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フランス語における状況の表現法の研究

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Academic year: 2021

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(1)フ ラ ン ス 語 にお け る 状 況 の表 現 法 の研 究. 曽. 我. 祐. 典.

(2) 目. 序. 冨活ざe.。 … 。… 。…・…・¨・-0… ・…・…・…・…・…・… 。…・… 。…・…・…・5. 第 第. ■ 讐議 §1. §2. §1. 状況 の表現手段 :状 況 補語. 状況 補語 の 従 来 の 捉 えか た 。… ………… ……… ……… …… 10. まとめ. 16. 従 来 の 記述 とその問 題 点 .… … …… …… ……… ……… … 17 10伝 統 的統辞論 17 2。 機能主 義統辞論 23 3。 その他 の 記述 28 4。. 2讐. ■ 書将. 状況 を含 む事柄 .… …… …… … ………… ……… ……… … 11 1。 事柄 の 内的構 造 11 2.中 核 的事態 の 状 況 14 3。. 第. 次. 華. まとめ. 30. 新 しい捉 えか た :概 念 レベ ルか ら言語 レベ ル ヘ .… … …… 33. 発話 意 図 に応 じたイメ ー ジ形 成 .… …… ……… ……… … 34 1。 真 の 機 能主義 34 2。 コ ミ ュニ ケー シ ョンの場 37. 3.イ メー ジの 形成 40 4。. §2. 3。. 3讐 §1. §2. 45. イ メー ジの フラ ンス語 によ る表現 。…… ……… ……… … 46 1。 発話構 成 のプ ロセ ス 46 2。. 第. まとめ. 華. 動詞結 合要素 と状 況補語 まとめ 58. 51. 状況 補語 の 統 辞 的位 置 と形 式 .… ……… ……… ……… …・・61. 状況 補語 の 統辞 的位 置 。……… ………… ……… ……… … 62 1。 状況補 語 と文 の 中核 62 2。 状況補 語 と他 の 補語 66 3。 まとめ 76 状況 補語 の 形 式 。…… … ……… ………… ……… ……… … 78 1。 記述 の 枠組 み 78 2。 空 間的状況補語 81 3。. 時間的状況補 語. 4。. 観念 的状況補語 まとめ 92. 5。. 84 88. …2-.

(3) 第 第. イL讐義 §1. 3。 4。 5。. 4。 5。. 第. 5讐 §1. 関係 辞 による表現法 .… ……… …・・…… ……… ……… …… 96. 同時的状況 100 後行状 況 103 関係辞 まとめ. 105 108. 観念 的状 況 補語 .… … … ……… ………… ……… ……… … 110 1。 起 因状 況 110 2。 並立状 況 116 3。. 自言. 事 態 を核 とす る状況 を含 む事 柄 の表 現法. 幅. 時間 的状況 補語 .… … … ……… ………… ……… ……… … 98 1。 先行状 況 98 2。. §2. 2書. 議. 帰結状 況 関係辞 まとめ. 120 123 127. 時間 的状況 を含 む事 柄 の表 現法 。……… …… … ……… …… 130. 先行 状況 。……… ……… ……… ………… ……… ……… … 131 1。. 先行性. 2。. 起点. 3。. 仮説. 4。. まとめ. 131. 140 144. 147. §2. 同時 的状況 e… … ……… ……… ………… ……… ……… … 149 1。 時期 149 2。 頻度 ・ 持続 時間 152 3。 まとめ 154. §3. 後行 状況 .… …… ……… ……… … ‥ …… ……… ……… … 155 1。 後行性 155 2。 終止 点 173 3。 まとめ 179. 6讐 §1. ≧. 観念 的状況 を含 む事 柄 の 表 現法 .… …… ……… ……… …… 184. 起 因状況 .… …… …… … ……… …… …… ……… ……… … 185 1。 原因 。理 由 185 2。 条件 0仮 定 193 3。 4。. 譲歩 200 まとめ 204. -3-.

(4) 並立 状況 .… …… … …… ……… ……… … ……… ……… … 206 1。 対 立 206. §2. 7讐 §1. 比較 その他. 3。. まとめ. ・…… … 217 帰結 状況 .… …… ……… ……… ………… ………・ 1。 目的 217 2。 結果 227 3。 まとめ 230. §3. 飼曽. 議. §2. まとめ. 253. 不定 法 。接 続 法 ・ 直説法 .… … ………… ……… ……… … 256 1。 接続法 の 規定 の しか た 256 2。 接続法 の 位置 263 3。. .…. 仮説 の 有効性 .… …… … ……… ……… … ……… ……… …・・234. 状況以外 の 事態 を含 む事柄 .… ………… ……… ……… … 235 1。 感情 0認 知 の 対 象事 態 と通説 235 2。 通説 を越 えて 241 30モ ダ リテ ィー 0説 明 な ど 247 4。. 糸吉 喬譜. 207 215. 2。. まとめ. 269. …… ……… …… ‥ … …… … ……… ………… ……… ……… …… 273. 髪舞 理 彗 3と 確武. ...」. 。………… …… … ……… ……… … ……… ……… …… 277. -4-.

(5) 序論 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの 場 で な にか あ る事 柄 に言 及 し よ う とす る 際 に,人 は そ の 事 柄 の 中 核 を な す 事 態 だ けで な く,そ れ に伴 う さ まざ まな 状 況 も表 そ う とす る こ とが あ る。 た と えば ,「 そ の 学 生 が 勉 強 す る こ と 」 と い う よ うな 中 核 的 事 態 に加 え て ,そ れ に伴 う空 間 的 状 況 ,時 間 的 状 況 ,理 由 ・ 目的 そ の 他 の 観 念 的 状 況 も表 そ う とす る こ とが あ る。 状 況 に は ,「 図 書 館 で 」,「. 2時 か ら 5時 ま. で 」,「 翌 日 の 授 業 の た め に 」 の よ うな 単 純 な もの も あ るが ,「 友 人 た ちが ス キ ー 旅 行 で 北 海 道 に 行 つ て い る あ い だ 」や 「 フ ラ ン ス 語 の 過 去 時 称 の 使 い 分 け が ま だ よ く分 か らな い の で 」の よ うな ,. 1つ の 事 態 を 核 とす る よ り複 雑 な もの. も あ る。 言 及 し よ う とす る事 柄 が 事 態 を 核 とす る状 況 を含 む もの で あ る場 合 に,発 話 者 が そ れ を フ ラ ン ス 語 で どの よ う に し て表 現 す るか は ,方 法 論 的 な 困 難 の ため に こ れ まで 体 系 的 に研 究 され る こ とが な か っ た。 小 論 は ,時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 を含 む 事 柄 を 表 す と き に 発 話 者 が どの よ う に し て構 文 0動 詞 叙 法 を 選 択 す るか ,そ の メ カ ニ ズ ム を 明 らか に しよ う とす る もの で あ る。 実 際 ,言 及 し よ う とす る事 柄 が 事 態 を核 とす る時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 を含 む場 合 , しば しば 発 話 者 が 不 定 法 表 現 (単 文. )と 節 表 現 (複 文 )の あ い だ で. ,. また,節 表 現 の と きは接 続 法 と直 説 法 の あ い だ で 選 択 を 行 な うの が 観 察 され る。 例 を挙 げ れ ば ,言 及 し よ う とす る事 柄 が 「 そ の 人 が 外 出 す る こ と 」 と い う 中 核 的 事 態 と「 そ の 人 が 電 話 した 後 に Jと い う時 間 的 状 況 と を含 む と き,発 話 者 は場 合 に応 じて,(1)aの よ うな 不 定 法 表 現 を含 む 発 話 と 表現. (1)b,cの よ うな 節 (接 続 法 ・ 直 説 法 )を 含 む 発 話 の うち の どれ か を構 成 す る。 ((1)b,cを. や や 不 自然 と感 じ る フ ラ ンス 語 常 用 者 も い る ). (1)a.. 1l SOrtira apres avOir tOlephOne。. b。. (?)II SOrtira aprё s qu'1l ait telephOne.. c。. (?)II SOrtira aprё s qu'1l aura telephono。. しか し,「 電 話 す る Jと い う事 行 の 主 体 が 「 そ の 人 」以 外 の も の で あ る と き は ,場 合 に応 じて. (1')a,bの. よ うな 節 表 現 を含 む 発 話 を 構 成 す る。. (1')a. 1l SOrtira aprOs que tu aies tO10phonO.. _. b. 1l sortira aprё s que tu auras te10phOne. ま た,事 柄 が 「 そ の 人 が X夫 人 を 見 か け る こ と 」 とい う 中核 的 事 態 と「 そ の …5….

