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言語文化研究所年報 3号

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(1)

ISSN 0915-7654

武庫川 女子 大学

言語文化研究所年報

3号

(2)

武 庫 川 女 子 大 学

言 語 文 化 研 究 所 年 報

3号

新言文一致体 の計量的分析

佐竹

秀雄

1

萬代

35

初期近 代英語 の

2極

性 ―母語への覚醒とナショナリズムー

平岡

照 明

15

キ ー ワー ド キ ー ワー ド キ ー フー ド 若い世代の ことば 文体 話 しことば的 量的構造 新言文一致体

Achaizers

Mother

Tongue

fiationalism

Purists

情報 リテラシー教育におけるコンピュータの機能

市川

真文

22

情 報 情報 リテ ラシー システ ム デ ー タベ ース

会話 システ ム

MUSEOと

自然言語処理

キ ー ワー ド キ ー フー ド 人工知能 知識 ベ ース 格文法 ヒューマ ンイ ンターフ ェイス

琉歌の助詞

沖縄語 文法 助詞の種類

清水

47

(3)

武庫川 女 子大学言語文化研究所年報 第

3号

(1991)

新言文一致体 の計量的分析

1.目

的 前年度 の『 言語文化研究所年報』 で、筆者は、 ジュニア小説 とその作家に 対す るフ ァン レターを取 り 上げた。 両者 は似 た文体を もって お り、表 現上、 表 記上 の特徴 を分析 した結果 か ら、その文体が 「思いつ くまま、感 じるまま に相手に話 しかけ る」性格を もつ ものであることが明 らかにな った。 また、それは、十年以上前か ら若 い世代 に特徴的に見 られ る もので、筆者 が新 言文一致体 と名づけているものであることも指摘 しておいた。 この論文では、 ジュニア小説 とフ ァン レターだけでな く、若者の書 く他の 新 言文一致体の文章を も調査対象に取 り上げ、それ らを計量的に分析す る。 新 言文一致体 とい う文体 が どの よ うな特徴 を もち、それ が、 どの よ うな量 的 な構造 とな って反映 され ているか、つ ま り、新言文一致体の本質的な特徴 と 数量 的 に とらえた文体 との関係について論述す る。

2.新

言文一致体 とは 新 言文一致体 と最初に名づけたのは、「若者雑誌のことば 新・言文一 致体 」(『言語生活』343号、1980年 7月

)で

あった。その ときに取 り上げ た文章の一例を示せば、次の ような ものである。 ところが、そんなバ カ高いお金を出 さな くて も、お洒落感覚抜群の粋 なイ タ リア ものが気楽 に買える専門店が、

TOKYOに

もあ るのです。 先進のハイテ ックでまとめた洒落たイ ンテ リア。その中に よだれ もの : のア ロハやペグ・ バ ンツ、カーベ ンターパ ンツなどが整然 と並んでお り

ます。¨…・

:

(4)

で、 】

Fが

くボール〉、

2Fが

くカンパニー〉のシ ョップになってま し て、前者はフ リーな感覚の遊び着、後者は、アダル ト感覚のカジュアル、 といった風に、それぞれ持ち味は違 うけれ ど、いずれ もハイセ ンスな服 たちでいっぱいなのだ。…… で、 この夏、 こんな リーズナブルなイタ リアもんをあた しゃお薦め し ますぞ。

(『

POPEYE』

1“0年 4月 10日号) 当時の若者に人気のあった『

POPEYE』

『 ビ ック リ′ヽウス』『 ブ レイボー イ』『 平几バ ンチ』

m・

an』non・ n倒『宝島』といった雑誌に掲載 されてい た文章が、 この ような ものだ ったのである。 この種の文章は、一般の総合雑誌や一般向け週刊誌などに掲載 され る文章 とは、かな り異な った印象を受ける。たとえば、上の文章を一読 して感 じる のは、外来語がかな り多 く使われてい ることであ る。 また、「よだれ もの」 「服たち」 といった、書 きことばではあま り見 られないことばが使われてい るの も気にかかろ う。最後の「あた しゃお薦め しますぞ」 とい うの も書 きこ とば としてはひっかかる表現である。 この文章 と同種の ものを多 く集めて分析 した結果、書 きことばではな く、 話 しことば的な表現が多 く見られ る事実が判明 した。た とえば、 。おっと洗濯 も簡単、す ぐ乾いちゃうしね。 ・ それがめちゃ速いのです。 ・ マブい男が

3人

くらいで き、声かけて くる じゃん。 ・ ケーキの中央に何か ヒモみたいなのが見えるだろ。実はフルーツケーキ じゃないんだ、タル ト・ キャン ドルなんだな。 ・ それはですね、なん とホテルにひとりで行 っちゃって泊 ってきちゃ うん です よ。 ・ ……セ ッ トで使 うといい。 あ っ、そ うそ う、バスル ームといえば…… の下線部分に注 目されたい。「ちゃ う 。じゃ」な どの俗語形や「めちゃ・ マブ い」 とい った流行 語 の使用 、「ね・ よ・ な」 な どの終助 詞 の多用 、 さ らに 「あ っ、そ うそ う」 の ような挿入句 の使用が見 られ る。 これ らは、いずれ も

(5)

新言文一致体の計量的分析 話 しことばの形式が書 きことばに もちこまれた もの と見ることができる。 また、表記に関 して も特殊な用法が見 られる。た とえば、 ・ 申し訳ないか らホメルって ワケでもない。 ・思 っていた よりず っとカ ッコイイことに感激 した。 。まぁ、 よくよく無視されたものだねた。 。なんとな一くあなたの方が…… 。そ ういうのって、すっごく子供 っぱいなあ∼ と思 うのです。 ・ テーマ曲も決ま りました! の下線箇所の「ホメル・ ワケ・ カッコイイ」は、 ごく普通には片仮名を使 う 必要がない。 また、「あ・ え・ っ」の小字、長音符号「―」「∼」の使い方 も 意図的で特殊である。その他、上の例では

1か

所だけであるが、記号 「!」 も実際には よく使われていた。そ して、それ らのあま リー般的ではない表記 は、その表現のニュアンスや話す ときの口調を、できるだけ表そ うとす る箇 所に多 く使われていたのである。 こうした表現や表記の特徴か ら、 この種の文章は、結局、書 き手が話 して いる口調に近 いもので、それは、書き手が、読み手に対 して話 しかけるよう な調子で書いているために生 じると考えられた。 そこで、 この種の文章の文体を「新言文一致体」 と名づけたのである。 し たがって、その文体の根本的な性格は、まるで話す ときのように「思いつ く まま、感 じるままに相手に話 しかける」 ことだ と言えよう。

3.新

言文一致体の広が リ その当時に分析の対象 とした若者雑誌の文章は、多 くは、編集者やフ リー ライターといったプロの物書 きが書いた ものであった。 しか し、他方で、プ ロに限らず、アマチュアも似た ような文章を書いていた。たとえば、若者雑 誌における一般読者の投稿文でも、新言文一致体の文章が見られた。 そ してその後、新言文一致体の文章 は、若者の書 く文章 の間で広 が って い った。 より厳密に言えば、少な くとも、若者雑誌以外の場において新言文 一致体の文章が確認で きた。

(6)

この数年に限 って言えば、次の資料を調査 した結果、いずれにおいて も新 言 文一致体の傾 向を認め ることがで きたのである。

Aは

、雑誌に設け られた読者の投稿ベージに掲載 されたものである。雑誌 に よって掲載量に多少はあるし、一つの投稿に長短 もあるが、一つの投稿か ら

1文

ずつを無作為抽出 した。

Bは

、一種の感想文である。東京都練馬区内にある「いわ さきちひろ美術 館」では、いわ さきちひろ氏の絵を展示 しているが、来館者が自由に感想を 書 くノー トが備えつけ られている。来館者のほ とんどは若い女性であるが、 大学 ノー トに書かれた他の人たちの文章を読み、それぞれ 自分の感想をつづ る。そのせいか、似た ような内容のものが多い。なお、 ノー トのかたわ らに は国語辞典が常備 されている。 このノー トは

