雪冷熱活用データセンター立地事業
報 告 書
平成 29 年 3 月
-目次-
第
1
章 はじめに... 1-1
1.1 目的 ... 1-1
1.1.1 実施場所 ... 1-1
1.1.2 実施期間 ... 1-1
1.1.3 整備内容 ... 1-2
第2
章 雪冷熱エネルギーの効果... 2-1
2.1 目的及び測定項目 ... 2-1
2.2 具体的な測定方法及び分析手法 ... 2-5
2.2.1 冷熱供給能力(冷熱供給量[kJ]、冷熱供給能力[kW]) ... 2-5
2.2.2 冷熱供給時間(期間) ... 2-5
2.2.3 DC内のIT機器の最大消費電力、PUE値 ... 2-5
2.2.4 冷熱活用による削減電力量、空調費削減効果 ... 2-5
2.2.5 経済性の評価(ランニングコスト) ... 2-5
2.2.6 雪山融解状況 ... 2-6
2.3 測定結果及び分析結果 ... 2-7
2.3.1 冷熱供給能力 ... 2-7
2.3.2 冷熱供給時間 ... 2-9
2.3.3 DC内のIT機器の最大消費電力 ... 2-10
2.3.4 PUE値 ... 2-12
2.3.5 冷熱活用による削減電力量・空調費削減効果 ... 2-14
2.3.6 雪山残雪量の推移 ... 2-15
2.3.7 外気温とDC内部の温度 ... 2-17
2.4 経済性(ランニングコスト) ... 2-29
第3
章 効果・市場性の評価... 3-1
3.1 評価項目 ... 3-1
3.2 エネルギーの効果・経済性 ... 3-2
3.2.1 冷房使用量の雪量換算と有効雪氷利用率 ... 3-2
3.2.2 必要雪山量の精査 ... 3-6
3.2.3 採算性分析 ... 3-15
3.2.4 二酸化炭素排出量削減効果 ... 3-27
3.3 地域経済への波及効果 ... 3-29
3.3.1 雪冷熱エネルギーを活用したデータセンター事業 ... 3-29
3.3.2 データセンター事業者の県内進出と新規雇用創出 ... 3-30
3.3.3 雪を活用したデータセンターの市場性 ... 3-32
3.3.4 地域経済への影響 ... 3-36
3.3.5 今後の課題 ... 3-37
1-1
第1章 はじめに
1.1 目的
雪冷熱を活用した環境配慮型のデータセンターを立地することにより、県内における雪 冷熱エネルギー利用の促進及び情報通信関連産業の振興を目指す。
本実証実験では、「雪冷熱エネルギー供給設備の整備」及び「データセンターへの雪冷熱 エネルギーの供給」を行い、その効果(電気料金削減、環境負荷低減効果など)について 測定などを行い、結果を分析する。
1.1.1
実施場所・ 施設名称 雪冷熱活用データセンター
・ 住所 新潟県中魚沼郡津南町大字中深見甲
1.1.2
実施期間平成
27
年8
月下旬~平成28
年10
月中旬1.1.3
整備内容本事業で平成
27
年度に整備した雪冷熱供給設備の内容は以下のとおりである。ここで対象としているのは、データセンター内のファンコイルユニットまでである(後 述のシステムフロー参照)。
表 1-1 雪冷熱供給設備
区分 工種 規格 数量
土木
雪山 雪山天端寸法 雪山底部寸法 雪山総高さ
貯雪容量
L=17.6m×16.2m L=30.0m×30.0m H=6.0m
(地上 5.0m,地下 1.0m) V=3,167.7m
3施設造成 盛土量 切土量 法面積
V=8,400m
3V=6,800m
3A=2,40m
2 貯雪ピット 面積(30.0m×30.0m)深さ
遮水面積(アスファルト舗装)
A=900m
2H=1.0m A=990m
2 融雪水導水管余剰水排水管
φ300高耐圧ポリエチレン管 φ300波付加工管
L=30.0m L=20.0m
冷 水循環 ポン プピット
泥溜め桝(3号人孔) ポンプ小屋
ポンプピット(3号人孔)
N=1
基(H=3.2m)N=1
棟N=1
基(H=3.6m) 給水設備 給水管(水道用Pe
管 50A)給水ノズル(フレキシブルパイ プ
20A)
L=70m N=26
箇所 雨水排水施設 コンクリートU
字溝(300×300) L=240m 取付道路 道路延長舗装面積(アスファルト舗装)
L=45.0m A=190m
2 周辺道路 舗装面積(アスファルト舗装)A=1,600m
2 スノーシート 内部断熱セル構造タイプ断熱材
50mm
A=1,355m
2N=43
枚機械室 丸波ガルバリウム鋼板製(S造)
2,500mm×3,500mm
機械・
電気
機械・電気設備 熱交換器 冷水ポンプ 冷水循環ポンプ 不凍液注入ポンプ 引込開閉盤 ポンプ室電灯盤 ポンプ室動力盤 換気設備 自動制御設備
プレート式
24kW×1
台 定格動力1.5kW×1
台 定格動力0.25kW×1
台1
台1
面1
面1
面1
式(60CMH(4.8W))1
式1-3
前述の雪冷房システムに関わる土木・機械・電気工事に係るイニシャルコストは以下の とおりである。
表 1-2 イニシャルコスト
区分 項目 千円
土木関連
土工 5,778
法面工 1,674
舗装工事 13,813
排水工事 3,916
伐開工事 3,505
その他付帯工事 198
上記間接費等 6,125
融雪水導水管布設工 123
ポンプ室設置工 811
機械室設置 868
雪冷熱設備工 2,291
冷水設備工 167
受電柱・幹線工事(1次) 1,143
上記間接費等 1,621
スノーシート設置工 9,800 土木関連合計 51,833
機械電気設備
雪冷熱設備工事 3,374
換気設備工事 71
自動制御設備工事 4,817 幹線工事(2次) 995 電灯コンセント工事 472
動力設備工事 723
ファンコイルユニット等 2,500
上記間接費等 3,048
機械電気関連合計 16,000
設置工事合計 67,833
