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幼児の音感を育くむ音楽教育に関する研究―「聴く」ことに着目して―

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全文

(1)

平成

28年

学位 論文

幼児の音感 を育む音楽教育 に関す る研究

「聴 く」 ことに着 目 して一

兵庫教育大学

学校教育研究科

教育内容・方法開発専攻

文化表現系芸術 コース芸術系教育分野

学籍番号

M15196F

名前

前川典子

(2)

凡 例

1.『

』文献名 を示す場合に用いる。

2.

」引用および重要な語句

,脚

注における論文タイ トルを表す。

3. ( )本

文中の補足事項を示す場合に用いる。

4.

】見出 しを示す場合に用いる。 5。

< >第

3章

において昔遊びのタイ トルを表す。 6。 人物名においては

,2度

目の記述か ら原則 として姓のみを記す。

(3)

目 次

は じダ)に。…………・¨………・………¨………・¨¨¨………・……¨………°………・………・………2 第

1章

保 育 現場 で の音楽 活 動 の現 状 と問題.……… ……・…… … … … ……・…・…………3 第

1節

保 育 現場 で の音 楽 活動 の現 状 ……… … ………・…… … ……… 3 第

2節

事 前 ア ンケー ト結 果 に よる現 状 か らの考察.…… ……… … … … ……。…・……… 13 第

3節

聴 く耳 を育 て る音 楽 教 育 の実 践 につ い て。………… ……・……… … ……・……… …17 第

2章

保 育 現場 で の授 業 実 践 と結 果.……… … … …… ……… ………・………… … ……… 19 第

1節

身 近 に あ る音 を聴 く実践.……… … … ……・…… … …… ………… ……… 19 第

2節

音 の違 い と音 高 を感 じる実践.…… … … … ……・…… … … …… ………… …30 第

3節

音 を作 り出 し探 し出す 実 践.… .………・……… ……・…………・………・…………35 第

3章

今 後 の保 育現 場 での音 楽活 動へ の応 用.…… ¨………… … … …。……… … …… 43 第

1節

授 業 実 践 を踏 ま えた 上 で の音 楽 活動 報告.…… ……… ………・…………43 第

2節

今 後 の音 楽活 動へ の応用 .………… ……… ………… ………・………・……… … 46 ま とめ …...…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・―・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 巻 末 資 料.… .…¨…°………… ……・…。………… …… … … ……… …¨……… … ……・・ 54 参 考 ・ 引 用 文 献(五十 音 順)..……… … … … ……・……… …… …・60 謝 辞.………¨……… ………65

(4)

は じめ に 本論 文 は

,保

育 現 場 で の音 楽 活 動 を

,幼

児 の音感 を育む こ とに よ つて充 実 させ る こ とは で きな い か とい うこ とを

,授

業 実 践 を通 して研 究 した もの で あ る。 筆者 が音 楽講 師 と して保 育 園 で指 導 して

10年

が経 つ。 最初 の頃 は保 育園 の音 楽活動 に 関 して

,特

に疑 間 に思 うこ ともな く指 導 を して い た。 しか しあ る時

,歌

うこ とが嫌 いだ と い うクラスに出会 つた。音 楽活動 に対 して否 定的 な行 動 をとるわ けで は な か つた のだが, 確 か にそ の ク ラス を担任 して い た保 育士 の先生 は

,音

楽 が苦 手 そ うで あ つた し

,子

どもた ち も歌 うこ とも楽器 を演 奏 す る こ とも楽 しくな さそ うだ つた。 筆 者 は ど うにか して 音 楽 の楽 しさを先 生 に も子 どもた ち に も理 解 して欲 しい と考 え, 様 々 な工夫や 方法 を試 み た。 それ に よつて

,子

どもた ちは積 極 的 に音楽 を楽 しん で くれ る よ うにな つた が

,先

生 に関 して は今 ま で の経 験 か らの影 響 もあ るの か

,苦

手意識 を払拭 す る こ とは難 しか つた よ うで あ る。 この体験 か ら

,難

解 な もので は な く

,保

育士 の先 生 の負 担 に もな らず

,子

ども も保 育 士 の先生 自身 も楽 しめる よ うな音楽活動 はない の で あ ろ うか

,ま

たそ うい つた音 楽 活動 に よ り

,歌

を うた つた り

,楽

器 を演奏 した りす る こ とが よ り良い もの にな る よ うに繋 が る音楽 活動 で あれ ば

,な

お一 層価 値 が あ る もの に な るの で は ない か と考え る よ うに な つた。 そ こで音 楽 の素材 で あ る「音」 に興味 を持つ こ とに よ り

,音

楽 へ も興味 が湧 き

,ま

た音 に対 して鋭敏 な感 覚 と豊 か な感性 を養 うこ とによ り

,歌

唱や 器 楽 な ど演 奏 に も役 立 ち

,楽

しめ る よ うにな るの で は ない か と考 えた。 以 上 の こ とか ら,「音 を聴 く」 とい うこ とに注 目 し

,保

育者 や 幼 児 に とつ て効 果 的 な音 楽 活動 を探 つてい きた い と思 う。

(5)

1章

保 育 現 場 で の 音 楽 活 動 の 現 状 と 問 題 第

1節

保育 現 場 での音 楽 活動 の現 状 幼 児教 育 にお い て音 楽 とはい つた い どの よ うな立 ち位 置 で扱 われ てい るので あ ろ うか。 筆 者 が幼 児教 育 の現場 で音 楽 指 導 を始 めた時

,保

育者 の音 楽 へ対 す る態 度や 考 え方

,幼

児 の音楽活動 に関 しての捉 え方が

,自

身 の もの とは異 な るの で は ない か と少 し違 和感 を覚え る こ とが あ つた。 同 じ音 楽 を指 導 して い るはず なのだ が

,そ

の違 い は一 体 どこか ら来 るの で あ ろ うか。単 に,専門 と専 門外 ,ま た は経 験 の違 い と放 置 しておいて よい の で あ ろ うか。 幼 児 教 育

,音

楽 とい うキー ワー ドで 文献 を探 す と

,様

々 な知見 を得 る こ とがで きた。 高 橋 好子 は,「幼 児 の生活 にお け る音 楽 表 現活 動 は

,音

楽 の さま ざまな要 素や 種 々の分 野 が組 合 わ され

,さ

らに他 の領 域(言葉

,人

間 関係

,環

境 等)と も相 互 に深 い 関係 性 を持 ちなが ら 行 われ る こ とはい うまで もない。」1と述 べ て い る。 また

,若

山剛 らに よ る研 究論 文で は, 「歌 を 回ず さむ、身体で リズムを とつてあげ るこ とで、情緒が安 定し、 コ ミュニケー シ ヨ ンの きつか け とな るな ど、それ が,いの安 定 の大 きな影響 を与 えてい る こ とは誰 もが実感じ て い る事 で あ ろ う。 そ の意 味 で も、言 葉 の発 達 と音 楽 、そ こには発 達 上 、多 角 的 な相 互 関 係 が伺 え るの で は ない か とい うこ とが考 察で きる。」2と論 じて い る。 そ して前 述 の 高橋 好 子 の著書 の 中で

,具

体的 に孝L幼児 の音 楽指 導 に あた つて配 慮すべ き点 と して 「(1)聴覚 系 の 年 齢 発 達 を よ く認 識 す る(2)知能 の発 育

,運

動器 官(骨格

,筋

,神

経 な ど)の発 育 に聴 覚 を 介 した音 感 教 育 の 必要(3)平L幼児教 育 現場 お よび家 庭 にお け る音 楽環境づ く りと

,音

感 教 育 の時期

,年

令 に応 じた適切 な指導 内容 の選 定(4)発声 。発 語 につ い て も発 声器 官

,構

音器 官 の構 造 は親 に似 る こ とが多い し

,発

,発

語機 能 も生活 環境 に影 響 され る点 が多 い。 した が って幼 児期 か ら学童 期 にか け

,年

令 の変 化 と声域 の変 化 を考慮 した児 童 の発 声

,発

語 教 育 は重要 で あ る。」3と音 楽 活 動 と子 どもの身 心 の発 達 のバ ランスを考慮す る よ う

,い

くつ か の注意 を挙 げてい る。 一 方 、武 田道 子 は,「子 どもの生活 は遊 び

,遊

び なが ら学 んで い く と言 われ る。 歌 う事 も子 どもに とつて は

,遊

び の一 つ で あ る。 よ り教 育 的 な意 図 の も とに

,歌

遊 び が構 成 され るな ら

,音

楽 的 に幸 わせ に包 まれ た子供 に育 ってい くだ ろ う。」4と

,子

どもの遊 び の延 長 線 上 に音 楽 を楽 しむ こ とへ の導 きの大切 さを論 じてい る。もちろん,前 述 の高橋 好子 も「幼

87頁

『 日本保育学会大会 1992『 音楽をたの しむ子 どもたち』(株)文化書房博文社,

,1998「

乳幼児期発達の諸相における相互性について」,

1高

橋 好 子,

2若

山岡1ほか 研 究 論 文集

3高

橋 好 子,

4武

田道 子,

130頁

』 (51), 518頁 上掲

,66頁

1979「 幼児の歌唱指導」,『静岡大学教育学部研究報告 教科教育学篇』(11),

(6)

