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「コミュニケーションレポート 2009」 CSRレポート | CSR | ワコールホールディングス

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世の女性に

美しくなって貰う事によって 広く社会に寄与する事こそ

わが社の理想であり 目標であります

ワコールの目標

わが社は相互信頼を基調とした 格調の高い社風を確立し

一丸となって 世界のワコールを目指し

不断の前進を続けよう

社 是

1.愛される商品を作ります

2.時代の要求する新製品を開発します 3.大いなる将来を考え正々堂々と営業します 4.より良きワコールは

  より良き社員によって造られます 5.失敗を恐れず成功を自惚れません

経営の基本方針

ワコールの経営理念

 ワコールは創業以来、常に女性の価値観や美意識を見つめ、時代 を超えて「美」の本質を追求してきました。わたしたちの事業活動は、 一人ひとりのお客様の声に耳を傾け、謙虚に自らを変革し、人と人 とが互いに信頼しあう関係を積み重ねることで成り立っています。   「相互信頼」の経営理念はすべての原点であり、ワコールのCSRの 目標でもあります。創立60周年を機に、全従業員がこの理念を再確 認し、さまざまなCSR課題に真摯に取り組んでいきます。

 「相互信頼」は、ワコールの創業期に端を発する、今 日の経営の原点である。

 創業者・塚本幸一は私たちに「相互信頼」の神髄を伝え てくれた。創業者は述べている。

 ワコールは、単なる営利主義で創業されたのではな い。「生かされ与えられた人生を世の為人の為に何かを つくさんとして」始められたのであり、「事業を通じて人 間社会の生き方を研究」した結果、「相互信頼の基調が人 間社会にとって一番大切であり、人間集団の生活にとっ て最高のものである」ことを、私たちは「歴史と伝統の中 に作り上げて来た」…と。

 かりに、「相互信頼」の言葉がなかったとしても、 ワコールはそれなりに事業を継続し発展してこられただ ろう。しかし、時を経て振り返ったとき、「相互信頼」な しで歩んできた道を社会に向けて堂々と誇ることがで きるか、「相互信頼」なしで得た事業成果を心の底から喜 び合うことができるか、そういった疑問は残るだろう。

 たしかに、「相互信頼」という言葉がなくても、ワコー ルは企業として動き続けることができる。

 しかし、「相互信頼」がなかったら、ワコールの「精神」 や「志」が失われてしまうと、私は思う。

 人と人は互いに信頼しあえてこそ幸福になれる。こ のことは企業の中でも、企業同士でも、企業と社会の 間でも同じであり、五十年前でも、五十年後でも変わ ることのない、永久の真理である。

 「相互信頼」を基調とした社風を確立し、そして人間 尊重の会社を築くこと。

 創業者の目指したこの理想の精神を引き継ぐことも、 次代を担う私たちの重要な任務なのではないだろうか。

       株式会社ワコールホールディングス

       代表取締役社長  塚本 能交

(2001年刊『お客様とともに』より抜粋)

(3)

CSRの目標

「社会との相互信頼づくり」

◆◆◆

お客様

地域社会

行政

NPO NGO

ビジネス パートナー

従業員 株主様

※ステークホルダーとは、企業にかかわる、さまざまな利害関係者のことです。

【ワコールとステークホルダー】

 ワコールは、社是として「相互信頼」経営をうたっています。これは労使双方の関係の中で、徹底 して従業員を「信頼する」ところから始まった、会社と従業員の「相互信頼」関係のことです。  そして、会社とお客様、会社と取引先企業様、会社と地域社会、会社と株主様も含め、広く社会 との関係のありようについての考え方として、現在に至っています。

 社会から信頼され、私たちもまた社会の要請と期待に応える…、そうした関係があって初めて健 全な企業活動が遂行され、永続できると考えるからに他なりません。

 CSR (Corporate Social Responsibility)とはまさにこうした考え方であり、その意味で ワコールは創業以来、CSRを常に視野に入れて、事業に取り組んできたと言っていいでしょう。

 企業は、その経営に必要なさまざまな資源を社会から調達しています。土地、エネルギー、人材、 多くの原材料…。

 これらは「市場に」ではなく「社会に」存在しています。もし、その社会から企業が信頼されていな ければ、企業経営そのものが成り立つはずがありません。

 ワコールはこれからも、決して市場だけを見るのではなく、市場が存在する社会への配慮と貢献 を念頭において、事業活動に取り組んでいきます。

(4)

目 次

「女性のからだ」についての膨大なデータは、まさに社会的資産です

ワコール人間科学研究所

         

5

“品質という会社の良心”を黙々と担う

品質保証部 商品試験センター

         

7

「メタボ解消」という社会的課題に挑んだ、メンズ「クロスウォーカー」の開発

ウイングブランド事業本部 メンズインナー部 企画生産課

         

9

「商品の“売りっぱなし”は会社として親切じゃない」

広報・宣伝部 WEB・CRM企画課 <スタスタ部>

         

11

「女性のこころ」を社会学的アプローチから調査・研究

広報・宣伝部 心理マーケティングルーム ココロス<COCOROS>

         

13

共感広がる「ブラ・リサイクル」

∼不用なブラジャーを回収して固形燃料化∼

         

15

ワコールのコーポレート・ガバナンス体制         

18

障がい者雇用率の数字だけでなく、

「本当に働きやすい職場づくり」が大切です         

19

ファッションの変遷を示す、

膨大なコレクションの「収集・保存・研究・公開」に取り組む         

21

乳がんの早期発見を呼びかけるピンクリボン活動         

23

「女性共感企業」を目指すワコールならではの多彩な社会貢献活動      

25

「相互信頼」というワコールの理念が、

今こそ、より広く社会で語られていく必要があるのではないか       

27

インナー・ストーリー ①

環境保全の取り組み

ワコールの経営理念         

1

CSRの目標 「社会との相互信頼づくり」         

2

CSRを支える“隠れた物語”         

4

会社概要         

29

編集後記         

30

インナー・ストーリー ②

インナー・ストーリー ③

インナー・ストーリー ④

インナー・ストーリー ⑤

コンプライアンス&ガバナンス

人材多様性

文化活動

社会貢献活動&社会貢献事業 ①

社会貢献活動&社会貢献事業 ②

(5)

 2005年にCSR報告書を発行して以来、この種の冊子としては今年で5回目と なります。

 昨年は「脱・報告書宣言」と題し、報告書のガイドラインからは自由な立場に立っ て、現場の多彩な取り組みと、その担い手の“熱い想い”にスポットを当てた冊子 として発行しました。

今回も、制作に際しての基本的な姿勢は前回と同様ですが、「CSRを支える“隠れ た物語”」という表題を掲げているように、結果としてさまざまなパフォーマンス に結実する、いわばそれらを支える“隠れた取り組み”にスポットを当て、5本の インナー・ストーリーとしてまとめました。5つの物語のうちの3つは、最近のヒ ット商品である「スタイルサイエンス」、なかでも「クロスウォーカー」の開発を支 えた部署と従業員に光を当てたものです。

