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明性寺本仮名書き『往生要集』の仮名遣 : 浄福寺本仮名書き『往生要集』、蓮如「御文」の仮名遣との対比による考察

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Academic year: 2021

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(1)(85). じ め. に. 御 文 ﹂ の仮 名 遣 と の対 比 によ る考 察 ︱ ︱ 蓮如 ﹁. 往 生 要 集 ﹄、 ︱ ︱ 浄福 寺 本 仮 名 書 き ﹃. 往生要集﹄ の仮名遣 明性寺 本仮名書 き ﹃. は. 田  直. 往 生 要 集 ﹄ を漢 字 片 仮 名 の訓 み 往 生 要 集 ﹄ は、 滋 賀 県 日野 町 の明 性 寺 に所 蔵 され て いる。 ﹃ 明 性 寺 本 仮名 書 き ﹃. 下 し文 にし、 漢 字 の殆 ど全 て に片 仮名 の振 り仮 名 が付 け ら れ て いる。 全 十 二巻 あ った も のが、 現 存 す る のは十 巻 の. 此 抄 本 江 州 栗 本 郡 安 養 寺 釈 浄 性 依 所 望 書 写 畢   干 時 享 徳 三年 甲 成 卯 月 十 七 み であ る。 注 意 す べき は、 各 巻 末 に ﹁. 日﹂ の識 語 が あ る こと であ る。 享 徳 三 年 は 一四五 四年 であ る。 安 養 寺 か ら 明 性 寺 に所 有 が移 ったも の であ るが、 漢. 釈 浄 性 ﹂ は僧 侶 であ ろう。 所 望 さ れ た人 物 は不 明 であ るが、 こ の 文の ﹃ 往 生 要 集 ﹄ の仮 名 書 き 訓 み下 し を求 め た ﹁. 蓮 師 ﹂ は、 本 願 寺 第 八 世 蓮 如 であ る。 蓮 如 が第 八世 に就 任 す る 蓮 師 御筆 ﹂ と あ る。 ﹁ ﹃往 生 要 集 ﹄ を納 め た 面 に、 ﹁. 写畢﹂ と記 長 保 元 年 一四五七 ︶ によ って であ るか ら、 享 徳 三年 は、 そ の前 の こと にな る。 璽 日 の は、 父 存 如 の死 ︵ さ れ て いるか ら、 自 ら書 いた と いう こと であ る が、 署名 は無 い。.

(2) (86) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 私 は、 平 成 六 、 七 年 度 、 科 学 研 究 費 補 助 金 を交 付 され、 ﹁ 明 性 寺 本 仮 名書 き 往 生 要 集 ﹄ を中 心 と す る往 生 要 集 訓. 読 史 の国 語 学 的 研 究 ﹂ ︵ 課 題 番 号 〇 六 六 一〇 四〇 一︶ を行 い、 既 に報 告 書も 公 刊 し た が、 本 稿 は、 そ の研 究 の続 稿 と いう べき も の であ る。. 本 稿 では、 ま ず 仮 名 書 き ﹃往 生 要 集 ﹄ の鎌 倉 時 代 成 立 と考 え ら れ る京 都浄 福 寺 本 と 明 性 寺 本 と の仮 名 遣 に つい て. 対 比 し 、 明 性 寺 本 の仮 名 遣 の特 色 、 時 代 性 を 明 か にし、 次 に、 蓮 如 の ﹁ 御文 ﹂ の仮 名 遣 と比 較 す る こと によ って蓮 如 筆 の可 能 性 を検 討 し てみ よ う と す るも の であ る。.   浄 福 寺 本 仮 名 書 き ﹃往 生 要 集 ﹄ の仮 名 遣 一一. 浄福寺本 仮名書 き ﹃ 往生 要集﹄ の仮名遣 の概略 に ついては、 既 に、 西田直樹 ・西田直敏編著 ﹃ 麟編詩鉢 ﹃ 往生要 集﹄ 影印 ・翻刻 ・解説﹄ ︵ おうふう 平成六年︶ にお いて述 べた。. そ の後、 同本 の総索引を作成 した ︵ 未 公 刊︶。 以下、 そ の総索引 によ って、 まず、 歴史的仮名遣 ︵ 字音仮名遣 を. 含む︶ と異 る語 の 一覧を示 し、 そ の下 に、歴史的仮名遣と定家仮名遣 ︵ 行阿 の ﹃ 仮名文字遣し を示す こと にす る。. 歴 史 的 仮 名 遣. 定 家 仮 名 遣. 漢字 見出 し の下 のカタカ ナは振 り仮名 であ る。 なお、浄福寺本 に濁点 は付され ていな いので振仮名 はその形 で示す。. 浄 福 寺 本 表 記 あ えれども.

(3) 田 直 敏 西. (87). あ つめ お さ む る. 悪 業   ア ク コウ. い へ. い ひ. を さむ る. あくご ふ. お ん. い き ほ ひ. い へ. い ひ. お さむ. ︵ 飯︶. い き ほ ひ. う るを す ︵ 潤︶. 優 曇 華   ウ ト ンク ヱ. ︲例 ︶ ︵ 上︶ ぅ へ ︵4. う る ほす. う ど んげ. う へ. うれふる. う る ほす. う れ ゑ ︵1 例 ︶ ︵ 憂︶ う れ へ ︵3 例 ︶ ︵ 憂︶. うれ へ. うれ ふる. う ゑ ︵8 例 ︶ ︵ 上︶. い でお は り て. いち ご う ︵一劫 ︶. いち を ん ︵一音 ︶. いき を ひ. ︵ 家︶. い ゐ. うれ う る ︵ 憂︶. を はる. い ち お ん 一 ご 遮、 い で を は り. い ゑ.

(4) 閻魔 羅 王   エム マラ ワウ おいて. えんまらわう. わうしよ. おふ. 於︶ お い て ︵6 ︲例 ︶ ︵ 於︶ を い て ︵3例 ︶ ︵ 追︶ お ふ ︵1例 ︶ ︵. 往処   オ ウ シ ヨ. おひ. を ふ ︵1例 ︶ ︵ 追︶. 老︶ お ひ ぬ ︵2例 ︶ ︵ 老︶ お ゐた り ︵1例 ︶ ︵. 覆︶ お ほえ る ・お ほ ふ ︵. 往 生 要 集   ワウ シヤ ウ エウ シ ユ. おく. お ほ へる. わうじやうえうし ふ. を い て ︵1例 ︶ ︵ 老︶. 置︶ お く ︵2例 ︶ ︵. 億   ヲク. おくりも の. おく. 置︶ を く ︵1例 ︶ ︵. 贈   ヲク リ モ ノ. を いて. を 遮、. を く りも の. をく. お ほふ. お い. (88) 明性寺本仮名書 き『往生要集』 の仮名遣.