調査計画・設計・施工監理費 12,041
一般管理費 12,719
消費税 7,407
合計 100,000
※詳細は参考資料参照
※端数処理の関係で千円以下の数値とは合わない部分がある
【雪冷房システム概要】
熱交換器を介して、一次側(スノーマウンド側)、二次側(コンテナDC側)それぞれで 水または不凍液が循環しながら冷熱供給を行う。
一次側では、ピット水槽から熱交換器を通してスノーマウンドへ供給される水は、スノ ーマウンドを通して冷却され、集水桝、泥溜枡を経由しピット水槽へと循環する。冷却さ れた水は熱交換器を介してコンテナDC側の不凍液へ冷熱を供給する。
二次側では、コンテナDCのFCUによってDCの内に冷熱を供給し、温まった不凍液 は熱交換器で冷熱を供給される。
図 1-1 システムフロー
CS CR
5℃
12℃ 14℃
環水給水管
導水管
環水給水管 ス ノ ー マ ウ ン ド
ポ ン プ ピ ッ ト 機 械 室
冷水(往)
冷水(還)
ピ ッ ト 水 槽
1 HEX1 BP1
2
泥溜桝 集水桝
水抜き
7℃
別 途 工 事 本 工 事 範 囲
F C コ ン テ ナ 型 D C ( 別 途 工 事 )
CP
CP
2-1
第2章 雪冷熱エネルギーの効果 2.1 目的及び測定項目
平成
27
年度に整備した雪冷熱供給設備を運用し、DCへ冷熱エネルギーを供給する効果 について測定などを行う。測定などを行う項目は以下のとおりである。
さらに、下表それぞれの項目に対する具体的な測定方法及び、分析方法は次節以降に詳 述する。
表 2-1 測定などを行う項目
項目 内容
雪冷熱エネルギーの供給効果 ◯冷熱供給能力
◯冷熱供給時間
◯DC内のIT機器の最大消費電力
◯PUE値
◯冷熱活用による削減電力量、空調削減効果 経済性(ランニングコスト) ◯集雪・貯雪費用
◯維持管理費用
◯冷熱供給費用
◯貯雪施設・設備清掃費用
◯その他の費用
表 2-1の測定などを行うために必要となる計測項目と計測機器は、下表のとおりである。
表 2-2 具体的な計測及び単位等
No. 測定項目 測定機器/測定方法 単位 計測ロガー
① 1次側冷水流量
1次側熱量計
L/min 日置LR8432
② 1次側熱量 MJ 日置LR8432
③ 2次側不凍液流量
2次側熱量計
L/min 日置LR8432
④ 2次側熱量 MJ 日置LR8432
⑤ 1次側配管温度(往) 熱電対 ℃ 日置LR8432
⑥ 1次側配管温度(還) 熱電対 ℃ 日置LR8432
⑦ 2次側配管温度(往) 熱電対 ℃ 日置LR8432
⑧ 2次側配管温度(還) 熱電対 ℃ 日置LR8432
⑨ ポンプ室電流値
クランプメーター
A
クランプメーターロガー
⑩ ポンプ室電圧 V
⑪ DC側電流値
電力量計
A
日置LR8432
⑫ DC側電圧 V
⑬ DC内温湿度 温湿度センサー ℃、RH% おんどとり
⑭ 外気温 アメダス ℃ -
⑮ 日射量 アメダス W/m2 -
⑯ 雪融解量 雪山測量 m3 -
2-3
図 2-1 測定位置
1
①・②
③・④
⑥
⑤
⑧
⑦
⑭・⑮:気象庁アメダス
⑯:雪山測量
※機械室内の1φ3Wについては、機械室が常時無人であること、注入ポンプが初期投入時のみ活用するこ となどから期間中の電力消費は0に近いものと想定し、測定を行っていない。
図 2-2 測定位置
2
クランプメータ→⑨・⑩
⑪・⑫ ⑪・⑫
2-5
2.2 具体的な測定方法及び分析手法
※文章中の丸番号は前述の測定項目表と対応
2.2.1
冷熱供給能力(冷熱供給量[kJ]、冷熱供給能力[kW])・ 冷熱供給量[kJ]=流量[L/min]×温度差[℃]×循環水比熱[kJ/℃・
L]×時間[min]
→測定項目(①、③、⑤~⑧)より、1次側、2次側の温度差及び流量を測定し、
冷熱供給量を算出する。
・ 冷熱供給能力[kW]=単位時間当たり[sec]の冷熱供給量
→[kW]=[kJ/sec]なので、冷熱供給量から算出できる。
1次:①×(⑥-⑤)×4.18÷60 2次:③×(⑧-⑦)×4.18×0.9
※÷60
※不凍液の比熱(3.46)と比重(1.07)を考慮した設定値
2.2.2
冷熱供給時間(期間)・ 基本的に連続運転なので、24時間×運転日数
・ 期間としては、雪山が融解し、2次側のDC負荷に対して冷熱が供給できなくな るまでの期間が冷熱供給期間である。雪山の融解状況測定については後述。
2.2.3
DC内のIT機器の最大消費電力、PUE値・ ここでPUE値は“DC全体の消費電力/IT機器による消費電力”とする。
・ ⑨~⑫の測定項目についてクランプメーターなどにより測定し、削減電力量およ びPUE値算出に利用する。
2.2.4
冷熱活用による削減電力量、空調費削減効果・ 削減効果の比較対象としては、PUE値
2.0
の従来型DC空調システムを想定し、削減電力量を算出する。
2.2.5
経済性の評価(ランニングコスト)・ 電力量だけでなく、本事業から得られた雪冷熱供給システムに係るランニングコ スト(集雪・貯雪費用、維持管理費用、清掃費用)の評価を行う。
・ 実証試験規模の比較だけでなく、DC規模を大きくした際のスケールメリットに ついてイニシャル・ランニングも含めた評価も行う。
2.2.6
雪山融解状況・ 雪山の対角に基準点を設け、光波測距儀によって座標および高さを測定する。
・ 測定点は雪山底面および上面の四つ角および中点とする。中点についてはテープ メジャーなどで位置を出す。
・ 測定間隔は1ヵ月程度とする。
図 2-3 雪山測定方法(案)
基準点(木杭など)
測定点
2-7
2.3 測定結果及び分析結果 2.3.1
冷熱供給能力実証試験期間内の供給実績の推移を以下に示す。
本実証試験期間中における最大冷熱供給能力は、提案時
20kW
に対して実績値から最大21.5kW、平均 13.0kW
であった。提案時の出力は
1
ラックあたりの電源容量を4kW、5