 紹介している、ワコール人間科学研究所や商品試験センターなどは、基礎的な 研究や地道な実験に取り組んでいる部署であり、いわばお客様には見えない“バッ クヤードでの仕事”です。しかし、こうした部門・部署での日々の研究・努力が、新 たな商品開発と最前線での販売を支え、“お客様満足の実現”というCSR課題を縁 の下で担っています。

 デザイン部門もしかり。また、商品を購入してくださったお客様を支える「ス タスタ部」の活動や、「下着の心理学」に取り組む「ココロス」の研究も、そこに共通 しているのは「トップメーカーとしての社会的責任を果たしたい」という従業員一 人ひとりの意識です。そして、彼ら・彼女らの意識とアクションが、ワコールの CSRを、その内部(インナー)で支えていると思うのです。

 考えてみればワコールにとって、「インナー」という言葉は極めてコンセプチュア ル(本質的)な言葉です。決して表には出ないけれど、女性を内面から支え、「美」を 見えないところで支えるインナー。それは当社の商品であるだけでなく、老若男 女すべての人の「内面からの美」を支える企業、ワコールそのものと言っていいか もしれません。今回の冊子は、そんな視点に立って企画・編集しました。

 CSRを支える“インナー・ストーリー”……。ご一読いただき、ご意見をお寄せ いただければ幸いです。

(6)

は158カ所に及び、これを毎年、4歳から 69歳までの女性約1,000人を対象に実施。 40数年間の人数は実に約3万5,000人。 それは日本人女性の体型変化を見るうえで も貴重なデータであり、いわば社会的資産 と言ってもいいものである。

 データのなかには同一人物を4歳から 18歳まで追跡したものや、成人女性の妊 娠から出産、また産後1年に至るまでの体 型変化を追跡したものも含まれる。まさに 「女性のからだ」の研究においては世界をリ

ードする実績を残してきた。

 しかし、人科研が担うのは基礎研究だけ ではない。「それをカタチにする新製品開 発もまた人科研の役割」と所長の篠﨑彰大

ワコール人間科学研究所 所長 

篠﨑 彰大

インナー・ストーリー ①

「基礎研究」と「新製品開発」の

両方を担う

 キレイを科学する。ワコールの商品づく りの原点には、常にこれがある。膨大なデ ータの分析による「基礎研究」、それをカタ チにする「商品開発」、そして商品を安全に お届けするための「品質管理」。この3つが 結びついてはじめて、ワコールの商品は誕 生し、市場に送り出されていく。  そのなかの、膨大なデータの分析による 「基礎研究」を担当するのがワコール人間 科学研究所だ(以下、人科研)。1964年の 設立以来、40年以上にわたり日本人女性 のからだの計測を続けてきた。計測部位

 「女性のからだのかたち、動き、感覚を 知ること」は、ワコールのものづくりの原 点である。ワコール人間科学研究所の歴史 は、文字通り「人体測定」の歴史と言ってい い。その膨大なデータは、さまざまな商 品開発の土台となってサポート。“はいて 歩けばエクササイズ”の「スタイルサイエン ス」商品群も、ここから誕生した。

「女性のからだ」についての膨大なデータは、

まさに社会的資産です

(7)

は言う。「私たちは科学と技術を区別して 考えている。科学の目的が新しい知識を得 ることなら、技術はそれを何らかの形で人 間の役に立てようとすることです。その両 方をカバーするのが人科研です」。すなわ ち、基礎研究も商品開発につながってこそ 意味を持ち、そこではじめて科学が本来の 役割を果たす、というわけである。

「スタイルサイエンス」誕生の

きっかけは、ある女性研究員

の熱い思いだった

 そんな視点に立って、人科研ではこれま でも数々の新製品開発を手がけてきた。そ のなかに、最近のヒット商品として消費者 の支持を集めている「スタイルサイエンス」 と呼ばれる商品群がある。

 2005年に発売した、「ヒップウォーカ ー」、2006年の「おなかウォーカー」、そ して2008年に、メンズ用を含めて世に送 り出した「クロスウォーカー」。これらは 「スタイルサイエンス」と名づけられている ように、まさに「からだを科学する」ことに よって開発された商品群である。

 きっかけは「着ている時だけ美しくて、 脱ぐと元のからだに戻るのではなく、体型 そのものを美しく変化させるインナーウェ アが開発できないか」という、人科研の女 性研究員の熱い思いだった。

 外観をととのえるファンデーションでは なく、「身につけて歩けばエクササイズ」と なるような画期的な商品群の開発…。  ポイントは、からだに適度な負荷をかけ ることで歩幅を広げ、体脂肪の減少やから だの引き締まりが期待できるという点にあ る。しかしそれは文字通り、トライ&エラ

ーの連続だった。当初は、研究所のスタッ フたちが自分のからだにテーピングをして 負荷を測ったり、さまざまな部署の従業員 や販売を担うビューティーアドバイザーた ちが試作品を着用して、改良が加えられ ていった。その人数は1,000人を超える。 さらに研究所に登録いただいている1,000 人の試着モニターを対象に、着用効果の測 定が繰り返されたのはもちろんだ。  こうした地道な研究とテストの積み重ね から誕生したものが、「クロスウォーカー」 に採用されている独自のクロス構造[特許 第3924586号]である。太もも部分の生 地にほどこされたクロス構造が、大腿四頭 筋に適度なテンション(負荷)を与え、歩幅 が自然に広がって、筋肉を今まで以上に使 うエクササイズ歩行を可能にする。これに よりエネルギー消費量が増大し、体脂肪 の燃焼が期待されるというメカニズムだ。 女性のみならず、男性モニターによる3カ 月間の着用テストでも、約9割の人の体脂 肪率が減少し、約7割の人が体重減少、約 8割の人で腹囲が減少するという結果(日 本肥満学会に発表)が得られたのである。

「スタイルサイエンス」の着用実験結果を学会で発表

 人科研では「スタイルサイエンス」商品の着 用結果について、男性用については第28回 日本肥満学会(2007年10月)で、女性用は平 成20年度人間工学学会関西支部大会(2008 年10月)で発表し、大きな注目を集めました。 いずれもモニターによる3カ月にわたる長期 着用実験に基づいた結果を公表したものです。  それによると、44人の男性モニターに中 性脂肪やHDLコレステロール、空腹時血糖、 インスリンなど7項目の血液検査を行ったと ころ、実験開始時には6例あったメタボリッ

クシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者が 4例減り、2例になっていることがわかりま した。

 女性の場合は、ヒップ高が高くなった人が 27人中18人、乳頭部が腹部より突出した美 しいシルエットになった人が27人中19人な ど、「スタイルサイエンス」商品は日常生活にお ける歩行だけで、その運動効率を高めてから だを引き締め、プロポーションを美しくする 有力な手段として期待できる可能性が示唆さ れました。

「さまざまな着用テスト結果から、1日に 6,000歩以上歩くことと、1週間に5日以 上着用すること、それを1カ月以上継続す ること。この目安さえ守ってもらえば、た いていの人に機能の発揮が見られることが 判明したのです」と篠﨑。

 人科研ではこれらのデータから「クロス ウォーカー」の商品開発の基準となる諸条 件を規定した「マスター・パターン」を作成。 これに基づいて実際のデザイン開発が行わ れていった。