(5) 田 直 敏 西. (89). 8例 ︶ ︵ お こす ︵︲ 発︶ を こす ︵5例 ︶ ︵ 発︶ お こる ︵7例 ︶ ︵ 起︶ を こる ︵2例 ︶ ︵ 起︶ お ち お それ て. お こる. お こす. お そ る の時 お 也. お こる. お こす る. をす. を ぢ お それ て. お し ころす. お な じ事. を そ れ の時 は を. を し ころす. おなじ. おもし. を はる. を はる. お も き の時 は お 也. をもし. 同︶ お な じ ︵0 2例 ︶ ︵ 同︶ を な じ ︵9例 ︶ ︵ 重︶ お も き ︵3例 ︶ ︵ 重︶ を も き ︵1例 ︶ ︵. 終︶ を は る ︵9例 ︶ ︵. おん. 6 終︶ お はる ︵ 3例 ︶ ︵. 恩   ヲン.

(6) か たわ ら ︵ 傍︶. 餓鬼 カクヰ. 音声  ヲンシヤウ. 飲酒   ヲンシ ユ. 飲 食   ヲ ン シキ. 音 楽   ヲ ンカ ク. か るが ゆゑ に. か た はら. がき. お んじ やう. お んじゆ. お んじき. おんがく. く わ んぜおん. おんじ やう. 馬 の時 は を 也. き お ふ  き を ひ. か んが ヘ. か は. か るが ゆ へに. ク ワンフ ン. 河︶ かわ ︵ 観音 考︶ か んが う ︵1例 ︶ ︵. 観 世 音   ク ワ ンセ ヲ ン. き. き を ひく ら ふ ︵1例 ︶ き ほ ひき た り て ︵1例 ︶. き ほふ. 鬼   クヰ. か んが へよ ︵2例 ︶ ︵ 考︶. か は く わ ん お ん か ん が 遮、. (90) 明性寺本仮名書 き『往生要集』 の仮名遣.

(7) 田 直 敏 西. (91). 教 法   ケ ウホ ウ. 帰   ク ヰ  す. 鬼 神   クヰ シ ム. 裁   ク ヰ ノヽ   た る. き はめ て. けう ほふ. きす. きじん. ぎぎたる. 位︶ くらひ ︵. 轡︶ く つは ︵. ぐ れ んげ. くらゐ. く つわ. くいて. き は め て ︵8 例 ︶ き わ め て ︵3 例 ︶ 悔︶ く い て ︵1 例 ︶ ︵ 悔︶ く ゐ ず ︵1例 ︶ ︵. 紅 蓮 華   ク レ ンク ヱ. けす. く ひ う ら む る ︵1 例 ︶. 化   ク ヱ  す. ナ. けくわ ナ. 花 菓   ク エク ワ 花 々 ク ヱノヽ. 極︶ き はま る ︵. くひて. くらゐ.

(8) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. け つ だ ん. け だ い. 花 座. け ざ さ う. 花 座 ク ヱサ. げ だ う. 花 台. ク ヱサ サ ウ. け ぶ つ. 決 断. 想. け え 遮ゝ. 外 道. ク ヱダ イ. け ら く. 化 仏. ク ヱ ツ タ ン  す. け ら く て ん. 花 葉. ク ヱタ ウ. げ ん し ん. 快 楽. ク ヱフツ. け ん ぞ く. 快 楽. ク ヱ エウ. 源 信. ク ヱラ ク. ご 応、. 春 属. ク ヱンシム. ご 遮、 い ん. 業. ク エンソク. カ ウクヰ. か う き. コ ウ イ ン. コウ ホ ウ. ご 広、 ほ う. 業 因. 天   ク ヱラ ク テ ン. 高 貴. コ ﹂ ワ. 業 報. (92). け ざ. く ゑんぞく.

(9) 罪 業   サ イ コウ. 獄 鬼   コ ツク ヰ. 答   コタ ウ. 黒 業   コク コウ. ざ. ご. こ. こ. t警. :讐. 査 や う. 讐 応ヽ 3ゝ お. 喜 よ う. 魯 遮ゝ. 枝 葉   シ エウ. 殊 勝 殿   シ ユシ ャ ウ テ ン. しゐ ︵ 聾︶. 三升   セ ウ. 漸 愧   サ ンク ヰ. ゑ. 8い. よ う. :遮. く わ. で ん. 焼   シ ヨ ウ. ざ. 接   セウ. さ. 城 郭   シ ャ ウカ ク. し. コタ ヘて. 罪 業 応 報 経   サ イ コウ ヲ ウ. ざ し. ホ ウキ ヤ ウ. ほ し. せ ゝ. せ う じ. 田 直 敏 西. (93). こた へて.

(10) (94) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 証 拠   セ ウ コ ︵1例 ︶. 諸 業   シ ヨ コ ウ. 所 帰   シ ヨク ヰ. 青 蓮 華   シ ヤ ウ レ ンク ヱ. しよほふ. し よがふ. しよき. し やうれんげ. しよう こ. 諸 法   シ ヨホ ウ. しん. シ ョウ コ T 例 ︶. 身   シム. じ んえき. せ つき. じ ん つう. し んぶん. し んそう. 津 液   シ ム エキ 身 相   シ ム サ ウ ︵3例 ︶ シ ンサ ウ → 例 ︶ 身 分   シ ム フ ン ︵5例 ︶ シ ンフン T 例︶ 神 通   シ ム ツウ ︵4例 ︶ シ ン ツウ T 例 ︶ 殺 鬼   セ ツク ヰ.

(11) 田 直 敏 西. (95). たうるる ︵ 倒 ︶ ︵1例︶. 耀本 セ ム たふる. せん. 堪︶ た えず ︵1例 ︶ ︵ 堪︶ た へぎ る ︵2例 ︶ ︵ 耐︶ 堪 任︶ ︵ た へた り ︵ 堪︶ た へて ︵1例 ︶ ︵ た え し のぶ ︵1例 ︶ た へし のぶ ︵1例 ︶ 絶︶ た え た り ︵1例 ︶ ︵ 絶︶ た えぎ る ︵5例 ︶ ︵ 絶︶ た へた り ︵1例 ︶ ︵. たふる. た へた り. 他 化 天   タ ク ヱテ ン. たましひ. たけ てん. ち いさし. たましひ. たえ て ︵ 絶︶. 魂︶ たまし ゐ ︵. ち ひさし. た ゆ. ち ゐ さ し ︵1例 ︶. 絶︶ た へざ る ︵1例 ︶ ︵. た 遮ゝ.

(12) (96) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. え ︵ 善O つい ・. 朝 謁   テウ ヱツ. 畜生道   チク シヤウトウ. つひ に. つひ え. てう え つ. ちく し やうだう. つ い に   つゐ と も. え つい ・. ち ゐ さ き ︵2 例 ︶. つい に. とひて. と ほる ︵ 通 ・徹︶. とをし. とふ.   ト ウ. たうえふ. 問. 稲 葉   タ ウ エウ. と ほし. とと のほる. とほる. と ほす. と ほく ︵2例 ︶ ︵ 遠︶ と を く ︵2例 ︶ と ほし ︵1例 ︶ 通 と を す ︵5例 ︶ と ほ る ︵1例 ︶. と と のほ り て ︵2例 ︶. な いげ. と と のを て ︵1例 ︶. 内 外   ナイ ク ヱ.

