• 検索結果がありません。

2. 受動歩行

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2. 受動歩行"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

受動歩行由来の無動力歩行支援機 ACSIVE

1. はじめに

 近年,ヒト歩行機能の再建に向け,

ロボット工学などの工学的観点からの ア プ ロ ー チ が 盛 ん に な っ て い る.

ヒューマノイドロボットの歩行制御技 術は,ヒト歩行のアシスト・リハビリ テーションへの応用の期待も高い.本 稿では,受動歩行由来の無動力の歩行 支援機を実用化したので,その概要を 紹介する.

2. 受動歩行

 受動歩行ロボットは,モータ,セン サおよび制御を一切用いずに,緩やか な 下 り ス ロ ー プ を 歩 く こ と が で き る(1).ロボットを支えながら,脚に位 相差を付けてスロープに解き放つと力 強く歩み出す.ロボットが手元から離 れて行くとき,本質的に「歩ける」こ とを実感する.

 受動歩行は,重力効果のみによって,

遊脚膝が自然に曲がり,脚の振り抜き が行われる.脚軌道があらかじめ決め られているわけではなく,ロボットの もつダイナミクスと環境との相互作用 のみによって歩容を生成する.した がって,動いているけれども,必ずし も動かしているわけではない.

 受動歩行は,エネルギー効率が高い ことで知られ,ヒトの歩行に近いとも 言われる.また,調子の良し悪しがあ り,不意に転倒するなどの側面を持っ ているが,見方によっては,ヒトにも 通じる歩行機構の繊細さがしっかり表 現されている.

3. 無動力歩行支援機 ACSIVE

 受動歩行ロボットに独自開発した股 関節バネ機構(関節トルク発生装置)

を搭載したことにより,膝折れやつま ずきによる転倒が大幅に低減し,2012 年 5 月,27 時間(13 万歩,72km)の 連続歩行を達成した.この股関節バネ 機構が,無動力歩行支援機に搭載され ている.

 図 1に歩行支援機 ACSIVE(アク シブ)を示す.足部はなく,大腿たい部と 下腿部(極短)から成る 2 リンクのロ ボット様式である.受動歩行ロボット

をベースにしているが,ヒトの歩ける 力を最大限引き出すために,さらにコ ア要素のみとなっている(引き算の技 術).

 2014 年 9 月,(株)今仙技術研究所 との共同研究の成果として市販化さ れ,さまざまな販売チャンネルを通じ て世に出ている(2).以下に主な特徴を 示す.①無動力・無電装,②超軽量

(500g クラス),③より安全,④低コ スト,⑤簡単装着・低装着感(腰・膝 ベルトのみ),⑥体のひねりがしやす い,⑦座位,正座,胡あ ぐ ら坐が可,⑧静粛,

⑨見せるデザイン・簡単構造,⑩持ち 運びも簡単(旅行等).

 ACSIVE は,ヒトが随意的に指令 を出す必要がなく,普段どおりに歩く だけで,振り子の動きとばねの力で脚 の動きを整える(図 2).支持脚期後 半に弾性エネルギーがばねにチャージ され(負担は感じない,過度に減速し ない),遊脚期前半にアシストに利用 される.脚が軽くなる感じで歩きやす く,歩行スピードも上がる.エネルギー を外部から投入せずともエネルギーを うまく再配分することで,自らの力で 自らを支援できる.ヒト歩行における レバレッジポイントを最小限の介入で 支援する設計思想である.

4. おわりに

 販売を開始して一般の方々から,電 話,メール,手紙を数多くいただいて おり,その反響の大きさに驚いている.

ユーザーからは,「こんな機器を待っ ていた」「私のために開発されたと思 えるほど」などの声が挙がっている.

また,全国の医療機関などで導入が進 んでおり,臨床応用における研究発表 も見られるようになってきた.なお,

受動歩行ロボットそのものへの関心も 高く,さまざまな観点でのコメントが あり,今後さらに交流を深めていく予 定である.

 シンプルな歩行支援機に出会うこと で,リハ室から病棟へ,病棟から自宅 へとシームレスにつながる.歩行支援 が身近になり,歩行が弱った方の日常 生活・旅行や,アクティブシニアの方 の歩くレジャーなどのシーンでも利用 できる.生活の中で使えるからこそ,

歩行を支援してくれる機器から,人生 そのものを支援してくれる機器へと変 わり得る可能性を秘めている.

(原稿受付 2015 年 8 月 7 日)

〔佐野明人 名古屋工業大学〕

( 1 )佐野明人・池俣吉人・藤本英雄,揺れるま●文 献 ま に 歩 く, 日 本 機 械 学 会 誌,112-1090

(2009-9),730-731.

( 2 )(株)今仙技術研究所ホームページ http://www.imasengiken.co.jp/

図1 歩行支援機 ACSIVE(片脚用)

図2 ACSIVE を装着した歩行

─ 51 ─ 日本機械学会誌 2015. 12 Vol. 118 No.1165 759

p051_17_TOPICS佐野.indd 51 2015/11/26 22:31:56

参照

関連したドキュメント

本学級の児童は,89%の児童が「外国 語活動が好きだ」と回答しており,多く

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

手動のレバーを押して津波がどのようにして起きるかを観察 することができます。シミュレーターの前には、 「地図で見る日本

・蹴り糸の高さを 40cm 以上に設定する ことで、ウリ坊 ※ やタヌキ等の中型動物

この P 1 P 2 を抵抗板の動きにより測定し、その動きをマグネットを通して指針の動きにし、流

子どもたちが自由に遊ぶことのでき るエリア。UNOICHIを通して、大人 だけでなく子どもにも宇野港の魅力

断するだけではなく︑遺言者の真意を探求すべきものであ