℃)。

全糖 、 ウロン酸 はフェノール硫酸法 8)、n‑

ヒ ドロキシジフェニル法 9)でそれぞれ測定 し た。還元糖 は強酸 (一般 に硫酸)で処理す る と、

脱水 されて フル フラール またはその誘導体 と なる。 さらにフル フラール は、酸性条件 下で フェノール類や sH化合物、尿素、芳香族 ア ミ ン等 の試薬 と反応 して特有 な色 を呈す る。 こ

‑62

(3)

れ ら

2

法は この反応機構 に基づいている。

① フェノール ー硫酸法

試料 0.5mLに5%フェノール水溶液 0.5mL を加 え、 さらに濃硫酸 (96.0%)2.5mLをす ばや く加 えた後 に均一になるよ うに よく混合 した。室温下で30分間放置後、紫外可視分光 光度計 (UVl265,UV‑1700、島津製作所製)に よ り490nmの波長 にお ける吸光度 A490を測 定 した。 なお 、標 準試 料 と して D一glucose

(MW=180.16)を使用 し、全糖濃度 Tsは以下の 式か ら芽 出 した。

Ts(pM)‑91×A。9。×103÷(MXWgluc。se)

②m‑ヒ ドロキシジフェニル法

試料0.5mLに12,5mMNa2B。07硫酸溶液3.0 mLを加 えすばや く均一に混合 し、次いで熱水 浴 で5分間加熱 した。再度氷冷後、0.15%m‑

ヒ ドロキシジ フェニル

+0. 5

% 水酸化ナ トリ ウム混合液 50 FLLを加 え、紫外可視分光光 度計 (uv‑265,UV‑1700、島津製作所製)によ り520nmの波長 における吸光度 A520を測定 し た 。 な お 、 標 準 試 料 と し て α

‑D‑galacturonicacid(MW=180.16)を使用 し、

ウロン酸濃度 uaは以下の式か ら算 出 した。

Ua(lJM)‑111×A52。×103÷(MXWeal,ct

u

.。nicacl。) 高等植物細胞壁 を構成 してい る単糖類 の主 な も の は Hexose と し て D‑glucose、 D‑galactose、D‑fructoseの 3種、Pentose

としてL‑arabinose、D‑Xyloseの2種、Methyl pentoseとしてLrhamnose、Lイucoseの2種 、 ウ ロ ン 酸 と し て D‑galacturonic acid、 I)‑glucuronicacidの2種であるIt'])。 ウロン 酸 を除 く上記単糖類 をガスクロマ トグラフで 分離定量す るには、化学的に修飾 して揮発性 誘導体に変換す ることが必要であるD現在 、 誘導体化す るにあたって様 々な方法が用 い ら れてい るが、本研 究ではアル ジ トール アセテ ー ト法を採用 した 11)0

③ アル ジ トール アセテー ト法

多糖類 を構成 している中性糖 の種類 と組成 比 を分析す るにあた り、まず グ リコシ ド結合 を切断 し (加水分解)、遊離単糖 にす る必要が

ある。試料 は2N トリフルオ ロ酢酸 (TFA)で 121℃、1h加水分解 し、次いで水素化 ホ ウ 素ナ トリウム (20mgNaBHJmL2NNH3) を加 え室温放置 した。少量の酢酸 を加 え過剰 の水 素化 ホ ウ素ナ トリウムを分解 した後 に、 メチ ル アル コール を加 えての乾固を数回繰 り返 し てホ ウ酸 を除 き、糖 アル コール を得 た。 この 糖 アル コール に無水酢酸 と ト メチル イ ミダ ゾール を加 えアセチル化 しアル ジ トール アセ テ ー ト と した 後 に ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ (GC‑17AVer.3、島津製作所製)に よる分析 に 供 した。 なお、個 々の成分定量は、内標準法 によ り行い、内標準物質 としてmyo‑inositol を使用 した。

3 .1 . 3 .

結果 と考察 3.1.3.1.組成

図3.1に 2005年 の横浜 と大 山の林外 雨、

そ してモ ミ及びスギの林内雨 と樹幹流の平均 、 組成 を示 した。横浜の林外雨の組成 は、陽イ オ ンではNH/=Na'〉Ir〉CaZ+〉Mg2'〉K+、陰イ オンではSO42〉cl〉NO3の順 に濃度が高か っ た。一方、大 山の林外 雨はH◆〉NH/〉Na◆〉Ca2+

〉K◆=Mg2'、陰イオ ンではSO42〉cl〉NO3 の順 に濃度が高か った。大 山で も横 浜 と同様 の組 成 を示 してい ることがわか る。総イオン濃度 は横浜が高 く、発生源が近 くにあること、そ して大 山に比べ降水量が少 ない ことによるも の と考 え られ る。

モ ミ林 内雨は陽イ オ ンでは K+=Ca2十〉Na+

〉Mg2'〉NH/〉H+、陰イオンではCl 〉SO42〉NO31 の順 に濃度が高かった。スギ林 内雨ではCa2十

〉Na+=K'〉Mg2'〉H̀〉NH4十、及び

C

1〉SO42〉NO3の 順 であった。組成 、降水量、総イオン濃度 (汰 着量)は樹種 による大 きな違 いは見 られ なか ったO林内雨は林外雨に比 してイオン濃度 が 高いが、 これ は霧水沈着、ガス ・エア ロゾル に よる樹幹‑の乾性沈着 によるもの と考 え ら れ る