1"7年

か ら続いてお り、調査に使用 させて もらったのは、上 記の期限内に書かれた16歳∼25歳の文章 と特定できるものに限 った。他の資

A

若者雑誌 におけ る投 稿 文 雑 誌

7誌

(『セプ ンテ ィー ン』『宝島』『 ダ ンク』 『 デ ュエ ッ ト』『 ビッグ トゥモ ロー』『 ポパィ』 『 ボ ム」(いず れ も

1%9年

1月 刊行 の もの

)に

掲 載 され た読者投稿、70の 文章を対象に各文章か ら

1文

、計70文 。

B

「いわ さきちひろ美 術館」の感想 ノー ト 1989年

9∼

10月分の一部、22編を対象に、各文 章か ら

3文

、計66文。

C

ジュニア小説の作家 へ の フ ァ ン レ タ ー 「テ ィーンズ文庫」の作家 に送 られて きた ファ ン レター (19∞ 年 7月

)の

一部、40編 を対象に 便箋

1枚

ご とに

1文

、計68文 。

D

ジェニア小説 「テ ィーンズ文庫」 の作品

5編

(麻生ゆ う『 明 日は好 きといえる』、織 田加絵『 恋 少 女 は名探 偵』、折原み と『 天使の降 る夜』、花井愛 子『 山 田ババ アに花束 を』、若林真紀『 長 い長 い片 想 いの結末』

)各

1編

か ら20文 、計100文 。 │ │

(7)

新言 文一致 体 の計量的分析 料 とのバ ランスを考え、

1資

料から

3文

を無作為抽出に よって取 り出 した。

Cは

「テ ィーンズ文庫」 とい うジュニア小説の作家に対 して送 られてきた ファンレターである。書き手は中学・ 高校生が中心で、女性ばか りである。 これは便箋のページを単位 として無作為抽出によってデータを得た。

Dは

Cの

ファンレターを出す もとになった『 ジュニア小説』の文章であ る。 ファンレターが送 られてきた作家を中心に上記の五つの作品を選んで、 全部で1∞文を無作為抽出 した。 なお、

Cと

Dは

前年度の年報に取 り上げた ものである。 これ ら

A∼ Dの

資料を調べると、いずれ も、「

2.新

言文一致体 とは」で述 べた ような、表現・ 表記上の特徴が見られた。つまり、書きことばの中に話 しことば的な要素が多 く含 まれてお り、書 き手が読み手に話 しかけるような ものであった。(詳しくは文献

3,4参

照)。 以下、 これ らの資料をもとに、計量的な観点か ら分析を試みるが、その前 に、資料が具体的に どのような ものであるかを示 してお く。 A 次 の 日、 オ レが学校 に行 くと、み んながオ レを見 て クス クス笑 うの だ。 オ レ は 、 “やべ ぇ―、バ レたかな∼" と心配 して教室に入ると、いきな り、 「おはよぉ

!

精子 く―ん!」 といわれた。花畑からいっきに海の底に墜落 した ようだ った。 「くそ…

!

どこか らバ レた

!

や っば リヤツがばらしたのか」 とオ レはかんべ きにプ ッツンしていた。 B ここに来 るのは、

2度

目です。 さみ しそ うってい うのは、その時 (最 初に

)一

緒 に来た人がい った 言葉です。 それ まで気がつかな くって ′ヽッと しま した。

(8)

C 今 日はひ と りで来 てい ます。ホ ン トは、そ の人の Birthdayだ った の に ¨ Ъ バ ースデ ィイ ヴに、つ まんないケンカを しちゃったんです。 今 日は反 省す るために ここへ来 ま した。 ち ゃん と仲直 りして また今度

2人

で来 ます。 ☆ …

今 日は永 い 1日 で した。 は じめまして! 私は高校

2年

生の女の子です。 先生の家にはた くさん猫がいるそ うですが、私の家 も4月 に猫が子 供を

4ひ

き産んで

1び

きしか もらって もらえなか ったので、家で飼 っ ています。 でも家はいたむ し、食費はかか るし親に捨てられないか不安です。 でもとおって もかわいいので捨てることができません!! こればっか りは仕方ないです よねえ―!

D

で も、 このデ ィズニーラン ドの雰囲気 って、あた し、何度来て も好 きなんだ ぁυ なんか …ね、 デ ィズニー ラン ドにい る人、み ―んな幸せ そ うな顔 し ていない? ミッキーや ミユーや ドナル ドや。 きれ ―なお城や緑に囲 まれて、夢 の国にいるみたい。 外 の世界 とは、 い っさい切 りはな され て さ、や な ことも、悲 しい こ とも、ぜ ―んぶ ワクの外 !

4.新

言文一致体の量的構造 ― 新聞の投書との比較― 上に掲げた

A∼

Dの

資料を、以下の(1)∼ (6)の計量的な観点か ら文体分析 を行 うが、その結果の値が、一般の文章の場合 とどれは ど違 っているのかを 比較するために、 もう一つの資料を用意す る。それは、

(9)

新 言文一致 体 の計 量的分析

E

新 間 の投書 朝 日・ 毎 日新 聞 (1990年6月

4∼

9日

)の

投書 欄 に掲 載 された92の 文章 を対象 に、

1文

章 か ら

1文

ずつ 、計92文 。 である。朝 日新間の投書欄 「声」、同 じく毎 日新聞の「みんなの広場」に掲載 された文章か ら無作為抽出に よって、92文 を選 んだ。

(1)語

種 まず、

A∼

Eの 5種

類 の文章 につ いて語種 比率を調 べた。 その結果が表

1で

あ る。表 で 「そ の他」 とい うのは 、人名・ 地名 な どの固有名詞である。 表

1

語種 の比率

(%)

漢 語 和 語 外来語 混種語 その他

A

若者雑誌 の投稿

B

感想 ノー ト

c

フ ァン レター

D

ジ ュニア小説

E

新間 の投 書 19.3 16.4 20.6 14.1 69.6 78.0 69.4 74.0 5.4 1.0 3.1 2.6 2.4 1.8 2.0 2.6 3.3 2.7 4.8 6.6 39.0 54.7 1.9 3.0 1.5 漢語 と和語のパ ランスに大 きな違 いが あ る。

A∼

Dで

は、漢語が

Eの

「新聞の投書」の場合の半分 もない。その分、和語が15∼ん

%も

多い。外 来語については、

Aは

た しかに多いが、C、

Dに

関 しては、

Eと

の間で統 計的な有意差が認め られるほ どの差ではない。

Bに

いたっては、

Eよ

りも 少ない。 ところで、私たちが 日常、行 っている会話は、和語中心で漢語は少ない。 それを考慮 して上の結果を見 ると、

A∼

Dの

新言文一致体の和語の多 さは、 話 しことば的だ とい う特徴を よく反映 しているものと言え よう。 また、

Aの

外来語が多いのは、若者雑誌が扱 うテーマと関連するためで あろ う。若者雑誌では、ファッシ ョン、ミュージック、スポーツなど、外来 語 とかかわ りの強いものが扱われ る。すると、投稿で もそれ らに関す る話 題が取 り上げ られ ることにな り、当然、外来語が多 くなるのだ と思われ る。

(10)

(2)品

詞 次 に、品詞 の構成比率を調べ る。品詞に関 しては、 自立語だけを数 え、 付属 語は省 いた。 そ の結果が表

2で

あ る。 表

2

品 詞 の比 率

(%)

名詞 動詞 形容 形動 副詞 連体 接続 感動

A

若者雑誌の投稿

B

感 想 ノー ト

C

フ ァン レター

D

ジ ュニア小説

E

新聞の投書 52.3 41_9 46.1 48.4 30.2 35.1 30.7 31.7 4.8 4.5 7.0 2.8 3.5 2.9 3.0 2.0 4.8 11.3 7.4 10.7 2.6 2.1 2.0 1.8 1.2 2.1 1.5 1.2 0.7 0.2 2.2 1.5 56.7 29.2 4.2 2.5 4.4 2.0 0.9 0.1 この表 では名詞の値が注 目され る。

A∼

Dの

すべてが 、

Eの

「新間の投 書」 よ りも低 い値 を示 して い る。それに対 して、動詞 と副詞では、

A∼

D

の いずれ も

Eよ

り高い値を示 してい る。 もっ と も、動 詞 で は

Bの

「感 想 ノー ト」以外は どれ もあま り差がない。副詞の方は、

Aの

「若者雑誌の投 稿」 と

Eと

の差 はほ とん どないが、

B∼ Dは

Eと

やや差 がある。以上か ら、

A∼ Dは

名詞 が少 な く、副詞が多い傾 向にあ ると言える ようだ。 話 しことば、特に、お しゃべ りでは、「だれが」や「何を」にあた る語は 省略 されやす い。 それ らは談話の文脈に よって理解 で き、いちいち ことば に よって明示 しな くて もわか るか らであ る。 それ よ りも、「どの よ うに」 「ど うした」な どにあた る語のほ うが大事な情報 とな る。その結果、話 し ことばでは、主語や 目的語にな る名詞が少な くな り、状態や程度を表す副 詞や動作 を表す動詞 が多 くな る ことが推測 され る。 この ように考 えると、