稚 園

,保

育 園 にお け る音楽 表 現活 動 は

,歌

を うた つた り

,楽

器 の演奏 を した り

,音

楽 をき い て身体 を動 か した りす る こ とに よつて子 どもた ちに音 楽 の美 しさ

,楽

しさを充分 に味わ つて も らい

,音

楽 の よろ こび を心や 身 体 で感 じて も ら うこ とを 目的 とす る。 さ らに い うな らば

,音

楽 に よつて子 ども 自身 の感 性 が 引 き出 され

,内

在 す る様 々 な感 情や 心 の動 きが 自 発 的 に表 現活動 化 され る こ とが のぞ ま しい。」5と論 じて い て

,音

楽 を通 して子 ども 自身 の 心身 の成長 を図 る とい う捉 え方 で あ る。 以 上 の こ とか ら考 え る と、幼 児 教 育 か らみ た音 楽 の 立場 とい うの は

,言

葉 の発 達 を促 し, コ ミュニケー シ ョンや遊 び の一 つ と して

,ま

たそれ らの延 長 と して捉 え られ て い る よ うに 考 え られ る。 つ ま り

,幼

児 教 育 にお い て は音楽 を学 ぶ とい うよ りは

,ど

ち らか と言 えば心 身 の発 達 の手段 の一 つ と して

,他

の表 現 の内容 とバ ランス を取 りなが ら音楽 を用 い る とい う考 え方 で あ る と言 え るの で は な いか。 で は

,音

楽教 育 の分 野 にお い て幼 児 に対す る音 楽 教 育 とは どの よ うに考 え られ て い るの で あ ろ うか。 もちろん

,幼

児 に歌詞 の深 い意 味や 作 曲家 の思 い を汲 む とい うよ うな高度 な もの を要 求す る とい うの は無理 な こ とで、 そ の よ うな こ とを子 どもた ちに強 い るの は馬鹿 げてい る。 とはい え

,子

どもな りに言 葉 で表せ な い もの を音 楽 か ら感 じ取 る こ とが で き る よ うにす るためには

,適

切 な導 きが必 要 なの で は ない ので あ ろ うか。 ま た

,そ

うい つた も の を受 け止 め る こ とので き る 「感性 」 を育 て るこ とが必要 なの ではなか ろ うか。 こ こで はそ の感 性 を磨 くた め に どの よ うな実践 が行 われ て い るか とい うこ とを 中心 に 考 察 してみ たい。 まず

,音

楽教 育 産 業 にお い て は どの よ うな アプ ロー チ が採 られ てい るの で あ ろ うか。幼 児教 育部 門で幅 広 い支持 を受 けてい るヤマ ハ音 楽教 室 の考 え方 を参 考 に挙 げ てみ る こ とに す る。吉井 妙子 は

,ヤ

マハ音 楽教室 の原 点 に関 して,「上 手 に弾 け る人か ら、音楽 を楽 しむ 人 へ。 この発想 の転 換 が 、 ヤ マ ハ 音 楽 教 室 の原 点 に な つた。」6と分析 して い る。 そ して, 「子供 が さま ざまな形 で音楽 に触れ 、その楽 しさや心地 よさを味わいなが ら、 自然 に音感 が磨 かれ る とい う方法 を編 み 出そ うと した。 具体的 に言 うな ら、 まず 曲を聴 き、旋 律や 歌 詞 を ドレ ミで歌 い 、次 に歌 つた よ うに鍵盤 を弾 きなが ら確 か め、それ を楽譜 で確 認 す る。 そ して最終的 には、自 ら曲 を作 り、即興演奏 がで きる よ うにす る。つ ま り「き く」「うた う」 「ひ く」「よむ」「つ くる」 とい う

5つ

の要素 を組 み込 んだオ リジナル の発想 で あ る。」7と し

,ヤ

マハ幼 児音 楽教育 が楽 しみ なが ら音感 を磨 き

,基

礎 的音 楽能 力 を磨 くシステ ム を考

5高

橋 好 子

,上

,

6吉

井 妙 子

,2015

7吉

井 妙 子

,同

,

87頁

『 音楽は心 と脳 を育てていた』 日経

BP社 ,20頁

21頁

(7)

案 して い る こ とに注 目 して い る。また 同著 の 中で

,脳

科 学者 の古屋 晋 一 は,「また 、耳が鍛 え られ る と、言語 習得能力 が高 ま り、他人 の感 情 を言葉 の抑揚 で判 断す るこ とが で きる。 言葉 を司 る脳 の言語 野 は音 楽 情 報 も処 理 して い る こ とか ら、適 期 音 楽 教 育 を受 けた子供 は 言語 野 も鍛 え られ て い る。 言 葉 と音楽 には ピ ッチ 、 リズ ム 、文 法 な ど数 多 くの共 通 点 が あ るか らだ。」8と音 楽 に よつて 耳 を鍛 え る こ とに よ り,様 々 な能 力 が鍛 え られ る と して い る。 一 方

,音

楽 分 野 か らみ た幼 児 教 育 の研 究 で も

,玉

置 温子 は,「音 楽 的 素質 とは 、特 別 な もの で は な く、聴 覚 が正 常 で あ り、感 受 力 が あ り、声 が 出せ て 、手 足や 体 が動 かせ る とい うこ とで あ る。 こ うした ご くあ りふれ た普 通 の こ とが 、音 楽 的環 境 の 中 にお かれ て培 われ て ゆ くとき、音楽的 才能 と呼 ばれ るものにな るので あ る。 音楽 的 才能 が遺伝 的 な ものでな く、環境 的 な もの で あ る とい われ るの もこの理 由 に よるの で あ る。 した が つて、 この時期 の音楽的環境作 りは、非常 に重要 な意 味 を もつ もの とな って くるので あ る。 乳幼 児 は この 環境 の 中で 、 自然 発 生 的 に歌 つた り、踊 つた り、奏 した り、 きいた り して 、音 楽 のた の し さを味 わ いつ つ 、 そ の能 力 を伸 して ゆ くので あ る。」9と音 楽 的 な能 力 を伸 ばす た めの環境 につ い て触 れ て い る。 同様 に村 山和 が音 感 と感 受 性 につ い て以 下 の よ うに述 べ て い る。「音感 が 良 けれ ば音 楽 的 な感 受性 が鋭 い か

?音

楽 的感 受性 が鋭 けれ ば音感 は良 い か

?前

者 の場合 に は

,音

感 が 良 い とい うこ とは耳 の機 能 が敏感 で あ る こ とで

,音

楽 的感 受性 が必ず しも鋭 い か ど うか は断 定で きな い。 後者 は

,音

楽 的感 受性 の鋭 い子供 は

,音

楽 の 中か ら何 か しら感 動 を味 わ うこ とを知 つて い る

,心

にふれ る敏 感 な感 受性 を もつて い るの で あ るか ら

,音

感 が全然 だ めだ とい うこ とはない

,非

常 に 出来 が よい わ けで は な くて も

,普

通 に順 調 に音感 はつ い て い く もの だ と思 われ る。 そ して

,音

感 や 演 奏技術 の面 よ り

,む

しろ

,音

楽 的感 受 性 の方 が

,音

楽 を学 ぶ た め に必 要 とさえい え るので あ る。」10と。現在 保 有 して い る音楽 に 関係 す る能 力 を伸 ばす には環境 が大切 で あ り

,音

感 だ けが 良 くて も

,感

受性 だ けが優 れ て い て も

,声

や 身 体 を操 る能力 だ けが長 けて い て もだ めで あ る とい うこ とで あ る。 以 上 の こ とか ら考 え る と

,音

楽 分 野 か らみ た幼 児 の音 楽 教 育 の 立場 と して は

,音

楽活 動 を行 うこ とで子 どもた ちの脳 の発 達

,心

身 の発 達 を助 け る こ とは もち ろん の こ と

,コ

ミュ ニ ケー シ ョンや遊 びか らも う一歩踏 み 込み

,音

楽 を楽 しみ 、音 楽 に関す る能 力 を総 合 的 に 上掲

,140頁

1968「 保 育音楽 にお ける 1969「 幼 児 の音 楽教 育、

8吉

井 妙 子 ,

9玉

置 温 子 ,

42頁

10本す山 和 ,

(5),53頁

ソルフェージュの役割」,『社會問題研究 18』 (1), 特に音感教育について」,『札幌大谷短期大学紀要』

(8)