(13) なをし なは. な ほし. なを. 縄︶ な は ︵5例 ︶ ︵ な わ ︵5例︶. なむぢ. 5例 ︶ ︵ 汝︶ な んぢ ︵1 な む ぢ ︵5例 ︶. にんげ ん. ? つ 白  ヒヤク ”. へん げ. ひやく ら ふ. ねがふ. 人 間   ニンケ ン ︵5例 ︶ ニンケ ム ︵3例 ︶ 願︶ ね が ふ ︵4例 ︶ ︵. 変 化   ヘンク ヱ. へん ず. ね が う ︵1例 ︶. 変   ヘム  ず ︵1例 ︶ 法  ホウ 法音   ホウ ヲン. ほふお ん. ねが ひて. な は. な ほ ほ 応ゝ. 敏 直 田 西. (97).

(14) (98) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. ほ の ほ ︵2 例 ︶ 炎. 法 華 経   ホ ツク ヱキ ヤ ウ. 方 法   ハウ ホ ウ. 宝 花   ホウク ヱ. ほ のほ. ほ つけ き や う. はう はふ. ほうけ. 命 終  ミ ヤ ウ シ ユ. 名 花  ミヤ ウク ヱ. 妙 花   メゥク ヱ. むげ ん. みやうしう. みやうけ. めうけ. 5例 ︶ ほ の を ︵2. 無 間   ム ケ ン ︵4 例 ︶. も よをす ︵ 催︶. めしゐ ︵ 盲︶. も んだ ふ. も よ ほす. めし ひ. ム ケ ム ︵2 例 ︶. 間 答   モ ンタ ウ. ゆゑ り う き. ゅ へ ︵7 故︶ 6例 ︶ ︵ 龍 鬼  リ ウクヰ. ほ のほ. め し ひ  め し ゐとも.

(15) 田 直 敏 西. (99). れ んげ だ い. わくご ふ. 後京極良経説 あ り︶ は、藤原定家 のよう に、自 ら 歴史的仮名遣 と異 るも のを抜き出し てみた。浄福寺本 の筆者 ︵. 上﹂ を ﹁う へ﹂ ﹁つ の仮名遣説 を持 つ人 ではなか った。 同 一語 に二通り の書き方をかなりし ている。 たとえば、 ﹁. 、﹁ 、﹁ 、﹁ をなじ﹂ など、 両者 同 じ﹂ を ﹁おなじ﹂ ﹁ を はる﹂ おはる﹂ ﹁ を いて﹂ 終 る﹂ を ﹁ お いて﹂ ﹁ ゑ﹂ 於 て﹂ を ﹁. 花﹂ それぞれ に相当数 の用例 があ ると ころから、 そ の時 の気分次第と いう感 じもす る。漢字音 の表記 に ついては、﹁. 、﹁ 、﹁ 、﹁ 、﹁ 、﹁ ゴ ウ﹂ 法﹂ 業﹂ は ﹁ 愧﹂ は ﹁クヰ﹂ 貴﹂ は ﹁クヰ﹂ 化﹂ は ﹁ク ヱ﹂ ﹁ 鬼﹂ は ﹁クヰ﹂ 華﹂ は ﹁ク ヱ﹂、 ﹁. は ﹁ホ ウ﹂ の如く 一貫し ている。 漢字音 に ついての意識を は っきり持 っていた人物 であ ると思われる。 が、 ﹁ム﹂.  一見、書 きわ けがあ るよう であ るが、実 はな い。 と ﹁ン﹂ に ついては、鎌倉時代 には、あ いま い化 し ていたため に、. 人間﹂ を ﹁ニンケ ン﹂ フ一ンケ ム﹂ である。次 に来 る語音 と の関係 で ﹁ン﹂ と ﹁ム﹂ の別が示 され てい そ の例 が ﹁. 人間 の﹂ であ る。従 って、﹁ン﹂と ﹁ム﹂ には、 るかと思 えば、 フ一ンゲ ン﹂ 5例、フ一ンケ ム﹂ 3例、全 て用例 は ﹁. 書 き分 け意識 はな いと いう こと になる。 ただし、浄福寺本 の筆者 は気分 のまま に書 いた のではなく、仮名遣 に古 め. 古人之所 用来﹂ と記し ているよう に、古来 の 下官集﹄ に ﹁ かし い、伝統的 なも のを感 じ ていた節 があ る。定家 が ﹃.

(16) 習 慣 と 考 え て いた ら し い。 院 政 期 に ﹁お︱ ︱ を ﹂ ﹁え︱ ︱ へ︱ ︱ ゑ﹂、 ﹁ひ︱ ︱ ゐ︱ ︱ い﹂ が同 音 にな った ため にか. え って、 ﹁ゑ﹂ ﹁ゐ﹂ が多 く使 わ れ ると いう 現 象 を 生 じ て いる。 ﹁いゐ ︵ 飯と、 ﹁いゑ ︵ 家 と 、 ﹁う ゑ ︵ 上 と 、 ﹁う れ ゑ. ︵ 憂 と 、 ﹁お ゐ た り ︵ 老 と 、 ﹁く ゐず ︵ 悔 と 、 ﹁た ま し ゐ ︵ 魂 と 、 ﹁ち ゐ さし ︵ 小 と 、 ﹁め し ゐ ︵ 盲 と な ど。. 〓一   浄 福 寺 本 と 明 性 寺 本 の仮 名 遣 対 比. 浄 福 寺 本 は、 鎌 倉 時 代 の書 写 であ ると推 定 さ れ る。 明性 寺 本 は、   一四五 四年 の書 写 であ る。 浄 福 寺 本 は、 雲 母 入. り の紙 を 用 いた華 麗 な本 であ って、 優 美 な 字 様 であ る。 明 性 寺 本 は、 僧 の読 解 、 読 誦 のため に書 か れ た本 であ る。 両者 の年 代 差 は、 正 確 に は わ か ら な いが、 百 数 十 年 の差 が あ ろう か と思 われ る。. 今 、 仮 名 遣 に つい て、 調 べ てみ よう。 前 章 で述 べた如 く、 浄 福 寺 本 には、 特 に 一定 の仮 名 遣 によ って記 そう と い. う特 別 な 意 識 はな い。 明 性 寺 本 も 同様 であ ろ う か と思 わ れ る。 両 書 とも、漢 文 の ﹃ 往 生 要 集 ﹄ を書 き下 し文 にし た. も の であ る か ら、 同 一箇 所 を 対 比 し てみ れ ば 、 そ れ ぞ れ の特 色 が明 か にな る。 巻 上 の序 と ﹁ 大文第 一   厭離 機 土 ﹂. の地 獄 に つい て、 調 査 し た結 果 、 語 と仮 名 遣 を 五 十 音 順 に対 比 し て示 す と、 次 のよ う にな る。 右 に ︵ 浄 ︶ と し て、. 浄福 寺 本 、 平 仮 名 表 記、 左 に ︵ 明 ︶ と し て、 明 性 寺 本 、 片 仮 名 表 記 で記 し、 違 い のあ る点 に傍 線 を付 し て示 す。 浄. ︵ 浄︶ 明︶ ︵. 明 ︶ ヰ ノチ ︵. 浄 ︶ い のち ︵. ︵ 明︶ 因 縁. 浄 ︶ 因縁 ︵. 福 寺 本 、 明 性 寺 本 と も に濁 点 は付 され て いな い の で、 濁 点 な し の形 で示 す。. ︵ 浄 ︶ あ にあ へん や ︵ 明︶ ア ・ 亨 ヱ ンヤ. │. あ る い は ア ル ヒ│ ハ. (100) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣.

