• 検索結果がありません。

Grönblad-Strandberg症候群 精神科に入院中大量胃出血を来した例について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Grönblad-Strandberg症候群 精神科に入院中大量胃出血を来した例について"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Gronblad-Strandberg症 候 群 ― 精 神 科 に 入 院 中 大 量 胃 出 血 を 来 し た 例 に つ い て ― 九州大学 医学部第一外科教室(主 任:三 宅 博 教授) 講 師 永 光 慎 吾 緒 言 Gronblad-Strandberg症 候 群 は皮 膚 疾 患 で あ るPseudoxanthoma elasticum(弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色腫)と 眼 底 疾 患 で あ るStria angio-idea retinae(網 膜 色 素線 条)と が合 併 せ る疾病 に対 して 名付 け られ た症 候 群 名2)6)であ るが,そ の本 態 は 先 天性 素 因 に よ つ て全 身 の弾 力線 維 の 変 性 を来 す 系 統 疾 患 で あ ろ う と考 え ら れ て い る.た だそ の症 候 が皮 膚 と眼 底 に出 現 す る場 合 が 多 い こ との 為 に本 症 候 群 に関 す る報 告 は 皮膚 科 及 び 眼 科 の領 域 に於 け る もの が殆 ん どで あ つ て,内 科 ・外 科 方面 か らの報 告 は き わ めて 稀 で あ る。 しか し,本 症 候 群 の もつ と も不 幸 な症候 の一 つ は内臓 出 血殊 に 胃腸 管 の大 量 出 血 で あ る。 著 者 は精 神 科 に入 院 中大 量 胃 出 血 を繰 返 え し た 患 者 の救 急手 術 を行 い,切 除 胃の 組織 検 査 の 結 果,こ の 出 血 がGronblad-Strandberg症 候 群 に よ る出 血 で あ る こ とを知 り得 た 例 を経 験 し た. 本 症 候 群 に関 す る認 識 が本 邦 内科 ・外 科 方 面 に 於 い て は少 い の で は ない か と考 え ら れ る の で,ま ず本 症 候 群 の 各 症候 につ い て簡 単 に記 載 したい。 Pseudoxanthoma elasticum 22) (弾力 線 維 性 仮性 黄色 腫) 本 疾 患 は1884年Balzerに よ つ て黄 色腫 に 似 た皮 膚 疾 患 と し て記 載 さ れ,後 にDarier (1896)に よつ て命 名 され た もの で あ る。 頚部,頭 部,腋 窩,鼠 蹊 部,下 腹 部,上 腕 ・ 上 腿 の上 内側,肘 ・膝 の 屈側 に左 右 対 称 的 に黄 色 の栗 粒 大 乃 至 米 粒 大 の小 丘疹 が多 数 群 生 し, 該 領 域 の皮 膚 は弾 力 性 を失 い,萎 縮 性 で 灰褐 色 を 呈 し,恰 も"し み"の よ うに見 え る。 慢性 の 経 過 を と り,美 容 上 の苦 痛 とな る他 は特 に障 碍 は ない.背 部,四 肢 の 伸側 部 に及 ぶ こ とは稀 で あ る。 組 織 学 的 に は表 皮 には著 変 な く,皮 膚 の 中層 か ら深 部 の弾 力 線 維 に異常 を認 め る、 す な わ ち,弾 力 線 維 が増 殖,膨 大,断 裂,不 整 とな り, 塊状 或 は顆 粒 状 とな り,文 は捲 き上 つ て 羊 毛 の 如 くちぢ れ て い る。 該 部 に石 灰 沈 著 をみ る こ と が 多 い.普 通 病 変 が 好転 す る こ とは ない と され て い る. 発 病年 令 は患 者 の訴 えに よ る も の であ るの で 信 頼度 に疑 問 が あ るわ け で あ る が,初 診年 令 は 21∼30才 が 最 も多 く,31∼40才,11∼20才 が これ に次 い でい る。 この こ とは本 症 の発 生 原 因 に関 して,弾 力線 維 に変 性 を起 し易 い 先天 性 素. 因 が 思春 期 前 後 にお い て 各種 身 体 機 能 の変 調 と 共 に発 現 す る の で あ ろ うとい うGronbladの 説 を首 肯 せ しめ る も のが あ る。 本 症 の遺 伝 的 関 係 につ い て は一 般 に劣勢 遺 伝 す る もの と考 え られ てい る。 長 堀 の集 めた115 例 中21例 に 同胞 及 び家 族 に 同様 の罹 患 を見, 血 族 結 婚 は14例 で あ る。 性 別 で は女 性 が 男性 の1.5倍 で あ る が,こ れ は 美容 上 の苦 痛 の感 じ 方 の差 も含 まれ て い るか も知 れ ない。 本 症 と 網 膜 色 素線 条 と の併 発 例 は1929年 Gronbladが 第1例 を報 告 した の を もつ て 嚆矢 とす る6).本 邦 では 村 田及 び石 川16)に よつ て始 め て報 告 され た が,以 来 本 邦 に於 い て 報告 され た弾 力線 維性 仮 性 黄 色腫96例 中併 存 を認 め た も の は63例(67%)に 上 り,眼 底 所 見 正 常 と記 され た もの は16例(25%)で あ る22)。