高 め る とい うこ とを 目的 と して い るの で は ないで あ ろ うか。 幼 児 教 育 か らみ た音 楽 は 「手 段 」 と して捉 え られ てお り、音楽教 育分野 か らみ た幼児部 門の教育 にお いて も

,音

楽 は も ち ろん 「目的 」 と して捉 え られ てい るので あ る。確 か に

,立

場 が違 えば捉 え方 が変 わ る と い うの は 当た り前 の話 だが

,筆

者 は後者 の 考 え方 が不 可欠 な の で はな いか と考 え る。 そ こで まず

,筆

者 と同 じよ うに非 常勤 で幼 稚 園や保 育 園 に指 導 に入 つて い る音 楽 専 門教 育者

9名

に対 して

,指

導す るにあ た り

,

日頃 どの よ うな こ とを園 の常勤教員や保 育士 にお 願 い して い るの か を調 査Hしてみ た。 そ の結果12,音楽 を嫌 い に な らない よ うに 「音 楽 を 楽 しむ」 こ と

,最

近 の 曲

,昔

の 曲の どち らに も偏 らない よ う 「選 由に気 をつ け る」 こ とを 園 にお願 い して い る指 導者 が それ ぞれ 3名

,そ

して

,子

どもが 自 ら進 ん で活 動 し

,考

え る よ うに 「自主性 」 に関 して園 にお願 い して い る指導者 が

2名

,「 ピア ノの伴 奏 の 向上」 を お願 い して い る指 導者 が

2名

で あ つた。 子 どもた ちが好 きな現代 の 曲 と

,親

子 で楽 しめ, 日本 の 良 さがわ か る よ うな昔 なが らの 曲な どを取 り混ぜ る こ と

,自

主性 を養 うこ とで

,一

人 でで も音 楽 を楽 しむ こ とが で き る こ と

,子

どもた ちが憧れ

,音

楽 の美 しさを理 解 で き る よ うな ピア ノの伴 奏 で あって ほ しい こ と

,な

どの願 いが込 め られ てい る。 これ らは いず れ も保 育 現場 で の音 楽 教 育 にお い て大切 に され るべ きポイ ン トで あ る と 考 え られ るが

,こ

の こ とが十 分 に検討 され 、実行 され て い るか とい うとそ うで もないのが 現状 で あ る。

1970年

に服 部公 一 が『 あなた とくら しと音楽 と』の著書 の 中で

,幼

児 に対 す る音 楽教 育 の あ り方 につ いて,「第 一 、考 えて もご らん な さい。子 どもた ち よ りも実力 の な い先生 が教 える音 楽教 育 なんて、私 は全 く信 じられ ませ ん。」13と既 に大 きな 問題 と して指 摘 して い る。 また幼児 教 育 の学会や保 育所 養成 大学 な どにお い て も様 々な研 究 と議 論 が な され て きて い る。 それ らは幼 児 の音 楽 教 育や 音 楽指 導 に関す る研 究

,幼

児 の歌 唱 指 導 につ いての研 究

,幼

稚 園 。保 育 園 にお け る ピア ノ伴 奏 法や 弾 き歌 い に関す る現状 と課 題 に関す る研 究 な どで あ る。 しか し筆 者 が現 場 をみ るか ぎ り

,保

育 現場 で の音 楽 教 育 は十 全 な もの にな つて い ない。

40年

も前 に服 部公 一 が指 摘 して い る上 に

,幼

児 教 育 にお け る音 楽 活動 に 対 して多 くの議 論 が な され て い るに もかか わ らず

,今

現在

,未

だ に解決 に至 らず 問題 が膠 着状 態 で あ る とい うこ とは

,別

の視 点 か らのアプ ロー チが必要 なのではない だ ろ うか。 例 えば

,筆

者 の よ うな音 楽 専 門教 育者 が 園 に入 つて音 楽 を教 え る。 当然 の こ とな が ら, 指 導 とい う行 為 で あ るた め

,技

術 的 な こ と音 楽的 な こ とに関 して

,子

どもた ちに とつては 少 し難 しい と感 じられ る よ うな課題 を与 え る。 もち ろん

,子

どもた ちが音楽 を楽 しめ るよ

H専

門指 導者 ア ンケー ト 巻 末 資料

1参

照 12専門指 導者 ア ンケー ト結 果 巻 末 資料

2参

照 13服

部公一,1970『 あなたとくらしと音楽と』日本放送出版協会

,25頁

(9)

うな配 慮 の上 で の指 導 を心掛 けて い る。 そ して子 どもた ちが

,自

身 ので きな い こ とを楽 し み なが ら達成 す る こ とに よつて

,音

楽 的 に

,ま

た技術 的 に も成 長す るのだ と思 うのだが, ご くた まに課題 を達成す る こ とのみが第一 の 目的 にな つて しまい

,音

楽 を楽 しむ とい うこ とが なお ざ りにな つて しま うこ とが あ る。 この場合

,そ

の音楽活動 は もはや 教 育 と しての 音 楽 活 動 で は な くな り

,い

わ ゆ る「芸 を仕 込む」

,た

だ の訓練 にな つて しま つてい るので あ る。 か とい つて

,音

楽 を楽 しむ こ とだ けに重 き を置 い て しまい

,平

易 な課 題 ばか りにな つ て しま うと

,音

楽 は子 どもた ちに とつて非 常 に退 屈 な学 び の少 な い もの に な って しま う。 以 上 の こ とをバ ラ ンス 良 く指 導 してい くた めに は知識 だ けで な く

,経

験 も必 要 とな り

,な

か なか難 しい こ とではないだ ろ うか。 そ の 上

,昨

今 の少 子 化 の影 響 で

,生

き残 りを賭 けて音 楽教 育 にオ リジナ リテ ィを持 たせ, それ を 「売 り」 に して い る幼 稚 園

,保

育 園 が存 在 す る。 そ のた め保 育現 場 で行 われ る音 楽 活動 は多彩 を極 めて い る。 通 常 の歌唱 指 導 に と どま らず

,様

々な楽器 指 導

,例

えば打楽器 の合 奏や

,園

に よつて は特別 に指 導者 も招 聘 して鼓 笛 隊 に取 り組 ん でみ た り

,ヴ

ァイオ リ ンや ピア ノの演奏 まで に も力 を入れ た りしてい る。そ の他,リ トミックや オル フ音 楽教育, わ らべ 歌 に特化 した歌唱教育 な ども行 つてい る園 もあ る とい う。 この よ うな多様 な音楽活 動 に対応 す るの は

,専

門的 な音楽 教 育 を受 けた者 で さえ困難 な の で は な い だ ろ うか。 事 実

,筆

者 自身 も鼓 笛 隊で の演奏 や 指 導 の経 験 が な い に も関わ らず

,鼓

笛 隊 を指 導 しな けれ ば い けない場 面 に遭遇 した。 解 決 す るた め に経験 者 か ら指 導 法 な どを聴 取 し

,様

々 な 動画 を参 考 に して乗 り切 つた記憶 が あ る。 で は

,実

際 にそ の よ うな活 動 を支 えて い る保 育者 の音 楽指 導 の ス キル は充 分 で あ るので あ ろ うか。 日々の様 々な指 導 に忙 しい上 に

,幼

児期 の音 楽 教 育 は言 葉 の発 達 を促 し

,コ

ミ ュニ ケー シ ョンや遊 び の一つ と して

,ま

た延長 と して捉 え るよ うに学 ん で きた保 育者 に, 専門的 な指 導 法 が求 め られ る活動 を要 求 し

,子

どもが音楽嫌 い にな らない よ うに指導す る 上 で質 の 良い もの を要 求す るのは

,甚

だ酷 な話 なので はないか と思 うの は

,筆

者 だ けな の で あ ろ うか。 もつ と保 育者 と子 どもた ちが無理 のない よ うに音楽 を楽 しみ

,歌

唱 や 楽器 演 奏 に触 れ

,音

楽 とい うもの を楽 しみ な が ら体感 す る こ とが で きない もので あ ろ うか。 保 育 士 も子 どもた ち も

,音

楽 とい うもの を難 しく考 えず に

,音

楽 に対す る感 受性 を養 い

,さ

ら な る興 味 を もつ よ うに音 楽 を学ぶ には

,ど

の よ うに子 どもた ちを導 けば よい のだ ろ うか。 この件 につ いて調 査 してい る時

,様

々な資料 の 中で 「音感 」や 「聴 覚」 とい うキー ワー ドを見か けた。 これ らを扱 った内容 の研 究 では

,音

楽 の分 野 か ら幼 児 に対 す る音 楽教 育 と い うもの を提 える際 に,音 楽 を学ぶ た めの必要 なスキル と して「音 に関心 を持 つ こ と」,「耳