(17) ︵ 浄︶ 明 ︶ ヤ マノ ウ エ ︵. ︵ 浄 ︶ やま のう ヘ 明︶ ︵. ︵ 浄︶. 浄︶ ︵. 明︶ ヲ ョ フ ︵. 械 到機 J 土 卜土 ト. 浄 ︶ わ れ にお い て ︵. 明 浄. 明︶ ヲナ シ ︵. 同︶ ︵ 浄︶ お な し ︵. 明︶ ヲク リ テ ︵. 浄︶ 送 り て ︵. 明 ︶ ワ レ ニヲキ テ ︵. 明︶ ︵. ︵ 浄︶. 明 ︶ フト ス ︵. 浄︶ お とす ︵. ︵ 明︶ 億 歳. 浄︶ 億 千 歳 ︵. 置︶ ︵ 浄 ︶ 座 の右 にお い て ︵. 浄 ︶ こゑを こし て ︵. ︵ 浄 ︶ 天 にむ ま る る こと を え ん. 浄 ︶ し じ む ら を お か さす ︵. 浄 ︶ お そ る べき ︵. 明︶ ︵. コ ヱヲオ コシ テ ︵明 ︶. 明 ︶ 座 ミキ ニヲキ テ ︵. 明︶ ︵. │. ウ う ル る ヲ│ ほ. 浄︶ お よふ ︵ 及︶ ︵. ︵ 明 ︶ ヲソ ル ヘキ. ︵ 浄︶. る ル. │へ ヱ. │. 明 ︶ 天 二生 セ ン コト ヲ ヱ ン ︵. ル. │へ る ヱ. ︵ 明 ︶ シ シ ム ラ フ ハヲカ サ ス. ︵ 浄︶ 明︶ ︵. │. 浄 ︶ お の/ ヽ ︵. 明︶ ︵. │. ヲ │お ツ つ │. ヲ│お ホ ほ キ き ナ な ル る. て. ︵ 明 ︶ ヲ ノ/ ヽ. 浄︶ ︵. 浄 明. │. 面︶ 浄 ︶ おも て ︵ ︵. ︵ 明︶. │. │. │. ヲ │お シ し ヱ │へ. ︵ 明︶ ヲモ テ. 終 │. │. ヲ │お ハ は レ リ. ヲ │お モ も ム 1応 、 ク く 二 に. ヲ │お ホ ほ シ し. 食 食単 ヲ を ウ│む ハ は テ. 田 直 敏 西. (101).

(18) チ 浄 ︶ 地 脚 川 よ ひも ろ /ヽ の十 六 の肺処 ︵ ︵ 明︶ 地 獄 ヲ ヨヒ諸 ノ十 六 ノ別 処. ︵ 浄︶ 火 炎 明︶ 火 炎 ︵. ︵ 浄 ︶ き え つき な ん. 浄 ︶ 帰 せさ ら ん ︵. ︵ 浄︶ かな ヘ. ︵ 浄︶. 切 の身 のか は. ︵ 浄︶. 明︶ ︵. 浄︶ ︵. ︵ 明︶. り. 貴賤. 明︶ ︵. ︵ 浄︶. コ タ. エ テ. こた へ て. 貴賤. ︵ 浄︶. │. り. 切 ノ身 ノ カ ヮ. ︵ 明︶ カ ナ ヱ. か. │へ. 明︶ ︵. ︵ 浄︶ 黒 縄 明︶ 黒縄 ︵. ︵ 跛︶. 明︶ ︵. と な ヘよ は へと も ョ ハ フ. ︵ 浄 ︶ く ゐす し て. 明 ︶ 悔 サリ シ ︵. 明︶ 血 肉 ︵. ︵ 浄︶ 血 肉. ︵ 川︶. │. ミ ′ ゝ. 他化 天. 他化 天. ト リ ヲ ハリ テ. とりおは て. 獄 フ獄ヲ 鬼 判鬼釧. 明 ︶ 帰 セサ ラ ン ︵. 叫喚 叫喚. ︵ 浄︶ 明︶ ︵. ︵ 浄 ︶ と けき え ぬ. トナ ヱ. 明 浄. │. ヱ │へ マ ま セ す ル る. 力 ヱ. 餓 力餓カ 鬼劃鬼釧. 明 浄. 明︶ キ ヱ ツキ ナ ン ︵. ︵ 浄︶ 明︶ ︵. 浄 ︶ く さ き け を さ へた る ︵. 次︶ ︵. │. 力 か ワ│ は. 浄. 明. 浄 明. シ し り り ヱ │へ. 明 浄 明 浄. ク く ハ は 明 ︶ ト ケキ ヱ ヌ ︵. │. 浄 明 浄 明. シ し ワ│ は. 夕 富 タ 菖 ツ つ ヰ │い テ て. │. 明︶ ク サキ気 ヲサ ヱタ ル ︵. 明 浄. (102) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣.

(19) 田 直 敏 西. (103). ︵ 浄 ︶ か う へを と ほし 浄︶ 浄︶ と ほ る     ︵ ︵. ︵浄 ︶. 明︶ 明︶ ト ヲ ル     ︵ ︵. ︵ 浄 ︶ まし へよ こた ふ る. 明︶ カ ウ ヘフト ヲ シ テ ︵ ︵ 浄︶. ︵明 ︶. 別時. 別時. モ ヱサ ル コト ナ シ. も えさると ころ はな し. 縄︶ ︵. 浄 明. 要引要引 文ラ文う. m 明︶  マシ ヱ ヨ コタ ヱタ ル ︵. よ み か へる へし ョミ カ ヱ ル ヘシ. 明 浄. 明︶ ︵. ︵ 浄︶ 明︶ ︵. 明 浄. │. ナ な ハ │わ. 往ζttζ 生:生 : 要 ;1要 引 集引集J. │. ︵ 浄 ︶ 首 榜 厳院. 明︶ 首 榜 厳院 ︵. であ る。  一種 の傾 向 、 ﹁ヱ﹂ ﹁ヲ﹂ に つい て、 特 異 な 傾 向 を感 じ さ せ ら れ る仮名 遣 であ る と 言 ってよ さ そう であ る。. ﹁ヲ モ ムク﹂、 ﹁ヲ ョブ ﹂ ︵ 以上 、 ○ 印 は、 歴史 的 仮 名 遣 と 一致 す るも の︶。 言 ってみれ ば 、 変 った、 印 象 的 な仮名 遣. ﹁○ ヲ シ ヱテ﹂、 ﹁ヲ ソ ルベキ﹂、 ﹁ヲ ツ﹂、 ﹁フト ス﹂、 ﹁ヲナジ﹂、 ﹁ヲ ノノヽ ﹂、 ﹁○ ヲ ハル﹂、 ﹁ヲホ キ ナ ル﹂、 ﹁ヲモテ﹂、. ﹁お﹂ 表 記 の語 を 明 性 寺 本 では ﹁ヲ﹂ で表 記 し て いる のが 目立 つ。 ﹁ヲキ テ ︵ 置︶ ︵ 於 と 、 ﹁ヲカ サズ﹂、 ﹁ヲクリ テ﹂、. ︵ 今 、 読 み やす く す る ため 、 濁 点 を付 し て示 し た︶、 異 様 な く ら い、 ﹁ヱ﹂ を多 用 し て い る。 ま た、 浄 福 寺 本 では. ︵ 得 と 、 ﹁カ ナ ヱ﹂、 ﹁カ ヱリ ミ﹂、 ﹁キ ヱツキ﹂、 ﹁シリ ヱ﹂、 ﹁サ ヱタ ル﹂、 ﹁トナ ヱ﹂、 ﹁マジ ヱ﹂、 ﹁ヨミガ ヱル﹂ な ど. 福 寺 本 と 明 性 寺 本 と を対 比 し てみ ると、 明性 寺 本 の筆 者 は、 ﹁ア ヱン﹂、 ﹁ウ バ ヱル﹂、 ﹁ウ ヱ﹂、 ﹁○ ヱド﹂、 ﹁ヱン. ﹁ 貴 クヰ﹂ ﹁ 化 ク ヱ﹂ ﹁ 華 ク ヱ﹂ ﹁ 鬼 クヰ﹂ 翌日ヲ ン﹂ な ど意 識 的 であ り、 統 一的 表 記 が行 わ れ て いると し た。 この浄. 浄 福 寺 本 筆 者 の仮 名 遣 に つい て、前 章 で、 特 別 な 仮 名 遣 の主 義 は持 って いな いが、 漢 字 音 の表 記 に つい ては、. 明 浄. ホ ほ ヱ │え ヨ さ ハ け ゥ 遮ゝ 四 四 維 L維 勲.