Stria angioidea retinae12)20) (網膜 色 素 線 条)

本 症 は1889年Doyneに よ つ て始 め て記 載 され,Plange(1891)に よつ て全 く独 立 的 に第

(2)

2例 が報 告 され た眼 底 疾 患 であ る。 乳頭 を繞 つ て,又 乳 頭 周 囲 か ら赤 道 へ 向 つ て 放 線 状 の恰 度 ひび われ 様 のジ グザ グ した線 条 を み る。 線 条 は赤 道 を越 え る こ とは な い と され て い る。Verhoeffの1例 を除 い て は す べ て両 側 眼 底 に認 め られ る12)。但 し左 右 の眼 底 が 同 一所 見 で ない 場合 もあ る。 線 条 の色 調 は欧米 人 で は 赤褐 ∼褐 色 が多 い12)とされ てい るが,日 本 人 で は黒 褐 色 ∼ 黒色 が多 い20)。又 線 条 と共 に眼 底 に 黄 褐 色 色 素斑 が恰 も"ひ とで"様 模 様 に認 め ら れ た り,或 は び ま ん状 の顆 粒 状 色 素 変 化 を伴 う こ とが あ る. 発 生 機 序 とし ては,Doyneは 網 膜 の色 素 上 皮 の破 裂 に よ る も の で あ ろ うと考 えて い た。 Plange,Knapp,Holden,de Schweinizら は 網 膜 出血 の繰 返 え しに よ る二 次 的 変化 で あ る と 云 い,Lister,Pagenstecher,Xentmeyerら は新 生 した血 管 壁 に色 素 が 増 殖 した もの で あ る と した.其 後,Kofler(1917)は 網膜 の病 変 で は な くて,脈 絡 膜 のBruch氏 膜 の弾 力 線 維 の 断 裂 に よ る も ので あ る と説 明 した.Kofler説 は其 後HagedoornとBockに よつ て 臨床 的 並 に病 理 解 剖 学 的 に確 認 され,今 日で はBruch 氏 膜 の断 裂 が網 膜 色 素 線 条 の主 因 で,こ れ に脈 絡 脈 の血 管 の変 性 に よ る血 行 障 碍 或 は出 血 に よ つ て修 飾 が行 われ る もの と考 え られ て い る12). 最 近 清 水 恥 は線 条 は欠 如 す る が恰 も梨 子 の地 肌 の如 き外 観 を呈 す る眼 底 所 見 が,弾 力線 維性 仮 性 黄 色 腫 と密 接 な関 係 に あ る こ とに注 目 し, この よ うな眼 底 変 化 に梨 子 地 眼 底 な る名 称 を与 えて い る。 網膜 色 素線 条 の初 診 時 年 令 に関 してScholzの 欧米 人 統 計 で は40才 台 に もつ と も多 い が12), 清水 の本 邦 人 統 計 で は20才 台 が も つ と も多 く20),民 族 的 に大 き な差 異 が み とめ られ る。 本 症 も原 則 的 に劣 勢 遺伝 す る もの と考 え られ てい る17). 本 症 に弾 力 線 維 性 仮性 黄色 腫 を伴 つた もの は Scholz12)に よれ ば59%で,伴 わ ない もの は 13%で あ る。18%は 明確 な記 載 が な され て い な い。 性 別 との関 係 は 清水20)によれ ば両 症 を合 併 す る もの は 男:女=38:37で 略 く同数 で あ る が,網 膜 色 素線 条 の み あ つ て弾 力線 維 性 仮性 黄 色腫 を有 しな い ものは 明 らか に男 性 に多 く, 他 方 弾 力線 維 性 仮 性 黄 色腫 は有 す る が,網 膜 色 素 線 条 を認 め な い もの は女性 に遙 か に多 い. 一 年 以上 経 過 観 察 され た 例 の33%は 線 条 の 数 が増 して お り,56%は 不 変,10%は 減 少 し た.又 視 覚 の鮮 明度 の低 下 を伴 つ た もの は63% で あ る.視 野 は他 の原 因 に よ る もの を除 け ば何 れ も正 常 で あ る12). Osteitis deformans12)13) (変形 性 骨炎)

