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母子保健領域における子育ち・子育て支援モデルの構築 : 心理学的アプローチを中心に

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Academic year: 2021

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母子保健領域における子育ち・子育て支援モデルの

構築 : 心理学的アプローチを中心に

著者名(日)

瀬々倉 玉奈

雑誌名

大阪樟蔭女子大学研究紀要

3

ページ

251

発行年

2013-01-31

URL

http://id.nii.ac.jp/1072/00003856/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

- 251 - 大阪樟蔭女子大学研究紀要第 3 巻(2013)

母子保健領域における子育ち・子育て支援モデルの構築

―心理学的アプローチを中心に―

短期大学部 キャリアデザイン学科 瀬々倉玉奈

1.はじめに 地域の保健センターでは、長い間、乳幼児死亡率の 減少や障害のスクリーニングなどに主眼が置かれてき たが、近年になり、その中心を地域における子育て支 援全般にシフトさせている。その背景には、2001 年度 に厚生労働省が推進を開始した 10 年間の国民計画「健 やか親子 21」(その後 2014 年度まで延長)がある。こ の計画において提示されている課題の一つが「子ども の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」であり、 その評価指標は、「親子のこころの問題に対応できる技 術を持った小児科医」の割合等、医師の増加率である。 具体的な方策例の中には、心理職の活用も含まれては いるものの、特に強調されているものではない。 筆者は、「健やか親子 21」開始時に、全国約 500 ヶ 所の保健センターの保健師と心理職を対象に実施した 調査(瀬々倉.2002 以下【2001 調査】と呼ぶ。)を実 施した(回収率:保健師からは 59.8%、心理職からは 12.0%)。その結果、「常勤の心理職がいる保健センタ ーの割合は 7.1%であるが、何らかの形で心理職が関 わっている割合は 57.5%である」こと、「保健師は心 理職と共に仕事をする過程で心理職の役割を理解して いく」こと、「若い世代・経験年数の浅い心理職のうち 学生時代に臨床心理学を中心に学んだ者が他領域の心 理学を学んだ者よりも有意に困っている」ことが明ら かになった(瀬々倉.2010)。 筆者は、「健やか親子 21」が当初終了する予定であ った 2011 年度に、【2001 調査】とほぼ同様の調査を実 施した(以下【2011 再調査】と呼ぶ。)ので、その概 要と主な結果を本稿において報告する。 2.実態調査の方法 調査対象:全国から無作為抽出した 1,365 ヶ所の市 町村保健センターに勤務する、母子保健担当の保健師 と心理職とを対象とした。この際、倫理的観点から、 2011 年 3 月に発生した大震災の被災地は除外した。 調査方法:保健師用・心理職用の質問紙(内容は共 通)1 通ずつと切手を貼付した返信封筒 2 枚を同封す るという形式の郵送調査によった。 有効回答:保健師 615 名(有効回収率 45.1%)の回 答、心理職 105 名(有効回収率 7.7%)の回答を得た。 3.調査結果と考察 性別:【2001 調査】では、保健師 95.3%・心理職 91.7% が女性であり、【2011 再調査】では、保健師 95.0%・ 心理職 88.6%が女性であった。母子保健に関わる保健 師や心理職の大半が女性である状態は、10 年経過して も大きくは変化していない。「父親不在」がいわれて久 しいなか、母子を支える専門職もほとんどが女性とい う現状は、より豊かな経験を子どもに提供するという 観点からも、今後は改善・工夫をしていく必要がある。 勤務形態:【2001 調査】では、保健師 97.0%・心理 職 25.0%が常勤、【2011 再調査】では、保健師 93.8%・ 心理職 28.6%が常勤であり、この 10 年間で両者の勤 務形態に大きな違いは認められない。保健センターに おける中心スタッフは保健師であり、その常勤率が高 いことは当然である。一方、「健やか親子 21」の課題 「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」 との関係を考えるならば、常勤の心理職の占める割合 が 10 年を経過しても微増に留まり、3 割にも満たない ことは問題である。 常勤職が増加しない原因の一つとしてあげられるの は、心理職が実践する具体的な支援モデルの欠如であ ると考えられる。今回の調査結果をもとに引き続き心 理職の支援モデルの構築を目指したい。 <文献> 厚生労働省ホームページ(2012)「健やか親子 21」の 推進について. http://www.mhlw.go.jp/ seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/ boshi-hoken/sukoyaka-01.html 瀬々倉玉奈(2012)「健やか親子 21」と母子保健領域 における心理職の役割.日本子育て学会第 4 回大会 論文集.Pp.84-85 瀬々倉玉奈(2010)母子保健領域における心理職の役 割に関する全国調査.大阪樟蔭女子大学人間科学研 究 紀 要 . 第 9 号 . 大 阪 樟 蔭 女 子 大 学 学 術 研 究 会 . Pp.247-260 瀬々倉玉奈(2002)地域での子育ち・子育て支援-保 健センターにおける心理職の役割に関する実態調査 報告-. 日本小児保健協会 第 49 回学術集会講演集. Pp.124-125

参照

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