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発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究 利用統計を見る

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(1)発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究 Research about the Expression Style of the Body Symptom of the Child with Developmental Disorders 小 畑 文 也 相 川 正 男 Fumiya OBATA Masao AIKAWA 畠 山 和 男 河 西 安 奈 Kazuo HATAKEYAMA Anna KASAI. 山梨大学教育学部紀要 第 29 号 2018 年度抜刷.

(2) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. 第 29 号. pp.1-11. 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究 Research about the Expression Style of the Body Symptom of the Child with Developmental Disorders 小 畑 文 也 相 川 正 男* Fumiya OBATA Masao AIKAWA 畠 山 和 男** 河 西 安 奈*** Kazuo HATAKEYAMA Anna KASAI 1.問題 我が国では、急激な少子化にもかかわらず、子どもの疾患、健康状態は悪化している(環境省 2009)。身体的疾患では、特に免疫性疾患(喘息、アトピー等アレルギー疾患)、代謝・内分泌系異常(小 児肥満、小児糖尿病など)の増加、精神的疾患では発達障害の増加が顕著である。いずれも早期発見、 早期治療が肝要であるが、発達障害児の場合、その主症状である、コミュニケーションの障害がヘルス コミュニケーションの遅れと結びつき、上記の身体的疾患や、場合によってはうつ病等の二次障害の発 見を遅らせることが予想される。 ところで小畑(1999)は子ども、特に年少児にとっての「病気」は「症状」として認知されるとして いる。即ち、風邪は「感冒」としてではなく、「頭痛」や「鼻水」、「発熱」として認識されていること になる。このことから小畑(2013)は3歳~5歳の幼児を対象に身体症状に関わる語彙の発達を調査し、 Fig.1 のような結果を得ている。. Fig. 1 幼児の身体症状に関わる語彙の発達(小畑 2013) これからも分かるように「痛み」が最初に表出する以外、かゆみやめまい、疲労に関わる語彙は5歳 児でも不十分なものであり、幼児に関しては、周囲の大人の注意深い観察が必要であるとしているが、 *. 山梨大学医学部 **あけぼの医療福祉センター ***山梨県立わかば支援学校 -1-.

(3) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. 第 29 号. 共稼ぎ家庭の増加や数多くの幼児・児童を対象とする施設では、現実的には困難なことであると思わ れる。また内部感覚の表現は、正確に伝えようとすると、成人でも困難を感じることが多々ある。例え ば、「痛み」にしても Fig.2 のような尺度が考えられているが、これだけでは十分に伝えられないこと は明らかであろう。「刺すような痛み」 「ズキズキするような痛み」 「がんがんする痛み」と表現しても、 Fig.2 の尺度では十分に伝えられないであろうし、言語表現で補ったとしても、相手が自分と同じ感覚 で受け取っているという確証はない。基本的に内部感覚の言語表現は難しいものであり。年少の子ども やコミュニケーションにハンディのある子どもの場合、それは一層困難なものになろう。. Fig. 2 「痛み」に関する簡易尺度(日本ペインクリニック学会より) また、一般な育児において、内部感覚の言語表出を、「弱音」として抑制する傾向が存在することも 否めない。我慢して泣かない子が「よい子」、ぐずりが多い子は「わるい子」として認識することは育 児の場においては一般的である。そのこと自体の善し悪しは問えないが、筆者は病気で亡くなった子ど もの葬儀やその後インタビュー等で、保護者から「我慢強い子だったけど、我慢強い子になんか育て るんじゃなかった」、 「辛いときは辛いと言ってくれれば良かったのに」というような悔恨の言葉を何度 となく聞いている。現実に、多くの疾患の初期症状として身体内に起こる「疲労」「だるさ」等の微妙 な症状を正確に伝えるすべがなく、突然倒れる等して入院、加療に至るというケースは多い(小畑 1999)。自分の身体状況の、特に、めまいや悪心など、子どもにとっては、表現が困難で、外側からは わかりにくい変化を、保護者が気づくためには、何らかの言語表出するコミュニケーションスキルを子 どもが有していることは重要であると思われる。 そこで本研究では、ヘルスコミュニケーションのスキルにも障害があると思われる発達障害児を対象 に、その二次障害を極力早期に発見するために、その身体症状に関わる語表出の様相と、それに対する 保護者の理解の程度を検討することにした。 -2-.