 「スタイルサイエンス」商品群の開発から 商品化までのプロセスを振り返り、篠﨑は 言う。「一つは、ワコールの従業員が身をも って商品のチェックを行っていること。次 に、科学的な裏付けに基づく着用効果の検 証を継続していること。さらに、商品着用 での効果・効用の表現は、薬事法や景表法 を遵守していること。こうした点で、企業 としての社会的責任を果たしていると思う」  ヒット商品の陰には、こうしたたゆまぬ 努力の数々がある。地道な努力を積み重ね ることで、ワコールはこれからも「真のお 客様満足の実現」を目指していく。

人のからだに触れることなく瞬時に立体計測・ 分析できる「非接触三次元計測装置」

(8)

 “はいて歩けばエクササイズ”…というコ ンセプトを持つ「スタイルサイエンス」は、 まったく新しい商品群。そうであるが故に、 そこには過去に前例のない「生地段階からの 性能数値予測」と「指標づくり」が求められる こととなった。

いく。

 「クロスウォーカー」も、同じ関門を経て 製品化されていくのはもちろんである。し かし商品試験センターは、まったく新しい 商品であるが故の新しい課題に直面するこ とになった。

 それまで、ワコールでいう「品質」とは 「安全性、耐久性、着用性、外観性、感性 性能、取り扱い性、表示の妥当性」を意味 していた。だが“はいて歩いて体脂肪を燃 やそう”をコンセプトとする「クロスウォ ーカー」は、「着用効果・機能」が最大の眼目。 そのため、材料試験についても「効果・機 能」を予測できる項目と数値が求められた のだ。

 しかし、これまでになかった新しい機能

「機能の数値化」への挑戦。

品質の安定と向上を目指して

 ワコール商品試験センターの仕事は幅広 い。材料購入から企画、生産はもちろん、 流通、保管に至るまで、すべてのプロセス での品質管理を担っている。合言葉は「お 客様の手元にわたるまでが品質管理」。ま さに“ワコールが誇る品質”の中枢だ。幅広 い業務の中でも、材料・商品の試験と評価、 その検査基準の作成は特に重要である。  とりわけ新製品開発の場合には、使用す るすべての材料が規定の基準をクリアして いること、また試作品が洗濯試験などをパ スすることも必要で、これらすべてに合格 したものだけが晴れて商品として世に出て

インナー・ストーリー ②

〟を

部 

品質保証部 商品試験センター 

酒谷 敦子

(9)

をもつ新しい製品は、材料の評価軸はもち ろん、試験方法さえ確立されていなかった。  「何をどうすればいいのか、どこを目指 せばいいのか。最初はもう、まるで見当が つきませんでした」

 そう語るのは、商品試験センターの酒谷 敦子。普段は商品や国内外材料仕入先様の 品質サポートを担当する。当時、商品企画 部先行商品開発課で「クロスウォーカー」の 製品開発にあたっていた河合恵里奈らと共 に、この「機能の数値化」に中心となって取 り組み、実現させたキーパーソンである。

数百回の試験を経て、

ようやく答えは見つかった

 1日6,000歩、週5日、1カ月以上。は いて、歩けば、からだが引き締まる。  その機能を検証するため、「クロスウォー カー」は当初、すべての試作品について1カ 月の着用試験を実施していた。その結果、 機能が証明されなければ当然「ボツ」になる。 しかし結果が1カ月後までわからないとい うのは、常にタイトなスケジュールで動く 商品開発部隊にとって大きな足かせだっ た。現に発売直前になって機能が期待でき ないと判明し、製品化を断念したものもあ る。そんな苦い経験を繰り返さないために も、また、スピーディーな製品開発のため にも「何とか指標を設定したい」。そんな河 合の切実な要望を受けて酒谷は奮起した。  どんな生地を使って、どう設計すれば求 める機能が得られるか。それを生地段階の 性能数値から予測することができれば、開 発に要するコストも時間も大きく改善でき

る。もっと自由に、もっと効果的に、新し い製品を開発することができる。

 過去に前例のない指標づくりに向けて、 酒谷と河合を中心に、人間科学研究所も巻 きこんだ試行錯誤が始まった。

 さまざまな仮説と検証を繰り返す中か ら、「伸長性と回復性の相関関係」、つまり 引っ張られて伸びる力と戻ろうとする力の 関係性がカギであることがわかってくる。 数百回に及ぶ膨大な試験、試験手順や条件 の妥当性、実験の正確性などの検証を経 て、ようやく指標設定が実現するまでに実 に半年を要した。

 この指標設定がもたらした効果は極め て大きい。生地段階で商品の着用効果が 数値予測されることによって、「『スタイル サイエンス』商品群の開発に要するコスト と時間の大幅な削減」を実現することにな ったのである。こうした酒谷らの努力は、 社内表彰制度のひとつである「チャレンジ 2008下期通期」※で特別優秀賞を受賞。「お

客様には見えない取り組み」の意義と成果

 仕入先様の品質向上をサポートするのも品質保証部の重 要な仕事のひとつ。ワコールでは、「ワコ―ル仕入先検査機 関認定登録制度」という独自の制度を設けて、材料品質の安 定向上と、よりよいパートナーシップの形成を図っていま す。これは、ワコール審査担当者による「手合わせ」「目合わ せ」などの審査を通じて、各仕入先様の検査・試験の方法や 判定状況を審査認定するという制度。これにより、それま でその都度、外部の検査機関に依頼する必要のあった検査・ 試験を各仕入先様が自社で実施できるようになり、リード

タイム短縮とコスト軽減、品質意識向上に大きな成果を上げています。

 2001年の制度創設から8年。業界初の試みとして始まった制度だけに当初は紆余曲折もありました が、今では制度の意義が各所に浸透。国内のみならず、中国、台湾、タイなど、海外への展開も進めら れ、仕入先様からも「技術向上と相互理解にも有益」との評価をいただいています。

が評価されたのである。 ◆

 ワコールの品質要求は厳しい。それは内 外に聞こえるところである。厳しい試験に 度々泣かされてきた河合は言う。「でも品 質保証部があるから、私たちは自信をもっ て製品を世に送り出すことができる。なか でも商品試験センターはワコールの品質を 一番よく知っている部署。なぜいいのか、 なぜダメなのかを知っています。その要求 を満たしてこそいいものができる。厳しい 関所であると同時に、ものづくりのうえで なにより頼もしい味方でもあるんです」  その商品試験センターの酒谷は言う。「社 内外のいろいろな人にアドバイスをする責 任ある立場ですから、プレッシャーはあり ます。ですが、品質という大切な部分でも のづくりをサポートできることに大きなや りがいを感じています」

 品質に表れる会社の良心。商品試験セン ターの酒谷らは、まさにそれを日々、黙々 と担っている。

商品企画部 商品企画一課 アイテム開発責任者の河合恵里奈(左)と打ち合わせをする酒谷(右)

※社内表彰制度「チャレンジ」とは…… 独創性を持って新しいことに果敢にチャ レンジする行動や姿勢を奨励・表彰する ワコールの社内表彰制度。2008下期 通期の総応募数は1,525件。特別優秀 賞5件、優秀賞29件、努力賞136件。

中国・深圳の㈶日本繊維製品品質技術セ ンターで審査前の事前確認を行う酒谷

国内から海外へ、取り組み広がる

(10)