(6) 人 が 散 歩 し て い る あ い だ に Jと い う時 間 的 状 況 を含 む と きは ,次 の. (2)aの. よ. うな 単 文 で は な く,(2)bの よ うな 直 説 法 節 を含 む 発 話 を用 い る。. (2)a.*Il a vu Madame X pendant se promener. b. Il a vu Madame X pendant qu'il se promenait. 「 散 歩 す る Jと い う事 行 の 主 体 が 「 そ の 人 」以 外 の もの で あ る と き も,(2') の よ うな 直 説 法 節 を含 む 発 話 を 構 成 す る。. (2') Il a vu Madame X pendant que tu te promenais。 一 方 ,事 柄 が 「 そ の 人 が な ん で もす る こ と 」 とい う中核 的 事 態 と「 そ の 人 が ビ ジ ネ ス で 成 功 す る ため に 」 と い う観 念 的 状 況 を 含 む と き は ,次 の. (3)aの. よ. うな 単 文 で 表 す こ とは あ るが ,(3)bの よ うな 複 文 を 用 い る こ とは な い。. (3)a.. Il falt tout pour reusslr dans les affalres。. b. *1l fait tout pour qu'il reussisse dans les affaires。 しか し,「 成 功 す る Jと い う事 行 の 主 体 が 「 そ の 人 」以 外 の も の で あ る と き は ,(3')の よ うな 接 続 法 節 を含 む 発 話 を構 成 す る。. (3'). Il falt tout pour que tu reusslsses dans les affalres.. 発 話 者 は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの 場 で ,言 及 し よ う とす る事 柄 が どの よ うな 内 的 構 造 を持 つ と捉 え るか に応 じ て ,言 い 換 え れ ば 状 況 の 事 態 が 中 核 的 事 態 に ど の よ う に関 わ る と見 るか に応 じ て,そ の 都 度 適 当 と判 断 す る表 現 形 式 を 選 ぶ も の と考 え られ る。 構 文 0動 詞 叙 法 の 選 択 は 関 係 辞 (前 置 詞 0接 続 詞 )や 語 順 そ の 他 の 諸 表 現 手 段 の 選 択 と も連 動 す る もの で あ り,そ の メ カ ニ ズ ム は ,発 話 構 成 の 実 態 を よ く観 察 し 多 くの 要 因 を総 合 的 に考 察 す るの で な けれ ば ,正 し く把 握 す る こ とが で きな い で あ ろ う。 小 論 で は ,言 及 し よ う とす る事 柄 が 事 態 を 核 とす る時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 を含 む 場 合 に,発 話 者 が 事 柄 の 内 的 構 造 の 提 えか た に応 じ て どの よ う に構 文. 0. 動 詞 叙 法 を 選 択 す るか を ,先 行 研 究 の 記 述 と イ ンフ ォ ー マ ン トの 面 接 調 査 か ら 得 られ た デ ー タ を 手 掛 か り に解 明 し た い と思 うの で あ る。 わ れ わ れ が 考 察 の 対 象 とす る の は ,現 代 の 標 準 的 な フ ラ ン ス 語 にお け る表 現 法 で あ る。 「 標 準 的 な フ ラ ンス 語 」 と は ,教 養 あ る フ ラ ン ス 人 が 日常 生 活 にお い て 話 し た り,議 論 し た り,メ モ を作 成 した り,手 紙 や 報 告 書 な どを書 い た り す る と きな ど に用 い るふ つ うの フ ラ ン ス 語 と言 つ て も よ い だ ろ う。 し たが っ て 原 則 と して ,古 め か しい 表 現 法 や こ と さ ら に文 語 的 0文 学 的 な 表 現 法 な ど は. ,. ,. 粗 野 な 表 現 法 や こ と さ ら に く だ け た 表 現 法 な ど と同 様 に,考 察 の 対 象 か ら除 く。 -6-.

(7) 小 論 は ,「 状 況 補 語 」 の 規 定 を め ざ す 第. 1部 と構 文 ・ 動 詞 叙 法 の 選 択 メ カ ニ. 2部 か ら成 る。 各 部 の 構 成 は ,次 の とお りで あ る。 状 況 の 表 現 手 段 :状 況 補 語. ズ ム を論 じ る第 第. 1部 第. 1章. 状 況 補 語 の 従 来 の 提 えか た 事 柄 は どの よ うな 内 的 構 造 を持 つ か ,わ れ わ れ の い う「 状 況 」 と は何 か を 明 らか にす る。 そ して ,状 況 表 現 の 従 来 の 記 述 法 に よ つ て は 問 題 が 十 分 に解 明 で きな い こ と を示 す 。. 第. 2章. 新 しい 捉 えか た :概 念 レベ ル か ら言 語 レベ ル ヘ 新 し い 方 法 論 に よ り,発 話 者 が 発 話 意 図 に応 じて事 柄 の イ メ ー ジ を形 成 し,発 話 を構 成 す るプ ロ セ ス を想 定 す る。 そ し て ,動 詞 結 合 要 素 との 関 係 にお い て状 況 補 語 を 機 能 面 か ら規 定 す る。. 第. 3章. 状 況 補 語 の 統 辞 的 位 置 と形 式 状 況 補 語 が フ ラ ン ス 語 文 の 統 辞 階 層 構 造 中 で 占め る 位 置 を 明 らか に し,発 話 者 が 状 況 補 語 と して ど の よ うな タ イ プ の 表 現 形 式 を採 用 す るか を検 討 す る。. 第. 2部 事 態 を核 とす る状 況 を 含 む 事 柄 の 表 現 法 第 4章 関 係 辞 に よ る表 現 法 言 及 し よ う とす る 事 柄 が な ん らか の 事 態 を核 とす る 時 間 的 状 況. 0. 観 念 的 状 況 を 含 む 場 合 につ い て ,関 係 辞 が 導 く状 況 補 語 を 概 観 し. ,. 構 文 ・ 動 詞 叙 法 の 選 択 が 問 題 とな る範 囲 を 明 確 にす る。 第. 5章. 時 間 的 状 況 を含 む事 柄 の表 現 法 時 間 的 状 況 に関 し て ,発 話 者 が 事 柄 の イ メ ー ジ に応 じて ど の よ う に 関 係 辞 と構 文 0動 詞 叙 法 の 選 択 を行 な うか を 考 察 し,選 択 メ カ ニ ズ ム に 関 す る仮 説 を 提 示 す る。. 第. 6章. 観 念 的 状 況 を含 む事 柄 の表 現 法 観 念 的 状 況 に関 し て ,発 話 者 が 事 柄 の イ メ ー ジ に応 じて ど の よ う に関 係 辞 と構 文 0動 詞 叙 法 の 選 択 を行 な うか を 考 察 し,そ れ も 第 5 章 に示 した 仮 説 に よ り説 明 で き る こ とを 確 か め る。. 第. 7章. 仮説 の有効性 状 況 以 外 の 事 態 を 含 む事 柄 の 表 現 法 に つ い て も状 況 の 場 合 の 選 択 メ カ ニ ズ ム と同 様 の もの が 認 め られ る こ とを示 し,動 詞 叙 法 の 体 系 を検 討 して ,仮 説 の 意 義 と有 効 性 を確 認 す る。. 小 論 に示 す 発 話 例 の 容 認 度 ま た は 事 柄 の 内 的 構 造 に対 す る適 合 度 の 判 断 は イ -7-.

(8) ンフ ォ ー マ ン ト (項 目 に よ り 3∼. 12人 )の 話 感 に頼 っ た。 イ ン フ オ ー マ ン ト. は ,「 標 準 的 な フ ラ ンス 語 」を 常 用 す る高 学 歴 の フ ラ ンス 人 M。 Olivier Bir‥ mann, M. Raoul Blin, M口 ° Martine Dauzier, M. Germain Fajardo, M. Jean‥. Paul Honore, Mmo Geneviё ve M'Bandja, Mme Francine Mothes, Mme Germaine. Nefussi, M. Marc Nefussi, M. Pierre Seuzaret, M. Alain Thote, Ml:e ca―. role Vasseurで あ る。 ま た, よ リ ー 般 的 な 問 題 につ い て は MH e lsabelle. Mahaim,Prof.Bernard Pottier,Prof.Guy Serbatの. 判 断 も仰 い だ。. な お ,発 話 例 の うち で 出 典 の 注 記 の 無 い も の は ,イ ンフ ォ ー マ ン トの 協 力 を 得 て わ れ わ れ が 作 成 し た も の で あ る。. -8-.

(9) 第. 1部 ・. 状 況 の 表 現 手 段 :状 況 補 語. -9-.

(10) 1章 §1. 状 況 を含 む 事 柄 1。. 3.ま §2. 状 況 補 語 の 従 来 の 捉 えか た. 事 柄 の 内的構 造. 2。. 中核 的 事 態 の 状 況. とめ. 従 来 の 記 述 とそ の 問 題 点 1。. 伝統 的統辞論. 2。. 機 能主 義 統 辞 論. 3。. その 他 の記 述. 4。. ま とめ. こ の 章 で は ,「 事 態 を 核 とす る時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 を含 む 事 柄 」 とは何 か ,そ の フ ラ ンス 語 にお け る表 現 法 を 解 明 す る に は どの よ う にす べ きか と い う 問 題 を論 じ る。 まず § 1で ,一 般 に人 が 言 及 し よ う とす る事 柄 が ど の よ うな 内 的 構 造 を持 つ. J,「 状 況 」の 観 念 を 明 らか にす る。 次 い で § 2で ,伝 統 的 統 辞 論 0機 能 主 義 統 辞 論 そ の 他 に お い て ,従 来 どの よ. か を 考 え,「 事 態 」,「 事 行. うに状 況 の 表 現 が 扱 わ れ て き た か ,扱 い か た に は方 法 論 的 な 問 題 が な か っ たか ど うか を検 討 す る。. -10-.

(11) 状 況 を含 む 事 柄. § 1. 「 事 態 を核 とす る時間 的状況 ・ 観念 的状 況 を含 む事 柄 」の 表現 法 を論 じるに は,そ れが 何 を指 す のか, と くに状況 とは どの よ うな もの を い うの か を 明 らか に してお か な けれ ば な らな い。 この 節 で は,一 般 に,事 柄 は どの よ うな 内 的構造 を持 つ と考 え られ るか を考 察 しよ う.そ して,い くつ か の 用 語 を定 義 し,研 究 の 対 象 を明確 に しよ う。. ■. _. ■. .. 事. ■. 柄. の. 内. 的. 構. 造. 事態. コ ミ ユ ニ ケ ー シ ョ ンの 場 で 人 が 言 及 し よ う とす る事 柄 は ,原 則 と して な ん ら か の 事 象 ・ 出来 事 を含 む と考 え られ る 1).事 象 ・ 出 来 事 を 以 下 で は 「 事 態 」 2) と呼 ぶ こ と に しよ う。 小 論 で は ,原 則 と して 事 柄 が 中核 的 事 態 を 1つ だ け含 む 場 合 に つ い て論 じ るが ,事 柄 は ,そ れ が 含 む 中核 的 事 態 の 内 的 構 造 が 単 純 な も の か ら非 常 に複 雑 な もの まで さ ま ざ ま で あ る の を反 映 して,構 造 の 複 雑 さの 程 度 に お い て きわ め て 多 様 で あ る。. ま ず ,事 態 につ い て 内 容 の 面 か ら考 え て み よ う。 事 態 は ,静 的 な 性 格 の もの. ,. 動 的 な 性 格 の もの ,中 間 的 な 性 格 の も の の 3つ に大 別 す る こ とが で き よ う。 静 的 な 事 態 と い って も多 種 多 様 な もの が 考 え られ るが ,次 の よ うな もの を そ の 代 表 的 な 例 と見 な す こ とが で き る だ ろ う。. 1.存 在 に関 わ る もの :∼ が あ る こ と 2.所 在 に関 わ る もの :∼ が .… に あ る こ と 3.状 態 に関 わ る もの :∼ が (学 生 )で あ る こ と,∼ が 美 しい こ と,∼ が 健 康 で あ る こ と,∼ が .… で で きて い る こ と,∼ が (友 だ ち )が あ る こ と,∼ が .… に似 て い る こ と 中 間 的 な 性 格 の 事 態 も 多 種 多 様 で あ る と考 え られ るが ,次 の よ うな も の が 代 表 的 な 例 で あ る と言 え よ う。. 1.認 識 に関 わ る もの :∼ が .… を知 る こ と,∼ が .… と考 え る こ と 2.感 情 0意 志 に関 わ る もの :∼ が .… を嫌 う こ と,∼ が .… を 喜 ぶ こ と. ,. ∼ が 。… を望 む こ と,∼ が .‥ し た い.と 思 う こ と 動 的 な 事 態 は さ ら に多 種 多 様 な もの が 考 え られ るが ,次 の よ うな もの を そ の 代 表 的 な 例 と見 な して よ い だ ろ う. .. -11….