ラック分の20kW
としている。実際の冷房出力はサーバーの消費電力に連動して変動が発生している。
後述するサーバーの消費電力が
10kW
程度で推移しているため、冷房出力もこの値に近い ものとなっている。高負荷時には20kW
を超える冷房出力も確認できた。表 2-3 提案時との比較
細項目 提案内容 実証結果
冷熱供給能力
(kJ/h)
72,000 kJ/h(20kW)
最大:77,400 kJ/h(21.5kW):9/2 4:00 平均:46,800 kJ/h(13.0kW):6/1~10/18※1
【参考】
平均:40,320 kJ/h(11.2kW):4/28~10/18※2
※1 サーバー負荷本格稼働から
※2 施設稼働から
図 2-4 冷熱供給能力及び往還温度差
0 5 10 15 20 25
4/28 5/18 6/7 6/27 7/17 8/6 8/26 9/15 10/5 10/25
往還温度差[℃]、冷房出力推計値[kW]
出力 温度差
21.5kW
図 2-5 対象測定位置
③
⑧
⑦
2-9 2.3.2
冷熱供給時間機器運転・測定開始日は
4
月28
日、冷房終了日が10
月18
日であった。冷房機器の本格稼働が
4
月28
日からであったが、サーバーの負荷立上が6
月1
日からで あるため、実質の冷房期間は6
月1
日から10
月18
日までの139
日間である。また、
2
次ポンプの運転時間を冷熱供給時間とした場合、運転時間は4,152
時間であった。外気温が例年よりも高い気象条件の中でも、冷房時間が提案時よりも長時間化している のは、サーバーの消費電力が提案内容より低く推移したことに伴い、冷熱需要も低く推移 し、雪山の融解が進まなかったものと推定される。
表 2-4 提案時との比較
細項目 提案内容 実証結果
冷熱供給 時間(h)
3,240 h(135
日×24h)※4月中~9月中旬頃想定
3,336 h(139
日×24h):6/1~10/18※1【参考】
4,152 h(173
日×24h):4/28~10/18※2※1 サーバー負荷本格稼働から
※2 施設稼働から
2.3.3
DC内のIT機器の最大消費電力実証試験期間内のDC内のIT機器の最大消費電力は
12kW
であり、平均9.0kW
であった。サーバー負荷(消費電力)の推移を以下に示す。
本実証実験内では、調整を行いながらサーバーの立ち上げを行い、また単なる熱負荷と してのサーバー稼働ではなく、実際の顧客を導入しながらの稼働であったため、DCの運 営に支障をきたすことのないよう消費電力が変動する環境での実証となり、最大負荷の
20kW
までは常時出力として発生させられない状況であった。表 2-5 提案時との比較
細項目 提案内容 実証結果
DC内のIT機器の 最大消費電力
(kW)
4kW/ラック×5
ラック=20 kW
最大:12kW:主に
7
月末~8月中旬頃 平均:9.0kW:6/1~10/18図 2-6 サーバー負荷推移 0
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
4/28 5/19 6/9 6/30 7/21 8/11 9/1 9/22 10/13
サーバー負荷[kW]
2-11
図 2-7 対象測定位置
「測定位置」
2.3.4
PUE値実証試験期間内の期間消費電力から算出するPUEは平均
1.18
であり、最小で1.17
程 度であった。空調に係る消費電力はほぼ不変のため、サーバーの消費電力が増加する毎に PUEが向上している。なお、空調に係る消費電力は最大でも合計
2.0kW
であった(平均1.61kW)。内訳について
は1
次ポンプ・2次ポンプで平均1.09kW、FCUで平均 0.52kW
であった。熱交換器部分での往還の温度差が設計値では
5℃であったが、実際は 3℃程度であったこ
とや、熱交換器は設計上、24kW
の冷房出力であるのに対して平均13.0kW
の冷熱供給実績で あることから、空調の出力には余力があったと考えられる。このためサーバーの消費電力 が20kW
発生していた場合、または、今回の実負荷に合わせてポンプやFCUを縮小した場 合は、PUEの1.1
の実現は十分可能と考えられる。日毎のPUEの推移を以下に示す。
表 2-6 提案時との比較
細項目 通常のDC 提案内容 実証結果
PUE値
2.0=((20+20) /20) 1.1=((20+2)/20)
最高:1.17=((12+2)/12)平均:1.18=((9+1.61)/9 サーバー
20kW
空調
20kW
サーバー
20kW
雪冷房2kW
サーバー 最大
12kW、平均 9.0kW
雪冷房 最大2kW、平均 1.61kW
図 2-8 PUEの推移
1.00
1.50 2.00 2.50 3.00 3.50
4/28 5/19 6/9 6/30 7/21 8/11 9/1 9/22 10/13
PU E
FCU・サーバー停止期間
2-13
図 2-9 PUEの推移(縦軸詳細版)
1.00
1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 1.30 1.35 1.40 1.45 1.50
4/28 5/19 6/9 6/30 7/21 8/11 9/1 9/22 10/13
PU E
2.3.5
冷熱活用による削減電力量・空調費削減効果削減効果の比較対象としては、PUE値
2.0
の従来型DC空調システムと比較した場合 の削減電力量を算出する。実証期間の冷房出力の積算値は約
46,701kWh、ポンプ及びFCUの消費電力量が約
6,685kWh、比較対象である PUE=2
の場合、サーバー以外の消費のほとんどが空調と仮定すると冷房消費電力の積算は
46,701kWh
となるため、削減効果は40,016kWh
であり、データ センター全体の電力消費削減率では42.8%