1929年RowlandはNew England ophs-halmological Societyで 網膜 色 素線条 と変 形 性 骨 炎 の合 併 例 に つ い て報 告 した。 そ の後, Berliner,Battenら に よつ て研 究 され,両 者 の 相 関 々係 に つ い て関 心 が もた れ る に至 つ た。 Terryは 網 膜 色 素 線 条 の8,49%が 変 形 性 骨 炎 と関係 が あ る こ とをみ て い る、 他 方変 形性 骨 炎 は39才 以 上 の病 理 解 剖 例4614中3%に 認 め られ るに過 ぎ ない ので,網 膜 色 素線 条 に 於 け る変 形 性 骨 炎 の発 生 率 は遙 か に高 く,両 者 の 問 に密接 な 関係 が あ る こ とが うか が われ る。 Gronblad-Strandberg症 候 群 に随 伴 す る他 の 組織 及 び器 官 に於 け る病 変2)10) 本 症 候 群 の本 態 か らし て,内 臓 や 血 管 の弾 力 線 維 に も変性 を来 し得 る もの で あ る。1884年 Balzerに よ つ て心臓 の弾 力線 維 の破 壊 に よつ て生 じた心 内膜 の黄 白色 斑 が 報 告 され て以 来, 大 動脈 や末 梢 血 管 の弾 力線 維 の変 性 に よ る動脈 瘤 や,血 管 閉塞 或 は出 血 等 の報 告 が行 われ て い る.又 これ らの血 行 障 碍 に よ る脳,胃,腸,肝,. 腎,子 宮,腸 間膜 等 の出 血 や 栄養 障 碍,或 は そ れ らの弾 力線 維 の変 性 が報 告 され て い る. 脳 血 管 の障 碍 は精 神 病 や 精 神 障碍,神 経 麻痺. 等 を来 す14.Dixon4)は29才 の黒 人 でGron-blad-Strandberg症 候 群 を有 す る患 者 で,右 動 眼 神 経 と外 転 神経 の完 全 麻 痺 と激 しい頭 痛 を伴 つ た例 を経 験 した が,そ の神経 症 状 は右 内 頚動 脈 が頭 蓋 内 に入つ た部 分 に生 じた動 脈 瘤 に よ る もの で あ つた こ と を述 べ てい る。 其 他,Gron-blad-Strandberg症 候 群 を有 す る患 者 で,欝 病 を来 し た例 や,躁 欝 病 と共 に鼻出 血や 子 宮 出 血

(3)

の 激 し か つ た 例 が 報 告 さ れ て い る2)。Prickは 仮 性 球 麻 痺 の 例 を 報 告 し て い る10)。

又 四 肢 の 動 脈 の 異 常 も 報 告 さ れ て い

て,Ur-bach-Bock例 で はA. brachialisの 弾 力 線 維

が 完 全 に 萎 縮 を来 し て 閉 塞 し,Silversは 脛 骨 動 脈 の 石 灰 化 を 伴 つ た 例 を報 告 し て い る 。 Gr6nblad-Strandberg症 候 群 に 伴 う内 臓 の 変 化 に つ い て はPrick10)が1939年 小 腸 粘 膜 下 の 弾 力 組 織 の 変 性 に つ い て 記 載 し,Carlborg は 口 腔,鼻 腔,膣,直 腸 の粘 膜 が 障 碍 され た 例 を 報 告 し て い る 。 又 血 尿 に つ い て はHelm (1937)の1例 の 報 告 が あ り10),本 邦 で は 清 水 の 1例 の 記 載 が あ る21)。 さ て,1900年 以 来,弾 力 線 維 の 変 性 の 結 果 胃 腸 出 血 を 来 し た 例 が15例 報 告 さ れ て い る。

す な わ ち,Kaplan & Hartman 8)が そ れ ま で

に 報 告 さ れ た10例 を集 め,そ れ に 自験 例1を

加 え て 報 告 し,さ ら に1956年McCaughey,

Alexander &

Morrish10)はGronblad-Stran-dberg症 候 群 の 患 者 で 妊 娠 に 関 係 し て 胃 腸 出

血 を 来 し た と思 わ れ る3例 を 追 加 し て い る。

Castagno & Hardaway 3)もMcCaugheyら

の 症 例 に 類 似 の 例 を経 験 し た こ と を報 告 し て い る。 又1941年 に 報 告 さ れ たScholz 12)の 文 献 中 第4例 が 相 当 す る の で は な い か と 思 わ れ る が,胃 腸 出 血 に つ い て は 特 別 に は 述 べ て い な い 。 こ れ ら の 報 告 例 の 中,胃 腸 出 血 がGronblad-Strandberg症 候 群 に 関 連 し て 生 じ た も の で あ る こ と が 臨 床 的 並 び に 組 織 学 的 に 確 実 に 証 明 さ

れ た も の はKaplan & Hartmanの1例 の み

の よ う で あ る10)。

1954年,Kaplan & Hartman 8)は 腹 痛 と 吐

血 の 為2回 入 院 し た23才 の 女 性 例 を報 告 し て い る 。2回 目 の 入 院 時,出 血 が 保 存 的 に 制 止 出 来 な か つ た の で 胃 亜 全 摘 を行 つ た も の で あ る 。 そ し て 手 術 時 に は 出 血 の 原 因 が 判 明 せ ず,切 除 胃 の 組 織 検 査 の 結 果,胃 壁 の 動 脈 の 弾 力 線 維 の 変 性 が あ り,小 動 脈 瘤 や 石 灰 沈 著 を 伴 つ た 内 膜 閉 塞 性 硬 化 症 が 認 め ら れ,胃 出 血 がGronblad-Strandberg症 候 群 に よ る も の で あ る こ とが 確 認 さ れ た も の で あ る 。

McCaughey, Alexander & Morrish 10)は

1956年Gronblad-Strandberg症 候 群 の患者 で妊 娠 と関連 して 胃出 血 を来 した と考 え られ る 興 味 あ る3例 を報 告 した。 うち2例 は内 科 的療 法 で 出血 しな くなつ た 為 に手 術 を行 つ て い な い が,残 り1例 は シ ョ ック状 態 とな つた 為 に救 急 手 術 が行 われ た。 しか し,試 験 的 胃切 開 に よつ て も出血 の原 因 及 び 部位 が 明 らか で ない 為 に 胃 切 除 は行 われ てい ない。 又 残 念 な こ とに胃 の生 検 標 本 が と られ てい な い為 に組 織 学 的 検 索 が行 わ れ て い ない。