(10)

を鍛 えること」が重要視 されているこ とがわか る。 またその上で音楽 を楽 しめ る環境 とい うもの も必要なのではないだろ うか。 それ では

,音

感や聴覚 を扱 った研 究 を始 める前 に

,保

育者 たちは 自身が行 ってい る音楽 指導に関 して

,実

際 には どの よ うに感 じ

,

どの よ うな問題 を抱 えているのであろ うか。 い くつかの幼稚園

,保

育園の保育者 にお願 い し

,ア

ンケー ト14を実施 した。 【調査の 目的 】 保育者 が 日々の音楽活動 の中で抱 えている問題 の把握。 【調査対象 】 奈 良市の私立幼稚園

T幼

稚園(9名

),S幼

稚園(17名

),私

立保育園

S保

育園(5名

),京

都府 の私立幼稚園

H幼

稚園(15名

),香

芝市 の市立幼稚園

S幼

稚園(4名

),和

歌 山市の私立保育 園

T保

育園(14名

),東

大阪市の私立幼稚園

G幼

稚園(15名)の合計

79名

の保 育者。 【調査期間】

2015年

7月 15日 ∼

2015年

9月 10日 【調査方法】 こち らの提示 した選択肢 を選んで もらい

,養

成校 と現場 との違 いを 自由記述 で記入 して も らう。 14保育 音 楽 指 導 の 実 態 調 査 ア ン ケー ト

,巻

末 資 料

3参

(11)

結果】

<選

択肢の回答>複 数回答可

措 午 化 m 旧 旧 │―ポ1際奏

│リ

‖レフ音楽 ︱ l υ ^ ら L 肘 コ日餞町目倒催蝙 +リ ハ ■ 増 幅 謎 L ⊥ 由 = ■ ガ 諾 工 † 堂 百 忠 ホ れヽ 昴 引 ︱︱︱ = 檀 ろ 諄 コ ーーー : 4 : 4 7 2 綺 刷 圭 天 ” 叩 士 じ 2 │ │ │ │ 3

5 9 2 │ 3 昴 刷 土 寸 ■ 人 r ロ コ 6 1 1 2 I大

2 5 5 │

丘幼

8 9 6 │ 9 7 2 膊 素 咀 晰 ■ ヘ 4 4 8 4 5 9 │ ユ 副 2 5 3 11-tン

5喘 │‖ 101

<自

由記 述

>

自分流に簡単な伴奏にしている

歌唱指導では歌詞の意味を理解し

て気持ちを入れて歌えるよう

にする伝え方に苦労する。

合奏でパート

が分かれると

きにそれぞ

れのリ

ズムを教えるのが個人差もあり

難し

い。

知識とし

て残すだけでなく

体で感じ

て心が弾むよう

な楽し

い音楽の時間にし

たい

のですが難しい。

大学のビアノの指導が授業であり、とにかく伴奏は止まらないで続けてやりきるようにということが耳に残つています。下手でもメ ロディーだけでも続ける、最低ラインですが大事だと思いました。よく歌われる曲も何曲か練習し暗譜で弾けるようにしたので楽で した。

アノ

の能力以外に子どもの歌に合わせること

が難し

い。

学校は講義としては聞いていたが、実際の現場では一人―人に合わせたやり方があり、複数の人数をまとめることは講義だけで は学べないことがありました。

子どもたちに合わせてピ

アノ

弾く

こと

が難し

感じ

る。

子どもたちに歌を教えるときにどうすれば想いが深まるか難しいです。実際に子どもたちに歌を教えていくこと、伝え方はその場 で変化させていかなければならないことを実感しています。ただ大学で弾き歌いのテストに合格するのと現場で保育しているとき の意識は違うと思いました。 短大では、ソナチネなどの練習曲が課題でテストが多かつたのですが、技術にはなつたが実際働くと子どもの曲の弾き歌い力ヽま とんどなので「弾きながら歌える」ことが必要となつて慣れるまで大変だと感じました。 暗譜しないとし1ナないこと、歌いながら弾かないといけないこと、歌つて弾きながら子供たちの様子を見て歌うポイントを伝えない といけないこと等、学校では練習しなかつたことが現場では必要でした。

(12)

短大では弾き歌いのテスト

があつたりしましたが、

現場での現状を知る機会がなく

想像以上に大変でし

た。

鍵盤を見ないで弾かな

いといけないということに慣れるまで苦労しました。簡易伴奏が載つている市販楽譜は多く、手に入りやすいので和音などの豪華

な伴奏のつけ方を学びたかつたよう

に思います。

歌いながら、

子どもを見ながらピアノ

を弾く

いう

こと

を学校ではし

てこなかったので慣れるまでは難しかつた

養成校では、

楽譜通り

に間違えずに弾く

ことが日標でしたが、現場では子供が歌いやすい様にメロディー

(両

手伴奏ではなく

手メロディ

ー左手伴奏等

)を

弾いたり、

子どもたちが苦手なところを歌いやすいよう

に弾いたり

(強

弱をつけたり、

掛け声を掛けたり

)必

ずしも楽譜通りに弾けばよいのではなく

子どもの様子に応じて弾き方を変えていかなく

てはいけないところです。

子どもの方を向きながら弾くのが難しいです

ピアノ

のレッスンは十分ありましたが、

他の色々な楽器

(保

育で使う、

指導する楽器マリ

ンバ

=太

・ハーモニカ

'シ

ンパルなど

)に

触れる機会がなく

現場に出て戸惑いまし

た。

養成校で学んだことはどれも現場で必要と

れることばかり

でし

たが、

現場に出たときに必要とされる、

大人数の子どもに合わせ

たピアノ

伴奏や歌唱指導などの技術は学校ではなかなか身に付けることができなかつたよう

に感じます。

大きく

違う

ことはないが学校では譜面を見て弾く

だけの伴奏が、

現場では子どもの様子を見、

言葉掛けをし

ながら弾く

ので、

間違

えることが多いです。

その曲の良さ

を子供たちに伝えきれず、

反省すること

も多いので、

練習の必要性を感じ

ると

もに、

子どもた

ちが歌いやすく

するためにも正確に弾く

ことに必死にならず、

時には伴奏を工夫し

楽し

―緒に歌えることが大切だと感じます。

自分が弾いている伴奏に合わせて、

子ども

(人)が

歌う

という

経験がなかつたので戸惑いまし

た。

初見で弾く

ことができない。

養成校でも初見を経験できれば良かった。

正確に楽譜を弾く

ことよりも、

止まらずに楽しく

歌つて弾く

ことが大切だと幼稚園で学びました。自分が弾けるレベルに楽譜をアレ

ンジしてもらう、

弾き方を教えてもらう

など、

上手な同僚の先生に教えてもらいました。

伴奏よリ

メロディー

+左

手の伴奏でどれだ

け華やかになるか教えてもらえたら、

幼い子供ほど歌の指導で役に立つのではと

思います。

弾き歌いのテスト

をしたが、

今はプラス子どもの様子も見ているのでただ楽譜通り

弾けてもあまり

意味がないなと感じ

た。

養成校

で学ぶより現場で学ぶことがはるかに多いことも分かつた。

特に違いはない

0学

校より

も就職し

てから弾く

機会が増え、

練習することも多く

なり

ました。

楽譜を見てすぐには難しいものだと

けませんが、

子どもに下ろすまでには練習をたく

んし

ます。

養成校でし

つかりやつていればと後悔しています。

乳児担任し

かしたこと

なく

音楽指導の方法がその年齢にあっているかわからない。

楽し

意欲を持つて取り

組めるようにしている

が、

発声の仕方等乳児にあった指導法も知り

たい

(13)

養成校では楽器に触れる

機会が少なく

正し

い演奏指導の仕方

(楽

器の持ち方等の基礎

)な

どを学べなかつた。

また声楽も子供

に指導すると

きには

'・

を学ばず自分が歌う

ことばかり

であつたので、

今考えると

子ども第一で、

もっと

音楽面でも学びたかつ

た。

学校で様々な童謡や楽器を教えてもらつ

たが、

子供たちに対し

ての指導方法を教えてもらわなかつたよう

に思う

現場での経験

通し

て学んでいく

こと

も多いが、

音楽指導の知識を教えてもら

えればあり

がたいと

思つ

た。

養成校卒ではないので、

経験と

独自の練習で乗り

越え、

ただひたすら練習あるのみだつた。

子供たちと

―緒に歌うために、ある程

度の練習

+弾

いているう

ちにマスタ

ーするという感じ。行事の伴奏は曲と奏者のスキルが合わず、難しさを感じてきた。生演奏も

良さ

もあって悪いとは思わないが、

養成校ではそこまで把握さ

れていないのではないか

?

