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耳 展38: 経 宮 2 過(図3):外 澤 哲 夫,他 来 に て鼻 内 よ り嚢 胞 を開 放 施 行 した 術 中所 見 と して は,左 前 頭 洞 後 壁 に した に もか か わ らず,眼 瞼 の腫 脹 と頭 痛 は軽 減 広 範 な骨 欠 損 を認 め,脳 硬 膜 が 露 出 し,洞

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耳 展38: 2; 197∼203, 1995

鼻性 頭蓋 内合併 症 の2症 例

宮 澤 哲 夫

飯野 ゆ き子

矢部 多加夫

鈴 木 雅 一 症 例1は,43歳 男 性,前 頭 洞 嚢胞 に硬膜 外膿 瘍 を合併 した 。本 症例 には,化 学療 法 に加 えて, 鼻外 的前 頭洞 開放 術が 行 われた 。症 例2は14歳 男性,急 性 副鼻腔 炎 に脳膿 瘍 を合併 した 。膿 瘍 は,外 科 的 な ドレナー ジ をつ ける こ とな く化学 療法 の みで治癒 した。2症例 は ともに治 療 に成功 して いる。抗 生物 質 の発達 は,鼻 性頭 蓋 内合併 症 の発生 を減 少 させた 。 しか し,鼻 性 頭蓋 内合 併症 はい まだ皆無 で はな い。注意 深 い観察 と迅 速 な診断,そ して早 期治 療が 非常 に重 要で あ る。 は じめ に 鼻 副 鼻 腔 病 変 に頭 蓋 内 合 併 症 を生 じ る こ とは 以 前 よ り よ く知 られ て い る こ とで あ るが,今 日 の 抗 生 物 質 の め ざ ま しい 進 歩 に よ りそ の 発 生 頻 度 は著 し く減 少 し,軽 視 され が ち な の が 現 状 で あ る。 しか し,鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の 発 症 は皆 無 で は な い た め,鼻 副 鼻 腔 病 変 を診 療 す る に あ た り常 に そ の 可 能 性 を念 頭 に置 く必 要 が あ る。 今 回 わ れ わ れ は鼻 性 頭 蓋 内合 併 症 の2症 例 を 経 験 した の で,若 干 の 文 献 的 考 察 を加 え て報 告 す る。 症 例 症 例1:43歳,男 性 主 訴:左 前 頭 部 痛,左 眼 瞼 腫 脹,左 眼 球 突 出。 既 往 歴:1979年,左 前 頭 洞 嚢 胞 の 診 断 で キ リ ア ン氏 術 施 行 。 家 族 歴:特 記 す る こ とな し 現 病 歴:1993年1月 は じ め よ り,左 前 頭 部 痛,眼 瞼 腫 脹 お よ び眼 球 突 出 が 出 現 し,他 院 を 受 診。1月25日,精 査 目 的 にて 当 科 に紹 介 とな った 。 症 状 な らび にX線 所 見 か ら左 前 頭 洞 嚢 胞 と診 断 し,外 来 に て鼻 内 よ り中 鼻 道 経 由 で 嚢 胞 を開 放 した と こ ろ,大 量 の膿 汁 を認 め 眼球 突 出 は ほ ぼ消 退 した 。 左 頬 部 の 腫 脹 はや や軽 減 し た もの の,前 頭 部 痛 が 高 度 で 発 熱 も持 続 し た た め, 1月29日 当 科 入 院 とな った 。 入 院 時 所 見:体 温36.5℃ 。 白血 球8,800(分 画 は分 葉 核 球72%,秤 状 核 球4%,リ ン パ 球 8%,単 球6%),血 沈1時 間値53mm/hrと 細 菌 感 染 の所 見 を呈 す る も,反 復 し て行 った 嚢 胞 内 膿 汁 か らの細 菌 培 養 は 陰 性 で あ っ た。 鼻 内 所 見 で は 中鼻 道 は開 い て お り,わ ず か に膿 性 鼻 汁 の 流 出 が み られ た 。 また左 上 眼 瞼 の腫 脹 と眼 球 突 出 を認 め た が 視 力 障 害,視 野 欠 損,眼 球 運 動 障 害,複 視 な ど の視 器 障 害 は認 め られ な か っ た。 副 鼻 腔CTで は,左 前 頭 洞 全 体 に嚢 胞 様 陰 影 を 認 め,前 頭 洞 後 壁 の骨 を圧 迫 し,一 部 破 壊 して い る像 が 観 察 さ れ た(図1)。MRIのT1強 調 画 像(造 影 剤 使 用 下)で は,左 前 頭 洞 に高 度 に 強 調 さ れ る嚢 胞 様 陰 影 と,左 前 頭 葉 お よ び左 側 頭 葉 の硬 膜 外 に リン グ状 に増 強 さ れ る 占拠 病 変 を 認 め た(図2)。 帝 京 大 学 医 学 部 耳 鼻 咽 喉 科 学 講 座 (主任:鈴 木 淳 一 教 授) 別 刷 請 求 先:宮 澤 哲 夫 〒173板 橋 区 加 賀2-11-1 帝 京 大 学 医 学 部 耳 鼻 咽 喉 科 学 教 室 03-3964-1211(内 線1500)