(4) 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究. (小畑文也). 2.目的 以下を目的とした。 (1)発達障害児の身体症状に関わる表出様式の特性を明らかにする。 (2)保護者(母親)が発達障害児の身体的症状を理解する際、子どものどのような表出手段に着目し ているか明らかにする。 3.方法 (1)対象:顕著な知的障害がなく本調査の実施が可能であると医師に判断された発達障害児(全員が ASD と診断されていたが、ADHD 特性が強い子どもも多かった。女児2名男児 10 名、年齢は5 歳から 12 歳であった)の保護者 12 名を対象とした。また、参照群として、定型発達児(4歳~ 6歳各 20 名、男児 30 名女児 30 名)の保護者 60 名を設定した。 (2)調査環境:発達障害児の保護者は A 病院の診察ブースにて1対1で調査を行ったが、定型発達 児の保護者は B 保育園の保育室において 20 名単位での調査を行った。 (3)調査期間:発達障害児の保護者は 2015 年 10 月から 12 月に調査を実施し、定型発達児の保護者 は 2014 年 12 月に調査を実施した。 (4)調査手続き:対象者に Fig.3 のようなイラストを付した質問文を配り、「子どもさんが○○の時、 どのようなコトバや様子で○○だと分かりますか?」と質問をし、回答を得た。発達障害児に関 しては1対1での実施だったため、具体的な様子についての追加質問を口頭にて行った。 なお、イラストを付加したのは、今後幼児、発達障害児を対象に極力条件を同じにした調査を 行う際に、視覚的に情報の補完を行うためである。. (医療と健康イラストカットCD-ROM 2013 マール社 より) Fig. 3 質問紙で用いたイラスト(全て著作権フリー). -3-.

(5) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. 第 29 号. 以上のように、生活年齢、知的能力、男女比等の統制がないこと、また調査環境、手続きが異 なることから、本研究は厳密な意味では比較研究とは言えない。以下、定型発達児のデータは参 照データとして扱うこととした。 (5)調査項目(症状) : 「学校において予防すべき感染症の解説2013年度版」(文部科学省 2013) をベースとして、調査時間等も考慮に入れながら、言語表書ツ等がない場合、外側から大人が観 察できない症状を選定した。具体的には、 「腹痛」、 「頭痛」、 「切り傷」、 「かゆみ」、 「ゆかれ」、 「め まい」、「吐き気」、「発熱」の8項目であった、 Table1 調査対象となった症状と疾患(切り傷を除く) 症状 腹痛. 疾患 細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、感染性胃腸炎、腸炎、急性虫垂炎、腸間 膜リンパ節炎、鼠径ヘルニアの「かんとん」、腸重積、溶連菌感染症、尿路感染症、 扁桃炎、肺炎、血管性紫斑病等. 頭痛. 風邪、ジフテリア、インフルエンザ、溶連菌感染症、周期性嘔吐症、偏頭痛、髄 膜炎、脳炎、頭蓋内出血、副鼻腔炎、脳腫瘍、中耳炎等. かゆみ. 風邪、急性虫垂炎、溶連菌感染症、麻疹、糖尿病、急性糸球体腎炎、ジフテリア、 インフルエンザ、周期性嘔吐症、ウイルス性肝炎等. 疲れ. 脳梗塞、脳腫瘍、貧血、低血圧、高血圧、不整脈、その他内蔵疾患等. 吐き気. 風邪、インフルエンザ、溶連菌感染症、コレラ、細菌性赤痢、ウイルス性肝炎、 流行性嘔吐下痢症、腸重積、虫垂炎、ウイルスや細菌による胃腸炎、扁桃炎、中 耳炎、尿路感染症、周期性嘔吐症等. 発熱. 急性白髄炎、ジフテリア、麻疹、インフルエンザ、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、 咽頭結膜熱、手足口病、とびひ、感染性胃腸炎、百日咳、細菌性赤痢、腸チフス、 パラチフス、流行性角結膜炎、溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、リウマチ熱、 川崎病、扁桃炎、外耳炎、中耳炎、尿路感染症、ウイルス性の肺炎等. めまい. 脳梗塞、脳腫瘍、貧血、低血圧、高血圧、不整脈、起立性調節障害、その他内蔵 疾患等. (6)分析方法 回答をテキスト化した。その際、その後のワードクラウド化において支障をきたさないように 方言は原則として標準語に修正した。 *山梨県地方では、疲れた=えらい、吐く=あげる、かく=かじる等の方言がある。 ①カテゴリー分析:各症状に対する回答の意味・内容を症状の表出としてとらえ、大学教員一名、 大学院生(あるいは専攻科生)1 名とで次のカテゴリーに分類した。 1) 動作 (例:押さえる、ころげまわる かく) 2) 言語 (例:「痛い」、「かゆい」、「お熱ある」、「げぼしたい」) 3) 対処 (例:薬を塗る「熱さまシート貼って」トイレに行く) 4) 誘導 (例:問いかけに答える,「おなか痛い?」-「うん」) 5) 情動変化(情緒)(例:乱暴になる、不機嫌になる、泣く) -4-.