H十の割合 が林外雨に比 べ減少 してい る 一方、R'、Mg2十、ca2十の割合 は増加 してい る。

・63

(4)

闇 H' E3 NH.◆ 田 Na' 辺 K◆ E]MgZ◆ 因 ca2' 窃 α 包 NO

{

EBso.2

梢5兵拝外両

年rBl降水量=1152rrrn

48

総イオノ.,A度=264peq/L

モミ林内雨

年間降 水 量=1440rTm

昨 471

総イオン濃度i539Jeq/L

(総沈活量=4a5rI℃q/rTf/day)

大 山林 外 雨

年間降 水圭40glrTTn 昨 469

総イオン漉泰 142IJeq/L 14%

スギ杯 内雨

年間降 水圭=1522rrrn 昨 473

総イオンJ羨度=489J▲eqノL (総沈着隻=418TTd rげ/day)

lI%

スギ績≠幹 洗

r O 1 1

は取呈=1173L 乍843

総 イオン/度=201m司/し

図3.1 2005年の横浜と大山の林外雨、モミとスギの林内雨と樹幹流の平均組成

・64

(5)

これ は葉上での H+とK+、Mg2+、ca2十のイオン交 換反応 に起因す るもの と考え られ る。

モ ミ樹 幹 流 につ い て は 陽 イ オ ン で は

K +

〉ca2◆〉Na'〉Mg2+〉NH4+〉H十、陰イオ ンで は

C 1

〉so.2‑〉N0,‑の順 に濃度が高か った。林 内雨 と 比較 して K+、Mg2+の増加が見 られ る。一方、

スギ樹幹流では H+〉CaZ◆〉Na+〉Mg2◆〉K+〉NH∴ 及び

C

l 〉SO。2‑〉NO3の順 に濃度が高 く、特異 的に H十の割合が大 きかった。その原 因 として 樹幹か らの H◆の溶脱 、水分蒸発 による樹幹流 の濃縮 、樹幹‑の酸性物質の乾性沈着、 さら に これ らの複 合影 響 で あ る可能性 が高 いが

l・・)、モ ミ樹幹流 との比較か らH+の溶脱が大部 分 を占めている と考 え られ る。

3.1.3.2.経年 ・季節 変化

1994年か ら2005年 の期間における横浜 と 大 山の林外雨の降水量、pH、主要無機 イオ ン 濃度の経年変化 を図3.2に示 した。モ ミとス ギの林内雨及び樹幹流の経年変化 を図 3.3、 図3.4に示 した。

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uo

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2000年、2001年 では三宅島の火 山ガスの影 響 による樹幹‑の酸性物質の沈着のために林 内雨、樹幹流 のpHの低下がみ られ る。横 浜、

大 山の林外雨の経年変化 を見 るとイオ ン当量 濃度 にはあま り変化が見 られ ない ものの若干 のpHの低下がみ られ る。

2003年、2004年、2005年 の冬季 (12月〜2 月)、春季 (3月〜5月)、夏季 (6月〜8月)、

秋季 (9月〜11月)の季節変化 を、横浜 と大 山の林外雨、モ ミ及びスギの林内雨 と樹幹流 について、それぞきl拝j3.5、3.6、3.7に示 し たO横浜 と大 山の林外雨を比較す る と、総イ オン濃度 は横浜で高 く、 これ は発 生源 が近 く にあるためである。pHは ともに夏 に低 く、冬 に高い傾 向があ り、ガス成分のHNO3、HCl濃 度が増加 してい るためであると考 え られ る。

林内雨のpHは夏 に高 く、冬 に低い傾 向を示 し てお り、林外 雨 と異な る挙動 を示 してい る。

これ は主に樹木 の成長期 に相 当す る春 か ら秋 にかけて H◆の消費によるもの といえる 13)。モ ミ樹幹流では春 に K◆濃度が高 くな り、スギ樹 ロ 降水圭 く> pH

田 H' 田 NHl' 田 Na' 田 K' 田 MF ca2

' 田C

N O3

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949596979899000102030405

1000

2000

0

5.00 3

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2

0 0

4.60 4.40

100 4ユ0 1.00 0

yeaド

949596979899000102030405

図 3.2 1994年から2005年の横浜と大山の経年変化

・65

(6)

E3降水圭 く>pH

田 H' 国 NH.' 田 Ni{ 田 K◆ E]M㌔◆ 田 ca2 Egcr EaNO3 8 SO一

5

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949596979899000102030405 949596979899000102030405

図3.3 林内雨の経年変化

□ 降水量 く>PH

B rr EgNH.' 田 Na' 団 K◆ EaM≠

◆ 田c

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0102030405 949596979899000102030105

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図3.4 樹幹流の経年変化

・66

(7)

E3Eを水I O DH

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冬 等貫 的冬 着 弄 純

モミ円而

春 夏 秋 冬 春 夏 fA:冬 春 夏 枚 冬 #・芳 村

5 9 8

m ト 2003+ 20041 十 2CO5 ‑1

3 . 5

横浜と大山の林外雨

フキ 稚内而

別辞流

lll00 500

0 5.60 2tnd 5.20 1

6 0 0

480 1200 J,40 糾)0 4.00 400 3.60 0

冬 春 夏 秋 冬 看 貫 秋 冬 者 .t 秋 冬 春 夏 秋

2

S

叩 =n ト 20EDH十抑 4+ 2の5

3. 6

モミとスギの林内雨

ユキ割中温

o

o

入り爪VV

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0

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onU000j.〇1J>455

冬 春 夏 炊 冬 着 貫 秋 冬 春 夏

so肋 n 冬 春 夏 秋 冬 春 王 秋 冬 春 夫 fJI

ト 2m3+ 2004+ 芝CO5‑1 卜 2003十 2 十 2軸51 図37モミとスギの樹幹流

‑67‑

(8)