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経 過(図3):外 来 に て鼻 内 よ り嚢 胞 を開 放 した に もか か わ らず,眼 瞼 の腫 脹 と頭 痛 は軽 減 を み な か っ た。 また,画 像 診 断 にて 硬 膜 外 膿 瘍 の 合併 が 明 らか とな っ た た め 当 院脳 神 経 外 科 と と も に治 療 方 針 を検 討 し た。 そ の 結 果,硬 膜 ま で 炎症 の波 及 が 見 られ な い た め,鼻 外 か ら前頭 洞 の 嚢 胞 を 開放 し鼻 腔 内 に大 き く ドレ ナ ー ジ を つ け,強 力 な化 学療 法 を行 う との 方 針 を た て, 2月10日 全 身 麻 酔 下 に 鼻 外 か ら前 頭 洞 手 術 を 図1症 例1入 院時 頭部CT像 施 行 した 。 術 中所 見 と して は,左 前 頭 洞 後 壁 に 広 範 な骨 欠 損 を認 め,脳 硬 膜 が 露 出 し,洞 内 お よ び脳 硬 膜 表 面 は,炎 症 の強 い 肉 芽 で 被 わ れ て い た 。 洞 内 を十 分 に 洗 浄 し,中 鼻 道 か ら洞 内 に ド レー ン を挿 入 し手 術 を終 了 した 。 手 術 翌 日 よ り眼 瞼 の 腫 脹 お よ び頭 痛 は 改 善 し退 院 と な っ 図2症 例12月6日 の 頭 部MRI像 図3症 例1の 臨床経 過

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鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 耳 展 38: 2 た 。 退 院 後1年 間 に わ た り経 過 観 察 を続 け て い るが,再 発 を認 めず 現 在 は外 来 に て 経 過 観 察 中 で あ る。 症 例2:14歳,男 性 主 訴:左 眼 瞼 腫 脹 現 病 歴:1993年4月5日,41.5℃ の 発 熱 お よ び 左 眼 球 突 出 が 出 現 し,某 院 耳 鼻 科 受 診,4月8 日当 科 に紹 介 され た。 副 鼻 腔X線 所 見 よ り急 性 副 鼻 腔 炎 に よ る眼 窩蜂 窩織 炎 の診 断 に て同 日緊 急 入 院 とな った 。 入 院 時 所 見:体 温37.2℃,白 血 球12,500(分 画 は 分 葉 核 球73%,粁 状 核 球2%,リ ンパ 球 !3%,単 球2%),血 沈1時 間 値57mm,CRP !4.7mg/mlで あ っ た 。また,局 所 所 見 で は,鼻 鏡 所 見 に て 左 中 鼻 道 に中 等 度 に滲 出 す る鼻 汁 お よ び下 鼻 甲介 の著 明 な 腫 脹 を認 め た が,耳,咽 喉 頭 に は 異 常 所 見 を認 め な か っ た 。 左 眼 瞼 に著 明 な腫 脹 が み られ,右 方 視 に て複 視 を認 め る も 視 力 障害,視 野 欠 損 は認 め られ な か っ た。 副鼻 腔CTで は,左 鼻 根部 か ら眼 窩 に か け て の 腫脹 お よ び左 前 後 篩 骨 洞 に陰 影 が認 め られ た が,骨 の欠 損 等 は認 め られ な か っ た(図4)。 経 過(図5):入 院 後 た だ ち に ク リ ンダ マ イ シ ン,セ ブ メ タ ゾー ル に よ る強 力 な化 学 療 法 と 副 腎 皮 質 ホ ル モ ンの 投 与 を行 った 。 さ ら に4月 12日,左 鼻 根 部 か ら頬 部 に か け ての 腫 脹 部 位 を 穿 刺 した と こ ろ22mlの 膿 汁 が 吸 引 され た 。膿 汁 か らは,菌 は検 出 さ れ な か っ た。 そ の 後,左 図4 症例2入 院 時 の副鼻 腔CT像 図5 症例2の 臨床経 過