(20) (104) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 四   蓮 如 ﹃御 文 ﹄ の 仮 名 遣 と 明 性 寺 本 の 仮 名 遣. 明 性 寺 本 の仮 名 遣 が か な り特 異 な も の であ る こと を 、 前 章 にお い て示 し た。伝 えら れ て い る よ う に、 明性 寺 本 が. ﹁ 蓮 師 ﹂ 即 ち蓮 如 の書 写 し たも の であ れ ば 、 蓮 如 の文 章 を 検 し てみれ ば 、 仮名遣 を 通 し て、 蓮 如 筆 であ るか否 か、. 御 文 ﹂ が残 され て いる。 そ の可 能 性 の蓋 然 性 を 確 認 でき る筈 であ る。 蓮 如 に は、 数 多 く の ﹁. ﹃御 文 ﹄ に つい ては、 年 代 順 に編 集 し た稲 葉 昌 丸 編 ﹃蓮 如 上 人 遺 文 ﹄ ︵ 法蔵 館   平 成 九 年 第 六 刷 ︶ が便 利 であ るが、. 蓮 如 の仮 名 遣 に つい ては、 テキ スト の選 び方 と表 記 の調 査 に慎 重 さ が要 求 さ れ る。 同 書 の ﹁ 解 説 ﹂ に、 次 のよう に 記 さ れ て いる。. 蓮 師 は そ の時 代 の慣 習 によ り て仮 名 遣 には比 較 的 無 頓 着 であ った。 それ で ﹁局田御 文 ﹄ 編 集 に際 し ては仮名遣. を 一定 せ ん と す る意 向 が あ った と 見 え て、 種 々 の点 で之 が見 認 め ら れ る。中 にも著 し き は、 於 を蓮 師 は多 く の. 場 合 にオ イ テと 書 か れ た のを ヲイ テと改 め てあ る。 尤 も こ の仮 名 遣 の方 針 も そ の後 多 少 の変 化 を経 て、 ﹃五帖 高 田御 文 ﹄ と の間 に左 の如 き差 異 が見 出 さ れ る。 御 文﹄ と ﹁.   置万  送刀”   教死ヽ   自万%”   終忍”   願再”   加懲車 於習着   渫男車   可笑務″.   愚認励   基言叫   覚鮮 一   聞貫一   幸H箱   申再森 趣翼韓  及翼ガ   忽翼名  参石”.    掟 聟 着   起 聟 ”     通罵 剛  直 樽 ”   落 聟 ”    同聟 幻 今宵 翼叫   選 努″ 盆 覇側む. 六〇 四 ページ.

(21) 田 直 敏 西. (105). 御 文 ﹄ にお け る蓮 如 の仮名 御 文 ﹄ の現 存 す るも のは、 稲 葉 氏 によ れ ば 、 五 十 四通 であ る。 真 筆 の ﹃ 蓮如 真 筆 の ﹃. 御 文﹄ 遣 が、 当 時 の 一般 的 な 仮 名 遣 と か け はな れ たも の であ って、 異 様 な印 象 を 与 え ると ころが あ った た め に、 ﹃. 写本 が ま と め ら れ た際 に、 仮 名 遣 の統 一、 整 理 が計 ら れ た と いう こと であ ろう。 な お、 コ同田御 文 ﹄ は、 越 後 高 田. 十 帖 御 文 ﹂。 元 禄 頃 ま では、 十 帖 あ った が、 享 保 二年 ︵一七 一七 ︶ には、 三帖 欠 け て七 帖 にな り、 現存 本 誓寺 の ﹁. し ている と いう。 ﹃五 帖 御 文 ﹄ は、 證如 開版 本 で、 漢 字 仮 名 の使 用 に於 て、 蓮 如真 筆 本 に近 いが、 仮 名 遣 は改 め て あ ると いう。. 0 3 5 6 9 0 ︲ 2 5 0 5 文 明 五年 九 月 ∼ 文 明 今 、 稲 葉 氏 が真 筆 と す る第 9 2 o3 .3 o3 ・3 ・3 ・4 。4 。4 o4 ・5 .5通 の十 一通 ︵. 蓮 如 上 人遺 文 ﹄ の 六 年 二月 ︶ に つい て、 仮 名 遣 を 調査 し て、 蓮 如 の仮 名 遣 の実 態 を 明 か にし よう と思 う。 な お、 ﹃. 、 、 0 。 、 ﹁ 御 文 ﹂ 第 1通 か ら 第 8 2通 ま では 全 て写本 であ る 表 記 に つい ては 第 4通 のみ が漢 字 平 仮 名 で 他 は漢 字 片 仮. 蓮 如 上 人遺 文 ﹄ を テキ スト に用 いる の で、 同 書 の表 記 の通 り に記 す こと にし た。 名 であ る が、 こ こ で は、 ﹃. こ ゝろ ゑが た き 次 第 な り. 第9 2通. お ほ せ さだ め ら れ た り 一向 宗 と いふ こと は お ほき な るあ やま りな り つぶ さ に い へば 浄 土 真 宗 と いふ 他 宗 には宗 の字 にご り て つか ふな り. ︵ 蓮 崇本 ︶.