現場で必要と

れること

によって知ることのできたものがあつた

0(鼓

)

学校においても、

伴奏を簡単にし

て弾き歌いができるよう

にと

指導さ

れたが、

進度が早く

ついていけなかつた。

学校では、

弾き歌いの練習を

行い、

より

多く

の曲を弾けるよう

にし

ていたが、

現場では子供が楽し

楽器に触れら

れるよ

に、

歌え

よう

にするための

「工夫」が必要だつた。

簡単な伴奏であつても、

音を間違う

こと

なく

きちんと

た音を聞かせ、

歌唱指導をすること

が大切だと

思つた。

音の高低差の指導が難し

いと

感じ

た。

行事に合わせた選曲の仕方、

例えば卒園式の曲など、

どんな感じ

の曲を歌えばよいのか

戸惑つた。

幼児に歌唱指導をすると

き、

メロ

ディ

ーをきちんと歌えるようにと思い、どうしても右手を強く

弾いてし

まう

が、

音の美し

音楽の楽

ψ

を純粋に理解できる幼児だからこ

そ指導する側がメロ

ディ

ーだけにとらわれずに音の美しさを楽しめるように指導していく

必要

があるんだなと

思いまし

た。

大学で今の子どもたちは高音が出にく

なつていると

聞き、

現場でもそう

感じ

ること

がある。

何か解決

策はあるか

?

短大で学んだすべてのことは保育現場で生かさ

れること

ばかり

であつたと

保育実践をし

て初めて実感し

まし

た。

学生時代の時間

のある時にピアノ

やソルフェ

ージユの技術を磨いておけばよかつたと反省です。ピアノにおいては楽譜通りに弾く

こと

が大切だと

います。

自己流にアレ

ンジし

てし

まう

曲本来の表現が欠けてし

まう

思います。

かし

初見で弾けるよう

な楽譜であると

有難い。

また簡易伴奏でも華やかに聞こえるテクニッ

クを覚えたい。

(14)

ア ンケー ト結果 を見 る と

,苦

手分 野 で は歌唱指 導 が

58%と

一 番 多 く

,次

いで器 楽指導が

52%,キ

ー ボー ド演奏(伴奏)が

41%と

な り

,そ

の他 の リ トミック

,オ

ル フ音 楽教 育 な どは どち らも一桁 で

,そ

れ ほ ど苦 手意識 が ない

,も

しくは園 で取 り組 ん でいない た め選 択 して い ないので はないか とい う結 果 で あつた。 また

,そ

の苦手分野 を克服す るた めに どの よ う な解決 方 法 を取れ ば よい と考 え られ るか とい う質 問 に対 しては ,知 識 を増や す こ とが

68%

と一番 多 く

,次

い で練 習時 間 を増やす が

54%,読

譜 力 の 向上 が

10%と

な り

,音

楽 が苦手 とい う選 択肢 とわ か らな い とい う選択 肢

,す

な わ ち解 決策 が思 いつ か ない と考 え られ る人 が ,合 わせ て

14%と 7人

1人

の割合 で存在 していた。また,音楽 指 導 を行 うに 当た つて 、 養 成 校 で学 ん だ こ とと現 場 で必 要 とされ た こ とに違 い が あ りま したか とい う質 問 に対す る 自由記 述 に関 して は

,子

どもの方 を向 き(鍵盤 を見ず に)子 どもに合 わせ た伴 奏 をす るこ と が難 しい

,伴

奏 で音楽 を盛 り上 げた り音楽 の 内容や 楽 しさを伝 え る こ とが難 しい

,

とい う 意 見 の ほか

,様

々 な楽器 に対 して の知識 が ないた めそ の知識 を増やす こ と

,ま

た今 までは 自身 が指 導 を受 け る方 だ った が,子 どもに指導 を行 う側 にた つた時 に指 導法 がわか らない, とい う意 見が多 くみ られ た。

(15)

2節

事 前 ア ンケー ト結 果 に よ る現 状 か らの考 察 保 育者 が 日々の音 楽 活 動 の 中で抱 えてい る問題 を把 握 す るた めに行 つた事 前 ア ンケー ト の結果 は

,こ

ち らの予想 して いた もの とか な りか け離 れ て い た こ とに驚 いた。 当初

,音

楽 活 動 に苦 手 意識 の あ る保 育者 は

,演

奏 実技(キー ボー ド演奏)に苦 手意識 が あ るの で はな い だ ろ うか と考 えて いたた めで あ る。 もちろん

,そ

の よ うな保 育者 が全 くいないわ けではな く

4割

存在 す るの で あ るが

,そ

れ よ りも音楽 を指導す る こ とに不安 を覚 えてい る保 育者 が

6割

を 占め

,ま

7割

の保 育者 た ちは音楽 の知識 の必要性 を感 じてい る現状 を うかがい知 る こ とが で きた。 この こ とか ら

,実

際 に幼 児 教 育 にお い て音 楽 活動 の現場 に求 め られ て い る こ とは

,音

楽指 導 をす るに あた って の知識 が ない とい うこ とに対 す る不安 を取 り除 くこ と,そ して

10%存

在 す る音 楽 の嫌 い な保 育者 に対 して の対 策 を講 じる こ となの で は ないか と言 えるのではな いか。 しか しなが ら

,充

分 な音 楽 の知識 を持 つ だ けで音楽指 導 が で き るの で あ ろ うか。 筆者 は それ だ けで は不 十 分 な ので は ない か と考 え る。 なぜ な ら筆 者 自身 もそ うで あ るが

,音

楽 の 知識 が十分 で あ つて も

,そ

れ を表 現 で きるだ けの語彙 力 と

,様

々な面か ら

,楽

曲や 演奏 実 技 にアプ ロー チ で きる柔軟 性

,そ

れ を実際 に音 にす るだ けの実 技力 が必 要 だ と考 え るか ら で あ る。 実 際 に 自身 が実践 して い る指 導 を思 い返 してみ る と

,ま

ず 生徒 が演 奏 して い る姿

,歌

つ て い る姿 を観 察 しなが ら,「音 を聴 い て 」 い る。 そ して生徒 が演奏 して い る楽 曲 を分析 し, そ の楽譜 か ら筆者 や生徒 が読み取 つた 「良い演奏 」 と考 え られ る理想 の音楽や 音 を頭 に描 き(楽曲の理 解 力

),生

徒 の 「音 を聴 く」 こ とに よつて少 しで もそれ に近 づ け るた め に

,生

徒 の演 奏 して い る音 と

,筆

,ま

た は生徒 が考 え る理想 の音 の差異 を改 善す る こ と

,そ

の 改 善 の た め に必 要 な演 奏 技 術 や 音 楽 的 表 現 方 法(楽曲や テ クニ ックヘ の ア プ ロー チカ)を的 確 に生徒 に伝 えて い る(語彙 力)と言 え る し

,そ

の よ うな実践 を心掛 けてい る。 しか しなが ら

,そ

の よ うな能力 を短期 間 で身 につ け る こ とは困難 で あ るた め

,も

つ と根本 的 な ところ に立 ち返 る こ とが必 要 な ので は ない だ ろ うか。 また

,音

楽教 育家 の北村 智恵 が

,ピ

ア ノ指導 の観 点 よ り以 下 の よ うに述べ てい る。「自分 の音 を よ く聴 くこ と一一 音 楽す る人 間 の基本 的 な課題 です。 音 楽(音を楽 しむ と書 く)する た め に ピア ノを習 い始 めた人 間 に対 して

,音

の楽 しみ方(=「音 」の聴 き方)つま り

,音

を聴 くた めの指 導 を しな くて一 体何 を教 え る とい うので しょ う。 時 間 はかか つて も一番 に しな けれ ばな らない大切 な フ ァ クター です 。」

15

そ して

,進

藤 務 子 は 「演奏 す る こ とに限定せ 15北 村音壱ほか

,1996『

音の感性 を育てる 聴能形成の理論 と実際』音楽之友社

,173頁

(16)

,他

者 の発 信 す る音 楽 と一 体化 して触れ 合 うこ とが で き る よ うに な る力。 受 け取 る力。 それ を核 心 を的確 に掴 んで共 有 し

,自

分 の 中で

,さ

らに創 造性 の原 点 と して 自 ら発信す る 力。 子 どもの内部 に宿 つて い る情操 の灯火 は

,人

との か か わ り

,良

い音 楽 との調和 の中に 身 をお くこ とで,力強 い光 とな って,人生 を よ リー 層 豊 か な もの と して くれ る こ とだ ろ う。」 16と 言 つて い る。 他者 の発 信 す る音 楽 と一 体 化 して触 れ 合 うこ とが で き る力 、 そ して受 け 取 る力 とは

