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住民参加の地域振興計画と社会教育―鹿児島県川辺町の事例をとおして―

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(1)

町の事例をとおして―

著者

神田 嘉延

雑誌名

鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要

8

ページ

1-17

別言語のタイトル

The scheme Community Development by

participation of inhabitant and Adult

Education―by Way of Example Kawanabe-cho,

Kagoshima Prefecture―

(2)

住民参加の地域振興計画と社会教育

− 鹿 児 島 県 川 辺 町 の 事 例 を と お し て −

神 田 嘉 延 鹿 児 島 大 学 教 育 学 部 教 育 実 践 研 究 紀 要 第 8 巻 抜 刷 1998年11月

(3)

一鹿児島県川辺町の事例をとおして−

TheschemeCommunityDevelpmentbyparticipationofinhabitant

andAduItEducation -byWayofExampleKawanabe-tyou,KagoshimaPrefecuture-神 田 嘉 延 難 (YoshinobuKANDA)

キーワード:住民参加、ボランティア、まちづくり、機能グループ、地域教育

目 次 序 課 題 と 方 法 第1章川辺町の地域的特徴と90年代の地域づくり (1)川辺町の産業構造の特徴 (2)川辺町の自治公民館と第2次地域振興計画 (1990年) (3)川辺町での目的別の機能グループ活動 (4)90年代以降川辺町の地域開発の特徴 第2章住民参加の川辺町まちづくり委員会の特徴 (1)住民参加の地域振興計画づくりに至った経過 (2)ボランティア方式のまちづくり委員と自治公 民館ではない地理的・機能的地域設定 (3)町外者もまちづくり委員に公募させた評価 (4)条例での総合振興計画審議会とまちづくり委 員会との関係 (5)まちづくり委員会の活動と地域振興計画づく り 第3章J1│辺町総合振興計画と住民の自治体への 要求の特徴 (1)まちづくりについての全町民のアンケート結 果の特徴 (2)アンケートでの自由記述による町への意見・ 要望 (3)環境問題に対する町民の厳しい町への意見・ 要望 (4)アンケートからみる町行政に対する町民の意 見・要望 (5)第3次川辺町総合振興計画の特徴 *鹿児島大学教育学部学校教育(教育学) −.1 ま と め 序 課 題 と 方 法 (1)地方自治体における住民参加論 本稿は、鹿児島県川辺町の住民参加の総合振興 計画の策定過程から住民の直接参加の権利問題を 明らかにするものである。 住民参加の総合振興計画は、自治体における基 本計画を参加民主主義のなかでつくっていくとい うことで、注目するところである。この参加民主 主義は、住民自身が自治体の主人公になっていく という行政の意志決定過程に直接参加していくと いうことである。従前の選挙によっての市町村 長、議員を選んでいくということと直接請求とい う住民の権利を行使する方法とは異なるものであ る。 沖縄の那覇市役所の横山芳春は、第3次総合計 画の地区ごとのまちづくり提案のつみあげを強調 する。そして、那覇市全体の振興計画をつくって いくことの意義を問題提起している。町内会の加 入率は3割弱という地縁組織が強固でない那覇市 で、25の地区にわけての地区ビジョンづくりを市 民主導で地域振興計画づくりをしていることをあ げている。このことによって、行政主導の基本計 画から市民の自立的活動へ少しづっの移動が起き ていることを松本氏は、評価する。(1) 川辺町のまちづくり委員会は、農村型の地縁組 織に依存しないで、自由なる公募によっているこ とが特徴である。これは、町内会.部落会・自治 公民館などの地縁組織から離れて、地域を自然条 件によって4つに分けて展開したことに特徴があ

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) る。川辺町には25の地域に自治公民館が組織さ れ、従前は町行政において、この地縁組織が行政 の施策を浸透したり、税金などの公租・公課の徴 収の機能として大きな役割を果たしていたのであ る。川辺町の住民参加の振興計画は、農村型の地 縁組織から自由なる市民型の自発的意志に基づく ものであり、農村の新たな動きとしてみることが できる。 宮本憲一氏は、1970年代の革新自治体の衰退の ひとつの要因として、ニューヨークのコミュニテ ィ委員会、イタリアの地区住民評議会などの住民 参加の制度が成熟されなかったことをあげてい る。(2)70年代から全国的に展開されていく住民 参加の方式は、地域民主主義の発展と結びついて いかなかったと住民参加方式が行政の補助機能と しての地縁組織に依存しての行政下請け的な、ま たは、行政施策の動員主義に多くの地域が利用さ れたとしている。 土岐寛氏は、今日でも市民参加に対する自治体 首長、行政当局のスタンスが依然として決定因子 となっているとして、いわゆる旧中間層や行政補 助代表者などが中心の行政主導型市民参加方式が 過半を占めているのが現実としている。 「市民参加はすでに行政市民関係において確固 とした市民権を得ており、すべての行政の前提に 市民参加が存在しているといっても過言ではな い。とくに市町村総合計画等の策定課程における 市民参加は、不可欠となっている」とのべる。そ して、計画策定過程における市民参加のモデルと して、武蔵野市、いわき市、三浦市、三鷹市、北 九州市、諏訪市の事例を紹介している。市民参加 方式の評価は、「現実に実行性のあるシステムが 用意され、機能しているか。市民参加の諸方式 が、地域の事情を配慮した有効な手段となってい るかがとわれる。市民が参加しやすいものになっ ているかがとわれる」として事例分析から市民参 加の内実のための条件を示し、あたらしい市民参 加体制の整備の必要性を問題提起する。(3) 現代農村の町村における住民参加民主主義の起 きてくる背景は、リゾート・観光開発、大型施設 づくりなどの公共事業中心に問題がある。地域の 環境破壊が生まれる。財政の赤字は福祉・教育な 2 どが削減がされる。地域生活権をめぐって住民と 行政の矛盾が大きくなってく。 地方分権や財政構造改革行政が問題になってく る自治体の矛盾も公共事業開発による地方行政財 政の赤字構造の矛盾が根底にある。住民の参加民 主主義は、より地域生活権をめぐっての地方自治 体行政への住民の直接意志の反映要求である。住 民参加の地域振興計画の起きてくる背景は、住民 の生活権をめぐっての自治体の矛盾構造のなかで とらえる必要がある。 ここでは、1990年代の中央集権的な補助金・行 政指導によるゼネコン型の地方の開発に対する住 民の環境保全、福祉、地域経済の発展という変革 要求が含まれているのである。 地域振興計画における住民参加問題は、住民の 生活権をめぐってのゼネコン型の公共事業との対 抗関係があることを見落としてはならない。した がって、住民参加が住民との関係で内容論的に民 主主義的な機能を果たしていくのは、住民参加と いう手続きの問題に本質論があるのではなく、地 域の公共の福祉、生活権をめぐっての住民主体の 自治体行政施策になっているかという問題が重要 である。この限りにおいて、住民の地域生活権的 要求が地域振興計画過程のなかで十分にとりあげ ていく方法論が大切なのである。 (2)川辺町の総合振興計画づくりにおける住民参 加 の 課 題 、 川辺町の98年度からスタートする第3次総合振 興計画は、住民からのボランティア参加を中心と するまちづくり委員を主体に住民参加による地域 総合振興の基本構想をつくったところに特色があ る。 住民参加の地域総合振興計画づくりを地方自治 体の行政分野における住民の意見・要求の反映の しくみとして、自治体における住民の政策決定に 直接的に参加していく過程として問題にしていく ものである。それは、行政施策の合意や動員のた めの住民参加ということではなく、地域における 住民の権利という視点から住民の参加問題を明ら かにするものである。 総合振興計画は、地方自治法によって、規定さ れている基本構想であり、川辺町の10年間の地域