(6) 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究. (小畑文也). 6) 以上の併用 7) 共有なし (例:わからない、そういうことはなかった) 以上のカテゴリー分析は症状毎に行った。 ②ワードクラウドの作成:各回答を1ステートメントとし文節化を行い、出現頻度、重要度を算出 した、その後出現頻度を変数としてワードクラウド化を行った。なお、ワードクラウド化が可能 なソフトは殆どが海外製であり、日本語の処理に不得手な場面があったため、文節化と重要度、 頻度の算出にはトレンドサーチ2015(富士通ソフトウェアテクノロジーズ)を用い、ワード クラウド化には XLSTAT(Addinfost)を用いた。 以上の分析は発達障害児、定型発達児別に行い、症状別に分けるとステートメント数が少なく なるため全ての症状をまとめて行った。 (7)倫理的配慮 本研究は山梨大学教育人間科学部の倫理審査委員会の承認を受け、A 病院の倫理審査を受けて いる。また、対象者との利益相反はない。 4.結果と考察 (1)カテゴリー分析の結果から見た発達障害児の症状表出について Table2 と Table3 は発達障害児と定型発達児の、症状毎の表出カテゴリーの頻度を示したものである。 母数が異なるために直接的な比較は困難であるが、全般的に見ると発達障害児の言語表出は必ずしも 少ないとは言えず、定型発達児においても多い「動作+言語」が比較的多く用いられる表出様式であっ た。 痛覚は先述したように、子どもの内部感覚としては、かなり早い段階から発達するものである。特に、 本研究で提示した「切り傷」は「表面痛」であり、 「一次痛覚(早い痛み)」である。この痛みに関して は発達障害児の反応は定型発達児のそれと大きな差は無い。双方とも「言語」「動作」「対処」の各反 応や、その組み合わせで表出しており、保護者にとっても共有がしやすい、すなわち了解しやすい感覚 であると思われる。 「腹痛」は、多くのケースでは「内臓痛」になる。内臓痛とは内臓に分布する痛覚繊維が興奮したと きに生じるもので、内臓における侵害受容体は幼児期にはほぼできあがっており(五十嵐 2011)、こ れを裏付けるように、発達障害児においても、何らかの形で、保護者との症状の共有が行われていた。 また、実際の場面を考えると、多くの場合、子どもが体験する「腹痛」は、冷え等による下痢を伴った 一次痛覚で切迫したものであると思われ、 「言語」「動作」に加え、トイレに行く等の「対処」も定型発 達児との差はほとんど見られなかった。唯一気になったのは「「お腹痛いんだよね~」と言う。お腹を さする。甘えてくる」という表出である。保護者の注意を引くための表出であるなら問題は無いであろ うが、 「腹痛」の場合で「二次痛覚(遅い痛み)」として継続する場合は「関連痛(実際の障害部位とは 離れたところに生じる痛み)」として、一過性でない、より深刻な疾病の存在を疑う必要もある。 「頭痛」は、全般的には定型発達児と同じく「動作」「言語」とその組み合わせによって表出されてい たが、一部に特異的な反応が見られた。それは「共有なし」で、3歳女児、7歳男児、9歳男児の3 名の保護者が「まだない」 「今までないと思う」と回答していた。これには様々な可能性が考えられる。 一つは ASD に生じることが多い「感覚鈍麻」により、そもそも痛みを感じていない場合、次は定型発 達児でも時としてみられる、他の部位の痛みを訴えてくる場合である。最初のケースに関しては、発達 障害児も他の部位の痛みは定型発達児と近い様式で訴えていることから考えにくい。頭痛があった場 合、他の部位の痛みを訴えることは十分に考えられることであるが、本研究の方法では確証が得られな い。頭痛は、そもそも痛みを感じる場所である視床、大脳と近い部位で生じている痛みであることから、 -5-.