Castagno & Hardaway 3)も 産 後 大 量 胃 出血 を来 した例 を経 験 した が,網 膜 色 素線 条 は な く, 又 胃組 織 の弾 力 線 維 染 色 も行 われ てい ない 為 に この症 例 の 胃出 血 がGronblad-Strandberg症 候 群 に よ る もの か否 か 確 か で な い。 こ の よ うにGronblad-Strandberg症 候 群 に 随 伴 し て生 じた と考 え られ る 胃腸 出 血 例 は極 め て稀 で あ り,殊 に臨床 像 並 び に 胃組織 像 か ら確 実 に証 明 され た もの はKaplan & Hartman の1例 のみ で,著 者 の本 症 例 を もつ て第2例 と す る ものの よ うで あ る。 勿 論本 邦 症 例 と して は 最初 の もの と考 え られ る。 症 例

患者:■

(日 誌 番 号11-18,1962) 25才,男 子,自 衛 隊 員,昭 和37年6月18 日大 量 吐 血 の為 急 患 入 院。 家 族 歴:母 親 の言 に よれ ば,家 族 に 胃腸 出 血 を来 した者 は な く,又 患 者 と同 じよ うな皮膚 疾 患 を示 した 者 もない と云 う。 両 親 は血 族 結 婚 で は ない。 既 往歴:6才 の時 肺 結核 と診 断 され た以外 著 患 を知 らず。 吐 血,喀 血 の既 往 は な い。 現 病 歴:昭 和34年 自衛 隊入 隊。 昭和35年 頃 よ り次 第 に周 囲 の者 か ら離 れ て孤 独 で居 る よ う に な り,又 隊 の規 則 に もか か わ らず 夜 中急 に独 りで遠 くへ 出 か け た りす る よ うに な り,精 神分 裂症 の疑 い で 昭和37年5月31目 九 大 精 神 科 に入 院。 患 者 は 中学 生 の頃 か ら頚 部 の皮 膚 が粗 く穢 い の を気 に し恥 しい思 い を して い た と云 う。 昭 和 37年6月 九大 皮 膚 科 で 弾 力線 維 性 仮 性 黄 色 腫 と診 断 さ れ腋 窩部 の皮 膚 の生 検 を行 つ た 。(図 (27) ―247―

(4)

