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改正行政事件訴訟法と判例・学説 : パート(3)完

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Academic year: 2021

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(1)

改正行政事件訴訟法と判例・学説 : パート(3)完

著者

土居 正典

雑誌名

鹿児島大学法学論集

46

2

ページ

75-107

別言語のタイトル

The Amendment of Administrative Review Act and

Theory (3) Finish

(2)

[目次] Iは じめ に II 改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 1改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 の主 要 ポイ ン ト 2訴 訟 形 式(訴 訟 類 型)・ 原 告 適 格(以 上 、 法 学 論 集42巻1.2号 合 併 号)− パ ー ト(1) III 判 例 ・学 説 1主 要 判 例 の検 討 (1)主 要 判 例 の整 理 (2)主 要 判 例 の検 討(以 上 、法 学 論 集43巻1.2号 合 併 号)− パ ー ト(2) 2学 説 の整 理 ・検 討(以 下 、本 巻 本 号 のパ ー ト(3)完) (1)行 政 事 件 に 関す る諸 法(行 政 訴 訟 制 度)の 推 移 と学 説 の推 移 ① 1)わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の嚆矢 2)わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の 成 立 期− パ ー ト1(日 本 国 憲 法 の 公 布 ・施 行 と裁 判 所 法 、行 政 事 件 訴 訟 特 例 法)=第1期 3)わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の 成 立 期− パ ー トII(行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 ・施 行) =第II期 (2)行 政 事 件 訴 訟 法 か ら改正 行 政 事 件 訴 訟 法 と学 説 の推 移 ② 1)行 政 事 件 訴 訟 法 の課 題 と学 説 の推 移 ②−1 2)改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・施 行 と学 説 の推 移 ②−2(本 章 の ま とめ) IVお わ りに ※本稿パー ト(3)完 におい て、III章2の(1)と(2)の 見 出 しのタイ トル を変更 した。 III 判 例 ・学 説 2学 説 の 整 理 ・検 討 さ て 、 学 説 の 整 理 ・検 討 に 際 し て は 、 今 回 の 改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 、 施

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行 を経 て 、 今 現 在 の 行 政 訴 訟 に関 す る学 説 の 整 理 ・検 討 を行 う訳 で あ るが 、 そ の 前 に、 戦 後 日本 の 行 政 事 件 に関 す るそ の 根 拠 とな る法 の 立 法 作 業 を検 証 して み る。そ れ に よ り、これ らの 作 業 と表 裏 の 関係 に あ る各 時 期 の 学 説 の 推 移 も辿 っ て ゆ く こ と にす る。 そ の こ と に よ り、 行 政 事 件 訴 訟 法 か ら改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 に大 転 回 した 行 政 法 学 の 一 つ の 重 要 な 成 果 を確 認 し、 そ れ を行 政 訴 訟 を巡 る学 説 の 整 理 ・検 討 作 業 の 中で 、 そ の 成 果 を私 な りの 改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 の研 究 の 一 助 に した い と思 って い る (1)行 政 事 件 に 関す る諸 法(行 政 訴 訟 制 度)の 推 移 と学 説 の推 移 ① 1)わ が 国 の 行 政 訴 訟 制 度 の嚆矢 わ が 国 の行 政 事 件 に 関す る諸 法(以 下 、行 政 訴 訟 制 度 とい う。)− 本 稿 で は行 政 争 訟 法 中、 訴 願 ・行 政 不 服 審 査 に 関す る法 は論 述 の都 合 上 、 省 略 し、 不 服 申立 て につ い て は 敢 えて 言 及 しな い− の嚆矢 は 、まず 、戦 前 にお い て は、 明 治23年2月11日 公 布 の 大 日本 帝 国 憲 法(明 治23年11月29日 施 行)に つ づ く、 明 治23年 の行 政 裁 判 法(明 治23年 法 律 第48号 、 施 行 は 明治23年10月1日) の 制 定 、 及 び 同年 、 行 政 訴 訟 事 項 を定 めた 「行 政 庁 ノ違 法 処 分 二 関 ス ル 行 政 裁 判 ノ件 」(明 治 年23年 法 律 第106号)に 求 め られ る。 しか し、 これ らの 行 政 訴 訟 制 度 は 今 か ら見 れ ば 、 国 民 の 権 利 利 益 の 救 済 とい う面 で は 欠 陥 の 多 い もの で 、 例 えば 、 塩 野 宏 教 授 が この 点 につ い て 、 日本 の 行 政 訴 訟 制 度 の 歴 史 的 変 遷 の 中 で 、 行 政 裁 判 所 の 存 在 とい う もの は 、 「裁 判 制 度 と して も、 い ろ い ろな 点 で 、 国 民 の 権 利 利 益 の 救 済 とい う面 か らみ る と欠 陥 の 多 い もの で あ る と い う こ とが 、 当時 か ら指 摘 され て お りま した。」(1)旨の 発 言 に それ は 代 弁 で き る。 さ ら に、 行 政 裁 判 所 が 国 民 に と って 利 用 し に くか った 点 と して 、 同 裁 判 所 が 東 京 に1カ 所 の み しか 設 置 され ず 、 一 審 制 で あ った こ と と(行 政裁 判 法1 条 等)、 行 政 裁 判 所 へ の 出訴 事 項 につ い て も制 限 され て い る こ とで あ る(「 行 政 庁 ノ違 法 処 分 二 関 ス ル 行 政 裁 判 ノ件 」 に よ り、5つ の 事 件 にの み 限 定 され て い た)(2)。 この よ うな行 政 裁 判 所 の欠 陥 を改 革 す る新 た な行 政 訴 訟 制 度 が 、 日本 国 憲 法 の 公 布 ・施 行 に よ り、 憲 法76条 、 裁 判 所 法 等 か ら生 成 され る こ と にな る(行 政 訴 訟 制 度 の 成 立 期)。 2)わ が 国 の 行 政 訴 訟 制 度 の 成 立 期− パ ー ト1(日 本 国 憲 法 の 公 布 ・施 行 と

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裁 判 所 法 、行 政 事 件 訴 訟 特 例 法)=第1期 わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の成 立期 は 、本 稿 で は 、第I期 と第II期 に 区分 して 論 じる。 そ して 、 まず 、 同制 度 の成 立期 の第I期 は 、戦 後 か ら行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 ま で と し(パ ー ト1)、 次 に 、 同制 度 の 成 立 期 の 第II期 を行 政 事件 訴 訟 特 例 法 の 改 正 作 業 か ら行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・施 行 ま で とす る(パ ー トII)。 こ の よ うな成 立期 の 時期 区分 に即 しな が ら、 以 下 、 わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の成 立期 に つ き 、 そ の推 移 と学説 の推 移 を 眺 め て ゆ く。 ① 同成 立期 のパ ー ト1=第I期 ・(a)日 本 国 憲 法 の公 布 ・施 行 パ ー ト1で あ る 第I期(以 下 、 単 に 第1期 とい う。)は 、 ま ず 、 日本 国憲 法 の公 布 ・施 行 に 求 め る こ とが で き る。 昭 和21年11月3日 に公 布 され た 日本 国 憲 法(昭 和22年5月3日 施 行)は 、 司 法権 の所 在 と して 、憲 法76条1項 所 定 の 「す べ て 司法 権 は 、最 高裁 判 所 及 び 法 律 の 定 め る と ころ に よ り設 置 す る下 級 裁 判 所 に 属 す る。」 と定 め、 さ ら に 、 憲 法76条2項 に お い て 、 「特 別 裁 判 所 は 、 これ を設 置 す る こ とが で き な い。 行 政 機 関 は 、終 審 と して 裁 判 を行 ふ こ とが で きな い 。」旨の 規 定 を設 けた。 この こ とに よ り、特 別 裁 判 所 の設 置 は禁 止 され 、行 政 事 件 の訴 訟 管 轄 は行 政 裁 判 所 か ら司法 裁 判 所 へ と移 っ た。 この こ とに よ り、 旧憲 法 で あ る 大 日本 帝 国 憲 法61条 所 定 の行 政 裁 判 制 度 の採 用 を 明示 した 「行 政 官 庁 ノ違 法 処 分 二 由 リ権 利 ヲ侵 害 セ ラ レタ リ トスル ノ訴 訟 ニ シ テ別 二法 律 ヲ 以 テ 定 メ タル 行 政 裁 判 所 ノ裁 判 二属 ス ヘ キ モ ノハ 司 法裁 判 所 二於 テ受 理 スル ノ 限 二在 ラ ス 」 の拘 束 か ら逃 れ 、行 政 裁 判 所 が廃 止 され 、戦 後 の わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 が行 政 国 家型 か ら司法 国家 型 へ と変 遷 した の で あ る 、 とい う多 くの公 法 学 者 の評 価 も 窺 知 で き る(3)。 ② 第1期 ・(b)裁 判 所 法 さて 、 日本 国憲 法 の公 布 後 ま も な く、裁 判 所 法 と 「日本 国憲 法 の施 行 に伴 う民 事訴 訟 法 の応 急 的措 置 に 関す る法 律 」 が制 定 され 、行 政 訴 訟 制 度 の成 立 の入 口が 見 え始 め た。 まず 、 昭和22年4月16日 に公 布 され た裁 判 所 法(施 行 ・昭 和22年5H3日) は 、 同 法3条(裁 判 所 の権 限)1項 「裁 判 所 は 、 日本 国憲 法 に特 別 の 定 め の