,他

者 の 「音 を聴 いて 」

,他

者 の音 楽 を 「感 じとる力」で あ る と考 え られ るので は な いか。 まず はそ うい つた力 を育み

,そ

の力 を使 つて音 楽 を創 造す る力 に繋 が る とい う の で あ る。 以 上 の こ とか ら

,音

楽 は全 て の科 日の 中で 「聴 く」 とい うこ とが何 よ りも重 要視 され る 科 日で あ る と言 うこ とが で き るの で は ない で あ ろ うか。 演 奏す るに して も

,指

導す るに し て も 「音 を聴 く」 とい う行 為 が無視 され る こ とはない。 ま してや 音 が聴 こえな けれ ば

,音

楽 の楽 しさを享受 す る こ とは残 念 なが ら不 可能 なの で あ る。 音 程 の違 い

,微

か な音 のニ ュ ア ンスの差 異 な どを聴 き取 り

,感

じる こ とが音 楽 に とって大切 なので あ る。 また

,そ

れ が 音楽 の楽 しさだ とも言 うこ とが で き る。 とい うこ とは

,豊

富 な知識 を持 つ こ とも大事 で あ るが

,も

つ と 「音 を聴 く」 とい うこ とに真摯 に向 き合 い

,聴

き手 の音 に対 す る感性 を高 め る こ とが

,音

楽 に は大切 な こ とで あ る と言 え るの で は なか ろ うか。 子 ど もな りに難 しい音 楽 的 内容 はわ か らな くて も

,そ

の演奏 は聴 いていて心地 よい

,心

地 よ くない

,楽

しい

,楽

しくない な どの判 断がで き, さ らにす す ん で そ の理 由が なぜ なのか を 自身 で理 解 で きる よ うに な る こ とが音 楽 を学 ぶ こ とには求 め られ て い る。 で は

,実

際 に音 楽 を 「聴 く」 とい うこ とは

,

どの よ うに考 えれ ば よいので あろ うか。 高 野茂 は

,次

の よ うに述 べ てい る。「元来聴 覚 は

,客

観 的 で正 確 な情 報伝 達 には向 い て い ない とい え る。 そ のかわ り

,音

は人 間の感 情 と深 く結 び付 いて い る。 記録 され た過 去 の音 は, その 当時 の 自分 の心 の状態 を あ りあ りと思 い出 させ て くれ る。」

17

この よ うに「音 を聴 く」 とい う体験 は

,そ

の音 を聴 い た時 の状 況

,感

,体

験 と深 く結 び付 い て い る とい う。 ただ 単 に音 を認 識 す る こ とが聴 くこ とで は な く

,聴

いた時 の環境 を も含 めて 「聴 いてい る」 と い うので あ る。 この こ とか らも

,音

楽 を享 受 す る 「環 境 」 は非 常 に重 要 で あ る こ とが わ か る。 また

,田

原 昌子 は フ ィン ラ ン ドの音 楽科 教 育 の視 察 で感 じた彼 の地 で の音 楽教 育 につ いて,「まず第

1点

日と して 、「聴 く」 こ とが 、 フ ィン ラ ン ドに学 ぶ最 も重 要 な音 楽教 育 の 16進 藤務子

,2012「

いをはぐくむ幼児音楽教育一第

2章

「子 どもの感性 と音楽の精神世 界」―」 『久留米信愛女学院短期大学研究紀要』第

35号

,48頁

17高野茂

,1995「

人間の聴覚 と音楽」,『佐賀大学研究論文集』

42(2),162頁

(17)

要 素 で あ る と考 え る。 音 色 や 音 の重 な りや 和 音 を含 め た 「響 き」 に注 目 し、 さ らに音 の流 れ で あ る 「フ レー ズ」 を感 じ表現す る こ とが フ ィンラ ン ドの音 楽科 教 育 の根 底 に あ り、具 体 的 な学習 内容 にお い て 「聴 く」 とい うこ との取得 が 、 よ り高度 な 「表 現活 動 」 とな るの で あ る。」18と分析 して い る。 教 育 先 進 国 で あ る フ ィン ラ ン ドが音 楽 教 育 にお い て 「聴 く」 とい うこ とを重要視 してい る こ とは

,看

過 す る こ とはで きな い。 また

,田

原 は前 述 の研 究 の 中で

,西

洋 人一 フ ィンラン ド人一 と 日本 人 の間で は 「聴 く」 とい う意 味が異 な る と言 つ て い る。「「聴 く」 とい う意 味 が フ ィン ラン ドの場合 と異 な り、 日本 では積極 的 に 「聴 く」 で はな く、自然 に 「聞 く」「聞 こえて くる」環境 の 下で人 々は生活 してい る。 日本 の子 ども た ちが音 を 「聴 く」 とい うこ とを知 る とい うこ とは、 自分 の声や 楽器 の音 だ けで な く、 自 然 の音や 子 どもた ち を取 り囲む生活 の音 を、耳 をす ま して 「聴 く」 こ とに結 びつ くで あ ろ う。 音楽 活動 にお い て は、互 い の歌 声 や 楽器 の音 を 「聴 い て 」音 を合 わせ て演奏 し、音 楽 を楽 しみ 、豊 か な情 操 を育 む こ とに繋 が る。 したが つて 、 この 「聴 く」 こ と とは、音楽 を 形作 つて い るす べ て の要 素 を学ぶ根 底 とな り、学 習 内容 のす べ ての領域 で活 用 で き る と考 え る。」19と い うこ となのだが,確 か に音 の溢れ てい る今 の 日本 では,「耳 をす ま して聴 く」 とい う体験 は

,な

か な か難 しい こ とと言 え よ う。 さ らに

,岡

本 拡 子 が大 学 生 に対 して行 つた 「音 日記 」 の実 践 で興 味深 い結 果 を報 告 して い る。「「音 日記」を書 くこ とに よつて、自身や周 囲 の発す る音 を意識す るよ うにな り、「生 活や 行 動 に変 化 を もた ら した」、「子 どもに とつての音環境 の大切 さに気 づ くことがで きた」 な ど、自分 の発 す る音 を意識 す る こ との必 要性 に気 づ く学 生 も多 く見 られ た。」20と ぃ ぅも のであ る。我 々が いか に音 に溢れ た環 境 にい るのか とい うこ とに気 づ くこ とがで きなけれ ば

,自

分 に とつて必 要 な音

,不

必 要 な音 を選 択 す る こ とが で きな い で あ ろ う。 そ して この 実践結 果 に よ り

,我

々がいか に音 を聞 き流 して生活 してい るのかが わか るので あ る。 以 上 の こ とか ら,「音 を聴 く」とい うこ と、また そ の音 環境 がい か に重 要 な こ とで あ るの か を理解す る こ とがで きるのではないだ ろ うか。 そ して

,残

念 なが ら 日本 にお い て は幼 児 や 初 等 の音楽 教 育 にお いて

,音

を聴 く トレー ニ ングや

,音

環 境・ サ ウン ドス ケー プ に関 し ての指導 が遅れ てい る。もちろん

,そ

れ を指 導 す る側 の保 育 士や 教 師 に対 して も,「音 を聴 く」 とい う行 為 が いか に重 要 か とい うこ とが指 導 され てい な い ので あろ う。 仮 にサ ウン ド 18田 原昌子

,2012「

我 が国の音楽科教育法 に関す る研究

I―

フィンラン ドに学ぶ音楽科 教育法―」,『プール学院大学研 究紀要』第

53号

,66頁

19田 原 昌子

,上

,66頁

20岡本拡子ほか

,2013「

「聴 く」 ことか ら始まる音環境への関心―保育者・教員養成校 に おける 「音 日記」の実践一 」,『 日本学校音楽教育実践学会紀要』第

17号

,289頁

(18)

スケー プ とい つた体系立 て られ た指導 ではな くて も

,

日本 人 が 昔か ら季節 の音や 虫の声 を 敏 感 に感 じて いた よ うに周 りの音 に もつ と 「耳 を澄 ます 」 こ とが実践 で きれ ば

,音

に対 し て の感 受性 も養 うこ とが で き

,音

や 音 楽 に対 して興 味 を抱 かせ

,音

楽 を学ぶ こ とに繋 げ る こ とが で きるので はないか と考 え る。 前 述 の進藤 務 子 は芸術 と教 育 に関 して 「幼 児 に関わ る保 育者 や 幼 稚 園教 諭 は

