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オオムギ斑菓モザ イク病に関す る研究

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(1)

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オオムギ斑菓モザ イク病に関す る研究

1.

感染葉 の核 の異常 と封 入体 *

平 井 篤 造 ・日 下 部 健 ・梅 原 隆 **

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♯ 植物病理 学研 究室業績 第 2号

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・*農学部植物病理学研 究室 Os a5 7) ト

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(2)

2 近 畿 大 学 農 学 部 紀 要 5 号 (1972)

ウイルスに感染 した植物 の核 の異常 につ いては, 権藤 はアマ リリスの モザ イ ク病 で核 が紡錘形 にな るこ とを述べ た3)。 オオム ギ斑葉 モザ イ ク病 は高度 の種 子伝染 をす る特 異 なウイル ス病 であ り, その ウイル スの特質,種子伝 染の機構, オオム ギ品種 の抵抗性 な どにつ いては Inouyeの詳 細 な研 究が あ る5)。 また感染植物 の電軌 こよる組織解剖 もな され,頼粒 状 お よび結 晶状封 入体 の 存在 が暗示 され た。

著 者 らは本病 の研 究 をは じめ るにあた り,感染糞 で核 が異常 に細長 くな るこ と, お よび感染菓 内に頼粒状封 入体 (Ⅹ体 ),結 晶状封 入体 の存在 を光 顕下 で認め たの で, その大要 につ いて報告 す る。

本研 究 の一部 は文部 省科学研 究 費 (総合研 究,羅病植物 の核酸代謝 に関す る研 究 )に よって援 助 され, またオオム ギ品種 の種子 お よび接種 源 ウイル スは岡山大学農業生物研 究所井 上忠 男氏か

ら分譲 され た。 ともに記 る して厚 く感謝 の意 を表す る次 第 であ る。

Ⅰ実験 材料 および方法

A.

ウイル スおよび棲穫

催病 オオム ギ種子 (品種 - ル ビン

2

条 ) をバー ミクライ ト上 に播種 し,発芽 後 明 らか な病徴 の 出た もの を接種 源 とした。発病糞 をその重 さの

1 0

倍 量 の蒸滑水 とともに乳鉢 で磨 砕 し

, 2

枚 の ガ ーゼ で渡 し, これ に カー ボ ランダム

( 6 00

メッシュ)を加 えて

,1- 2

菓期 の オオム ギ品種 の 第

1

糞 に指 先 で磨 擦接種 した。接種 後直 ちに流水 で接種葉 を洗液 した。接種植物 はバー ミクライ トで育 成 し

,3

日に

1

回ずつ クノ ッブ液 を濯 注 したO接種 後植 物 を

2 0-2 5

℃ の 自然光 の定 温室 に入れ た。

B ・棟 の大 きさの測 定

程病性 の オオム ギ品種,- ル ピン

2

粂 お よび五 畝 四石 につ いて

, 1

葉期 の 第

1

葉 に接種 して, 第

2

葉 に病徴 が現 われ た頃 (接種 後

7 -1 0

日), あ るいは

1. 5

葉期 以後の 第

1

葉 に接種 して,第

2

薬 に病徴 が 出現せ ず第

3

葉 に病徴 が現 われ た頃 (接種 後

1 5

日程度),それ ぞれの植物 の第

1

, 第

2

, あ るいは第 3葉 につ いて核 の大 きさを測定 した。す なわ ち各葉 の裏側表皮 をは ぎと り, カル ノア 級 (

Et OH6

,クロロホルム

3

,氷酢酸 1, Ⅴ/v)で固定後,水 洗 し, ピロニ ン ・メチル緑 混液

(1

%ピロニ ン水 溶液

2 ,0. 5%

メチル緑 1, Ⅴ/v)で染色 した。

核 の大 きさを測定 した表皮細胞 は,顕微 鏡 の倍率 を

1 5 0

倍 に した とき,視 野 よ りも長 いいわゆ る 長細 胞 に限定 した。測定 は

6 00

倍 で ミクロ メー ター を使 用 し, 核 の長径 と短径 を測定 し,長径 × 短径 で核 の面積 とした。

菓 1

枚 につ いて,葉 の上 中下 各部位 か ら計

3

切 片 を と り,合計 80

-1 0 0

個 の核 の大 きさを測定 した。各品種 とも

1

実験 に

4-5

個体 を供 試 し,実験 は

2-3

回 くりか え

した。

C.