幹流 では H◆濃度 が高 くな る傾 向 にあ る。多 く の場 合 に、総濃 度 が冬季 に高 い傾 向に あ るの は降水 量が少 な く、降雨 の洗 浄効 果 が低 い こ とに よる もので あ ろ う。

3.1.3.3.降水 中の有機 物 (1) 中性糖 濃度 とそ の組成

最 近 の研 究 に よる と、植 物 の必 須 元 素 で あ るホ ウ素 は、細 胞壁 に存在 す るペ クチ ン質 多 糖 類 の ‑ つ で あ る Rhamnogalacturonan一日

( R G ‑

ⅠⅠ)と結 合 して存 在 して い る こ とが 明 ら か に され て い る。ペ クチ ン分子 は Ca2+に よ り 架 橋 され る こ とで細胞壁構 造 を よ り安 定化 さ せ る。 これ らの成 分 は、酸性 沈 着物 に含 まれ る H十とのイ オ ン交換反応 に よ り樹冠 か ら溶 脱 す る こ とが考 え られ る。 そ こで まず 、 フ

ィー

ル ドにお け る樹 木 か ら糖成 分 が溶 脱 して い る か を確認 す るた め、大 山中腹 で2004年 1月 か ら 12月 まで に採 取 され た降水 試 料 につ い て 高等植 物 細胞壁 を主 に構成 してい る7種 の 中 性糖 (L‑rhamnose,L‑fucose,L‑arabinose,

D‑xylose, D‑nannose,D‑galactoseお よ び t)‑glucose)と ウ ロ ン 酸 (D‑galacturonic acid)濃度 の調 査 を行 ったO図 3.8に 中性 糖 濃 度 とその組成 を降水 形 態別 に示 すo 林 内 雨お よび樹幹 流 で は、樹 種 に関係 な くD‑mannose, D‑galactoseお よびD一glucoseが 高 い割 合 で 検 出 され てお り、全 体 の約60%を 占めた。 こ れ らは と りわ け針 葉 樹 に多 く含 まれ る代 表 的 な単糖 類 で あ るた め、樹 木 か らの溶 脱 に起 因 して い る と考 え られ る。 ま た、樹 幹 に沿 って 流 下す る樹 幹 流 にお け る全 中性 糖 濃度 は、枝 葉 か ら森林床 へ 落 下す る林 内 雨 よ りもモ ミで 3.3倍 、 ス ギで 4.5倍 ほ ど高 い。 この差 異 は 主 に樹木 との接 触 時 間 に 関連 してい る と考 え られ 、先 に示 した主 要無機 イ オ ン と同様 の傾 向が見 られ た。 また 、林 外 雨 につ い て も中性 糖 は検 出 され たが 、 そ の総 濃度 は林 内 雨 の約 30%程 度 で あ り、D一glucoseの 占め る割 合 が 相 対 的 に高か ったQ

表3.1に、林 外 雨お よび林 内雨 中の 中性糖 濃 度 間 の相 関係 数 を示 した。 林 外 雨 に比 して

3. 8

降水形 態別 の 中性 糖 濃度 とそ の組成

・ 68

(9)

林 内雨で比較的高い相 関係数 が多 くな ってお り、 これ よ り中性糖 は単糖類 としてではな く

2

種類 以上 の単糖類 が結合 した複合多糖類 と して葉 か ら溶脱 してい ることが分か る。 本研 究で使用 してい るアル ジ トール アセテー ト法 は、異 な る位 置 の グ リコシ ド結合 を有す る多 糖 の場合 で も、構成 単糖 が同 じであれ ば同一 のアル ジ トール アセテー ト誘 導体 を与 え るた め、結合位 置 の決定 まではで きない (結合位 置 の決定 には、酸加水分解処理前 にグ リコシ ド結合 に与 らない水酸基 を酸や アル カ リに対 して安 定 な メ トキ シ基 に置 換 す る必 要 が あ る)。このた め確認す るこ とはできないが、‑

ミセ ル ロ ー ス の 一 部 で あ る Glucomannan (D‑glucoseとD一mannoseが 1 :2で結合)や D‑galacto‑D‑gluco‑D‑mannan (D一galactose、 D‑glucoseお よびD一mannoseが結合)と して溶 脱 してい る と考 え られ る。

(2)溶 存有機 炭素 に 占める中性糖 、 ウロン酸 の割合

図3.9に、溶存有機 炭素(Dissolvedorganic carbon, DOC)に 占め る中性糖 、 ウロン酸 の割 合 を示 した。 DOCは樹幹流 で最 も高 く、林 内 雨に比 べモ ミで8倍 、スギで6倍 の値 で あ り、

この よ うなDOC濃度 の形成過程 は、樹冠表面 に蓄積 した濃度 、林外 雨降水 量お よび接 触時 間で決 定 され る1㌦ 本研 究の対象物質 であ る 糖 (中性糖+ウロン酸)が DOCに 占める割合 は 林外 雨で39%と高 く、樹冠部 を通過 した降雨 ではその割合が減少 した。残 りのDOCは明 ら かではないが、植物 由来 の様 々な成分 (有機 酸 、 ア ミノ酸 、シキ ミ酸 な ど)が含 まれ てい る と考 え られ る。

