フランスにおける動産質 (2)
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(2) フランスにおける動産質 ( 2 ). 先弁務権及び追及権 ( d r o i td es u i t e ) を右するが,動産震権者に認められる追 及権は抵当権者のそれとは異なることが指摘されている。まず¥動産質権者は, 質権の巨的物を占有しているので,その意思に反して,その目的物を奪われる. 2 7 9条の規定があり,第三者が百的動産の ことはない。また,フランス民法典2 所有権を取得することによって,追及権が及ばなくなることがあるから,その 点が異なると考えられるわけであるけ)。 (二)留量権 動産質権者は,自的動産を占有するが,そのことから,動産質権者には,習 置権 ( d r o i tder e t e n t i o n ) が認められるとされている。わが民法であれば,質 権の留置的効力と言われている効力であろうが,フランス民法典には,留量権 に関する一般的規定が存在しない. G. しかし,一定の状況において,債務の弁済. を受けるまで物の引渡を拒絶することを認める規定がフランス民法典上には散 在しており,それらをフランスの判例および学説は,留置権として,その性質 ) や要件等について論じてきている (2。 留置権とは,法律により与えられる,債権者が完全な弁済を受けるまで,債 務者に属する物の返還を拒絶する権利であると定義されている{ヘ留量権に関 する一般的な規定が存在しないために,どのような場合に留量権が認められる. e x c e p t i onona d i m p l e t ic o n t r a c t u s ) との峻別 か,また,問時履行の抗弁権 ( に関する議論が展開されてきたが(ヘ今日で辻,一定の場合に程置権が認め られることに争いはないようである。本稿では,留置権邑体に関する問題につ. ee (1 ) D.LEGEAIS , S u r e t e se tg a r a n t i educ r e d i t , 4 d . , 2 0 0 4 , nO 4 2 3 . (Z) フランス民法典における留置権については,清水元 f 留置権概念の再構成 j (一粒社, 1 9 9 8 年) 8頁以下,関武志?留置権の研究 j (信山社, 2 0 0 1年) 1 2 1頁以下に詳しい。 (3) 例えば, MAZEAUD ( H . , L .e tJ . )e tCHABAS ,Lecond ed r o i tc i v i ,l t .m,vo l . ,S u r e t e, O e p u b l i c i t ef o n c iとr e, Montchrestien,7 e d .p a rY .PICOD, 1999 , n1 1 0 , L .AYN主Se tP .CROCQ, O Less u r e 託s , l ap u b l i c i t ef o n c i とr e, D e f r白l o i s , 2 0 0 3, n4 3 0 .等を参照。 (4) 留置権と再詩羅行の拡弁権の峻別に関するフランス法の学説状況については,清水・前 掲注 ( 2 ) 26頁で詳細な紹介及び検討がなされている。. -48-.
(3) 法 務 大 学 院 議 集 第 3号. いて,詳細に検討することを得ないため,本稿の検討対象である動産集権に関 連する限りにおいて,概観するものとする。 さ て , フ ラ ン ス 民 法 典2 0 8 2条 1項は,. r 債務者は,質物の所持(占有)者. ( d e t e n t e u r ) がこれを濫用しない誤り,担保のために質物が供与された債務を 元金並びに利息及び費用についてすべて支払った設でなければ,質物の返還を 請求することができない J(幻と定める D そして,これが,留置権の成立が合. c o n t r a t ) の目的である場合の一例であるとされている (6。 ) 意 ( 留置権は,留置権者に占有している目的物を売却し,その代儲から優先的に 弁済を受ける権利を付与しないので,動産費とは異なると考えられており(7) 習置権と動産質権は別個のものと考えられるところから,動産質権者は,留量 権者でもあるということになる. G. また,フランス民法典2 0 8 2条 2項は,. r 同ーの債務者から同ーの債権者に対. して,質権設定後に締結された別舗の債務で,最初の債務の弁済前に請求可能 となるものが存在する場合には,震権者は,質物を第二の債務の弁済に充当す るいかなる約定もないときでも,双方の債務の完請まで債権者は質物の占有を 手放す義務を負わない j と定める O 留置権が認められるので,動産糞権は,不可分性 G n d i v i s i b i l i t e ) を有する. 0 8 3条 (8))0 そこで,質物は,その担保する覆務が完済される 〈フランス民法典2 (5) プランス民法典の条文については,主 L 法務大臣官房司法法制調査部編『フランス民 法典一物権・債権関係 j( 1 9 8 2 年)を参考 i こして訳出させていただいた。以下でも同様である。 (6) たとえば,担AZEAUD (託.L .e tJ . )e tCHABAS.o p .c i ι ,nO 4 3 7 .等を参照。 (7) なお,この点は先取特権とも異なるとされる。 (8) フランス民法典2083条 1項は, i 動産質は債務の可分性にもかかわらず,積務者の梧続 人又は債権者の相続人に対して辻不可分である j と定める。同条 2項は, i 積務者の相続 人は,震務のうち自己の部分を弁済しても,積務が完済されない隈り,費物における自己 の部分の返還を請求できない J ,再条 3項は, i 反対に,債権者の相続人は,債務のうち自 弓の部分を受領しでも,その共同相続人のうち弁講を受けない者の害して質物を返還する ことができない」とする O なお,不可分性は,留置権の効果としてもあげられるので,動産質に,留置擢が付与さ れる結果,動産質の不可分性が認められると解されていると思われる O. -49-.