をぜひ開発してほしい」と口々に頼まれる。 当時、「スタイルサイエンス」は女性用しか なかったため、メンズ用の商品を求める男 性社員たちの声は、当然といえば当然では あった。以来、3年にわたる開発の日々が 始まる。

 メンズ商品について蓄積のないワコー ルにとって、いきなりのメンズ用「スタイ ルサイエンス」商品の開発は容易ではない。 そこで赤野たちは、将来の本格的な開発を 見据えながら、まず試作的な商品の開発に 着手。たとえば、からだのシルエットをと とのえる、いわば男性用ファンデーショ ン。これは細身のスーツを着こなしたいと

「開発に成功すれば必ずヒット

する」との確信を支えに

2008年3月、「スタイルサイエンス」初の 男性用商品としてメンズ「クロスウォーカ ー」が世に送り出された。ワコールにとっ ては、男性下着市場へ本格参入する契機 となった商品である。そのデザイン開発 を担当した一人が、メンズインナー部 企 画生産課のデザイナー・赤野美紀。  発売に先立つ3年前の2005年3月、赤 野はランジェリー部門からメンズインナー 部門へ異動になった。異動を知った男性社 員から、「メンズ用の『スタイルサイエンス』

「メタボ解消」という社会的課題に挑んだ、

メンズ「クロスウォーカー」の開発

ウイングブランド事業部 メンズインナー部 企画生産課

 いまや40歳以上の男性の3人に1人が、 メタボリックシンドロームと言われる時代。 “メタボ解消”は大きな社会的課題とされる

中、ワコールは2008年3月、男性用「クロ スウォーカー」を開発。わずか1年余りで 100万枚を突破するヒット商品となったが、 一人の女性デザイナーによる地道な努力が そのヒットを支えていた。

ウイングブランド事業本部 メンズインナー部 企画生産課 

赤野 美紀

(11)

いう若者に支持されて、市場での売れ行き は良く、手ごたえを感じていた。  ところが、これらの製品をさまざまな体 型の男性社員数十人に頼んで着用感を聞い たところ、「締めつけ感が不快」、「ムレる気 がする」、「トイレがしにくい」…と、否定的 な意見が続出。

 女性ならガードルに慣れているのでパワ ーのある生地を身につけるのは平気だが、 男性にはその経験がない。そのため、「この ままではメンズ用『スタイルサイエンス』の 開発は前途多難」と思わざるをえなかった。  しかし諦めるわけにはいかない。「当時 から“メタボ”という言葉が盛んに言われだ し、男性たちの“スマートになりたい”、“健 康になりたい”という思いが大きいことは わかっていました」

 それなら、「腹部をあまり締めつけず、ソ フトな着用感の『スタイルサイエンス』商品 を開発できれば、多くの男性に受け入れら れてヒット商品になる」。そんな確信を抱 きながら、改良を重ねる日々が続いた。

仕入先メーカー様との協働で

実現した100万枚のヒット

 さまざまな試行錯誤を経て、いよいよメ ンズ「クロスウォーカー」のデザイン開発が 始まったのは、2007年3月のことであっ た。赤野らは、人科研が決めた「マスター・ パターン」に基づき、その条件をクリアす る生地開発について、素材メーカーのアサ ヒマカム様に協力を依頼。

 「クロスウォーカー」の最大のポイントは、 太もものX(クロス)構造部分と、それ以外 の部分とに着圧差をもたせることにある。  そこで同社から提案されたのが、経編 (たてあみ)によるパワー切り替えという独 特の編立てであった。それができる、日本 でも数少ない編機を同社は持っていた。し かし、解決すべき問題は少なくない。なか でも苦労したのが、切り替え部に発生する パッカリング(縫い目の凹凸)やシワの解消 である。並行して、クロスの形状、位置、 着用感などの検討が繰り返され、ようやく 試作用の生地が完成した。しかし次は、人 科研の検査をクリアしなければならない。  「1回でOKが出てほしいと祈るような気 持ちで結果を待っていた」赤野に届いたの は、果たして、商品化のゴーサインだっ た。「アサヒマカム様の高い技術力に本当 に助けられました」

 メンズ「クロスウォーカー」は当初、年間 売上目標を20万枚としていたが、その目標 をわずか3カ月で突破。本来なら喜ばしい 誤算だが、メンズインナー部は、たちまち 増産体制を組む難しさに直面。原糸の確保、 染色、生地生産、縫製…と、すべての工程 で対応できなければ増産は不可能だ。それ ぞれの工程で、うれしい悲鳴が上がる。  「機械が火を吹いてます(笑)」とアサヒマ カムの鈴木氏に言われるくらいの状況が続 き、同社は1日24時間稼働、延べ50日の 休日返上で協力してくださった。かくして 増産は無事達成。「アサヒマカム様をはじ め、商社、原糸メーカー、縫製工場など、

ので実現できるかという点でした。弊社では 日本に10台しかない最新鋭の編機を6台導 入していたことから、その経編の編機を使 ったパワー切り替えによって、最終的にはク ロス部分に本体の約3倍のパワー差をつける ことができ、製品化にこぎつけました。  100万枚という大ヒットにつながるとは 正直なところ思ってもいませんでしたし、 増産に次ぐ増産は、苦しい日々の連続でし た(笑)。そんなときワコールさんにご協力 いただいて、社員全員に製品を試着させた ところ、感激する社員も多く、モチベーシ ョンアップにつながりました。

 赤野様はいつもにっこり笑いながら、厳 しいことをさらりとおっしゃる(笑)。ご自  メンズ「クロスウォーカー」の生地開発の

ご依頼があったとき、その条件をクリアす ることの難しさを、まず赤野様にお伝えし ました。いま振り返れば、できないことの 言い訳ばかりを並べ立てていたように思い ます。そんな私たちに、「とにかく、最高の ものを提案してください」と赤野様。  その一言で、技術者魂に火をつけられた というか、熱い気持ちにさせられました。 なんとしてもリクエストに応えようではな いか、と。

 最も難しかったのが、クロス構造のクロ ス部分とそれ以外の本体部分とのパワー差 を、ワコールさんが求める厳しい品質基準・ 物性規格をクリアしながら、基準以上のも

分がイメージしている商品を具現化するた めには、妥協せずに貪欲に追求されるので、 その熱意に引き込まれてしまいます。これ からも、いいパートナーであり続けていき たいですね。

アサヒマカム株式会社 常務取締役 鈴木博之氏(左) 企画開発担当課長 藤野晋吾氏(右)

ワコールさんに、技術者魂に火をつけられました

太もも部分のクロス構造。クロス部分の糸目 を細かくし、中心部はさらに糸目を増やすこ とで、着圧を高めている

皆様の協力があって実現した100万枚の 大ヒットです」と赤野は関係者への感謝を 忘れない。

(12)

も盛り上がるイベントだ。

 また、「BBS(電子掲示板)やブログによ る多方向でのコミュニケーションを図りな がら、“毎日コツコツ頑張ってみんなでキレ イに!”といったモチベーションを維持し ていただく工夫を凝らしています」と語る のは、同課の川勝和美。そんな工夫もあっ て、「愛ムチプログラム」の修了者はこれま で延べ約3万人。1人で30回連続して参加 しているロイヤルユーザーを「クィーン」と して賛えており、かなりの部員がそれにな らい、毎日のログインをコツコツと続けて いる。