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あ る場 合 を除 い て 一 切 の 法 律 上 の 争 訟 を裁 判 し、 そ の 他 法 律 にお い て 特 に定 め る権 限 を有 す る。」 と規 定 して い る。 つ ま り、裁 判 所 法3条1項 所 定 中、「一 切 の 法 律 上 の 争 訟 」 を裁 判 所 は 管 轄 して い る こ とか ら、 行 政 事 件 につ い て も 憲 法76条2項 の 立 法 趣 旨 に則 り、 司 法 裁 判 所 が 管 轄 す る こ と にな った 訳 で あ る。 又 、 裁 判 所 法 の 公 布 に伴 う措 置 と して 、裁 判 所 法 施 行 法1条(裁 判 所 法 と 同 日公 布)等 に よ り、 行 政 裁 判 所 法 、 「行 政 庁 ノ違 法 処 分 二 関 スル 行 政裁 判 ノ件 」 等 が 廃 止 され て い る。 しか し、 これ らの 日本 国 憲 法 、 裁 判 所 法 の 公 布 ・施 行 の み で は 行 政 訴 訟 制 度 と して は 極 めて 不 十 分 で あ り、 そ の た めの 応 急 措 置 と して 、 昭 和22年4月 18日 に公 布 され た(昭 和22年 法 律 第75号 、施 行 ・昭 和22年5H3日)「 日 本 国 憲 法 の 施 行 に伴 う民 事 訴 訟 法 の 応 急 的 措 置 に関 す る法 律 」8条 に、 行 政 処 分 の 取 消 又 は 変 更 を求 め る訴 につ い て 六 箇 月 の 出 訴 期 間(除 斥 期 間 は3年) の1規 定 の み を定 めた だ けで 、 これ は 、 訴 訟 法 と して は 極 めて 不 十 分 な もの で あ り、 新 た な 本 格 的 な 行 政 事 件 に固 有 な 訴 訟 法 の 整備 が 求 め られ て い た 。 そ して 、 そ の 間 は 、 新 憲 法 の 制 定 か ら応 急 措 置 に関 す る法 律 の 一 箇 条 の 規 定(8条)を 置 い た−6箇 月の 出訴 期 間 、 平 成 の 改 正 行 訴 法14条 の 出 訴 期 間 も3箇月 か ら6箇 月 にな って い るが− の み で あ った が 、 行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 の 公 布 に 至 るま で の行 政 裁 判 制 度 の推 移 に 対 す る評 価 と して 、 雄 川 教 授 は、 「憲 法 を貫 く法 治 主 義 を基 本 とす る行 政 の 司法 統 制 は 、 行 政 訴 訟 事 項 に お け る概 括 主 義 ・列 記 主 義 の 対 立 を超 えて 、 行 政 法 の領 域 にお い て も一 般 的 な 法 の 適 用 の 保 障 を営 む と こ ろま で 及 ぶ もの で あ る。 従 って 、 行 政 事 件 につ い て も、 原 則 と して 一 切 の 法 律 問 題 につ い て 裁 判 所 に出 訴 す る こ とが で き るの で あ る。 裁 判 所 法3条 が 、 『一 切 の 法 律 上 の争 訟 』 を裁 判 す る 旨 を宣 言 して い るの は、 そ の 憲 法 の 趣 旨 を明 らか に した もの に外 な らな い 。 か く して 、 新 憲 法 の 施 行 と と も に、 行 政 裁 判 法(裁 判 所 法 附 則2項 に よ り)・『行 政 庁 ノ違 法 処 分 二 関 スル 行 政 裁 判 ノ件 』(裁 判 所 法施 行 法1条 よ り)等 の 行 政 裁 判 法 規 は廃 止 され 、 半 世 紀 に わ た る わ が 行 政 裁 判 制 度 に 終 止 符 が 打 た れ た の で あ る。」 と述 べ られ て い る(4)。 しか し、 本 格 的 な 行 政 裁 判 制 度 の 整備 は 急 を要 す る課題 で あ り、 裁 判 所 法 制 定 後 、1年 近 く後 に、 新 しい 行 政 訴 訟 制 度 と して 、 昭 和23年7月1日 に行

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政 事 件 訴 訟 特 例 法 が公 布 され て い る(法 律 第81号 、施 行 ・昭和23年7月15日)。 ③ 第I期 ・(c)行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 の公 布 ・施 行 昭 和22年 に公 布 され た裁 判 所 法 の後 、戦 後 間 も な い こ の 時期 に 、本 格 的 な 行 政 裁 判 制 度 で あ る行 政 訴 訟 制 度 を整 備 す る こ とは 困難 な作 業 で あ っ た こ と が推 測 し得 る。 そ の こ とに つ い て 、 田 中 二郎 博 士 は行 政 事 件 訴 訟 特 例 法(以 下 、行 特 法 とい う。)の 公布 ・施 行 に際 して 、 「将 来 どの よ うな事 件 が どの よ うな形 で争 われ る か に つ い て 、十 分 に予 測 で き な か っ た 面 も あ り、 あ る程 度 の不 備 もや む を得 な か っ た とい え な い こ とも な い。」 と回顧 な され て い る(5)。 又 、行 特 法 に対 す る 同様 な見 方 は、雄 川 教授 も、行 特 法 の課 題 と して 、「… しか し、行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 自身 も本 則12箇 条 にす ぎず 、 な お行 政 事 件 訴 訟 の基 礎 法 と して不 足 な 点 が 多 い こ とを免 れ な い し、 ま た そ の規 定 自体 に も不 備 欠 陥 が 多 く解 釈 上 の疑 義 は跡 を絶 た な い。 従 っ て 、現 在 ま た そ の 大 幅 な 改 正 の 事 業 が 進 行 中 で あ る。」、 旨 述 べ られ て い る(6)。 こ の よ うに 、行 特 法 の 立 法 作 業期 の 田 中 ・雄 川 両先 生 の感 想 か らも窺 知 し うる よ うに 、行 政 訴 訟 制 度 と して 行 特 法 は 多 くの 不 備 欠 陥 が あ り、 急 を要 す る 状 況 に直 面 しな が ら、 十分 に 予測 で き な い 時 点 で の 立法 作 業 と して の 限界 性 を認 識 しな が ら、行 特 法 の公 布 ・施 行 を迎 え ね ば な らな か っ た 時代 背 景 が 了解 し うる。 さて 、 上述 の如 く、行 特 法 が行 政 訴 訟 制 度=行 政 裁 判 制 度 と して 、規 定 自 体 に 不備 欠 陥 が あ り、 国 民 の権 利 ・自由 の保 護 に は極 め て不 十 分 な 内容 を有 して い た こ とは 、 当 時 、衆 目の一 致す る とこ ろ で あ っ た。 そ こ で 、行 政 訴 訟 制 度 の本 格 的 な 立 法作 業 が希 求 され 、行 特 法 の 問題 点 を検 証 す る作 業 の 中 か ら、行 政 訴 訟 制 度 と して の基 本 的 な フ レー ム ・ワ ー ク を構 築 し、今 現 在 、 生 起 して い る行 政 現 象 に即 応 した訴 訟 法 の雛 型 を提 示 す る課 題 が顕 在 化 した訳 で あ る。 それ が わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の成 立期 ・第II期 に な る。 こ の 点 につ い て の詳 論 は つ ぎ の とこ ろ で行 う。 【注 】 (1)塩 野宏 「司法の行政 に対す るチェ ック機 能 のあ り方 について」同 『法治主義 の諸 相[行 政 法研究 第七巻]』329頁(有 斐 閣2001年)。 同論 文 の初 出 は 「司 法 制度 改革審 議会 意見 陳述」(2000.5.30)で あ る。塩 野 の引用 につ いて は、

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以 下 、 『法 治 主 義 の 諸 相 』 で 行 う。 (2)行 政 裁 判 所 へ の 出 訴 事 項 に つ い て は 、極 めて 短 い 規 定 が設 け られ 、 『行 政 庁 ノ違 法 処 分ニ 関 ス ル 行 政 裁 判 ノ件 』(明 治23.10.10法 律 第106号)に よれ ば 、 「法 律 勅 令ニ 別 段 ノ 規 程 ア ル モ ノ ヲ除 ク外 左ニ 掲 クル 事 件ニ 付 行 政 庁 ノ違 法 処 分ニ 由 リ権 利 ヲ毀損 セ ラ レ タ リ トスル 者 ハ 行 政 裁 判 所ニ 出訴 スル コ トヲ 得 」 と して 、 五 つ の事 件 に 制 限 して い た 。 因 み に 、1号 ・海 関 税 ヲ除 ク外 租 税 及 手 数 料 ノ賦 課ニ 関 スル 事 件 、2号 ・租 税 滞 納 処 分ニ 関 ス ル 事 件 、3号 ・営 業 免 許 ノ 拒 否 又 ハ 取 消ニ 関 ス ル 事 件 、4号 ・水 利 及 土木ニ 関 ス ル 事 件 、5号 ・土 地 ノ官 民 有 区分 ノ査 定ニ 関 ス ル 事 件 、 の み の列 挙 主義 で あ った 。 こ の よ うな 内 容 を 有 した 行 政 裁 判 法 を何 故 に 制 定 した か に つ い て 、 雄 川 一 郎 教 授 は 、 司法 権 と行 政 権 の 相 互 の 対 立 ・不 信 を 前 提 と し、 … 権 力 の 分 立 殊 に行 政 権 の 司 法 権 か ら の 独 立 の理 論 に基 き 、行 政 権 を司 法 権 の制 約 か ら解 放 しそ の 自律 性 を保 障 し よ うとす る、 ヨー ロ ッパ 大 陸 流 の 行 政 国家 の 考 方 に あ る、 と述 べ られ 、 そ の 総 括 的 な 行 政 裁 判 法 の評 価 と して 、 わ が 国 の行 政 裁 判 制 度 は 、 制 度 の理 想 か らは 程 遠 い も の で あ っ た た め に 、 早 くか らそ の改 正 の 必 要 が 感 ぜ られ 、 明治 以 来 数 度 の 改 革 の試 み が な され た。 … 種 々 の 事 情 で 遂 に実 現 す る に 至 らな か っ た の で あ る。 か く して 、 わ が 国 の 行 政 裁 判 の基 礎 法 規 に は 、 制 定 以 来 殆 ど改 正 ら し い 改 正 の施 され る こ とな く、 新 憲 法 の制 定 に 至 っ た の で あ る 、 と括 られ て い る (雄川 一 郎 『行 政 争訟 法 』 〔法 律 学 全 集9巻 〕35∼37頁)。 又 、 雄 川 教 授 は 、 行 政 裁 判 制 度 改 革 問題 の 経 緯 につ い て は 、 田 中 二 郎 「行 政 裁 判 制 度 の改 正 案及 び 改 正 意 見 」(同 『行 政 争 訟 の 法 理 』 所 収)が 詳 細 で あ る 旨、述 べ られ て い る(雄 川 ・前 掲 書39頁 注 五)。 (3)例 え ば 、 同 趣 旨 の 者 と して 、 原 田 尚 彦 『行 政 法 要 論 全 訂 第 七 版[補 訂 版]』 350頁 以 下(学 陽 書房2011年)、 塩 野 宏 『行 政 法II[第 五 版]行 政 救 済 法 』64頁 以 下(有 斐 閣2010年)、 芝 池 義 一 『行 政 救 済 法 講 義 第3版 』11頁 以 下(有 斐 閣2006年)等 が 挙 げ られ る。 (4)雄 川 ・前 出 注(2)40頁 。 尚 、 この 点 につ い て の 言 及 は 枚 挙 に い とま な しで あ るが 、例 え ば 、塩 野 宏 「司 法 の 行 政 に 対 す るチ ェ ッ ク機 能 の あ り方 に つ い て 」 同 『法 治 主 義 の諸 相[行 政 法 研 究 第 七 巻]』 所 収 、329∼331頁(有 斐 閣2001年) が 挙 げ られ る。 同 論 文 の 初 出 は 、 「司 法 制 度 改 革 審 議 会 意 見 陳 述 」(2000.5.30)

