• 検索結果がありません。

宇宙初期のインフレーションはどこまで解明できるか

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "宇宙初期のインフレーションはどこまで解明できるか"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

31

宇宙初期のインフレーションはどこまで解明できるか?

1980 年代初頭に,宇宙は誕生直後に急激な加速膨張を 起こしたという,インフレーション仮説が提唱された.こ の仮説の極めて重要な点は,高精度で平坦かつ一様等方な 宇宙が実現されると同時に,星や銀河などの種である原始 密度のムラの起源も自然に説明できることである.しかも, 原始密度のムラが,特徴的な空間パターンをもつことを予 言する.それに加えて,原始重力波という,宇宙スケール の波長をもつ重力波の存在も予言する.驚くべきことに, 宇宙のさまざまな観測によっても,インフレーション仮説 は裏づけられつつある. このような観測的支持にもかかわらず,インフレーショ ンについてわかっていることは少ない.平坦に近いポテン シャル中をゆっくりと時間変動するスカラー場により,イ ンフレーションが実現する.急激な空間の加速膨張によっ て,スカラー場の量子ゆらぎが一気に引き伸ばされ,それが 原始密度のムラをつくり出す.インフレーションが終わる と,スカラー場がほかの粒子に崩壊しはじめ,放射に満ちた 熱い宇宙が現れる.このような漠然とした描像はどうやら 正しそうだが,未知のスカラー場とはいったい何か,スカ ラー場のゆらぎから原始密度のムラはどういう機構でつく られたのか,どうやってインフレーションが終了し,熱い ビッグバン宇宙に転化したのか,といったより根本的な問 いになると,まだ何も答えはわかっていないのだ.原始密 度のムラのパターンをこれまで以上に精密に測定できるよ うになると,これらの基本的な謎の解明にさらに迫れるよ うになるだろう.また,未検出の原始重力波が発見されれば, 超高エネルギーでの重力理論の検証も可能になるだろう. 宇宙マイクロ波背景放射の偏光,宇宙の大規模構造や 21 cm 線,そして重力波など,観測の進展は今後も期待さ れている.インフレーションの全貌が解明される日も,そ う遠くないかもしれない. 会誌編集委員会 ©2016  日本物理学会

参照

関連したドキュメント

した宇宙を持つ人間である。他人からの拘束的規定を受けていない人Ⅲ1であ

私はその様なことは初耳であるし,すでに昨年度入学の時,夜尿症に入用の持物を用

本稿では , これらを , それぞれ Frobenius 的大域的実化テータフロベニオ イド (Frobenius-like global realified theta Frobenioid), Frobenius 的大域的実化

特に, “宇宙際 Teichm¨ uller 理論において遠 アーベル幾何学がどのような形で用いられるか ”, “ ある Diophantus 幾何学的帰結を得る

当第1四半期連結累計期間における業績は、売上及び営業利益につきましては、期初の業績予想から大きな変

明治初期には、横浜や築地に外国人居留地が でき、そこでは演奏会も開かれ、オペラ歌手の

手動のレバーを押して津波がどのようにして起きるかを観察 することができます。シミュレーターの前には、 「地図で見る日本

しかし , 特性関数 を使った証明には複素解析や Fourier 解析の知識が多少必要となってくるため , ここではより初等的な道 具のみで証明を実行できる Stein の方法