(12) 1.移 動 に関 わ る もの 2.変 化 に関 わ る もの. ∼ が .… を 出 る こ と,∼ が .… に着 く こ と ∼ が (教 員. )に な る こ と,∼ が 大 き くな る こ と. ,. ∼が 伸び る こ と. 3.動 4.行. 作 に関 わ る もの. ∼ が 立 つ こ と,∼ が .… を 押 す こ と. 為 に関 わ る もの. ∼ が 働 く こ と,∼ が .… を 見 る こ と,∼ が .… を作 る. こ と, ∼が .。 を 美 し くす る こ と,∼ が .… を 。… に与 え る こ と 状 態 0動 作 0行 為 に関 わ る も の を は じめ , これ らの 事 態 は い ず れ も,そ れ ぞ れ さ ら に多 くの 類 型 に分 け て考 え る こ とが で き るが ,そ れ は 小 論 の 主 題 で は な い の で ,こ れ 以 上 詳 し くは論 じな い。. ■. . 2. 事行. 上 に示 し た よ うな さ ま ざ まな 事 態 が 含 む 状 態 0認 識 ・ 動 作 。行 為 な ど を ,す な わ ち , 日本 語 な ら動 詞 0形 容 詞 ・ 形 容 動 詞 な どで 表 す も の を ,以 下 で は総 称 して 「 事 行 」 3)と 呼 ぶ こ と にす る。 事 態 は 中 核 的 な 構 成 要 素 と し て な ん らか の 事 行 を 含 む , ま た は 事 態 は な ん ら ` か の 事 行 を 核 とす る, と言 う こ とが で き る。 事 行 は ,瞬 間 的 で あ るか 持 続 的 で あ る か ,な にか の 成 就 に つ な が るか 否 か とい う よ うな 基 準 に よ っ て ,い くつ か の 「 事 行 の タ イプ 」 に分 類 す る こ とが よ く行 な わ れ るが ,そ れ も 事 柄 の 内 的 構 造 の 問 題 に は 直 接 関 係 しな い の で ,小 論 で は 論 じな い。 さ て , き わ め て 単 純 な 構 造 の 事 態 と して は ,事 行 と事 行 に主 体 と して 参 画 す る要 素 とか ら成 る もの が 考 え られ る。 す な わ ち ,<主 体. +事 行 >の 構 造 の ,次. の よ うな も の が 考 え られ る。 (事 行 を 下 線 で 示 す ) 1。. この 絵 が 美 しい こ と. 2.雪 3.マ. が とける こ と リー が 立 ち上 が る こ と. 4.. 彼 が 歩 くこ と. 5。. 赤 ん坊が 眠 ってい るこ と. 6.講. 師が話す こと. よ り複 雑 な 事 態 と して は ,事 行 とそ の 主 体 に加 え て ,事 行 の 対 象 や 主 体 の 性 状 な ど,事 行 に直 接 深 く関 与 し,事 態 の 成 立 に不 可 欠 と思 わ れ る さ まざ まな 要 素 を含 む も の が 考 え られ る。 以 下 で は ,事 行 に直 接 参 画 す る要 素 を 「 参 画 体 」 -12-.

(13) と呼 ぶ こ と に しよ う (事 行 の主 体 も参 画 体 の 1つ で あ るが ,他 の 参 画 体 と区別 す る ため に「 主 体 Jと 呼 ぶ こ とが あ る )。. <主 体 +事 行 +参 画 体 >の 構 造 の 事. 態 と しては,次 の よ うな ものが 考 え られ る。 (主 体 以 外 の 参 画 体 を破線 で示 す ). 1.テ ー ブ ルが 居 間 にあ る こ と 2。. 私が 童 楽 が 好 きで あ るこ と. 3。. 客 が 店 に .入 る こ と. 4。. そ の 子 が 石 を投 げ る こ と. 5。. 僕 た ちが 映:画 を見 る こ と. 6.マ. リーが ア_シ ン に本 を与 えるこ と. 事 態 の 構 成 要 件 とい う観 点か らは,次 の よ うな こ とが 言 え る。 あ る事 態 が 成 立 す る ため には,少 な くとも事 行 とその主 体 が必 要 で あ る。 さ らに事 行 の 種類 に よ つては,主 体 以 外 の 参 画 体 も必要 で あ る。 これ を,図 式的 に示 す と次 の よ :. +. 体 画 参. . 3. +. 体 主. ■. 態F 行 ︲ 事 事. うにな る. 事 行 の様 態. や や複 雑 な事 態 と して は,事 行 とそ の主 体 (そ して,場 合 によ り他 の 参 画 体 ) に加 えて,事 行 の 様 態 を含 む もの も考 え られ る。 「 様 態 maniё re」 とい う用 語 は ,GARY― PRIEUR,M.― N.(1982)な ど も 指 摘 す る よ う に ,明 確 に 定 義 す る こ とが 難 し い が , こ こ で は ,事 行 の あ り さ ま 0あ り か た ,場 合 に よ つ て は <事 行. +. )参 画 体 >の あ り さ ま 0あ りか た と考 え て お こ う。 す な わ ち ,や や 複 雑 な 事 態 と し て は , <主 体 +事 行 (+参 画 体 )十 様 態 >の 構 造 の ,次 の よ (主 体 以 外 の. うな も の が 考 え ら れ る。 (様 態 を 波 線 で 示 す. ). la.彼 がょ っJ襲釧. くこと =歩 b。 歩 くこと 彼がステ潔J誡 =Lで 2a.雪 がどんだム とけること. b.雪 が陽光二 とけること 3a.講 師が量々上 話すこと b.講 師がマ五玄r話 すこと その観光客が絵薬書 をニュ嵐上 買うこと b。 その観光客が絵葉書 をュ■■スュ之島工 買うこと 5a.僕 たちがのんびユ 映:画 を見ること 4a。. ¨13-.

(14) b.僕. たちが はデ オ で 映_画 を見 る こ と. 6a。. その子 が 毅ね よ く 石 を投 げ るこ と. b。. その子 が 油 の力 に石 を投 げ るこ と. これ らの事 態 1-6aに 含 まれ て い る「 まっす ぐに J,「 どん ど ん 」,「 長 々 と 」,「 さ っさ と J,「 の んび り 」,「 勢 い よ く」の よ うな様 態 は,事 行 が 持 つ (事 行 に内在 して い る )性 質 に関 わ る もの と言 うこ とが で きる。 実 際 ,そ れ ぞれ,「 まっす ぐな歩 行 」,「 どん どん進 む融 解 」,「 長 つ た ら しい話 」. ,. 「 素 早 い 買 い物 」,「 の んび り した見物 」,「 勢 いの よい投 椰 」 の よ うな 事 行 の あ りさ ま・ 性質 を想起 させ る。 様 態 の この よ うな 内在 性 は,bに 含 まれ て い る「 ス テ ッキな しで 」,「 陽 光 に 」,「 マ イ クで 」,「. 500フ. ラ ン札 で 」. ,. 「 ビ デ オ で 」,「 沖 の 方 に 」の よ うな 要 素が ,事 行 に外 的 に関 わ って い る こ と と対 比 で き る。 しか し,両 者 の あ いだ の この よ うな差 異 は小 論 の 中心 で あ る状 況 に は関係 しな い ので,両 者 を事 行 の 様 態 と して同列 に扱 うこ と に した い。 様 態 が ,事 行 に だ け関 わ るの か ,そ れ とも <事 行 +(主 体 以 外 の )参 画 体 > の全 体 に関 わ るの かの 区別 は, しば しば微 妙 で あ る。 た とえば ,5bの 「 ビ デ オ で 」が 純 粋 に「 見 る 」と い う事 行 の あ りか たで あ るの か,そ れ と も同 時 に「 映 画 」 とい う参 画体 の空 間 的位 置 で もあ るの か とい う判 断 は難 しい。 この よ うな 区別 も, しか し,小 論 の 論 考 に とって重 要 で はな いの で,す べ て事行 の 様 態 と して同列 に扱 うこ とに したい。 言 う まで もな く,人 は この よ うな事 行 の 様 態 を 一 切 含 まな い事 態 を思 い 描 く こ とが で きる。 す な わ ち,事 行 の 様 態 は,事 態 の 成 立 に とって 不 可 欠 の 要 素 で はな い。 以 上 を ま とめ る と,さ まざ まな事 態 の 構 造 は,次 の よ う に図 式 的 に示 :. 中. 核. +. 体 主. 20. 態 行 ︲ 事1事. す こ とが で きる. 的. で ) 事. 態. の. 状. 況. さ ら に, この よ うな 事 態 に 付 帯 す る状 況 4)が 考 え られ る。 す な わ ち ,事 行 と そ の 主 体 (そ して,場 合 に よ り参 画 体 や 事 行 の 様 態 -14-. )を 含 む 事 態 全 体 に と っ て.