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振興計画である。「市町村は、その事務を処理す るにあたっては、議会の議決を経てその地域にお ける総合的かつ計画的な行政の運営を図るための 基本構想を定め、これに即して行わなければなら ない」という地方自治法の規定に基づいて川辺町 では、第3次の総合振興計画を第2次の期限を残 しているが、98年度より、新たに10年計画を定め たものであった。 住民参加の地域振興計画の策定過程において、 川辺町は、従前の自治公民館・区会に依存しての 住民代表参加ではなく、その自治公民館の24の区 域とは全く別の自然的な地理条件にあわせて4地 域を設定して、住民のボランティアを積極的に利 用しての地域振興計画を作成していったのであ る。その中心主体になったのが住民の自由意志か らの公募に応じたまちづくり委員である。 それは、地域を広い地域に設定した。このこと は、地域エゴの代表者ではなく、川辺町の将来を 大局的に考え、自発的意識による自由なる住民参 加方式のまちづくりをしたである。これは、自治 公民館・区会が大きな障害になるという考えから である。 川辺町は、すでに総合振興計画を平成8年度か ら平成12年度として、1996年3月に策定している が、この基本計画は、住民の英知を結集して、み んなでつくったものではなく、コンサルタントに よる地域総合基本計画であるとして、住民参加の 地域振興計画をつくりなおすということが、1997 年2月から始められたのである。 この住民参加の地域振興計画の作り直しは、97 年1月の町長選挙によって、町長が交代したため であった。前町長に対して、新町長が住民参加に よる総合振興計画の策定を選挙政策としてかかげ て当選したためである。新町長は、当選後、約1 年間をかけて住民参加による地域総合振興計画を 町民とともにつくりあげていくのである。 住民参加のまちづくりの中心になったまちづく り委員は、従前のように自治公民館長や区長によ る地縁組織からの代表者ではなく、自由な公募に よって、住民の希望者みんなをまちづくり委員に するという方法をとったのである。 それは、町民からのボランティアによる参加で あった。川辺町は、農業と仏壇づくりのまちで、 伝統的な地縁組織に依存した自治公民館・区会に よる影響の強い地域であった。しかし、それに、 依存しないで、町民の自発的意志を尊重しての公 募によるボランティアでの住民参加の形態をとっ たことが、川辺町の住民参加のまちづくりの特徴 である。 この農村部の多くをかかえる川辺町の住民参加 による地域振興計画は、町議会によっても可決さ れ、98年から正式の振興計画としてスタートして いる。この計画の実施はこれからであり、前町長 からの赤字財政の問題をどう克服していくかとい う重要課題もあり、住民参加による地域振興計画 の具体化には様々な問題も数多くある。 したがって、この住民参加の振興計画の具体化 には、さらに、従前の行政施策との関係での転換 と綴密な施策が必要である。川辺町の住民参加の 地域振興計画の具体的な評価はこれからである。 その意味で、本論は、住民参加の地域振興計画 の策定過程とその特徴に絞って、問題を整理する ことにとどめておきたい。住民参加の地域振興づ くりについての具体的な分析は、時期を経過して あらためて明らかにする予定である。

第1章川辺町の地域的特徴と90年代の地

域づくり (1)川辺町の産業構造の特徴 川辺町は、仏壇と農業の地である。人口は、 16,081人(国勢調査95年)であるが、表(1)に示 すとおり、60歳以下の人口は減少し、60歳以上の 人口が増大し、高齢化が急速に進んでいる。川辺 町は伝統的に仏壇製造が大きな地域産業であっ た。表(2)に示すとおり、川辺町の事業所で働 く、6,151人のうち、製造業が2,086人占めてい る。卸小売業は、1,066人、サービス業1,639人、 建設業798人である。事務所統計において、製造 業の比率を高くしているのが理解できよう。これ は、200を越す仏壇に関する伝統的な製造工業の 位置が大きいためである。 川辺町は、800年の歴史をもつ伝統的な高度の 仏壇の職人集団の町でもある。それは、木地製造 から彫刻、宮殿製造、金具製造、塗装、蒔絵、金 − 3 −

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(2)川辺町の自治公民館と第2次地域振興計画 (1990年) 川辺町には、地縁組織としての24の自治公民館 がある、大字は、17であるが、地域によっては、 2つに分けているとろこがあるため。自治公民館 表(1)年齢別人口 箔押しなどの地域内分業に支えられての精巧な技 術をもった高度の伝統的職人集団である。 近年では、仏壇づくりの彫金技術を生かして装 飾工芸製品づくりに挑む仏壇製造業者がでてきて いる。仏壇製造の伝統技術には、美術工芸品的な 恨晒がそれぞれの過程に含んでいる。彫金レリー フ、装飾品、装身具などの芸術品として、展示館 をつくりだしている仏壇製造業者もあらわれてい る。仏壇製造業者は、地域の芸術集団でもあり、 地域の文化性もつくりだしている。 川辺町の農業は、藤野原台地に和牛肥育、養 鶏、酪農の畜産団地を形成し、メロン、レタス、 電照菊、茶、たばこw甘藷などの産地になってい る。農家数1,863戸のうち販売している農家数 は、1,081戸である。このうち専業農家396戸、第 1種兼業223戸、第2種兼業462戸で、販売金額別 の戸数の割合は、表(3)に示すとおり、100万未満 農家522戸、100-300万農家115戸、300-500万農 家47戸、500-700万の農家23戸、700-1,000万23 戸、1,000万を越える農家45戸となっている。 (単位:人、パーセント) 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) 資料:国勢調査 表(2)産業大分類別事業所数及び従業者数 (各年7月1日現在) 産 業 大 分 類 事 業 所 数 昭和56年 昭和61年 平成3年 平成8年 従 業 者 数 ( 人 ) 昭和56年 昭和61年 平成3年 平成8年 総 数 1,221 1,102 1,061 986 5,883 5,728 6,186 6,151 農 林 水 産 業 9 7 11 7 131 99 82 58 鉱 業 1 0 0 0 2 0 0 0 建 設 業 136 130 124 108 857 718 795 798 製 造 業 364 318 289 283 1,933 2,110 2,182 2,086 卸 ・ ノ 1、 売 業 444 383 343 308 1,154 1,078 1,056 1,066 金 融 ・ 保 険 業 8 6 9 8 119 60 76 118 不 動 産 業 3 2 4 4 4 3 5 5 運 輸 ・ 通 信 業 13 11 14 13 127 106 123 132 電気・ガス・水道業 4 3 3 2 21 10 18 7 サ 一 ビ ス 業 229 232 254 243 1,279 1,343 1,636 1,639 公 務 10 10 10 10 256 、 2 0 1 213 242 区 分 平 成 7 年 実 数 構成比 伸び率(S45∼H7) 川辺町 鹿児島県 0∼4歳 716 4.5 △46.2 △28.6 5∼9 841 5.2 △53.5 △30.4 10∼14 1,008 6.3 △58.8 △35.0 15∼19 798 5.0 △54.6 △23.5 20∼24 520 3.2 △28.8 △7.7 25∼29 633 3.9 △7.7 △0.6 30∼34 696 4.3 △26.7 △4.8 35∼39 945 5.9 △24.5 △6.6 40∼44 1,051 6.5 △29.5 5.2 45∼49 947 5.9 △34.0 16.2 50∼54 872 5.4 △32.5 6.0 55∼59 1,045 6.5 △9.8 22.1 60∼64 1,261 7.9 18.3 55.6 65∼69 1,419 8.8 37.6 79.1 70∼74 1,263 7.9 63.8 84.8 75∼79 941 5.8 108.2 103.1 80∼84 623 3.9 160.0 160.0 85∼89 338 2.1 204.585才以上 90∼ 164 1.0 530.8 262.5 年 齢 不 詳 0 0 計 16,081 100 △19.7 3.8 老 齢 化 指 数 29.5 人 口 扶 養 率