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である。 (5)田 中二郎 「行政争訟制度の改正」同 『司法権 の限界』45頁以下所収 、46頁(弘 文 堂 昭和51年)。 同論文 の初 出は、法律 時報34巻10号 、昭和37年 である。 (6)雄 川 ・前 出注(2)42頁 。 3)わ が 国 の行 政 訴 訟 制 度 の成 立期− パ ー トII(行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・施 行)=第II期 ① 行 特 法 の 改正 作 業 わ が 国 の 行 政 訴 訟 制 度 の 成 立 期 ・第II期 で は 、行 特 法 の 改 正 作 業(過 程) か ら行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・施 行 ま で に つ い て述 べ て ゆ く。 そ の手 懸 り と し て は 、 田 中博 士 と雄 川 教 授 の こ の 点 に つ い て の所 見を斟酌 しな が ら、 こ の 改 正 作 業 を検 証 して み る。 そ の後 、 そ の他 の所 見 を参 考 と しな が ら、私 な りの 感 想 を述 べ て み た い。 まず 、 田 中 二郎 博 士 の 「行 政 争 訟 制 度 の 改正 」 と題 す る論 文 か ら行 特 法 の 改 正過 程 の 流 れ を辿 っ て み た い(7)。 田 中博 士 は 行 特 法 の 問題 点 と して 、 「占 領 下 に 早急 の 間 に制 定 され た もの で あ る た め に 、行 政 事 件 訴 訟 に 関す る他 の 諸 々 の規 定 との 間 の調 整 に つ い て十 分 の 考慮 が払 われ て お らず 、訴 訟 制 度 全 体 と して 調 和 が保 た れ て い る とは い え な い のみ な らず 、 同 法 の 制 定 当 時 は 、 将 来 、行 政 事 件 が どの よ うな分 野 に どの よ うな形 で争 われ る で あ ろ うか につ い て も、 十分 の 見通 しを つ け に くい状 態 で あ っ た た め 、特 例 法 の規 定 自体 に 不備 欠 陥 の 存 す る こ とは避 け が た い こ とで あ っ た。」 と し(8)、そ して、 法 制 定 以 来 、10数 年 に わ た る行 特 法 の不 備 欠 陥 につ い て 、4つ の 問題 点 を挙 げ ら れ て い る。 そ の第1点 は(以 下 、筆 者 な りに 略記 した。)、行 特 法 の適 用 され る べ き訴 訟 の範 囲 が必 ず しも 明 瞭 とは い え な い こ と、第2点 は 、法 所 定 の 「行 政 庁 の違 法 な処 分 の 取 消又 は変 更 に係 る訴 訟 」 の意 味 が は っ き り しな い こ と − 取 消訴 訟 の み か 、無 効 確 認 訴 訟 も含 む の か否 か− 、第3点 は 、訴 願 前 置 主 義 の採 用 に よ る解 釈 上 の疑 義 を き た した こ と、 そ して 、最 後 の第4点 と して は 、執 行 停 止 ・内 閣総 理 大 臣 の異 議 の制 度 の導 入 に よ る行 政 権 の 司法 権 の侵 犯 ・憲 法 違 法 の 批 判 の 惹 起 、 で あ る と。 以 上 の 行 特 法 の 問題 点 の 総 括 と して 、 田 中 博 士 は、 「以 上 に述 べ た よ うに、 行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 は 、 そ れ 自体 と し

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て 、 多 くの 問 題 点 を も って い るの み な らず 、 行 政 事 件 訴 訟 に関 す る他 の 法 令 の 規 定 との 調 和 ・統 一 も十 分 に図 られ て お らず 、 制 度 全 体 と して 、 不備 不 統 一 の譏 りを免 れ ず、 人 民 の 権 利 救 済 制 度 を完備 す る うえか らい って も、 何 ら か の 対 策 を講 ず る こ とは 、 つ と に要 望 され て い た と こ ろで あ る」 と締 め く く られ て お られ る(9)。博 士 の こ の行 特 法 に対 す る厳 しい 批 判 は、同法 に代 わ る 、 国 民 の 権利 救 済 制 度 を完 全 な もの にす る よ うな 新 た な 行 政 訴 訟 制 度 の 整備 を 訴 えて い る証 しで あ り、 そ の 後 、 新 しい 行 政 事 件 に関 す る訴 訟 法 が 公布 ・施 行 され る こ と にな るの で あ る。 以 上 の 田 中博 士 の 所 見 に対 して 、 雄 川 教 授 は 行 特 法 に対 して どの よ うな 考 え をお 持 ちで あ ろ うか 。 以 下 、 雄 川 教授 の 所 見 につ い て 検 証 して み る。 次 に、 雄 川 教 授 は 行 特 法 につ い て 、 昭 和58年 の 公 刊 で あ る、 日本 公 法 学 会 編 の 「行 政 事 件 訴 訟 法 立 法 の 回 顧 と反 省 」 と題 す る報 告 論 文 にお い て 、 行 特 法 の 改 正 の 限 界 性 とい う視 点 か ら、 「行 政 事 件 訴 訟 法 制 定 の 直 接 の機 縁 は、 い うま で もな く行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 の 諸 制 度 に存 した 問題 点 を解 決 し解 釈 上 の 疑 義 を除 去 す る こ とが 、 そ の 作 業 の 主 要 な 課題 とな った の は 、 この 意 味 に お い て は 当然 の こ とで あ っ た と言 い得 よ う。 しか しな が ら、 そ の 結 果 と し て 、 行 政 訴 訟 な い しは 行 政 救 済 の 法 制 度 を基 本 的 な と こ ろか ら反省 し、 い わ ば トー タル に捉 えな お す こ とは な され て い な か った よ うで あ る。こ の こ とは、 特 例 法 の 改 正 即 ち行 政 事 件 訴 訟 法 が 、 行 政 訴 訟 の 基 本 法 と して 一 つ の 限 界 を もつ こ と を意 味 す る こ と にな った の か も しれ な い 。」 と述 懐 な され て い る(10)。 以 上 の 田 中 ・雄 川 両 所 見 か ら窺 知 し得 た よ うに、 行 特 法 の 問題 点 ・課題 と 同法 の 改 正 作 業 にお い て も、 ま だ 、 未 解 決 の 立 法 作 業 中 の諸 問題 が あ っ た。 しか し、 そ の よ うな 難 産 の 末 、 昭 和37年 の 行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 を迎 えた の で あ るが 、 この エ ポ ッ ク につ い て の 立 法 作 業 ・学 説 の 推 移 につ い て は 、 次 の 所 で 検 証 して ゆ く。 ② 行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 ・施 行 まず 、 行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 に際 して 検 証 す べ き点 は 、 第40回 国 会 に提 出 され た 同法 案 の 理 由説 明 の 主 要7項 目に あ る と思 わ れ る。 雄 川 一 郎 教 授 の 挙 げ られ る7項 目 を筆 者 な りに 略 記 す れ ば 、(1)訴 訟 の類 型 化 とそ の適 用 法 規 の 明 確 化 、(2)訴 願 前 置 主 義 の原 則 的廃 止 、(3)略 、(4)執 行 停 止 制 度 ・

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内 閣総 理 大 臣 の異 議 制 度 の整備 、(5)略 、(6)無 効 確 認 訴 訟 の 限 定化 と争 点 訴 訟 の 導 入 、(7)そ の他 、 で あ り、 そ の 中 で 、 雄 川 教 授 は 、行 政 訴 訟 部 会 で重 要 な反 対 意 見 が あ っ た 問題 と して 、① 訴 願 前 置 主義 の原 則 的廃 止 に対 す る 、② 内 閣総 理 大 臣 の異 議 制 度 の存 置 に対 す る 、③ 不 作 為 の違 法 確 認 訴 訟 の 法 定化 に対 す る 、各 反 対 意 見 の3点 が あ っ た 旨 、指 摘 な され て い る(11)。 次 に 、 こ こで 示 され た 改 正 作 業 の課 題 とな る論 点 を整 理 す る と、論 点1・ 訴 願 前置 主義 の原 則 的存 廃 問題 、論 点2・ 行 政 行 為 の無 効 を争 う訴 訟 類 型 の 選 択 問題 、論 点3・ 執 行 停 止 制 度 ・内 閣総 理 大 臣 の異 議 制 度 の存 廃 問題 等 で あ る(12)。 この 点 に つ い て 、雄 川 教 授 に よれ ば 、論 点1の 訴 願 前 置 主義 の原 則 的存 廃 問題 に つ い て は 、委 員 等 と行 政 庁 側 との意 見 の対 立 の 中 か ら、 こ の存 置 問題 は 最 後 ま で も め 、 「そ の結 着 は 、 結 局 、 理 論 的 に も制 度 的 に も直接 の 関係 を もた な い この 二個 の 問題 を 、一 方 で訴 願 前 置 主義 を原 則 的 に廃 止 す る こ とに よ り裁 判 所 側 の 主 張 を容 れ 、他 方 で 内 閣総 理 大 臣 の異 議 制 度 を存 置 す る こ と に よ っ て行 政 庁 側 の 主 張 を容 れ る とい う形 で 、全 体 と して のバ ラ ン ス を とる とい うこ とで あ っ た の で あ る。」 と し(13)、論 点2の 行 政 行 為 の 無 効 を争 う訴 訟 類 型 の選 択 問題 に つ い て は 、結 局 、無 効 確 認 訴 訟 を 限 定化 す る方 向 で議 論 が進 め られ 、 「行 政 行 為 の無 効 は 、 原 則 と して は 、 そ の 無 効 を 前 提 とす る現 在 の 法律 関係 に 関す る訴 訟 に お い て これ を 主 張す る こ とを も っ て 、必 要 に し て 十分 で あ る と し、行 政 行 為 の無 効 を 直接 訴 求 す る の は そ の よ うな現 在 の法 律 関係 に 関す る訴 訟 で は救 済 の 目的 を 達 し得 な い よ うな場 合 に 限 るべ き で あ る 、 と した の で あ る。 これ が行 政 事 件 訴 訟 法36条 の原 告 適 格 と45条 の争 点訴 訟 の 立 法 とな っ た。」 とそ の 当時 を振 り返 られ て い る(14)。 そ して 、雄 川 教 授 は 、論 点3の 執 行 停 止 制 度 等 の 問題 につ い て は 、執 行 停 止 制 度 の整 備 に 関連 して 、 内 閣総 理 大 臣 の異 議 制 度 の存 廃 は も っ と激 しい議 論 の あ った とこ ろ で あ っ た と し、 「問 題 は これ を 廃 止 す る か否 か とい うこ と で あ っ て 、結 局 、 そ の決 め 手 は理 論 的 に も 実 際 的 に も これ を 見 出 し得 な か っ た の で あ る。 しか し、裁 判 所 、弁 護 士側 か らは 強 くそ の廃 止 が求 め られ 、 立 案 の最 終段 階 ま で ま とま らな か っ た。 そ して 、一 種 の妥 協 案 と して最 高裁 判 所 に干 渉 させ る案 な どが 考 え られ た こ とも あ っ た。 しか し、結 局 、異 議 制 度