※となった。また、この場合、基本料金も含んだ電力料金
22
円/kWhに再生可能エネルギー発電促進賦 課金2.25
円/kWhを加えて計算すると、約970
千円の削減効果となる。削減電力量・削減効果が提案時と比較して値が小さくなっているのは、データセンター を実際の運用を行いながらの稼働であったため、期間全体の消費電力が想定よりも小さく なっている。
ただし、冷熱供給能力で
20kW
を超えた値を確認しているため、サーバー増設やユーザの 利用頻度の高いデータを扱うことなどで、IT機器の平均消費電力が上がれば提案時に近 い削減効果は実現可能と考える。※((1-(40,701+6,685)/(46,701+46,701)))=42.8% なお、前述から実証期間を通したPUE=1.18 であったため、1-(1.18/2.0)=41%の削減効果(従来の59%)と考えることができ、どちらの評価でも ほぼ同水準の削減効果を確認した。
表 2-7 実証期間内削減電力量
項目 数値
冷房出力積算(kWh)
46,701
冷房消費電力積算(kWh)6,685 PUE=2
の場合の冷房消費電力積算(kWh)46,701
実証期間削減効果(kWh)40,016
表 2-8 提案時との比較
細項目 提案内容 実証結果
冷 熱 活 用 に よ る削減電力量
(kWh/年)
従来型DCのPUE=2.0と比較し て
61,700 kWh/年
削減(従来の電 力消費の半分を空調とした場合)40,016kWh/年
冷 熱 活 用 に よる 空 調 費 削 減 効果
(千円)
1,600
千円/年(電気料
26
円/kWh※1とした場合)970
千円/年(電気料
24.25
円/kWh※2とした場合)【参考】
1,040
千円/年(電気料
26
円/kWh※1とした場合)※1 基本料金を含んだ電気料金単価仮定:26 円/kWh→提案時は契約量・使用量が不明であったため、東 北電力の「家庭の平均的な契約電力及び使用量(契約種別:従量電灯 B、契約電流:30A、使用電力量:
280kWh)」から仮定。
※2 基本料金を含んだ電気料金単価仮定:24.25 円/kWh→「低圧電力」基本料金 1,242 円/kW、従量 料金 15.66 円/kWh として、契約 40kW、電力量 8,064kWh/月(11.2kW×24h×30 日)で仮定し
2-15 2.3.6
雪山残雪量の推移(1) 雪山残雪量の推移
雪山の残雪量の推移を以下に示す。
9
月17
日で367m
3であり、冷房は10
月中旬まで実施できた。また、測量結果の詳細については、「参考資料
01」に示す。
図 2-10 雪体積推移
3,220
2,662
2,035
1,386
742
367 0
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
雪体積[ m
3]
雪量 (m3)
(4/1)
(5/17)
(6/16)
(7/16)
(8/19)
(9/17)
(2) 雪山残雪量の推移と気象条件の比較
気温・日射量と雪消滅量の関係を以下に整理する。
計測期間平均外気温度で見ると、19.0℃、積算温度では
3,469℃・day、となっている。
後述のように積算気温・平均気温ともに平年値と比較して大きなものとなっているため、
外気による融解量は平年より大きくなったと考えられる。
表 2-9 気象条件比較(4/1~9/30)
項目 2016年 平年値 積算温度(℃・day) 3,498 3,236 平均気温(℃) 19.1 17.7
図 2-11 日射量・外気温・雪体積の推移
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
0 5 10 15 20 25 30
04月01日 05月01日 06月01日 07月01日 08月01日 09月01日
雪体積[m3]
気温[℃]
日平均気温(℃) 日平均気温平年値(℃) 雪体積
2-17 2.3.7
外気温とDC内部の温度DC内の温度の推移を図 2-15から図 2-32に示す。
全体の傾向は以下のとおりである。
次ページ以降は、サーバー本格稼働となった
6/1
からのデータをグラフ化している。・ 冷房時の吹出口温度は、サーバー負荷の上昇に伴い若干増加しているが、最大でも15℃以下程 度で推移している。
・ コールドアイル・ホットアイルの区分後は、コールドアイルで15~25℃程度、ホットアイルで 25~30℃程度で推移している。
・ 従って、雪冷房により外気温に影響されずDC内の温度環境の維持が実現できたといえる。
・ なお、サーバー、FCUを停止させた場合、70℃近く室温が上昇したが、雪冷房を再開するこ とで、前述の室温まで低下させることができたため、雪を有効な冷熱源として活用できること も確認できた。
温度設定ポイント
図 2-12 測定機器位置(上から初期、変更
1
回目、変更2
回目)上部④内部①
床③
上部⑤内部②
サーバーラック 上部⑦
上部⑨内部⑧ 吹出し口⑥ FCU
上部④
床③
上部① 内部⑧
サーバーラック 上部⑦
上部② 内部⑨
吹出し口⑥ FCU
上部④
上部①
内部③ 上部②
サーバーラック
上部⑦ 上部⑤
上部⑤
内部⑨
内部⑧ 吹出し口⑥ FCU
H28.4.28~
H28.6.20~
H28.9.2~
高温側(ホットアイル)
低温側(コールドアイル)
高温側(ホットアイル)
低温側(コールドアイル)
図 2-13 外気温と施設内温度の推移
図 2-14 外気温・吹出口温度・サーバー負荷の推移
0 10 20 30 40 50 60 70 80
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 外気温
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