A∼

Dの

品詞構成 で、名詞が少な く副詞が多い と ヽヽう結果は、それ らの新言文一致体がお しゃべ り的であることの反映なの だ と思われ る。

(3)文

1文

の長 さは どうであろ うか。

1文

を文節の長 さではか った結果を グラ フに した ものが図

1で

あ る。

(11)

新 言文一 致 体 の計量 的分析 図

1

文 長 (文節)

A

若 者雑 誌 の投 稿

B

感 想 ノー ト

C

フ ァン レター

D

ジ ュニ ア小 説

E

新 聞 の投 書 8.7 7.4 8.0 6.0 11.7

A∼

Dは

Eに

比べ て明 らか に短 い。話 しことばでは短 く切 られ た ことば が行 き交 うのが普通であ り、 これ も話 しことばの反映だ と見て よいだろ う。 に

)指

示語 話 しことばは、 また、 お互 いに面 と向か って話す ことが多い ために、 直 接 そ の ものを指 す ことば以外 に、「これ・ それ ・ あれ 」「 この 。そ の 。あ の」 といった指示語が よ く使われ る。 また、お しゃべ りでは、内容をl・分 に まとめ る暇 な く発言す るので、文脈に頼 ることが多 く、やは リコツア系 の指示語が使われやすい。 も し、新言文一致体が話 しことば的な文章 であ れ ば、文脈に頼 った指示語が多 くなるはず である。 そ こで、指示語の比率 を調べた。その結果が、次 の図

2で

あ る。 図

2

指 示 語 の比 率

(%)

A

若者雑 誌の投稿

B

感 想 ノー ト

C

フ ァン レター

D

ジ ュニア小説

E

新 聞の投書 3.5 5.3 3.0 4.4 2.2

Cの

値 はやや低 いが、A、 B、

Dは Eに

比 べ て か な り高 い。 や は り、

A∼

Dの

新 言文 一致 体がお しゃべ り的な性格 を もっているためであろ う。

(5)働

きかけ文 次 に、働 きかけ文の比率を見てみ よ う。働 きかけ文 とい うのは、受け手 に何 らか の働 きかけがな され る文 をい う。 た とえば 「おは ょ う」 の ような

(12)

“あいさつ"、「もしもし」といった “呼びかけ

"は

、受 け 手の応答や返事 を期待 して発せ られ る。 こ うした受け手への働 きかけを もった文は、会話 では当然増 えて くる。 働 きかけ文には、 “あい さつ''“呼びか け

"の

ほか、“命令・禁 止

"

“勧

"

“疑問

"

“判定要求

"

“あいず ち要求

"

“反語

"な

どが含 まれ るが、 それ らが どれ ぐらいの比率で存在す るかを調べた。その結果が図

3で

あ る。 図

3

働 きかけ文 の比率

(%)

A

若者雑 誌 の投稿

B

感想 ノー ト

C

フ ァン レター

D

ジ ュニア小説

E

新 間 の投書 7.1 3.7 16.7 39.7 .0 35 17.4

Cと

Dは

Eの

値 をは るか に超 えて い るが、

Aと

Bは

逆 に

Eよ

り少ない。 これを見た限 りでは、働 きかけ る形式が強 く反映 され るもの と、それほ ど 強 く反映 され ない ものが あ る よ うだ。 つ ま り、 フ ァン ンタ ーや ジ ュニア小 説 は、ひ と りの相手 に話 しかけ る よ うなス タイルで あ るために働 きかけが 強 くな るのに対 して、投稿や 感想 ノー トでは、読み手 が個人 に特 定 され な い分だけ働 きかけの文が少な くなるのだろ う。 ⑥ オ ノマ トペ 書 き ことば よ りも話 しことば で多 く出現す る ものに、擬音語・ 擬態語 が あ る。 これ らのオ ノマ トベの使 用 につ いて調べ た ものが、図

4で

あ る。 図

4

表情 語の比率 │

A

若者雑 誌 の投 稿 │

B

感想 ノー ト

C

フ ァン レタ ー

D

ジ ュニ ア小 説

E

新 聞 の投 書 (‰) 13.2 14.4 9.3 19.7

(13)

新 言文一致 体 の計 量的 分析 この結果 も明らかに、

A∼ Dは

Eよ

り高い比率を示 している。やは り、 話 しことば的性格の表れ といって よいだろ う。

5.新

言文一致体 と既存データとの比較 以上、

4種

類の新言文一致体の文章

A∼

Dと

新聞の投書 とを量的な観点か ら比較 してきた。その結果、

A∼ Dに

おいて話 しことば的な性格が反映 され た と考えられる数値が得 られた。 しか し、それは 「新関の投書」に比較 して のものであった。そ こで、結果を よリー般化 して確実な ものにするために、 先行の調査研究で得 られているよリー般的なデータと比較 してみ よう。

(1)語

種 雑誌九十種の調査 (文献

5)に

よれば、雑誌の文章中の語種比率は、 漢語

:41_3%

和語

:53.9%

外来語

:2.9%

混種語

:1_9%

とい う結果が出ている。 これ と、先の表 1に おける新言文一致体の 漢語 :14∼

21%

和語 :69∼

78%

外来語 :1∼

5%

混種語 :2∼

3%

とを比較すれば、やは り漢語が少な くて和語が多いとい う特徴はまちがい のないものと考えられる。 また、話 しことばにおける語種を調べた ものに、野元菊雄氏の調査 (文 献6、

7)や

土屋信一氏の調査 (文献

8)が

ある。文献

6は

岡崎市で行わ れた敬語調査での資料を使 ってお り、文献

7で

は東京お よびその近郊に在 住の、 日本語教育 または語学関係の研究者の発話 とその話 し相手の発話を 録音 した ものを分析 している。文献

8は

、雑誌『 言語生活』に掲載 された、 話 しことばの文字化資料を分析 したものである。 それ らに よれば、話 しことばに占める漢語の割合は、 野元氏の調査 (文献

6):12.7%

野元氏の調査 (文献

7):23.6%

上屋氏の調査 (文献

8):17.8%

である。

A∼ Dの

新言文一致体における漢語が14∼

21%で

あるから、その 語種比率は、実際の話 しことばの比率に非常に近いものであると言える。 ② 名詞・ 文長・ 指示語・働 きかけ文

(14)

次 に、樺 島忠夫氏のデータ (文献

9)と

比 較す る。樺 島氏のデ ータは、 冗長的な表現の文章 (談 話

)と

要約的・ 凝縮的な表現 の文章 とを比較 した もので、次に表3と して引用 した。 表

3

樺 島忠夫氏のデータ (単位 :文長 は文節、それ以外は

%)

上か ら下へ、冗長的な ものか ら要約的・凝縮的な ものへ と並んでいる。 談話語や会話文 な ど、話 しこ とばは 当然上の方 に位置 している。数値は、 下 にゆ くほ ど、名詞では大 き くな り、文の長 さも大 き くな る傾 向がある。 指示 語 では逆に小 さ くな り、働 きかけ文 では談話語だけ大 きな値 を とって い る。 ところで、先の

A∼

Dに

つ いての値を整理 して、最小値∼最大値の形式 で示す と次の ようになる。 名 詞 :41.9∼52.3 文 長 :6.1∼8.7 指 示 語 :3.0∼5.3 働 きかけ文 :7.1∼19.7 名 詞

文 長 指 示 語 働 きか け文 談話語 『 女性 自身』会 話 『 週 刊新潮』会 話 『 女性 自身』地 の文 『 週 刊新湖』地 の文 新 聞社説 広 告の文章 出版 目録解説 映画解 説パ ンフ 新 聞記事 番組 案 内 新 聞見 出 し 48.1 9.0 2.0 1.0 2.0 1.0 4.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 41.0 49.1 53.6 56.4 59.1 57.8 63.0 60.6 67.3 68.3 70.7 85.5 5.4 6.9 8.8 8.5 10.2 15.4 5.5 10.6 14.3 13.4 11.3 6.6 3.5 3.1 2.1 2.8 3.6 3.7 2.7 2.4 1.6 1.0 0.0 │ l │ │