(22) (106) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 0通 第3 本 宗 にお い て いか や う な る子 細 に てさ ふ ら ふ や ら ん こた へて いはく お ほ よす 経 文 を み る に 一向 専 念 無 量寿 仏 と と き た ま へり も は ら死 量 寿 仏 を 念 ず ると い へる こ ゝろ によ り て、 子 細 も な く き こえ た り 開 山 にお い ては ⋮ ⋮浄 土 真 宗 と こそお ほ せ ら れ た り 雑 行 を ゆ るす が ゆ へに 雑 行 を き ら ふが ゆ へに こ の いはれ あ る が ゆ へに 真 の字 を く は へて 分 明 にき こえ お は り ぬ く は し く う け た ま は り は ん べら んと お も ふ な り 当 流 のお も むき は そ の信 心 と いふ は な に のわ づ ら ひも な く これ を も て安 心 決 定 と はま ふす な り.

(23) 田 直 敏 西. (107). た ゞ と な へて は た す か ら ぎ る な り そ の お し へを う け て これ す な は ち. 3通 第3 当 時 門 徒 にお い て そ の いはれ は いみ じ く お も はれ んず る が誠 に仏 法 の肝 要 た るや う に こ ゝろ え お き た り つゐ に天 間 三途 にし づ ま ん そ の信 心 と いふ こと は か つて是非 の沙 汰 にお よば ざ るあ ひだ 真 実 の極 楽 往 生 を と ぐ べき いはれ な るが ゆ へな り. 5通 第3 筆 を そ め お き つる文 ど も な り 文 林 のお か し き こと も あ り ぬ べし. ︵ 行徳 寺 蔵 真 筆 本 ︶. 茨 城 別院 蔵 真 筆 本 ︶ ︵. そ の掛 酌 を な す と い へど も す でに こ の 一帖 の料 紙 を こし ら へて書 写 を せ し む るあ ひだ ち か ら な く ま づ ゆ るし お く も のな り.

(24) (108) 明性寺本仮名書 き『往生要集』 の仮名遣. これ を そ な へら る べき も の な り. 第6 3通 心 得 のと ほ り そ のす え ´ヽ 門 徒 ま でも な ら は ぬす ま ゐを す る に よ り て 本 病 のお ゐ物 な ん ど も いた く お こり て 徒 に 日月 を お く り な ん と す る事 まづ 帰 坊 せ じ め お は り ぬ 冬 の路 次 中 難 義 な ろう へ命 を か ぎ り に 当 年 も 此 方 にお い て 藤 嶋 よ り か へり て のち 心 にう か む と を り か き じ るす も のな り. 9通 第3 そ の御 恩 を お も ん じ申 さ ぬ人 これ あ る べか ら ず 大 儀 のわ づ ら ひを いた さ れ て 御 仏 事 を 申 サると いふ と も. ︵ 西光 寺 蔵 真 筆 本 ︶. ︵ 行徳 寺 蔵 真 筆 本 ︶.

(25) 田 直 敏 西. (109). 水 いり てあ か お ち ず な ん ど い へる風 情. 行 徳 寺蔵 真 筆 本 ︶ ︵. そ のゆ へは ま づ 他 力 の大 信 心 と い へる事 を 決 定 し て のう への仏 恩 報 尽 と も師 徳 報 謝 とも申 べき事 な り し か り と い へど も あ ひか ま へて明 日よ り信 心 決 定 せ じ め給 は ゞ 聖 人 の報 謝 にも あ ひそな は り つべく おぼ へは ん べれ こ のお も む き を よく /ヽ こ ゝろゑら れ て報 恩 講 のう ち にお い て 聖 人 の御 素 懐 にも ふか く あ ひかな ふ べき も のな り な が ら へて あ ふぞ う れ し き のり にあ ひ ぬ る身 こそ た ふ と き 又 霜 月 にあ は ん事. 第0 4通 報 恩 講 の間 にお い て⋮ ⋮ ⋮信 心決 定 し給 へる由 き こえ た り 信 心 のみ ぞ を さ ら へて弥 陀 の法水 を な が せ と い へる事 のあ りげ に候 よく ノヽ こ ゝろ え ら る べし そ のゆ へは 物 な ん ど の いま はし く お も ふ心 は.

(26) (110) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. こと に在 家 の身 は、 世 路 に ほ こり て、 あ る ひ は子 孫 な んど の繁 昌 を おも ひ 目 にみ え てあ だ な る人 間 界 の老 少 不定 のさ か ゐと し りな が ら 三途 八難 にし づ ま ん こと を ば いたづ ら にあ か し く ら す これ つね の人 のな ら ゐな り あ さ ま し と い ふ も お ろか な り 追 徒 ま うす 心 女 人 のた め にお こし給 へる本 願 弥 陀 如 来 の御 方 便 よ り お こさ し む も のな り と お も ふ べし 信 心 を ゑ た る人 こ のく ら ゐを か く のご と く 心 ゑ て のう への称 名 念 仏 はわ れ ら が往 生 を やす く さ だ め給 へる これ に つい てま づ 当 流 のお き てを よく /ヽ ま も ら せ た ま ふ べし. そ のゆ へは、 あ ひか ま へて いま のご と く信 心 を ゑ た ま はば、   一心 のうち にふか く お さめ おき て他 宗 他 人 に対 し て、 そ のふ る ま ゐを み せず さ のみお ろ か にす べか ら ず 信 心 のか た も そ のふ るま ゐも 聖 人 も よ く 心 ゑ た る信 心 の行 者 な り と はお ほせ ら れ た り 当 山 の多 屋 内 方 へま ひら せ候.

(27) 敏 直 田 西. (111). な を /ヽ 不審 の事 候 は ゞか さ ね てたづ ねと はせ た ま ふ べく候 弥 陀 のち か ひ か き お き し のり の こと のは. ︲通 第4 そ の信 心 と いふ は な に の用 ぞ と いふ に弥 陀 の浄 土 へま ひりな んず る た め の出 立 な り 諸 神 諸 菩 薩 にお い て こ ゝろを う し な ひ、 又 わ ろき 自力 な ん ど いふ ひが お も ひを も な げ す て ゝ す てた ま はざ るも のな り ね ても お き ても つね にま ふす 念 仏 は か や う に こ ゝろ ゑ た る人. と こそ お ほ せ ら れ た り. ︵ 行徳寺蔵真筆本︶. こ のほか にな を 信 心 と いふ こと のあ り と いふ人 これ あ らば、 お ほき な るあ や ま りな り こ の文 にし るす と ころ のおも むき は こ の分 を よ く /ヽ こ ゝろ ゑた ら ん人 々 はあ ひか ま へて 一切 の諸 法 にお い てそし りを なす べか らず 当 流 のお き て 聖 人 の いはく、 た と ひ牛 ぬす 人 と は いは ると も. ︵ 行徳寺 蔵 真 筆 本 ︶.