サーバー負荷[kW]
気温[℃]
⑥ 外気温 冷房出力(kW)
サーバー・FCU停止期間
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
サーバー負荷
2-19
図 2-15 施設内温度推移(機器①)
図 2-16 施設内温度推移(機器②)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
① 外気温
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
② 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
図 2-17 施設内温度推移(機器③)
図 2-18 施設内温度推移(機器④)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
③ 外気温
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
④ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
2-21
図 2-19 施設内温度推移(機器⑤)
図 2-20 施設内温度推移(機器⑥)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑤ 外気温
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑥ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
図 2-21 施設内温度推移(機器⑦)
図 2-22 施設内温度推移(機器⑧)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑦ 外気温
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑧ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
2-23
図 2-23 施設内温度推移(機器⑨)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑨ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
図 2-24 施設内温度推移(機器① 温度軸上限
70℃)
図 2-25 施設内温度推移(機器② 温度軸上限
70℃)
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
① 外気温
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
② 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
2-25
図 2-26 施設内温度推移(機器③ 温度軸上限
70℃)
図 2-27 施設内温度推移(機器④ 温度軸上限
70℃)
※一部欠損 010 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
③ 外気温
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
④ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
図 2-28 施設内温度推移(機器⑤ 温度軸上限
70℃)
図 2-29 施設内温度推移(機器⑥ 温度軸上限
70℃)
※FCU吹出口0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑤ 外気温
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑥ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
2-27
図 2-30 施設内温度推移(機器⑦ 温度軸上限
70℃)
図 2-31 施設内温度推移(機器⑧ 温度軸上限
70℃)
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑦ 外気温
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑧ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
測定位置一部変更
図 2-32 施設内温度推移(機器⑨ 温度軸上限
70℃)
0 10 20 30 40 50 60 70
6/1 6/15 6/29 7/13 7/27 8/10 8/24 9/7 9/21 10/5 10/19
気温[℃]
⑨ 外気温
コールドアイル・
ホットアイルの区分
測定位置一部変更
2-29
2.4 経済性(ランニングコスト)
各種ランニングコストの実績などについて整理する。
集雪・貯雪費用については、実証試験の年度の降雪・積雪が例年と比較して非常に少な かったため雪搬入費用が余分に発生している。
前述の集雪・貯雪費用と合計して、提案時は
1,300
千円としていたが、実績で3,314
千 円となっている。要因としては、提案時は北海道内の実績を積んだ雪冷房施設の事例などを参照としてお り、このたびの実証は新潟県内で初めて試みる作業であることから、雪山造成シート布設・
撤去に多くの費用を要した。
今後、シート敷設や貯雪、造成などが習熟することによるコスト低減は十分可能と考え られる(期間・人数などの短縮)。
また、通水試験やシート敷設の一部など事業者による実施も可能な部分もあるため、実 際の事業では事業者での実施が可能となりコスト縮減も考えられる。