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と して は 内 閣 総 理 大 臣 の 政 治 責 任 に お い て 異 議 を 述 べ る も の と す る こ と で 割 り切 っ た の で あ る が 、 こ れ に 対 す る 反 対 も ま た 強 か っ た 。」 と 述 べ られ て い る(15)。そ し て 、 結 局 、 前 述 し た 訴 願 前 置 主 義 の 原 則 的 廃 止 と 内 閣 総 理 大 臣 の 異 議 制 度 の 存 置 に よ る バ ラ ン ス を と り、 こ の 件 は 妥 協 ・解 決 し た と い う こ と に な っ た の で あ る 。 よ っ て 、 こ の よ うな 行 特 法 の 改 正 作 業 ゆ え に 、雄 川 教 授 も こ の 点 に つ い て 、 「以 上 の よ う に 、 行 政 事 件 訴 訟 法 の 立 案 は 、 い ろ い ろ な 問 題 に つ い て の 妥 協 と 微 妙 な バ ラ ン ス の 上 に 立 っ て い た 。 当 時 、 カ ル タ の 城 に た と え た よ うな 記 憶 が あ る が 、 ど こ か が 修 正 さ れ る と 全 体 が 崩 れ か ね な い も の で あ っ た 。 そ う い う形 で 行 政 事 件 訴 訟 法 は 成 立 した の で あ る。」 と そ の 間 の 様 子 を 述 懐 な さ れ て い る(16)。 こ の 感 想 は 極 め て 含 蓄 の あ る お 話 で あ る 。 以 上 で 、行 政 訴 訟 制 度 の 推 移 と 学 説 の 推 移 ① の 検 討 作 業 を 終 え 、次 に 、(2) 行 政 事 件 訴 訟 法 か ら 改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 と 学 説 の 推 移 ② の 検 討 作 業 に 移 る 。 【注 】 (7)田 中 「行 政 争 訟 制 度 の 改 正 」 同 『司 法 権 の 限 界 』45頁 以 下 所 収(弘 文 堂 、 昭 和51年)、50頁 以 下参 照。 同 論 文 の 初 出 は 、 法 時34巻10号,昭 和37年 で あ る。 田 中の 引 用 に つ い て は 、 『司 法 権 の 限 界 』 で 行 う。 (8)田 中 ・前 出 注(7)の 論 文,51頁 ∼52頁 。 (9)同 ・前 注 論 文53頁 。 (10)雄 川 一 郎 「行 政 事件 訴 訟 法 立 法 の 回 顧 と反 省 」 同 『行 政 争 訟 の理 論 』184頁 以 下 所 収 、185頁(有 斐 閣 、 昭 和61年)。 同論 文 初 出 は、 公 法 研 究45号 、 昭 和58 年 で あ る。 雄 川 の 引 用 に つ い て は 、 『行 政 争 訟 の 理 論 』 で 行 う。 (11)雄 川 ・前 出 注(10)186頁 ∼187頁 。 雄 川 教 授 に よれ ば 、 こ の とき の行 政 訴 訟 部 会 の 会 長 は 、 入 江 部 会 長 で あ っ た と され て い る。 (12)同 ・187頁∼192頁 。 論 述 上 、 筆 者 な りに 立 法 作 業 の 論 点 を整 理 ・統 合 した 。 (13)同 ・187頁∼188頁,192頁 。 (14)同 ・188頁。 (15)同 ・192頁。 (16)同 ・193頁。

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(2)行 政 事 件 訴 訟 法 か ら改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 と学 説 の 推 移 ② この パ ー トで は 、 新 しい 行 政 訴 訟 制 度 の誕 生 で あ る行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・ 制 定 か ら同法 の 改正 とい う流 れ を検 証 して ゆ く。 す な わ ち 、新 し く公 布 され た 行 政 事 件 訴 訟 法 の検 討 作 業 か ら同法 の課 題 を 明 らか に し、 そ の 中 か ら、 改正 行 政 事 件 訴 訟 法 が何 故 再 度 、誕 生 して い っ た か を 、行 政 訴 訟 制 度 と諸 学 説 の検 証 作 業 を 手掛 か りに解 明 して ゆ く。 1)行 政 事 件 訴 訟 法 の課 題 と学説 の推 移 ②−1 まず 、行 政 事 件 訴 訟 法 の公 布 ・施 行 に つ い て か ら述 べ る な らば 、行 政 事 件 訴 訟 法 は 昭和23年 に公 布 され た行 政 事 件 訴 訟 特 例 法(以 下 、行 特 法 とい う。) か ら14年 後 、 昭和37年(1962年)に 公 布 され た(昭 和37年5月16日,法 律 第 139号 、 施 行 ・昭 和37.10.1)、 全 条46力 条 と附則 か らな る も の で あ る。 こ の 新 法制 定 に 際 して 、 田 中 二郎 、雄 川 一 郎 、 そ して 、塩 野 宏 の各 先 生 の行 政 事 件 訴 訟 法 の特 色 と問題 等 に対 す る考 え を検 証 しな が ら、 同法 制 定 の位 置 づ け を 考 え て み た い。 以 下 、各 所 説 を 眺 め て ゆ く。 ① 田 中 二郎 博 士 の所 説 よ り 田 中博 士 の 昭和37年 に発 表 した 「行 政 争 訟 制 度 の 改正 」 と題 す る論 文 に よ れ ば(1)、田 中は 、行 政 事 件 訴 訟 の 本 質 を どの よ うに考 え るべ きか につ い て は 、 未 だ根 本 的 に 究 明 され て い る とは い えず 、検 討 され るべ き 多 くの 問題 が残 さ れ て い る、 と し、行 政 事 件 訴 訟 法(以 下 、 行 訴 法 とい う。)1条 と7条 の規 定 した 趣 旨 につ い て 、 「それ は 、 同 法 が 行 政 事 件 訴 訟 に 関す る そ れ 自体 独 自 に完 結 した規 定 を設 け る こ とを企 図す る こ とな く、 さ しあ た り、行 政 事 件 訴 訟 に と って 必 要 な 特殊 固 有 の規 定 を設 け る に止 め 、他 は 、 訴 訟 法 の分 野 で 、 学 問 的 に も最 も成 熟 し法 制 的 に も最 も整 備 され た 民事 訴 訟 の例 に よ る こ と と した もの と解 され る。」 そ して 、 「… 現 段 階 に お い て は 、行 政 事 件 訴 訟 の 本 質 が必 ず しも十 分 に 究 明 され て い る とは い え な い か ら、 ど うい う点 に 、行 政 事件 訴 訟 の本 質 に即 す る特 殊 の解 釈 をす べ き か につ い て具 体 的 に 明 らか に す る こ とは 困難 で あ る し、今 これ らの 点 につ い て深 く立 ち入 っ て論 ず る余 裕 もな い が 、私 は 、行 政 事 件 訴 訟 の過 去 十 数 年 に わ た る 実 際 の経 験 に即 して今 回 の 改 正 を行 っ た経 緯 に か ん が み 、ま た 、行 政 事 件 訴 訟 の特 殊 性 が か な りは っ き り して き た現 状 に 照 ら し、基 本 的 な 考 え方 の方 向 と して は 、従 来 の 単 な る

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特 例 法 的 な 制 度 の 建 前 か ら一 歩 前 進 して 、 行 政 事 件 訴 訟 の 特 殊 性 に応 ず る制 度 を設 け、 そ の 線 にそ った 解 釈 を進 め る こ と を許 容 す る趣 旨 と解 す べ き もの と思 う。」 と述 べ られ て い る(2)。 そ して 、 最 後 に、 田 中は 、 行 政 不 服 審 査 法 を含 めた 「行 政 争 訟 制 度 改 正 の 意 義 と今 後 の 課 題 」 と冠 す る所 で は、 「行 政 事 件 訴 訟 法 及 び 行 政 不 服 審 査 法 の 制 定 を 中心 とす る諸 法 律 の 制 定 改 廃 に よ る行 政 争 訟 制 度 の 全 面 改 正 は 、 単 に疑 義 の 多 い 不備 不 統 一 な 行 政 争 訟 制 度 を、 法 制 的 に整備 統 一 し、 疑 義 を解 消 させ 、 長 い 間 の 懸 案 を解 決 す る もの で あ るの み な らず 、 そ れ を通 して 国 民 の 権 利 利 益 の保 護 伸 長 を 図 る とい う見 地 か ら も多 くの 寄 与 を な す も の と し て 、 これ に重 要 な 意 義 を認 めな けれ ば な らぬ 。 … そ れ が 今 回 の 改 正 に よ っ て 、 と に もか く に も、 法 制 的 には 、 全 般 的 に整備 統 一 され 、 こ こ に面 目 を一 新 す る に至 った とい って よい 。」 と評 され てい る(3)。 因 み に 、 田中 は 今 回 の全 面 改 正 の 評 価 と して 、 「今 回 の 改 正 法 にお い て も 立 案 関係 者 の 多 大 の努 力 に も か か わ らず 、 必 ず し も 明快 と は い え な い 点 が 多 々 あ り、 専 門 家 に と って も解 釈 上 の 疑 義 を生 ず る点 が 少 な くな い 。 そ の 結 果 と して 、 権 利 利 益 の 保護 伸 長 の うえ に も種 々 の 障 害 の 生 ず る こ とは免 れ な い で あ ろ う。 しか し、 この よ うな 若 干 の 難 点 も、 今 後 の 学 説 の 展 開 と判 例 の 積 み 重 ね に よ って 、 漸 次 解 明 され て い くで あ ろ うし、 ま た 、 そ れ に期 待 して よい で あ ろ うと思 う。」 と して 、 今 回 の行 政 争 訟 制 度 の 改 正 の 画 期 的 な 意 義 は何 び と も認 め る と こ ろで あ ろ うと して い る。 しか し、 未 だ 残 され た 今 後 の 課 題 も決 して少 な くな い と して 、 そ の課 題 の例 を い くつ か 挙 げ られ て い る が(4)、 そ れ らの 課 題 と して 、① 行 政 手 続 法 の制 定 問題(将 来 の 課 題)、 ② 行 政 事 件 訴 訟 の 本 質 又 は そ の 基 本 的 あ り方 の 究 明 問題 、 ③ 特 別 裁 判 所 た る行 政 裁 判 所 の 設 置 問題 を挙 げ られ て い るが(5)、 特 に、 ③ の 行 政 裁 判 所 の設 置 問 題 は注 目す べ き点 で あ る。 つ ま り、 行 訴 法 の 制 定 に 当た って 、 日本 国 憲 法76 条2項 の 下 で 、 何 ゆ え に、 特 別 裁 判 所 の 設 置 をわ ざわ ざ持 ち出 した の か とい 点 で あ る。 つ ま り、 行 政 事 件 も司 法 裁 判 所 の 管 轄 にな って い るの に、 ど うし て 、 い ま さ ら 旧制 度 に戻 るの か で あ る。 この 意 見 の 提 案 理 由の 詳 細 が 了解 し て い な い 時 点 で 具 体 的 意 見 は 述 べ られ な い が 、 行 政 事 件 の 固 有 性 に着 目 した 発 想 に立 て ば 、 行 政 の 専 門 の 審 査 をす る こ との で き るス タ ッ フの い る特 別 の