(4) フラシスにおける動産費 ( 2 ). まで,留置されうる O そして,動産質権者に認められる留置権は,第三者に対する対抗力 ( o p p o -. s a b i l i t討を有すると考えられているけ. o. そこで,動産質権者は,震物の第三. 取得者や動産賞権設定者のー殻集権者に対する費物の引渡しを拒否することが できる。ところで,動産質権者は,費物の売却代金に対する優先弁済権を有す るので,動産質権者にとって,留置権が認められることの有用性は,動産質権 者に譲先する積権者に対して,震物の占有を対抗しうることにあるはヘ判例は, 動産質権者が,先取詩権者に対しても,所有権留保条項により売買目的物の所 有権を習保した売主に対しても,留置権を主張することを認めている(ヘ さらに,留置権を有することによ与,動産質権者に認められる利点は, 者が錦産手続 ( p r o c e d u r ec o l l e c t i v e ) に入ったときにも現れる. G. f 責務. 動産質権者は,. 質物の占右を放棄することにはなるが,被担保債権の弁済を受けることができ 4 2 2 5 条(12))0 る(フランス蕗法典L.6. 動産糞権者が質物を占有することにより留置擢が認められ,そのことによっ 査権者に対して ,i 憂位 て,動産質権者は,質物を留童しうることにな均,他の f な地{立に立つことが可能となる。そのことは,留量権者が,賓物の 5 1渡しを拒. (9) 陪AZEAUD ( H . ,L .e tJ . )e tCHABAS , O p . c i t .,nOS 75e t78 , L .AYN主Se tP .CROCQ, o p . c i t .,nO 512 ,D.LEGEAIS ,o p . c i t .,nO 4 2 5 . ( 1 0 ) MAZEAUD ( H . ,L .e tJ . )e tCHABAS ,o p . c i t .,nO 78 . ( 1 1 ) 国庫の先取詩権との関採については, C a s s . c o m . ,1 5j a n v .1 9 5 7 :JCP1 9 5 7 ,5 7 .1 11 0 0 0 6が 判示する(ただし,自動車賀に隠する事案である〉。また,留置権者が先取特権者に優先 することについては,先車特権の順位に関連して,拙積「フランス先車特権制度論{下 ) J 帝塚山法学 4号 1 2 9頁以下 ( 2 0 0 0 年)で,検討したことがある。 また,所有権留保との関係については, C a s s . c om.3o ct .1 9 8 9 ;B u l L c i v .1V,244 , JCP1 9 9 0 . I I .21454n o t eB e h a r T o u c h a i s .が動産費権者の程置権行使を認める。 ( 12 ) フランス倒産法は, 2005 年に, 事業救済に爵する 2 005 年 7月2 6日の法律 ( L o inO 2 0 0 5 845du26j u i l l e t2005desauvegarded e se n t r e p r i s e s )J によって改正されている。この改 正により,フランス商法典L. 6 2 2 2 1条 ( 1 9 8 5 年 1丹258の 法 律 1 5 9条)は, L . 6 4 2 2 5条と なっている o 2 005 年の法改正については,小梁吉章 f フランス倒産法j (信出社, 2 005 年) が詳しく,また,同書;こ辻改正法の板訳がある. r. O. h 戸 d. ハ υ.
(5) 法 科 大 学 説 論 集 第 3号. 絶するということが可能になるだけで,受動的に過ぎないとも言えるのである が,動産質権者は,費物を実行し,その代価から優先弁済を受ける権利を害す る点において,単なる程置権者とは異なる. G. もっとも,動産質権の実行段階に. おいては,他の債権者に優先される可龍性も生じることになる。 また,動産質の目的物が債権である場合に辻, g的物の所持ということが考 えられないので,かかる場合の動産費権者には留置権は認められないと考えら. 0 8 2条が,留置権が認められる場 れるが,今日では,学説は,フランス民法典2 合を有体動産の場合に摂定していないこともあり,債権震の場合においても, 質権者に留量権を認めることに好意的であるとされる制。 (三)動産質権の実行. (1)動産費権の実行方法. 0 7 8条 1項は, フランス民法典2. I 債権者は弁濯がない場合でも,質物を処分. することができない。質物が,弁済として,鑑定入の評価に従って相応、の限度 で漬権者に婦屡すること,または,競売により売却することを裁判上命じさせ る こ と を 妨 げ な いj と 定 め て お り , 動 産 質 の 実 行 方 法 と し て , 差 押 売 却. ( v e n t ef o r c e e ) と質物の付与 ( a t t r i b u t i o n ) があることになる. O. また, 2 0 7 8 条 2項は[前項の方式によらずに,債権者が質物を領得し,又は, 処分することを許す条項は,すべて無効で、ある」としている O. (2)質物の差押売却 ローマ法においては,動産質権には,目的物を売却する権剥が認められてい. 0 7 3条は,動産質権者に質物の売却 なかったようであるが悩,フランス民法典2 0 7 8条がその方法を定めている O 代金から優先弁済を受ける権和を認めており, 2 動産震権者誌,通常,質物を占有しているので,差押えをする必要がないと. ( 1 3 ) D.LEGEAIS,o p . c i t .,nO 4 7 4 .等を参照。 ( 1 4 ) MAZEAUD ( H .,L .e tJ . )e tCHABAS,o p . c i t .,nO 7 7 .. U. 4 オ2・ ・. ヘ 戸.