(15)

新言文一致体の計量的分析 これ らを、表3とつ きあわせてみ ると、名詞、文長、指示語の値 は、い ずれ も談話語 ない し週 刊誌 の会話の あた りに位置す る。 働 きかけ文 は、新 間 の投 書 と比較 した ときには、 フ ァン ンターや ジ ュニ ア小説では よ り多 く、雑誌 の投稿や感想 ノー トでは よ り少ないとい う結果 で ぁ った。 しか し、表3と比 較す る と、働 きかけが最小 の7.1で もか な り多 い方 で、談話語には及ばない ものの、会話文の値 も しくはそれ以上の高い 値 を とることがわか る。 以上 の ことか ら、名詞、 文長、指示語、働 きかけ文 の数値 につ いて も、 話 しことばにか な り近 い値 を示 して い ると言 え よ う。

6.新

言文一致体の字種 最後に、字種の問題に触れてお く。新言文一致体は、「

2.新

言文一致体 と は」で述べた ように、表記上の大きな特徴がある。そ こで、表記の様相を示 す尺度の一つ としての字種比率を調べた。それを表4と して示す。 表

4

字種 の比率

(%)

A∼ Dは

Eに

比べて漢字の比率が半分程度 しかな く、その分、平仮名、 記号が多 くなっている。 これは、やは リー般 の書 きことばの姿 とはかな り 違 っている。 この漢字が少な く平仮名が多いのは、漢語が少な く和語が多いことと対応 している結果であろ う。記号の多さは、文長が短いために句点が多 くなって いることも原因の一つであろ うが、それだけ ではな く、読点 の多 さや 「! ・?」 などの記号の使用 も影響 しているのだろ う。 漢字 平仮名 片仮名 数字 英字 記号 A 若者雑 誌 の投稿 感想 ノー ト フ ァンレター ジ ュニア小説

B

C

D

E

新 聞 の投 書 19.5 18.7 17.7 18.9 59.4 68.4 65.0 62.2 8.7 2.7 5.1 6.5 1.1 0.8 1.4 0.2 0.6 0.2 1.1 0.0 10.6 9.1 9.7 12.2 36.2 52.5 3.6 0.0 0.1 7.6

(16)

7. lsオ,りに 以 上、新 言文一致体の文章におけ る数量的な姿を分析 した。その結果、新 言文一致体は、語種比率、名詞比率、文の長 さ、指示語比率、働 きかけ文の 比率な どで、書 きことばにおけ る会話体以上に実際の談話語に近 い値 を示す 事実 を得 る ことがで きた。 この事実は、新言文一致体が、「考 えて会話ふ うに 書 く」文体 とい うよ り、「思 いつ くまま、感 じるままに相手に話 しかけ る」文 体 であ ることを示す ものであろ う。 また、字種比率におけ る特殊 さ、特に記号類 の使 い方は、新言文一致体 の 大 きな特色をなす ものである。 この ような文章では、表記のスタイルを も文 体 の一部 と して扱 う態度が重要だ と思われ る。その意味で、表記の面か ら文 体 を計量的 に分析す る方法は、 まだ開拓の余地があろ う。今後の課題 であ る。 参考文献 文献

1

佐竹秀雄 「若者競 の ことば ― 新・ 言文報 体― 」(『言語生活』 343号、

130年

7月) 文献

2

佐竹秀雄 「若い世代の文章」(『語文』40輯、

1%2年

11月) 文献

3

佐竹秀雄 「若者の文章 とカタカナ効果」(『日本語学』第

8巻

1号

、 1“9年 1月) 文献

4

佐竹秀雄 「ジュニア小説 とファンレター」(『武庫川女子大学言語文 化研究所年報』第

2号

1"1年

3月) 文献

5

国立国語研究所報告25『現代雑誌九十種の用語用字 第三分冊 分 析』(秀英出版、

1%4年

) 文献

6

野元菊雄 「話 しことばの中での漢語使用」(国立 国語研究所論集1 『 ことばの研究』1959年) 文献

7

野元菊雄ほか 「日本人の知識階層における話 しことばの実態」(文 部省科学研究費特定研究 「言語」研究報告書、

19"年

) 文献

8

土屋信一 「話 しことばの中の漢語」(『言語生活』169号、1965年) 文献

9

樺島忠夫『 日本語のスタイルブ ック』(大修館書店、

年) (本研究所助教授)

(17)

武庫川 女子大学 言語文化研究所年 報 第

3号

(1991)

初期近代英語 の

2極

母語へ の覚醒 とナ ショナ リズムー

()ur language is improued abolle a1l others now spoken by any

nation, and becanle the fairest, the ninllblcst, the fullest; nlost apt to

vary the phrase, niost ready to receiue good composition. Inost adorned with sweet words and sentences, with i″ itty quips and ouer ruling Prouerbes: yea able to expresse arly hard conceit whatsocuer with great dexterity, eaighty in watghty rnatters, merry in inerry, braue in braue. William Lislc A Sagο

"rr´α′:s′ (1623)

遅 々として開花 しない母語に対 して俊異の教養人

William Caxton(c.

1422-91)は

Tル

R″

げ ′ル ″:s,″ン

sげ

r″οノ´

(1475)の

序 で

symple and rude engLssh"と 嘆 じ、フランス語を “fayn language"と 崇め

た事は15世紀末の英語の実姿を伝える語 として よく引用 され る。 これは文化

の先進国であるヨーロッパ、就中、フランス (語

)を

特に意識 して叫んだ英

国中世末期を代表する最大の知識人個人の表意であろ うか

?英

語史家が夙に

指摘す るように

Caxton以

後100年は母語たる英語内裏の主導権争 いの時代

である。

新 しい時代 の到来 を告げ る王朝

Tudor家

は始祖

Henry Vlの

Lady

MargaFt Beaufortを

してか ら所謂 “

New Learning"の

推進者であったが、

その子 Henry Ⅵ はわけても教育を高揚 し、学問を大いに奨励 した。 1535年

Oxford大

学に彼が古典語講座を開講 した時、伝統的で浅近、迂愚な中世哲学

者の些末主義に諮嵯 していた学生は奄然彼等の著書を放棄 した(1'。

その後 も

Edward

Ⅵ,Mary.Elizabeth●,と深蘊、図南の翼の持ち主が陸続 した。この間

(18)

Elyot(1499-1546), Roger Aschaln(1515-68), JOhn Cheke(1514-57), Thomas

Wilson(1525-81).ThOmas Wyatt(1503-42), Phi

p

Sydney(1554-86),Waker Raleigh(1552-1618)等

、廷人、学者、文人 と誠に多士済 々で

あ る。 彼等は このいわば “

StFum und Drang"な

新時代 に相応 しい着想、思

惟 、経験、生 き方を表現す るにあた り、範 を何かに求め ることもせず、 また 拘束 され る準規 も持たず、詞致 の向 くままに放恣 した。 実 に雄勁 で ダイ ナ ミックで 自然 な遅.しい母語の誕生を予覚 させ るのであるが、 この ように無秩 序 に伸展 して きた言語 の

Intdingualな

実相 は如何 な る ものであったのだ ろ うか?