(7) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. 第 29 号. 知覚的な混乱も生じやすいと考えられる。現状では結論は得られないが、頭痛は Table1 にも示したよ うに、一般的な感染症からはじまり、時として脳腫瘍等の重篤な疾患の症状の一つでもある。「発達障 害児の頭痛」に焦点を絞った精査が必要であるように思われる。 その他、症状別に見てみると、「吐き気」も切迫した症状であり、双方共に動作が関わった表出が多 かった。ただし、発達障害児の場合、「最初に『頭が痛い』『お腹が痛い』と言う。その後少ししてか ら『ゲボが出そう』と言う」「最初に『お腹が痛い』と言う。しばらくすると何も言わずに苦しそうに する」等、他の症状の表出から始まる場合が多いのに対し、定型発達児の場合「吐きそう」と症状その ものを訴えることが多かった。本研究では年齢の統制は行っていないが、症状に関する基本的な語彙力 に差があるように思われる。 「めまい」は双方共に共有なしが最も多く、子どもにとっては大人に分かる表出が困難な症状であっ た。特に発達障害児では 10 歳男児1名において「『何か変だ』と言っていた。『グラグラする』と言っ た」とする回答があったのみで、その他は「一度も訴えを聞いたことがない」「めまいはない」という 回答であった。定型発達児では共有なしが多かったものの、3分の1が「なんとなくクラクラする」と 言った表現で症状の表出を行っている。基本的に表現が難しい症状であるのに加え、高橋・増渕 (2007) は成人 ASD 者への調査で、彼らの固有感覚が独特の過敏と鈍麻を持っていると報告しており、もとよ り ASD 児にとっては解釈が困難か、感じることが難しい症状であると思われる。 以上は、違いは見られるもののグラフや表の上での差異は少ない症状であったが、発達障害児特有と 思われる症状表出も見られ、表出様式の違いが特徴的な「かゆみ」、 「疲れ」、 「発熱」に関してグラフ化 したものを Fig.4~Fig.6 に示した。 「かゆみ」は発達障害児の場合、動作による表出が多く、相対的に言語による表出は少なかった。発 達障害児の場合「何も言わずに掻いている。掻きすぎて傷になることがある」「黙って掻いている。表 現をしない。悪化してから気づいて , 病院へ連れていく」等、言語表出以前に、「かゆみ」に対して、 それを排除する行動に囚われてしまう傾向が顕著に見られた。おそらくは感覚過敏がある発達障害児に とって、皮膚の違和感である「かゆみ」は耐えがたいものであると同時に、掻くことから得られる刺激 が快刺激となってフィードバックされている可能性もある。これらは自傷行動への引き金ともなり得る と思われるので、近しい大人が注意深く見守っていくことが必要である。 「疲れ」は最も違いが出た症状であり、発達障害児の場合、言語による表出がほとんど無いのに対し、 定型発達児の場合は、年少児であるにも関わらず、言語による表出が比較的多く見られた。具体的に は、発達障害児では「何も言わずに寝てしまう。知らないうちに自分でベッドへ入って寝てしまってい る」「機嫌が悪くなる。一人になる。布団に入る」等、説明を省略しての行動化や情動変化が見られた。 参照群の定型発達児も年少であるため同様の反応を示す子どもも少なくはなかったが、多くは「眠い」 「疲れた」「くたくただ」といった言語表出の後に休む行動に移行する。「疲労」および「疲労感」のメ カニズムはまだ正確には分かってはいないが、成人においても実際の疲労の度合いと、主観的疲労感の 間にはズレがあり、自分の状況を正確に把握することは困難である。しかしながら多くの場合は限界の 前に主観的疲労感によって活動を制限するようになる。これは定型発達児においても同様で、限界の手 前で言語化することで、行動にブレーキがかかり休息に移行するように思われる。発達障害児の場合、 この主観的疲労感を感じにくく、知らずに限界を超えることがあると推測される。ADHD に見られる 過集中などがこの現実的な例としてあげられるであろう。周囲の大人は、その子どもの体力や集中力等 の限界を知った上で、その数歩手前で行動を抑制する等の配慮が必要となろう。 「発熱」の場合も発達障害児は動作による表出が多かった。具体的には「ぐったりして何も言わない。 部屋の端で横になっている」 「顔が赤くなる。動かなくなる。何も言わない」等である。これも「疲労」 と同じメカニズムが働いているように思われる。熱があっても身体が元気な限り、子どもは疾患を認知 -6-.