(6) フランスにおける動産質 ( 2 ). 思われるが,質物の売却に詰裁判所の許可が必要であり,競売によらなければ な ら な い 。 フ ラ ン ス 民 法 典2 0 7 8 条 2項 は , 前 記 の よ う に , 強 挺 売 却 条 項. ( c l a u s edev o i ep a r e e ) を禁止する O かかる条項には,動産質権者が費物の価 笹より低い髄格で売却して費務者に不利益を与える危険があるからである(ヘ しかし,民法上の動産質ではないが,上記のような動産質の実行方法が簡易 北されている場合がある O まず,蕗事案の場合には,裁判所の許可は必ずしも 必要ではなし売却は,債務者に対する送達 ( s i g n i 五c a t i o n )後 に. f 申立入. ( c o u r t i e r ) の仲介によってなされることになる(フランス語法典 L521-3条 ) 0 また, 1 9 9 6 年 7月 2Bの法律(話)は,金融証書Ci nstrumentsf i n a n c i e r s ) に対 する質の場合に,証書の種類ごとに,実行手続を定める O また,判例によれば,動産質権を実行することは,動産質権者の権利で、あっ て,義務ではないとされている問。 さて,動産質権者は,他の積権者に擾先して,代錯から優先弁済を受けるこ. r 他の f 責権者に先取りして,かつ,優. とができる。フランス民法典2 0 7 3条は,. 先してくp a rp r i v i l とg ee tp r e f ,仕組c e ) J 賞物の代錯から弁済を受けることができる. 1 0 2条 2号 は , 特 定 動 産 に 対 す る 先 取 特 権 と し て , 動 産 費 と定め,また, 2 ( g a g e ) を掲げる O そこで,先取特権を意味する. r p r i v i l とg e J という語が用い. られていることから,先取持権と動産質の関孫が問題となるのであるが,ここ では,動産質権者は,一般護権者に褒先しうるということで、あって,先取特権 ( 15 ) L .AYN色S etP .CROCQ,o p . c i t .,nO 513,D.LEGEAIS,o p .c i t .,nO 424 ,] . B . S E U B E , O D r o i tdess u r e t e s, 2eedD a l l o z , 2004 , n2 4 6 . ( 16 ) この法律の 1 0 2条は, 1 9 9 3 年 1月 3自の法律2 9条を修正し,現在は,金融証券取引法 (Codem o n e t a i r ee tf i n a n c i e r )L . 4 3 1 4 条になっている。これらの特開法上の質について辻, 本稿では詳しく扱うことができないが,これらの費の実行手続が,民法上の質権のそれに 対し,影響を及l ます可能性があることは留意する必要があろう。 ( 1 7 ) C a s s .com.3n o v .1 9 8 3 ;JCP1 9 8 4 .n .20234,noteMestre,Cass.com.10oct .2000, 召u l . lc i v . O I V .n 1 51.がこのように特示する。 年1 0月1 0日判決については, G.GOUBEAUXe tP .BIHR,1 0 0commeなお,破設寵蕗事部2000 e n t a i r e sd ' a r r e t send r o i tc i v i ,l 2 e d . ,が 7 7も参頭。 戸. 1 3. ワ ム.
(7) 法 科 大 学 説 論 集 第 3号. を有するわけではないと解されている Qヘ動産質権者が龍の質権者,特に,先 取持権者にも優先する場合があるの辻,先取特権であるからではなく,むしろ, 留量権を有することに由来するのである。かく解すると,占有移転を伴わない 動産質では,留霞権が認められないときには,先取特権に優先することはない と考えられる側。. (3)債権者に対する質物の付与 ( a t t r i b u t i o ndug a g e ) 前 記 の よ う に フ ラ ン ス 民 法 典2 0 7 8 条により,動産質権者は,質物の付与を 受けることができる C この場合には,動産質権者は,費物の所存権を取得する ことになるので,留量権を行使する場合と同議に,他の護権者との競合を避け ることが可能になる O さらに,動産質権設定者の倒産手続においても,昌己の 却 2 却 0 ω } 動産費を実行しうる{郷. 質物の付与の法的性質は,代物弁済抵抗i o ne np a i e m e n t ) であると解され ている{へかかる質物の付与を受ける動産質権者の権利は,動産質が民事上の 質でも商事質でも同様に認められるが,この権利が,あらゆる質権者に認めら れるか否かが議論されてきた。質物の付与を受けられる動産質権者は,寵置権 者でもあること,すなわち,賀物の占有を保持している者に限られるのか,あ るい辻,占有移転を伴わない動産質についても,かかる権利が認められるのか が問題とされてきた。質物を占有している動産業権者だけに認められると解す. p r o l o n g e m e nt ) であると考えられ るならば,費物の付与は,留置権の延長 ( るからである O 判例は,質物の付与は,留置権の存在にかかわらず,認められ. Fhu. 。 円. ( 1 8 ) この問題については,拙稿 f フランス先取持権能度論〈上 ) J 帝塚山法学 3号35頁以下 ( 1999 年)で紹介したことがある。 .AYN 主Se tP .CROCQ,o p . c i t .,nO 513等を参照。 ( 1 9 ) L ( 2 0 ) L .AYN 色Se tP .CROCQ,o p . c i t .,が 515等を参照。 ( 21 ) P.TH 豆 町 , Suretese tp u b l i c i t ef o n c iとr e, PUF , 2e 付 ,. 1988 ,nO 259 ,D.LEGEAIS, o p .c i t . ,が 4 2 6 .なお, P h .SIMLERe tP h .DELEBECQUE , Le ssuretes, l ap u b l i c i tef o n c iとr e,D a l l o z ,4e e d ., 1 4 .は,実行方法であるとする O 2004 ,nO 6.
