• 検索結果がありません。

修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる院生の学びの軌跡と成長

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる院生の学びの軌跡と成長"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる院生の学びの軌跡と 成長. Author(s). 玉井, 康之; 前田, 輪音; 藤森, 宏明. Citation. 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 : 教職大学院研究紀要 , 1: 83-87. Issue Date. 2011-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2925. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 創刊号. 修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる. 院生の学びの軌跡と成長 玉井 康之*・前田 輪音*1・藤森 宏明*2. はじめに 本研究紀要では、創刊号であることもあって、第一期修了生にアンケートをとることにした。教職 大学院の学びは、ある意味では、網羅的なものであるため、振り返ってみてはじめて見えてくる場合 が少なくない。そのため、教職大学院の学びの成果を、修了したあとにとらえることで、全体的な目. 的と成果をとらえることができる。本稿は、そのアンケート結果の全体的な特徴を分析したものであ る。. 様々な実践の課題への対応方法は、直接教師が課題として悩んでいたり、重点をおいて実践力を高 めようとしている課題について、ある程度焦点化した問いと振り返り、および集団思考を高めながら より良い解決方法を考察することができる。しかしさらにその間いを深めていくためには、直接課題 としているものだけでなく、様々な学びをトータルにとらえながら、. 多様な領域の実践理論と方法を. 結びつけてとらえていかなければならない。すなわち、ある程度対象の課題から離れて、多面的な領. 域における学びを併行して進めていかなければ、多様な実践の条件を相互に発展させることができな い。. このような問題意識から、本アンケートは、直接的な授業評価とは別に、修了生が振り返ってどの. ような学びをしたかのとらえることとした。むろん第一期生であるから運営する我々自身が初めての 内容を含んだ大学院として、暗中模索の中で試行錯誤を繰り返してきた。そのため、振り返って見て. も、課題の方が多かったということも否めないことであろう。それでも院生が修了後に振り返って見 たときは、大学院の在学中とはまた異なる視点で教職大学院での2年間をとらえることができるであ ろう。ここでは、簡単な結果と、自由記述の評価を拾いながら、解説を加えておきたい。. 1.修7生の属性と大学院の成果 最初に基本的な属性をとらえておきたい。自由記述の傾向と評価も、この属性を前提にした上で、. とらえておきたい。回答者の性別は、男性64%、女性36%である。年齢構成は、35∼40才が28%、40 ∼45才が32%で、合計すると、35才から45才が60%を占めている。したがって、年齢的にも現職経験 を豊富に積んだ人が1期生では応募している。ある程度熟練した結果として、大学院を志望したもの と言える。これらの人は、年齢的にも中堅であり、担当分掌の割合としても、教務部・生徒指導部・ *北海道教育大学教職大学院(教育学研究科高度教職実践専攻)釧路 *1北海道教育大学教職大学院(教育学研究科高度教職実践専攻)札幌 *2北海道教育大学教職大学院(教育学研究科高度教職実践専攻)旭川. 83.

(3) 玉井 康之・前田 輪音・藤森 宏明. 研究部が多く、校内の役割が大きい人が1期生に多いことが分かる。 教職大学院で得たものとしては、現職教員が「とても感じる」項目では、「E.これまでの自分の. 教育実践を深く見直すきっかけとなる授業・ゼミが存在した」の75%と、「F.教育に対する視野が 広がった」の75%が多い。自分の実践を振り返りながら、相対化していることが分かる。その次に多 いのが、「A.長く付き合っていけるような院生にめぐり会えた」の45%である。院生どうしのネッ トワークが広がり、そのことが院生の学びを修了後も発展させていることがうかがえる。. ストレートマスターが教職大学院で得たものとしては、「とても感じる」項目がもっとも多いのは、 「F.教育に対する視野が広がった」が60%で多い。現職教員と同じように、ストレートマスターも 視野の拡大が成果としてとらえられている。. カリキュラムとして有意義だと「とても感じる」ものは、「B.選択の授業」の52%である。必須 の授業は、共通に押さえておかかナればならないものであるが、やはり関心がある選択授業は、より. 自分の問題意識が明確でもあるために、有意義であると感じる傾向があると言えよう。次に多いのは、 「E.MOB作成」の44%である。MOBも自らの問題意識に沿って作成するために、主体的な関心 が高いと言える。. 2.どんな人に教職大学院に入学し、学んで欲しいと考えるか? どんな人に学んで欲しいかは、自分自身の学び方と重なり合わせるために、客観的にどのような人 がいいかを決定することはできない。むしろその立場ごとに学び方が異なると言える。その卜で、い くつかの意見を拾っておきたい。. 札幌枚の現職教員では、「自己の教職における振り返りを考えている人、そこで得た知識や発想の 転換など、現場教育に生かしたいと考える人」という学び直しを意義づけしている人もいる。「学校. の諸問題を解決したいと考えている教師」という位置づけは、あらゆる意味で学校課題と直面するこ ととその問題解決のための教職大学院という意味を有していることを表している。また「今悩んでい る人、行き詰まっている人」という意義づけは、あらゆる人が何らかの形で実践が行き詰まる経験を 持っているが、行き詰まった自分の実践を相対化して見直すという意味を持っている。 旭川校の現職教員では、「学びたい人同士であれば、深い話ができ、有意義だった」という意見も. あり、学びたい院生どうしであれば、学びの相互作用をもたらす効果を示している。 「現職教員でも、何校か経験し、学校全体の仕事が見えるようになったり、教育や学校における課. 題が見えるようになっていたり、さらには、自らの授業に対する考え方や学級経常に対する考え方な どが、ある程度確立されている人の方が良い」という意見もある。これは、より傭腋的な立場から教 育実践をとらえようとすることからくるものである。 またストレートマスターからは、「初任であろうと、期限付きであろうと、教職に魅力を感じ学校. 組織の一員として活躍したいと強く思う学部生には、教職大学院で学ぶことを薦めたい」とする意見 もあり、若くても、意欲があれば、教育効果も高いことを示している。. 釧路校の現職教員では、「肩書きに終わるキャリアアップを求める人は必要ありません。学校を作 ろうという意欲のある人」という意見もある。これは、職階としてのスクールリーダーとしてではな く教育実践の内容的な意味でのスクールリーダーとなるという意味であろう。. 「北海道の特質を知り、地域の特徴を掴み、それを活用しようとしている人」を求めている意見も ある。これは、北海道の地域特性や独自的課題を踏まえた学びを追求していることの表れであろう。. 84.