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審 査 機 関 の設 立案 な の か否 か 、 こ こで は想 像 の域 を 出 な い。 いず れ に して も、 こ の 点 に つ い て の言 及 は これ ま で に して 、次 に 、行 訴 法 の公 布 に 際 して 、 田 中所 見 以外 の 見解 を窺 っ て み る こ とにす る。 ② 雄 川 一郎 教 授 の所 説 よ り 雄 川 教 授 も行 訴 法 の 立案 に つ い て 、 田 中博 士 と同様 な感 想 を述 べ られ て い る。 た とえ ば 、雄 川 の 「行 政 事 件 訴 訟 法 立法 の 回顧 と反 省 」 と題 す る論 文 に お い て(6)、 次 の よ うな 所 見 が 窺 え る。 す な わ ち 、 上 述 した よ うに、 「… 行 政 事 件 訴 訟 法 の 立案 は 、 い ろ い ろ な 問題 につ い て の妥 協 と微 妙 なバ ラ ン ス の 上 に 立 っ て い た。 当 時 カル タ の城 に た とえ た よ うな記 憶 が あ る が 、 どこ か が修 正 され る と全 体 が崩 れ か ね な い も の で あ っ た。 そ うい う形 で行 政 事 件 訴 訟 法 は 成 立 した の で あ る。」 とい う所 見 が そ の 当 時 の 雄 川 の 考 え を物 語 っ て い る。 さて そ こで 、 そ の雄 川 は行 訴 法 の基 本 的性 格 につ い て 、行 訴 法 の 立法 化 に は戦 後 の制 度 改革 に お け る行 政 訴 訟 観 と して 、 二つ の考 え方 が あ っ た と述 べ られ て い る。 それ を約 言 す れ ば 、 そ の第 一 は 、従 前 の行 政 裁 判 制 度 の否 定 か ら出発 した こ と、 そ して 、 そ の こ とは 、行 政 訴 訟 もま た通 常 の 民事 訴 訟 の一 形 態 で あ る と考 え る傾 向 が あ っ た こ とで あ り、第 二 に は 、技 術 的 に は 、行 政 裁 判 所 時代 の行 政 訴 訟 法 理 を受 け つ い だ 面 が 多 か っ た こ とで あ り、 そ の こ とは 、制 度 的 に は欠 陥 の 多 か っ た 旧行 政 裁 判 制 度 の 改正 案 と して の 昭和7年 の行 政 訴 訟 案 が 、戦 後 の行 政 訴 訟 法 に 大 き な影 響 を もっ た とい うこ とで あ る(7)。 そ して 、 こ の2点 か ら、 雄 川 は 、行 政 訴 訟 法 に つ い て 、 形 式 的 に は 、 「行 政 事 件 訴 訟 」 を 民 事 訴 訟 の 一 範 疇 とは 考 え て い な い(1条 ・7条)。 こ こ に 行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 と行 政 事 件 訴 訟 法 との行 政 訴 訟 観 の相 違 が あ る。しか し、 行 政 事 件 訴 訟 法 の 実質 的 内容 は行 政 事 件 訴 訟 特 例 法 を継 承 しこれ を発 展 させ た もの が そ の 中 心 に な っ て い る と言 っ て よい で あ ろ う。 「行 政 事 件 訴 訟 法 」 とい う名 称 は この よ うな意 味 を も含 ん で い る の で あ る 、と して 、最 終 的 に は 、 「従 っ て 、 こ の 限 りで は、 行 政 事件 訴 訟 法 は 、技 術 的 に は従 前 か らの 行 政 訴 訟 法理 を基 本 と して い る こ とに な る の で あ っ て 、行 政 訴 訟 の将 来 を展 望 して 新 しい 時代 に対 応 す べ き備 え をす る とい う点 に お い て不 十 分 な も の が あ っ た

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とい うこ とに な ろ う。」 と し、 そ して 、行 特 法 の改 正 作 業 は 、 制 度 の技 術 的 な 整 備 が 主 眼 とな り、 行 政 訴 訟 を基 本 か ら検 討 し直 す とい うこ とま で には 及 ばな か った と言 うこ とが で き るで あ ろ う、 と 当時 を振 り返 り、 田 中の 考 え を 引 用 して い る こ とか ら(田 中 「行 政 争 訟 制 度 の 改 正 」 法 時34巻10号4頁 、9 ∼10頁) 、行政事件訴訟法 の制 定についての考 えが 田中 と相等 しい もので あ る こ とが 窺 知 で き る(8)。 さ ら に、 行 訴 法 制 定20年 後 に際 して 、 雄 川 は 、 行 訴 法 の 動 き と行 訴 法 の 将 来 展 望 につ い て 、 次 の よ うに述 べ られ て い る。 ま ず 、 雄 川 は 、 行 訴 法 の20年 間 の 動 き につ い て は 、 当初 の 議 論 した 予 想 と は異 な った 問題 が 生 じた か 、 或 い は 、 当時 は あま り議 論 され な か った よ うな 問 題 が 浮 上 した と され 、 前 者 につ い て は 、 無 効 等確 認 訴 訟(行 訴 法36条)の 理 解 … 一 元 説 と二 元 説 や 、 内 閣 総 理 大 臣の 異 議 、 そ して 、 行 政 処 分 の 取 消 しの 第 三 者 効 の 問題 を挙 げ られ て い る。 次 に 、後 者 の 問 題 につ い て は 、 抗 告 訴 訟 の 対 象(処 分 性 の 問題)、 訴 訟 利 益 の 問題 、 を 挙 げ られ 、 締 め 括 りと して 、 「従 っ て 、今 日い ろい ろ な場 で 問 題 と され る訴 訟 利 益 の 拡 張 な い し変 質 の 問題 、 団 体 訴 訟 の 問題 や 広 い 意 味 で の 市 民 訴 訟 の 問 題 な どは 検 討 され て い な か った よ うに思 う。 こ うい う問題 を 深 く意 識 して 議 論 して い た な らば 行 政 事 件 訴 訟 法 の 定 めは 、 或 い は も っ と異 な って い た か も しれ な い 。 も っ と も、 そ れ が わ が 行 政 訴 訟 法 理 の 発 展 に と っ て 幸 い で あ っ た か ど うか は 、 自 ら別 個 の 問題 で あ ろ うが。 いず れ に して も、 い わ ゆ る現 代 型 行 政 紛 争 に制 度 的 に対 応 す る こ とは 、 行 政 事 件 訴 訟 法 は して い な か った とい うこ と にな ろ う。」 と述 べ られ て い る(9)。 最 後 に、 雄 川 は 、 行 政 訴 訟 の 制 度 や 法 理 の 今 後 の 問題 は 、 行 政 の 裁 判 的 統 制 の 基 本 にた ちか え って 反省 す る と と も に、 現 代 型 の 行 政 紛 争 に対 応 す る在 り方 を 探 る こ とで あ ろ う、 と して 、 将 来 の 展 望 と して の 現 代 型 行 政 紛 争 の 特 色 と して 、 三 点 ほ ど挙 げ られ て い る(10)。因み に 、 そ れ らは 、 約 言 す れ ば 、 第 一 点 は 、行 政 手 段 の多 様 化 と行 政 紛 争 の 多 様 化 の 問題 で あ り、 第 二 点 は、 現 代 型 行 政 紛 争 に対 す る行 政 訴 訟 制 度 ・裁 判 所 の 対応 策 で 、 そ して 、 第 三 点 は、現 代 型 行 政 紛 争 の処 理 の 限界 性 で あ る。 こ の三 点 を も う少 し敷衍 す る と、 雄 川 は現 代 型 行 政 紛 争 の 特 色 には 、 ① 多 様 な 紛 争 問題 の解 決 手 段 と して の 行

