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改 訂 版 序

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Academic year: 2021

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改 訂 版 序

「曲線と曲面」を出版してから,約

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年の歳月が流れ,この間,多くの読 者諸氏からご指摘やご意見をいただき,おかげさまで版を重ねるごとに,本 の完成度を高めることができた.

しかし, 出版当初から, 曲面論の基本定理, 測地的曲率や曲面の臍

せい

てん

など,

紙数の都合などで,簡単な説明しかできなかった部分があったことを残念に 思っていた.また,出版後に筆者自身が授業とセミナーで使用している間 に,記述を改めたり,加筆をしたくなる箇所がいくつか見つかった.そんな わけで,この度, 「曲線と曲面」の改訂版を出版する機会が得られたことを,

大変ありがたく思っている.

改訂版の執筆にあたっては,教科書としての完成度を高めるという観点か ら,旧版の流れを損なうことなく,定義や証明,問題などに適宜,適切な改 良と加筆を行う,という方針をとった.旧版の付録にあった「可展面の展開 可能性」など削除した箇所もあるが,全体としては,記述の修正と加筆に重 きをおき,旧版よりもページ数は増加している.とくに

曲面論の基本定理とその証明,

曲面の測地的曲率,

極小曲面の具体例,

ガウス曲率が負で一定の回転面の分類,

ポアンカレ - ホップの定理と曲面の臍点に関すること などについて新たな加筆を行った.

ところで,太陽光がコップを通過してテーブルに描く模様など,ふと気づ

くと,世の中には特異点があふれている(巻末の参考文献

42

参照)

.筆者

は近年,特異点に関心を抱くようになり,本書では,曲線と曲面に現れる特

異点とその判定法について,証明抜きではあるがコラムや付録の形で紹介す

(2)

改 訂 版 序

iv

ることにした.読者の方々が,将来,特異点に遭遇したときには是非,本書 を利用していただきたい.とくに,直線に接する円を滑ることなく転がした ときの円周上の

1

点の軌跡はサイクロイドとよばれるが,これは特異点をも つ曲線の典型例である.サイクロイドは振り子時計に応用されたり,最速降 下性という特別な物理的性質をもつ.本書では,節末問題や進んだ話題とし て,このようなサイクロイドのもつ多くの重要な性質を読者に紹介すること を心がけた.

以上の改訂にもかかわらず,授業やセミナーにおける本書の使い方は,旧 版とまったくかわらない.旧版を愛用された読者は改訂版を手にしたとき,

それほど違和感はなく利用できると思う.

旧版の本の記述について,多くの読者諸氏から貴重なコメントをいただ き,今回の改訂版を作成する際に,参考にさせていただいた.また,改訂版 の作成段階で,東京工業大学卒業生の秋山友里さんと藤山俊文君には貴重な 意見をいただいた.さらに,すでに退職をされた元 裳華房編集部の細木周 治氏と,同編集部の小野達也氏,久米大郎氏にはたいへんお世話になった.

この場を借りて厚く御礼を申し上げたい.

2015

1

著 者

旧版刊行後,筆者らの授業やセミナーなどで,誤りや説明不足と思われる ところの指摘があり,印刷の機会ごとにこれらに対する修正や改善を加えて きた.このため,印刷の版によって些細な変更があることをお許し願いたい.

各版ごとの修正表は,筆者らのホームページ http://www.is.titech.ac.jp/˜umehara/

http://www.math.titech.ac.jp/˜kotaro/

で公開している.随時更新しているので,参照されたい.

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旧版 は じ め に

曲線・曲面は

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世紀に微積分が発見されて以来研究されてきた伝統ある 学問である.また,最近ではコンピュータ・グラフィクスなど,応用の面か らも曲線・曲面への関心が広がっている.一方,数学の高度化に伴って,最 近の大学の数理系学科のカリキュラムにおいては多様体論への入門として,

ごく小さな取り扱いしかなされていないことが多いようであるが,教育的立 場でいえば,曲線の曲率から曲面のガウス - ボンネの定理の紹介をする半年 の講義が望まれる.この方面については,多くの良書がすでに刊行されてい る.中でも筆者が深く尊敬している小林昭七先生の「曲線と曲面の微分幾 何」(裳華房)は筆者が学生時代から親しんできた良書である.すでにこれ だけの書物が出ているなかで私たちが敢えて筆をとることにした理由の一つ は,半年の講義を意図した教科書が今までなかったこと,もう一つは,私た ちが研究者としてこの分野にたずさわり,あらためてその伝統と,奥の深さ を知るようになって,この気持ちをぜひ読者に伝えたいと考えるようになっ たからである.