封入体 の染色

(3)

平井篤造 ・El下部健 ・梅原隆 :オオムギ咋葉モザイク病に関する研究

前 述 の ピロニ ン ・メチル緑 染色 の ほか, 次 の方 法 を用 いた。 "Luxol〟brilliant緑 (LBL, Amercn Cynm e C .ia aaid o .USA)1%i容液 4答, clo nacmie穫 2RS (CO, D pnuotde Nemours & Co.,USA)1%溶液 1客 (使 用 直前 に混合 )。 溶媒 は methylcellosolve(ェ チ

レン グ リコル モ ノ メチ ルエ ー テル) 2,95%EtOH 1, 蒸滑水 1,V/Vであ る1・4)o 新鮮切 片 を この 溶液 に直接 浸漬 し,30秒 後 と J)あげ て水 洗す る。染 りす ぎた ときは 溶媒 で洗 う。 各染 色切 片 はマ ウ ンテ ン グ液 に納 め,10×100倍 (捌 艮レ ンズ, ニ コン ApoHI)て検 鏡 した。

D.

結 晶状 封 入体 観察 の ための 温湯処 理

感染 葉 内に結 晶状封 入体 を作 りや す くす るため に,Ushiyamaに したが って温湯処 理 を した6)0 す なわ ち病徴 の 出現 した曜病性 品種 (五 畝 四石 ,- ル ビン 2条 )の葉 を切 りとって,60oCの温 湯 に 5分 間浸潰 し, の ち湿 った痛紙 を敷 い たペ トリ皿 内に 入れ て,室 温 で約 半 日放 置 した。 この薬 の表皮 をは ぎ と り,LBL-CO染色 を施 して検 鏡 したo

ⅠⅠ実 験 結 果

A.

感染 に よ る核 の 膨大

羅病 性 の オオム ギ品種,- ル ピン 2粂 お よび五 畝 四石 を使 用 して葉 の表皮 細 胞の核 の面積 を測 定 した結果 は 第 1表 の よ うであ る。

第 1表 BSMV感染オオムギ菓表皮細胞の核の面槙

種 核 面 積 ( JJ2 )栄

- ル ビ ン 2条 第 1 葉 (接 種 葉 ) 第 2 葉 (モ ザ イ ク)

染 葉 111 ± 5 (104) 164 ± 11 (122) 健 全 葉 107 ± 3 (100) 134 ± 4 (100) 五 畝 四 石 第 1 葉 (接 種 葉 ) 第 2 葉 (病 徴 な し) 感 染 菓 149 ± 10 (90) 229 ± 4 (102) 健 全 菓 155 ± 11 (100) 222 ± 11 (100) 五 畝 四 石 第 1 菓 (接 種 葉 ) 第 3 葉 (モ ザ イ ク) 感 染 葉 149 ± 2 (98) 267 ± 19 (118) 健 全 葉 153± 8 (100) 226± 6(100)

滋 各区 とt' -4 5個体 を使 用 し,1兼 あ た り糞 の 上 中下 各部位 か らそれ 4'11切片 をは ぎ と り.長 細 胞の 較総 計 400 5-00