1;図2,A,B)。 さ らに 眼科 で網 膜 色 素線 条 を 有 す る こ とが 見 出 され(図3),Gronblad-Stra-ndberg症 候 群 を有 す る患 者 で あ る こ と が判 明。 引 きつ づ き精 神 科 に入 院 加療 中,6月16 日 と18日 の2日 にわ た つ て数 回大 量 吐 血 を来 し,シ ョ ック状 態 とな り,救 急 手 術 の た め当 九 大 第 一 外 科 に転 科 。 胃 ・十 二 指 腸 潰 瘍 を思 わ せ る よ うな既 往 歴 及 び 現 病 歴 は な く,又 最 近 ピ リン系統 の薬 剤 を用 い た こ とは な い と云 う。 現 症:体 格 中等 。 顔 面 蒼 白。 眼瞼 結膜 極 度 に 貧 血性 。 眼 球 結膜 黄 疸 な し.脈 数82,体 温 36。8,脈 搏 は右 橈 骨 動 脈 で はふ れ るが,左 橈 骨 動 脈 で は触 れ得 ない 。 腹 部 や や 陥 凹,腹 壁 静脈 拡 張 な し。 腸 音 正 常 で腫 瘤 ふ れ ず,肝 ・脾 も触 れ な い。 直 腸 指 診 で ダ グ ラ ス窩 に波 動 をふ れ な い 。 皮 膚 は 特 有 の所 見 を呈 し,頭 部,頚 部,両 腋 窩,両 上 腕 内側,腹 部,両 鼠 蹊 部,項 部 の皮 膚 は 萎縮 性 で 弾力 性 に乏 し く粗 い 。 粟 粒 大 の黄 褐 灰 色 の 小 結 節 あ り,該 部 の皮 膚 は全 体 的 に汚穢 で あ る。 背 部,腰 部,上 ・下 肢 外 側 部 等 の 皮膚 の外 見 は異 常 を認 めな い。 検 査 成 績:血 圧122∼70(右 上 腕 動 脈)。 全 血比 重1042,血 清 比 重1025,Ht23.9%,Hb50% (n/sahli),血 清 蛋 白6.6g/dl,白 血 球 数4,200, 出血 時 問3分 。 心 電 図 に は異 常所 見 を認 め な い。 胸 部X線 写 真 に異 常 を認 めず。 腹部 単純 撮 影 で異 物 や 腫 瘤 の陰 影 を認 めず。 又 異 常 ガ ス像 もな い。 手 術 所 見:直 ち に大 量 輸 血 を行 い,気 管 内麻 酔 下 に上 腹 部正 中切 開 で 開腹 す る。 腹膜 異 常 な く腹水 な し。 門脈 系静 脈 の拡 張 な し。 胃 ・腸 の 漿 膜 異 常 な し。 肝 はや や 貧 血 性 のほ か 硬 変 や欝 滞 等 の異 常所 見 を認 め ない。 脾 正 常大 。 胆 道 系 正 常 。 膵 正 常 で腫 瘤 ふ れず 。 小 腸 及 び 大 腸 管腔 は血 液 で もつ て満 た され て い る。 外 見 的 に腸 管 に出血 斑 や 腫 瘤,瘢 痕 等 認 めず 。 胃 は漿 膜 正 常 で,瘢 痕 や 腫 瘤 を認 めず 。 又 出 血 斑 も認 め な い。 触 診 で も腫 瘤 をふれ ず。 胃 は 液 体 で充 満 され 拡 張 し てい る。 十 二 指 腸 起 始 部 に も異 常 を 認 めず。 試 験 的 胃切 開 を行 うに大 量 の新 鮮 血 で満 た さ れ て い る。 これ を充 分 吸 引 す る も尚湧 出す る如 く溜 つ て くるが 出血 部 位 を確 認 し得 な い。 た だ 主 に小 彎 に沿 つ て小 さ く点 々 と粘 膜 に褐 色 の出 血 斑 あ り。 又 胃内壁 を指 で探 る も腫瘤 や異 物 を ふ れず 。 結 局 噴 門部 よ り幽 門輪 の 間 に潰 瘍 を見 出 し得 ない が,現 に出血 しつ つ あ り,恐 ら く見 出 し難 い潰 瘍 が あ る もの と考 え,胃 酸 度 を低 下 せ し め る 目的 を も兼 ね て 胃3/4切 除 を行 う。 当時,著 者 等 はGronblad-Strandberg症 候 群 で 胃 出血 を来 す こ とが あ る こ とを知 らな か つ た 。― 切 除 胃 に は潰 瘍 を認 めず 。 た だ点 々 と粘 膜 面 に小 出血 斑 を認 め るの み で あ る。 残 存 胃 を さ らに食 塩水 で充分 洗 滌,精 査 す る も 尚新 鮮 な 出血 あ り。 しか しや は り潰 瘍 や 腫瘤 は 見 出 され な い。 又 食 道 よ りの血 液 流 下 は み られ ない。 結 局 出血 部 位 及 び 原 因 に つ い て納 得 出来 ぬ ま ま急性 胃 炎 に よ る出 血 と考 え,Billroth II 法 で結腸 後 胃腸 吻 合 術 を行 う。 術 後 経 過:術 後 第4日,5日,6日,7日 及 び10日 に大 量 の吐 血,下 血 を来 す。 殊 に第10 日 目の 出血 で は シ ョ ック状 態 とな り,輸 血,止 血 剤 投 与 等 の他,デ カ ド ロン総 量12mgを 使 用 。 第13日 に下 血 あ り。 第16日 よ りデ カ ド ロ ン毎 日2mg16日 間 使用 。 第14日 以降 は 吐 血,下 血 な く第23日 に黒 色 硬 便 を排 出。 以 後 便 の色 は次 第 に正 常 とな り,第32日 目に軽 快,精 神 科 へ 転 科 す。 ここ で注 目す べ き こ とは, 第10日 目に デ カ ド ロ ンを使 用 して 以来 第13 日目に少 量 の 下血 を見 た 以外 は吐 血,下 血 を見 な くなつ た こ とで あ る。 精 神 科入 院 中及 び 当科 入 院 中 の諸検 査 で は血 液 像,肝 機 能,尿 検 査 所 見 等 に異常 な く,梅 毒 反 応 陰 性,赤 沈 正 常。17-KS 10.5mg/day。 切 除 胃の 組織 検 査 所 見:粘 膜 上 皮 は著 変 を認 め な い が,胃 壁 は 萎縮 性 で あ る。 粘 膜 固有 層 の 弾力 線維 は肥 厚 し断裂 して塊 状 と なつ て い る。 石 灰 沈 著 もみ られ る。 又 胃壁 の動脈 は 内膜 が肥 厚 して 閉塞 乃 至 狭 窄 を来 し,動 脈 壁 の弾力 線維 は肥 厚,断 裂,チ ヂ れ て羊 毛 様 に捲 き上 つ て い るの がみ られ,一 部 石灰 が沈 着 して い る。 又 血 管 壁 が萎 縮 断 裂 し出血 像 の 明 らか な もの もみ ら

(5)

れ る 。(図4;図5,A,B) す な わ ち,胃 壁 の 弾 力 線 維 及 び 血 管 の 弾 力 線 維 にGronblad-Strandberg症 候 群 特 有 の 変 性 が 認 め られ,本 患 者 の 胃 出 血 がGr6nblad-Str-andberg症 候 群 の 一 症 候 と し て の も の で あ つ た こ と が 確 認 さ れ た の で あ る、 本 患 者 の 頚 動 脈 撮 影 を行 うに,左 右 何 れ の 内 頚 動 脈 も糸 の よ う に 細 く な つ て い る。 又 脳 波 に も重 篤 な 異 常 が み と め ら れ る。 す な わ ち こ の 患 者 の 精 神 異 常 が 脳 血 行 障 碍 の 為 に惹 き お こ さ れ た 二 次 的 の も の で あ り,Gronblad-Strandberg 症 候 群 の 一 症 候 と し て の も の で あ つ た こ と が 判 明 し た の で あ る 。(図6;図7,A,B) 又 四 肢 の 動 脈 の 異 常 も認 め ら れ,左 橈 骨 動 脈 の 脈 搏 は す で に ふ れ 得 な く な つ て い る. 術 後1年 半 の 経 過 観 察 で は 皮 膚 所 見 は 特 に 好 転 も な け れ ば 悪 化 もみ られ な い。 眼 底 所 見 も特 に 変 化 な く,視 力 の 障 碍 は な い 。 体 重 は13kg 増 加 し,精 神 的 に は 朗 ら か に な り正 常 に 問 答 を す る よ う に な つ て い る。 デ カ ド ロ ン は 外 科 入 院 中 の み 使 用 し 其 後 は 使 用 し て い な い 。 考 案 1901年,Tannenhainが 弾 力 線 維 萎 縮 症 に 二 次 的 に 胃 出 血 を 来 し た 例 を報 告 し て 以 来,弾 力 線 維 の 変 性 に 関 連 し て 生 じ た と思 わ れ る 上 部 消 化 管 出 血 の 例 が,Prick,Law,Carlborg,

