名詞を主 とした種 々の語に接 し、念を押す意味を表す。前項の 「餡」 よ りは念の押 し方が少 し強いようである。非存在の意味の「ne(無)」 に続い て hesami」 となることも多い。
③ sarami(さ らめ=推定)
前述 した ように、 もともと
1語
なのではな く、「si+ara+mi」 か ら母音 の/i/が
脱落 したのであろ うと思われる。それは、 この語の用例を検す れば、推定の意味を含んでいるようにみ られるが、そ うい う推定的な意味 の所在は「m」 にあるとしか考えられないか らである。また、これに上接 する語 も種 々であって、「s」 が係助詞の痕跡であるとみれば、その点が う まく説明できるか らでもある。 ともあれ、本語の語源的成 立を別にすれば、用法 としては終助詞その ものであるか ら、 ここでは終助詞に分類 してお く のである。
[u]mmitu uguiSiya akanu yin Saram:nuChuti haru kuriba matan suyusa.《
梅と鷲や飽かぬ縁奎らめ退きゆて春来ればまたも添ゆさ》
⑨ ya(や =詠 嘆
)稀に間投助詞とみられる用例もあるが、主としては文末や挿入句末の形
容詞または形容詞の語幹に接する。形容詞に接する場合は、多 くいわゆる
名詞形の後へ続 くが、語幹に直接接続することも少なくない。
ただ、前述 した ように、断定助動詞の縮約形や係助詞 と同 じ語形である ため、 ときにそれ らと紛 らわ しい用例 もある。
umlgummu tslyuni sakaru urishisaya taminu kusaba
《お恵 みの露 に盛 る嬉 しさや民 の草葉》
uramishlya kuiji wadunu mama naranu
《恨 め しや恋路我胴 の儘 な らぬ》
kataitaya tsichinu yamanufani kakaru madin
《 語 りたや月の山の端にかかるまでも》
⑩ yu (よ )
文末 に現れ る ことも しば しば あるが、それ は文 中・ 文 末を問わず現れ る ことので きる間投助詞が文末に出現 した もの とみ るべ きであろ う。幾分詠 嘆的意味が ないわけ ではないが、む しろ、作者 が読み手 に対 しての念 を押 す に似 た、 はた らきかけ の気持 ちが強 い よ うであ る。
mazlyu mati ts ra《まづ よ待 て連れ ら》
wamlya uchikumyu《
我 身や浮 草 よ》す でに さきに述 べ た格助 詞 「yu」 と同 じ語形であるため、それ とこれ と の紛 らわ しい場 合 が あ るか も しれ な いが、格 助 詞 の 「yu」 は本 土 語 の
「を」 に対応す る語であるか ら、その点に着 目すれば識別が 可能である。
①
wi(ゑ =疑
間)文末 にあ って疑 間を表す点 で先 の 「mi」 と よ く似 て い る。相違 す る点 は、「mi」 が活用語の縮約形 に接す るのに対 して、 これは体 言 に接 続す る のが原則で、 したが って、活用す る語の場合は連体形に接続す る。その よ うに、 上の語 との接続関係 のあ り方は「mi」 との間に明 らかな差異がある が、「mi」 も「wi」 も反語表現が可能 である し、この両者 の意味上の役割分 担が ど うな ってい るのかは、今の ところ明 らかに し得ていない。一つの仮 説 と して考 え られ る こ とは、「疑 間」 を「疑 い」 と「問 い」 とに区別 す るな らば、「wi」 の方に 「疑 い」 の、「 」の方に「問い」の色彩が よ り濃 い よ うに思われ るが、いかがであろ うか。
なお、上接語の語末母音が
/u/で
あることが多いため、しばしば/w
/音 が脱落して「
i」という形をとる。
tsichinu kawatumi miga chimuwi《
月の変はとめ身が肝ゑ》
kawaku manu arui sudinu uraya《
乾 く間のあるゑ袖の裏や》
(本
学教授、研究所主任
)1992年 2月25日
D"年
3月 1日 編 集 者発 行 者
武 庫 川 女 子 大 学 言 語 文 化 研 究 所 武 庫 川 女 子 大 学 西宮 市池開町6番46号
大和 出版 印刷株式会社
神戸市東灘区 向洋町東2‑7‑2 (非
売
品)
│