1550年 Andrew B∞

rd♂ は ri′ ′′

"あ

ル ο′ ′ル │″ 70′“ε

"(,2″

力″ο″レな′で

■`he speche of Englande is a base spechc to other noble speches, as lta[on Castylion and Frenche, howbeit the speche of Englande of late dayeS iS aFnended. 「イギ リスの言葉は近年改善 された とい って も、イタ リヤ語、 スペイ ン語、 フ ランス語 といった高尚な言葉に較べた ら卑 しい ものだ。」 と言 っている。 この件はイ ングラン ドとイ ングラン ドの事柄を大いに称贅 した後 の記述 で あ る事 を考慮 に入れ る と、知的英 国人が母語 に対 して思量 出来 ない劣等感 を 抱 いて いた事が分か る。一方英 国 を取 り囲む状況 の中で最 大の事件 は、 15“ 年世 界最強 のスペ イ ン無数艦 隊 (the lnvincible Armada)を 破 り、待 望 の世 界列強 の仲 間入 りを果 たそ うと していた英 国 の アキ レス腱 はその言語 であ っ た。1851年 George Pettieは r力´c=●:`′ cο "″“`′

"2の

「序」で、読者の多 くは そ の 内容 に よらず に使 用 した 言 語 が 英 語 だ か ら とい う理 由 だ け で undeⅣalueする事を憂 いている。このよ うな時代思潮が産んだ 言語観の最た る ものは語彙を増やす事が、権威 のある確立 された、洗練 された言語を樹 立 す る事であ った。 母語に対す る認識、覚醒 を論 じる前に当時の知的

mtteuに

つ いて若 千所 思を述べてお こう。少な くとも16世 紀前半は ラテ ン語が依然 として支配的で、

(19)

文法学校 では古 典 ラテ ン語が中心 科 目で、生徒 は ラテ ン語 の読教・ 書 きを学 び、文典を読み、古奥修辞学 の伝統に もとず いて鑑賞 した。 この間の事情 を

Elyotは

rル Ibル

π

am″

′ル

C仰

げ たο″(1531)で「貴族 の子息は純粋で優

美 な ラテ ン語を学 ば なければ な らな い」 と主張 して い る し、 下 って チ ュー ダー朝の

Roger Aschamは

η′Sr力(滋 ":as`″

(1570)で

「子供達に ラテ ン 語 を話 し書 き理 解す る簡潔で完全 な方法 を教 え る事」 を強 く訴 えてい る。 さ らに John L∝

keさ

え もが

S"″

r力ο “ gれS Cο″ε″ガπg E′ “ Ca"(),(1693) で 「ラテ ン語は紳 士に とって絶対不可欠である」 と練究 している。 か くの如 くラテ ン語は依然権威 ある言語 と して存在 したが、徐 々に英国で は衰微 して行 き、代わ って母語 (土 着語

)が

台頭 して きた。 これ には幾つか の要因が認め られ るが、読者層 の拡大“)とナ シ ョナ リズム6〕 が最大 の もの と して指摘 され よう。 と りわけ後者は早 くも15世 紀 に強大な力 とな って現われ 15∞ 年代には遍在的 とな った。一方読者層 の拡大は印刷の一般化、 グラマー 学校 の増 大、所 謂 ‐眸 tty sch∞

1"が

新 ら しく数 多 く生 まれ た。

Aschamは

rοttψ力″ “ (15お

)で

¨‐as for the Latin or greke tonge,every thyng is so excellently done in thcm, that none can do better: in the Englysh tongue contrary, cucry thinge in a manncr so lncanly, 1)othe for the matter and handelynge, that no man can do wo「 se_

「… ラテ ン語やギ リシャ語についていえば、 これ らの言語では万事が実に 見事に行なわれ ているので、誰 もそれ以上の事は出来ない。逆に英語で は全てが、質において もまた処理の仕方において も実 に劣悪 なので何人

もこれ よ りもひ どい事は出来ない。」

と述べている。 この段落だけだ と母語を卑下 しているように看取 され るが、 こ4)直4癸│‐

c

“on this English matter,in the English tongue, for English‐

men"(こ

の英国の事を、英国の言葉で、英国人のために

)書

いた と豪語 して いる。 この ような母語に対す る覚醒 はやがて中世以来の伝統・慣行 とな って いた外 来 語 (特 に ギ リシ ャ語 、 ラテ ン語

)の

排 斥 に連 絡 す る。 Sir Ph p

(20)

つ い て

But for the uttering sweetly and properly the cOnceits of the lnind. wlhich is tlle entl of speech, that hath it equally with any other tongue in the world: and is particulary happy in compositions of two or three

lた7ords togcther near the Creek, lar beyond the :Latin: whlch is one of

tlle greatest beauties can be in a language.

(心の な か で 思 惟 して い る事 を 美 し く適 切 に 表 現 す る事 が 言葉 の 目的 で あ るが、英語は世界 の他の如何な る言語に も劣 るものではない。 と りわけ 英語 は 二つ或 いは 三つの単語 を結合 させ る事が 出来、 この点で ラテ ン語 よ りも優れ、ギ リシャ語に近 い。 この事は言語に内在す る最大美点の一 つ である。) と述べ、現代英語の特性 の萌発を見事 に 予覚 して い る点 は敬服 に値 す る。 1580年 頃を境に母語が “barbarous"であ る とい う意識は ようや く衰消 し始め た。かか る時期 に現われた

Edmund Spenscrは

母語の内的発展に最 も影響 カ の あったエ リザ ベス朝作家 で、彼 の詩作 と文体に対す る信条は1579年 に刊行 され た

rル

Sル

P′:″ど

'sC●

Z″

の「ハ ープ ェイヘの尺贖」にみ られ る。この 尺腹の筆者は

E.K.0と

い う匿名にな ってお り、Spenserの用語は上着の英語 に負 うとして次の ように述べている。

For in nly opinion h is one special prayse,of many whych are dew to this Poete, that hc hath iaboured to restore, as to theyr rightfull heritage such goOd and naturall English words, as haue ben lorig time out of vse and almost cleane disherited.Which is the onely causc, that our Mother tonge, which truely Of it self is both ful enough for prose and stately enough fOr verse, hath long tirne ben counted inost bare and barreill of both_Which default when some endeuourcd to:xllue and

rccure, thcy patched vp the holes with peces and rags of other

languages, borrol″ing here of the fre:ich, there of thc italian. euery where of the Latine, nct welghing how il thosc tongues accordc with thernselues, but muCh WOFSe With OurS. S()nOW they haue made Our

(21)

EngIIsh tongue, a galliinaufray or hodgepodge of al spechcs.()ther sOrne nOt sO wel seene in the English tonge as perhaps in othcr ianguages, if them happen to here an olde albeit very naturall and significant, crye Out streight way, that we speak no Engllsh, but

gibbrish. (とい うの も私の意見では、 この詩人が当然受け るべ き数多 くの称賛があ りなが ら、長 い間使 用 され なか った ため に殆 ど完 全 に受 け継 が れ な く な った、 あの由緒 正 しい 自然 な英語 を復活 させ よ うと務 め てい るのは特 に称賛すべ きです。私達 の母国語が散文 に も充分適 し、 また韻文に対て も実 に堂 々と して い るに も拘 らず何れ の分野 で も長 い間貧 弱で不 毛 と思 われ て きた。 この欠点 を改め癒 そ うと して、その言語が英語 とどれ は ど 合わな いか とか、 また英語 とは全 く合わ な い ことな どは考慮せず 、 ここ は フランス語、あそ こは イタ リヤ語、 ラテ ン語 とぼろ切れや小布 をあて が って穴をふ さいだ人 もいた。 この よ うに して今や私達 の英語は他の言 語 の寄せ集め の ごった煮 にな って っ しま った。他 の国 々の言語 ほ ど英語 に通 じていない人 と中には偶 々古い言葉 を聞 くと、仮令それが 自然で重 要 な語 であ って も、今聞 いてい るのは英 語 ではな く、訳 の分か らない言 葉 だ と言 うだ ろ う。)

Spen“ rのこの言は所謂 “

haizers"の 最 たる ものであるが、母語に対す

る飽 くなき称賛の辞である。教養語 としての ラテ ン語は依然隠然た る力を持 ち諸言語を支配 し “su"rstratum language"の 地位 に あ った。 しか しなが ら 万却 不動の この言語 も ドイツで16世 紀にその神権を徐 々に喪失 し、 ここ英国 で も衰退 の兆 しを見せ始めた。過度の借入語―――

inkhom terms一

に対 し てやがて

Cheke,A∝

ham,Wilsonと

い った愛 国的 Puristsが 現われ益 々母語 の擁護をす るようにな り、遂 に18世 紀 の言語規制 と純化、規範文法の樹立ヘ と急展開 し新たな曲面 を迎 え る ことにな る。Cha‖

es Barberは

S"n∞

r is

berautifying the lEnglish language both by produing notable literature in it and also by extending its iexic」

“sourcesと 切論 してい るが、実 に達 言で

(22)