(15) の 状 況 が あ る。 空 間 的状 況 ・ 時 間 的状 況 。観 念 的状 況 の 例 を,そ れぞれ 3つ ず つ 示 そ う。 (状 況 を 2重 波線 で 示 す ). 10塞 ユニ襲盪通二彼がムЙ翌聟酬. で歩くこと =レ ベビニカ 2。 赤ん坊が眠っていること =ェ 3.二皇ェその子が油の方風 石を投げること 4.以 重虚上 テープルが晨間にあること 5。. 昼 食 中_に マ リー が 立 ち 上 が る こ と. 6.菫菫 塁 僕たちがはズオで映画を見ること. 7.藁ュ曇塑墨ゑユ輿進客が店に入ること 8。. ゑ豊塁聾雄漁笙度量麓塾盤滅私は音楽 が好きだということ. 9.. マ リー が ア ラ.ン に 本 を 与 え る こ と. 7-9の 観 念 的 状 況 は ,そ れ ぞ れ 「 良 い 品 物 が 多 い こ と 」,「. あ な たが 美 術 が. 好 きで あ る こ と 」,「 (マ リー が ア ラ ン に )読 書 の 習 慣 を つ け て や る こ と 」 と い う事 態 を 核 と す る も の で あ る.な ん らか の 事 態 を 核 とす る状 況 は ,下 の. 2'. の よ う に ,時 間 的 状 況 の 場 合 に も しば しば 見 られ る。. 言 う まで もな く,. <中 核 的 事 態 +状 況 >と. る よ うな 状 況 も考 え られ る。 例 を 的事 態. い う複 雑 な 構 造 の 新 事 態 に 付 帯 す. 2っ だ け示 そ う。 上 の. +状 況 >の 全 体 に 付 帯 す る の が ,次 の 2',5'の. 2,5の. よ うな <中 核. 冒 頭 部 分 の よ うな 状 況. で あ る。. 2'.母 親 が 外 出 し て い る あ い だ ベ ビニ カニ で 赤 ん坊 が 眠 っ て い る こ と 5'。. 空 港 に 行 く時 間 が 迫 っ て い るの で 昼 食_中 _に マ リー が 立 ち上 が る こ と. あ る状 況 が ,中 核 的 事 態 にの み 関 わ るの か ,そ れ と も <中 核 的 事 態 十 状 況. >. に関 わ るの か の 区 別 は , しば しば 微 妙 で あ る。 た と えば ,5'の 「 空 港 に行 く時 間が 迫 つ て い るの で 」 と い う よ うな 状 況 は ,「 マ リ ー が 立 ち上 が る こ と 」 とい う事 態 に の み 関 わ る と考 え る こ と も不 可 能 で は な い よ う に思 わ れ る。 両 者 の 区 別 は ,事 柄 の 内 的 構 造 を 考 え る う えで しば しば 重 要 な もの で あ るが ,小 論 で は 両者 を い ず れ も「 状 況 」 とい う用 語 で 指 す こ と に し,必 要 な 場 合 に は ,「 中 核 的 事 態 の 状 況 」,「. <中 核 的 事 態 +状 況 >全 体 の 状 況 」 と い う よ うな 言 い か た. で違 い を 示 す 。 言 う まで もな く,人 は 状 況 を ま っ た く伴 わ な い 中 核 的 事 態 を思 い 描 く こ とが -15-. ,.

(16) で き る。 す な わ ち ,状 況 は 事 柄 の 成 立 の ため に不 可 欠 の 要 素 で は な い。. 30. ま. と. め. 以 上 を ま とめ る と,人 が 言 及 し よ う とす る事 柄 の 基 本 的 な 構 造 は ,<中 核 的 事態. >(+状. 況. ),す な わ ち, <主 体 +事 行 (+参 画 体 )(+様. 態. )>(+状. 況 )と い う こ と に な る.こ れ を 図 式 的 に示 す と次 の よ う に な る (か つ こ は 不 可 欠 で な い要 素. ): (+状 況 ) (+参 画 体 )(+状. 中核 的事 態 主 体 +撃. 1行. \. (様 態. 況. ). ). 中 核 的 事 態 に付 帯 す る 時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 は , しば しば そ れ 自体 が. 1つ. の 事 態 を核 と して 含 む こ とが あ る。 小 論 が 「 事 態 を 核 とす る時 間 的 状 況 0観 念 的 状 況 を含 む 事 柄. Jの 表 現 法 を 明. らか にす る こ とを め ざ す と い うの は ,以 上 の よ うな 意 味 に お い て で あ る。. …16-.

(17) §. 2. 従 来 の記 述 とそ の 問 題 点. 状 況 とは どの よ うな もの を い うか は前 節 § 1の 2で 定 義 した とお り だが ,こ の 節 で は状 況 を含 む事 柄 の フ ラ ンス語 にお け る表現 法 を, どの よ うに捉 えて記 述 す るか とい う方 法 論 につ い て考 えた い。 その ため の 第 一 歩 と して,状 況 の表 現 が 従 来 どの よ うに記述 され て き たか を 概 観 し,記 述 に伴 う問題 を検 討 す るこ とに しよ う。 伝 統 的統 辞論 によ る記 述. ,. その 欠 陥 を 克服 しよ う と した機 能 主 義 統 辞 論 に よる記 述 ,最 近 の 研 究者 に よ る 記 述 を順 に見 て い こ う。. ■. 0. ■. _. ■云 糸充 白句 糸充 晋幸 ヨ命. ■. 「 状況補 語 」. 周 知 の とお り,伝 統 的 統 辞 論 は ,「 状 況 補 語 Comp10ment circonstanciel」 とい う文 法 カ テ ゴ リ ー を 設 け て い る。 これ は ,CHERVEL,A。 (1979)に よ れ ば. 19. 世 紀 半 ば 以 来 の こ とで あ るが , この 用 語 が 指 す の は ,わ れ わ れ の い う状 況 (中 核 的 事 態 に付 帯 す る状 況. )の 表 現 だ け で は な い。. た と えば ,DUBOIS,J.et. al.(1973a)は ,「 伝 統 文 法 で は行 為 actionが な. され る状 況 を示 す 補 語 を 状 況 補 語 と呼 ぶ 」 と記 した後 に「 時 ,場 所 ,様 態 ,原 因 ,目 的 ,同 伴 ,価 格 ,道 具 ,手 段 な ど 」 と例 示 し て い る。 ま た,BUYSSENS,E。 (1979)は , この 用 語 の 解 説 と して 次 の よ うな こ と を記 し てい る. :. 「 動 詞 に 『 状 況 補 語 』 と呼 ば れ る補 語 が 伴 う こ とが あ る。 こ の 補 語 を指 向 対象. referentに 基 づ い て 認 定 し よ う とす る 努 力 が 払 わ れ て き た。 す な わ. ち ,そ れ は状 況 を表 し,時 間 ,場 所 ,様 態 ,原 因 ,目 的 ,数 量 な ど に関 わ る と考 え るの で あ る。 『 な ど 』 と添 え る の は ,状 況 と見 な し うる も の す べ て を列 挙 しつ くす こ とが で きな い か らで あ る (.… )」 (p.34)。 以 上 か ら,伝 統 的 統 辞 論 にお け る「 状 況 補 語 」が ,わ れ わ れ の い う状 況 の 表 現 だ けで な く,さ まざ まな 様 態 (事 行 の 様 態. )の 表 現 も含 む こ とが 分 か る。. 伝 統 的 統 辞 論 の 捉 え か た を よ く示 し て い る と 思 わ れ る. CHEVALIER,J。 ―C.et. al.(1964), MAUGER, G。 (1968), WARTBURG, W. et al。 (1973), ・GREVISSE, M.. (1980,1986)そ の 他 によ る「 状 況 補語 」の 定 義 と記 述 の しか た を まとめ る と. ,. ほぼ 次 の よ うにな るだ ろ う1): -17-.

(18) 1.動 詞 が 表 す 事 行 に伴 う様 態 や 状 況 な ど を表 わ す 。 2.文 を 構 成 す る,主 語 0動 詞 ・ 直 接 目的 補 語 0間 接 目 的 補 語. 0属 詞 以 外 の. 要 素 で ,文 の 基 本 的 な 統 辞 構 造 に影 響 を与 え る こ とな く削 除 で き る。. 3.文 4.文 5.場. 中 に 用 い う る数 に は 原 則 と し て 制 限 が な い。 中 の位置 はか な り自由 で あ る 所 0時. .. 0理 由 0目 的 0様 態 0手 段 と い っ た よ うな 意 味 内 容 に よ っ て. ,. 「 場 所 の 補 語 」,「 時 の 補 語 」,「 様 態 の 補 語 」 そ の 他 に分 類 で き る 2)。. 6.主. に 次 の も の か ら成 る :副 詞 (lentement,beaucoup),名 詞 連 辞 (la se―. maine prochaine),前 置 詞 が 導 く名 詞 連 辞 (dans une tente,avec son frOre)と 代 名 詞 (chez vous)3)。. ■. 。. 2. 「 状況補 語. Jの 不 明 確 さ. こ の よ うな 規 定 の しか た に 基 づ い て ,伝 統 的 統 辞 論 が 様 態 0状 況 の 表 現 と し て の 「 状 況 補 語 」 の 首 尾 一 貫 し た 記 述 に成 功 して い るか と い う と, ま っ た くそ うで は な い。 様 態 0状 況 の 表 現 手 段 は ,「 状 況 補 語. Jの 項 目以 外 に副 詞 0ジ. ェ. ロ ンデ ィフ ・ 状 況 節 な ど の 多 く の 項 目 に分 散 して お り,各 項 目 は ,雑 多 な 事 象 の 列 挙 で あ る よ うな 印 象 を与 え るの が 通 例 で あ る。 何 よ り も 問 題 な の は ,「 状 況 補 語 」 とい う カ テ ゴ リー 自 体 が 明 確 さ を 欠 く こ とで あ ろ う。 実 際 , この 補 語 は 文 法 家 に と つ て ,「 す べ て の 文 法 機 能 の うち で 厳 密 に定 義 す る こ とが も っ と も難 しい と思 わ れ る 」 (ARRIVE,Mo. et al.1986,. p.100)も の の よ うで あ り,上 記 1-6の よ うな 規 定 に基 づ い て 任 意 の 発 話 中 の あ る要 素 が 「 状 況 補 語 」で あ るか ど うか を判 断 し よ う とす る と, と た ん に 困 難 が 生 じ る こ と も珍 し くな い。 まず ,直 接 目的 補 語 との 区 別 で あ るが ,必 ず し も 明 確 で な い場 合 が あ る。 た と え ば ,次 の 発 話 を 見 て み よ う。. (1) Ce chien pё se 15 kilos.. (2)Ma table de travail fait 2. 皿ёtreS de long.. (1),(2)の 15 kilosと 2 mOtresは ,TAMINE― GARDES,J。 (1984)も 指摘 す る よ う に,直 接 目的 語 の 統 辞特 性 を部 分 的 に呈 す る。 た とえば ,次 の (1'),(2') に見 られ る よ うな , lesに よ る代名詞 化 が 可 能 で あ る (p.39)。. (1') 1l les pOse (vralment).. (2') Elle les fait (largement).. -18-.