(3)降水 中の全 中性糖濃度 とウロン酸 濃度 の 関係

3.1 0

に示す よ うなペ クチ ン質 多糖類 に お いて、ウロン酸 であ るD一galacturonicacid は 直 鎖 で α ‑(1‑ 4)結 合 し た Homogaracturonanとして存在 してい るOまた、

HOmogalacturonanに結合 してい る4つ の側鎖 を構成 す る糖 は、本研 究で対象 と してい る 7 種 の 中性糖 で ある。 そ こで、降水試 料 中の全

中性 糖 濃 度 と ウロ ン酸 濃 度 の 関係 を調 べ 図 3.11に示 した。林 内雨 、樹幹流 ではいずれ の 樹種 にお いて もその相 関係数 は高 くなってお り

( 0. 9 0 0

以上)、 この ことは植 物細胞壁 か ら の成分溶脱過程 が類似 してい る こ とを示唆 し てい る。ウロン酸 は植 物細胞壁 の言 わば"原料

"であ り、一次壁 に多 く存在す るペ クチ ン質 の 合成 に必 要 な成 分 であ る。酸性沈着物 が引き 起 こす ウロン酸溶脱 は、ペ クチ ン質 を減少 さ せ るだけでな く、細菌類 な ど植 物病理 的 な外 敵の侵入 を も増加 させ る可能性 が ある。

(4) 中性糖 、 ウロン酸溶脱 畳 の季節 変化 図 3.12に林 内雨で観測 され た中性糖 お よ び ウロン酸溶脱 量 の季節 変化 を示 した。 ここ で、冬季 は12月〜2月、春季 は3月〜5月、

夏季 は6月〜8月 、秋季 は9月〜11月 と した。

スギ林 内雨では、春季 か ら冬季 にか けて 中性 糖溶脱 量 にあま り変化 は見 られ ないが、モ ミ 林 内雨では、他 の季節 に比べ春季 にその量が 相対的 に増加 した。 また、 ウロン酸溶脱量 に ついてはモ ミ、ス ギ共 に春季 に増加 し特 にモ ミで顕著 だ った。植 物体 の生長期 に当た る春 季 は、植 物細胞壁 内で も細胞分裂 が盛 ん とな る。 このた め、 中性糖 、 ウロン酸溶脱量が飛 躍的 に増加 した もの と考 え られ る。

(5)降雨強度 と中性糖 、 ウロン酸濃度 との関 係

3 .1 3

に林 内雨 にお け る降 雨強度範 囲毎 の成分 濃度 を示 した。 ここに示 した降雨強度 値 は、林 内雨降雨強度 計ではな く林外 雨降雨 強度計 のデー タを使 用 した。 図 よ り、降 雨強 度 が弱 ま るにつれ、 中性糖 、 ウロン酸 、金属 イオ ンお よび ホ ウ素の濃度 は高 くな る傾 向に あった。降 雨強度 が弱 い場合 、雨水が樹冠 に 接触 してい る時 間は長 くな るた め、葉 上 での イオ ン交換反応 に よる栄養塩類 の溶脱 は促進

・ 69‑

(10)

表3.1林外雨および林 内雨中の中性糖濃度間の相関関係 Ara Xyl Man GaI GIu D(冗

;.,I,

Rha Fur

010908L0. 1.000 Ara 0.959 0.811 XyI 0.953 0.97S Ntan 0.9一2 0.834 Gal Q.953 0.814 Gh 0.837 0.823 DOC 0.685 0.555

167Ⅶr

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0 80

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I)

図3.9溶存有機炭素に占める中性糖、ウロン酸の割合

・70

(11)

図3.10ペクチン質多糖類

図3.11降水試料中の全中性糖漉度とウロン酸濃度の関係

7 1 ‑

(12)

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図3.12 中性糖およびウロン酸溶脱量の季節変化

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..,....I,i!.'L=I:=‑I

‑10 1.0‑20 2.0‑ ‑1.0 1.0‑2.0 2.0‑

Ralnfa=Intenslpty(m hr/1)

図3.13 林内雨における降雨強度範囲毎の成分濃度

7 2 ・

(13)

され るもの と考 え られ る。

(6)グル コースの起源

これ まで、大 山で採取 した降水 中の中性糖 分析 の結果について述べ てきた。林 内で得 ら れ た降水 には、植物体 由来 の複合多糖類が含

まれてお り、その濃度 は酸性度 の増加 に伴 い 上昇す ることが明 らか とな った。 これ を構成 している単糖類 の種類 とその組成比 を調査す るため、 トリフルオ ロ酢酸 でグ リコシ ド結合 を加水分解 した。 しか しなが ら、 この操作 で は雨水 に元来含 まれ てい る単糖類 をも測定 し て しまい正確 な評価 ができない。 ここでは、

その単糖類 を測定す るため、通常の中性糖分 析 法か ら酸加水分解処理 を省 き、アセチル化

した後 にガスクロマ トグラフで測定を行 った。

なお、成分分析 は2005年8月か ら12月まで に採取 した降水試料 を対象 とした。

林外雨で多 く検 出 されたD‑glucoseは、そ の大部分が植物以外 の起源 であることが予想 され る。 これ を検討す るために、降水 中で検 出 された D一glucoseを複合多糖類 由来(From poly‑saccharide, FP)と単 糖 類 由 来 (From mono‑saccharide,FM)に分 け、その結果 を図