Spenserの

登場 は 1837年

Emerェ

)nが r,レ スπ "ε α,Sr力οttrを発 刊 し、 後 進新興 国 ア メ リカの揺 るぎな い知的宣 言 を内外 に誇示 した ごとく、正 しく 英 国、否 、英語 の雄弁・ 洗練 さを局識・ 簡侶 に囚われず に宣 したので ある。 晨t

l.1535年

ヘ ン リー

8世

が オ ックスフ ォー ドに古典の講座を開いた時学 生は 非常 に喜 び

Duns Scotusや

他 の中世論理学 者の本 を中庭 に投げ出 した。 この

Duns Scotusを

信奉 し追従す る者 を “

dunse men"と

言 い、ここか

ら “dunce"(cr.Pope、 Dz″ι之′

)が

生 まれ た。

Ceorge H.McKnight,

ルr`″″

,E"gι

:s力 :″ r力´ ″′晟

,g(New York: Appleton Century

Cro■

s,1956),p.89,中

島文雄『近代英語 の成立 (下)』 (英語 英文学 刊 行会 :昭和

9年

)p.“

2.大

野真 弓、山L正太郎他 著『 世界の歴 史 (9)』 (社 会 思想 社

:昭

和49 年)、

p.13に

よる と 「エ リザ ベ スはち ょうど十六歳 の誕生 日をむかえ、 そ の年齢に しては、ふ しぎなほ どの威厳 とや さしさとを示 している。真 の宗教 と学問に関す る勉強は、ひ じょうに真剣である。王女の心には女 性特 有 の弱点 は一 つ もない。不屈 な点 は、男子に匹敵す る。王 女は フ ラ ンス語 とイ タ リア語 を、英語 と同 じように話 し、ギ リシャ語や ラテ ン語 を書 くとき、その筆跡ほ ど美 しい ものはない。工女は音楽を き くことが 好 きであ る とともに、 自ら も音楽 にひ いでてい る。身 の飾 りは、派 手 と い うよ り優美であ る。」 とある。

3. Manfred Corlach,

′ ",″ ο′2r′:ο″′ο Earι

y″

`″″ァ E2gι :s力 (Cam― bridgc i canlbridge Univ. Pr, 1991):(? 1490-1549),doctor.traveller, writcr Of nledical and Other pOpular scientific wOrks.(p_ 423 )

4. Charles BarbeF. Eα″ιッ 1イ(ガ″フア E"g`:S力 (London, Andre Deutche.

1976)

. . . in 1533.Sir ThOmas More asserted that over half the pOpulation cOuld read (lBennet 1947); even if this was an ovcrestiinate, it is

(23)

初期近代英語の2極性

5.英

仏抗 争――と りわけ英国の優位・ 勝利 を謳歌 した一 を と り扱 った史 劇 K,2g Jο力

2,('1598),κ

g〃

“ry′′′ F:ル カ

(?1599)等

があげ られ る。 なか で も前劇で、獅子エ リチ ャー ドの庶 子 フ ィ リップ・ フ ォー ク ンブ リッジの幕切れ直前の

“■`his England never did, nor never shall,

L′ie at the proud foot of a conqueror_"

(この英国は征服者の傲慢 な足元に、 曾 てひれ伏 した こ とな く、 これか ら もあ るまい。) とい う熱烈 な愛 国的台詞は よく知 られ る。

6.rみ

,0″

∫ο″′CοπPa″Ю″ `ο E″gι,s力 ι:″raι “″

(Oxford at the

Clarendon I)ress, 1960),(p. 434). Edward, Iく irke (1553-1613), a fricnd of :Edmund Spenser, cducated at iPembroke Hall and Caius C011egle, Cambridge. He WFOte the prefaCe, the argurnentS, and a Verbal COrninentary tO SpenSer'S `ShepheardS CalendeF', under the initials `E. K..( 1579 ). Modern critics have, on insuFflcient grounds,

mught to prove that`E_K.'was SpenseF himSeli和 田勇一監修‐『 スペ

ンサー羊飼の暦』(文理:昭和

0年

)PP.255-7に

詳細 な解説・ 説 明が あ る。

(24)

武庫川女 子大学言語文化研究所年報 第

3号

(1991)

情報 リテラシー教育 にお けるコン ピュータの機能

一国語科教育の場合―

1

情報 リテ ラシーの教 育が盛 んに言われ てい る。教科・ 領域 を越 えて、学校 教育 の重要 な柱 にな ろ うとしている。教科教 育の立場か らいえば、教科構造 の内にいかに して情報 リテラシーの指導 を位 置 づけ るか が、 現在 の課題 と な ってい る。 国語科教 育に おいて、 コンピュー タを利用 した情報 リテ ラシーの指導 を考 え るため には、す くな くとも次 の

3点

を明 らかに してゆかねばな らない。つ ま り、 ① 国語科 として、情報、情報活動お よび情報 リテラシーをどのように規定 するか ② 学習指導過程を中心 として、 コンピュータの利用をどの ように位置づけ、 図 ったらよいか ③ コンピュータを利用 した情報 リテラシー教材の開発、指導法の開発はどの ように行えば よいか であ り、情報活動、 コンピュータとい う視点か らの学習内容、授業組織、教 材、指導法のとらえなお しが必要 とされているといってよい。 この論文では、情報概念の検討 とそれに基づ く教材の試案を述べる。 情報 お よび情報 活動 情報 を考 えるに あた って、 まず確認 して お きたいのは、情 報 が、 あ る機能 に対 して与え られた概念ホだ とい うことである。一般に情報 といわれている、 書かれ た もの、話 され た こと、 あ るいは数字・ 図像 な どは、情報 な のではな く、情報 の媒体 にす ぎな い。情報 は、何 らかの実体 を指 していわれ る もので はな く、それ らがわれわれ との関係において生み出す機能 の ことである。 さ

(25)

情 報 'テラシー教育におけ る コンピュータの機能 らにいえば、情報は、われわれが見いだ し、関係付け ることによってのみ現 れ、われわれ との関係においてのみ存在す るとして よい。情報は、所 与の実 体なのではな く、あ くまでも機能概念に他ならない。 普通、われわれが情報を得た とい うとき、それは、合 目的的な活動を成立 させるために、個 々の出来事を通 じて、一群の起 こりうる可能性を もった行 動や状態の うち、ある特定の状態ない し行動を、間接的に限定縛できたとき、 そのように呼ぶのである。間接的にとい うのは、記号を媒介 として とい うこ とである。その記号、 より正確にいえば、記号が可能性を限定する機能を情 報 と考えるのである。そ して、記号を介 してある可能性を特定 し現実のもの とするにあた り行われ る記号の操作を、情報処理ない しは情報活動 と呼んで よいだろ う。 情報が、合 目的的な活動の コンテクス トにおいて存在するとい うことから、 情報活動の基本的な構造を定めることができる。すなわち、情報活動の主体 と、その主体が内に存在 し、合 目的的活動が展開 され る場 としての環境 とを 認めることができる。記号を媒介 として、環境に働 きかけ られ、また働 きか けることで、合 目的的な活動を形成 してゆ くならば、そのような記号の産出 ・ 理解あるいは蓄積は、情報活動である。情報ないし情報活動は、主体 と環 境の相互作用 として現れ る。そ して、情報 メデ ィアといわれているものは、 この相互作用の経路 とい うことになる。 情報活動の主体は、実体的にいえば、ただ一人の ヒ トではあ りえない。わ れわれは、 さまざまな情報のメデ ィアを利用 して、情報活動を展開 している。 そ して、 メデ ィアを利用するばか りでな く、利用するメデ ィアによって、情

*

杉田元宜は、自然科学に も社会科学に も妥当する情報の定義 として、「システムを 成立 させる役割を持 った信号、またはその役割を情報 と定義する」 と述べている (『工学的発想のすすめ』)。 ここでい う信号とは、「潜在する可能性を現実 の動 き にかえるもの」のことであ り、情報の物理的、化学的形態でもある。この定義で重 要なのは、役割 とその形態 とを分け、その役割に重点をおいている点である。 キ

+情

報量の単位であるビット (bit)は 、等確率で起 こると考えられ る2つ の事象の うち、一方を特定できた ときの情報の量を1として定めた ものである。

(26)

報活動 が規制 され て もい る。 環境 と主体 との間でみ られ た相 互作用 が、主体 内での ヒ トとメデ ィアにおいて もみ られ る の で あ る。 む ろ ん 、 この場 合 メ デ ィアとは、いわゆ る情報機器に限定 され るものではない。言語情報に限 っ て も、書籍、 ノー ト、 カー ドとい った もの も情報 の メデ ィアと考 えるべ きで あ る。 これ らの メデ ィア と相互作 用 を持 ちなが ら、それ らの メデ ィアを通 じ て環境 と働 き掛け合 うのが、情報活動の主体 としての ヒ トなのである。 と ころで、その中に、分割 可能 な部分があ り、部分間に相互作用が認め ら れ、全体が部分の単なる集積 以上の機能を示す ものを システムと呼ぶな らば、 情報活動 の主体 とは、 ヒ トとメデ ィア とか らな る システ ム*に他 な らな い。 しか も、環境 との相互作用が認め られ るとい うことは、