(4) 修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる院生の学びの軌跡と成長. また「全ての先生がその段階で学ぶべきものがあり価値があると思いますが、教務主任などミドルリー ダーの立場となる先生には、是非学校、職場、教育というものを考える上で学んで欲しい」という意 見もある。これは、学び方にも多様性があり、それぞれの学び方を画一化できない教育実践の特性を 反映しているとも言えよう。. 3.入学者減に対して、どのような改革を求めるか? 入学者減の問題に対しては、3キャンパスとも、授業料の半額など学費の軽減を求める声が圧倒的. に多い。学部の方は高い学費であっても教員免許を取得するためには不可欠の学費となるが、大学院 の場合はそれによるインセンティブがあるわけではないので、当然そのような意見が出て来るであろ う。教職大学院進学後の何らかのインセンティブ(研修免除や試験免除など)を求める意見は多い。 その他内容上の改革を求める意見もある。. 札幌校の現職教員では、「校種別の議論の場、教科別の議論の場がもう少しあっても良い」とする ものもある。同じ現職教員でも、小学校から高校までが同席するために、当然前提となる環境の相違 が議論の差異となることは想像できる。 旭川校の現職教員では、「札教研、旭教研との連携、協力。札幌も旭川も釧路も市内の教育研究会. が各教科でレベルの高い研究をしています。そことタイアップして、日常的に教職大学院が人や施設 を貸し出すしくみを作る」という意見もある。同様にストレートマスターからも、「研究発表の場を より公にし、多くの教員がその成果を目にすることができるようにする」とか「院での実践を外部に 発表・交流する場を設けることや、公開講義を行って、情報を発信」するという意見もある。これら. は、教職大学院の特色として、大学外の学枚現場との連携を組み込んでいくことの必要性を示唆する ものである。. 釧路校の現職教員では、「教師自身の発想がもっと重視されてもよいと思います。“学び・考え・作 り上げる”それに対して多くの方からご示唆をいただく、体験的主体的な学びがもっとほしい」とい. う意見もある。いわゆる参加型・集団思考型・相互研修型のシステムの構築をつくっていくことの重 要性を指摘するものである。また「教職大学院での学びの成果を学校で発表する」という意見もあり、. ある意味では大学内の学びだけでなく、成果の学校への還元の機会の重要性を指摘するものである。. 4.教職大学院生活で印象に残っていること 全体的に修了生が印象に残っていることは、おおむね大学教員とのこと、院生どうしのこと、学び. の中での大変さ、レポートやMOBの大変さ等が印象に残っているようである。そのような中で特記 できることを取り上げておきたい。. 札幌校の現職教員では、「仕事を終えてからの夜間通学は大変でしたが、毎回の授業で必ず一つは、 “自分が得ること”と“自分を語ること”に心がけていました」と、意識して学びを追求していた人 もいた。「様々な講義を通して、悩みを話すと、先生はもちろん、他の院生から様々な意見を聞くこ. とができた」という人もいる。悩みや課題解決を含めた大学院生どうしの学び合いが、院生の成長を 促していることがうかがえる。またレポートは大変であるが、「MOB作成をはじめとする試行錯誤の 中で、確実に自分の中で教育に対する理念が変化して、醸成されていくのが感じられた。レポート等. の課題をその場しのぎのものにするのではなく、じっくり時間をかけて振り返りと吟味をくりかえし. 85.