Tree Pre(ipitation spe(ies

E ] I BJ

]P⁝

3.14に示 した。その結果、FPは林外 雨 よ りも 林内雨お よび樹幹流でその割合 は増加 してい たが、FMの割合 は降水形式 に関わ らず ほぼ一 定 を保 っていた。

3.1.3.4.林内雨成分の支配要因 (1) NO3沈着量 と各成分溶脱量の比較

森林樹冠‑の大気汚染物質の沈着が樹冠 に 及 ぼす影響 を定量す るために、大気汚染物質 の指標 にNO3を用いて無機 イオ ン沈着量 との 関係 を考察 した

H十は樹木か ら金属イオ ンが 溶脱す る際に消費 され て しま うため、正確 な 酸性度の指標 とな らない。図3.15にモ ミ、ス ギ林内雨のNO3沈着量 と無機 イオ ン沈着量の 関係 をそれぞれ示 した。

モ ミ、ス ギ共 にCaZ+及び Mg2+沈着量はNO3

沈着量 と正の相関を示 した。Na'及び K+沈着量 はNO3沈着量 に対 して相関が′J、さかった。Ca2

及びMg2+はNO3Iの沈着 によって樹冠か らの溶 脱が促進 されてい るといえるoNa'は海塩 を由 来 とす るため NO3I沈着量 との相 関は小 さか っ た

K+は樹冠か ら溶脱 した ものではあるが、

大気汚染物質以外の別 の因子 の影響 を強 く受

From polysa⊂⊂harides From monosaCCharide

0.0

1 .

0

2 . 0 3 . 0

4.0 GIucoSeCOnCentration(FL,A)

図3.14降水中D‑glucoseの由来による分類

・73

(14)

(Latnau)叫中. 500 00/04200000

(

I.

GRPeI.I.bag)鵬瀬

㌔ U

ヘム18′042人U‑0000

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O

OO

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0 0.5 1 I.5

NO3'沈着豊 (meqmaday't)

0 0.5 1 I.5

NOt沈着量(meqm‑2day'1)

0.5 1 1.5

NO,沈着量Lmeqm2day‑)

◆モミ林内雨

CC′042

0

0000

(I.ぉpz.uba.a)7軒X

0.0 0.5 1.0

NOt沈着豊 (meqm'2day'Z)

ハU1‑8′04つ︼00000

(14含M̲u[ba.u)叫頼書㌔U(trか勺N..ub3u)叫撫書

ou04200人U0 4321

0

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0 0.5 10

NO3'沈着量(meqが2day'1)

◇スギ林内雨

図3.15モミとスギの林内雨のNO{沈着量と無機イオン沈着量の関係

・74

(15)

けていると考え られ る。

図3.16に林内雨中の中性糖、ウロン酸、金 属イオ ンお よびホ ウ素濃度 を pNO,の一定範 囲毎に示 した。金属イオンの溶脱量について は、総沈着量の指標 としての Na+濃度に対す る比 として表示 したが、これは以下の2点の 理 由に基づ く。

・Na+もまた樹木か ら溶脱す るが、その量は Ca2◆に比べてごく僅かである

・Na'は林外雨

霧水お よびェアロゾル に含ま れてお り、酸成分の負荷量が多い ときは全て の成分凍度が高 くなる傾向にある

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図 よ り、NO速度の変動が中性糖溶脱量に 大きな影響 を及ぼ していると推測 され る。特 にpNO3:3.5‑3.0の範囲で顕著であ り、4.0

‑3.5の範隣に比べモ ミで約2.91倍、スギで 約2.89倍の上昇 となった。この事はpNO:4.0

‑3.0間に境界値が存在 していることを示唆 している。なお、pN03の低下にあま り影響が ない成分 もあ り、L‑fucoseや D‑xyloseがこ れに該当す る。 このような差が生 じる理 由と しては、現在 の ところ明確 ではないが、元の 構成多糖の存在形態によるもの と考え られ るO

また、 これ までの研究よ り、PN03の低下は Jヽ.I

i : ‑ i

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4.0 4.0‑3.5 3.5‑3.0 pNO3inthroughfaH

図3・16林内雨中の中性糖、ウロン酸、金床イオン及びホウ酸濃度とpNO31の関係

・75

(16)

林内雨中のCa2◆濃度 を増加 させ ることが明 ら か となっているが15)、それ と関連深 いホ ウ素 や 中性糖、 ウロン酸濃度 も増加す る傾 向にあ った (スギについてはpN03とCaZ'/Na+の相関 性 があるものの、モ ミのそれ と比べ低い結果 とな った (表 3.2))。 この時の降水量は他 に 比べ少ない ことか ら、樹冠付着時間や霧 な ど による影響が考え られ る。菜 中のホ ウ素要求 量は、開花期 な どの生殖生長期 に特 に高 くな り、それが欠如す ると生長が停止す ることが 報告 されている16). また、Ishiiらは、ホ ウ 素欠乏 した培地でカボチャを水耕栽培 させ た ところ、菜 の細胞壁 の肥厚が正常な もの と叫 べ膨潤 してい ることを確認 した (図

3 .