L体

システムは、 自 己完結す る閉 ざされた システ ムなのではない。環境に向か って開かれた シス テ ム、開 システ ムと して存在す るのだ と考 えられ る。 さらに、 このシステ ム は、その構造が不変な静的 システムなのではない。時系列にそ って変化 し、 維持・ 構築 され てい くことが要 請 され てい る動的 システ ムで もある。 システ ムとい う見方 をす るな らば、環境 と主体 も一つのシステムを構成 し て い る とい える。環境を構成 してい る要素は、他 の主体 システ ムであ り、 ま た メデ ィアシステムである。主体 システ ムは、 これ らの環境側の システ ムと 関係 を持 ち、相互作 用 を展 開 して い るわ け で、 この点か ら、 主体 と環境 も一 つの システム、情報 の場の システ ムを構成 してい ると見なせ るのである。 当 然 の ことなが ら、 この情'7長の場 の システ ムも、時系列にそ って変化 し、維持 ・ 構築 されてい くことが要請 されている。 そ して、情報の場 システ ムにおい

*松

田正一は、システ ムの類型 を性質 と対象 とに よってたててい る (『システ ムの 話』)。 性質に よる分類では、①環境 との相互作用の有無か ら、開 ンステムと閉 シス テム、② システムの時間的変化の有無か ら、動的システムと静的 システム、③ シス テム要素が自律的行動体であるか どうかか ら、 自律的システムと他律的システムな どをあげ、対象に よる分類では、①数学や言語、絵画、音楽な どの論理システム、② 機械をシステム要素 とする機械 システム、③仕事の方式をシステム要素 とす る ロジ ステ ィックシステム、④人間ないし人間と機械をシ^テム要素 とする人間 (人間 ― 機械

)シ

ステムをあげている。

(27)

情報 リテラツー教育におけるコンピュータの機能 て、個 々の システムが情報を通 じて相互作用を行 う経路 がネ ッ トワー クに他 な らない。 ネ ッ トワー クは、情報 メデ ィアの移動や 共有に よって結 ばれ る。 対話や メモのや り取 りな どは メデ ィアの移動 であ る し、図書館 の蔵書情 報 シ ステムな どは メデ ィアの共 有 とい う形で、個 々の主体 システ ムを結 びつける ネ ッ トフークとな っている。 システムとい う言い方で情報を考 えるな らば、情報は全て システ ムにおい て存在す るとい って よい。む しろ、 システ ムこそが情報を存在せ しめている とさえ いえ る。 システ ム要素 が、 システ ムを維持・ 構 築 してい く過程 で、記 号を通 じて取 り結 ぶ相互作 用 が情 報 なのであ る。 そ して、情 報 の場 の システ ム と情報の主体の システムの、二重 のシステムを、情報を通 じて維持・構築 してゆ く活動が情報活動なのである。つ ま り、情報を情報た らしめている合 目的的活動 とは、 システムか らいえば、 システ ムの 自己維持機能、最適化機 能 にか かわ ってい るのであ る。 情報 リテランーとその指導 情報 リテラシーとその指導は、常に二重性の内にある。 これは、情報 リテ ランーに対 して、 コンピュータ リテラシーとい う語を置いてみれば、容易に 想像がつ く。情報 リテラシーといいなが ら、その実際は、 コンピュータ リテ ラシーであることが しば しばみ られ る。 また、 コンピュータ リテラシーこそ が、あるいは単に コンピュータが用いられているとい うだけでも、情報 リテ ラシーの指導であるようにいわれることもある。逆に、 コンピュータない し はマス・ メデ ィアに よって本来の情報 リテラシーがスポイル され る、情報の 主体が脆弱にな って しま うとい う見方 もある。 コンピュータリテラシーが身 について も情報 リテラシーは養えないとい う意見 もある。 これ らに共通 して いるのは、情報が二重のシステムにおいて存在 していること、 したがって情 報 リテラシーも二重のシステムにおけ る リテラシーの総体であるとい う視点 がみられないことである。 情報 リテラシーを、主体 システムと場 システムのシステム的統合 とい う観 点か ら考えてみな くてはならない。すなわち、 メデ ィアシステムを情報活動

(28)

に際 して最適な システ ムであるよ うに構築 し、そのシステムを利用 して判断 し行為す る力が情報 リテ ラシーの本質に他 な らない。 メデ ィアシステ ムの最 適化 とは、主体 システ ムに即 していえば、決 断 し実行す るた めに必 要 な情 報 をいか に効率的 に発 見す るか とい うことであ る。場 システ ムに即 してい えば、 有用 な ネ ッ トワー クを いかに構築・ 維持 して い くか とい うことで あ る。 これ は楯 の両面であ って、分かつべ きものではない。 また、文字 の リテ ラシーが そ うであ る よ うに、情報 リテ ラシー もまた スキルの レベル で捉 え るべ きでな く、主体 の行為性 と通底 してい るはず の ものであ る。 情 報 リテ ラシーの指導 に おいて も、厄介 な二重性 がみ られ る。す なわ ち、 コンピュータな どを利用 した授業 と情 報 リテ ラシー、コ ン ピ ュータ リテ ラ シーの関わ りである。確かに、指導の実際 として、情報 リテ ラシーの授業が コンピュータな どを利用す ることはあ りうるだ ろ う。 コ ンピ ェー タ リテ ラ ンーの授業な らば当然 で もある。 しか し、授業 の現象において重な るか らと い って、学習指導の 目的や 内容において も一致 しているとは限 らない。つ ま り、授業 に おいて コンピュータを利 用す るか ど うかは、授業 システムの問題 なのであ って、情 報 リテ ラシーの範疇 の問題 で はな い。授業 にコンピュータ を利用す るのは、それが よ り効率 的・ 効果的 な学 習を保障す るか らで あ る。 したが って、授業 において必要 とされ る コンピュータの操作能力な どは、学 習活動 の技能・ 手段 の観 点か ら語 られ るべ きであって、 コンピュータ リテ ラ シー さらには情報 リテランー とは、考 え方 の上で断絶 している。 む ろん、一つ の学 習活 動が、学 習指導 の複 数 の機能 を担 うこ とはあ りえる。 授業 で必要 とされ る コンピ ュータの操作能 力 の習得 が、コンピュータ リテ ラ シー、情報 リテ ラシーの指導の一部 ともな ることはあ りえる。 しか し、それ とて も、その よ うな学習指導を組織す ることに よって可能 なのであ り、操作 な い しは操作能 力の習得 活動 自体 が 可能 にす るのではない。 コンピュータを 利用 した、情 報 リテ ラシー とは無縁 の授業 もあ り得 るのであ り、 また、現在 の コン ピュータの利用 形態か らいえば、その よ うな授業 が大半 を 占め る。 だ か ら、現在 の授業か ら発想 して、 コンピュータを利用 した授業 と情報リテ ラ シー との結 びつ きを論 じるのは当た らないだろ う。

(29)