(8) フランスにおける動産質 ( 2 ). るとして,占有移転のない特関法上の動産質権である設備機械上の質. ( n a n t i s s e m e n ts u ro u t i l l a g ee tm a t e r i e ld ' e q u i p e m e n t ) について,賞物の付与 を認めている(却。 ところで,飽の震権者にも優先する可能性が存する点では,実物の所有権の 攻得は動産質権者には有利であろうが,質物の儲檀から全額の弁済を受けられ るとは摂ちないし,質物の蕗品価値が高く,転売が容易である場合以外には, 動産質権者には,さほど利益がないとも考えられよう O 質物の付与は,鑑定入による質物の評舗の後に,裁判官によって命じられる ことになる。それ辻,債権者が質物を不当に箆く評掘して,質物を入手するこ とを避けるためである。そして,震務者にとってのかかる不利益が生じないよ うにするために,当事者が付与の合意をすることを, 2 0 7 8 条は禁止している。. 0 7 8条は,流費条項 ( p a c t ec o m m i s s o i r e ) を禁止し まず,フランス民法典2 ている O この条項は,弁請がない場合に,費権者が質物の所有者となることを 費務者と合意するものである O 涜質条項が禁止されるのは,. f 責権者の地位の濫用を防止するためである. O. 1 責務者を保護し,. そして,かかる規範は,公序. ( o r d r eI m b l i c ) であり,流糞条項は無効であるが,かかる条項が,契約の支雪己 的な目的 ( c a u s e ) でなければ,動産費権自体は,無効とはならないとされて いる(却。ところで,このような流費条項の禁止は,動産質権の発展を妨げたと 言われている(刻。他方で,担保名義での所宥権移転が認められる場合が増えた こともあち,債権者が担保呂的物を評価するという事態もみられるようになっ ている. G. そこで,かかる流質条項禁止の範習が問題とされることになるわけだ. が,流質条項は,動産質権設定後に合意されたときには,有効であると解され. ( 2 2 ) この開題に関する判倒の変遷については, P.T匝 R Y .o p . c i t . .nO 261.を参照。また, C a s s . a s s . p l e n . .26o c t .1 9 8 4 ;D 1 9 8 5 .21 .conc l . J .CABANNESe tnoteF.DERRIDA.を参票。 ( 2 3 ) C a s s .c i v . 1 ぺ16mars1983.Bul. lC I v .. InO 100.は,この点を明らかにする。 .AYN 主Se tP .CROCQ,o p . c i t . .nO 516,D.LEGEAIS.o p . c i ι .nO 4 2 8 . ( 2 4 ) L A. F 1 3. 斗 ・ 4.
(9) 法 科 大 学 院 論 集 第 3号. ている (2。 針. 0 7 8条は,強制売却条項(Iac l a u s edev o i ep a r e e )も 次 に フ ラ ン ス 民 法 典2 禁止している O かかる条項により,動産質権者は,法律の定める手読を遵守す ることなく動産費権を実行できることになるから,禁止されていると考えちれ るO. {四)賞物の冨復 - 追 及 権 ( d r o i tdes u i t e )動産賓権者が,自発的に費物を返還すると,動産質権は消滅すると考えられ ているが (26). 自発的ではなく,質物の占有を失った場合に誌,質権に基づい. て,質物を取り戻すことができる. G. これは,動産質が物権であるところから,. 物権の高性である追及権が認められる結果として,説明されているむそこで,. 2 7 9条 ω により第三者が質物の所有権を取得するまでは,動 フランス民法典2 産実権を第三者にも対抗しうるし,質物を取り戻すことが可龍である。しかし, 動産質権の追及権は,質物の占有を自発的に失った場合には,認められないと いう点で,抵当権に認められる追及権とは異なることが指摘されている(刻。. 4 動産質権者及び設定者の義務. {一)動産質権者の義務 動産質権者は,動産質権の E的物の占有を取得するため,その目的物の返還 義務を負うことになる C 動産質権設定契約詰要物契約であるので,契約成立時 点では,動産質権者にしか義務が生じない。それが,震物を保管し,返還する という義務である。. ( 2 5 ) P . T 廷 邑RY,o p . c i t .,n 2 6 5 . ( 2 6 ) 質物の在意の返還の場合における質権の需趨については,わが国でも議論のあるところ である。この間題につき,高木多喜男 H !I.保物権法〔第 4寂 J . ] (有斐閣, 2 0 0 5 年) 6 3 頁参照。 ( 2 7 ) フランス民法典2 0 7 9条 1項は「動産に関して詰,占有は,権原に鐘する j として,部時 O. 取得都度を定めている C ( 2 8 ) MAZEAUD ( H .,L .e tJ . )e tCHABAS.o p . c i t . .が 8 0 .. 戸. 戸. hd hd.
(10) フランスにおける動産費 ( 2 ). 動産質権者は,元本,利息及び費患の支払いを受けたときには,質物を返還 しなければならない制。そこで,動産糞権者は,質物を保管しなければならず, 惇怠によって質物の滅失又は段損があった場合には責任を負わねばならない 条 1項 ) 。 (フランス民法典2080. また,質物を保管する義務は,実物を第三者が保管する場合の第三者も負担 3 U法上の占有移転のない動産質の場合には,設定者にも することになるし,特 7. 保管義務が課せられることになる(刻。 動産費権者辻,所有者ではないので,寅物を f 吏用したり,処分したりするこ. 条 ( 鉛) 0 そこで,動産質権者は,質物の使 とはできない〈フランス民法典 2079 用,収益が認められないし,禁物の果実を受領することができない。しかし, 動産賓の巨的物が債権である場合に,その債権が利息を生じるときには,動産 震権者は,その利息を動産質権者に支払われるべき利息に充当することができ る(フランス民法典2 0 8 1条 1項 ) 。 (二)動産質権設定者の義務 債務者は,動産震権者が賓物の保存のために負担した必要費及び右益費を償 還しなければならない{フランス民法典2080 条 2項)。また,質物のま畏疫によ り惹起された損害を賠噴しなければならないとされる(組合. 5 動産質権の消滅 動産質権は,被担保債権が消滅すると,附従牲によワ,沼滅する。もっとも,. ( 2 9 ) フランス民法典2 0 8 1条 1項は,債務者が質物の返還請求ができるのは,動産質が担保す る元本,利息及び費用を弁済したときであるとしている。 ( 3 0 ) MAZEAUD ( H . ,L .e tJ . )e tCHABAS,o p . c i t . , が 8 2 . ( 31 ) フランス民法典2 0 7 9条は, I~責務者詰,強制穣収( e x p r o p r i a t i o n ) までは,質物の所有 者であり,費物註,債権者の手中における,その優先弁済権を確保する寄託物 ( d e p δ t ) にすぎない j と定める。 O ( 3 2 ) MAZEAUD ( H . , L .e tJ . )e tCHABAS,o p . c i t .,n 8 3 . 戸. Fhu. O.