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A)正 面 像 B)側 面 像 図6 症例2痙 攣発 作 出現後 の頭部MRI像 眼 窩 部 の 腫 脹 お よび複 視 は著 明 に改 善 した が, 4月17日 突 然,強 直 間 代 痙 攣 発 作 が 出 現 した。 た だ ち に施 行 され たCTに て,左 前 頭 葉 硬 膜 下 に膿 瘍 を認 めた 。 また,ガ ド リニ ウム にて 造 影 したMRIT1強 彫 像 で は,左 鼻 根 部 か ら頬 部 に か け て の膿 瘍 は消 退 した もの の 左 前 頭 葉 に リ ン グ 状 に増 強 され る脳 膿 瘍 の 存 在 を確 認 した(図 6)。 た だ ち に血 液,髄 液,中 鼻 道 の 細 菌 培 養 を 施 行 したが 起 因 菌 は 同定 で き な か っ た 。膿 瘍 は, 引 き続 き行 っ た セ フ ト リア キ ソ ンナ ト リウ ム, リフ ァ ン ピ シ ン に よる 強 力 な化 学 療 法 に反 応 し 退 縮 を認 め,そ の 後6月2日 退 院 とな っ た。 現 在 も外 来 に て 経 過 観 察 中 で あ るが,1994年9月 19日 のMRI所 見 で は,副 鼻 腔,脳 と も異 常 所 見 を認 め て い な い 。 考 察 わ が 国 に お け る鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の 報 告 は明 治41年 に始 ま り1),平 成4年 まで に282例 を数 え る。 ま た,わ れ わ れ が渉 猟 し得 た だ けで も過 去11年 間 にお け る報 告 は15例 あ り,未 だ に皆 無 で は な い2)。 鼻性 頭 蓋 内合 併 症 の 種 類 お よ び発 症 頻 度 は, 由 井 らに よ る3)明治44年 か ら昭 和55年 ま で の 統 計 で は,髄 膜 炎 が246例 中184例 と も っ と も 多 く,以 下 脳 膿 瘍16例,髄 膜 炎+脳 膿 瘍10例, 脳 脊 髄 鼻 漏 お よ び 硬 膜 下 膿 瘍 が それ ぞれ8例 と な っ て い る。 一 方,今 回わ れ わ れ が 検 索 した 過 去11年 間 の15症 例 に お い て,原 発 病 巣 は,急 性 副 鼻 腔 炎6例,慢 性 副 鼻 腔 炎3例,副 鼻腔 膿 瘍6例 で あ っ た。 また頭 蓋 内 病 変 は,脳 膿 瘍(硬 膜 下 膿 瘍 を含 む)!0例,硬 膜 外 膿 瘍3例,化 膿 性 髄 膜 炎2例 とな っ て お り(表1),硬 膜 外 合 併 症 は全 体 の20%を 占 め て い る。今 回,わ れ わ れ が 経 験 した 症 例1も 硬 膜 外 膿 瘍 を 合 併 して お り,近 年 鼻 性 頭 蓋 内合 併 症 の疾 病 構 造 が 変 化 し て い る こ とが 示 唆 さ れ る。 ま た注 意 す べ き こ と は,過 去11年 間 に報 告 さ れ た15例 中3例 お よ び,今 回 わ れ わ れが 報 告 した 症 例2に も眼 窩 蜂 窩 織 炎 の合 併 を み て い る こ とで あ る 。 従 っ て鼻 性 眼 窩 蜂 窩 織 炎 の際 は,頭 蓋 内 へ の 炎症 波 及 の 可 能 性 を念 頭 に お き な が らの 治 療 が 必 要 で あ る と考 え る。 外 鼻,固 有 鼻 腔,副 鼻 腔 か ら頭 蓋 内 へ の 感 染