商品特性を

体験していただくための

お客様サポート

 「普通の下着なら、販売するだけでよか ったかもしれません。でも『スタイルサイ エンス』は、経験・体験もお客様に買ってい ただく商品。売りっぱなしではメーカーと して親切ではない。商品特性を体験してい ただくところまで会社は責任をもたなけれ ばいけないのではないか。ならばそこまで アフターフォローしようよ、という発想が 私たちのそもそもの原点でした」と、大藪 は話す。

 「スタスタ部」はまさに、企業としての社 会的責任を意識した取り組みとして企画さ れたものと言っていい。

 「スタスタ部」立ち上げの企画を大藪らが 上司に提案したとき、「会社はもろ手を挙げ て賛成してくれたわけではありませんが、 ありがたかったのは、 “とりあえずやって みたら”とゴーサインを出してくれたこと です」と大藪。このことに象徴されるよう に、トップダウンだけでなく、ボトムアッ プも重視する風通しの良さ、そんな風土が ワコールにはある。これも、会社と従業員 との「相互信頼」があるからだ。

“愛すべきナマケ者たち”を応援する

WEB上の“部活”

 ワコールの「スタイルサイエンス」の WEBサイトで、ある“部活”が展開されて いる。商品を購入したお客様を“部員”と する、「スタスタ部」。WEB上で展開される クラブ活動だが、これがいま人気を集め、 日々“新入部員”が増加している。「立ち上 げた私たちも、予想以上の反響に驚いてい ます」と、広報・宣伝部 WEB・CRM企画課 課長の大藪範子。

 大藪たちが、この “クラブ活動”を立ち 上げたのは2006年の4月。機能性商品で ある「スタイルサイエンス」をお買い求めい ただいたお客様に、「使い続けることでその 機能を実感し、美しくなっていただくこ と」を目的に、「スタスタ部」は始まった。  「私たちワコールの従業員もそうですが、 はいて歩けばエクササイズになる、とわか っていても、ついついナマケごころが出 て、中断したり、着用しなくなることもあ りました。これでは、せっかくの商品特性 が体験できないのではないか。そこで考え 出したのが、この“愛すべきナマケ者たち” を応援するサイトの立ち上げでした。遊び 感覚を盛り込んで、互いに励ましあいなが ら、楽しく、ときには厳しく、お客様をサ ポートさせていただいています」と、同課 の高塚美佐恵。

 高塚が言うように、このサイトは遊びご ころにあふれている。中でもユニークなの が「愛ムチプログラム」という、WEB上で の30日間のサポートプログラム。参加者 には2日間続けてログインがないと「愛ム チスト」から叱咤のメールが送られてくる。 愛ムチストは毎月入れ替わり、「金髪のキャ サリン姉さん」「ぼやき駅員モリノスケ」な ど、部員を飽きさせないユニークなキャラ クターが毎回設定されている。さらに、年 3回の「愛ムチ合宿」は、スタスタ部員が最

 「スタイルサイエンス」は使い続けること で、その機能が実感できる商品。使い続け ていただくことで顧客満足も実現できる。 ならばそれをサポートするのも商品を販売 した者の責任ではないか…「スタスタ部」は、 そんな思いから始まった。

「商品の“売りっぱなし”は会社として親切じゃない」

広報・宣伝部 WEB・CRM企画課 <スタスタ部>

インナー・ストーリー ④

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発信している自分たちも

楽しくなるサイトに

 「発信者である自分たちも楽しくなるサ イトを、思いっきりはじけたものになって も構わないからやってみよう!という姿勢 で取り組んできた」と川勝は話す。次々と アイデアが浮かび、自由奔放にユニークな 企画が実行されていく。ときには社内から 「ワコールのイメージにはそぐわないので は…」といった意見も出たが、川勝たちの 熱意がそれをはねのけ、多くのワコールフ ァンを獲得し続けている。

 「おかげで歩くことが好きになり、人生 が変わりました」「同じ目標をもつ仲間と出 会える場を提供してくれてありがとう」「こ こまで見守ってくれる会社なんだと思い、 うれしくなりました」「商品に対する会社の 自信と本気度が伝わってきます」…これら は“部員”たちの生の声だが、その声に共感 するように“入部”してくださるお客様も少 なくないのである。

 大藪たちが、多分に「企業としての社会 的責任」を意識してスタートさせた「スタス タ部」だが、こうした「真のお客様満足の追 求」の結果、ワコールファンを増やし、商 品の売り上げ増につながっているのも間違 いない。

 2008年10月25日、ワコール本社で「スタスタ部」オフ会として「特別セミナー」が開 催されました。

 当日は、第1部の人科研・篠﨑所長と研究員による「スタイルサイエンスのメカニズム に迫る」と題した講演と歩幅計測体験に続き、第2部ではトータルフィット株式会社・梅 田陽子氏のレクチャーのもと、ウォーキングレッスンが行われました。シールを耳たぶ や股関節などからだの5カ所に貼って、姿勢がまっすぐになっているかどうかをチェッ ク。最初は動きの硬かった参加者も、レッスンを重ねるにつれ緊張もほぐれて、歩き方 がどんどんキレイに。

 参加者からは「正しい歩 き方で、いままで以上に素 敵なスタイルを目指します」 「クロス構造の特徴がよく

理解できました」「心を入れ 替えて、美しく歩いてキレ イになるぞ!」などの声が 聞かれました。「スタスタ部」 ではこうしたオフ会を適宜、 開催していく予定です。

オフ会でウォーキングレッスン

アーキテクトタイタン撮影

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インナー・ストーリー ⑤

女性はなぜ、見えない下着に

こだわるのか

 女性たちは、外からは見えない下着の色 やデザインになぜこだわるのか。  そんな女性の心理を社会学的アプロー チから調査・研究しているのが、広報・宣 伝部の心理マーケティングルーム(通称 COCOROS=ココロス)である。  「これまで、被服心理学などアウターを 対象にした社会学的研究はなされてきまし たが、下着についてはほとんど手がつけら れていませんでした。ならば、こうした未 開の研究分野を担っていくのもワコールの 社会的な役割ではないか…そんな考えをベ ースに私たちのプロジェクトはスタートし ました」と広報・宣伝部の五藤睦子。女性の

「女性共感企業」を目指すワコールにとっ て、女性心理をさまざまな角度から調査研 究することも、求められている社会的役割 かもしれない。それはインナーウェアの新 しい文化を発見する試みであり、新しい付 加価値の創造と言ってもいい。

「女性のこころ」を社会学的アプローチから

調査・研究

広報・宣伝部 心理マーケティングルーム ココロス<COCOROS>

こころを研究対象とすることから、名称は 「こころ」を複数形にした“ココロス”とネー

ミングした。

 しかし前例がないだけに、しばらくは 暗中模索が続く。まず社内WEBサイトを 立ち上げ、手さぐりを続けていた2005年 7月、五藤はたまたま、ある研究者のホー ムページに出会う。聖心女子大学・菅原健 介教授のそれで、そこには『人はなぜ恥ず かしがるのか∼羞恥と自己イメージの社 会心理学∼』という教授の著書が紹介され ていた。