(11) 法 科 大 学 説 論 集 第 3号. 前述した2082条 2項の適用がある場合には,被担保債権が消滅しでも,不可分 性によって,動産質権が存続することがある O また,動産質権の存在が,被担 保債権の存続に影響を与える場合がある O 質物が動産質権者の手中にあるとい うことが,債務承認,すなわち,時効中断事由となると考えられるために,動 産質によって担保された債務について辻,消滅特効期間が進行しないからであ る出). O. また,被担保債権の治減と辻無関係に,動産費権のみが消滅する場合もあり うる O そのような場合としては,動産費権者が動産質権を放棄する場合がある O とちわけ,これまでみてきたように,動産質権者が自発的に,設定者に箕物を 返還すると,動産質権は消滅することになる〈フランス民法典2076 条参黒〉。 質物が滅失した場合も,動産費権は泊滅するが,設走者が受領すべき保険金に 対して,抵当呂的物の滅失・致損の場合と同様に,動産質権者は,自己の優先 弁済権を行使しうる(フランス保険法典L.1 2 1 1 3条)と解されている倒。また, 動産費権者が質物の保管義務を尽くさなかったような場合には,裁判所は,動 産質権者に対して,設定者に賞物の返還及び損害賠償の支払いを命じることが できるとされる倒. 6 動産賓の特徴及び爵題点. ( 3 3 ) MAZEAUD ( H . .L .e tJ . )e tCHABAS.o p .c i t . .nO 8 4 . なお,わが法では,費権の留置的効力を主張しでも,被担保積権の消滅時効の進行は妨 げられない ( 3 5 0 条による 3 0 0 条の準用)から,この点は異なる。 ( 3 4 ) MAZEAUD ( H . .L .e tJ . )e tCHABAS,o p . c i t . .nO 8 4 .L .AYN 主Se tP .CROCQ.o p .c i t . .nO 5 0 7 .こ れは,物的代金 ( s u b r o g a t i o nr e e l l e ) によって説明されるが,わが法における物上代位の 概念に相応、すると解される,フランス法における物的代位については,抱稿 f フランスに おける a 百e c t a t i o nの ー 髄 面 白 ) ( 2 )( 3 '完)一物的担保の物上代位との関連において一」 NBL725 号5 3頁 以 下 ( 2 0 0 1年λ743 号5 4 頁以下, 7 4 5 号4 4 頁以下 ( 2 0 0 2 年)で検討したこ とカ宝ある O ( 3 5 ) フランス民法典2082 条 1項参照 o MAZEAUD (正L.e t ] . )e tCHABAS.o p .c i t . .nO 8 5 . 弓 i. F i D.
(12) フランスにおける動産質 ( 2 ). これまで見てきたように,フランス法においても,動産質を特徴づける要素 渡しくr e m i s e )Jがあげられる慨。引渡し,すなわち,賞 として,質物の「ヲ i 物の占有移転は,抵当権と対比される動産糞権の特設のーっとされている O フ ランス民法典 2 0 7 1条は,質権につき,質物を「自己の債権者にヲ│き渡す契約 j であると定義しており,また,質物の継続占有が動産質の効力発生には必要で 条)ことから,動産質権設定契約法要物契 あるとされる(フランス民法典2076 約であると解されてきた。 質権者(あるいは,第三者)への費物の占有移転辻,. f 責務者に対して間接的に; f 責務の震行を強制するが,この作用が重要であると され,また,そのことによって,動産質は実効性のある担保たりうると考えら れるからであろう O ところで,円 i 渡し j ということを考えると,動産費の目的物は,物理的に 占有の移転が可能である有体物であることになろう O そして,震物が有体動産 であると解することは,動産質権が物権であるということとも付会する。しか し,フランス民法は,債権に対する質権を認めており(ペこのことは,動産質 権における要物性の必要性に疑問を投げかけることになる O 動産質の目的物が. i 度しによって, 集権である場合には,フランスの判部は,従前,債権証書のヲ ! 動産質権の成立に必要な占有の取得及び継続が可能になると考えていたが鮒, 証書の引渡しが物理的に不可龍な場合には,動産質に供与された債権の債務者 に対する送達によって動産質〈債権質)が成立することを認めたのは,先に見. 5 年の担保・執行法改正により, たとおりである (3ヘわが法においても,平成 1. 。 。. e ( 3 6 ) M.CABRILLACe tC主 f IOULY ,D r o i td e ss u r e t e s ,7 e d .,2 0 0 4 , L i t e c ,nO 5 0 9 . ( 3 7 ) フランス民法典207 換を参誌なお,債権質における占有の擬制に関しては, M .BILLIAU , Ref l e x i o n ss u rl egage , JCP1 9 9 6e d .G,1 , 3 8 9 7も参展。 O ( 3 8 ) P.TH 忌RY, o p . c i t . ,n 2 4 6 .等 。 ( 3 9 ) C a s s .c i v .1 汽 1 0mai1 9 8 3 , Bul . lc i v .1 ,nO 1 41.が,かかる場合について判示する。. 戸. hd.