情報 リテラツー教育におけるコンピュータの機能 では、情報 リテ ラシーの指導において、 コンピュータの もつ魅力 とは何だ ろ うか。簡単に言えば、個 人の情報 メデ ィアが同時にネ ッ トワー クを構築す る とい う点 であ り、 メデ ィア システ ムを最適化す るとい う情 報 リテ ランーの 基本操作 を実 現 しやす い点 で あ る。情報 の発見、判 断、蓄積 、産 出、流通と い った過程に即 してい うな らば、 コン ピ ュー タは これ らの過 程 全 てにかか わ ってい る。 この点か ら言 えば、 コン ピュー タは個 人 の情 報メデ イアシステ ムを コンピュータのみに よって構築す ることが可能である。 さらに、個々の 学 習者が情報 を蓄積 し、 あるいは産 出 した時点 で、その情報は流通過程にの り、他の学 習者 と共有 され うる。主体 システムと場 システムとが コンピュー タの うえで重な りあ うのである。 これは、 ノー トや プ リン トといったメデ ィ アでは決 して実現で きないことである。 したが って、情報 リテ ラシーの教育 において コンピュータを活か して用い よ うとす るな らば、一人一人の学習者 の情報活動が学習集団の情報活動 と緊密に結 びつ くよ うな方略を考えねばな らな いだ ろ う。 学習データベースの試み これ まで述べてきた ことをふまえて、国語科教育での情報 リテラシーと結 びついた コンピュータの利用形態を考 え るな らば、現在 の ところ、データ ベースが最 も望ましいと考えられる。以下に報告するのは、 コンピュータが 個人の学習のメデ ィアとして働 きなが ら、同時に学習集団のネ ットワークの 核 ともなることをめざ した学習データベースのサ ンプルである。 このデータベースは、「ごんぎつね」の学習のなかで、とくに一人読みの段 階での読み深めを効果的に達成 させ ることをね らって作成 した拿。一人一人 の学習者が、 自分の読みに必要な情報を コンピュータか ら引 き出し、新たな 読みをつ くりだ してゆ く。そ して、その読みの軌跡を、そのつ どコンピュー タに記録 してゆ く。 この記録 された読みは、たんに結果 として残 っているの ではな く、読みをつ くりだす情報として機能する。冒頭の解釈をもとに次段 の解釈を規定す る、あるいは、後の解釈か ら週行 して前の解釈を吟味 し、読 みを修正す る。 このような一人読みの過程を、自覚的・ 自律的に、 しか も着

(30)

実 に お こな うために コン ピュータを利用 した い と考 えた。 また、一人の読みは、他の学習者 に とって重要な情報である。 このことは、 一 人読みの段階で も変わ らないだろ う。ただ、意図的に他の読みを求め、利 用 しよ うと しな いか ぎ り、一人読みの段階では他 の学 習者の解釈は与え られ ない。 したが って、学習の成果 と してデータベースに記録 された解釈は、あ らか じめ用意 されている他の情報 と同様 の方法 で引 き出す ことがで きるよう にな っている。むろん、その解釈を、 自分の読みを深め るための情報 として 利用す るか ど うかは、引 き出 した学 習者の読みの構想にかかわ っている。解 釈 は、学 習の上 の疑 間 の安 易 な解答 と して与 え られ るのではな く、 自分 の読 みを整合的な読み として構想 し、つ くりだすためのあ くまで も刺激、情報 と して与え られ るのである。 デ ー タベ ースは、〔ごんぎつね〕〔漢字〕〔絵 〕〔ヒン ト〕〔解釈〕のデ ー タス タ ックとヘルプスタ ックか らな る。 これ らは、下に示す ようなデータと機能 か らな っている。 ス タ ッ ク デ ー タ 機 能 ごんぎつね 本

文 本文 の検索 、 印刷 、他 ス タ ックヘ の入 ロ 漢

字 漢字 、語彙 漢字、語彙の説明・問題 の人手・確認 絵 、音 声 物語 世界 の映像 化 ヒ ン ト 学 習 項 日 解釈 の着 眼点 、学 習方法 の ヒン トの人手 解

釈 解 釈 内 容 学 習経過・ 解釈 の記録 、学 習成果 の交換

^rvJ

操 作 方 法

*作

成 に あた っては、 以下 の機 器 、 ソフ トウェアを利 用 した。

Macintosh SE/30 4MBRAM 40MBHDD HyperCa記

な お、ス タ ック とはHyperCardでい うデータの集合であ り、通常1枚以上 の カー ド か らなる。カー ドは、1つ以 上の ボ タン、フ ィール ド、サ ウン ド、グ ラフ ィ ックか ら な り、データ管理 の最小単位 である。 この学 習デー タベースの場合、デー タをつ け てい る本文 の箇所に、見 えないボタンを貼 りつけてお き、 このボタンを ク リックす る こ とで、データを表示 させ る等 の機能を実行 している。 このためのプ ログ ラ ミン グは、

HyperTaKで

お こな った。 絵 ごんぎつね データベ ースの使用法 の説明

(31)

情報 リテラシー教育におけるコンピュータの機能 つ ま り、〔漢字〕以 下のスタ ックは、スタ ック 〔ごん ぎつね〕に入 口を もつ書 庫 の よ うな もので、それ ぞれ に分類 された デ ー タが収 め られ て い る。ス タ ッ ク間の構造は下の よ うにな っている。 スタックにあるデータを 引 き出すに は 、 目的 の ス タ ックヘ移動 し、データを 必要 としている本文の箇所 を指定すれば よい。スタ ッ クの移動は、スタック 〔ご んぎつね〕の下段のアイコ ン(左か ら、〔漢字〕、〔絵〕、 〔ヒン ト〕、〔解釈〕の各ス 図

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〔ごんぎつね〕でヘルプをクリック 9 テ1ベ ー こ `′,″ 111

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示 される。たとえば、図

1.1の

下段右端のアイコンはヘルプスタックのア イコンである。そ こで、 このアイコンを クリックす ると、ヘルプスタックヘ 移動 し、図

1.2の

ベルプ画面が表示される。ヘルプには、それぞれのアイ コンの説明やデータベース内を移動 しデータを引き出し、あるいは解釈を書 き込むための方法が示 されている。データベースを利用 している間は、いつ で もヘルプを呼び出 し操作方法を確認することができる。

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ら、 目的 の ス タ ック の アイ コンを選 び ク リックす る。 本文箇所 の指定 は、本文の上で ク リックす る。 そ こに ボ タ ンが 仕掛け て あれ ば、 フ ィール ドがひ らきデ ータが表

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学 習 者

ごんぎつね

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ヒ ン ト 1_ │ │ ﹁ ︱ ︱ コ 一 ¨i 〓 一   ´ .  一

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一 釈 一

(32)

以下 、各 ス タ ックのサ ンプル を示 す。 ス タ ック〔漢字〕 〔漢字〕には、 「ごん ぎつね」 に使用 されてい る漢字全てにつ

いて①読み、②

意味、③熟語、

④用例・用法を、

よ う」 以 下 の部 分

)を

ク リック す る と、 内容 に 応 じた確 認 問題 ・ 解 説 の フ ィー ル ドが 現 れ る (図

2.2)。

ま た 、 新 出漢 字 の 場 合 、 見 出 しの 漢 字 を ク リック

:aE 6rrLiitlils(]r.ri

村 の茂 平 と い うち0いさん か ら腱│(ヽ

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タ ンメ ニ ュー

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くわ しく嵌みたヽヽときのヒン }や 考えてはCtヽ ことがでて0ます。 ロロロ0 l_ 濠7 元 の に の に ● に ● 図

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スタック 〔ヘルプ〕へ移動 新出漢字には⑤筆順をデータとして登録 してある。①読みは、音・訓 とも既 習の読みを示 し、未習の読みは小 してない。 また、③熟語は、①読みで示 さ れた読みに したがい、既習の語の中か ら示 してある。④用例・用法では、語 彙学習 と結びつけるための発間を主 としている。③筆順は、一画ずつ時間を おいて表示 され、画面の表示に したが って視写できるように してある。 データを引き出 したい漢字を クリックす ると、その漢字のフィール ドが現 れ、データが表示 される。 さらに、⑤用例・用法の部分 (図

2.1の

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(33)

すると、筆願が 示 される。学習 者は、 自らの学 習の進展に応 じ て、必要な漢字 の必要なデータ を引 き出 し、学 習活動に利用 し てゆけるのであ る。逆にいえば、 ス タ ッ ク 〔漢 できる。読教の 地ならしのため のみな らず、学 習者個 々の漢字 学習辞典に も発 展 してゆけるの である。そ して、 その学習辞典は 学習集団の共通 資産 として、お 「 ¬ ど

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情報 リテラツー教育におけ るコンピュータの機能 図

2.2

確認問題・解説 を表示

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字〕のデータを必要 としない学習者は、 このスタックを利用 しない。つま り、 スタック 〔漢字〕は、読みの学習の第一段階である言語的な抵抗を取 り除 く 活動のために用意 してある。できれば この段階の学習 も自律的に行いたい。 したが って、必要な者が必要 と考えるだけのデータを引 き出せるように した のである。 これ らのデータは、基本的な部分についてはあらか じめ作成 しておかねば ならないが、学習の進行につれて、学習者が意味や熟語、用例・用法を追加 してゅ くことが 回3.1 〔絵〕で「ごんぎつね」をクリック ■_ε “ , r●c _肇│_。,. _二■

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よの文の( )の中には.〔小1.(少1のどちら を 使oたら よ い で し `'. 1,●大0いがは

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参照

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