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鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 耳 展 38: 2 表1鼻 性頭 蓋 内合併症 報告 例 経 路 は,馬 場 ら4)の報 告 に よれ ば 次 の3経 路 が あ げ られ る 。 1)脈 管 系 を介 す る もの,す な わ ち 静 脈 系 ま た は リンパ 管 系 の 経 路 を経 て 起 炎 菌 が頭 蓋 内 に 至 って 発 症 す る もの。 2)骨 欠 損,骨 病 変 に 由 来 す る もの,す なわ ち 先 天 性 あ る い は老 人 性 萎 縮 に よ る骨 欠 損 や 裂 隙,炎 症,手 術 操 作,外 傷 な ど に よ る頭 蓋 骨 相 当 部 洞 壁 の壊 死,損 傷,穿 孔 部 を通 じて頭 蓋 内 に感 染 を生 ず る もの 。 3)隣 接 器 官 を介 す る もの,す なわ ち鼻 副 鼻 腔 の 炎 症 が 眼 窩,翼 口蓋 窩 の 軟 部 組 織 に波 及 し,

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さ ら に そ れ を介 し て 頭 蓋 内 感 染 を惹 起 す る も の 。 今 回 の症 例1は,前 頭 洞 の 膿 嚢 胞 に起 因 す る 硬 膜 下 膿 瘍 で あ る が,岩 橋 ら`)によれ ぼ,前 頭 洞 の 嚢 胞 は 前頭 洞 口 の閉 鎖 に よ っ て生 じ る もの で あ り,頭 部 外傷 や 外 科 手 術 は前 頭 洞 口 閉 鎖 の 原 因 に な り う る と して い る。本 例 も1979年 に キ リ ア ン法 に よ る手 術 を施 行 した 既 往 が あ る。 これ が 前 頭 洞 口 閉 鎖 を引 き起 こ し,嚢 胞 形 成 の 原 因 にな った と考 え られ る。 本 症 例 に お け る炎 症 波 及 の 経 路 と して考 え ら れ るの は,手 術 後 生 じ た嚢 胞 の 増 大 に よ る圧 迫 の た め前 頭 洞 後 壁 の 骨 破 壊 が 生 じ,露 出 した 硬 膜 に感 染 が 生 じた た め に発 症 した 可 能 性 と洞 粘 膜 の 炎 症 が 硬 膜 と前 頭 洞 粘 膜 との 問 を 自 由 に 交 通 す る板 間 静 脈 の 穿 通 枝6)を介 し て波 及 し た 可 能 性 の 二 通 りが 考 え られ る。 また 由 井 ら3)によれ ば篩 骨 洞 は,蝶 形 洞 天 蓋, 節 板 周 囲,前 篩 骨 神 経 孔 と と もに硬 膜 と洞 粘 膜 が 直 接 交 通 し て お り,何 らか の原 因 で 中 鼻 道, 上 鼻 道 が 閉 鎖 した場 合,こ れ らの骨 間 隙,孔 を 通 過 し副 鼻 腔 の 炎 症 が硬 膜 に直 接 波 及 す る とさ れ て お り,症 例2は これ に該 当 す る と考 え られ る。 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の原 因 とな る急 性 副 鼻 腔 炎 の 起 炎 菌 と し て はSlreptococcus pueumo-niae, Hemophilis influenzae, Staphylococcus aureus, Branhamella catarrhalis が 重 視 され て い る14)。しか し近 年 の報 告 で は表1に 示 す ご と く鼻 性 頭 蓋 内合 併 症 の 起 炎 菌 は多 岐 に わ た り, また嫌 気 性 菌 も検 出 され て い る。 これ らは必 ず し も中 鼻 道 か ら検 出 され て い る菌 が 起 炎 菌 で あ る こ と を意 味 しな い 。 