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政 事 件 訴 訟 と民事 訴 訟 の 交通 整 理 の 問題 、行 政 計 画 の裁 判 統 制 の 問題 、 多数 当事 者 ・団体 訴 訟 と客観 訴 訟 化 の 問題 、科 学 裁 判 の対 応 問題 で あ り、② 現 代 型 行 政 紛 争 の 客観 訴 訟 化(例 え ば 、住 民訴 訟 の増 加 等)と 行 政 事 件 訴 訟 法 の 守備 範 囲 問題 で あ り、 そ して 、③ 現 代 型 行 政 紛 争 の行 政 訴 訟 に よ る処 理 の 限 界性 とそ の代 替 処 理 問題(行 政 機 関 ・行 政 的 専 門機 関 の処 理 、 オ ン ブ ズ マ ン の制 度)が 挙 げ られ る と され る。 そ の こ と か ら、 「以 上 の よ うな 、 言 わ ば行 政 訴 訟 制 度 の外 側 の諸 制 度 を 工夫 す る と同 時 に 、行 政 訴 訟 制 度 自体 につ い て も、 そ の基 本 的 な枠 組 み を維 持 す る と して も 、 な お制 度 的 な 工夫 を加 え る こ と も考慮 す べ き で あ ろ う。 さき に 見 た よ うに 、行 政 訴 訟 の 実体 は事 実 と して 客観 化 す る傾 向 に あ る。 こ の こ とは 、 主観 的権 利 保 護 と客観 的公 益 保 護 との 理 念 的 対 立 が 実 際 面 で緩 和 化 され る こ とを意 味す る と考 え られ る。 そ うで あ る とす れ ば 、現 在 の行 政 事 件 訴 訟 法 の よ っ て 立つ 主観 的訴 訟 体 系 の基 本 を変 更す る こ とな く行 政 の適 正 や 公 益 の保 護 を 目的 とす る手 直 しを試 み る こ とが 考 え られ うる で あ ろ う。」 と この 報 告 を結 ん で い る(11)。 以 上 の雄 川 の所 見 か ら も窺 知 で き る よ うに 、現 代 型 行 政 紛 争 の解 決 策 へ の 検 討 と して 、 立法 問題 、解 釈 問題 を含 め た総 合 的 な よ り精 緻 な検 討 作 業 の必 要性 を希 求 な され て い る こ とが 明 らか で あ る。 さて 、行 訴 法 制 定 に つ い て の 立法 過 程 の状 況 、 そ して 、 同法 の公 布 ・施 行 後 の行 訴 法 の課 題 等 に つ い て 、立 法 作 業 に最 も関係 の 深 か っ た 田 中二 郎博 士 、 雄 川 一郎 教 授 の所 見 を検 討 した が 、 こ こで の総 括 と して 、塩 野宏 教 授 の行 訴 法 の制 定期 、 そ して 、 そ の後 の行 訴 法 の課 題 等 に つ い て言 及 し、 改正 行 訴 法 に つ い て の諸 学説 の動 向 の検 討 作 業 を行 い た い。 ③ 塩 野宏 教 授 の所 見 よ り まず 、塩 野 の 「司法 の行 政 に対 す る チ ェ ック機 能 の あ り方 につ い て 」 と題 す る司 法 制 度 改 革 審 議 会 で の ご報 告 か ら(12)、日本 の 行 政 訴 訟 制 度 の 特 色 に つ い て論 じた部 分 の 、行 政 事 件 訴 訟 が 具体 的 に どの よ うな基 本 的視 点 の も と に制 度 設 計 され 、かつ 運 用 され た か とい う、塩 野 の 指 摘(二 点)を み て み る。 第 一 の視 点 は 、 国 民個 人 の権 利 ・利 益 の法 的救 済 制 度 へ 純 化 す る とい うこ とで 、 それ は 、 主観 訴 訟 と客観 訴 訟 の 峻別 とい うこ とに な っ た こ とで あ る。 第 二 の視 点 は 、 司法 権 の 限界 で 、権 力 分 立 の厳 守 と 「田 中先 生説 示 の 」行

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政 庁 の 第 一 次 的 判 断 権 の 尊 重 で あ る(13)。 以 上 の 基 本 的 視 点 の 下 で 制 度 設 計 され 、 運 用 され た 行 政 訴 訟 の 現 状 は 、 塩 野 が 総 括 す る よ うに、 行 政 訴 訟 に限 定 して も、 改 革 の 検 討 を要 す る事 項 が 多 数 に上 が って い る し、 「そ の改 革 を要 す る結 果 を招 い て い る原 因 につ い て は 、 複 数 の 要 素 が 複 雑 に絡 み 合 って い る点 は 注 意 す べ きで あ る と考 え、 ま た 、 そ れ が今 後 の 日本 の 行 政 訴 訟 の 問題 点 と改 革 の 手 順 に 関係 し て く る と考 え ま す 。」 旨 、現 行 行 訴 法 の課 題 を分 析 してお られ る(14)。 次 に、 塩 野 は 、 行 訴 法 の 現 状 を踏 ま えて 、 日本 の 行 政 訴 訟 の 五 つ の 問題 点 を挙 げ て お られ る。 す な わ ち 、 第 一 の 問題 点 は 、 「通 常行 政 事 件 訴 訟 上 の 問 題 点 」 で あ り、 第 二 の 問題 点 は 、 「現 代 型 行 政 訴 訟 の 問題 点 」 で 、第 三 の 問 題 点 と して は 、 「行 政 事 件 訴 訟 の基 本 的構 造 の検 討 」 で あ り、 第 四 の 問題 点 は、 「国家 賠 償 との役 割 分 担 」 で 、そ して 、最 後 に 、第 五 の 問題 点 と して は、 司 法 裁 判 所 に よ る行 政 の コ ン トロー ル あ る と。これ らの 問題 点 を約 言 す る と、 ① 行 訴 法 の 使 い 勝 手 を再 検 討 す る こ との 重 要 性 、 ② 現 代 型 行 政 訴 訟 に相 応 し い 訴 訟 要 件 と訴 訟 類 型 の 選 択 問 題 の 再 検 討 、 ③ 訴 訟 類 型 の 選 択 ・訴 訟 審 理 の あ り方 につ い て の 国 民 側 に立 った 改 革 と挙 証 責任 の 問題 の 制 度 的 な 配 慮 、 ④ 国 賠 法 と行 訴 法 の 役 割 分 担 、 ⑤ 行 政 に対 す る司 法 の チ ェ ッ ク機 能(こ の 点 に つ い て は 慎 重 な 考 慮 が必 要 で あ る と)と い うこ とに な る(15)。これ らの行 訴 法 の 問題 点 の 指 摘 の 内容 は 、 前 述 の 田 中 ・雄 川 の 所 見 と も符 合 す る も の で、 行 訴 法 の 改 正 作 業 の 中で も顕 在 化 し、 改 正 行 訴 法 の 諸 規 定 の 中 に生 か され て い る。 最 後 に 、 次 の 学 説 の推 移 ②−2の 検 討 へ の 架 け橋 的 作 業 と して 、 さ らに、 塩 野 の 考 え を眺 めて ゆ く。 塩 野 は前 掲 論 文 で 、 さ ら に、 現 行 行 訴 法 の 改 正 す べ き 「改 革 の 手 順 」 と し て 、5点 挙 げて い ら っ し ゃ る。 改 革 の 手 順 ① は 、 行 訴 法 と行 政 手 続 法 ・情 報 公 開 法 との 関係 を どの よ うに 整 理 して ゆ くか とい う問題 で あ る。 改 革 の 手 順 ② は 、 行 訴 法 と環 境 整備 との 関係(例 えば 、 全 国 に行 政 訴 訟 専 門 の 部 を地 裁 レベ ル に配 置 す る問 題 等)で あ る。 改 革 の 手 順 ③ は 、 行 政 訴 訟 の 改 革 は 行 訴 法 そ れ 自体 の 改 革 だ けで な く、 そ

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の 周 辺 も 問 題 と な る 。 改 革 の 手 順 ④ は 、 個 別 法 と一 般 法 の 関 係 か ら 、 一 般 法 た る 行 訴 法 と個 別 法 と し て の 団 体 訴 訟 に つ い て の 法 等 の 問 題 で あ る 。 改 革 の 手 順 ⑤ は 、段 階 的 改 革 も 一 考 か と い う も の で あ る 。 一 挙 に 改 革 せ ず 、 後 日 、 時 間 の か か る 作 業 は 二 次 ・三 次 の 改 革 で 対 応 す る 案 で あ る(16)。 以 上 の 改 革 の 手 順 が 、 行 訴 法 の 改 正 作 業 案 で あ り 、 こ の 塩 野 の ご 提 案 が ど の よ う に 改 正 行 訴 法 に 結 実 し て い っ た か は 、 次 の 所 で 検 討 し て ゆ く。 【注 】 (1)田 中 二郎 「行 政 争 訟 制 度 の 改 正 」同 『司 法 権 の 限界 』45頁以 下 、60頁以 下 所 収(弘 文 堂 昭 和51年)、 同論 文 の 初 出 は 、 法 時34巻10号 、37年 で あ る。 田 中 の 引 用 につ い て は 、『司法 権 の 限界 』 で行 う。 (2)田 中 ・前 出注(1)60頁 ∼62頁 。 (3)同 ・70頁 ∼71頁 。 (4)同 ・71頁 ∼72頁 。 (5)同 。 (6)雄 川 一 郎 「行 政 事 件 訴 訟 法 立 法 の 回 顧 と反 省 」 同 『行 政 争 訟 の 理 論 』184頁 以 下 所 収 、193頁 以 下(有 斐 閣 昭 和61年)。 雄 川 の 引 用 に つ い て は 、 『行 政 争 訟 の理 論 』 で行 う。 (7)雄 川 ・前 出 注(6)197頁 。 (8)同 ・198頁∼199頁 。 (9)同 ・199頁∼202頁 。 (10)同 ・203頁∼206頁 。 (11)同 。 特 に 、206頁 参 照。 (12)塩 野 宏 「司 法 の 行 政 に 対 す るチ ェ ッ ク機 能 の あ り方 に つ い て 」(初 出 ・司 法 制 度 改 革 審 議 会 意 見 陳 述 、2000年5,月30日)同 『法 治 主義 の 諸 相[行 政 法 研 究 第 七 巻]』328頁 以 下所 収,331頁 以 下。 塩 野 の 引用 につ い て は 、『法 治 主義 の諸 相 』 で行 う。 (13)塩 野 ・前 注(12)331頁 ∼332頁 。 (14)同 ・335頁∼338頁 。