(28) (112) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 2通 第4 是 は聖 教 よ み のわ ろき を な を さ む が 為 也 い は れ を く はし く存 知 す べき な り そ のゆ へは、 罪 を い へば 当 国 加 州 両 国 の間 にお い て そ の こと ば あ ひか は れ り と 云云 法 流 を 相 承 な き いはれ な り あ る ひ は聖 道 のは て な ま じ ゐ に自 骨 に了 簡 を く は へて人 を へ つら ひた ら せ る いはれ な り 往 生 の正 業 と す と み ゑ た り 善 導 此 南 無 阿 弥 陀 仏 の六 字 を釈 し て のた ま はく 南 無 と いふ はす な は ち これ帰 命 な り 光 明 のな か にお さ め お き てす てた ま はざ るな り こ のお も む き を よ く こ ゝろ ゑ た るを も て こ のう への行 住 座 臥 の念 仏 は 此 外 にな ほ ふ か き 信 心 と いふ い は れ あ り. ︵ 能登 正 福 寺 蔵真 筆 本 ︶.

(29) 田 直 敏 西. (113). 5通 第4 す た れ た りと い へど も 、 いまだ当流 の真 実 の法 義 にはも とづ かざ りき 吉 崎 の山 上 にお い て 一字 を む すび て お よ そ仏 法 のお も む き は ひ ろまれ る や う にき こえ た り あ ま ね く し ら ざ る が ゆ へな り とおも ふ べき も のな り 弥 陀 の報 土 へはむ ま る ゝも のなり わ ろき 自 力 の ひが お も ひ う た が ひ の心 そ の身 を 光 明 のな か にお さめ とり て す で に命 お は りな ば 弥 陀 の報 土 へか な ら ず む か へ給 べし か く こ ゝろう るう へには、 た と ひ念 仏 ま ふす と も か や う に こ ゝろ ゑ た る人 を ば 、あ る ひは 一念 発 起 の行 者 と も な を /ヽ こ ゝろう る べき む ねあり あ な が ち にお ろか にす べか ら ず よ く ノヽ こ のお も む き を こ ゝろう べき も のな り. 第0 5通 人 々 にお い ては. 行 徳 寺 蔵真 筆 本 ︶ ︵.

(30) (114) 明性寺本仮名書 き『往生要集』 の仮名遣. ふ か く 心 底 にた く は ゑ て 此 お も む き をも て む な し く地 獄 にお ち ん事 を か な し み お ぼ じ め し て つゐ に仏 法 にす ゝめ いれ じ め ん た め の方 便 に神 と はあ ら はれ た ま ふなり 信 ず る い はれ のあ る が ゆ へな り 弥 陀 一仏 に帰 し た てま つれ ば す な はち 諸 仏 菩 薩 に帰 す る いは れ あ るがゆ へに 先 達 よ り う け た ま は り つた へし がご と く 仏 智 の不 思 議 な り と こ ゝろ ゑて そ のと き の命 のぶ れ ば 、 自 然 と多 念 にお よ ぶ道 理 な り 一念 往 生 治 定 のう への仏 恩 報 尽 の多 念 の称 名 と な ら ふと ころな り 外 相 にお い て当 流 念 仏 者 のす が たを 他 人 に対 し てあ ら はす べか ら ず 真 宗 の信 心 を ゑ た る行 者 のふ るま ゐ の正 本 と な づ く べき も のな り. 5通 第5 静 にお も ん み れ ば. ︵ 城 端 別院 蔵 真 筆 本 ︶. た と ひ又 栄 花 に ほ こり栄 耀 にあ ま ると いふ と も 盛 者 必 衰 会 者 定 離 のなら ひな れ ば ひさ し く たも つべき にあ らず 五 十 年 百 年 のあ ひだ の こと な り 他 力 の信 心 を ゑ て 往 生 を と げ ん と お も ふ べき な り.

(31) 才 学 も いら ず 富 貴 も 貧 窮 も いらず 衆 生 を 光 明 のな か に摂 取 し てす てた ま はず し て か な ら ず 浄 土 にお く り給 な り 浄 土 に往 生 す る事 のあ ら や う も いら ぬと り や す の安 心 や 一心 一向 に如 来 を た のみま ひらす る信 心 一ッに て あ ら こ ゝろ ゑ やす の安 心 や 昼 夜 朝 暮 にと な ふ ると ころ の名号 か へす ハヽ 仏 法 に心 を と ゞめ てと り やす き信 心 のお も む き を存 知 し て. ︵ 行徳 寺蔵 真 筆 本 ︶. 蓮如 真 筆 ﹁ 御 文 ﹂ 十 二通 の仮 名 遣 を まと め てみ る と 、 次 のよ う にな る。 番 号 は第 何 通 を 示 す 。 ○ 印 は歴 史 的 仮 名 遣 と 一致 す るも の。. 0 0 3 55 0 0 0 oあ は ん 0 4   。ぁ ひか はれ り 4   。ぁ ひか ま へて 4   。ぁ ひだ 3 3 5   oあ ふ 4   。ぁ ら はす 5   。ぁ ら はれ 5. つ. 45. つ た が ひ. │. 信 ′ い を ゑ た る 人. │. つ へ. 40 42 45 50. │. 0 3 2 0   。ぃ へど も 2 5   oいま はし く 0 2 5 定 家 仮 名 遣 あ る ひは︶ oいた づ ら に0   。ぃ はれ 3 あ る ひは 0 44 4 34 5 4 444 ︵ 55. 3 ︲ 20 6 ︲5 3 0 お か し︶ 定 家 仮 遣 名 心 ゑ て0 4 5    心 ゑた る 4 4   oこころえ 3   oお い て4 4 5    ぉ ゐ物 3    お か し さ 3 ︵ 5 0 02 5 0 。ぉ き て0 4   。ぉ く り給 な り 5   oお こし給 へる 4    ぉ さめ お き て4 4    お さ め と り て4    お し へ3   。地 獄 にお ち ん 0     ぉ は り な ば 5    お は り ぬ 0 6   oお ぼ じ め し て0   。ぉ ほ せ ら れ た り 0   。ぉ も は れ んず る 4 5 4 3 3 5 0 5 3 0 ︲ 2 50 5 5 3   oお も ひ 0 ︲ 5   oお も ふ 0 55 3 4   oお も む き 3 4 4 4 5 5   oお よ そ 4   oお よば ざ る 3   oお よ ぶ 5   。 3 444. 40 50 55. │. つ し な ひ 41. │. け た ま は り 30 50. │. い り ぬ. 田 直 敏 西. (115).