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表(3)販売農家の収入別農家数 販売総農数 50万未 50∼100未 100∼200未 200∼300未 300∼500未 500∼700未 700∼1000未 1000∼ 1,081 624 142 72 の館をもっていない地域は、2ケ所ある。公民館 の基準の330平方メートル以上の面積をもつ自治 公民館は、3つ存在する。 1990年に川辺町第2次総合振興計画が出発し、 「住民の手による住みよいまちづくりの実現とし て、人づくりを基本に、住民の自発的な地域づく り参加と住民の地域の自然と歴史の価値の再認識 の啓発として、あらたな地域づくりにとりくんで いくのである」。振興計画では、人づくりと地域 ふれあい機能の充実をとくに強化すべきこととし ている。そのことを振興計画では次のようにのべ ている。 「川辺町ならではの心あたたまる人づくりと地 域社会づくりに努める。このことは、町民自らが 支える魅力ある地域づくりを目指し、地域におけ る学習活動や各種コミュニティ活動、高齢化社会 に対応した地域福祉の充実、さらには地域・国際 交流を展望することであり、地域がもっている 様々な潜在力を発見・育成しつつ、自助能力の高 い地域社会を築いていくことである」「農業や地 場産業などの積極的な振興に努めながら、新規企 業の導入や自然環境を生かした観光レクレーショ ン機能の育成など多面的な努力をする」というこ とで、地域住民の啓発ということからの社会教育 活動の重視、住民参加の地域づくりを強調する。 その大きなねらいには、観光レクレーション拠点 形成にむけて地域資源の活用の施策がある。 そして、90年代にも多くの自治公民館の施設が 整備していったのも特徴である。90年4館、91年 4館、92年1館、93年1館とつくられていく。そ の館の名称も地域の公民館というだけではなく、 広報研修館、研修館などとなっている。自治公民 館は、住民によって管理されており、専任の館長 がおかれているところが、24のうち16自治公民館 である。 町行政の連絡委員を兼ねている自治公民館長は、 5 43 47 23 23 45 95年農業センサス 8人である。自治公民館長の報酬は、10万以上8 人、8−10万1人、6万−8万2人、4万−6万 2人、4万以下11人である。 また、条例の町立公民館は中央公民館と勝目地 区に分館が設置されている。公民館類似施設とし ては、コミュニティセンターが町の文化会館とし て利用されている。このコミュニティセンター は、1986年に建設された文化ホール的な側面をも った8,869平方メートルの面積をもち、880人が収 容できるホールを中心に、研修室、創作活動室な どが設けられた文化施設である。 (3)川辺町での目的別の機能グループ活動 地縁組織と対称的に、町内に様々なグループ組 織が80年代後半から生まれてきているのも特徴で ある。地域婦人会はなくなり、地域青年団も25人 (97年)と会員の数も少なくなっている。 この反面、文化協会には、37団体で1,016人の 会員数があり、社会教育講座も自主講座が51学 級・受講生13,216人とその参加者数も公立公民館 が主催運営する青年学級1.受講生49人、婦人学 級3.受講生244人、家庭学級8.受講生2,111 人、高齢者学級4.受講生・’’677人の講座より も大きな数になっている。自治公民館での講座数 も24講座・3,887人の受講生を数えている。 (96年度)。 住民が自主的につくった文化団体として川辺フ ィルハーモニー管弦楽団とそれを支援する組織と しての川辺楽友協会がある。1993年川辺高校の オーケストラOBなど町民有志が集まって結成さ れたものである。年に2回の演奏会を軸に活動を 展開している。管弦楽教室を開き、人材を育成し ながらのオーケストラの町づくりである。 川辺と世界を結ぶ会は、1985年に結成され、ア ジアの留学生を町内に受け入れて交流する活動と タイの農村にスタディツアーする研修などを実施

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) している。また、1990年には、川辺町の地域づく りのキーパンソンの育成のために町内に住所をも つ20歳から39歳の層を対象にしたかわなくぼつけ もん塾が官民ぐるみでつくられたのである。(4) (4)90年代以降川辺町の地域開発の特徴 90年以降の地域開発の大きな事業は、高さ 20メートル、幅400メートルにわたってつくられ てきた磨崖仏のある地域の公園化であった。それ は、岩屋公園として整備されていった。清水磨崖 仏の岩屋公園の建設では、欄間や蒔絵などをふん だんに使った豪華な桜の屋形(1994年)が象徴的 であった。二連式アーチの平安橋(1991年)、日 本庭園・菖蒲園・三連水車(1992年)、ステージ 広場・清流の杜ふれあい館・豪華ロッジ(1995 年)など川辺町のレジャー基地をつくりあげてい ったのである。 さらに、西日本一の規模をほこる8ヘクタール の広さの森林馬事公苑、オートキャンプ場の森の かわなべが97年に完成し、アウトドア派をねらっ た観光施設が積極的につくられていくのである。 さらに、ふれあいセンターとして、気泡湯、浮き 風呂、うたせ湯などの10種類の浴場やサウナなど を楽しめる施設がつくられる(1995年)。 以上のような観光客の誘致によって地域を活性 しようとする地域づくりであったが、公共事業の 大きな財政負担も同時にともなっていくのであ る。川辺町は1996年度の町財政の支出の性質別決 算で、普通建設事業費が25.4%、公債費の返済が 13.6%を占めて公共事業に大きな町財政のウエイ ト に な る 。 . 1990年以降の第2次総合振興計画から大型の公 共事業が町内で進んでいったのも特徴である。町 財政の歳入における公債の比率は、14.9%と町の 財政収入における公債の位置も大きくなっていっ たのである。 第 2 章 住 民 参 加 の 川 辺 町 ま ち づ く り 委 員 会の特徴 (1)住民参加の地域振興計画づくりに至った経過 1996年3月に制定された川辺町まちづくり計画 (第2次総合振興計画後期基本計画・平成8年度 一平成12年度)は、役場の各課調整と4つの専門 部会協議によってつくられていったのである。 4つの専門部会は、教育・文化、健康・福祉、 産業、生活環境からなっていた。専門部会ごとに まとめられ、川辺町をどのような地域にしていく かという基本的な理念ぬきに、また具体的な住民 の要求にそって、住民自身が主体的に参加した総 合基本計画ではなかったということである。 従前の川辺町総合振興計画の策定は、コンサル タントへの調査委託を行い、住民の説明も自治公 民館単位の地域懇談会で実施されていた。97年1 月の町長選挙では、元校長をしていた教育委員会 出身の現職は、自分が中心となってつくった現在 進行中の第2次総合振興計画の実現を前面にだし て、町政の継続を強調したが落選する。 新人の町長候補は、現町長に不満をもつ町民に おされて出馬し、徹底した現職批判と21世紀の長 期ビジョンを町民とともにつくると選挙公約して 当選する。「町政が町民と向き合わず背中を向け ていた。だから地域が低迷した。町政は町民のた めであるとの基本理念で、新しい町政を進める」 (南日本新聞97年1月20日、新町長の横顔)。 新町長の誕生によって、前町長時代につくった 第2次総合振興計画後期基本計画が1年しか経過 していないのに、見直しを行うのである。それも 従前の地域振興基本計画のつくり方と全く異なる 方法による振興計画づくりである。従前も地域住 民参加という方法を強調していたが、それは、自 治公民館に依存した地域懇談会によっての住民参 加であった。 町長就任の広報では、川辺町の財政再建を平成 9年度から実施するということとあらたな長期ビ ジョンを町民の意見を聞きながらつくるとあいさ つをしている。川辺町の自由公募による委員方式 の住民参加の総合振興計画は、新町長の前町長の 徹底した批判のなかから、うまれたものである。 それは、新町長が選挙に当選した結果としての大 きな町政転換のなかで生まれたものである。 (2)ボランティア方式のまちづくり委員と自治公 民館ではない地理的・機能的地域設定 まちづくり委員は、町民からの公募によるボラ − 6 −