(19) しか し,15. kilos,2 mOtresを. 主 語 とす る. (1),(2)に 対 応 す る受 動 文 は容. 認 され な い こ とか ら,こ れ らの 語 句 を 直 接 目 的 補 語 と見 な す の は 難 し い。 一 般 に採 用 され て い る処 理 の しか た は ,動 詞 て,15. peser,faireと. の 意 味 関係 を重 視 し. kilosと 2皿 OtreSを 「 状 況 補 語 」 と見 な す と い う も の で あ る。 た と え. ば ,MAUGER,G。 (op.cit。 )で は ,「 計 量 の 補 語 complement de mesure」 と して 「 状 況 補 語 」 の カ テ ゴ リー に属 す と し て い る (p.367)。. とは い え,こ れ らの 話 句. は ,文 の 基 本 的 な 統 辞 構 造 に影 響 を与 え る こ とな く削 除 す る こ とが で きな い と い う点 で も,文 中 の 位 置 が 固 定 的 で あ る とい う点 で も,上 記 の「 状 況 補 語 」 の 規 定 に反 し て い る。. (1")a.*Ce chien pё se.. b.*15 kilos ce chien pё se. (2")a。 b。. *Cette table fait.. *2 metres de 10ng cette table fait.. 間 接 目的 補 語 との 区別 も,間 接 目的 補 語 と い う文 法 カ テ ゴ リー 自体 の 定 義 づ けが 困難 で あ るせ い も あ っ て , しば しば 明 確 で な い。 た と えば ,次 の (3)を 見 よ う。. (3)Il a laisse sOn dOssier au secretariat.. ,動 詞 laisserを COnfierと abandonner の ど ち ら に 近 い と見 るか に よ つ て ,扱 いが 変 わ る だ ろ う。 「 受 取 人 」 と解 す る か 「 場 所 」 と解 す るか の 区別 に は ,次 の (3')a,bの 差 異 が 対 応 す る。 この発 話 の. au secretariatは. (3')a. Il lul a lalsse son dossler. b. Il y a laisse son dOssier. しか し,文 脈 か ら切 り離 され た 発 話 (3)の 構 造 を 分 析 し よ う とす る と き に は. ,. au secretariatが 間 接 目的 補 語 と「 状 況 補 語 」 の ど ち らで あ るか を 断 定 す る こ とは 困難 で あ る。 代 名 詞 化 に際 し て. yの み を用 い る場 合 に も,. そ の こ とだ け で は 「 状 況 補 語 」. で あ る こ との 根 拠 と して 十 分 で な い。 た と え ば ,次 の. mande,a la campagneは ,代 名 詞 化 が yに. (4),(5)の a sa de―. よ つ て の み な され る とい う共 通 点. が あ る 4)が ,通 常 ,動 詞 語 彙 素 が 備 え て い る意 味 的 要 素 を 拠 り ど こ ろ と して前 者 は 間 接 目 的 補 語 ,後 者 は 「 状 況 補 語 」 と見 な さ れ る。. (4) 1ls repondent a sa demande. (5)1ls rOsident a la campagne.. …19-.

(20) (6),(7)も 見 て み よ う。 al'hopitalと sept heuresは ,動 詞 が そ れ. 次の ぞれ. travailler,aller,durerで. あ るか ら,直 接 目的 補 語 と も 間 接 目 的 補 語. と も 見 な せ な い。 そ れ で は ,「 状 況 補 語 」 と断 定 で き るで あ ろ うか。. (6)Hier il a travaille a l'hopital. Il a travaille sept heures. (7)Hier il est allё a l'hopital. Le travall a dure sept heurese (6)の. al'hOpitalと sept heuresは ,上 記 の 状 況 補 語 の 規 定 に合 う も の と. 判 定 で き よ う。 (7)に つ い て は ,問 題 は そ れ ほ ど 簡 単 で は な い。. aller,habiter,se refugier,. 空 間 的 な 観 念 とな ん らか の 関 わ りを 持 つ. resider,rester,venirの. よ うな 動 詞 に続 く語 群 に つ い て は ,BONNARD,H.. (1972)で は ,前 置 詞 の 選 択 の 幅 が あ る (a/vers/prOs de/devant/au― dela de Rome)こ とを 理 由 に「 真 の 状 況 補 語 で あ る 」 と し て お り (p。 741),動 詞 との 意 味 関 係 の 緊 密 さや 位 置 が 固 定 的 で あ る こ とな ど に も か か わ らず ,「 場 所 の 状 況 補 語 」 と見 な して い る。 動 詞. mettre,placerな. どが 表 す 事 行 に 関 わ る空 間 的. な 表 現 も,同 様 に処 理 し て い る (Elle a mis sa voiture au garage./」 e place. mes disquettes dans cette boite.)。 につ い て は ,MAUGER,G。. 一 方 ,動 詞. durerに 続 く時 間 的 な 表 現. (op.cito p.321)を は じめ ,「 時 の 状 況 補 語 」 と見 な. す も の が 多 い。 しか し,al'hopitalも. sept heuresも ,文 の 基 本 的 統 辞 構 造 に影 響 を 与 え. る こ とな く削 除 す る こ と は で きな い し,次 の (7')に 見 る よ う に文 中 の 位 置 が 固 定 的 で あ る とい う点 で も,上 記 の 規 定 に反 し て い る こ とは 確 か で あ る。. (7')*Hier a l'hopital il est al10. *Sept heures le travail a durO. 「 状 況 補 語 」 の カ テ ゴ リー が この よ う に不 明 確 で 多 くの 問 題 を は らん で い る こ とは ,特 定 の 資 料 体. corpus中 の 発 話 の 分 析 に基 づ い て フ ラ ン ス 語 の 統 辞 法. を考 察 0記 述 し よ う とす る研 究 者 に と つ て 大 きな 障 害 とな っ て き た。 た と えば ,い くつ か の テ ク ス ト中 に現 わ れ る発 話 の 統 辞 構 造 を 分 析 し,フ ラ ンス 語 の 書 き言 葉 にお い て どの よ うな 構 文 が どの よ うな 頻 度 で 用 い られ るか を 調 べ よ う と し た CORBEIL,」. .―. C.(1971)は ,か な りの 紙 面 を割 い て 直 接 目的 補 語. と「 状 況 補 語 」 の 見 分 け か た を 論 じざ る を得 な か っ た (pp。 「状況補語. Jは 次 の よ う に規 定 され て い る. 1.動 詞 を ,外 的 な 基 準. 167-184).そ こで は. ,. :. (時 ,場 所 ,様 態 ,手 段 な ど )に 対 し て位 置 づ け る. 機 能 を持 つ。. 2.<主 語 ―動 詞 ― (目 的 語 ,属 詞 な ど )>の 全 体 を 修 飾 す る。 3.文 中 の 数 と種 類 は あ らか じめ 定 ま っ て は い な い。 …20-.

(21) 4.動. 詞 に は前 置 詞 を 介 さな い で 直 接 結 び つ く こ と も,一 般 に 充 意 前 置 詞 を. 介 し て 間 接 的 に結 び つ く こ と も あ る。. 5.状. 況 補 語 に な るの は 次 の もの で あ る :名 詞 連 辞 ま た は そ れ に 相 当 す る語. 句 ,従 位 接 続 詞. (quand,lorsque,parce queな. ど )が 導 く節. .. しか し こ れ が ,結 局 の と こ ろ 伝 統 的 統 辞 論 に よ る規 定 の しか た と 大 差 な い こ と に は誰 で もす ぐ に気 づ くで あ ろ う。 実 際 ,発 話 の 分 析 に 際 して, この よ うな 規 定 に基 づ く「 状 況 補 語 」 の 認 定 が しば しば 困難 を 伴 う も の で あ っ た こ とを 」.― Ce. ■. ,. Corbeil自 身 記 し て い る (p.16)。. _ 3. 係 りか た の 問 題. 上 に見 て き た よ う に,伝 統 的 統 辞 論 の 「 状 況 補 語 」は ,わ れ わ れ の い う状 況 の 表 現 だ け で な く, さ ま ざ まな 様 態 の 表 現 も 含 む も の で あ る。 伝 統 的 統 辞 論 は. ,. 文 の あ る要 素 が ,わ れ わ れ の い う「 事 行 の 様 態 」を 表 す の か ,あ る い は「 中 核 的 事 態 に付 帯 す る状 況 」 を 表 す の か と い つ た 区別 を ,重 要 な こ と とは考 え て い な い 0次 の (8)を 見 て み よ う. .. (8)Abё lard dine en ville avec Hё lolse. 論 理 学 を 言 語 記 述 に援 用 し よ う と し た VANHOUT,」 。(1973)は. ,こ の 発 話 の. en ville につ い て, 《d'une maniOre plus somptueuse, plus luxueuse que diner n'lmporte o由 》 とぃ う,事 行 の 様 態 の 補 語 と い う解 釈 と,《 Abelard,. en ville,dine avec H01oTse.》 ま た は 《En ville,AbOlard dine avec HO― lolse.》 と い う 中 核 的 事 態 の 生 起 場 所 ,す な わ ち状 況 の 表 現 と し て の 解 釈 の 2 つ の 可 能 性 が あ る こ とを 指 摘 し て い る (p。. 187)。. しか し,伝 統 的 統 辞 論 で は そ の. よ うな 区 別 に は注 意 を払 わ ず ,す な わ ち あ る補 語 が 文 の ど の 要 素 に係 る か と い う重 要 な 点 を しば しば 曖 味 に し た ま ま, さ ま ざ まな 表 現 手 段 を 「 状 況 補 語 」 の カ テ ゴ リー の 中 に雑 居 させ るの で あ る。. た と えば ,次 の. (9)―. (12)の 動 詞 に続 く語 句 は ,伝 統 的 統 辞 論 で は す べ て「 状. 況 補 語 」 と見 な す の が ふ つ うで あ る。. (9) 1l marchalt a pas lents。 (10) Le president s'est comportё. en honnOte homme.. (11) Le chauffeur a conduit trё s habilement. (12) Ces gens… la parlent calmement, sans gestes. こ れ らの 発 話 中 の. ・. a pas lents,en honnOte homme,trё s habilement,. calmement,sans gestesは ,事 行 の 様 態 の 中 で も事 行 自体 の あ り さ ま -21-. 。あ りか.