Revell and Carey, Wolff・Stokes and

Schle-singer,Kaplan and Hartman, Scholz, Mc

Caughey・Alexander and Morrish及

びCas-tagno and Hardaway等 に よ つ て15例 報 告

さ れ て い る3)8)10)。

し か し な が ら,こ れ ら の う ち,出 血 が 胃 壁 の

血 管 の 弾 力 線 維 の 変 性 の 為 に 二 次 的 に生 じ た も の で あ る こ と が 臨 床 的 並 び に 組 織 学 的 に 確 実 に

証 明 さ れ た も の はKaplan and Hartmanの

1例 の み と思 わ れ8)10),本 症 例 を も つ て 第2例 とす る も の の よ うで あ る。 本 症 候 群 は も と も と そ う多 い 疾 患 で は な く, 欧 米 の 文 献 中 最 も 多 く の 網 膜 色 素 線 条 例 を集 め て い る と思 わ れ るScholz12)で188例,日 本 で は 清 水20)の137例,又 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色 腫 は 長 堀22)の115例 が あ る。 し か し,本 症 候 群 の 本 態 よ り考 え る と,眼 底 及 び皮 膚 の症 候 例数 に比 べ て 胃腸 出血 の例 が い さ さか少 な過 ぎ る ので は ない か と考 え られ る. 他 方,Gray5)やMathewson9)ら の報告 に も 見 る如 く,大 量 の 胃出血 を来 し乍 ら精 密 な検 索 に もか か わ らず 出 血 の原 因や 部 位 を確 認 し得 な い例 が 約1%存 在 す るの で あ るが,或 は この 中 の何 例 か はGronblad-Strandberg症 候 群 に よ る もの が存 在 す る の では な い か と推 定 され る。 著 者 の例 は,弾 力 線 維 性 仮性 黄 色 腫,網 膜 色 素線 条,胃 出血,脳 血 管 閉 塞及 び それ に伴 う精 神 異 常 更 に橈 骨 動 脈 の閉 塞 等Gronblad-Stran-dberg症 候 群 に 関 して報 告 され た各 症 候 の うち の殆 ん どす べ て を兼 ね具 えた症 例 で,こ の よ う な症 例 は文献 中 に も見 出 し難 く稀有 な症 例 と考 え られ る。 本 症候 群 の病 理 解 剖 学 的本 態 は,全 身 の弾力 線 維 の系 統 的変 性 で あ る もの で あ る が,変 性 を も た ら す原 因 に つ い て は今 日の所 尚不 明 であ る。 本症 候 群 もあ るい は膠 原 病 の 部類 に属 し て 考 え るべ き疾患 か も知 れ ない。 しか し今 目それ を裏 付 け る根 拠 は何 もな い。 た だ,弾 力 線 維 の 代 謝 に対 して副 腎皮 質 ホル モ ンが 密接 な 関係 を 有 す る とこ ろか ら,恐 ら く副 腎 皮 質 ホル モ ン の 失 調 と関 係 が あ る もの と推 定 され る。 この こ と は本 症 候 群 が 思春 期 に 出現 す る こ とが 多 い こ と か ら も推 定 され るで あ ろ う。McCaugheyら は 彼 等 の第3症 例 に対 してACTHを 投与 して以 後 胃 出血 を来 さ な くな つ た こ とか ら,ACTHの 治療 効 果 を推 定 した の で あ るが,著 者 も本 症 例 にデ カ ドロ ンを使 用 し始 め た所,恰 もそ の治 療 効 果 を示 す か の如 く出 血 が止 まつ た ので,恐 ら く副 腎皮 質 ホル モ ンが本 症 候 群 の治 療 に効果 あ る もの と推 定 してい る。 そ して こ の こ とは亦 副 腎皮 質 ホル モ ンの失調 と本 症 候 群 の原 因 との問 に関 連 性 を想定 せ しめ る もの が あ る。 総 括 1.Gronblad-Strandberg症 候 群 の 一症 候 と して 胃大 量 出血 を来 した1例 を報 告 した。 2.Gronblad-Strmdberg症 候 群 に随 伴 し て 胃腸 出 血 を来 した例 は文 献 的 に本 症 例 を含 め 16例 で あ る。 本 邦 では 最初 の報 告 例 であ る。 (29) ―249―