,芸

術 は芸 術 そ の もので あ る こ とに価 値 が あ り

,芸

術 的 で あ ろ うとす る こ とが

,結

果 的 に感 性 や想 像 力

,美

的情 操 を 自ず と育む こ とにな るのだ とい うこ とを き ちん と意識 し

,そ

して

,子

ども の なかで創 造性 の萌芽 を促 す た めに

,最

大 限

,子

どもの 内面 か ら

,感

動 を引 き出す働 きか け を し

,感

動 や 喜 び を共 有 し

,そ

れ ぞれ の子 どもの さま ざま な表 現 を認 め る姿勢 が必要 で あ る。」21と述 べ て い る。「音 を聴 く」 こ とで感 性 に磨 きをか け

,磨

き上 げ られ た感 性 に よ って音楽 を学び

,楽

しむ 準備 を整 え

,よ

り自由で柔 軟 な創 造性 に繋 が ってい くと考 え られ る。 この よ うな音感 教育 は

,た

とえ ピア ノが 弾 けな くて も

,歌

の指導 がで きな くて も

,充

分 な音 楽的知識 がな くて も

,保

育者 がそ の コンセ プ トに共感 を持 って取 り組 み 方 を工夫すれ ば

,例

えば前述 の北村 が述 べ てい るよ うに,「耳 をす ま して聴 くこ とか ら得 られ る 「音」を 聴 く楽 しみや 「音 楽」す る喜 び,「人 生 」の幸福 まで を も

,子

どもた ちに伝 える努 力 を した ぃ」22と ぃ った明確 な 目的意識 を持 って取 り組 み さえすれ ば

,誰

にで も行 え る教 育方法 な ので はないだ ろ うか。 以 上 の こ とを踏 ま えて

,筆

者 は幼 児 だ けで な く保 育者 に も 「音 を聴 く」 大切 さを体感 で き る授 業 実践 を行 お うと試 み た。

21進

藤務子

,2010「

いをは ぐくむ幼児音楽教育― 第1章 『 久留米信愛女学院短期大学研 究紀要』第

33号

,32頁

22北

村音壱 ほか

,上

,174頁

『創造性 と幼児音楽教育』―」

,

(19)

3節

聴 く耳 を育 て る音 楽教 育 の実 践 に つ いて で は、聴 く耳 を育 て る音 楽教 育 の実践 を行 うた めには、一体 どの よ うな アプ ロー チ を行 えば よい の で あ ろ うか。 耳 を育 て る とい うこ とは

,聴

覚 を鍛 え る

,音

を聴 く技 術 を磨 くとい うこ とで あ る。 この こ とか ら考 え る と,楽器 を使 つて音 高や 音 程 を正確 に聴 き分 け る指 導 にな りが ちで あ るが, 筆者 は まず

,身

の回 りの音 に敏感 にな るこ とが大切 なので はないか と考 え

,サ

ウン ドスケ ー プ的 なアプ ロー チで音 を捉 える ことか ら始 め よ うと考 えた。 レー モ ン ド・ マ リー・ シェ ー フ ァー

(Raymond Murray Schafer 1933-)の

実 践 した サ ウン ドス ケー プ の概 念 に関 し て鳥越 けい子 は,「シ ェー フ ァー が、このサ ウン ドスケー プ概 念 を も とに、これ まで 「音 を つ くる技術 」と して位 置づ け られ てい た音楽活動 を、「音 を聴 く技術 」とい う側 面か ら捉 え 直 し、そ の た めの具体 的 な プ ログ ラム を開発 した こ と。」23と 言 つて い る し

,実

際 に シェー フ ァー は彼 の著書『 サ ウン ドエデ ュケー シ ョン』 にお いて

,彼

自身 が実 際 に行 った実践 を 通 じて開発 した 具体的 なプ ログ ラム を提 案 して い る。 それ らを も とに

,筆

者 が普段 音楽指 導 を行 って い る

,和

歌 山県 の私 立

T保

育 園 にお い て

,6種

類 の授 業 実践 の 内容 を考案 し実 施 した。

T保

育 園 は私 立 とい うこ ともあ り

,保

育 園 で の音 楽教 育 へ の取 り組 み も熱 心 で

,0歳

児 か ら

3歳

児 は リ トミック

,4歳

児 か ら

5歳

児 はマー チ ン グ・ ドリル

,和

太鼓 な どの打楽器 合 奏 の指 導 な どが 日常 的 に行 われ て い る。 そ う した環境 に加 え

,幼

児 の家庭 で の音 楽環 境 の状況 も把握 してお きたい と考 え

,授

業 実践 を行 う前 に幼 児 の保 護 者 にア ンケー ト24を取 り

,調

査 してみ た。 結果 は家庭 での音 楽環境 に関 して は

,

どち らか と言 えば あま り熱 心 と は言 えない状 況25であ った。 お そ らく幼稚 園 で はな く保 育 園 とい うこ ともあ り

,保

護 者 が 普段 か ら子 どもに時 間 を掛 けてや る こ とが で きない とい うこ とだか らな ので あ ろ うか。 ほ とん どの幼 児 が

,家

で は音楽 を視聴す る く らいで

,習

い事 の一 つ と して音楽 活動 を してい るわ けで もな く

,取

り立 て て音 楽 とは密 に接 して い ない

,ま

た家族 の誰 かが音 楽 と密接 に 関 わ りが あ る とい つた よ うな

,幼

児 の身近 な人 間 関係 にお いて も音 楽 を享受 してい る人 が 少 な い環境 で あ った。 以 上 の こ とか ら

,そ

れ ぞれ の幼 児 の音 楽 的 土壌 と して は

,ほ

とん ど 差 が 見 られ ない た め

,授

業 実践 に は最 適 な環境 だ と言 え るで あ ろ う。

23鳥

越 けい子

,1997『

サ ウン

24家

庭 での音楽環境 アンケー

25家

庭 での音楽環境 アンケー ドスケープ [その思想 と実践]』 鹿 島出版会

,92頁

卜用紙 参考資料

4参

照 卜結果 参考資料

5参

(20)

実践の内容 としては, ①身近 にある音 を聴 くための実践 ① ―

i楽

器 の音 を擬音化 し

,身

近 にある どの よ うな物音 に似 ているのか体感す る授 業実践 ① ― 五身近にある物音 を擬音化 し

,楽

器 で模倣 し

,楽

器以外の音 も音楽 としての可 能性があることに気付かせ る授業実践 ②音の違い と音高を感 じるための実践 ② ―

i楽

音ではない簡 単な

3音

の聴 き分 けの授業実践が

2週

間 ② ― 五音の高 さをもつ と細か く刻み

,楽

音 として音程 とい うものを聴 き分 ける授業 実践が

2週

間 ③音 を作 り出 し探 し出す実践 ③ 一 i同 じ楽器 で も奏法が違 うことで色 々な音が出 ることを知 り

,同

じ素材 で様 々 な音 を 自分たちで作 り出す授業実践 ③ ― 五絵や擬音か ら自分の頭 の中でイ メー ジ した音 を探 し出す授業実践 以上

,計

6種

類 の授業実践 を行 つた。対象 とした園児は

,4歳

児 と

5歳

児。 ただ し②音の 違 い と音高を感 じるための実践

,③

音 を作 り出 し探 し出す実践 に関 しては

5歳

児 のみ行 つ た。

(21)

2章

保 育 現 場 で の 授 業 実 践 と 結 果 第

1節

身近 に あ る音 を聴 く実 践 身 近 に あ る音 に敏 感 にな るた めの授 業 実践 と手順 は以 下 の通 り。

4歳

児 と

5歳

児 に実践 した。 第 1回目

2016年

4月 12日

,第

2回

2016年

4月 18日 授 業 実践 第 1回 日 「楽器 か ら身近 な音 へ 」 子 どもか ら見 えない よ うに大 きな ホ ワイ トボー ドの後 ろで楽器 の音 を出 し

,音

を聴 かせ た後

,子

どもた ちにli音 語 で模 倣 させ る。 そ して

,

自分 た ちの周 りに あ る どん な音 に近 い か を答 え させ た後

,実

際 に楽器 を見せ て紹 介 し

,最

後 にそれ ぞれ子 どもが触 りたい楽器 を 一 種 類 だ け触 らせ た。 【楽 器 の種 類 】 コ コナ ッツ

,カ

エル ギ ロ

,ラ

イ オ ン ロア

,バ

ー ドコール

,オ

ー シャ ン ドラム

,サ

ン ドペ ー パ ー ブ ロ ック

,風

,

レイ ンステ ィ ック

,

トー ンタ ン グ

,サ

イ レンホイ ッスル 図 2‐1‐

1:コ

コナ ッツ(板を コ コナ ッツで 叩 く) 図 2‐

1-2:カ

エル ギ ロ(カエ ル の鳴 き声) ::ァ ィ‐11 ・ ‐ ´・: ′′ 図 2‐1‐

3:ラ

イ オ ンロア(ライ オ ンの鳴 き声)