(22) た とい う内在 的な 性 質 を表 す もの で あ る。 状 況 とい うものが 本 来 は中核 的事態 を取 り ま くも の で あ る とす れ ば , この よ うな 表現 手 段 を状 況 補語 と呼ぶ べ きで な い こ とにな る。 早 くか らこの 問題 を指 摘 す る研 究者 が い たに もか か わ らず. 5),. 伝 統 的統 辞 論 は この こ とを軽 視 して き た。 次 の (13),(14)の よ うな 発 話 に見 られ る時間 的な観 念 の表 現 も,伝 統 的 統 辞 論 で は「 状 況 補 語 」 と見 な し, しば しば 「 動 詞 に係 る 」 とい うよ うな言 いか た で そ の 機 能 を記 述 してい る。. (13) Alaln passe souvent ses vacances en ltaliee (14) Les jours de neige, les frileux restent a la maisOn。 しか し,sOuventも les jours de neigeも ,動 詞 よ りは む し ろ節 に係 る補 語 と言 うべ きで はな いか と思 わ れ る。 それ らは,単 に passer,resterと い う 事 行 の 様 態 を表 す の で は な く,そ れぞ れ ,《 Alain passe ses vacances en I‥ talie》 ,《 les frileux restent a la maisOn》. とい う中核 的事 態全 体 の 頻 度 や. 時 間 的枠 組 み を表 す と考 え るべ きで あ ろ う. .. また,GREVISSE,M.(ope cit。 )で は,「 状 況補語 」の 区分 と して,様 態 ・ 数 量 な ど と並 べ て原 因 0目 的 0条 件 とい つた観 念 を示 して い る。 しか し,同 書が 挙 げ る次 の 2つ の 例文 中 の par jalousieと pour le laisser passerが 表 す もの につ い て は,そ れ ぞ れ 「 彼 が 行動 す る こ と」,「 彼 が 離 れ る こ と 」 とい う 中核 的事 態 との結 び つ きが 問題 で あ る と考 え られ る。. (15) Il agit par jalousle。. (p。. 498). (16) 1l s'eCarta pour le lalsser passer。. (p.498). 事 行 の 様 態 で は な く,中 核 的 事 態 に付 帯 す る状 況 を表 す とい う性 格 は ,状 況 節 の 場 合 に は よ り明 白 に表 れ る。 BONNARD,H。 (ope cit.)が 示 す ,(17)― (20)を 見 て み よ う。. (17) Je l'ai connu quand il avait sept ans。 (18) Il bralt parce qu'1l a etO battu。. (p。. 308). (p.310). (19) Il parle de manlere a ce qu'on l'entende。. (p.312). (20) Quolqu'il te connalsse, il ne vlent pas.(p.314) こ れ らの 発 話 中 の 状 況 節 は ,動 詞 が 表 す 事 行 の 様 態 を示 す とい うよ り は ,主 節 が 表 す 中 核 的 事 態 の 時 間 的 状 況 や 理 由 0目 的 そ の 他 の 観 念 的 状 況 を表 す と言 うべ きで あ ろ う。 状 況 節 は ,形 態 を重 視 す る 従 来 の 記 述 にお い て は , しば しば 他 の 形 式 の 表 現 …22-.

(23) 手 段 と切 り離 して,別 の カ テ ゴ リー に属 す もの と して論 じ られ て い た。 両者 の 機能 上 の 類 似性 ・ 連続 性 あ るい は差異 を無 視 して,CHEVALIER,J.― Cle et al.. (ope cit.)の よ うに「 状 況補 語 」 とは別 の 章 で扱 う こ とも珍 し くなか っ た。 そ の よ うな記 述 の しか たは,か え って,係 りか たの レベ ル の 差 とい う重 要 な 問題 を隠 して し まう結 果 に もつなが っ た もの と思 われ る。. 2.. 機. 2 _. ■. 能. キ 董 妻. 新 誨 幸. 論. 機 能 主 義 統 辞 論 に よ る記 述. 一 般 に伝 統 的 統 辞 論 は ,フ ラ ンス 語 の 記 述 に あ た つ て ,膨 大 な 量 の 用 例 を収 集 し,そ れ らを分 析 し,細 か く分 類 す る とい う作 業 を行 な っ て き た.分 析 0分 類 に 際 して は ,形 態 的 な 基 準 を 重 視 す る こ と も あ れ ば (た と えば ,接 続 詞 句 の 存 在 を根 拠 と して の 状 況 節 とい うカ テ ゴ リー の 設 定. ),意 味 的 な 基 準 を 重 視 す. る こ と も あ っ た (た と え ば ,直 接 目的 補 語 0間 接 目 的 補 語 と「 状 況 補 語 」 の 区 別 )。. い ず れ の 基 準 に よ っ て も捉 えが た い 場 合 に は ,典 型 的 事 象 と例 外 的 事 象. の 列 挙 に と どめ る こ と も あ っ た。 記 述 者 の 内 省 ・ 直 感 を拠 り ど こ ろ と し た り意 味 的 な 基 準 を採 用 し た りす る こ とを必 ず し も避 け る べ き こ と とは 考 えな い 伝 統 的 統 辞 論 の 記 述 は ,良 き につ け悪 し き につ け主 観 的 色 彩 が 濃 い も の とな りが ち で あ つ た。 そ して ,細 部 にお い て は 優 れ た 記 述 を行 な う こ とが あ る と し て も. ,. フ ラ ンス語 の 有 機 的 な 構 造 な い し体 系 の 全 体 像 を提 示 す る こ と に は成 功 して い な か っ た。. こ の よ うな 伝 統 的 統 辞 論 に対 立 して ,早 くか ら構 造 主 義 的 な 方 法 論 を 主 張 し て き た 言 語 学 派 と して ,Ao Martinetを 中 心 とす る機 能 主 義 言 語 学 派 6)を 挙 げ る こ とが で きる。 そ の 理 論 的 立 場 は. MARTINET,A.(1967,1985),MOUNIN,G。. (1974),FRANcOI S,F。 (1977)な ど に示 され て い る とお りで あ る。 言語 事 象 を機 能 的 見 地 か ら研 究 す る こ とを 唱 う と こ ろか ら「 機 能 主 義 」 と言 わ れ る こ の 学 派 の 統 辞 論 は ,意 味 の 扱 い に きわ め て慎 重 な 態 度 を示 し,た と えば ,「 状 況 の 」 補 語 とい う よ うな 意 味 的 基 準 に よ る カ テ ゴ リ ー を設 け た り は しな い。 原 則 と し て,述 辞. predicatに 対 す る 発 話 内 で の 統 辞 的 関 係 に よ っ て ,発 話 の 諸 構 成 要. 素 の 機 能 を 記 述 し よ う とす るの で あ る。. この 学 派 によ る フラ ンス語統 辞 法 の ま とま った記 述 と して は, まず MAHMOU― DIAN,M。 (1976)が 挙 げ られ る。 これ に よれ ば,フ ラ ンス語 で は動 詞述 辞 pre― -23¨.

(24) dicat verbalを 持 つ 2項 発 話 が 最 も 一 般 的 で (p.146),そ の 場 合 ,述 辞 と主 辞 sujetと い う不 可 欠 な 2要 素 か ら成 る 核 nOyauと ,核 の 拡 大 な い し展 開 ex― panslonと して機 能 す る そ の 他 の 要 素 とを認 め る こ とが で き る (pp。 83,84)。 拡 大 は , さ ま ざ まな 関 係 に お い て 述 辞 と結 び つ くが ,基 本 的 に,次 の 3種 類 の も のが あ る. :. 1.名 詞 の よ う に,そ の 記 号 内 容 に 関 係 表 示 が 含 まれ な い で ,発 話 内 で の 位 置 が 機 能 を決 定 す る うえで 重 要 で あ る位 置 依 存 語. 2.副. dOpendant(p.88).. 詞 の よ う に,本 来 そ の 記 号 内 容 に関 係 表 示 が 含 まれ て お り,機 能 を決. 定 す る う え で 位 置 に よ る こ との 少 な い 自律 語 autonome(pp.374-386). 3。. 前 置 詞 や 接 続 詞 の よ うな 関 係 表 示 語 に導 か れ る こ と に よ り 自律 語 に転 化 し た 自律 化 連 辞 autOnomise(pp.211-217)。. 発 話 の 諸 構 成 要 素 を ,述 辞 に対 す る統 辞 的 関 係 に よ つ て 記 述 し よ う とす る だ け あ っ て ,あ る要 素 が ど の 要 素 に係 る か とい う こ と は ,な い が し ろ に は され て い な い。 た と えば , 自律 化 連 辞 の 項 で は ,そ れ が 係 る の が 動 詞 (21),名 詞 (22), 形 容 詞 (23),述 辞 全 体 (24)で あ る こ とな どが 記 され て い る (pe214)。. (21) 1l se fait comprendre par geste. (22) La communication par le geste n'est pas facile. (23) Il etalt malade de peur. (24)A notre grand etonnement, 1'engin se remet a marcher。 こ の よ うな 記 述 が 全 体 と して 妥 当か ど うか は と も か く と して ,発 話 の 構 成 要 素 が 機 能 す る レベ ル を重 視 す る態 度 は 評 価 に値 す る. .. フ ラ ンス 語 統 辞 法 の ま と ま っ た 記 述 と して は ,機 能 主 義 言 語 学 者 グ ル ー プ に よる. MARTINET,A.(1979)も 無 視 す る わ け に は い か な い。 も ち ろ ん こ こで も,発. 話 の 諸 構 成 要 素 を ,述 辞 に対 す る統 辞 的 関 係 の 緊 密 度 と性 質 に基 づ い て 記 述 し よ う とす る 基 本 方 針 は変 わ らな い。 し たが っ て ,あ る要 素 が 何 に係 るか と い う こ と は , 当然 の こ とな が ら重 視 され て い る。 後 半 で は ,「 動 詞 に対 す る名 詞 の 関 係 」,「 動 詞 に対 す る不 定 法 形 態 の 関 係 」,「 動 詞 に対 す る節 の 関 係 」 とい っ た 章 が い くつ も並 ぶ ほ どで あ る (pp.170-230)。 同 書 で は ,述 辞 との あ い だ に成 立 す る直 接 的 関 係 を 一 次 的 機 能 fOnction. primaireと 呼 び ,そ の うち 動 詞 の 選 択 に よ っ て 定 ま る もの を 特 定 機 能. fOnc―. tion spё cifique,動 詞 の 選 択 とは 切 り離 せ る も の を非 特 定 機 能 fOnction non. spOcifiqueと 呼 ん で い る。 伝 統 的 統 辞 論 に い う直 接 目 的 補 語 0間 接 目的 補 語 は -24-. ,.