(13) 法 科 大 学 院 論 集 第 3号. 債権質の対象が指名債権の場合につき,その註書があるときでも質権者への交 意に新しいが側,フランス法にお 付が必要でないとされるに至ったことは記f けるここでの議論は,わが民法の改正の経緯を想起させる O ただし,全く異 なっているのは,わが法においては,民法に証書の引渡しを要求する規定が 奉ったのに対して,フランス民法典にはかかる規定が存在しないことである O 特朋法では,占有移転を必要としない動産質が認められている(叫が,かかる 場合とも異なる場合に,証書の引渡しが不可能であるときという,一定の留保 付ではあるが,条文上の根拠なくして,要物性の要請を緩和したとも考えられ るO したがって,このような判例の変遷は,動産質権の概念自体の変化に由来 すると解する余地が生じると考えられる c まず,賞物が有体動産である場合のみが,本来の動産質であり,無体動産の 場合は,動産質ではないものが規定されていると考えることができょう(針。そ して,質物の性賞によって,動産禁とされているものの中に,異質なものが含 まれることを認めたうえで,無体動産に対する質とされるものにつき,有体動 産上の質権との共通項を見出して,動産費権の概会を統一的に解することがで き る ( 必 ) 。 あるいは,動産禁(あるいは,動産質とされる権利)に関する特別法の発展 に鑑みて,占有移転を動産質に不可欠の要素とはみないこともありえよう O か. ( 4 0 ) 平成 1 5 年の改正前の 363条は,指名債権を自的とする場合に,証書があるとき詰,その 交イすを質権成立の要件としていた。しかし,証書の占有によって,習置的効力を主張しう るわけでもなく,その意義が開題規されていた。 ( 41 ) たとえば営業財産に対する質 Oenantisseme試 合 f o n d sdecommerce) 等 。 O 血 Y, o p . c i t . ,n 2 2 9 .等を参照。 ( 4 2 ) P.TH は 〈 4 〉 引 3 たとえば, M 在 1 .CABRI 江 LLAC坑 e tC c i α 仏 , 仏 吋 . ム 乙討 t 1 ♂ 1 0印 5 0 保 9 ; ま i,第三 f 責務者に対し,賓権設定者への弁請をしないように通知することに よって,占有移転と同禄の効果が得られるとする O Qd. F I D.
(14) フランスにおける動産質 ( 2 ). く解する場合には,動産禁権設定契約は,要物契約ではないと考えることにな ると思われる制。 また,占有移転の観点から,動産質権の特質につき,再検討を行う方法とし. r 占有J概念の修正ないし拡張によって,無体動産に対する f 占有」を 占有Jを認め 認めることも考えられよう帰むとはいえ,無体動産について, r ては,. たとしても,その占有が物を留置する,という右体動産の場合と同ーの機能を もたらすとは思われないので,動産質権の効果論においてはその影響は少ない ようにも思われる O さらに,動産質権は,物権であり,物的担保 ( s金r e t er e e l l りであるとして 扱われているが,債権が物権の客体になることが認められるかが,そもそもの 問題となろう (4ヘ債権に対する実権は,人的担保 ( s 註r e t ep e r s o n n e l l e ) に繋献 しており,物的担保及び人的担保の両方の担保としての性質を有すると解する 見解もみられる制。この性質に関する点については,わが民法が362条 2項で, 権利質につき,実権の総期規定を準用するとして,動産質及び不動産質と異な る扱いをしていることと共通するむそして,わが法では,現在では,債権質も 「目的の持つ経済的値値を物権的に〈物権の持つ効力を有する)支配する権利j制 であるとして,物権であると考えられている. G. フランス法においても,動産質. 権設走者による目的物の支配力を部分的に,喪失することが,動産質の特後で あるという分析がされており (4ぺ巨的物に対する支配という視点において,わ. ( 4 4 ) ただしフランスの判例には反することになろう。また,要物契約の概念については,. J OBARD-BACHELLIER ,E x i s t e t i le n c o r ed e sc o n t r a t sr e e l send r o i tf r a n c a i s, ? RTDc i v,1 9 8 5 , 住民. p . 1e ts . 豆L I S S I E R,P o s s e s s i o ne t部 e u b l e si n c o r p o r e l s,2 0 0 1,D a l l o z,nOS4 7 8e ts .は占有の保護機 AP 能に着目する C. ( 4 6 ) ( J . P . )App 陪L L ,l enant I ssementd e screancese td e sc o m p t e s .i nLegagecommercia ,l D a l l o z .1 9 5 3 .p. 4 85e ts . . LEGEAIS,Lesg a r a n t i e sc o n v e n t i o n n e l l e ss u rc r e a n c e s .E c o n o m i c a .1 9 8 6 .nO 3 0 1 . ( 4 7 ) D ( 4 8 ) 高木・前掲注 ( 2 6 )8 1頁 。 O ( 4 9 ) M . B I L L I A U .o p . c i t . .n 1 4 .. -60-.