個 の 平均 お よび標準 誤差 。 ( )内は比率 。

す なわ ち病 徴 の現 われ ない第 1葉 の接種 葉 では, どの実験 で も核 の大 きさは健 全葉 の それ と変 らない。 また 1.5薬期 以 後 に接種 して 第 2薬 に病徴 が現 われ ない ときには,第 2糞 の核 の大 き さは 健 全葉 の それ と変 らな い。 これに反 して第 2, 第 3葉 に モザ イ ク病 徴 が 出現 した ときに は, 核 の 面積 は健 全葉 の それ に比較 して 18-22%増加 した。

(4)

4 近 畿 大 学 農 学 部 紀 要 5 (1972)

次 に核 の長径 と短 径 を別 々 に測定 した結 果 は 第 2表 の よ うで あ る。 す なわ ち長径 が 11‑13%増 加す るの に対 して,短径 は 6‑ 7%増加 し, 感染薬 では核 が細長 くな る傾 向 が あ るこ とを示 した。

以上 の結 果 は くりか え しの実験 で確 かめ られ た。

第2表 BSMV感染オオムキ薬表皮細胞の核の長短径

種 長 径 (〟 ) 短 径 (〟 )

‑ ル ピ ン 2条 l 第 2 菓 (モ ザ イ ク) 同 左

感 染 兼 17.9 ± 0.6 (113) 9.1 ± 0.5 (106) 健 全 襲 15.9 ± 0.4 (100) 8.6 ± 0.2 (100) 五 畝 凶 石 第 3 薬 (モ ザ イ ク) 同 左

感 染 乗 21.0 ± 0.8 (111) 12.6 ± 0.5 (107) 健 全 棄 19.0 ± 0.4 (100) ll.8 ± 0.2 (100)

1表の注 を参 喝

B.

封 入体 の形成

曜病 性 品種五 畝 四石,抵 抗性 品種 イ ンペ リアル な どを用 い, 感染 嚢 内の封 入体 の形成 を観察 し た。 その結 果,頼 粒 状封 入体

( X

体 )か しは しぼ核 に近接 して認め られ た

。p ‑MG

染 色 では核 は緑 〜紫 色 に,頼 粒 状 封入体 は赤 色 に染 ま った。また

LBL‑CO

染 色 では前者 は桜 色 に, 後者 は オ リ ‑ ブ緑 色 に染 まったO

頼 粒 状 封 入体 の 出現 の頻 度 を測定 したO 第

1

図 に示 す よ うに,曜病 性 品種 の ほ うが抵 抗性 品種

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6 8 10 12

DAYS AFTER INOCULAT10N

1

図 隈病 性 五 畝四石 お よび抵抗 性 インペ リア ルの 第

1

葉 (接 種葉 ), 第

2

葉 (モザ イ ク出 現 菓 )に おけ る頼 粒 状 封 入体 の 出現 と接種 後 の 日数

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(5)

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平井 篤遥・日下部健 ・悔風 ;モ オ すムキー畦史モザイク病 にrlilす る研 究 5

よ り出現率 が高か った。両 品種 とも第 1葉 の接種葉 (病 徽 な し), 第 2葉 の モザ イ ク葉 ともにほ I‑同数 の頼粒 状封 入体 が認め られ た。 また罷病性 品種 では病 徴 出現後 その 出現率 が増加 したが, 抵抗性 品種 では病徴 出現 前か ら現 われ,病徴 出現 とともに出現率 の増加 は停 止 した。 なお対 照の 蒸溜水 をこす りつけ た葉 に も,頼 粒状封 入体 に類似 した物質 か 多少存在 した.

頼粒 状封 入体 は気孔孔辺 細胞内に も認め られ た。 これは切 片 を0.1%ア ク リジ ン糧 (pH8.3) で染色 し,蛍光 顕微 鏡 で観察 す る と,核 の黄色 に対 して赤 色 を呈 して明 らか であ った。

結 晶状封 入体 の存在 を確 かめ るため に, 60oC ・5分の温湯処理 と半 日の老化処理 を併 用 し,

LBL ‑ CO

染色 で検鏡 した. その結果,表皮 細胞 お よび葉緑細胞に,緑 色結 晶が検 出 され たO 無処理 感染葉 お よび健 全葉 では,結 晶」犬封 入体 はほ とん ど検 出 されなか った。