単位:千円
大項目 費目 提案時 実績
集雪・貯雪費用 集雪・貯雪作業 津南町による作業0円 800
維持管理費用
シート布設
1,000
578
雪山築造 563
スノーシート維持 249
スノーシート撤去・運搬・保管 257
貯雪施設、設備清掃 貯雪ピット清掃
300 60
ポンプピット、泥溜め桝清掃 60
その他 融雪水通水作業 - 151
諸経費 - 539
合計(税抜き) 1,300 3,257
冷熱供給費用として計上する電気代推計値は、以下のとおりである。
提案時と比較して減額となっているのは、冷熱供給に必要となる電力が小さかったこと と、電気料金を実態に合わせた結果による。
費目 提案時 実績
冷熱供給費用
170千円※ 2kW(ポンプ+FCU)×
3,240h/日×26円/kWh
※提案時は168千円切上
130千円 1.61kW(ポンプ+FCU)
×3,336h※1×24.25円/kWh
【参考】
162千円
1.61kW(ポンプ+FCU)
×4,152h※2×24.25円/kWh
※1 6/1~10/18
※2 4/28~10/18
第3章 効果・市場性の評価 3.1 評価項目
評価項目は大きく区分して以下の
3
つとする。・エネルギーの効果
・経済性
・地域経済への波及効果
それぞれについて、次項以降に記載する。
3-2
3.2 エネルギーの効果・経済性
それぞれ前述の実測結果をもとにして条件が異なる場合、機器を改善した場合やスケー ルアップした場合の効果の分析を行う。
3.2.1
冷房使用量の雪量換算と有効雪氷利用率本実証試験期間において有効に冷房に使用できた雪量換算値は
1,007
m3であり、実証期間 内の有効雪氷利用率(=雪冷房消費分/雪山全体量)は約31%程度
※であった。なお、冷房使用雪量と外気損失等雪量の推計方法の概要は、それぞれ以下のとおりであ る。
冷房使用雪量:供給冷熱出力(kW)×供給時間(h)×3.6MJ/kWh÷334MJ/t 外気損失等雪量:後述の融解シミュレーションによる推計
※冷房使用雪量:11.24kW×4,152h×3.6MJ/kWh÷334MJ/t÷0.5t/m3≒1,007m3 1,007÷3,220≒31%
図 3-1 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の推移
図 3-2 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の推移(累積)
0 5 10 15 20 25
換算雪量[m3]
冷房使用雪量(m3) 外気損失等雪量(m3)
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
換算雪量(累積)[m3]
冷房使用雪量(m3) 外気損失等雪量(m3)
3,220
1,007
3-4
次に、サーバー負荷が冷房最大出力(20kW)と同値で推移した場合の推計値を以下に示 す(負荷率
100%)。
この場合、本年の気象条件下では有効雪氷利用率は
45%程度と推計される。
また、この場合、雪は
8
月上旬に融解すると考えられる(4/1からの運転可能日数129
日)。当初想定の
135
日よりも短い期間だが、これは実証年度が気温の高い年であったためであ り、平年値程度の気象条件であれば135
日以上の冷房が可能と考えられる(次項参照)。設置した雪山を有効に活用するには、外気損失による融解に対して実際の冷熱供給の割 合を増やすことが重要であるため、自然消雪の割合が少なくなるように雪山造成後は、た だちに雪冷房を行うことが雪冷熱の有効利用に繋がると考えられる。
図 3-3 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の推移(最大冷房負荷持続パターン)
図 3-4 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の推移(最大冷房負荷持続パターン:累積)
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0
換算雪量[m3]
冷房使用雪量(m3) 外気損失等雪量(m3)
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
04月01日 05月01日 06月01日 07月01日 08月01日 09月01日
換算雪量(累積)[m3]
冷房使用雪量(m3) 外気損失等雪量(m3) 129日間
11.4
3,220
1,457
129日間図 3-5 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の推移(平年値※による推計)
図 3-6 冷房使用雪量と外気損失等雪量換算値の累積推移(平年値※による推計)
※ここでは、「平年並」の中央値(累積出現率50%)である2002年の値を用いた。これは時間別データに は平年値の公表データが無いためである。
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0
04月01日 05月01日 06月01日 07月01日 08月01日 09月01日
換算雪量[m3]
冷房使用雪量(m3/日) 外気損失(m3/日)
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
換算雪量(累積)[m3]
冷房使用雪量(m3) 外気損失(m3)
3,220
1,547
146日間11.4
146日間3-6 3.2.2
必要雪山量の精査雪山融解に係る実測とシミュレーションの比較及び分析を行う。この結果を、規模を拡 大した場合の試算に活用する。
本施設の雪山の融解は、次項図 3-8のようなモデルで想定している※1。