(25) 動 詞 の 選択 に左 右 され る特 定 機 能 とい うこ とにな る (た と えば ,Il donne le livre a l'enfant。. にお け る le livreと al'enfant)。. 非 特 定機 能 には,義. 務 的 な もの (主 辞 機 能 )と 任 意 的 な もの (た とえば ,Ce philosophe elabOre son systё me に糸 売く avec COnstance, depuis trente ans, dans sa residen―. ce provinciale)が あ る と して い る。 機 能主 義 統 辞 論 が ,発 話 の 統 辞 構造 , と くに諸 要 素 間 の 階 層 的 な統 辞 関係 の 構 造 を分析 ・ 記 述 す るため に,伝 統 的 統 辞 論 よ りも優 れ た 枠組 み を提 供 して い るこ とは間 違 いな い と思 われ る。 この こ とは,フ ラ ンス語 の 文学 テ クス トの文 体 的 特徴 を発話 の 統 辞構 造 の 面 か ら解 明 しよ う として,機 能主義 統辞 論 の 原 則. (1976,1978)な どか らも確 か め られ る。 実際. と方 法 を適 用 した BUREAU,C。. ,. そ こ には,資 料 体 中 の 発 話 の 複 雑 さ と長 さ につ いて か な り説得 力 の あ る論考 と 調査 結果 が 見 られ る。 われ われ も同様 の 方 法 に よ り,約. 3千 の フ ラ ンス語文 に. つ い て,階 層 的統 辞 関係 を手が か り とす る分 析 を行 な っ た こ とが あ るの で,参 考 まで に曽我 (1980,p.29)に 例 と して挙 げ た 発 話 (ESCARPIT,R。. crit et la communicatio■. ,coH.《 Que. sais― je?》. 1973:L'O―. ,p.7)を 示 してお こ う。 こ. の 発 話 につ い て は ,eStを 述 辞 と見 な し,そ れ に対 して 各 構 成 要 素 が ど の よ う な 関 係 に あ るか を 考 え る こ と に よ り,次 の よ うな 統 辞 構 造 の 図 式 を得 た. l. :. La molndre capaclte 2. 2. du chenal 3 auditif. n'est pas 1 1 1. (car) 1. n'est. un lnconvenlent dans l'usage 2 courant, le cerveau. 1 1. uS19:ll::Istrer. 】. que la millieme partie a 4. 3. n O l ・ t a m r O f n   ・ e t 1 ・ b ′ e d. l e l.   u , l q. e d 5. 4. この 発話 の 場合 ,階 層 的関係 にお い て述辞. estか ら最 も遠 い 構 成 要 素 (発 話. 末 尾 の 語群 qu'il dObite)が 述 辞 か ら 5段 階 目 の 要 素 で あ り, この よ うな構 成 要素 を 18個 含 む とこ ろか ら,複 雑 さの度 合 は 5で ,長 さの度合 は 18と い う こ とにな る。. -25-.

(26) 2 0 2. 形 態 重 視 の 問題 点. こ の よ う に,機 能 主 義 統 辞 論 は ,発 話 内 部 の 諸 要 素 を階 層 的 関 係 に お い て 捉 え る ため に は か な り の 有 効 性 を 発 揮 す る。 しか し,時 間 的 状 況 ・ 観 念 的 状 況 を 含 む 事 柄 を フ ラ ン ス 語 で どの よ う に表 現 す る か とい う よ うな ,発 話 者 が 伝 え よ う とす る 内 容 7)と 表 現 形 式 の 対 応 関 係 に関 わ る問 題 を考 え よ う とす る と きに は ほ と ん ど 無 力 とな っ て し ま う。 上 記 の. ,. 2つ の 記 述 に お い て も,発 話 の 諸 構 成 要. 素 を 述 辞 との 統 辞 的 な 関 係 に基 づ い て 分 類 す る こ と に熱 心 で ,自 律 語 と 自律 化 連 辞 が 場 合 に よ つ て状 況 の 表 現 手 段 に な り う る こ と は 読 み 取 れ る もの の ,フ ラ ンス 語 にお け る状 況 の 表 現 は ど の よ うな も の か とい う よ うな 問 い に答 え る よ う に は 構 想 さ れ て い な い。 状 況 の 表 現 に な り う る言 語 手 段 は ,非 常 に多 く の 項 目 に分 散 して し ま っ て い る の で あ る。. MARTINET,A。 (op.cit.)で は ,上 記 の とお り,述 辞 に直 接 結 び つ く要 素 の う ち動 詞 の 選 択 に 付 随 す る もの を 特 定 機 能 と呼 ぶ が ,そ の 中 に,「 目的 補 語 機 能 」 や 「 与 格 機 能 」 と 呼 ぶ も の を 含 め て お り,前 者 の 例 と して. un livre,後. 者 の 例 と して. 挙 げ て い る (p.160)。. il dOnneに 対 す る. il donneに 対 す る aux pauvresの よ うな もの を. そ して , さ ま ざ まな 「 機 能 」の 認 定 は ,次 の よ うな 形 態 的. 基 準 に よ る べ き だ と して い る (p.163):. 1.特 定 の 機 能 指 示 語 2.発 話 中 の 位 置 (例 。 L'eau coule.中 の eauの 前 置 3.記 号 素 皿OnOmeの 特 定 の 形 態 (例 。 人 称 代 名 詞 の「 目的 補 語 」形 ). le,. la, les). 4.強. 調 す る場 合 の 特 殊 な 形 式 (例 。 「 目 的 補 語 」 の 場 合 に 代 名 詞 で 受 け て. 繰 り返 す ). 5.機. 能 指 示 語 を別 の もの に 代 え る可 能 性 (例 。 受 動 文 の 「 主 体 」機 能 の 場. 合 ,deと. 6.述. parを. 交 替 さ せ る こ とが で き,奪 格 機 能 と区別 で き る ). 辞 の あ る 種 の 拡 大 要 素 と別 の 種 類 の 拡 大 要 素 との あ い だ に等 位 接 続 記. 号 が 無 い (例 。 H lit le journal le soir。. 7.一. ). 致 ,す な わ ち ,あ る 機 能 (こ こで は 「 目的 補 語 」 の 機 能. )の 存 在 に よ. る動 詞 連 辞 の 形 態 変 化 (例 。 Voici les lettres que j'ai Ocrites.). 8.能. 動 態 に対 す る受 動 態 の よ うな 言 い 換 え (例 。 Son pё re lui a donnO. ce livre。. ― ) Ce livre lui a Oto donnO par son pOre。. 直 接 目的 補 語 は ,基 準. 3,4,6,7,8に …26-. ). よ つ て識 別 す る こ と にな るが ,そ れ.

(27) らは ,結 局 の と こ ろ伝 統 的 統 辞 論 が 用 い て い た 識 別 法 とほ とん ど変 わ らな い。. penserや douterの 後 の <a+名 詞 連 辞 〉,<de+名 詞 けで な く,compterゃ passerの 後 の <Sur+名 詞 連 辞 >,〈 pour+名. 特 定 機 能 に は ,動 詞 連 辞 >だ. 詞 連 辞 〉 な ど も含 む と し て い る (pp。 164,165)。. す な わ ち ,間 接 目的 補 語 は ,特. 定 機 能 の 一 部 とい う こ と にな る。 一 方 ,非 特 定 機 能 の う ち の 任 意 的 機 能 の 中 に は ,次 の よ うな 位 格 機 能 (25), 様 態 機 能 (26)そ の 他 が あ る とす る (p。. 161)。. (25) Le chien mange dans sa nlche。 (26) Le chien mange avec appё tit. こ う して ,非 特 定 機 能 で 任 意 的 な も の の 一 部 に,わ れ わ れ の い う状 況 の 表 現 にな り う る表 現 手 段 が 含 まれ る こ と に な るの で あ るが ,そ れ らを 形 態 的 な 基 準 だ け で は な く意 味 的 な 観 点 か ら も細 分 して い て,そ の 意 味 で は あ たか も伝 統 的 統 辞 論 に よ る記 述 を 見 る よ うで あ る。 た と え ば ,「 動 詞 述 辞 に対 す る節 の 関 係 」 とい う章 な ど は,そ の 記 述 の 大 部 分 (p。. 209,pp.212-222)が ,伝 統 的 統 辞 論 に よ. る状 況 節 の 記 述 と ほ とん ど変 わ らな い と言 つ て も過 言 で は な い。 そ の よ うな 傾 向 が は っ き り うか が え る例 と して ,機 能 主 義 統 辞 論 の 影 響 下 に 編 まれ た BONNARD,H。 (1982)を 挙 げ る こ とが で き る。 そ こ で は 「 状 況 補 語 」 と い う文 法 カ テ ゴ リ ー を設 け て お り,「 そ れ 自体 の 中 に機 能 の 表 示 を含 む 動 詞 の 補 語 を原 則 と して 状 況 補 語 と呼 ぶ 」 と定 義 し (p.265),以 下 の よ うな こ とを 記 し て い る (pp.265… 277):. 1.次. の よ うな 様 態 や 状 況 な ど を表 す. :場 所 ,時 ,原 因 ,. 目的 ,手 段 ,様 態. ,. 数 量 ,対 立 ,議 歩 ,仮 定 な ど。 2。. そ れ 自体 の 中 に機 能 の 表 示 を含 む ため に,主 語 ・ 目 的 補 語 。属 詞 と異 な り,文 中 で の 位 置 は 固 定 的 で な い。. 3.前 4.次. 置 詞 の 選 択 が 可 能 で あ る点 で ,間 接 目 的 補 語 と区 別 され る。 の もの か ら成 る :副 詞 ま た は 副 詞 句 (loin,tard,sur―. le¨ champ,. avant longtemps),名 詞 (place Gambetta,la nuit),前 置 詞 に導 か れ る 名 詞 ・ 代 名 詞 (a Paris,dё. s l'aube,chez皿 01),遊 離 名 詞 連 辞 (la. pipe a la bOuche),形 容 詞 (fort,juste,net),不 定 法 の 形 態 (avant de sortir,pour s'instruire),ジ ェ ロ ンデ ィ フ (en s6rtant,en he― sitant),状 況 節 。 こ れ は ,伝 統 的 統 辞 論 に よ る記 述 の しか た とほ と ん ど変 わ らな い。 -27-.