(32) l ri 36 42. ふ. な c. わ. ま. な. ○ 遮ゝ│な. む 136 は ││: ま 39ぬ t る 36 六. i. o gl営. ふ. │. 712讐. 1書. :): 務. 1嬌. 2模. 42 マ. 31. 。. O. 45ま. に. 1表. il:´. 異45. 給 べ し. 御 文 ﹂ に、 ゆれ のあ る語 が 名 遣 意 議 を持 って蓮 如 が書 い て いた か と 言 えば、 半 年 あ ま り の間 に書 か れた十 二通 の ﹁. も 一種 の仮 名 遣 意 議 と も 見 ら れ る。 当 時 の発 音 では、 語 頭 の ﹁お﹂ は ︹   一貫 し た 一定 の仮 匡3 であ った。 但 し、. の語 な ど に つい ては、 仮 名 遣 意 識 も あ ったと思 わ れ る。 ま た、 語 頭 には ﹁ お﹂ を 用 い て ﹁を ﹂ を 用 いな いと いう の. は比 較 的 無 頓 着 であ った﹂ と いう よ う な こと は必 ず し も な く、 蓮 如 が和 歌を詠 んだ と いう こと も あ って、 ﹁は行 ﹂. 蓮 如 上 人 遺 文 ﹄ に いう よう に ﹁ 用 い方 に 一定 の傾 向 が見 てと れ る。 蓮 如 の仮 名 遣 は蓮 如 自 身 に つい ては ﹃ 仮名遣 に. 3あ り︶ な ど、 を 用 い ている も の、 ﹁ 信 心 を ゑ た る﹂ ﹁ 心 ゑ﹂ のよ う に ﹁ゑ﹂ を 用 い て いるも の ︵ 但 し ﹁こ ころえ﹂ 3. 、 ﹁たま ふ﹂、 ﹁と な ふ﹂ な ど必 ず ﹁は﹂ 行 る。 語 と し て は ﹁あ る ひ は﹂、 ﹁う へ﹂、 ﹁いはれ﹂、 ﹁す な はち ﹂、 ﹁お も ふ﹂. ど 、 ゆれ のあ る も のも あ る が、 語 頭 は全 て ﹁お ﹂ であ って、 ﹁ を ﹂ は用 いら れ ていな い のよ う に 一貫 し たも のも あ. 蓮 如真筆 ﹁ 御 文 ﹂ の五 分 一程 の範 囲 であ るが、 ﹁ま う す︱ ︱ ま ふす ﹂、 ﹁ な ほ︱ ︱ な を ﹂、 ﹁み え て︱ ︱ み ゑ て﹂ な. そ. 13な か り │ ま な り Oす 42040 ひ │ら 36っ る く o り ゐ│ た 550ら. │. こ罵恵 1寒 ほ ら つ 1 40 55 く 45. (116) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣.

(33)   つい筆 写者 の仮名 御 文 ﹂ の写 本 に、 仮 名 遣 の相 違 し たも のが多 い の は、 数 語 見 え る こと か ら、 そう は言 え な い。 ﹁. 遺 文 ﹄ の説 く よ う に仮 名 遣 の統 一が計 ら れ た結 果 であ る。 それ だ け蓮 如 の 遣 で写 し てし ま った か、 更 に、 後 に、 ﹃ 仮 名 遣 が当 時 一般 に行 わ れ て いた仮名 遣 と異 ると ころ が あ った と言 え る。. 御文 ﹂ 真 筆 の仮 名 遣 を比 較 し てみ ると、 ﹁ヲ﹂ ﹁を ﹂ と ﹁オ﹂ ﹁お﹂、 ﹁ヱ﹂ さ て、 明性 寺 本 の仮 名 遣 と蓮 如 の ﹁. ﹁ゑ﹂ と ﹁工﹂ ﹁え﹂ ﹁へ﹂ ﹁へ﹂ にお い て対 照的 と も 言 え る大 き な相 違 が あ る。 こ の違 いは、 同 一人 物 が仮 名 遣 にお. 拙 稿 ﹁明性寺 い て、 か く も 違 った書 き方 を す る筈 が な いと思 わ れ る程 であ る。 但 し、 既 に指 摘 し てお いた よ う に ︵. 直. 敏. 訓 み下 し文 の作 成 者、 明性 寺 本 の主 た る書 写者 ︶ が蓮 如 であ る可能 性 は薄 い。 明 性 寺 本 の画書 き の り、 そ の人 物 ︵. た 可 能 性 が大 であ る。 そ の訓 み下 し文 が誰 の手 にな るも の であ った かも 不 明 であ る。 が、 仮 名 遣 の特 色 か ら見 る限. は ま だ な い。 ま た、 こ の時 に、 ﹃往生 要 集 ﹄ の振 り仮 名 つき 訓 み下 し文 が存在 し て い て、 そ れ を傍 にお い て書 写 し. の人 物 によ って書 写 さ れ た こと が明 か であ る の で、 主 と し て書 写 の作 業 に当 った人 物 が蓮 如 であ った か ど う か確 証. 、 、 甲 南 国文 ﹄ 第 3 本 仮 名 書 き ﹃往 生 要 集 ﹄ に つい て ﹃ 4号   平 成 八 年 二月 ︶ 明性 写本 は 片 仮 名 字 体 の異 り か ら複数. 田. お. わ. り. に. 蓮師御筆﹂ と伝 えられ ている点 で、重要なも のであろう。 る点 で、大変貴重 な資料 であ る。宗教的 には、﹁. 往生要集﹄ は、書写 の年月 日が明記 され ていて、 この本を与えられた人物も は っきりし てい 明性寺本仮名書 き ﹃. 五. 残 さ れ て いな いわ け ではな い。. 往 生 要 集 ﹄ の書 写 を指 揮 し て完 成 さ せ た人 物 が蓮 如 であ った 可能 性 は 如 く、 安 養 寺 の釈 浄 性 に与 え た人 物、 この ﹃. 西. (117).

(34) (118) 明性寺本仮名書 き『 往生要集』 の仮名遣. 本 稿 では、 仮 名 遣 と いう視 角 か ら明 性 寺 本 を解 析 し てみ よう と し た。. ま ず 、 明 性 寺 よ り 早 い時 期 のも のと し て、 浄 福 寺 本 仮 名 書 き往 生 要 集 の仮 名遣 の特 色 を 明 か にし た。 次 い で、 明. 性 本 と浄 福 寺 本 の仮 名 遣 を対 比 し た結 果 、 同 様 に、 ﹃往 生 要 集 ﹄ を 訓 み下 し文 にし たも の であ り な が ら、 そ の仮名. 遣 に は際 立 った違 いが あ る こと を 明 か にし た。 明性 寺 本 の ﹁ヲ﹂ ﹁ヱ﹂ の仮名 遣 には特 異 と さ え言 え るも のがあ る。. こ の特 異 な仮 名 遣 が 蓮 如 真 筆 の ﹁ 御 文 ﹂ の仮 名 遣 に見 出 せ れ ば 、 ﹁ 蓮 師 御筆   往 生 要 集 ﹂ の画 書 き を実 証 す る有 力. な 証 拠 と な る筈 であ った。 が、 解 析 の結 果 は、 む し ろ明 性 寺 本 の仮 名 遣 と ﹁ 御文 ﹂ 真 筆 の仮 名 遣 と は、 か な り距 離 の遠 いも の であ って、 と う て い同 一人 物 の仮 名 遣 と は考 え難 いも の であ った。. し か し な が ら、 明 性 寺 本 の仮 名 遣 は、 確 か に室 町 時 代 十 五世 紀 半 頃 の京都 ・近 江 に こう し た仮 名 遣 を し た人 物 が. い て、 周 囲 に影 響 を 及 ぼ し も し た であ ろ う と考 えら れ るも の であ る。 こ の時 代 の仮名 遣 は、 蓮 如 の ﹁ 御文 ﹂ も ﹁ 無. 頓 着 ﹂ に書 か れ た と 言 わ れ て いる が、 本 稿 に示 し た よ う に、 解 析 し てみ ると、 ゆれ も多 少 あ る が 一定 の傾 向 、 仮名 遣 と 呼 べる よ う な 方 式 も 認 め ら れ る の であ る。.

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