(15) 法 科 大 学 院 論 集 第 3号. が法と共通するものと思われて興味深い。 いずれにしても,動産質の日的物が有体動産である場合と無体動産である場 合とは,性質が異なる点が存在することは否定できず,これを統一的に説明す るためには,動産質の概念を拡張するか,占有概念を再検討するかが必要とな るだろうから,動産質の性案決定が困難となってくると考えられよう O さて,動産質の効力とされるもののなかでは,留置権が認められることが大 きいといえる O それは,先取特権者等にも動産質権者が優先することを耳能と するからである。この点に関しては,わが民法 (347条ただし書〉では,動産 費権に認められるのは,留置的効力であり,留置権そのものではなく,そのた め,動産質権者に優先する債権者に留置的効力を主張しえないのとは全く異な るO フランス民法典には,わが民法のような留置権に関する統一的規定がない ところから,動産質権者に習置権を認める,という扱いがなされることになる わけで,かかる栢違は法制度の違いに由来するものと考えることになるが,地 方で質権の巨的物の留置(つま乃,占有の継続)ということを考えるときには, フランス法においても,わが法と河様に,債権のような無体動産の留量という ことが開題となろう O 質権の目的がイ棄権である場合には,集権自体の留置は, 有体動産と同様には考えることができず,したがって,賓権設定者に心理的に 圧力を与えて,履行を強制するという効力は生じないと考えられるむ無体動産 の出有を認める立場に立てば,債権の留置を考えることができるかもしれない が,その場合でも,存体動産の留置とは異なるだろうし,習量権が抗弁権に近. 9 9 6 年 7月 2B の法穿 似することになるようにも思われる制。 勉方,倒えば, 1 が館設した,金融証書の口塵に対する質権は,質権者に留置権を認めている〈出。 これと同様に解するならば,担保自的物が有体動産の場合にのみ,習置権が認. ( 5 0 ) もっとも,フランス法における習置権につき,本語では,深く掘り下げることができない。 ( 5 1 ) この法律によって認められた賓権については, L .AYN主Se tP .CROCQ, o p .C仏 nO 521 . を. 参照。 -Ei. p o.
(16) フランスにおける動産費 ( 2 ). められるということにはならず,フランス民法上の無体動産を対象とする動産 質にも留置権が認められると解する可能性が生じよう O 以上にみたように,フランス民法においては,動産質 ( g a g e ) の客体とし て,有棒動産および無体動産が認められるにもかかわらず,規定上は,客体の 相違を意識したものとなっているとは必ずしも言い難いうえ,その効力につい ても,留置権という一般的規定を喜さない担保権を承認するために,動産震の 概念の内容及びその外廷が暖味になっていると思われる。そこで,動産賞につ いて,要物契約性や質物の占有の継続といった動産質権の重要な要素と考えら れる点が今日では問題とされることになる D 客体の性震による区別が不明確で あることは,柔軟な解釈を可能にし,. 1 居間の問題の処理において,動産質に関. する基本的概念の修正を必要としないという科点があると思われる。しかしな がら,そのことは,特加法による多くの動産賓の創設とも連動して,動産質の 概念の拡張を招く結果となっているといえよう c また,有体動産の質と債権質 とを分禁して,異なる準員立に販しめると考えるとしても,債権費に関しては, 債権の譲渡担保との関係も検討する必要が生じてこよう{由。担保 E的物から生 じる概念の拡張と担保法における新たな展開の両方の側面から,動産質につい ては,その概念の確定が要請されているといえよう(則。. ( 5 2 ) 担保としての質権譲渡が最初に認められたのは, 1 9 8 1年 1月 2日の法律(ダイイ法〉に よってであり,その後,譲渡担保の利用が法律によって拡張されている O これらの動向に 関しては,山田誠一「金融議関を当事者とする債権の譲渡および費入れ フランスにおけ る最近の動向J金融法研究資料編 6号 50頁以下(1990年),池田真期 f 債権譲渡法理の 展開 j(弘文堂, 2 0 0 1年) 1 0 5 頁以下,同 童権譲渡の研究〔増補 2販)j(弘文堂, 2 004 年) 300頁以下を参照。 ( 5 3 ) さらにいえば,彊保の概念自体に対する見直しの動きがあることも指描できるように患 われる O. u. nhu. ワu.
(17) 法 科 大 学 説 論 集 第 3号. 四. フランス担保法改正における動産質の処遇. 1 フランス民法典改正の動向 年 に 制 定 か ら 200 屑年を迎えたが,これを契機に, フランス民法典は, 2004 フランス民法典改正へ向けた作業が開始されたお九民法典改正にあたっては, 担保法改正委員会および債務法改正委員会の二つが設置され,作業が進められ てきている制。本稿の検討対象に関連するのは,前者による改正案であるが, 前者の目的は,民法典における担保法を簡素化しかっ現代化することであると されている制 年 3月には,司法大臣に提出され,そ そして,担保法改正準備草案は, 2005 の内容はフランス司法省のホームページ (HP) 上で公開された(問。. 2 フランス担保法改正準錨草案にお吋る動産質 (ー)担録法改正準備草案の概要 担保法の改正は,民法典の第四編として担保に関する規定をまとめる方向で 行われているむそして,人的担保と物的担保に分類して,それぞれに,章がお. ( 5 4 ) 北村一部「フランス民法典200 年記念とヨーロッパの影」ジュ 1 )1 2 8 1号 92 頁以下 ( 2 0 0 4 年)を参類。 ( 5 5 ) フランス員法典改正については,金山直樹「フランス員法典改正の動向j ジ、ュワ 1 2 9 4 号 9 2 頁以下 ( 2 0 0 5 年〉に詳しい。また,フランス民法典改正に関しては,山岡真治 f フランス 債権法改正草案における錯誤に関する一考察」帝塚山法学 1 1号245 真以下 ( 2 0 0 6 年〉も参照。 ( 5 6 ) ピエール・クロック{野津正充訳) フランス担保法の新たな展開-20 世紀末と 2 1世紀初 頭における担保法の展龍一J立教法学6 9 号 87 頁以下 ( 2 0 0 5 年 ) 。 ( 5 7 ) h t t p : / / w w w . j u s t i c e . g o u v 企/ pub l i c at / r a p p o r t /r a p p o r t g r i m a l d . i htm ( 5 8 ) 人的担保としては保証(ca u t i o n n e m e n t ),主たる保証 ( g a r a n t i eautonome) 及び信用 保証Cl e t t r ed ' i n t e n t i o n ) が規定されており,物的担保は,動産 i こ対する担保と不動産に 対する誼保と分類して規定されている O ( 5 9 ) 担保に関する通知として,被担保債権に対する尉能性が明文化され,また,人的担保や 物的担保の定義規定が量かれている O. r. っd. p o.