(8) 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究. (小畑文也). しない(小畑 1988)うえに、発熱も、特に初期の場合、内部感覚としては分かりにくいものであり、 言語化も難しい。これも周囲の大人が早めに兆候に気づいて対応していく必要があろう。. Table2 発達障害児の症状表出のカテゴリー出現頻度 腹痛. 頭痛. 切り傷. 動作 言語. 3. 3. 5. かゆみ. 疲れ. 吐き気. 発熱. 4. 3. 2. 7. 3. 1. 4. 2. 2. 2. 1. 1. 情緒 動作+言語. めまい. 1. 2 7. 6. 言語+対処 動作+言語+対処. 1. 動作+言語+情緒. 1. 4. 1. 2. 2. 2. 1 2. 動作+対処. 1. 1. 動作+情緒. 1 2. 共有なし. 3. 11 数字は人数(度数). Table3 定型発達児の症状表出のカテゴリー出現頻度 腹痛 動作 言語. 3. 頭痛. 切り傷. かゆみ. 疲れ. 吐き気. 発熱. 1. 2. 1. 5. 6. 6. 6. 8. 14. 11. 15. 対処. 1. 情緒. 1 19. 14. 16. 19. 12. 言語+対処 動作+言語+対処. 4 8. 6. 1 8. 動作+情緒 動作+対処. 11. 8. 誘導. 動作+言語. めまい. 4 2. 言語+情緒. 2. 4 1. 共有なし. 19 数字は人数(度数) -7-.

(9) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. Fig. 4 発達障害児と定型発達児の「かゆみ」に対する表出様式の違い. Fig. 5 発達障害児と定型発達児の「疲れ」に対する表出様式の違い. Fig. 6 発達障害児と定型発達児の「発熱」に対する表出様式の違い. -8-. 第 29 号.