熱負荷は日射、夜間放射、熱貫流を考えており、精度を上げるために外気温の代わりに 相当外気温
SAT
※2を使用する。地域ごとに損失長(日射や外気によって冷熱供給に使用せず融解してしまう雪量の長さ 換算(m))を算出し、損失量(m3)を推計するには、日射及び外気温、被覆条件をパラメー タとして、1年間(8760時間)または、必要期間分の
1
時間ごとのシミュレーションを行 う必要がある。この際、斜面での日射量を必要とするため、気象庁のアメダスデータを直 接活用することはできず、斜面日射量を試算して入力値とする必要がある。なお、相当外気温は以下の式①で、融解量の計算は以下の式②で求める。
これらの式を用い毎時間の損失長
L
から融解量(m3)を求める。※1 空気調和衛生工学学会全国大会2010 「雪氷資源活用のための大規模スノーマウンド被覆材の実験と解析」
※2 日射によって表面温度が上昇することを考慮した見かけ上の外気温度
図 3-7 雪山融解シミュレーションイメージ 日射や外気によって冷熱供給 に使用せず融解してしまう雪 量
冷熱供給のために使用される 雪量
必要雪山規模
【雪山規模に寄与するパラメータ】
★DC負荷(ラック数・総消費電力)
★雪冷房期間(実験期間)
・外気温や日射量など外界条件
・スノーシート断熱性能 損失長
out o
sheet
I FsRN T
SAT = a − +
α ε
――――――――――――――――――①
( )
t M A C
T R SAT
R
melt melt snow
out
− = ∆
+ 1
――――――――――――――②
※これら定数及び変数については参考資料に示す。
図 3-8 雪山融解モデルイメージ及び基本式
雪 T snow = 0 ℃ 50mm 熱伝導抵抗 R
T out 外気温
SAT
相当外気温
RN
夜間放射 日射
R out 熱伝達抵抗
R
T
snow∆ t A
C
meltM
melt: 熱伝導抵抗[m2・K/W]
: 雪面温度[K]
: 雪面表面積[m2]
: 融解潜熱[J/g]
: 融解量[g]
: 時間[s]
R
out : 熱伝達抵抗[m2・K/W]SAT
: 相当外気温[K]α
o : 総合熱伝達率[W/m2・K]I
: 日射量[W/m2]ε
Fs
RN
: 夜間放射量[W/m2]: 放射率[-]
: 形態係数[-]
融解による損失長さL
3-8
融解シミュレーションと実際の雪体積の推移を以下に示す。
実測値と比較してシミュレーションの結果は誤差
10%程度である。この原因は、その他
の熱損失など予めシミュレーションに組み込めない変動要素などが考えられる。このため、変動要素や気象変動も考慮して、予め安全率を
1.1~1.2
として見込むものと する。なお、本シミュレーションは、前述の外気損失に実測した冷熱供給による損失も含めて 試算を行っている。
図 3-9 融解シミュレーションと実際の雪体積の推移 3,220
2,662
2,035
1,386
742 0 367
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
03月 21日 05月 10日 06月 29日 08月 18日 10月 07日
雪体積[
m 3
]
シミュレーション 雪体積
(実績値) 安全率 1.1 安全率 1.2
(1) 実証期間内の気象条件分析(年度間)
気象条件は年度によって大きく異なることが予想されるため、過去の気象状況における 実験期間の位置づけを把握する事が必要である。
被覆シートにより雨の大部分を遮断できると想定した場合、融雪には主に温度と日射量 が影響する。ここでは単年度の積算温度※1を気候的出現率※2の考え方を用いて過去
30
年間 のデータを整理する。平成
28
年の4
月~9月は、30年間で平年並み以上に積算温度(デグリデー)が高い年度 であり、雪山の環境としては、やや厳しい条件であったと言える。※1 温度のある一定値を超えた分だけをある期間にわたって合計したもの。ここでは融雪を対象としてい るため、0℃以上の温度を4月1日~9月30日まで合計したものとしている。
※2 気温、降水量等を「低い(少ない)」「平年並」「高い(多い)」の3つの階級に分け、それぞれの階級 が実際に起こる可能性の大きさを確率で表現する。3つの階級は、出現率が等分(それぞれ33%)と なるように決め、これを気候的出現率という。
※気象庁アメダス津南観測所データより作成 図 3-10 実証期間の気象条件の位置づけ
2000 2200 2400 2600 2800 3000 3200 3400 3600 3800
0% 20% 40% 60% 80% 100%
デグリデー(
4
~9
月)[ ℃
・da y]
累積出現率
2016 年度
平年並
平年以下 平年以上
3,317 3,449
3-10
表 3-1 積算温度の気候的出現率整理
区分 累積出現率 4~9月平均気温
(℃) 年度 4~9月デグリデー
(℃・day) 年度
平年以下
3.3% 16.2 1994 2970.6 1994
6.7% 16.9 1987 3030.2 1989
10.0% 16.9 1989 3087.1 1987
13.3% 17.0 1993 3119.4 1993
16.7% 17.3 1997 3165.8 1997
20.0% 17.4 1990 3192.4 1990
23.3% 17.6 1996 3216.4 1996
26.7% 17.8 1988 3257.8 1988
30.0% 18.0 1992 3301.4 1992
33.3% 18.1 1998 3317.3 1998
平年並
36.7% 18.2 2010 3334.6 2010
40.0% 18.3 2007 3343.2 2007
43.3% 18.3 2004 3353.0 2004