(6)

3.上 記16例 の 中,臨 床 像 及 び 切 除 胃 の組 織 検 査 に よ り確実 に本 症 候 群 に よ る出 血 と確 認 され た も の はKaplan and Hartmanの 例 が 第

1例 で本 症 例 が 第2例 と考 え られ る。 4.本 症 例 は 網膜 色 素線 条 と弾 力 線 維 性 仮性 黄 色 腫 を有 す る と共 に,内 頚 動脈 の閉塞 及 び そ れ に伴 う精 神障 碍,更 に左 橈 骨 動脈 の 閉塞 を伴 つ た 稀 有 な例 で あ る。 5.本 症 候 群 と副 腎皮 質 ホル モ ン と の関 連性 に つ い て 考 察 した。 本論文 中,本 症例 の病理組織所 見は九州大学病 理学教室 田中健蔵教授,眼 科所見は同眼科学教室 谷 口慶 晃助教授,皮 膚科所見は同皮膚科学教 室皆 見紀久男助教授,精 神科所見は同精神科学教室大 学 院糸井孝吉学士 の各氏 に負 う所 大なるものがあ り厚 く御礼申上げる。 (稿を終 わるにあた り御稿閲 を賜 わ つ た恩師三 宅博 教授 に感謝 の意 を捧 げる。) 文 献

1) Bock, J.; Zur Klinik und Anatomie d. gefa-ssahnlichen Streifen in Augenhintergrund.

Zschr. Augenh., 95: 1, 1938.

2) Carlborg, U.; Studies of circulatory

distur-bances, pulse wave velocity and pressure

pulses in larger arteries in cases of pseudo-xanthoma elasticum and angioid streaks:

contribution to knowledge of function of elastic tissue and smooth muscles in larger

arteries. Acta med. Scand., supp. 151: 1-209, 1944.

3) Castagno, J. and Hardaway, R. M.; Idiopathic Hemorrhagic Gastritis. Ann. Surg., 147: 399

•` 403, 1958.

4) Dixon, J. M.; Angioid Streaks and Pseudoxa-nthoma Elasticum with Aueurysma of the

internal carotid Artery. Am. J. Ophth., 34: 1322•`1323, 1951.

5) Gray, H. K., Shands, W. C. and Thuringer, C.; The Problem of Massive Gastro-Intestinal

Hemorrhage from an undetermind Source. Ann. Surg., 139: 731•`742, 1954.

6) Gronblad, E.; Angioid Streaks-Pseudoxan-thoma Elasticum, Vorlaufige Mitteilung. Acta

Ophth., 7: 329, 1929.

7) Hagedoorn, A; Angioid Streaks. Arch.

Ophth., 21: 746 (May), 935 (June), 1939. 8) Kaplan, L. and Hartman, S. W.; Elastica

Disease, Case of Gronblad-Strandberg Syn-drome with Gastrointestinal Hemorrhage. A.

M. A. Arch. Int. Med., 94: 489•`492, 1954. 9) Mathewson, C. JR. and Sugar, B.; Surgical

Significance of Gastrointestinal Bleeding. Am. J. Surg., 89: 1177•`1181, 1955.

10) McCaughey, R. S., Alexander, L. C. and Mor. rish, J. A.; The Gronblad-Strandberg Syndro-me, A report of three cases presenting with massive gastro-intestinal hemorrhage during pregnancy. Gastroenterology, 31: 156-168, 1956.

11) Revell, S. T. R. JR. and Carey, T. N.; Pseudo-xanthoma elasticum as a disseminated disea-se. South. M. J., 41: 782-790, 1948, Part II. 12) Scholz, R. O.; Angioid Streaks. Arch. Ophth.,

26: 677•`695, 1941.

13) Terry, Th. L.; Angioid Streaks and Osteitis deformans. Tr. Am. Ophth. Soc., 32: 555•` 573, 1934.

14) Urbach, E. u. Wolfram, S.; Uber Verander-ungen des elastischen Gewebes bei einem autoptisch untersuchten Falle von Gronblad-Strandbergschem Syndrom. Arch. Dermat. u. Syph., 176: 167,-175, 1938.

15) Wolff, H. H., Stokes, J. F. and Schlesinger, B. E.; Vascular abnormalities associated with pseudoxanthoma elasticum. Arch. Dis. Child., 27: 82•`88, 1952. 16) 石 川 含; 網 膜 色 素 線 条 と 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色 腫 の 共 存 せ る 症 例 に 就 て. 日眼, 36: 1197∼1203, 昭 和7年. 17) 川 上 理 一; 眼 全, 第 三 巻, 眼 遺 伝, 221∼224, 日 本 眼 科 学 会 編, 金 原 出 版 株 式 会 社, 東 京, 昭 和 32年. 18) 河 本 正 一, 播 沢; 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色 腫 の 共 存 せ る 網 膜 色 素 線 条 の 一 家 系 に 就 い て. 日 眼, 44: 1862∼1865, 昭 和15年 。 19) 小 島 克, 近 藤 敬 一 郎; Gronblad-Strandberg Syndromの 遺 伝 家 系. 臨 眼, 5: 550∼551. 1951 (昭 和26年) 20) 清 水 弘 一; 日 本 人 の 網 膜 色 素 線 条. 眼 臨, 54: 911∼91乳 昭 和35年. 21) 清 水 弘 一; 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色 腫 に 伴 つ た 梨 子 地 眼 底. 眼 臨, 54: 503∼509, 昭 和35年. 22) 長 堀 篤 二, 福 本 寅 雄; 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色 腫 に つ い て. 臨 皮 泌,11: 1103∼1110, 1957. ―250― (30)