よ っ て使 用 す る抗 生 物 質 もか な り慎 重 に選 択 す る必 要 が あ る と思 わ れ る。 す な わ ち,病 巣 の ドレ ナ ー ジ に よ り起 炎 菌 が 同定 で き る場 合 は そ の 検 出 菌 に感 受 性 の あ る 抗 生 剤 を投 与 す る の が 基 本 で あ る。 しか し起 炎 菌 の 同定 が 困 難 な場 合 は,広 い抗 菌 ス ペ ク トラ ム を有 し,か つ 頭 蓋 内 へ の 移 行 の良 好 な 抗 生 剤 を使 用 す るの が 望 ま しい 。 わ れ わ れ は そ の 意 味 で,セ フ ェ ム 系,ア ミノ グ リコ シ ド系薬 剤 に加 え,頭 蓋 内移 行 性 の きわ め て 高 い リ フ ァ ン ピシ ン を使 用 し,有 効 な臨 床 結 果 を得 る こ とが で き た 。 我 々 の集 め た 過 去11年 間 の 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の 報 告2,7∼13)では,い ず れ も初 期 症 状 は発 熱, 咳 漱 な どの感 冒様 症 状 で あ る。 しか しな が ら, 症 状 自覚 か ら頭 蓋 内 合 併 症 の 確 定 診 断 に 至 る ま で の期 間 は,平 均13日,も っ と も短 い もの で は 3日 間8)であ っ た 。 また,山 田 ら9)の報 告 で は頭 部CT施 行 時 に頭 蓋 内 に異 常 を認 め な か っ た に もか か わ らず,そ の 翌 日 に は ケ ー ニ ッ ヒ兆 候 が 出現 し,4日 後 再 度 施 行 した 頭 部CTで,脳 膿 瘍 が 発 見 され て い る。 今 回 の我 々 の 報 告 で も,症 状 自覚 か ら頭 蓋 内合 併 症 の確 定 診 断 に至 る まで の 期 間 は,症 例1で は約30日 と比 較 的 緩 徐 に 進 行 して い るが,症 例2で は12日 間 と急 速 で あ り,し か も こ の間,眼 窩 蜂 窩 織 炎 お よ び副 鼻 腔 炎 は治 療 に反 応 し,見 か け上 病 状 は軽 快 して い た 。 以 上 の こ とか ら,急 性 鼻 副 鼻 腔 疾 患 で は, 早 期 か ら厳 重 な 化 学 療 法 を行 い,わ ず か で も頭 痛 や 神 経 症 状 等 の 異 常 が認 め られ た場 合 に は た だ ち に頭 部CTを 施 行 し,た とえ そ の 所 見 に異 常 が な くて も症 状 が 軽 快 しな い場 合 に は適 宜, 再 度 頭 部CTを 行 う こ とが 望 ま し い。 また,過 去 の報 告 お よび今 回 の 症 例 よ り,鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 を発 症 した症 例 で は,次 の よ う な臨 床 的 特 徴 が 認 め られ る。1.副 鼻 腔 手 術 の 既 往 。2.頭 部 外 傷 の既 往 。3.眼 窩蜂 窩 織 炎 。4.頑 固 な頭 痛 。5.2日 以 上 続 く発 熱 。6.悪 心 嘔 吐 。 急 性 鼻 副 鼻 腔 疾 患 の 患 者 に お い て,こ れ らの 症 状 を認 め た 場 合 に は,頭 蓋 内合 併 症 の可 能 性 を考 え,診 療 に あ た る必 要 が あ る と考 え る 。 ま と め 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の2症 例 を報 告 した 。 症 例1は キ リア ン氏 術 施 行14年 後 に発 症 し た 前 頭 洞 嚢 胞 に硬 膜 外 膿 瘍 を合 併 した も の で あ り,強 力 な化 学 療 法 と外 科 的 な 嚢 胞 開放 に よ り 治 癒 した 。