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ンティア方式で、42名が応募し、4地域から2名 の地域専門委員、5つの部会から2名ずつの10名 の部会専門委員、総合部会3名、プロジェクト委 員20名、合計83名で町づくり委員会を正式に97年 5月30日に発足している。 ボランティアとして応募した42名の川辺町総合 振興計画地域委員は、北西部地域5名、北東部地 域6名、中央部地域23名、南部地域2名、町外6 名となっている。 地域を4つに分けた基準は、標高差や道路、自 然条件、施設等によって検討していった。このた め、校区や自治公民館の範域を考慮せずに、場合 によっては、かつての大字の範域を別々の地域に している。この4地域の特徴について、まちづく り委員会をつくっていくうえで、町長をはじめ町 行政の各課長以上で構成する総合振興計画の策定 委員会は、次のように説明している。 北東部地域は、国道225号を基軸とした交通網 が整備されており、鹿児島市の通勤圏内にある。 また、馬事公苑・オートキャンプ森のかわなべ、 岩屋公園等の観光施設があり、観光拠点としての 可能性がある。 北西部は、鹿児島市に隣接する農林業中心の地 区であり、集落が点在している。今後、川辺ダ ム・南薩縦貫道が完成すると自然を生かした観 光・住宅施策展開の可能性がある。また、この地 区は川辺町の水源地として自然保全地区の検討も, 必要である。 中部地域は、本町の人口集中地区として住宅街 を形成している。地場産業の仏壇業が主に展開し ている地域である。そして、商店街や行政機能が 集中している地区である。 南部地域は、恵まれた自然を生かした農林業中 心の地域である。国道225号を基幹道路として、 枕崎市・知覧町と隣接している。また、集落は点 在型である。自然を生かした地域間交流による支 援人口増の可能もある。 この4つの地域区分の基準で国道225号や縦貫 道路完成を想定したことが大きく、鹿児島市など の関係や自然を生かした観光地域開発との視点が 重要な地域区分の基準になっている。この意味か ら自然的条件を生かした地域づくりが大切な課題 − 7 となるのである。 図(1)に示すように、その後に、まちづくり委 員会は、104名の委員によって、構成されている が、地域を自然的地理条件で4つに区分けしたた

め、従前の校区や自治公民館から人数を配分する

ことなく、委員が出ている。とくに、川辺町出身 者の町外からも積極的にボランティアで委員にな っている。 まちづくり委員のボランティア参加者で大きな 役割を果たしたのは、1990年から町民の若い層を 対象にして行ってきた地域づくりのためのぼつけ もん塾である。この意味でまちづくりボランティ アの大きな力になっているのは、ぼつけもん塾の 組織であるということでもある。 専門部会は、産業、環境、福祉、保健、教育、 文化、計画推進の5部会である。まちづくり地域 専門委員も30代後半から40代の層が担っている。 まちづくりの専門部会も行政や教育との関係を除 いて、20代から40代の層によって、構成されてい る。まちづくり部会の専門委員のなかに、川辺町 出身の鹿児島市在住者を選んでいる。 (3)町外者もまちづくり委員に公募させた評価 川辺町の総合振興計画委員として、川辺町を出 ていった町外者の意見を積極的にとりいれていこ うとすることは、川辺町を町外の目からみていこ うとすることで、地域閉鎖性の克服から大いに意 味のあることである。それは、広く都市と農村と の視点や町を越えた広域的な生活圏からみていこ うとする姿勢である。 このことが実際に町内で生活し、労働し、町民 税を払って、自治体から日常的に直接的に公共 サービスを受ける町民の公共の福祉向上という川 辺町住民の生活権との関係をもっているというこ との基本的なことを軽視することではない。つま り、町外の人をまちづくり委員会に参加させてい くという位置づけが大きな意味をもっているので ある。この問題について、具体的に、どのように なっているのか興味ある問題であるが、町外者の 委員としての役割が特別に規定されているわけで はない。 住民参加の総合振興計画づくりということで、

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住民ということを出身者までも位置づけていくと いうことは、その自治体に居住する住民というこ ととは解釈が異なるのである。地方自治法第10条 の住民の意義、権利義務という「その属する普通 地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利を 有し、その負担を分担する義務を負う」という、 その市町村に居住する住民ではないことはいうま でもない。 住民参加は、地方自治体の政策決定過程に住民 の意見・要求を直接反映させていくという直接民 主主義という住民の権利である。戦後民主主義の 地方自治の原則からは、住民の権利を尊重するた めの住民参加であり、行政の施策の住民動員のた めのものでないことはいうまでもない。 住民の権利ということからの参加民主主義の基 本原則をふまえたうえで、町外者の意見を積極的 に取り入れていく姿勢は、川辺町のよさ、問題点 をより客観的にみていくうえで重要なことであ る。町外者のまちづくり委員は、関東川辺会、鹿 図表(1)総合振興計画策定体系図 (4)条例での総合振興計画審議会とまちづくり委 員会との関係 川辺町の総合振興計画策定のための「川辺町総 合振興計画審議会」の条例は、町長が任命する委 員20名によって構成されている。町議会委員2 名、教育委員会の委員1名、農業委員会の委員’ 名、各種団体11名、学識経験者5名。各種団体の 代表は、農業協同組合長、森林組合長、商工会 長、仏壇協同組合長、青年団長、婦人会連絡協議 会会長、老人クラブ会長、自治公民館連絡協議会 会長、社会福祉協議会会長、民生委員代表、文化 財保護審議会会長である。 各種団体は町内に存在する各層、各職種の団体 を網羅したものである。それぞれの年齢層、女性 層、各種の経済団体、社会的な地域組織の意見や 要求を網羅しているものである。 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) 児島市川辺会、知覧町、金峰町から公募に応じて いる。 8 総合 プロ ジェクトチ

振興計画

|策 ム 定 (役場内)

↑↑|↑↑

芸匡

辰寺

F

唾 垂

総 合 部 門 専 門 委 員 会 部 門 別 専 門 委 員 会 地 域 専 門 委 員 会 町民からのボランティア参加者 (町民・ぼっけん塾生・町出身者) 役役長長長 策定委員会入育課局 助収教各各 町長・助役・収入役・教育長 川 辺 町 総 合 振 興 計 画 審 議 会

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この審議会が「町長の諮問に応じて総合振興計 画の策定及びその他その実施に関し、必要な調査 及び審議を行う」としているが、第3次の川辺町 総合振興計画の策定では、前記の図表(1)にみら れるように、審議会が中心ではなく、住民のボラ ンティアなどによるまちづくり委員会が実質的に 総合振興計画の原案をつくり、その原案を審議会 に諮問・答申して、議会に提出するという方法 で、審議会は1日で終わっている。 各層、各種の地域団体から網羅主義的に意見・ 要求を出し合って総合振興計画の問題を深めてい く方法ではなく、実質的に町長の諮問に応じて機 敏に機能していくまちづくり委員会の方法をとっ たのである。 この意味で、審議会は全くの形式的な存在でし かないのである。この限りでは、各種団体の代表 が大きな位置を占めている総合振興計画審議会が 形骸化していたとみるべきである。 (5)まちづくり委員会の活動と地域振興計画づく り まちづくり委員会は、発足してから4つの地域 で分かれて地域別まちづくり委員会が行われ、97 年の5月30日の発足から翌年の2月まで地域別の 委員会が開かれている。北東部まちづくり委員会 は、12回で延べ179人の参加。北西部まちづくり 委員会は、12回で延べ133人の参加。中央部産業 まちづくり委員会は、7回で116人。中央部教育 まちづくり委員会は、8回で延べ96人。南部まち づくり委員会は、8回で延べ85人となっている。 中央まちづくり委員会は、産業と教育とにわか れて委員会を行っている。地域別のまちづくり委 員会は、47回で延べ609人の参加で地域別の基本 構想が練られたのである。それぞれの地域から地 域振興提言書がつくられたのである。 5つの部門別まちづくり委員会は、各地域から あがってきた提言書と行政の各課からの計画案を あわせて、部門別の基本構想をつくっていった。 さらに、まちづくり委員とは別に33名のプロジェ クト委員を97年6月11日に交付している。 この委員は、行政職員による専門部会であり、 まちづくりの専門部会と地域別まちづくり委員会 − 9 にそれぞれがはりつけられたのである。プロジェ クト委員は、地域の特徴や大切なものをひきだす ために各地域にはりつくことが仕事とされてい る。 そして、部門別リーダーを決め定期的に打ち合 わせを実施し、部門別の基礎資料の提供を求めて いる。そして、プロジェクト委員によるチーム は、アンケートの作成と実施、各種のインタビ ューの実施、基本計画の素案づくり、アンケート の集計、インタビューのまとめなどの作業等多く の仕事が課せられているのである。住民参加の総 合振興計画の策定における町の職員の専門的な協 力によって、住民からの公募によるボランティア 中心のまちづくり委員会が機能していくのであっ た。 専門別プロジェクト委員会による、町外出身者 の女性と語る会1回17名出席。生活改善グループ の総合振興計画の意見・要求の会は、13名の出席 が行われた。各専門のプロジェクト委員により、 各種団体、各業界、誘致企業のインタビューを実 施している。 産業専門部会は、仏壇組合、商工会、共済組 合、広瀬川漁協、観光協会、森林組合、建設業 界、農協。環境専門部会は、環境に関する各種機 関と団体の10か所のインタビュー。福祉・保健は 町内の病院、町内5か所の保育所、町内4か所の 私立幼稚園、老人クラブ。教育専門部会は、各小 学校、中学校、各PTA会長、川辺高校等であ る。 97年8月に中学生、高校生、大学生についてア ンケートを行い、さらに、全町の世帯を対象にし たアンケートを実施している。対象世帯に対し て、60.5%で3,605世帯の回収をしている。この アンケートは、企画財政課の総力をあげての回収 であった。 農業については、独自に農業によるまちづくり フォーラムを97年6月8日に66人の参加で実施し ている。農林省大臣官房室の計画官を招いて講話 と意見交換を行っている。農林省の計画官から は、総合的施策ではなく、目玉を作って集中的に とりくむことの意義が強調されたが、川辺町の参 加者からは、都会の論理がまかりとおっているこ