46.7% 18.4 1991 3360.2 1991
50.0% 18.6 2002 3407.0 2002
53.3% 18.7 2006 3419.0 2006
56.7% 18.7 2015 3428.5 2015
60.0% 18.8 2009 3436.2 2009
63.3% 18.8 2008 3442.6 2008
66.7% 18.8 2012 3449.4 2012
平年以上
70.0% 18.9 2003 3452.6 2003
73.3% 19.0 2016 3468.5 2016
76.7% 19.0 2001 3470.2 2001
80.0% 19.1 2000 3492.8 2000
83.3% 19.2 2014 3506.1 2014
86.7% 19.2 1995 3518.6 1995
90.0% 19.3 2011 3537.8 2011
93.3% 19.4 2005 3555.8 2005
96.7% 19.4 2013 3556.6 2013
100.0% 19.5 1999 3574.4 1999
日射量については、時間ごとに計測をしている観測所が限られており、ここでは、参考 として
4
月~9月の日照時間を比較する。結果を以下に示す。平成
28
年の4
月~9月は、30年間で平年並み以上に日照時間が長い年度であり、雪山の 環境としては厳しい条件であったといえる。※気象庁アメダス津南観測所データより作成 図 3-11 日照時間の気候的出現率(気象庁アメダスデータより作成 4~9月)
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0% 20% 40% 60% 80% 100%
日照時間
[h ]
累積出現率
2016 年度
平年並
平年以下 平年以上
770 875
3-12
表 3-2 日照時間の気候的出現率整理
区分 累積出現率 4~9月日照時間
(h) 年度
平年以下
3.3% 603.1 1989
6.7% 616.5 1994
10.0% 623.2 1990
13.3% 644.1 1992
16.7% 650.5 1999
20.0% 676.9 2004
23.3% 698.4 1996
26.7% 735.7 2006
30.0% 758.1 1991
33.3% 770.5 1998
平年並
36.7% 782.4 2007
40.0% 789.9 1988
43.3% 812.4 2005
46.7% 813.7 2003
50.0% 816.0 1993
53.3% 818.5 2010
56.7% 841.1 1997
60.0% 857.4 2000
63.3% 861.4 2001
66.7% 875.2 2008
平年以上
70.0% 885.7 2009
73.3% 892.8 2002
76.7% 938.0 2012
80.0% 966.7 2011
83.3% 967.3 1995
86.7% 999.1 2014
90.0% 1005.6 2015
93.3% 1048.2 2016
96.7% 1108.3 2013
100.0% 1169.8 1987
雪の収集に係る気象条件として、降雪量と最深積雪について整理した。共にかなり少な い雪量となっており、収集・貯雪には厳しい条件で、コストに影響する年度であったと言 える。
※気象庁アメダス津南観測所データより作成 図 3-12 総降雪量の気候的出現率
※気象庁アメダス津南観測所データより作成 図 3-13 最深積雪の気候的出現率(気象庁アメダス津南データより作成)
0 500 1000 1500 2000 2500
0% 20% 40% 60% 80% 100%
降雪量
[ c m]
累積出現率
平年並
平年以下 平年以上
2015 年度
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
0% 20% 40% 60% 80% 100%
最深積雪
[c m]
累積出現率
2015 年度
平年並
平年以下 平年以上
1,219 1,419
242 316
3-14
表 3-3 最深積雪と降雪合計の気候的出現率整理
区分 累積出現率 最深積雪
(h) 年度 降雪合計
(cm) 年度
平年以下
3.8% 88 2007 788 2016
7.5% 141 2016 958 2007
11.3% 158 2009 1028 1998
15.0% 193 1998 1119 1990
18.7% 218 2004 1124 2009
22.4% 229 1992 1194 1991
26.1% 233 1994 1218 2004
29.8% 241 1993 1219 1992
33.5% 242 2003 1219 2002
平年並
37.2% 267 1991 1246 1997
40.9% 269 2002 1262 1999
44.6% 272 2014 1282 1994
48.3% 281 1997 1290 2014
52.0% 291 1990 1292 2011
55.7% 291 1999 1340 2010
59.4% 307 1995 1373 2015
63.1% 309 2008 1384 2003
66.8% 316 2000 1419 1993
平年以上
70.5% 324 2010 1445 2000
74.2% 329 2001 1451 2005
77.9% 333 1996 1486 1995
81.6% 336 2011 1514 2012
85.3% 353 2015 1530 2013
89.0% 357 2012 1552 2001
92.7% 360 2013 1661 1996
96.4% 369 2005 1798 2008
100.1% 416 2006 2029 2006