ⅠII考 察

ウイル ス感染葉 での核 の変形 はす でに権藤に よって も述べ られて いる 3), その意義 につ いて は明 らか でない

。 BSMV

は超薄切 片像 で核 内に も存在す るこ とが報告 された21。本報 で述べ た 核 が膨大 して細長 くな るこ とは,核 内での ウイルスの存在 を反映す るのか も しれ ない。 しか し核 の変形 は病徴 の 出現薬 のみ に限 られ, 第 1葉 の接種 菜 (病徴 は 出現 しないが ウイル スは増殖 す る) では 見 られなか った。

これに対 して頼粒状 封 入体 は曜病性 お よび抵抗性 品種 とも第

1

葉 の接種 葉 で も認め られ, また 抵抗性 品種 では病徴 の 出現 前にす でに現 われ た。願粒 状 お よび結 晶状封 入体 は,超薄切 片 ・電顕 像 か らもその存在 が暗示 された2)。 以上 の こ とを考 える と,頼粒状封入体 は核 の変形以前 に現 わ れ る と思 われ る。頗粒 状封 入体 の大部 分 は核 に近接 して存在す るか ら, その 出現 は核 の なん らか の代謝変動 と関連 す るに ちが いない。 しか しそれは核 の変形 をもた らすほ どの大 きな変動 でな く, 核 の形態変化 は それ以後 にお こる病徴 出現 とい う葉 内の大 きな代謝変動 と対 応す る もの であ ろ う。

結 晶状封 入体 は無処理感染葉 ではほ とん と、検 出 され なか ったが

,

温湯 ・老化処理 で出現 した。

Ushiyamaは カブ黄斑 モザ イク病 で同様の処理 に よって その存在 を電顕像 で確 かめ てい る6),

この よ うな処理 は ウイルス粒 子の結 晶化 をなん らかの原 因で促進 す る もの と思 われ るO

Ⅳ 摘 要

1.オオムギ斑繋 モザ イク病 感 染オオムギの葉の表皮細胞内の核の面もJ.

f

を測定 したC病徴 の現 われ ない 接種 または感染 東では,核 の面積 は健 全葉 の それ と変 らなか ったO モザ イ クの 出現 した葉 では核 の面積 は健 全葉 よ り約

2 0%

大 き くなったO長径 の増加 は短径 の増加 よ り大 き く,感 染 に よって核 は膨大 して細長 くな った とい える。

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(6)

近 畿 大 学 農 学 部 紀 要 5 (1972)

・感染葉 内に頼粒状 封 入体が認められた。それは核 に近接 して現 われ,病徴 の 出現 しない接種案 内に も存在 した。 また抵抗性 品種 では病徴 の 出現前か ら認め られた。

・頼 粒状封 入体 の 出現 と核 の変形の関係 につ いて考察 した。

0C o 6

・ 3 4

温湯

5

分処理 と半 日老化処理 を併 用 して, 感染菓 内に結 晶状封 入体 が現 われ た。

Ⅴ文 献

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図 版 説 明 1. 健全核 ,

2.

3.

4.

5.

6.

感染葉 の核, 1

・2 :p‑MG

染 色 頼粒状封 入体 ,‑ ル ピン

2

条接種 葉,

頼粒 状封 入体,五 畝 四石 モザ イ ク葉

, 3 ・4 :LBL‑CO

染色 結 晶状封 入体 ,五畝 四石 温湯老化処乳

結 晶状封 入体 ,剣吉

2

号温湯老化処理

,

以上 いずれ も

n

:核

, g

:頼 粒状 封 入体

, C

:結 晶状封 入体

,×3 3 0 0

i.t.) J 6

2

(7)

平 井 篤造 ・日T郎 健 ・梅 原隆 :オ オム斑 菓 モザ イク病 に 関す る研究

ll

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