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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の2の2 別紙2

論文審査の結果の要旨

氏 名 佐藤 豊

本論文は,「住宅の熱環境の実態及び自然室温による住宅熱性能評価に関する研究」と題し,

住宅の熱環境と住まい方の実態を明らかにし,自然室温を指標とする新しい住宅の熱性能評価法 を提案したものである.

住宅は,暖冷房する室や時間帯が限られていることが多く,夜間を含め暖冷房していないとき の室内環境も軽視はできない.建物の熱性能を評価する場合,一般ビルのように暖冷房エネルギ ー消費量で評価する方法は住宅に適するとは限らず,室内環境に着眼する別の評価法が望まれて いた.

本研究は,このような背景のもとに,実測調査から住宅の熱環境と住まい方の実態を明らか にし,また室内熱環境の数値計算精度を向上させるための計算法やデータを示し,その上で数値 解析を通して自然室温により住宅の熱性能を評価する方法を提案した.さらに,この評価法を仮 設住宅に適用し,地域に応じて必要となる断熱性能を示したものである.

本研究で得られた成果をまとめると次のようになる.

1) 室内熱環境の数値計算精度を向上させる計算法やデータを提案した.推定が簡単ではなか った人体の顕熱・潜熱放熱量に関して,温熱感予測に利用されてきた人体生理モデルを簡 易化して応用することにより,種々の環境・人体条件において推定できるようにした.そ のほか,オフィスの実態調査にもとづく季節別平均着衣量データの提示,実験にもとづく 杉皮断熱材の有効性確認と熱性能データの提示も行っている.

2) 戸建て住宅の冬期の熱環境と住まい方に関する実測調査を栃木県内で行った結果,建物の 断熱性能が低いにも関わらず,暖房はこたつ中心でファンヒータ類を補助的に使用する程 度のため,室温は低く厚着で対処し,居間以外はあまり暖房しないという実態が明らかに なり,寒くて当たり前ととらえて改善意識が低い傾向も確認された.

3) 省エネ行動と住宅エネルギー消費量に関する調査から,省エネ行動に対する意識が高いほ どエネルギー消費量が少ない傾向が認められるものの,省エネ技術を導入した住宅の居住 者が省エネ行動に積極的とは限らないことも明らかになった.

4) 住宅の熱性能評価法として,暖冷房を全く行わないときの自然室温を数値計算から推定し,

自然室温が許容域に入る時間率で評価する方法を提案した.建物の断熱気密性と日射取得 性を高めて冬期の自然室温を上昇させ,夏期には住まい方による調整として通風,可動日 除けを利用して自然室温上昇を抑えることにより,自然室温の許容時間率を満たす住宅例 を,国内代表都市について求めて提示した.

5) 宮城県,栃木県の仮設住宅の熱環境の実測調査から,断熱性と蓄熱性の不足から熱環境が 悪化しがちで結露や放射環境上の問題もあることがわかった.自然室温の計算値と実測値

(2)

の照合を行ったうえで,数値解析を通して自然室温による仮設住宅の熱性能評価を行った 結果,長期利用を考慮すると,寒冷地は次世代省エネ基準,その他の地域は震災後に国交 省から示された仮設住宅仕様の断熱性を満たす必要があるといえる.

以上のように,本研究は,住宅の熱環境の実態を明らかにしたうえで,新しい熱性能評価法を 提案したものであり,その学術的意義は高く,実用性にも富むものと評価される.

本論文については,2014年2月5日に本学アカデミアホールにおいて,審査委員全員および学内 外のこの分野の研究者,実務者等の出席のもとに公聴会が開催され,研究内容に関する発表と質 疑応答が行われた.公聴会の後に審査委員による学位審査委員会が開催され本論文の内容を詳細 に検討した.その結果,本研究により,住宅の熱環境の実態および建物の熱性能評価法に関する 新しい知見が得られたことが認められ,本論文は工学的に価値が高く,研究内容の学術レベル,

研究としての独創性・実用性において優れたものと判断した.

よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める.

参照

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