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いくつになっても良質な睡眠を―長寿時代の不眠治療

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Academic year: 2021

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講演 2

1.いくつになっても良質な睡眠を―長寿時代の不眠治療

明神館クリニック 大田 浩右  外来にお出でになる睡眠障害の患者さんの特徴は、睡眠時間の不足、睡眠の質の劣化、睡眠時 随伴症などです。患者さんに接する中で、睡眠と認知力に興味を持つようになりました。一過性 健忘や物忘れを訴える人達には短時間睡眠、遅寝、睡眠時随伴症の人が多く、睡眠と記憶は深い 関係にあることを知りました。  睡眠外来には睡眠時随伴症と難治性睡眠障害の方が多く来られます。難治性睡眠障害の多くは すでに精神科で睡眠薬、抗不安薬、鎮静系抗うつ薬の治療歴をお持ちです。睡眠時随伴症は未治 療の方が多いです。今回は本研究会の趣旨に沿い 60 歳以降の高齢者の難治性睡眠障害、睡眠時 随伴症、そして MCI 軽度認知障害に対する取り組みについてお話しします。  最近の研究で、睡眠中の脳のデトックスと記憶の整理の様子の可視化、ノンレム睡眠中の ニューロン発火抑制やグリンファティック・システムによって脳脊髄液が脳に流れ込み、アミロ イド β などの老廃物を洗浄、成人になっても海馬はニューロンを新生し、レム睡眠中の記憶形成 に重要な役割を担っているなど、新しい知見が次々と発表されています。良質の睡眠は、脳の健 康と記憶維持に必須であることが証明されつつあります。残念なことは加齢による睡眠の劣化で す。老齢マウスの網膜の光同調の感度は若年マウスの 20 分の 1 以下に低下し、概日リズムを司 る視床下部視交叉上核も、加齢に伴い出力機能が低下するそうです。つまり加齢による睡眠力老 化、睡眠質の劣化、記憶システムの変調、認知力低下は避けがたい宿命です。特にアルツハイ マー病は早期から脳の老廃物洗浄能力低下、デフォルトモード・ネットワーク機能的結合の低下 が可視化され、具体的治療の研究段階にあります。  最初に取りかかるのは睡眠と生活の改善、そして SCI・MCI に有効と考えられている薬剤を加 味することです。なかでも MCI は早期発見、早期介入を適切に行えば、重症化を防げる手応え を感じています。睡眠時随伴症の発見と治療は MCI の予後に大きく関係します。重度の低呼吸 型 SAS、RBD、周期性四肢運動障害の治療は特に大切です。原因の明らかでない不眠を訴える高 齢者や MCI の治療をどうするか、こちらも大きなテーマです。不眠に対する薬物治療は認知症 を誘発するのか、悪化させるのかという問題提起があるからです。厚労省や学会の高齢者薬物治 療の指針には、認知症に関わる薬剤として、漫然と処方される BZP 系睡眠薬、H2 ブロッカー、 PPI などの制酸薬、スタチン製剤など多数の薬剤が列挙されています。確かに、後期高齢者に長 期にわたる強力な睡眠薬、制酸剤、スタチン製剤の処方に驚くことは稀ではありません。不眠症 のほとんどは難治性睡眠障害ですから、ケースによって気分安定薬、睡眠を深くする三環系抗う つ薬、非定型抗精神病薬などを使用します。これらの薬理作用を詳細に調べ熟知した上で、3~4 種類少量ずつの組合せを行い、不眠の改善、認知機能の改善に努力しています。各薬剤の処方量 は一般の 1/3~1/5 と少量です。  MCI の治療薬は睡眠の質もよくするメラトニン、バルプロ酸、炭酸リチウムを第一選択とし、 第二選択にメトホルミン、イチョウ葉 EGb761 エキス、ポリアミン、ケトン体に変換されやすい オイルなどを使用します。生活習慣介入は重力効果により骨密度を上げるウォーキング、メラト ニン・成長ホルモンの周期に合わせた睡眠時間帯、そして 1 日 2 食主義による空腹、デフォルト モード・ネットワークに対する呼吸法などを行っています。 認知症治療研究会誌 7 巻 2 号(2021) 124

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参照

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