本書は,この分野の大学の半年分の講義テキスト,あるいはセミナーの教 材を意図している.本書を執筆するにあたって,登山路にたとえるなら,こ の分野の概説として読者に山並みを案内する単なるガイドの立場にとどまら ず,実際に読者が自ら歩み,足場をたしかめながら学べるような本を目指し た.

本書の第Ⅰ章と第Ⅱ章で,半年分の講義の内容として,平面曲線の曲率と

その性質,空間曲線の局所的理論,空間の曲面の局所的な理論を経て,ガウ

ス - ボンネの定理の意味を無理なく理解できるような道筋を設定している.

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旧版 はじめに

vi

それに加えて,平面曲線の大域的な性質,および曲面論に関するいくつかの 話題が含まれている.各節の末尾には本文の理解を深めるために必要な事項 を演習問題としておさめた.

講義で使われる場合には,*印を付した節をとばして使用するとちょうど 半年分の内容になるようにした.節だけでなく,歯ごたえのある問題や発展 事項にも*印がついている.セミナーのテキストや自習書として使用する場 合にも,*印の部分は興味に応じて取捨選択して読んでいただきたい.これ らを省いても,それ以外の部分を理解するのには支障がないように配慮して いる.半年間の講義のテキストとして使う場合の参考として,学習順序の一 例を目次の最後に図として示しておいた.

本書を読むための予備知識は,大学初年級の微積分および線形代数で学ぶ 内容までであり,それを越える部分については適宣解説を加えてある.願わ くば数理系の学生に限らず多くの方々に読んでいただきたい.

本書は第Ⅱ章までで完結している.しかし,曲面論はとくに奥が深く,多 様体論を学んだあとで勉強できる事柄も少なくないので,第Ⅲ章ではすでに 多様体を学んだ,あるいは勉強中の読者を対象として進んだ話題を紹介し た.この部分はいわば,本書の番外篇といったものであるから,第Ⅱ章のあ と一息いれて,縁あって読者が多様体論を学ぶことになった折りに,取り組 んでみるとよいだろう.また,本文とは別に

2

つの付録を用意している.付 録

A

では,本書を読むのに必要な微積分と線形代数の知識をまとめてある.

付録

B

では,本文より少し進んだ話題をまとめておいた.興味に応じて参 照して欲しい.

本書によって,曲線・曲面に関する読者の関心と造詣が深まれば,筆者に とって望外の幸せである.

先にも述べた小林昭七先生の「曲線と曲面の微分幾何」は,ぜひ本書とと

もに読まれることをお勧めしたい.また,長野 正 先生の「曲面の数学」(培

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旧版 はじめに

vii

風館)は,本書や上記の書物とは違った立場で書かれているが,曲面の幾何 学を知るために良い書物である.さらに,もう少し古典的な内容について は, ぜひ安達忠次先生の「微分幾何学概説」 (培風館)を参照されたい.最近,

剱持勝衛先生による「曲面論講義 ─ 平均曲率一定曲面入門」(培風館)

,お

よび西川青季先生による「幾何学」(朝倉書店)が出版された.本書で曲線 論・曲面論に興味をもたれた読者は, 本書と併せてぜひ読んでいただきたい.

本書の執筆にあたって,東北大学の浦川 肇 先生には原稿を読んでいただ き有益な助言をいただいた.また,神戸大学のウェイン・ラスマン(Wayne Rossman)氏には原稿の誤りを指摘していただいた.

広島大学卒業生の佐藤貴司君には,原稿に対して貴重な意見をいただい た.また,学生諸君には授業やセミナーなどでさまざまな意見をいただい た.最後になるが,裳華房編集部の細木周治氏にはたいへんにお世話になっ た.この場を借りて厚く御礼申し上げたい.

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4

著 者

参照

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