(22)

1‐ tl:rt 図 2‐1‐

4:バ

ー ドコール(鳥の鳴 き声

)図

2‐1‐

5:オ

ー シ ャン ドラム(波の音) ツ ク 図 2‐1‐

7:風

鈴(風の音

,風

を感 じる音) 図 2-1‐

8:レ

イ ンステ ィ ック(雨の音) 図 2‐1‐

9:ト

ー ン タ ン グ(木の お も ち や)

:‡

:││=11

・ ′= :: :ウ │‐′│:1 '

(23)
(24)

【結果】

<4歳

>

提 示 園児 の擬 音 語 園児 の 回答 所 見

①ココナッ

ツ カ チ ッカチ ッ 方 法 が理解 で きて いな か つた様子 で 、擬 音 か ら 身 近 な音 の 具体 的 な回 答 は なか っ た。 音 を擬 音 化 して ほ しい とい う、こち らの意 図 は理解 していたみ たいだが 、そ の後 、何 の音 だ ろ う?とい う問いか けに対 しては、 身 近 な音 を具体 的 に回答 で きなか った。こ ち らの説 明不 足 もあ る と考 え られ る。こち らの 「パ カ ッパ カ ッ」 とい う問い に対 して は 、馬 とい う返答 が あつた。 タカ ン タカ ン

②カエルギ

ロ カ ラ ッカ ラ ッ カ ラ ス の鳴 き声

2種

類 日 とい うこ とで 、子 どもた ち も方 法 が理解 で きた ら しく、す ぐにカ ラス とい う 答 えが 出 た。そ して 、楽器 を見せ る こ とで 、 カエル と答 える子 どもが増 えた。楽器 が小 さいせ い か 、比較 的音 高が高 く、身近 にい るカエル は、も う少 し低 い声 で鳴 いてい る の か も しれ ない。 カ ラ ン コ ロ ン カ エ ル

③ライオン

ロ ア ー ウォー 牛 の 声 まず 、 ウォー と叫び出す子 ども、そ して不 快 な音 な のか 耳 をふ さいだ りす る子 ども が い た。身近 に存在す る音 で はないが、身 近 に あ る太鼓 に細 工 を して い る楽器 のた め、楽器 の説 明で は興 味津 々 で あつた。 怪 物 ガ ォー と言 い 出す ④バー ドコ ー ル ピ ヨ ピ ヨ ヒ ヨ コ 比 較的早 い段 階 で ヒヨコ とい う回答 が出 た。 チチチ ⑤オー シャ ン ドラム ス コ ー ン ペ ッ トボ ト ル の音 普段 の音 楽 活動 で 、ペ ッ トボ トル に砂 を入 れ たペ ッ トボ トル マ ラカ ス を使 つてい る た め、そ の音 を想像 した子 どもが多か っ た。お そ らくそ こか ら導 き出 され た、ペ ッ トボ トル の音 、砂 の音 だ とい う回答 か と思 われ る。 また、「バ チ ャン」 とい う衝 撃音 の時 に、身体 が反応 してい る子 どもが数人 い た。 また、この実践 の 中で一番 た くさん の擬 音語 が出た楽器 で もあ る。 ジ ャジ ャ 砂 の 音 シ ャ ー ゴ ミ収集 車 バ チ ャン シ ャ ワ ー 雨 の音

(25)

提 示 園児 の擬 音 語 園児 の 回答 所 見

⑥風鈴

チ リンチ リン サ ン タ さん の音 風鈴 を知 って い る子 どもが少 な く、レス ト ラ ンな どの店舗 の入 り日の ドアチ ャイ ム を想 像 した子 どもが多 か った。また擬 音語 で鈴 を想 像 したた めか 、サ ン タ さんの音 と い う回答 に繋 が った と思 われ る。 カ ラ ンカ ラ ン レス トラン の音 ⑦サ ン ドペ ーパーブ ロ ツク シ ュ ッ シ ュ ッ ペ ッ トボ ト ル の音 こ こで も、ペ ッ トボ トル マ ラカス の音 を想 像 した子 どもが数 人 い た。そ の た めに砂 の 音 が 出 て きた と思 われ るが 、機 関 車 の音 も 比 較的早 い段 階 で回答 され て いた。本人 が 実際 に機 関車 の音 を知 って い て の 回答 な のか 、絵本 か ら得 た概念 か らの回答 なのか は疑 間 が残 る。 シ ャ ッ シ ャ ッ 機 関車 の音 砂 の 音 汽 車 の音 ③サイ レン ホイ ッスル ビ ュ ー ン 風 の 音 音 自体 は聴 い た こ との あ る子 供 が 多 か つ た が 、まず最初 に出た回答 は風 の音 であつ た。 少 しして救急 車 とい う回 答 が 出たが、 これ も楽器 が小 さか つたせ い か、少 し音 高 が 高か つたた めサイ レンの音 とは捉 えに くか つた か と思 われ る 救 急 車 ⑨ レイ ンス テ ィック シ ュ ー シ ャ ワ ー 擬 音語 が あ ま り出 なか つた が 、ほ ば、オー シ ャン ドラム と同 じよ うな回答 とな つた。 こ とらと して は、オー シャン ドラム と離 し て体験 させ た方 が興味が湧 くか と考 えた が 、逆 に似 た ものの音 を近 くに して聴 か せ 、違 い を考 え させ る とい うの も面 白い方 法 だ つた ので はな いか と思 え た。ただ、風 の音 と表 現す る子供 もいて、こち らの思惑 とは異 な り子 どもの 自由な発 想 力 に驚 か され た。 水 の 音 海 の音 風 の 音 ⑩ トーンタ ング カ ラ ン カ ラ ン ビー 玉 の音 カエル ギ ロ と同 じよ うな擬 音 語 の回答 だ ったが、 あま り身近 でない音 だ つたせ い か 、何 の音 か とい う回答 が出 る際 には時 間 が掛 か つた。 カ ラ ン コ ロン カエル の音 電 車 が 通 過 す る音

(26)

<5歳

>

提 示 園児 の擬 音 語 園児 の 回答 所 見 ① コ コ ナ ッ ツ カ タ ン カ タ ン 椅子 の音 何 か丸 い ものが 当た つてい る様 子 と答 え た子 どもがい た。分析 す る力 が育 ってい る 様 子 で あ つた。 ま た、ホ ワイ トボ ー ドの下 か ら覗 いて コ コナ ッツ と答 えた子 どもが い た。 ②カエルギ ロ ガ ラ ンガ ラ ン ドア の音 ドレ ミフ ァ ソラシ ドの音 が鳴 って い る と 答 えた子 どもが い た。お そ ら く木 琴 を グ リ ッサ ン ドした音 だ と想 像 した の で あ ろ う。 また 、こち らが動物 の何 の鳴 き声 に聞 こえ る と質 問 した ところ、比較 的早 い段 階でカ エル とい う答 えが 出た。 カ ラ ン カ ラ ン ペ ッ トボ ト ル の音 ウッ ドブ ロ ックの音 カエル の鳴 き声 ③ ライオン ロ ア ー ゴ ロ ゴ ロ 雷 の音 不快感 に耳 を押 さえた子 どももい たが、4 歳 児 よ りは少 なか った。び つ く り した と言 葉 に して い る子 どもが い た。楽器 で 出 して い る音 だ とい うこ とが理解 で きて い るた め、どの よ うな楽器 で出てい る音 なのかの 興 味 の方 が大 きい様 子 で あ つた。 オ オ カ ミの 鳴 き声 お な らの音 象 の鳴 き声 ④バー ドコ ー ル ピ ヨ ピ ヨ ヒ ヨ コの 声 音 が 出 た瞬 間 に ヒ ヨコ と一斉 に答 えが 出 た。 しか しなが ら、キ ュ ッキ ュ ッとい う音 が苦手 なせ いか、耳 をふ さぐ子 どももい た。 ⑤オー シャ ン ドラム シ ャ ー シ ャ ー 雨 の音 雨 よ り激 しい音 とい うこ とで 、嵐 を想 像 し た子 どもがいた。 また、何 か を焼 いてい る 音 と答 えた子 ども もい た。何 種類 もの音 が 連動 して い るた め に、それ ぞれ の部分 で音 を聴 く子 供 が多 く、様 々な擬 音語 、回答 が 出て くる楽器 で あ つた。 ザ ラザ ラ 嵐 の音 シ ャ ー 物 を焼 い て い る音 バ チ ャン 波 の音

⑥風鈴

チ リンチ リン 風 鈴 の 音 や は り、

5歳

児は風鈴 を知 ってい る様子で、 す ぐに風鈴 とい う回答が出た。 ベ ル の音 自転 車 の音

参照

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