 半ば直感的に「この人にコンタクトをと らねば!」と考えた五藤は、すぐさま菅原 教授にメールを入れ面談を申し込む。面談 が適った彼女は、さっそくココロスサイト 用の原稿を依頼。ここにワコールと菅原教

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授との関係が始まり、両者はまもなく、「下 着と心理」に関する共同研究を開始するこ とになったのである。

 「なんとも、厚かましくも無謀な行動で したが、菅原先生は快く共同研究の申し込 みを受けてくださいました。女性のこころ を社会学的アプローチから調査・研究する …しかし、ワコールの御用学者にはならな いよ、ときっぱりおっしゃいました。ワコ ールとて、それを望んでいたわけではあり ません。そこで双方にとって、理想的なパ ートナーシップが組めることになったので す」と五藤は振り返る。

「お気に入りの下着」の、

3つの心理的効果

 2007年2月、ワコールと菅原教授は インターネットを使って調査を実施。首 都圏と近畿圏に住む18∼59歳の女性約 1,000人を対象にした「女性の心理と下着 に関する意識調査」である。続けて実施し た約1,200人の調査と併せて、全体の9割 が「お気に入りの下着」を持っており、その 心理的効果として、①気合、②アピール、 ③安心感の3つがあることが見えてきた。 ①は大切な場面に臨んだときに自分を律 して気力を強める効果であり、②は女性 としての自覚と自信を高める効果、③は やすらぎと癒やしの効果である。 これを研究メンバーたちは「外から見え

ないぶん、下着はプライベートなこだわり を追求でき、からだと同化してエネルギー や安心感を与えてくれる。特にさまざまな ストレスとプレッシャーにさらされて働く 女性は、下着にこだわることで、からだだ けでなく、こころもととのえているのでは ないか」と分析。「下着が自分のこころに働 きかける効果が初めて明らかになり、それ はインナーウェアの新しい文化と付加価値 の発見でもありました。そこで、社会へ発 信するため、行動に着手しました」と、広 報・宣伝部の完甘直隆。この調査は多くの マスコミに取り上げられ、2008年11月、 東京・お茶の水女子大で開催された「日本パ ーソナリティ心理学会」のシンポジウムで も発表されたのである。

 菅原教授との共同研究は、男性を対象に したそれを含めて6回の調査を行い、その 都度新しい発見があった。

 「これらの調査研究が、結果的に会社の マーケティングに役立つなら、それはそれ でいいんです。しかし基本はあくまでも社 会学的アプローチからの調査・研究。私た ちが欲しいのは、フィルターのかかってい ないデータです。そして調査結果の背景に ある、“なぜそうなるのか”を探りたい。決 して、ありがちな“やりたいことの裏付け をとるため”のマーケティング調査ではあ りません」

 こう五藤が語るように、ココロスの取り 組みは、ビジネスとは距離を置いた、企業

としての社会貢献的な調査・研究と言って いい。「ですから将来的には、たとえば下 着セラピーといったカタチで福祉分野での 貢献ができれば、とも個人的には思ってい るんです」

 昨年から若手研究者の鈴木公啓氏も参 加。この7月には、研究成果を発表してい く雑誌連載も始まり、単行本の出版も計画 されている。いずれにしても、この分野の 研究は他に類がなく、「未開地を拓くやりが いがある」と五藤は目を輝かせる。

 下着は通常、他者に見せることがないため「他 者に影響を与える外面的な効果より、自分自身 に影響を与える内面的な効果があるのでは」と の仮説を立てていました。他者の目から隠され、 自分のこだわりを追求できる被服であるからこ そ、そして、自分のからだに直接触れる被服で あるからこそ、インナーウェアは女性のこころ と強く結びつくのかもしれません。見えないか ら大胆な冒険ができたり、社会が求める「年齢に ふさわしい“らしさ”」から自由になることもでき ます。言ってみれば、自分を自由に演出できる。  ワコールさんとの共同研究でわかってきたの が、下着には体型の補正だけでなく「こころの補 正効果」もある、ということでした。お気に入り の下着を身につけることで「ほっと安心できる」

「自分を取り戻せる」といった心理効果は、まさ に、こころの補正効果です。また「エネルギーが 湧いてくる」といった、女性としての自覚と自信 を高め、結果として積極的な行動を促す効果が あることもわかりました。

 共同研究のお申し出をいただいたとき、私は 「ビジネスのためならお断りしますよ」と申し上 げました。幸い研究者としての私の立場を理解 していただき、調査データは双方の成果物にす る、ということを含めて、いい意味での距離感 をもって共同研究に取り組んでいます。近く出 版社から、ワコールさんと共著で単行本を一緒 に出版する計画もあり、「企業と研究者との理想 的なコラボレーション」と言えるようなお付き合 いを今後も続けていきたいですね。

聖心女子大学文学部教授  菅原健介氏

体型補正だけでなく、下着にはこころの補正効果もあるんです

専門は社会心理学、性格心理 学。研究テーマは羞恥心、対人 不安、自己呈示。著書に『人は なぜ恥ずかしがるのか』(サイエ ンス社)、『羞恥心はどこへ消え た?』(光文社)など。文学博士。

広報・宣伝部

完甘 直隆

広報・宣伝部

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「アースデイ東京2009」で、

ブラ・リサイクルをキャンペーン

 「地球のことを考えて行動する日」とし て、1970年、アメリカの市民団体の呼び かけで始まった「アースデイ」の活動。毎年 4月22日を「地球の日」とし、その前後の 日に、世界各地で地球環境を考えるさまざ まな取り組みが行われている。

 東京では4月18・19日の2日間、「アー

スデイ東京2009」が代々木公園で開催さ れ、家族連れなど約14万人が参加。環境・ 自然・平和などをテーマに380を超えるブ ースが出展するなか、ワコールでは広報・ 宣伝部の菊井直人らが中心になって「ブラ・ リサイクル」を呼びかけた。

 代々木公園に近いワコールの直営店「ブ ールマルシェ」渋谷公園通り店、「アンフィ」 表参道Echika店でもアースデイに協力。 店内にブラ・リサイクルを呼びかけるディ

広報・宣伝部 宣伝企画課 

菊井 直人

共感広がる「ブラ・リサイクル」

∼不用なブラジャーを回収して固形燃料化∼

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スプレーをしたり、18・19日の2日間は、 両店で使用する電気を「グリーン電力」でま かなった。

 「ブラ・リサイクルキャンペーン」は、着 用しなくなったブラジャーをゴミとして捨 てるのに躊躇する女性の多いことがワコー ルの調査で判明したため、そんなお客様の 声に応えようと、菊井らが2008年から始 めたものだ。店頭で専用回収袋をお客様に 配布し、後日この袋にブラジャーを入れ、 密封した状態で店頭にお持ちいただく。そ して回収したブラジャーはRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel=産業用固形燃料) としてリサイクルされる。

 アースデイでも「ブラはどう処分される の?」「RPFって、安全?」など、熱心に質 問される方が多く、「特に若い女性の環境問 題に対する関心の高さは想像以上でした」 と菊井は語る。