(7)

第1図 頸 部,腋 窩,前 胸 部 の 皮 膚 は 萎 縮 性 で 弾 力 性 が な く,粗 く臓 い.黄 褐 灰 色 の 小 結 節 が あ つ て 典 型的 な 弾 力 線 維 性 仮 性 黄 色腫 の 像 を示 して い る。 第2図 腋 窩 部 皮 膚 の 生 検 A.Weigert染 色 B.Kossa-Eosin染 色,×84 表 皮 はHyperkeratosisが み ら れ る 他 は 著 変 は な い が,中 層 か ら 深 層 の 弾 力 線 維 は 膨 大,断 裂,ち ぢ れ て 塊 状 或 は 羊 毛 様 と な つ て お り,又 石 灰 沈 着 が 著 名 で あ る。 第3図 眼 底 写 眞 乳 頭 の 周 囲 を め ぐ り,そ れ よ り更 に 赤 道 へ 向つ て ヒ ビ判 れ様 に 放射 状 に 延 び る典 型 的 な網 膜 色 素 線 條 が み ら れ る。 又黒 色 の 小 色 素 斑 を認 め る。 網 膜 出 血 は 認 め られ な い9 第4図 胃 組 織Weigert染 色,×42 粘膜 上 皮 に は 著 変 を認 め な い が,胃 壁全 体 が 萎 縮 性 で,粘 膜 周 有層 の 弾 力線 維 は肥 厚,断 裂,羊 毛様 に ち ぢ れ て お り,石 灰沈 着 も見 ら れ る.血 管 の 内膜 は肥 厚 し動 脈 硬 化 像 を 呈 す。

(8)

第5図 胃 壁 の 血 管 A.Weigert染 色,×136 B.Weigert染 色,×220 血 管 の 内膜 は線 維 件 に肥 厚 して動 脈 硬 化 像 を示 し,血 管 壁 の 弾 力 線維 は肥 厚,断 裂 し て 羊 毛様 に ち ぢれ 捲 き上 つ て い る。 石 灰 沈 着 もみ られ, 又 壁 の 萎 縮 を来 した 血 管 もみ られ る。 第6図 脳 動 脈 撮 影 図 内 頸 動 脈 は 総 頸 動 脈 よ り 分 岐 し て 間 も な く糸 の よ う に 細 く な り,動 脈 管 の 辺 り迄 は 造 影 さ れ て い る が,頭 蓋 内 で は 造 影 さ れ て い な い 。 又 頭 骨 等 の 像 が 淡 く,骨 質 の 萎 縮 を 思 わ せ る も の が あ る。 第7図 脳 波(九 大 精 神 科,EFG.No.2158) basic pattenは 電 圧 約 70-80μVで,occipital leadsに の み11サ イ ク ル の α 波 がrhythmical に 出 現 す る が,他 の 誘 導 部 で は5-6サ イ ク ル の θ 波 が 非 常 に 多 く,全 休 的 にdysrhthmicで あ る 。 し ば し ば 電 圧70-80μV の θ波 よ りな るparaxy-mal slow burstを 形 成 す る が,電 圧 が100μVを 越 え る こ と もあ る 。徐 波 成 分 はfrontal leadsに 最 も多 い 。shike,sharp waveは 安 静 時 に は 認 め な い 、,賦活 後(過 呼 吸)3 分 で150μV以 上 の 電 圧 を も つ3-5サ イ ク ル の 高 電 圧 徐 波 が 全 誘 導 に 群 発 し,7-8秒 続 く 。以 後 も 屡 々同 様 の 群 発 が み ら れ る が,そ の 時 闇 は3-4 紗 に 短 縮 す る 。内 光 刺 戟 で は 特 別 な 変 化 は な い 。

A.安 静 時:誘 導 法Ten Twenty lead, MP-1

参照

関連したドキュメント

本症例における IL 6 および IL 18 の動態につい て評価したところ,病初期に IL 6 は s JIA/ inac- tive より高値を示し,敗血症合併時には IL

4 Hopwood JJ, Elliott H: Detection of Morquio A Syndrome using radiolabelled substrates derived from keatan sulphate for the estimation of galactose 6- sulphate sulphatase.. 6 Doman

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

混合液について同様の凝固試験を行った.もし患者血

「橋中心髄鞘崩壊症」は、学術的に汎用されている用語である「浸透圧性脱髄症候群」に変更し、11.1.4 を参照先 に追記しました。また、 8.22 及び 9.1.3 も同様に変更しました。その他、

 活性型ビタミン D₃ 製剤は血中カルシウム値を上昇 させる.軽度の高カルシウム血症は腎血管を収縮さ

低Ca血症を改善し,それに伴うテタニー等の症 状が出現しない程度に維持することである.目 標としては,血清Caを 7.8~8.5 mg/ml程度 2) , 尿 中Ca/尿 中Cr比 を 0.3 以 下 1,8)

[r]