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) とに懸念の表明がされた。そして、東京や鹿児島 市を目標とするのではなく、田舎らしさを残すこ とが財産となるという意見がだされた(平成9年 6月11日南日本新聞)。 総合振興計画の作成過程は、まちづくり委員の 公募から委員会の発足、プロジェクト委員会の辞 令交付など組織体制の整備から現況を把握する第 1段階、総合振興計画を地域別、専門別に探る第 2段階、各地域振興政策と行政サイド振興策との 整合性のすりあわせによる基本構想づくりの第3 段階とステップがあったが、4つの地域別の住民 よりのボランティヮによるまちづくり委員会が精 力的に意見・要求をまとめて地域振興提言書をつ くっていったのが川辺町の総合振興計画策定の大 きな特徴である。 第 3 章 川 辺 町 総 合 振 興 計 画 と 住 民 の 自 治 体への意見・要求の特徴 (1)まちづくりについての全町民のアンケート結 果の特徴 3,605世帯の川辺町の住民のまちづくりについ てのアンケート結果は、表(4)にしめすとおりで ある。永住したいと答えた世帯は、83.5%である が、町外にでたいという世帯が5%あり、わから ないとしたのが8.6%と川辺町の世帯調査による 町民は、全体的に永住傾向が強い。しかし、この 調査は、世帯調査であり、過疎化が学校教育卒業 によって出ていく若者が多いなかで全町民の意識 とはならないことはいうまでもない。 この意味で、表(5)の独自に高校生や大学生を 対象にしたアンケートと比較すると大きな違いが あることが理解できる。町外にでたいと答えた学 生は、54.8%であり、住みたいと答えた学生は 16.3%にすぎない。 また、町外で生活してから帰りたいと答えた学 生は17.3%である。町外へでたいと答えた学生 は、「やりたい仕事がない」、「親から離れて暮ら したい」、「都会に住んでみたい」、「近くに繁華街 がない」、「交通が不便」などをあげている。 「自分のやりたい仕事がない」「親から離れて 暮らしたい」ということは積極的に自己発達・自 立と職業の選択の自由などを求めての町外脱出層 10 である。しかし、近くに繁華街がない、都会に住 んでみたいというように都会の消費文化や都会生 活にあこがれをもつ町外脱出意識層もある。町外 にでたいと世帯調査ででてきた主な理由は、「つ きあいが大変」がもっとも高く、次に「仕事がな い」「交通が不便」などをあげていた。 自分が自分の住む町に自信と誇りをもつために は、なにを柱にすることが有効という設問では、 「福祉の町」と「水の町」が高い比率を示し、次 に「仏壇の町」、「環境保全」の農業の町となって いる。90年代に町の振興施策として町行政が力を 入れてきた観光の町をあげたものは6.3%と全体 の比率からは大きな位置を占めてないのである。 高齢化に対する福祉の振興では、「在宅福祉 サービスの拡充」の要求がもっともたかく、回答 者の4分の1を占めている。この他に「老人ホー ムの拡充」、「手軽な交通手段」、「高齢者の就労対 策」、「異世代交流の推進」、「施設を利用した健康 対策」をあげている。 保育に対する福祉要求では、「保育所と民間の 総合的連携」、「地域と自然を理解する」、「保育時 間の延長」などを回答している。青少年の健全育 成については、「家庭内教育の充実」をあげる世 帯がもっとも多く、次に「郷土教育を育てる」と なっている。 自然との共生のまちづくりでは、「自然とのふ れあう環境整備」「川と親しめる環境整備」が高 い回答になっているが、学生の将来の川辺町に対 する希望は、「自然を愛し、川と共生する水の 町」、「自然農業の町」に高い期待をよせている。 自然と共生するまちづくりや水と親しめるまちづ くりに町民が高い期待をもっているのである。 地域の商店街、農業、仏壇などの地域振興につ いても「やすらぎ空間の創出」「有機農業の推進」 「町内に農産物直売所」「手作り仏壇の振興」な どに高い回答を示し、核店舗、企業的農業などの 規模拡大、大型化には大きな回答をしていない。 ここには、町民の自然、やすらぎ、手作り志向と いう文化性がみられるのである。