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鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 耳 展 38: 2 症 例2は 急 性 節 骨 洞 炎 に 眼 窩 蜂 窩 織 炎 お よ び 脳 膿 瘍 を合 併 した もの で あ り,強 力 な化 学 療 法 に よ り非 手 術 的 に 治 癒 せ しめ た 。 なお,本 論 文 の要 旨は第99回 日本 耳 鼻咽 喉 科学 会東 京地 方部 会 にお いて発 表 した。 引 用 文 献 1) 稲 村 兵 助: 鼻 性 化 膿 性 髄 膜 炎 の1治 験 即例.東 北 医 誌25: 81, 1939. 2) 三 浦 巧, 持 田 晃, 本 杉 英 昭, 他:最 近 経 験 した 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の4症 例. 耳 鼻 臨 床 86: 971∼978, 1993. 3) 由井 誠 一 郎, 福 喜 多 啓 三, 福 家 博 史: 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の1例. 耳 鼻 臨 床74: 1312∼ 1320, 1981. 4) 馬 場 駿 吉: 視 神 経 炎, 翼 口蓋 窩, 頭 蓋 内 合 併 症 (鼻). 耳 喉52: 747∼750, 1980. 5) 岩 橋 大 介, 浜 田 実, 榎 本 多 津 即子, 他: 巨 大 な 前 頭 洞 嚢 胞 の1例. 和 歌 山 医 学36: 87∼ 90, 1985.

6) Thomas JN, Nel JR: Acute spreading osteomyelitis of the skull complicating fron-tal sinusitis. J Laryngol Otol 91: 55•`62,

1977. 7) 稲 木 匠 子, 丘 村 煕, 暁 清 文, 他: 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の3症 例. 耳 喉56: 331∼336, 1984. 8) 和 久 田 幸 之 助, 兵 行 和, 松 永 喬: 鼻 性 脳 膿 瘍 の2症 例. 耳 展30: 323∼329, 1987. 9) 山 田 勝 士, 加 我 君 孝: 鼻 内 所 見 の 乏 し い 鼻 性 頭 蓋 内 合 併 症 の2例. 耳 喉 頭 頸61: 313∼ 319, 1989. 10) 伊 従 秀 章, 樋 口 薫, 林 良 寛, 他: 硬 膜 下 ・副 鼻 腔 膿 瘍 の1例. 小 児 科 臨 床44: 2487 ∼2492 , 1991. 11) 澤 本 好 克, 山 本 和 邦, 奥 香 世, 他: 副 鼻 腔 炎 に続 発 した 硬 膜 外 膿 瘍 の1例. 小 児 科 臨 床 44: 1499∼1503, 1991. 12) 宮 下 弘, 大 川 靖 弘, 丸 地 孝 昌: 保 存 的 療 法 で 治 癒 した 鼻 性 硬 膜 外 膿 瘍 の 一 例. 耳 鼻 臨 床 補60: 103∼109, 1992. 13) 金 澤 丈 治, 楠 見 彰, 知 念 信 雄, 他: 慢 性 副 鼻 腔 炎 に 合 併 し た 硬 膜 下 膿 瘍 例. 耳 鼻 臨 床 87: 651∼658, 1994. 14) 伊 藤 博 隆, 馬 場 駿 吉: 耳 鼻 咽 喉 科 領 域 感 染 症 1) 起 炎 菌 の 変 貌. 化 学 療 法 の 領 域9: 35∼39, 1993. Summary

Two CASES OF RHINOGENIC INTRACRANIAL COMPLICATIONS Tetsuo Miyazawa, MD Yukiko Eno, MD Takao Yabe, MD Masakazu Suzuki, MD Department of Otolaryngology, Teikyo University School of Medicine Patient 1 was a 43-year-old male with epidural abscess due to frontal pyocele. He underwent extranasal frontal surgery in addition to adminis-tration of antibiotics. Patient 2 was a 14-year-old male with brain abscess due to acute sinusitis. The abscess disappeared by antibiotic treatment without surgical drainage. Both patients were treated successfully. Although the development of antibiotic therapy has reduced the incidence of rhinogenic intracranial complications, rhinogenic intracranial complications are still present. Careful observations, a prompt diagnosis and an adequate treatment are necessary.

Key words: rhinogenic intracranial complica-tions, epidural abscess, brain abs-cess

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