(10) 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究. (小畑文也). (2)ワードクラウドによる分析結果 Fig.7 と Fig.8 は発達障害児と定型発達児の表出手段のワードクラウドを示したものである。ここでは、 その様相に大きな違いが見られた。 クラウド化のベースとなった単語数は対象者数が定型発達児の半分以下にもかかわらず、発達障害児 の方が多かった(発達障害 193 語、定型発達 131 語)が、発達障害児の場合、「言う」と「痛い」が 大きなクラウドを形成しており、定型発達児はクラウド全体も若干大きく、 「押さえる」 「おなか」 「する」 の大きなクラウドの他に「見せる」 「かゆい」 「吐く」 「出る」 「気持ち」 「傷口」 「悪い」 「かき」 「疲れる」 「泣く」「横」等の若干小さめなクラウドが形成されていた。アイ・インプレッションも両者の違いは明 確であった。. Fig. 7 発達障害児の症状表出のワードクラウド. -9-.

(11) 平成30年 (2018年) 度. 山梨大学教育学部紀要. 第 29 号. Fig. 8 定型発達児の症状表出のワードクラウド. 全体的に見て、発達障害児の場合、「言う」と「痛い」がハイライトされ、その他はクラウドをなし ていないことに加え、全体のクラウドも定型発達児と比較すると若干小さめである。このことは、保護 者から見て、発達障害児の反応がステレオタイプであること。「言う」という言語反応が「痛い」つま り痛覚の表出にとどまっていることを意味しているように思われる。 参照群の定型発達児の場合は、クラウドが部位や動作、症状、その他にまで及び、多彩であると共 に、全体のクラウドも発達障害児より大きい。つまり、多彩な表出様式をとっていることを表している ように思われる。 発達障害児の症状表出がステレオタイプになりがちであることは、その障害の特性上、やむを得ない ことであるが、そのことにより、先述した「かゆみ」「疲れ」「発熱」に対する反応が見落とされがちに なることは注意すべきことであろう。 - 10 -.

(12) 発達障害児の身体症状の表出様式に関する研究. (小畑文也). 5.まとめ 発達障害児の保護者は「痛み」の言語表出に対してはよく着目しており、発達障害児もその表出は他 の症状と比べると容易であるが、それ以外の内部感覚の言語表出は不可能ではないにせよ困難がある。 また、保護者の認識している症状と、子どもの言語表出にはズレがあり、言語のみに頼って発達障害児 の症状を理解することは限界がある。特に、「かゆみ」や「疲労」「発熱」に関しては発達障害児の行 動、表情等に対する注意深い観察が重要であり、それが不可能な場合は、疾病の見逃しや、自傷行動等 の二次障害の悪化につながることも考えられる。特に痛覚の言語表出は、発達障害児においてはステレ オタイプ化しており、「いたい」という言葉の持つ多義性にも注意する必要があろう。. ・本研究は、山梨大学分野横断的融合研究プロジェクト経費によって実施されたものである。. 6.参考・引用文献 (1) 五十嵐恒(2018)子どもの身体的痛みのメカニズム②幼児期~学童期,「小児看護」34(8),942948. (2) 環境省(2009)「子どもの健康と環境に関する全国調査」,環境省. (3) マール社編集部(2013)「医療と健康イラストカット CD-ROM」,マール社. (4) 文部科学省(2013)「学校において予防すべき感染症の解説」,日本学校保健会出版部. (5) 日本ペインクリニック学会(2018)痛みの基礎知識,日本ペインクリニック学会 https://www.jspc. gr.jp/igakusei/igakusei_hyouka.html.2018・9月 25 日取得 (6) 小畑文也(1988)子どもの発達と病気,山本昌邦編著,「病気の子どもの理解と援助」,慶應通信, 55-80. (7) 小畑文也(1999)子ども・病気・身体1,「小児看護」,22(7),889-893. (8) 小畑文也(2013)幼児の「症状」関わる表現の発達と,その受け手となる保護者・保育者との共 有に関する研究,「小児保健研究」,72,223. (9) 髙橋智・増渕美穂(2008)アスペルガー症候群・高機能自閉症における「感覚過敏・鈍麻」の実 態と支援に関する研究-本人へのニーズ調査から-,「東京学芸大学紀要(総合教育科学系)」, 59,287-310.. - 11 -.

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参照

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