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表(4)まちづくり計画アンケート調査結果について ・前日は、アンケートにお答え下さいまして、ありがとうございました。 ・アンケートの結果については、複数回答のためパーセントの比率で多い順番で表示しております。 。また、対象世帯は5,958世帯で、回答数は3,605世帯でした。(回収率60.5%) 質 問 問 1 住宅の種類はどれですか。 問 2 あなたは今後も川辺町に住みた いと思いますか。 問 3 前問で「永住したい」と答えた 理由は 問 4 問2で「町外に移りたい」とお 答えになった方の理由は 町 の 自 信 と 誇 り づ く り 住民が、自分の住む町に自信と 問 5 誇りを持つために、なにをその柱 とすることが有効と思われますか。 福 祉 の 振 興 問 6 ○高齢 問 7 ○児童 川辺町の高齢化率は、平成9年 4月で29%ですが、高齢化社会に 向かって、高齢者の福祉対策とし て重要と思われるものは何ですか。 児童・幼児保育としてどんな点 に力をいれたらよいと思いますか。 教 育 の 振 興 問 8 青少年の健全育成を図るために Iま地域が一体となった地域教育が 必要ですが、どのような点に力を いれたらよいと思いますか。 自然との共生による快適環境の創造 問 9 ○自然 ○生活 (1)あなたの住んでいる地域の自然 環境について今後どのようなこと に力を入れたらよいですか。 (2)あなたの住んでいる地域の社会 環境について今後どのようなこと可 に力を入れたらよいですか。 ノ心 に ぎ わ う 商 店 街 づ く り あ な た が 買 い 物 に 行 く と し た 問10 西 ら、 現在の商店街をどの様な方向 で整備を進めたらよいと思います 力、。 活 き 活 き 農 村 づ く り 農業は、「町づくりの基本」と言 問11 われますが、今後の農業について あなたはどう思いますか。 「えにし」を大切にする仏壇の町づくり 川辺町は、仏壇の町といわれて 問 1 2 いますが、今後の仏壇振興につい てどのようにお考えですか。 集 計 結 果 1.持ち家89.6%2.賃貸住宅9.3%3.その他1.1% 1.永住したい83.5%2.わからない8.6% 3.町外へ移りたい5.0%4.転勤などで移動がある2.8% 1.必要な仕事がある39.9%2.自然環境がよい28.9% 3.人間関係がよい14.0%4.わからない8.6%5.その他(7.9%) 1.つきあいが大変だ31.6%2.仕事がない20.5%3.交通に不便17.9% 4.環境が悪い11.0%5.その他(土地がない)11.4%6.フトタウン整備7.6% 集 計 結 果 1.高齢者の「福祉の町」20.8%2.名水の「水の町」19.2% 3.仏壇で「仏教の町」14.5%4.環境保全型の「農業の町」13.4% 5.心豊かな教育の町9.7%6.鹿児島近郊の「住宅の町」9.4% 7.観光の町6.3%8.文化の町3.6%9.スーツの町2.1%10.その他0.9% 集 計 結 果 1.在宅福祉サービスの拡充26.1%2.老人ホームの拡充10.5% 3.手軽な交通手段の確保10.5%4.高齢者の就労対策10.4% 5.異世代交流の推進8.3%6.施設を活用した健康対策7.9% 7.現在でよい6.8%8.在宅環境整備の補助5.7%9.地域別集会整備4.8% 10.文化。スポーツ活動の充実4.8%11.サービス情報の提供4.8% ‐ 1.保育所と民間の総合的連携27.8%2.地域と自然を理解する26.8% 3.保育時間延長21.6%4.保育所の近代化13.9%5.放課後保育9.9% 集 計 結 果 1.家庭内教育の充実18.3%2.郷土愛を育てる17.6% 3.青少年交流の推進13.0%4.子供会活動の充実12.1% 5.青少年の社会参加11.9%6.世代間交流の充実11.2% 7.青少年の文化・スポーツの充実8.保育センター機関の創設5.4% 集 計 結 果 1.自然とふれあう環境整備26.5%2.川と親しめる環境整備25.3% 3.「水」の保存20.7%4.豊かな自然林の復活14.2% 5.自然景観の保存7.4%6.田園景観の保存5.4%7.その他0.5% 1.自然災害防止対策24.4%2.公害対策16.5%3.交通安全等の確保11.6% 4.美しい景観整備10.7%5.道路網の整備10.6%6.リサイクル運動9.0% 7.地球環境の保全6.3%8.産業廃棄物の処理徹底5.3%9.資源活用4.8%● 集 計 結 果 1.商店の専門店化・集団化の推進24.4%2.やすらぎ空間の創出17.5% 3.商店の近代化13.1%4.広場のある共同店舗11.0% 5.魅力ある商店の購入10.1%6.核的店舗の建設7.4% 7.会話のある商店7.2%8.現在でよい6.2%9.商店街のライトアッ2.3% 集 計 結 果 1.販売ルートの確保24.6%2.有機農業の推進21.9% 3.町内に農産物直売所19.7%4.鹿児島市内に農産物直売所10.0% 5.近郊型農業の展開9.9%6.観光・体験型農業の展開6.2% 7.企業的農業経営7.3% 集 計 結 果 1.手作り仏壇の振興25.0%2.新産業へ参入21.6% 3.仏壇の町のイメージづくり18.6%4.品質保証の認定マーク制度15.1% 5.仏教美術の確立12.5%6.仏教研究所の検討5.9% 11

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) 表(5) ・学生アンケートの結果表です。回答数は271件でした。 質 問 集 計 結 果 問 1 あなたはいづれに該当しますか。 大学生16.6%高校75.6%その他7.7% 問 2 あなたは卒業後も川辺町に住み 1.町外へ出たい54.8%2.住みたい16.3% たいと思いますか。 3.町外で生活してから帰りたい17.3%4.わからない17.6% 問 3 前問で「住みたい」と答えた方 1.都会の生活は疲れるから34.5%2.自然環境がよい31.0% だけにその理由は何ですか。 3.仕事がある20.7%4.その他’0.3%5.生活に便利3.4% 問2で「町外へ出たい」又は 問 4 「町外で生活してから帰りたい」 1.やりたい仕事がない20.4%2.親から離れて暮らしたい18.9% 3.近くに「繁華街」がない16.8%4.都会に住んでみたい15.8% とお答えになった理由は何ですか。 5.交通が不便12.9%6.仕事がない9.6%7.その他3.1% a悪臭や騒音・河川汚濁・ゴミ不法投棄で環境が悪い2.6% あなたが思う将来の川辺町はど 1.自然を愛し、川と共生する「水の町」18.9% んな町ですか。 2.自然農業の町13.1%3.観光の町9.3%4.地域福祉の町8.4% 問 5 5.「いじめ」のない「心豊かな教育の町」7.8%6.ベッド・タウンの町7.8% 7.町そのものが博物館6.4%8.安全な町5.4%9.公園の町4.4% 9.健康で長生き保健の町4.4%11.芸術の町3.5%12.スポーツの町3.2% 13.仏教の町3.1%14.近代産業の町1.5%15.情報の町1.1% (2)アンケートでの自由記述による町への意見. 要 望 世帯を対象にしたアンケートに自由記述の欄を 設けていたが、522名の町民が具体的な意見をよ せている。この町民の意見をまちづくり委員会 は、教育文化、健康福祉、産業、環境、町行政に わけて整理をしているが、もっとも具体的に意見 がかかれていたのが町行政関に対することである。 教育文化についての自由記述の特徴は、次に示 すとおりである。 「学校が雨漏りがする」「土曜日・日曜日に図 書館が利用できるようにしてほしい」「独立した 図書館をつくってほしい」「総合体育館をつくっ てほしい」「町営のプールがほしい」「サッカーが できる施設を」「レクレーション.スポーツので きる広場が隣の知覧に比べ少ない」「自然を愛 し、自然保護のために、小さい頃から自然体験を 学習する施設をつくってもらいたい」などの教育 条件整備の要求が第1にだされている。 次に地域の人々の意識を改善してほしいとし て、教育の問題点を指摘する。「排他的でなく、 協調性のある町民意識の高揚」「野放し住民では なく、自治的意識をもつこと」「町民各自が奉仕 の心をもち一日一善をなす心を」「田舎の悪い点 は郷に従えば郷に従えということで視野が狭い。 12 広い視点の人材養成が必要」ということを求めて いる。 教育目標・内容的な改善について、町民の意見 も厳しい。「小中高生の捨てた空き缶を年寄りが 拾う。空き缶を道路などに捨てないような教育を してほしい」「ものを与えすぎる。欲望のままは よくない」「人は皆一能あり、精神を集中して努 力させるくせをつくること。そうしないと一能も 分からない」「子どもの教育は学校で勉強するば かりでなく、もっと家庭の教育、しつけ、人間と しての正しい道を教えるように」などがだされて いる。 健康・福祉についての自由記述は次に示すとお りである。 子どもに対する健康・福祉については、保育所 に対する要望が強い。「子どもたちが豊かな自然 のなかで、子どもらしくあそべるような保育環境 の整備を」「町立保育所の建物が古く夢がない」 「町立の保育所は保育料が高く感じるが、園舎も 古く、遊び道具も少ない。子どもたちのために町 はもう少しお金をかけてもらいたい」。さらに、 「安心していける小児科病院がほしい」「安心し て子どもを生み育てることができ、親をみている 人への援助の機会が多くあってほしい」「子ども の健康診断に時間がかかりすぎる」などをあげて