2009年度は、約3,590㎏の

ブラジャーを回収

 代々木公園での2日間を含め、2009年 度の「ブラ・リサイクルキャンペーン」は、 2月12日から4月22日までの期間、ワコ ールの直営店をはじめ百貨店など、全国 650店舗で実施。合わせて9,500袋のブ ラジャーを回収した。燃料としてリサイク ルされたRPFは3,590㎏にのぼる。  「今年は百貨店や量販店にご協力いただ けたことで、より多くのお客様の参加があ りました。なかでも髙島屋様は全店舗で取 り組まれ、大きな力を発揮していただき感 謝しています。

 期間中、数多くのマスコミにキャンペー ンのことが取り上げられましたが、改めて ブラ・リサイクルへの社会的関心の高さを 実感。単にブラジャーを回収するのではな く、リサイクルにつながる点が注目を集め

たのだと思います」と菊井。

 なお、2008年度は他メーカーの製品も 回収したが、関連する法令や行政の意見を 参考にしたうえで、今回はワコール製品の みの回収となった。

キャンペーンの趣旨に賛同し

協力してくれた工場

 回収されたブラジャーはワコール流通㈱ 西日本流通センターを通じて、日本ウエス ト株式会社様でRPFに加工。機密性廃棄 物監視システムによって、全工程の機密が 厳重に保持された中で処理されている。  RPFは、主に古紙と廃プラスチック(繊

「ブールマルシェ」では店内のあちこちに、「ブラ・リサイクル」を呼びかけるコーナーが設けられた

店頭で配布された回収袋。 なお「アースデイ」では、新 たにデザインした回収袋が 配布された

  

株式会社髙島屋 

CSR推進室 CSR推進担当次長   高橋恵里氏(右)

MD本部 婦人服ディビジョン 課長  杉山麻美子氏(左)

「最後まで商品に責任を持つ」という姿勢に、

髙島屋も共感しました

 今回の「ブラ・リサイクルキャンペーン」に、 髙島屋全20店舗において参加・協力させて いただきました。

 お客様が処分に困っていらっしゃるブラ ジャーを回収するという、そうした顧客ニ ーズに応えようとするワコールさんの姿勢 に共感し、協力させていただこうというこ とになったのです。このようにお客様心理 をきちんと調査したうえで取り組まれてい

る点が素晴らしいですね。商品を販売すれ ばそれで終わりというのではなく、最後ま で商品に責任を持つという姿勢は、髙島屋 としても大切にしたいと考えています。  実施にあたっては、回収袋を確実に保管 できるのか危惧する声が上がったため、各 店舗に鍵のかかる保管場所を設け、こまめ に数量チェックを行う体制を組みました が、多くのお客様に喜んでいただけて、と てもよかったと思います。

(18)

維くずなどを含む)から作られる固形燃料。 回収袋に入れられたブラジャーは、RPF に加工後、製紙工場で燃料として使用さ れている。

 RPFは石炭や石油など化石燃料の代替 として注目され、化石燃料に比べCO2の

発生が約半分と少なく、運搬・貯蔵もしや すいなど、新たな熱エネルギー源として期 待されているものだ。

 「まだまだ回収量が少ないので、日本ウ エスト様にとっては事業としてのメリット がほとんどないと思います。にもかかわら ず、社会的に意義のあることだから、と快

お客様心理に配慮した「ブラ・リサイクル」の

取り組みを評価します

       新 環 境 方 針

 私たちは、グローバルな事業活動において、地球環境を守ることは企業の責務と考え、社会 との調和をめざす「相互信頼」の精神に従い、 「未来に約束 広がる笑顔と きれいな地球」を モットーとして、地球環境の保全に取り組んでいきます。

1.業務改善によって事業活動の各過程における環境負荷を少なくし、汚染の予防に努めます。 2.下記を中心とする環境目標を定め、環境管理システムを基に目標達成を図ります。

① 省エネルギー、省資源、CO2排出量の削減

② 廃棄物の減量と再資源化

③ 人と環境にやさしい製品開発、技術開発

④ 人と環境にやさしい材料、資材、事務用品などの購入 3.環境に関する法律・条例および自主管理基準を守ります。

4.環境教育を通して従業員の意識向上を図り、地域社会の一員として環境保全活動に 協力・貢献できるように努めます。

5.環境方針と環境保全への取り組み状況を一般に公開し、社会と一体となった活動を めざします。

日本ウエスト様の担当者とともに リサイクル処理に立ち合う菊井

ワコールグループでは従来の環境方針の見直しを行い、2009年4月に新しい環境方針を策定しました。 グループの基本理念である「社会との相互信頼づくり」に基づき、事業活動と環境活動の連動を図りなが ら、環境保全に取り組んでいきます。

従業員から募集した環境標語「未来に 約束 広がる笑顔と きれいな地球」 を新環境方針に盛りこみました

①搬入

ブラジャーは 回収袋に入れ られたまま、 処理業者に搬 入される。

〈ブラジャーがRPFにリサイクルされるまで〉

②粗破砕

回収袋ごと破砕 機に投入してお おまかに破砕。 その後、選別機 械でワイヤーな どを除去する。

③成型

粗破砕された材料 を筒型に圧縮・成型 し、RPFができあ がる。

く引き受けてくださっています。回収にご 協力くださるお客様をはじめ、環境保全に 役立つことなら協力しよう、という多くの 関係者に支えられてブラ・リサイクルがあ る。そのことに感謝しながら、活動の輪を さらに広げていきたいと思っています」と 菊井。

 ワコールでは、ブラ・リサイクルの取り 組みとは別に、従来から九州ワコール製造 ㈱などの縫製工場で裁断くずをRPFに加 工。今後はこうした取り組みをより充実さ せて、会社をあげて環境対応を進めていく ことが計画されている。

(19)

ワコールのコーポレート・ガバナンス体制

 ISO※では現在、26000シリーズとして「組織の社会的責任」についての指標づくりが進められています。こうした

動きに見られるように、「CSRを自覚した企業行動」への期待は、いま世界に広がっています。そうした動向も踏まえて 2009年度、ワコールでは以下のガバナンス体制で、求められる社会的責任に取り組んでいます。

企業倫理の遵守体制の強化・徹底を図るため、ワコールホールディングス、 ワコールの取締役・監査役で構成。

*企業倫理に関する規範の作成・改訂 *企業倫理の啓発・浸透

*企業倫理に関する苦情、訴えなどに関連部門と連携して対応  (法務・コンプライアンス部が事務局)

ワコールホールディングスの取締役・監査役・本社部門長らで構成され、 コーポレート・ガバナンスの充実と財務情報などの開示の内容の信頼性 確保に努める。

(経理部が事務局)

ワコールグループの経営全般のリスクを把握し、リスク管理体制を強化 するため、取締役・主要事業部門長・本社管理部門長で構成。

グループの経営リスクの低減活動やリスク発生時の対応を実施。 (経営企画部/経理部が事務局)

コンプライアンス管理体制、重要事項に関する協議・決定 *コンプライアンスリスクに関する検討及びリスク管理委員会への結果報告 *コンプライアンス関連マニュアル、関連規程の定期的な見直し、 及び従業員への教育方針の決定

(法務・コンプライアンス部/経営企画部が事務局)