17)17)0 この膨潤は、細胞壁密度の増加 に起因す るの ではな く、dRG‑ⅠトBのホ ウ酸エステル架橋欠 如 に よるものである。 この よ うな ことか ら、

酸性沈着物質が引き起 こす菜 内成分の溶脱 は、

樹種 に関わ らず植物の持つ生理学的機能 を低 下 させていることが予想 され る。

表3.2 スギ、モミにおけるpN03と 各々との相関性

図3.17 葉の細胞壁の肥厚の膨張

図 3.18には、酸性度 の指標 であるpN03と 複 合 多 糖 類 由 来 D一glucose (From polysaccharide,FP

,

〇、lineÅ)と単糖類 由 来 D‑glucose(FrommonoSaCCharide,FM,△、

lines)との関係 を測定樹種鎧 に示 したopN03

の低下に伴いFPは増加す る傾 向にあ り、特に モ ミでその傾 向は強か った。対照的に、FMは 全体的にデー タにバ ラツキが大 きかった。以 上の ことか ら、FMは主にエア ロゾルの よ うな 粒子状物質 の起源 に よるもの と考え られ る。

(2)林外雨降水量 と林内雨沈着量 との関係 樹冠 か らの溶 脱 を支配 す る要 因 と して降 水量が考 え られ る。図3.19に林外雨の降水量 とモ ミ林内雨成分 の沈着量の関係 を示 した。

また、図3.20に林外雨降水量 とスギ林内雨成

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Nitrateion(on(entration(JJN)

図3.18 pN03と複 合多糖類 由来および単糖類 由来ゲルコ‑ス,・濃度の関係

・76

(17)

(L.ABPn∈b.ur)771'.n(.言ub.u)1{.VN(L,tL.P

HEbaLd 叫や

3℃ON

I00 200 林外雨托水生 (mm)

0 100 200

林外雨托水生 (rrun)

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林外雨降水量(JltmJ

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0 100 2( 300 林外雨降水王 (TTtm)

I00 200 300

林外雨降水量(rrm)

図3.19 林外雨の降水量とモミ林内雨成分の沈着量の関係

Mo60402007Mo・50・4Mo2010oooo(L・^ePFulbatJJ)31(,Y(LL,(WH∈batu)lr(.AuPZ・"b3∈)31J

t0芦

0 IOO 200 300

林外雨降水量 (… )

I00 2(

林外雨陣水玉 (mm)

1

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200 300

林外雨Fl水量(mmJ

18 6 42 0

132.0

〇〇 〇〇

lUOOO(

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((・富川∈batu)N

I00 200 300

林外雨降水量(Trm)

100 200 3

0 0

林外雨降水量(rEm)

図3.20 林外雨降水量とスギ林内雨成分の沈着圭の関係

7 7

(18)

分の沈着量の関係 を示 した。 ここでは、林外 雨を降水 量の影響 を検討す るための比較対象 とした。林 内雨の降水量は樹冠 に沈着 した努 水 による増加、樹冠上での蒸発 による減少、

枝 か ら樹幹 を伝 い樹幹流になることによる減 少な どで林外雨の降水量か ら増減す る。 その ため、樹冠 に対す る接触や洗浄 の効果 を評価 す るためには林外雨の降水量を用いるこ とが 適切 であると考 え られ る。

モ ミ、スギ共 に林外雨の降水量 と K十沈着量 の間に正の相関がみ られた。一方、ca2◆,Nat, Mg2◆及 び NO3はそれぞれ降水 量に対す る相 関

はみ られ なかった

K+と降水量 の関係 は、K◆

の溶脱が枝葉 と降水の接触 によ り促進 され る ことによると考 え られ る。

Li k e n s

らは、降水 量が K'の正味の溶脱量の予測 に使 える唯一の 変数 であ り、乾性沈着期間や雨の酸性度 との 相関はない と報告 している iさ). しか し、本研 究室 にお ける植物枝葉‑の擬似酸性霧 の暴露 実験 において、暴露溶液の

p H

が小 さい ときに は K十の溶脱が促進 されてい るとい う結果 が得

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◆ モミIT.朽而

られ てい る。 また、林内雨のNO。ー沈着量が増 加す る ときもK+沈着量が増加す る傾 向がある。

従 って

Kの溶脱 は降水 量が主要 な支配要因 となっているものの、酸性沈着物の影響 も受 けている といえる。

K+沈着量についてモ ミとスギ との間で比較 す ると、モ ミの方が同 じ降水量に対 して沈着 量が大 き くなる傾 向があった。従 って、スギ よ りモ ミの方がK+の溶脱が起 こ りやすい と考 え られ る。

(3)無機イオン濃度 とDOC濃度 との関係 植 物枝 葉 か らは無機 イ オ ンの他 に有機酸 や 中性糖 な どの有機化合物 も溶脱 してい る。

そ こで図3.21に、モ ミ、スギ林 内雨にお ける 無機イオン洩度 とDOC濃度 との関係 を示 した。

モ ミ、スギ共に K◆濃度 とDOC濃度 との間に正 の相 関がみ られ た。 モ ミ林 内雨の Ca2十及 び MOS‑濃度 とDOC濃度 との間に も相 関がみ られ た。一方、スギ林 内雨のCa2◆及びNO3濃度 と DOC濃度 との間では相 関が小 さか った。K+浪

35FJuI0

(.I)uETd)V:さC

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100 200 3OO

K'まLtubeql)

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ca:◆浪 Ll (Iqq.)