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いる。 子どもの遊びの生活を保障していくということ は、地域の児童福祉の大切なことであるが、アン ケートの自由記述では、「田舎町なのに、子ども が遊べる小さな公園がない。子どもに外で遊んで きなさいと言っても遊び場と友達がいない」「子 どもが学校から帰り、親がいなくても安心して遊 べる施設がほしい」「親が車でつれていかなくて も身近に、子どもだけで行ける遊び場、公園が川 辺町には必要」。 高齢者についての福祉の要望は、「観光のため の公共事業施設に多額な町財政を投入するのでは なく、もっと老人医療や子どもの医療などの福祉 に使うべきである」「訪問看護を十分にしてほし い」「一人暮らしの年寄りに町はもっと力を注い でほしい」「老人が気軽に集まれる木かげやベン チを身近なところに多く作ってもらいたい」「医 療を少なくしてほしい」「少ない年金で医療費を 払ってのこれからの生活が心配」「食生活は健康 のもと、有機農業の推進に力を入れてほしい」 「年寄りのタクシーの割引の制度を川辺町でも導 入してもらえないか」「自分が住んでいる地域 は、病院が不便であるので、住みにくい」「いま のデイーサービスをみていると健康な年寄りが病 院に遊びに行っているような気がしてならない。 誰がみても必要な人だけが利用するようにできな いものか」「荒れ地と空家が多くなり、子どもが 少なくなって淋しい思い」「老人憩いの家の跡地 は、民間に払い下げずに町有地として活用してほ しい」「老人憩いの家の跡地を市街地の緑地公園 として、災害のときなど避難場所になるような施 設に」などをあげている。 (3)環境問題に対する町民の厳しい町への意見・ 要 望 アンケートの自由記述では、環境問題について 住民が厳しい意見を町にもっていることがうかが える。とくに、畜産農家に対する苦情が多くの町 民からでている。同じ農家である茶業をやってい る人は、畜産に対する苦情を次のように記している。 「私は茶農家である。他の市の企業的畜産が進 出する話が役場当局からあり、大変ショックを受 13 けている。茶は香りを楽しむ作物であり、移り香 りをもっとも嫌う。悪臭を伴う畜産施設の立地は 死活問題である。後継者たちの夢を摘み取らない ように毅然とした判断を」「畜産の町は結構だ が、住宅付近への畜舎が最近問題となっている。 町中の近くに畜舎をつくるべきでない」「住宅地 内にある養豚場等は、団地をつくり移転すべきで ある」.「畜産の糞尿処理の指導を徹底してほし い」。 「とにかく町から悪臭をのぞいてもらいたい。 昼といわず夜中といわず、町から逃げたい位」 「川辺町のにおいは困る。糞尿処理、堆肥、せっ かくの自然景観もだいなし」「畜産関係の集団化 をしてほしい。悪臭が地域によってはひどい」 「朝夕の豚舎のにおいがひどい」「酪農家が糞尿 を畑に散布して悪臭が室内まで入ってほんとうに いやな思いである。水質汚染にもつながると思う ので具体的な対策を」。 川辺町の農業生産額の7割を占めている畜産は 大きな農業部門である。規模拡大の大型の農業経 営が進むなかで、畜産の振興と環境問題の矛盾は 大きな課題になっているのである。畜産は住民へ の悪臭問題ばかりでなく、糞尿による水の汚染問 題も重要な克服事項であり、町民からの苦情の克 服は、環境保全、水にしたしむ地域づくりにとっ て大きな問題である。「水資源に恵まれて川辺町 の自然条件を生かした農業振興」の提案もだされ ている。 今まで、自然がゆたかで水の町として観光宣伝 をする川辺町であるが、町民からは、河川が汚染 で死んでいると指摘されるほどである。その町民 の意見は、次に示すように厳しい。 「最近河川にはめだか一匹も生息していない。 いわゆる死んだ川である。これは、家庭から流さ れる汚水が原因と思うので、浄化施設を急いでも らいたい」「全国名水百選に選ばれるのはよい が、ホタルをみかけない。昔みたいにホタルが町 を飛び交じっていれば町外や県外に水の町として アピールできる」。 「万之瀬川の沿いのにおいをどうにかしてほし い」「昔は川はきれいで魚類も多くいたが、現在 はせき止められてみる影もない」「水の町という

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) ことがあげられるが、清水岩屋の公園内の水だけ でなく、一般河川の豚のし尿のたれ流しなどしっ かり管理し美しい川にしてほしい」「井戸水を使 っている。水質検査をお願いする」。 「環境保全、自然保護というが、今の建設は、 川も家もセメントづくめ、あのがれきを捨てるの はどうしているのか」「自然保護、公害のない町 (大気、水質、騒音)、廃棄物の分別収集とリサ イクルを徹底させる町として、毎年具体的に数値 目標をたてて町民が環境保全に参加していく町づ くりが必要」。 これらの町民は積極的に畜産の悪臭、水の環境 汚染などの環境問題の克服対策を訴えている。こ の町民の意見からみれることは、川辺町の環境の 環境保全の問題の深刻性がみられるのである。水 と緑のまちづくりには、多くの解決しなければな らない地域の環t号澗題の矛盾が潜んでいるのである。 (4)アンケートからみる町行政に対する町民の意 見・要望 行政に対する意見・要求は地域の「道路整備の こと」「住民税がたかい」「国民健康保険税が高す ぎる」「町会議員をへらせ」をあげているが、と くに、多くの町民があげているのが、町会議員を へらしてほしいという意見で、93名の住民が自由 記述に書いているのである。また、町の職員が多 い、減らすべきであるという自由記述の回答は9 人である。町議会議員を減らせという意見に比べ ると少ない状況である。 町の職員に対しては、質の向上を求める町民の 意見も少なくない。「町職員の採用の不透明性」 「町職員の町民に対して礼儀が悪い」「職員の意 識の高揚と親切感」「役場職員の住民への奉仕者 としての意識が不足」「昼休み役場にいっても手 続きがしてもらえない」「陳情から工事着手まで の期間がながすぎる」。 「銀行や農協のように役場も昼休み窓口業務も 取り入れほしい」「役場職員は町民の模範となる べき」「行政はサービスであることに徹して高姿 勢をただすこと」「気軽になんでも話せる人のい る役場にしてほしい」「役場をもっと明るくだれ でも気持ちよく出入りできるように」「町民から の要望事項はできることとできないことをはっき りさせておくべきではないか」など、町民との対 応に役場職員の批判が集まっている。 行政として新しいことをやるうえで、町の負債 の問題は大きい。町民の町の借金に対する批判が 次のように記述している。「多額な金をださなく てもりっぱな川辺町になるのでは」「川辺町観光 のための馬事公苑は必要か」「川辺町は多額な借 金をしており、庁舎建設は時期をみてすすめたら どうか」「あたらしい役場を考えるまえに町の負 債をなくすように努力すべき」。 「無駄な支出が多い。税金の集金が連絡員まか せである。昔のように役場の職員が銀行、郵便局 にでむいてはどうか。町報、回覧をきりつめて町 の借金の減少を望む」「町民の税金をむだにしな いように有効に計画的につかってほしい」。 「税金が町民に還元されるようにあってほし い」「役場職員は経費を節約して、税金の使い道 の模範をしめせ」「町の借金が多い。だれがどの ように返すのか」「採算性を重視した施設づくり を」「収入につなげない大きな投資はこれ以上し ないでほしい」などと大型の公共事業をすすめて 町の赤字財政をつくってきたことに対する町民の 関心が強くあらわれている。 ところで、町民全世帯に対するアンケートの評 価は、調査項目の内容が抽象的すぎるという意見 もあるが、全般的に町行政の姿勢として、積極的 に受けとめられている。「このアンケートの集計 結果に興味をもっている。結果およびそれに対す る行政の意見をききたい」「アンケートの集約結 果を広く町民にも示してほしい。そして、それを 参考にした将来への指針を明確に、かつ迅速に構 築すべきである」。 「アンケートは住民の声を聞くということで、 大変よい。形だけで終わらせるのではなく、この アンケートを町政にいかしてほしい」「3年から 5年に一回は町民アンケートは必要」「アンケー トの調査結果を町報で知らせてほしい」「町民の 意見をきくという意味からもこのようなアンケー トは毎年やるべきである」「アンケート調査だけ で終わらせず町民の要求を実現されように望む」 「アンケートは人にみられないように封筒に入れ 14−