(28) 3.. 3 .. そ. ■. の. 他. の. 記. 述. い くつ か の 研 究. 言 う まで もな く,伝 統 的 統 辞 論 0機 能 主 義 統 辞 論 の 流 れ 以 外 に,フ ラ ンス 語 にお け る状 況 の 表 現 に 直 接 ・ 間 接 に関 わ る 研 究 が 行 な わ れ て こな か っ た わ けで は な い。 多 くの 研 究 が な され て き たが , と く に 1970年 代 以 降 は ,語 用 論 研 究 の 進 展 と相 ま っ て ,い わ ゆ る文 の 補 語 。文 の 副 詞 あ る い は 副 詞 類 一 般 に 関 す る研 究 が 盛 ん に 行 な わ れ る よ う にな っ て き て い る。 「 文 の 補 語 」や 「 文 の 副 詞 」 とい っ て も,研 究 者 に よ つ て理 解 す る も の は か な り異 な る よ うで あ る。 い ず れ にせ よ,コ ミ ユ ニ ケ ー シ ョ ンの 場 にお け る発 話 者 の 行 動 を で き る だ け総 合 的 に提 え よ う とす る立 場 か ら論 じ られ る わ け だが そ の よ うな 研 究 の 主 な も の と し て ,MARTIN,R。. (1974),BORILLO,A.(1976),. SUEUR, J。 ―P。 (1978), NEF, F. et al.(1982), BRUXELLES, Se et al。 DANJOU― FLAUX,N。. ,. (1980),. (1982),GUIMER,C。 (1984),MOH NIER,C。 (1984)な ど を挙 げ. る こ とが で きる。 これ らの 研 究 に は , さ まざ まな 表 現 につ い て ,そ れ らが どの よ うな 統 辞 的 0語 用 論 的 機 能 を 果 た す か を解 明 し よ う とす る とい う共 通 点 が 見 られ る。 ま た,― mentの 話 尾 を 持 つ 副 詞 を は じめ とす る副 詞 類 全 般 は ,機 能 が 非 常 に 多 岐 に わ た る ため に,や は り多 くの 研 究 者 が 論 じ る と こ ろ とな っ て い る。 代 表 的 な もの は ,HONG,C。 ―S.(1975),MORDRUP,0。 (1976),MOLINIER,C。 (1979,. 1982),GARY― PRIEUR,M.―. N。. (1982)な ど で あ ろ う。. この よ うな ,特 定 の 種 類 の 表 現 手 段 を 取 り上 げ て 詳 細 な 分 析 0考 察 を 加 え る 研 究 は盛 ん で あ るが ,わ れ わ れ の い う様 態 や 状 況 に 関 わ る表 現 全 般 を体 系 的. 0. 網 羅 的 に論 じ よ う とす る 研 究 は , これ まで の と こ ろ行 な わ れ て い な い よ うで あ る.お そ ら く,そ れ らの 表 現 を ,文 の 成 立 に と つ て 不 可 欠 で は な い (文 の 基 本 的 構 造 に付 随 す る周 辺 的 な もの に過 ぎ な い )と して 軽 視 す る気 持 ち と, そ れ で い て 意 味 的 ・ 統 辞 的 に き わ め て 多 様 で 捉 え に く い と して敬 遠 す る 気 持 ち とが 働 く た め で あ ろ う。 こ れ まで に様 態 と状 況 に 関 わ る表 現 に つ い て最 も総 合 的 な 考 察 を加 え よ う と した の は ,MEH. S,L。 (1983)で あ る よ う に 思 わ れ る。 文 の 基 本 的 構 成 要 素 に 付 随. す る周 辺 的 な 要 素 を総 称 的 に「 状 況 項 Circonstant」 ま た は 「 状 況 補 語 com―. p10ment circonstanciel」 と呼 ぶ この 研 究 は ,そ の よ うな 要 素 を ,文 中 で 果 た -28-.

(29) す 機 能 に 基 づ い て で きる だ け厳 密 か つ 明 確 に分 類 し よ う とす る も の で あ る。 そ の た め に,L.Mellsは. ,そ れ ら要 素 につ い て動 詞 を は じめ とす る文 の 他 の 構 成 要 素 との 共 起 関 係 を検 討 す る。 動 詞 に 関 して は ,そ れ が 表 す 事 行 の タ イ プ の 検 討 も も ち ろ ん怠 らな い。 そ して , さ ま ざ まな 検 討 を 経 て ,最 終 的 に ほ ぼ 次 の よ うな. 4種 類 の 補 語 を認 定 す る。. 1.動 詞 とそ の 行 為 項 nttud actantiel。. actant° か ら成 る 文 の 核 に 伴 う補 語 complё ments. これ に は 次 の よ うな もの が あ る. du. :. a.態 度 の 補 語 COmp10ments d'attitude 電。 Pierre travallle lntelligemment。 (p.46) 修. Pierre casse sauvagement la branche。 (p.35) b.[F手受. 甫言 吾 COmplements lnstrumentaux. `D孝. O刑. L Pierre a fixe cette planche avec des clous.(p.57). Ceア ス ペ ク トの補 語 comp10ments aspectuels 惨 可。 1l s'endort rapidement.(p.66). d.様 態 0程 度 の 補 語 complements semiematiques Fllo Jean marche a tOute allure.(p.95) Il l'alme eperdument。 (p.98). 2.節. に属 す 補 語 complements prOpositlonnels.. L Elle travalllalt a l'uslne du Jpr二 召 刑 3。. .. 鑽 甫言 吾 COmplements transpropositionnels。 市を 1墾 え るキ 夕可. Quolqu'il solt intelligent, il n'obtient rlen。. 4.. に 〕. (p.152). 吾 cOmplements de phrasec 甫言. `D幸 31。. Sincerement, Pierre est fou。 (p.158). L.Melisは ,あ. ら ゆ る「 状 況 補 語 」を 分 類 す る ため の 原 理 ・ 基 準 を探 り,補. 語 の 体 系 の 全 体 像 を提 示 す る こ とが 研 究 の 主 目的 で あ る と記 して い る (p.14)。 実 際 ,特 定 語 旬 に 関 す る 多 くの 先 行 研 究 を踏 ま え,補 語 を 総 体 的 に把 握 し よ う とす る この 論 考 は ,個 々 の 補 語 の 捉 え か たが 妥 当か ど うか は 別 と して ,動 詞 の 種 類 と文 の 諸 構 成 要 素 の 統 辞 機 能 に関 す る,多 くの 情 報 を 与 え て くれ る も の で あ る。. 3 . 2. 問題点. しか し, この 優 れ た 論 考 も,わ れ わ れ の 研 究 に寄 与 す る と こ ろ は 必 ず し も多 くな い。 …29-.

(30) まず ,分 類 の 枠 組 み の 探 求 で あ る ため に仕 方 が な い こ とだが ,上 記 の 1-4の 補語 カ テ ゴ リーの どれ を とつて も細 部 に関 して は必 ず しも記 述 が 行 き届 い て い な い とい う問題が あ る。. 1が さ らに 4つ に細 分 され てい る こ とか らも うかが える よ うに,「 動 詞 とその行為 項 か ら成 る文 の 核 に伴 う補 語 」で あ り,こ れ に 全 体 の 3分 の 2の 紙 面 を割 い て い る。 この 補 語 カ テ ゴ リー は,主 として動 詞 が 最 も詳 しいの は,上 記 の. 表 す事 行 の 様態 に関 わ る表現 で あ る. また,4の 「 文 の補 語 」 に も比較 的 多 く の 紙 面 を充 てて い る。 そ の 一 方 で ,小 論 の 対 象 で あ る状 況 を表 す 手 段 と考 え ら. 2,3の カ テ ゴ リー の うちの 一 部 で ご く簡 単 に扱 つ て い る に過 ぎな い。 そ こで は,考 え られ る表 現 形 式 の うち きわ め て限 られ たもの だ け しか 取 り上 げ てお らず ,十 分 な 考 察 を加 えて い る とは 言 えな い。. れ る もの は,上 記 の. われ われ に とって最 大 の 問題 点 と思 われ るの は,補 語 の 分 類 原 理 の 探 求 とい う目的 の 設 定 の しか た 自体 か ら明 らか な こ とで あ るが ,発 話 を研 究 の 出発 点 と し,発 話 に現 われ て い る要 素 の 機 能 認 定 を 中心 課題 と して い る点 で あ る。 これ は,MELIS,L。 (op.cit。 )に 限 らず. ,`. い わ ゆ る文 の 補 語 0文 の 副詞 に関 す る研 究. や ,副 詞 類 全 般 に関 す る研 究 につ いて もあ て は まる こ とで あ る。 その よ うな研 究が ,状 況 を含 む事 柄 を フ ラ ンス語 で どの よ うに して表 現 す るか とい う問題 に つ い て考 え よ うとす る者 に,問 題 解 明 の 鍵 を提 供 して くれ な いの は 当然 で あ る。. 4_. ま. と. め. 伝 統 的 統 辞 論 に よ る記 述 は ,大 量 の 言 語 資 料 の 集 積 と して貴 重 な もの で あ る が ,上 に見 た よ う に い く つ か の 弱 点 が あ る。 「 状 況 補 語. Jと い う カ テ ゴ リー を. 設 け て い るが ,様 態 や 状 況 の 表 現 を す べ て 確 実 に網 羅 して い るか ど うか 疑 わ し い。 この カ テ ゴ リ ー を 明 確 に定 義 す る こ と に は 困難 が 伴 い ,そ の ため に,直 接 目的 補 語 0間 接 目 的 補 語 な ど との 区 別 は必 ず し も明 確 で な い。 ま た,あ る種 の 動 詞 の 空 間 的 0時 間 的 補 語 を 「 状 況 補 語 」 と しが ち だ が , しば しば 必 須 要 素 で あ る と こ ろ か ら,一 律 に そ の よ う に判 断 す る こ と に は 問 題 が あ る。 伝 統 的 統 辞 論 の も うひ とつ の 大 き な 弱 点 は ,あ る 「 状 況 補 語 」が 他 の ど の 要 素 に係 るか とい う統 辞 上 重 要 な 問 題 を 軽 視 し て い る こ とで あ る。 た と え ば ,あ る要 素 が 動 詞 の 補 語 で あ るの か 動 詞 を 含 む 節 の 補 語 で あ る の か と い う区 別 は. ,. しば しば 事 行 の 様 態 を表 す の か 中 核 的 事 態 の 状 況 を 表 す の か とい う区別 に対 応 す る もの で あ り,そ の 発 話 の 統 辞 構 造 を考 え る う え で 決 定 的 な 要 因 で あ る は ず -30-.

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