100 200 300 LIOO 500 NOl虫 Ll(JAqL) 0 7ギITFq疎

図3.21モミ・スギ林 内雨における無機イオン濃度とDOC漉鹿との関係

・78

(19)

度 とDOC濃度 の間に相関が認 め られた ことか ら、樹冠か ら有機酸が溶脱す る際に K十が対イ オ ンと して溶脱 している可能性が示唆 され るO

‑方

K+濃度 に対 してDOC濃度 をプ ロッ ト した図において回帰直線 のy軸の切片は、モ ミ、スギ共 に5.8に近 い値 を示 した。 また、

林 内雨試料個別 のDOC濃度 の最低値 について もモ ミで

4 . 02 3

、スギで

3 . 0 4 3( p p m

c

)

を示 し た.従 って

K+と有機酸が対 になって溶脱す ることとは別 の機構 による有機物の溶脱 も考 え られ る。例 えば、樹幹流や林内雨には グル コ一一スに代表 され る中性糖類が豊富に含 まれ てお り、林 内雨 中ではDOCの7‑8%を占めて いるc Lか し、林内雨のDOCの化学組成 につ いては十分解明 され ていない。

K+濃度 とDOC濃度 の関係 をモ ミとスギ との 間で比較す る と、回帰直線 にお ける切片、傾 きに大 きな差は なか った。従 って、K+と有機 酸 の溶脱挙動 に樹種 間の差はない もの と考 え

られ る。

3 .1 . 3 . 5 .

樹冠通過率 とその支配因子

林内雨 と樹幹流 による物質降下量、樹冠上 での降雨の蒸発 を明 らかにす ることは、森林 生態系‑沈着す る酸物質量を把握す るだ けで はな く、酸性降下物が植生、土壌お よび物質 循環過程へ及ぼす影響 を明 らかにす る上で重 要である。 ここでは、降雨強度計を用いてス ギ、モ ミを対象 に樹幹通過率 とその支配 因子 を検討 した結果 について示す。

○降雨の樹冠通過率

森林樹冠 に降 り注 ぐ降水 は、林内雨 ・樹幹 流 として林床 に達す るもののほか、樹冠 上で 蒸発す るもの もあるo降水がそれ らの過程 に どの程度移行す るのかを明 らかにす る ととも に、樹冠への霧 の寄与を明 らかにす る 目的で、

モ ミとスギそれ ぞれの林内雨 と林外雨 との関 係 を霧発 生時 ・霧 非発 生時 と分 け、図

3 . 2 2

に示 したo

全降水試料か ら、モ ミでは

8 0

%が林内雨に

なる と言 える

( r =0. 9 2 ) 05‑1 0

%が樹幹流 に7:i る m)と報告 され ているので、葉上の蒸発 は

1 0

‑1 5

%に相 当す るもの と考 え られ る。またスギ では

6 9

%が林内雨にな り

( r =0. 9

1)、葉 上の蒸 発 は

2l ‑2

6%に相 当す るもの と考 え られ る.

葉上の蒸発 が降雨の

1 0

%あるいは

2 0

%の割合 で行 われ るものであるな ら、汚染物質が樹冠 上で濃縮 され、降雨による樹木‑のダメー ジ はそれだけ大 き くなる と予想 され る。

なお、林内雨量は対象木の樹冠が隣接木 の 樹冠 と重なっている場合、樹幹か らの距離 で 異なる分布 が示 され るが、 この採取点では隣 接木の影響 を考 える必要はないC また、林外 雨が樹幹流 とな る割合 の

5‑1 0

%はスギにつ いての報告催 であるが、 この樹幹流 に関 して も樹種、降雨強度、樹高、樹薬 の密度 な どの 要因によ り、その絞量は変化す るもの と考 え られ る。例 えば、樹肌 が平滑の樹種は樹肌 が 粗 の樹種 よ りも樹幹流 下量が多い。モ ミはス ギよ りも樹肌が粗 のため、樹幹流 として観測

され る割合

5‑1 0

%を下回る と予測 され る.

次 に霧 の寄与 について検討す るCモ ミを対 象 とした場合、降雨の樹冠通過率は弄発 生時 では

85 % ( r =0. 9

1)、 弄非発生時 (降雨のみ の樹冠通過率)では

6 5 %( r = 0. 9 2 )

であ り, こ の

2 0

%の差 は薪水の林内雨‑の寄与 と考 え ら れ る。スギを対象 とした場合 も、霧発生時で は

83 % ( r =0 . 87 )

、 穿 非 発 生 時 で は

63

%

( r =0 , 93 )

であ り, この

2 0

%の差 は霧水 の林内 雨‑の寄与 と考 え られ る。 この ことか ら霧水 の寄与はモ ミ ・スギいずれ も

2 0

%であった0

3 .1 . 3 . 6 .

樹冠 の特性

降雨の樹冠捕捉量 と、林外雨 と比較 した林 内雨の観測時間の遅れ についてモ ミとスギを 対象 に比較 した結果 を図

3 . 2 3

に示す。林 内雨 観測時間の遅れ は林 内雨が観測 され始 めた時 間か ら林外雨が観測 され始 めた時間 との時間 差 を、樹冠捕捉量は林内雨が観測 され始 めた 時点までの林外 雨量 を示 している。 スギはモ ミよ り樹冠捕捉量が多い。 この ことは葉上の

・ 79

(20)

Fir 00000000000

o

54321

CJJuJ)匿ryI]貴

50 LEO 30 20 10 0

FE)AFt

Y

全降 水 試料

令 認 諾非発生時

語発生時

0 10 20 30 40 50 0 10 2(1 30 40 50 林外雨(mm)