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て回収するような工夫を」などアンケートに対す る町民の肯定的な意見がよみとれるのである。 川辺町出身の町外の人に「川辺町はここが変え たらもっとよくなる」「これからのまちづくりは この方向で取り組むべきだという意見を教えてほ しい」というアンケートをとっている。そのアン ケートの意見は次に示すとおりである。 「町政は、各機関との連携をとって総合的に、 中枢機関としての役場の役割」「岩屋公園・馬事 公苑・森のオートキャンプなどの観光拠点を町 外、県外へ大いにアピール、宣伝してほしい」 「自然の営みの観察などの心の教育を」「地域の ごまだれの味を商品として発展させるように」 「岩屋公園を観光名所にする方法として聖観音像 の設立を」など。 誘致企業のヒアリングからの川辺町の印象、問 題と要望、町の魅力ということでは、次のように 回答している。「まちの産業として、仏壇業があ げられるが、伝統技術を守ろうとせず機械し、手 抜きしたものは工芸品としての価値をさげてい る」「川辺仏壇業は伝統に束縛され、近代化の波 にのれず小規模集団の産業である」「全体的に産 業に活気がない。若者が定着できないところに問 題がある」と指摘している。 町民性は「利己主義的、閉鎖的な面を感じる」 「小組合毎の団結がありすぎて現代の若者に好ま れない」「町全体の行事よりも地域毎の行事で閉 鎖性が強い」と誘致企業の経営層はみているので ある。 町行政は「長期ビジョン夢なし」「他の町村の ものまねをして補助金をもらい施設をつくってい るようにおもわれる」「県や全国的なシェアを目 標とした行政的バックアップがない」「役場職員 の接待態度の向上が必要」と行政に対する批判も 厳しい。 さらに、誘致企業として川辺町の問題と要望の アンケートは、「住宅環境はこれという政策な し。独身者、新婚さん向きの公営住宅を望む」 「将来的な展望を基礎にした住宅政策が実施され ていない」「防犯用の街灯が少ない」「交通事故が 人口の割合に比して多いと思われる。もっと道路 環境整備をしてほしい」「町職員は、せめて誘致 企業がなにを製造しているか知っておいてほし い」「観光客を一泊させる方法を考えてほしい。 町営ホテルも考えたらいかが」等と行政の住宅政 策の問題点を指摘する。 町出身の県外の人からの意見に対して、具体的 に現実をみながらの意見が誘致企業の経営者から でているが、上記にみるとおり、町行政の現状に 対しては、自立性・創造性、将来への意欲という ことからもきわめて厳しい見方をしているのである。 (5)第3次川辺町総合振興計画の特徴 第3次の川辺町振興計画は、まちづくりの重点 目標を5点を設定した。第1は、対話と協力で住 民主権の誇れる自治づくり。この具体的な施策 は、地域住民が主体となって地域づくりをする 「まちづくり委員会」の設置である。 まちづくり委員会は、住民と行政の関係を依存 から住民と一緒になってまちづくりを進めるとい う目的からの組織である。地方自治体の施策を行 政と議会という2本柱のセクターから住民が積極 的に地方自治に直接参加するまちづくり委員会と いう第3のセクターをたてたことである。 第3次の振興計画では、まちづくり委員会を次 のように策定している。「地域住民が、自分の地 域や町の進むべきことについて、調査・検討・協 議し行政や議会に意見を言ったり、自分たちで決 めたことの実現に向けて推進する組織。会議は、 公開。自由参加とし、利害関係・利己主義を乗り 越えて地域全体の発展を目指す。この意見及び委 員会の意思表示は、まちづくりに活かされる」 と。 マンガでは、「まちづくり委員会ってどんな組 織なの?。・・・それはね、自分たちの地域のこ とは、自分たちで決めていこうという組織のこと よ・役場も地域で決めたことを第一に考えてくれ るんだよ。そのかわり、自分たちも、言ったこと に責任をもって、役場任せにしないで、実行しな いといけなんだよ」と振興計画書のなかにマンガ を入れて住民にわかりやすく、この間の住民参加 方式のまちづくり委員会による振興計画づくりを 総括しながらまとめているのである。 第2は、生命を育む「水」の環境づくり。ここ 15−

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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要第8巻(1998) では、川辺町のシンボル的存在として水をあげ、 川に育てられた水のまちであるが、町の中心を流 れる万之瀬川は泳げない川になっている。この川 を泳げる川に蘇らせる政策をうちだしている。 第3は、進展していく活力ある産業づくり。基 幹産業である農業や仏壇の改革が必要として、新 しい文化や技術を取り入れて、個性ある産業の確 立をうたっている。このために、固有の文化を大 切にしながら他の地域の多様な文化の交流によっ て地域文化を高めていく施策をだし、こころの改 革を提起する。こころの改革は、自分の進路は、 自ら意思決定し地域の特質・特徴を前面にだして 新事業にとりくんでいくことの強調である。 第4に、個性を生かした自立する地域づくり。 地域の特性に合った広域的連携で地域振興という ことで、町内を4つの地域に分けて地域ごとに開 発テーマを考えて、町全体に繋げていくという方 法論をとっている。 川辺町の土地利用構想として、自然を守ってい く地域、農業を振興する地域、住宅環境整備と商 工業を振興する地域と三区分している。土地の利 用区分を行っていくことは、地域の環境保全を計 画的に行っていく前提的条件である。この意味で 土地の利用区分を行ったことは、土地利用の区分 の規制がはいり、無政府性な開発に大きなはどめ になるのである。この土地利用区分をさらに細か に具体的に環境保全の視点から設定していくこと が今後のまちづくりの大きな課題になっていくこ とであろう。 第5に、「しあわせ」を感じるまちづくり。こ こでは、ひとりひとりの生活が地域に役立ち・感 謝する暮らしをめざす施策として、子どもから高 齢者まで全町民が助け合うまちづくり、災害に強 い安全なまちづくり、自然とふれあうまちづく り、福祉社会への基盤整備となっている。 この第3次総合振興計画は「川辺やすらぎ物 語」として、まとめられ、イラスト、マンガ、概 念図、イメージ絵などを入れて、町民にわかりや すくつくられているのが特徴である。 松下圭一氏は、総合計画は、短いものでみんな が読むことのできるものが大切と次のようにのべ る。「長期・総合の自治体計画が企画室の美文に とどまらず実効性をもつためには、タブロイド版 4頁、あるいは8頁といったかたちをとり、策定 原案を市民全戸、職員すべてに配布し、批判、提 案を集約するかたちをとるべきです。長文のもの をつくれば、厚くて高価となり、市民、職員に配 布できないし、できあがったものは小部数しかつ くれませんから、市民、職員は原本をみたことも なく、上澄みだけをすくった要約版を目にするだ けです」。(5)第3次総合振興計画が、マンガ、イ メージ絵などを入れて町民にわかりやすく書かれ ているのは、振興計画を町民みんなのものにして いこうとする意気込みが感じられるものである。 ま と め 川辺町の第3次総合振興計画は、従前の行政補 助機関的な側面をもっていた自治公民館・小組合 組織に依存する参加方式ではなく、住民の自由意 思を尊重し、地縁組織からの代表者ではない、自 由公募によるボランティアのまちづくり委員会を つくっていったことに特徴があった。 しかし、川辺町においては、はじめての経験で あり、模索・試行の段階である。とくに、農村社 会において地縁組織に依存していかない方式は大 きな発想の転換である。農村において、小組合・ 自治公民館・区会などのどの地縁組織は、とかく 行政の補助機関的役割を果たしてきた。 地縁組織が行政から自立して、住民個々の自由 意志を尊重して、地域民主主義の役割を果たすた めという民主化の課題もあるが、川辺町では、前 町長が教育委員会からの出身ということから、前 町長を徹底して批判して当選した新町長なので、 極力、前町長の行政手法をとらなかった。このこ とから、大きく自然的条件で町を4区分して、新 しい地域設定をしての町づくり委員を公募してい ったのである。これは、農村でのひとつの実験で もある。 町民からのアンケート、町内の様々な団体・グ ループ、誘致企業、県外者からの意見や要望をと りいれてつくった総合振興計画であるが、町民の 具体的な意見や要望のでてくる地域の社会経済構 造や町行財政の綴密な分析をしての各課題に即し ての具体的な振興施策ということが今後の大きな 16−

参照

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