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(15)同 ・338頁∼341頁 。 (16)同 ・341頁∼344頁 。 2)改 正 行 政 事 件 訴 訟 法 の 公 布 ・施 行 と学 説 の 推 移 ②−2(本 章 の ま と め) ① 塩 野 宏 教 授 の 改 正 の 視 点 行 訴 法 の 改 正 作 業 の 検 証 の 端 緒 と して 、 ま ず 、 塩 野 宏 教 授 の 「行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 論 議 管 見 」 と題 す る論 文(1996年)か ら始 め よ う(1)。 塩 野 は、 わ が 国 の 改 正 作 業 の 始 ま りを1980年 代 以 降 に求 め、 そ れ は 、1982 年 の 日本 公 法 学 会 総 会 にお け る前 述 の 雄 川 報 告 「行 政 事 件 訴 訟 法 立 法 の 回 顧 と反 省 」(公 法 研 究45号,昭 和58年)で あ る と し、 そ の論 文 は 現 代 型 行 政 紛 争 に 対 す る新 た な立 法 の 必 要 性 につ い て 言 及 され て い る 旨、 述 べ られ て い る(2)。 次 に、 塩 野 は 、1980年 代 の 後 半 にな る と改 正 論 は さ ら に明確 な 形 を と る よ うにな り、1989年 の 日本 公 法 学 会 総 会 の 「現 代 型 争 訟− 争 訟 制 度 の 改 革 に向 けて 」 と題 す る統 一 テ ー マ にお け る阿 部 泰 隆 教授 の 「行 政 訴 訟 の 基 本 的 欠 陥 と改 革 の 視 点 」 と題 す る報 告 等 が挙 げ られ(公 研52号(1990年)、138頁 以 下)、 そ して 、1990年 代 の 改 革 論 で は 、 行 訴 法 の 全 面 的 改 正 を要 綱 案 に よ り明 らか に して い る と捉 え られ て い る(3)。 さて 、 塩 野 は前 記 論 文 にお け る 改 正 作 業 の 流 れ を辿 る にお い て 、 「行 訴 法 改 革 の 視 点 と戦 略 」とい うフ レー ム ワー ク か ら次 の よ うに整 理 な され てい る。 ま ず 、 塩 野 は 、 改 革 の 視 点 には 大 き く分 けて 二 つ の ア プ ロー チ が あ り、 そ の 一 つ は、 現 在 の 行 政 事 件 訴 訟 法 が 、 古 典 的 な 処 分概 念 を 中心 と した もの で あ る こ と を確 認 した うえで 、 現 代 型 訴 訟 へ の 対応 如 何 とい う観 点 か ら、 行 政 事 件 訴 訟 法 の 改正 問題 を 図 ろ う とす る も の で あ り(塩 野例 示 の 雄 川 ・兼 子 ・ 塩 野 各 教 授 の 所 見)、 他 の 一 つ は 、現 在 の 行 政 事 件 訴 訟 法 を救 済 法 とい う角 度 か ら考 察 した 場 合 の 内 在 的 な 問題 点 につ き、 た と えば 、 国 民 に使 い や す い 行 政 事 件 訴 訟 法 を志 向す る とい う角 度 か ら、裁 判 管 轄 、 被 告 適 格 、 関 連 請 求 等 を と りあ げ、 解 決 策 を探 る とい う観 点 で あ る(塩 野 例 示 の 東 京 弁護 士 会試 案 ・山村 試 案 ・南 論 文 ・阿 部 論 文)、 と分 析 され て い る(4)。 そ して 、塩 野 は そ の 改革 の戦 略 と して 、概 略 す れ ば 、大 別 して三 つ で 、(A)

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個 別 方 式 、(B)行 訴 法 の部 分 的 改 正 、(C)行 訴 法 の 全 面 改 正 方 式 が あ り、 それ ぞれ に 困難 性 が あ る 、と して い る。 例 え ば 、塩 野 の言 葉 を借 りれ ば 、(A) の方 式 は 、行 訴 法 の い わ ば本 体 で は な くこれ に付 加 的 な 、 あ る い は例 外 的 な 制 度 を個 別 法 に よ っ て便 宜創 設 す る こ とで あ り、改 正 の 実 現性 は あ るが 、(注・ 土居 の付 言 に よ る 、個 別 法 に よ る対 応 は行 訴 法 に 内在 す る 問題 解 決 は で き な い とい う限界 性 が あ る か ら、や は り、本 体 的 な 制 度 改 革 を標 榜 す る とす れ ば) とい うこ とで 、 次 に 、(B)本 体 の 部 分 改 正 に つ い て は、 改 正 事 項 につ い て も、 お のず か ら熟 度 や 軽 重 の差 を つ け る こ とが で き る か ら、要 改正 事 項 の う ち 、行 訴 法 の基 本 的構 造 に 直接 関係 せ ず 、 それ と して検 討 が 可能 な も の に つ い て 、成 案 を 求 め 、 よ り根 本 的 な も の は並 行 して検 討 を進 め る とい う審 議 の あ り方 も、 可 能 な よ うに 思 わ れ る と し、(C)の 全 面 改 正 に つ い て は、 これ は形 式 よ りも 、 内容 に か か る も の で あ り、結 果 的 に は 、現 行 法 の全 面 的 改正 に ま で及 ぶ と して お られ る。 最 終 的 に は 、塩 野 は 、 これ らの 三方 式 の いず れ の採 択 か に つ い て の 明言 は 避 け られ 、 「た だ 、 こ の小 稿 で は 、 そ のす べ て に わ た る こ と を え な い の で 、 改 正 に 際 して の基 本 的前 提 事 項 、 つ ま り、 民事 訴 訟 と異 な る意 味 で の行 政 事 件 訴 訟 とは い か な る もの を指 す か 、 とい うこ とに焦 点 を しぼ っ て 問題 点 の指 摘 を して お く こ と と した い 。」 と、 この 点 に つ い て の 言 及 を締 め 括 られ て お られ る(5)。 最 後 に 、塩 野 の前 記 論 文 の 改正 前 の行 訴 法 の意 義 に つ い て の 見解 を こ こ で の ま とめ とす る。 塩 野 は 、 まず 、行 訴 法 の本 質 論 に つ き 、新 た に行 政 事 件 訴 訟 法 制 の根 幹 に か か る 法 の 改正 を試 み る とす る な らば 、行 政 訴 訟 の本 質 に 関す る検 討 が まず 行 わ な けれ ば な らな い こ とに な る。 … そ の意 味 で は、 「本 質 」 の 究 明 以 前 に む しろ 、行 政 事 件 訴 訟 と して どの よ うな訴 訟 を想 定す る か が 、 まず 、論 ぜ られ な け れ ば な らな い と解 され る と し(6)、次 に 、 公 法 上 の 当事 者 訴 訟 の 観 念 、抗 告 訴 訟 の観 念 、 取 消訴 訟 の範 囲 、 そ して 、包 括 的抗 告 訴 訟 の観 念 に つ い て検 討 を加 え て い る。 そ して 、 塩 野 は 、最 後 に 、 「行 政 事 件 訴 訟 法 の 改 正 に 際 して は 、 そ れ が制 度 化 に な じむ か ど うか は別 と して 、審 理 の あ り方 につ い て の検 討 が欠 かせ な

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い 。 具 体 的 には 、 職 権 探 知 主 義 、 挙 証 責任 、 処 分 理 由の 差 替 え等 で あ る。 こ れ ら は、 新 た に制 定 され た 行 政 手 続 法 との 関 連 で も論 ぜ られ るべ き もの で あ るが 、 これ らの 点 につ い て は 、 立 ち入 って い な い 。 そ の 意 味 で は この 小 稿 は 行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 問題 の ご と く一 部 をか い ま み た もの にす ぎな い こ と をお 断 り してお く。」 と結 ん で い る(7)。 こ の小 稿 が行 訴 法 の 全 面 的 な 改 正 論 議 で は な く、 限 定 的 な もの と管 見 して い ら し ゃ るが 、 この 玉 稿 が 提 示 した 改 正 行 訴 法 案 な る雛 型 には 、 将 来 、 制 定 ・公 布 され るで あ ろ う改 正 ・行 政 事 件 訴 訟 法 の 全 体 像 が 、 行 政 法 学 を研 究 す る者 ・一 学 徒 で もお ぼ つ か な い が 想 起 され る もの が あ る。 因 み に、 塩 野 は 、 行 訴 法 の 改 正 につ い て 、 次 の よ うに も述 べ られ て い る。 す な わ ち、 塩 野 は 、 「司法 制 度 改 革 審 議 会 意 見 陳 述 」(2000.5.30)に お け る段 階 的 改 革 に つ き、 「要 す る に行 政 事件 訴 訟 の改 革 に 当 た り、 一 挙 に 短 時 間 に解 決 す るの は な か な か 難 しい もの も あ るか も しれ な い 、 あ るい は 適 切 で な い もの も あ るか も しれ な い とい う認 識 を基 本 に置 い た もの で す 。 最 初 にふ れ ま した 私 の 『行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 論 議 管 見 』 とい う小 論 も、 こ うい った 視 点 を含 めて 書 か れ た もの で あ りま す 。 つ ま り、 国 民 の使 い 勝 手 とい う見 地 か ら、 改 善 で き る もの は 速 や か に これ を実 施 して い く。 一 方 、 行 政 訴 訟 の 基 本 的 構 造 な ど多 少 時 間 の か か る もの も休 ま ず 検 討 を進 めて い く。 と にか く検 討 を始 め る、 休 ま な い 、 とい う戦 略 で す 。 簡 単 に言 えば 、 二 段 階 方 式 、 あ るい は三 段 階 方 式 とい うも の で し ょ うか。」 とい う、 塩 野 流 の 行 訴 法 の改 正 に 際 して の 心 構 え とで もい え る ご発 言 で あ る。 さ ら に、 この 審 議 会 で の ま と め と して 、 塩 野 は 、 「最 後 に 、行 政 訴 訟 改 革 は 、行 政 改 革 の仕 上 げ の一 つ で あ る。 司 法 改 革 とい うこ とは 当審 議 会 で 行 って い るわ けで す けれ ど も、 行 政 改 革 の 一 つ で あ る とい うこ と も付 け加 えて お き た い と思 い ま す。 … 行 政 事件 訴 訟 法 の 改 正 問題 は 、 従 来 は 学 界 内 部 、 あ るい は この 問題 に関 心 を持 つ 一 部 の 弁 護 士 の 方 々 の 関 心 の 対 象 に と どま って い ま した 。 しか し、 い ま 申 しま した よ うに、 これ は 司 法 改 革 、 行 政 改 革 の 重 要 な 一 環 、 あ るい は 行 政 改 革 の 仕 上 げの 一 つ と して位 置 づ け られ るべ き もの で あ りま す 。 そ うい うこ とで 、 当審 議 会 にお か れ ま して も、 論 議 を深 め るべ く、 よ ろ し く ご議 論 を賜 りた く存 ず る次 第 で ご ざい ま す 。 … 」 と述 べ て お られ る(8)。