(18) フランスにおける動産質 ( 2 ). かれている倒。また,担保に関する通期的規定を置くことも改正の主張のーっ とされており,特別法上の担保に関する規定も取り込まれる形になっている倒。 {二)動産質に関する改正の概要 改正準舗草案においては,動産質に関しても,大轄に改正されていると言え. ょう O まず,右体動産に対する動産賀(leg aged e s訟 e u b l e sc o r p o r e l s ) と蕪体動 産に対する震(len a n t i s s e m e n td e smeublesi n c o p o r e l s ) とを別に規定してい る繊。これまで,動産質としてまとめて規定されていたものを分けている点で は,動産賓として扱われるものを縮小しており,対象の限定住であるように見 えるが,地方では,有体動産の集合物にも質権を設定できるようになっており, 客体の点からいえば,明文で範囲が広げられたともみえる則。 また,動産質の或立には,書面は必要で、あるが,物の引渡しは本要とされた。 従って,動産質は,もはや,要物契約の性質を有さないということになる(開。 そうなると,有体動産を対象とする占有移転のない動産質が認められることに なるが,その場合には,動産質権者は,留置権を有さないことになる。. r e g i s t r es p e c I a I)上の登記(in s c r I p t i o n ) 第三者に対する対抗要件は,登録簿 ( であるとされている憾。 被担保債権及び担保目的物の特定性の原期は,改正準備草案においても維持 されているが,担保百的物の範留は拡大されている。特に,将来の有鉢動産につ いて,質物たりうることを明らかにしている刷。それから,代替物 ( c h o s e s. f o n g I b l e s ) や,質物に替わる財婦が,動産質の目的物になることが認められた。 ( 6 0 ) ( 6 1 ) ( 6 2 ) ( 6 3 ) ( 6 4 ) ( 6 5 ). 改正準錨草案2 3 2 7 条参照。 改正準嶺草案2 3 3 5条 。 改正準犠草案2 3 3 6条参照。 改正準嬬草案2 3 2 7条 。 改正準構草案2 3 3 5条 。 改正準婿草案2 3 3 9条。わが法でいえば,費勃の売却代金に対する物上代位に相当すると 患われる O. -64-.
(19) 法 科 大 学 院 論 集 第 3号. それから,動産質の実行方法についても,若干の義和がみられる O 強制売却 条項は禁止されているが側,鑑定後,質物の付与が認めちれたり,鑑定の留保 付で,流質条項が認められたりしている沼w 附7 η ) さて,改正準錆草案でほ,第 3款として「質 ( n a n t i s s e m e n t )Jが置かれ, 動産質類訟の質が定められた。質権設定者は,現在あるいは将来の,蕪体の動 産および動産の集合体を担保に供することができる制。先にも述べたように, 語体動産を有体動産とは区別して定めたことが注自されよう。そして,債権に 対する質(len a n t i s s e m e n tdec r e a n c e s ),預金通貨に対する質 ( l en a n t i s s ement 岨. a n t i s s e m e n t ぜi n s t r u m e n t s de monnaie s c r i p t u r a l e ) 及び金融証書の糞(len 五n a n c i e r s ) の三種について規定が設けられている O. 債権質(l en a n t i s s e m e n tdec r e a n c e s ) についての薪制震は,あらゆる債権 に適用される O 対抗要件等について辻,職業集権の漬権譲渡の場合における方 法に蒼想を得ている{断。将来債権の場合は,日付によって第三者に対抗でき,. ヘ. 将来債権については,発生の日に権利を取得することになる (7. 頭金通貨に対する費は,今般,新設されたものであるが,金融註書に対する 質は,金融取引法から民法典に取り込まれたものである(問。 金融証書に対する震に関する規定は,対抗可能となる E討を設定者の申述に よる開設入の受領にかからしめることなど,対抗要件等を明確にしている惚)。. ( 6 6 ) ( 6 7 ) ( 6 8 ) ( 6 9 ) ( 7 0 ) ( 7 1 ) ( 7 2 ). 改正準嬬草案2341条 。 改正準需草案2343条 。 改正準備草案2345 条 。 前注 ( 5 2 ) に引用の諸文献を参類。 改正準嬬草案2350条乃至2353条 。 改正準犠草案2357 条乃至2364条に規定されている c 改正準嬬草案2365条乃至2378 条に定められている。 なお, 1 責韓貿以外の質は,これまでフランス民法典にみられなかったもので,本稿では こする. 詳しく扱ってこなかったが,今後,必要に底、じて,検討対象としていくこと t. -65-.
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