(5) 玉井 康之・前田 輪音・藤森 宏明. ていくことが大切」という感想もある。 旭川校の現職教員では、「講義後に振り返る場を設定し、教育論を語り合った。現在職場内でも不. 足しているコミュニケーション・言語活動を充実させる必要がある」という意見もある。忙しい教育 界の中で、相互の教育討論などができることも教職大学院の特性として印象に残っていることを示し ている。「普段の実践を考えていることが、どのような理論と結びついているのか、それがつながっ. たときに、パーつと目の前が明るくなることが何度かありました。これが教職大学院の魅力の一つ」 という意見もあった。いわゆる実践と理論の往還を図るもので、やはり教職大学院の特色を表してい ると言える。 「自分の今までの実践を揺るがすような話や新たな考えに出会うと、消極的というか、保守的になっ てしまい、なかなか進歩できないのが現状だと思います。しかしながら大学院で学ぶ以上は、今まで. の自分の実践のカラを打ち破ってでも、新たな一歩を踏み出す勇気が必要だと思います。そういった 意味でも、さまざまな実践や研究内容に触れたり、理論としての土台をしっかり学ぶことができた」 という意見もある。ルーティンワークとなりがちな実践に対して、新たな視点と方法での学びを獲得 していったことの表れであろう。. ストレートマスターでは、「机上で学んだことを実践する余裕がない日もあれば、院生の時に思い 描いていたこととは違う現場を目にしています。しかし、院での学び、出会えた先生方・教授陣から. 得たものが今の自分の支えになり、確実に教員としての力になっている」とする意見もある。一般的 な実践理論が必ずしも直面する実践とつながるわけではないが、何かしらの学びの成果を実感してい ることを示すものである。. 「教育相談研究会の役員をしていますが、その研修会の企画を担当した時、真っ先に力を貸してい ただきたいと考えたのが教職大学院です」と、修了後も教職大学院との関係を教育研究面で活かそう としている人もいる。. 釧路校の現職教員では、「たくさんの刺激を受け、“もっとやってみたい”“もっと考えたい”とい う意欲がわきました」という意見もあった。刺激をバネにして、新しい挑戦的な姿勢を高めていった ということであろう。また「自分の職場では絶対に話すことができないことを、話しすることができ、 様々なアドバイスをもらうことができた」というものもあった。これはある意味では、職場を離れた 研修であるからこそ、逆に校内研修とは異なる現実対応を考えることができるのかもしれない。教職. 大学院はいろんな立場や経験をした人が集まっており、その異校種・異経験が学びを発展させる条件 になっているとも言える。. ストレートマスターでは、「いつも身近にいた先輩の考え方が、実際に子どもたちを目の前にすると、 様々な場面で思い出されます。教職大学院で様々な考え方に触れ、引き出しをたくさん作っておくこ とはこれからの教職生活において重要な意味を持つ」とする院生もいる。すなわち、ストレートマス ターにとってはやはり現職教員がいる中での学びは、次代の若手を育成するという意味でも大きな意 味を持っていることが分かる。ストレートマスターにとっては教職大学院の現職教員の議論のハード ルが高いと感じられる場面は、多々ある。その意味では、現職教員とストレートマスターの学び方に. 違いはあるが、長い目で見れば、かつて学校が持っていた若手育成機能を教職大学院が引き受けるよ うになっているとも言える。. 86.

(6) 修了生対象の振り返りアンケートからとらえられる院生の学びの軌跡と成長. おわりに. 以上のように、様々な校種・立場の人の多様な学びが教職大学院で展開されていることが分かる。 それぞれの院生が持つ日常的な学びのあり方というのは、特定化されるものではないが、その都度の 自分の経験を相対化し、それを理論と結びつけながら学んでいることがうかがえる。そして、その学. びは、単に教職大学院の教員だけからではなく、むしろ院生どうしの学びがその触媒となって発展さ せているようにも見える。そしてさらに、その学びは、大学院生在籍期間の学びだけではなく、大学 院を修了したあとの学びにもつながっているようにも見える。. このような修了生の意識調査結果から見た教職大学院の学びと成果は、今ようやくその端緒的な芽 が出始めたところである。教職大学院の成果は、今後順次修了生が蓄積されて、層をなして来たとき. に、より多くの学校現場・教育界の人に見えてくるものなのかもしれない。. 87.

(7)

参照

関連したドキュメント

題護の象徴でありながら︑その人物に関する詳細はことごとく省か

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

( 同様に、行為者には、一つの生命侵害の認識しか認められないため、一つの故意犯しか認められないことになると思われる。

脱型時期などの違いが強度発現に大きな差を及ぼすと

本プログラム受講生が新しい価値観を持つことができ、自身の今後進むべき道の一助になることを心から願って

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

3月 がつ を迎え むか 、昨年 さくねん の 4月 がつ 頃 ころ に比べる くら と食べる た 量 りょう も増え ふ 、心 こころ も体 からだ も大きく おお 成長 せいちょう