図3.22 霧発生時・非発生時のモミ・スギの林内雨林外雨との関係

ooooo

0

54321

(u!uj)iQJY

0 20 40 60 8.0

0 5

10 15 20 25 30

樹 冠捕捉圭 (rTYrO モミt,f内雨故測時間(min)

図3.23 降雨樹冠捕捉量と林外雨と比較した林内雨の観測時間の遅れについての比較

‑80

(21)

蒸発の割合か らも うかがえる。 この要因 とし て、樹冠 下の降雨強度計の設置地点の問題 も あるが、多 くは樹木の形状に起因 してい ると 考 え られ る。樹冠捕捉量はモ ミでは

3. 0

mm、 スギでは4.0… 付近 に集 中 してい ることが見

られ る。林 内雨の観測時間の遅れ もスギの方 が大きか った。 ただ し、捕捉量は一定の値 に とどまる傾 向があるものの、観測時間の遅れ に関 しては降雨強度 、樹冠の濡れの状態 (寡 の発生、前回の降雨か らの時間間隔)に依存

してお り、大き く変動す る傾 向がある。

3.1.3.7.林 内雨の収支

樹冠上の溶脱 と樹冠‑の汚染物質の様 々な 沈着形態 の寄与率を解 明す る 目的で、モ ミを 対象 に検討 した結果 を以下に示す。

この 日的 においては、沈着速度 を求めるこ とが重要であ り、 ここでは各成分 の林内雨沈 着量か ら求 めた。様 々な沈着形態 ごとの沈着 速度 を表

3 . 3

に示す。計算過程 の詳細 につい ては以下に示すDすべての成分について、林 内雨沈着量か ら求 めた値 は文献借 を上回ったo この要因 と して以下の ことが考え られ る。一 つは、大 山では霧 の発生頻度が高いため樹冠 が濡れてい ることが多い。濡れてい る樹冠で はガスやェアロゾルの沈着速度が増加す るこ とが考 え られ る。 そ して樹冠の大 き さに も関 係 がある と考 え られ、樹冠が大 きけれ ば沈着 量が多 くな り、それ につれて算出 された沈着 速度は増加す る。沈着速度は上記 の よ うな要 因をは じめ として、多 くのファクター に影響

され るため文献値 自体 も様 々である。

<計算方法 >

林内雨の収支 についての計算方法、及び各 沈着速度の算出方法を以下に示す。

林内雨、林外雨沈着量

R

( me q / m

2/day) ,ai

m ( m

eq/m3)×降 水 量 (n)/時 間(day)

霧水沈着量

F

( me q / m

Z/day)‑C,

g

( ne q / m

3)× (林 内雨 量

( n )

ー降水量(帆)×0.60)/時間(day)

Vf.g=F/Cf.1

降水量 に林外 雨が林 内雨 と して観測 され る割 合0.6(図3.22で示 した芽非発生時のモ ミ樹 冠通過率) を掛 けた もの と林 内雨 との差 を霧 水量 と した。

乾性 (ェ ア ロゾル、ガス)沈着畳

D( me q /

㌔ /day)=林 内雨沈着量 ‑ (林外 雨沈着 量+霧水沈着量)

DNa‑ (CND(粗ガ ×V軌大+CNa(削 、)×V粗大/10).e.。S..

‑V粗大の決定

Dcl‑(cc.×V)gas+ (CcL(粗大)×V粗大+cc.(

削、 ) ×V

粗大/10)ae.。S。.ーVgasの決定 エア ロゾル沈着息

A( me q /

m2/day)≡ (CXV)aerosol

ガス沈着畳

G( me q / m

2/day): (CXV)印S

Naの乾性沈着はエア ロゾル 由来 とし、微小粒 子 の沈着速度 は粗 大粒子 の 10%と仮 定 した

21).clの乾性 沈着はガス、エア ロゾル 由来 と し、得 られたガス沈着速度 に

0. 3

を掛 けた も のを弱酸性 ガスの沈着速度 と した Z)。 また、

ガスに関 してはHClとHN03が H'を、HClがCl を、HNO,がNO3を、S02がSO42 を生 じる とし、

強酸性 ガス をHClとHNO3、弱酸性ガスをS02

とした。なお この計算では、Naとclは枝葉 とのイ オ ン交換 を しない と仮定 し、 この Na とclか らすべての粒子成分 とガス状成分の 沈着速度 を見積 もった。

溶脱、吸収量

L( me q /

㌔/day)=(林 内雨沈着量)‑(R+F+D) 林内雨沈着か ら林外雨、霧水、乾性沈着 を引 いた値がプ ラスな ら溶脱 、マイナスな ら吸収

とした.

3.1.3.8.樹冠 にお ける物質収支

表3.3で示 した沈着速度 をもとに樹冠 にお ける物質収支‑の各沈着形態の寄与を成分 ご とに計算 した結果 を図3.24に示 した。図か ら Na+、Clは湿性 沈着が主で あ り、海塩 由来で ある と考 え られ る。NH4十に関 しては乾性沈着

・ 81

表 3. 1 林外雨および林 内雨中の中性糖濃度間の相関関係 A r a Xy l Ma n Ga I GI u D ( 冗 ; . , I , Rha F u r 010908L0
図 3. 11 降水試料中の全中性糖漉度とウロン酸濃度の関係
図 3. 1 2 中性糖およびウロン酸溶脱量の季節変化 r ] [ ; / T . i . 山 . . ,. . .. I,i ! .'L=I :=‑ I ‑10 1 . 0‑20 2
図 3. 1 4 降水中 D‑gl ucose の由来による分類
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参照

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