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さ て 、行 訴 法 の 改 正 に 向 け て の 塩 野 教 授 の 所 見 を 窺 知 で き た が 、以 下 で は 、 塩 野 教 授 以 外 の 行 訴 法 の 改 正 に つ い て の 諸 学 説 を 検 討 し て ゆ く。 【注 】 (1)塩 野 宏 「行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 論 議 管 見 」 同 『法 治 主 義 の 諸 相[行 政 法研 究 第 七 巻]』308頁 以 下 所 収,309頁 以 下 参 照(有 斐 閣2001年)。 同 論 文 の 初 出 は 、 成蹊 法 学43号,1996年 で あ る。塩 野 の 引用 に つ い て は 、『法 治 主義 の諸 相 』で行 う。 (2)同 ・前 出 注(1)309頁 。 (3)同 ・309∼310頁 。 塩 野 教 授 は1990年 代 の改 革 論 と して 、 山村恒 年 弁 護士 「行 政 争 訟 改 正 試 案 」、 東 京 弁 護 士 会 法 制 委 員 会 「行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 要 綱 試 案 (1995.3.16)を 挙 げ られ て い る。 又 、 行 訴 法 改 革 論 議 の そ の 動 因 の 主 要 な 三 点 を 挙 げ られ 、 ① 現 代 型 訴 訟 の 出 現 と現 行 法 の 限界 、② 行 訴 法 が 国 民 に と っ て の使 い勝 手 とい う観 点 か らの行 訴 法 の 問 題 性 、 ③ 行 手 法 の制 定 に 伴 う行 訴 法 の 内在 的論 点 の総 合 的検 討 、 だ と され て い る。 塩 野教 授 は 本 論 文 の 視 点 につ い て 、 行 政 事 件 訴 訟 改 革 論 議 の動 向 を前 提 と し て 、 改 革 へ の ス テ ップ を採 り、 さ らに 、 改 革 の 際 の基 本 問題 に つ い て の 若 干 の 私 見 を述 べ てみ た い 、 と述 べ られ て い る(同 ・310頁)。 (4)同 ・311頁。 (5)同 ・312頁 ∼315頁 。 塩 野教 授 は これ らの 方 式 中、 どれ が よい のか とい う明 言 は避 け て い ら っ しゃ る。 改 正 作 業 の 流 れ か ら個 別 方 式 の採 択 は な い と思 われ る が 、残 りの 二つ の 方 式 の うち 、改 正 行 訴 法 の 発 布 まで 、塩 野 教 授 が いず れ で あ っ た の か は 小 稿 も明 言 は避 け る が 、 公布 され た 改 正 行 訴 法 は全 面 的 な 行 訴 法 の改 正 で は な か っ た。 (6)塩 野 宏 「行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 論 議 管 見 」同 『法 治 主義 の諸 相[行 政 法 研 究 七 巻]』 317頁 ∼326頁 。 塩 野 教授 は 、 行 訴 法 の 本 質 論 に 二 つ あ り、 田 中博 士 の民 事 訴 訟 と行 政訴 訟 の 本 質 論 の探 究 型 と雄 川 教 授 の 現 代 型 訴 訟 の 特 色 と して の 客 観 訴 訟 化 を行 政 訴 訟 の特 色 とす る タ イ プ が あ る 旨 、述 べ られ て い る(同 ・317頁注(20))。 (7)同 ・327頁。 (8)塩 野 「司 法 の 行 政 に対 す る チ ェ ッ ク機 能 の あ り方 に つ い て 」 同 『法 治 主 義 の 諸 相[行 政 法研 究 第 七 巻]』328頁 以 下 所 収 、 特 に、344頁 ∼345頁 参 照(有 斐 閣

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2001年)。同論文の初出は、「司法制度改革審議会意見陳述」2000.5.30であ る。 ② 行 訴 法 改 正 に関 す る学 説 の 動 向 前 述 の 所 で は 、 塩 野 教 授 の 所 見 を検 証 した が 、 こ こで は 、 行 訴 法 の 改 正試 案 を示 され て い る主 な 論 者 に 目を 向 けて 、 行 訴 法 の 改 正 作 業 の 論 点 を整 理 し て み る。 そ の 後 、 次 の ③ の 所 で 、 改 正 行 訴 法 の 全 体 像 に対 し、 諸 学 説 を引 用 しなが ら、 行 政 訴 訟 改 革 の 今 現 在 の 到 達 点 を示 して ゆ く。 さて 、 こ こで 扱 う主 な 行 訴 法 の 改 正 試 案 と して 、 阿 部 泰 隆 教 授 と 山村 恒 年 弁 護 士 の 同試 案 を取 り上 げ る。 ま ず 、 阿 部 泰 隆 教 授 の1989年10月 の 日本 公 法 学 会 で の 報 告 「行 政 訴 訟 の 基 本 的 欠 陥 と改 革 の 視 点 」 か ら、 改 正 試 案 をみ て み よ う(1)。 阿 部 は、 同論 文 か ら、 行 政 救 済 制 度 が機 能 して い な い とい う前 提 で 、 現 行 法 の 運 用 と実 態 を透 視 して 、 そ の 欠 陥 を明 らか に し、 抜 本 的 な 改 革 の 方 向 づ け を示 そ うと され て い る。 従 って 、 阿 部 は 同 論 文 中、 行 政 救 済 制 度 の機 能 に つ い て 、 … そ もそ も訴 訟 を起 こせ な い よ うに、 起 こ して も勝 ち に くい よ うに仕 組 ま れ て い る とい う見 方 も十 分 成 り立 つ とい う見解 に基 づ き、 そ の よ うな 見 方 の 側 面 につ い て 日本 の 社 会 的 要 因 と制 度 的 要 因 を分 析 し、 そ の 上 で 制 度 の 改 革 の 提 案 に及 ぼ うとす る 旨、 説 示 な され て い る(2)。 因 み に、 同論 文 の 内 容 は 、1・ 現 代 法 の 基 本 的 シス テ ム 、2・ 裁 判 官 の 特 殊 な思 考 、3・ 行 政 訴 訟 不活 発 の原 因 、4・ 行 訴 法 改 革 の提 案 とな っ てい る。 そ の うち 、 阿 部 の 提 示 す る行 訴 法 改 革 の提 案 に よれ ば 、 「法 的 判 断 が 可 能 な 行 政 活 動 に よ り特 別 の 不 利 益 を受 けた 者 には 速 や か に本 案 審 理 の機 会 を与 え るべ きで あ る。 そ の た めの 障 害 物 は な るべ く除 くべ きで あ る。 司 法 審 査 に 伴 う リス クな り負 担 を原 告 に課 さな い よ うにす べ きで あ る。 行 政 の 適 正 な 運 営 は 、本 案 で 裁 量 を侵 害 しな けれ ば 確 保 で き る。」 と述 べ られ(3)、 さ らに 、 そ の 他 の 行 訴 法 の 改 革 案 と して 、(a)原 告 適 格 、(b)訴 訟 類 型 と処 分 性 、(c) 司 法 審 査 の 範 囲 、(d)仮 救 済 、(e)三 面 紛 争 、 多 面 紛 争 の 特 色 を挙 げ られ て い るが 、 これ らの 点 を約 言 す る と以 下 の よ うに整 理 で き る。 阿 部 は 、 ま ず 、(a)原 告 適 格 につ い て は 、 従 来 の判 例 は 主 観 的 利 益 を狭 く解 しす ぎで あ る と し、 ま た 、 原 告 適 格 の 有 無 の 判 定 基 準 を制 定 法 に準 拠 す る傾 向へ の批 判 を 行 い(4)、(b)訴 訟 類 型 と処 分 性 につ い て は 、処 分 性 を残

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す 改革 と抜 本 改革 に 区分 して論 じ、 と りわ け 、抜 本 改革 に つ い て は 、公 権 力 概 念 を 廃 止 す べ き で 、公 定 力 が あ る か ら抗 告 訴 訟 の 対 象 とな る の で は な く、 公 定力 の議 論 はや め る べ き で あ る と、他 に は あ ま り窺 知 しえ な い考 え を示 さ れ 、 さ らに 、公 権 力 の観 念 の無 意 味 さを徹 底 す る と、 民事 訴 訟 と抗 告 訴 訟 の 区別 の廃 止 が必 要 で あ る とも 断 じ られ て い る(5)。 次 に 、(c)司 法 審 査 の範 囲 に お い て は 、行 政 訴 訟 を担 当す る専 門 の部 局 で あ る 、行 政 専 門部 を増 設 す べ き 改革 案 と、原 発 訴 訟 な どの未 来 予 測 型 の科 学 裁 判 の制 度 改 革 を提 案 な され て い る。 そ して 、(d)仮 救 済 に 際 して は 、 仮 命 令 の必 要 性 を説 かれ 、義 務 づ け訴 訟 を本 案 訴 訟 とす る仮 命 令 の例 を挙 げ られ(執 行 停 止 は役 に 立 た な い か ら)、 又 、即 時 執 行 力 の制 限 に伴 う、 執 行 停 止 命 令 を含 め た救 済 手段 の有 用 性 も挙 げ られ て い る(6)。 最 後 に、(e)三 面 紛 争 、 多 面紛 争 の特 色 で は 、 反 対 利 害 関係 人 へ の効 力 の 問題(「 訴 訟 参加 させ る こ とが で き る」 を 「訴 訟 参 加 の機 会 を 与 え な けれ ば な らな い 」 にす る。)、対 世 効 の 問題(多 数 人 に利 害 関係 が あ る行 政 決 定 に つ い て の 判 決 の効 力)、 用 途 地 域 の 訴 訟(全 員 が 訴 訟 に参 加 して 、 一 挙 に解 決 す べ き で あ る。)、同一 のパ イ を争 う訴 訟(区 画 整 理 ・土地 改 良 ・都 市再 開 発 に 関す る訴 訟 で は 、 な る べ く事 前 手続 を 強化 して 、裁 判 所 の審 理 を容 易 に す る。)に つ い て 、 そ れ ぞ れ 改 革 案 を示 され て い る(7)。 さて 、 以 上 の よ うな 阿部 の 主 張 な され る行 訴 法 改革 の提 案 の 「むす び(改 革 実 現 の 戦 略)」 にお い て 、 阿部 は 、 三 つ の 改 革 実 現 の た め の 戦 略 を示 して い る の で 、簡 潔 に整 理 して み る。 第 一 点 は 、法 改正 の担 当者 は法 務 省 か ら独 立 した組 織 にす べ き こ と、第 二 点 は 、 人 事 の 改 善 、 と りわ け、 最 高 裁 判 事 の 任 命 方 法 の 改 善 だ と、最 後 に 、 第 三 点 は 、外 圧 に よ る 日本 の 司法 制 度 の機 能 化(筆 者 注 ・シ ニ カル な表 現 と して)で あ る 旨 、述 べ られ て い る(8)。 この 阿部 の提 案 は 、論 者 に よ りい ろ い ろ な評 価 が あ る で あ ろ うが 、 阿部 教 授 独 特 の表 現 に圧 倒 され る が 、正 鵠 を射 て る部 分 も 多 々 あ る と思 う。 す な わ ち 、従 来 の行 政 事 件 に お い て 下 され る最 高裁 判 所 の判 決 の論 理 に対 して 、学 説 は ふ と立 ち止 ま り、行 訴 法 の該 当条 文 を何 度 も読 み返 し、 首 を ひ ね っ た も の で あ ろ うか。 か か る 心情 か ら現 行 行 訴 法 を捉 え 直 した場 合 、行 訴 法 改革 案

参照

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