品質保証規定に基づく品質保証活動の推進 *品質理念・品質目標の達成に向けての活動 *各部門の品質保証活動の推進と調整 *商品に関する法律の遵守のための対応と指導 (品質保証部が事務局)

事故・災害など非常事態に対する予防・発生時の対応 *事故・災害など非常事態に対する要望・準備的な対策 *同発生時の情報収集、対応の実施、指導、支援 *その他、犯罪、不祥事など発生時の対応 (総務部/経営企画部が事務局)

個人情報、機密情報など情報の適切な管理体制の構築・維持活動 *情報セキュリティ関連規定の整備と運用

*従業員などへの情報セキュリティに関する教育、啓発活動の実施 *事故報告、管理体制の不備などの対策の実施と指導

(法務・コンプライアンス部が事務局)

環境保全に関する社会的要請に対する社内活動の推進 *環境保全全般に関する方針、行動計画の策定

*環境保全問題推進にあたる社内組織への指導及び助言 *環境保全問題に関する従業員の意識向上のための教育実施 (総務部が事務局)

コンプライアンス&ガバナンス

環境委員会

情報セキュリティ対策委員会 事故・災害対策委員会

品質保証審議会 コンプライアンス委員会 リスク管理委員会

情報開示委員会 企業倫理委員会

(20)

毎月の「デフ・ハートフル活動」で、

会社にさまざまな改善策を提案

 数あるCSR課題の一つに、ダイバーシ ティ・マネジメントがある。ダイバーシテ ィとは多様性。社会と同じように企業も また、人種・性別・年齢・障がいの有無など、 多様なバックボーンをもつ人々から構成さ れるべきであるという考え方だ。  障がい者雇用も大きなテーマであり、ワ コールは以前から積極的に取り組んでき た。現在は90人の障がい者が働いており、 1 .8%という法定雇用率を満たしてはい る。しかし数字をクリアしているだけで十 分だとは考えていない。大切なのは、障が いをもつ従業員たちにとって、いかに働き やすい職場環境を整え、提供できるかだ。

 障がい者と健常者が同じ職場で働く場 合、健常者は気づかなくても、障がい者に は大きな壁になっている場合がいろいろあ

いう仲間も少なくない。

 篠田自身極めてアクティブで、ウイング 京都店でビューティー・アドバイザーを対 象にした手話教室の講師を務めるなど、障 がい者と健常者とのパイプ役を積極的に担 っている。

大切な

「入社後のアフターフォロー」

 そんな篠田の心強い仲間として2008年 9月、人材開発部・人材開発一課に入社し てきたのが新開忍。大手企業や公務員とし て働いてきた経験があるが、「キャリアを十 分に生かすことができなかった」とワコー ルに入社した。彼女もまた聴覚に障がいが あるが、「国際手話ができ、口話能力にすぐ れている、といったスキルを評価して入社 してもらいました」と人材開発部・人材開発 一課の藤井太郎。

 新開は現在、聴覚障がい者の採用面接・ る。そうした壁をなくそうと、ワコール本

社では聴覚障がいをもつ従業員が月に1回 集まり、さまざまな問題について話し合っ ている。ざっくばらんな意見交換会「デフ・ ハートフル活動」である。   

 その中から出された意見をもとに、「たと えば社内放送の内容が逐一メールで送ら れてきたり、朝礼や、テレビ会議の画面 で手話通訳者に登場してもらったり…な どの改善を実現してきました。また食堂 では、注文に便利なようにメニューを書 いたカードを用意してもらっていますが、 これも私たちからの提案によるものです」 とメンバーの篠田晴江。ウイングブラン ド事業本部 事業管理部 総務・教育課に所 属する、入社14年目のベテランである。  「デフ・ハートフル活動」のまとめ役でも ある彼女だが、意見交換の日は、「当番制で みんなに話をしてもらうようにしていま す」。人の話を聞くだけでなく、自分から 語りかけることで「積極性が身についた」と

障がい者雇用率の数字だけでなく、

「本当に働きやすい職場づくり」が大切です

人材多様性

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新人教育・職務開発・定着率アップのための 施策を企画するなど、ワコールの聴覚障が い者マネジメントの全体を担っている。な かでも面接の際は「担当者が同じ障がい者 であることで応募者も安心し、面接現場で のやりとりが以前に比べてスムーズに運ぶ ようになった」と藤井。

 そんな新開が心がけているのが、「本人と 仕事とのミスマッチを避けること」と「入社 後のアフターフォロー」である。「障がい者 雇用でいつも問題になっているのが、定着 率の悪さです。せっかく入社できても、与 えられた仕事になじめない、周囲とのコミ ュニケーションがうまく取れない…といっ た理由で辞めてしまう人が少なくありませ ん。 ですから、本人がどんな仕事に就きた いのか、について会社がきちんと耳を傾け ること、そして“採用したから終わり”では なく、会社として入社後の十分なサポート が大切です」と言う。

 そのため、ワコールでは東京・大阪・京都 で、障がいをもつ従業員からの相談をメー ルで受ける制度を設けており、相談には新 開らがあたっている。

 ハローワーク主催の障がい者面談会など にも参加し、リクルーターとしても活躍す る新開。篠田らと一緒になって、「働きやす い職場づくり」に、これからも積極的に取 り組んでいく。

 「WACWAC母の会」は、育児をしながら働いている女性従業員の 会。発足は2000年2月。さまざまな情報交換をしながらコミュニケ ーションを図り、自分たちの価値観を大切にしながら、働きやすい 職場環境をつくっていくことを目的にしています。

 「といっても、会社にいろいろなことを要望するとか、交渉する とかというよりも、子育てにまつわるそれぞれの情報を交換し、気 軽に話し合っています」と世話人であるWEB・CRM企画課課長の大 藪範子。

 メンバーには出産を控えた人もいて、職場にしっかり復帰するた めに出産前にしておかなければならないこと、育児情報、保育園の 見つけ方など、自分たちにとってのお役立ち情報から、ときには教 育問題に至るまで、月に1回、労働組合の会議室に集まり、昼食を 共にしながら話し合っています。

 そこに参加できるのは本社および近くの事業所に勤務する者に限 られるので、全国の事業所に勤務するメンバー(会員数は約80人)も 参加できるように、普段はBBS(社内イントラネット上の電子会議室 の掲示板)で情報交換&コミュニケーション。

 「最年長でもあるのでいろいろな経験を話させてもらっています が、みんなやっぱりそれなりに悩んではいるんです。でも、仕事も 子育ても60点でいいじゃない、と私は言っています。ふたつ合わせ

れば120点。そんな気持ちの余裕がないと、どこかでムリが生じて きますから」と大藪。「子育ての先輩に意外な裏技を教えてもらえるの もありがたい」というのはメンバーに共通した声ですが、保育園への 入園のテクニック、学校の先生の家庭訪問時の対応法、予防接種の 上手な受け方、仕事と家事の上手な時間配分方法…等々、「先輩の知 恵」は多岐にわたります。

 「デフ・ハートフル活動」を含めて、こうした従業員の自主的な活動 を会社もサポート。ワコールでは従業員も一緒になって「働きやすい 職場づくり」が進められています。 

育児をしながら働く女性従業員の会 「WACWAC母の会」

人材開発部 人材開発一課 

新開 忍

(左)

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