2017.12.14
生化学Ⅰ 第 2 回小テスト
問題1.①∼⑭の L-アミノ酸の構造を参照し,アミノ酸に関する以下の小問に答えなさい. i. ①番と②番のアミノ酸名,3 文字略語表記,そして 1 文字略語表記を正しく答えなさい. ii. 「芳香族アミノ酸」のグループに属するアミノ酸の番号をすべて挙げ,各々のアミノ酸について
名前と1文字略語表記を答えなさい.
iii. 「L-システイン」の正しい構造を①∼⑭より選び,番号で答えなさい.また,L-システインの 3 文字略語表記,1 文字略語表記,及びこのアミノ酸の「ユニークな能力」について説明しなさい. iv. 側鎖の pKa が 6 付近の中性であるために,化学反応の触媒として働く酵素の重要な部位(活性
部位)でしばしば見かけるアミノ酸を①∼⑭より選び,答えなさい.また,このアミノ酸の名前 と 3 文字略語表記と答えなさい.
v. 小問 i iv の回答に該当しないアミノ酸を上の①∼⑭の中から3個選び,番号,名称,3文字略 語標記そして1文字略語表記を関連づけて答えなさい.
vi. 生物において蛋白質の材料となる「標準アミノ酸(天然アミノ酸)」は上記①∼⑭以外にあと6 つあるが,この6つの中から2つ挙げ,その名称,3文字略語表記,1文字略語表記を答えなさ い.
<裏に続く>
O NH2 C CH2
COO-
+H CH
3N
①
O
COO-
O OH C CH2
COO-
+H CH
3N
②
CH3S CH2 CH2
COO-
+H CH
3N
③
CH2 COO-
+H CH
3N
④
OH
CH2 COO-
+H CH
3N
⑤
SHCH2 COO-
+H CH
3N
⑥
COO-
OH CH2
COO-
+H CH
3N
⑦
COO- H2 C
+H 2N
CH2 CH2
⑧
HN
CH2 COO-
+H CH
3N
⑪
NH+HN
CH2 COO-
+H CH
3N
⑫
OOH C CH2 CH2
COO-
+H CH
3N
⑬
COO- NH2+ NH2 C NH CH2 CH2 CH2
+H CH
3N
OH CH
COO- CH
⑭
CH3 COO-
+H CH
3N
⑨
ONH2 C CH2 CH2
COO- CH H2N
⑩
問題 2.
i. 酢酸(CH3COOH)が酢酸イオン(CH3COO)にイオン化する様子を示した以下の式: CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO + H3O+
を参考に,酢酸についてのヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を正しく導出しなさい。 ただし,[H3O+]=[H+]である。
ii. 実験用に pH=5.00 の緩衝液が必要になったので,酢酸と酢酸ナトリウムを用いて緩衝液を作成 する。0.5 mol/l の酢酸緩衝液([CH3COOH]+[CH3COO]=0.5)を pH=5.00 に調整するためには 酢酸と酢酸ナトリウムをそれぞれ何 mol/l に調節すればよいか,i.のヘンダーソン・ハッセルバ ルヒの式を用いて計算しなさい。ただし,酢酸の pKa(=log10Ka)の値は 4.76 であり,必要 ならば 10(0.24)=1.738であることを利用すること。
問題 3.
i. ヌクレオチドは 5 つの炭素原子からなる糖の一種である ① に DNA と RNA 合わせて合 計 5 種類見られる環状化合物の ② ,そして負電荷を持つ ③ が1個以上結合し て作られる.空欄①∼③に適当な語句を記入しなさい.
ii. 小問 i.の空欄①について,RNA で見られる①と DNA で見かける①の違いを簡単に説明しなさ い.
iii.「ヌクレオチド」と「ヌクレオシド」の違いを決定するものを①∼③より番号で答えなさい. iv. 1953年にワトソンとクリックが発表した DNA の二重らせん構造の特徴をすべて答えなさい. v. 肺炎双球菌を用いて行われた「Griffith の実験」について説明しなさい.また,Griffith の結果
を発展させた「Avery・MacLeod・McCarty の実験」の結果より,生物において DNA がどうい う役割を担うことが証明されたのか,説明しなさい.
解答用紙 学籍番号 氏名 101 点満点
問題1.41点満点(iii.の「能力」は2点,それ以外は各1点;備考参照)i.①名称
L-アスパラギン(L-Asparagine)
3文字
Asn
1文字 N
②
L-アスパラギン酸 (L-Aspartic Acid) Asp D ii.番号
④
名称
L-フェニルアラニン (L-Phenylalanine)
1文字
F
⑤ L-チロシン(L-Tyrosine) Y
⑪ L-トリプトファン (L-Tryptophan) W
【⑫】* 【L-ヒスチジン(L-Histidine)】 【H】 iii.番号
⑥
3文字
Cys
1文字
C
能力 空間に2つのシステイン残基が近接しているとき,チオール基が酸化反応を経てジスルフ ィド結合という共有結合を形成し,蛋白質の構造を安定化できる.
iv.番号
⑫
名称
L-ヒスチジン(L-Histidine)
3文字
His v.番号(順に)
③,⑦,⑧
名称 L-メチオニン,L-セリン, L-プロリン
3文字
Met, Ser, Pro
1文字 M, S, P
⑨,⑩,⑬
L-アラニン,L-グルタミン,L-グル
タミン酸 Ala, Gln, Glu A, Q, E
⑭
L-アルギニン(L-Arginine) 以上,7つの候補より
Arg 選択
R
vi.名称(下の6候補より2つ)
L-バリン,L-ロイシン,L-イソロイシン
3文字
Val, Leu, Ile
1文字
V, L. I
グリシン,L-リシン,L-トレオニン Gly, Lys, Thr G, K, T
<裏に続く>
問題2.30点満点 i. 15点
!"#!$$%["']
!"#!$$" = � �,� = �.の式の両辺を常用対数に変換すると
���23 !"#!$$%["']
!"#!$$" = ���23�.。これを整理すると���23
!"#!$$%
!"#!$$" + ���23[�
5] = ��� 23�.。
���23[�5]と���23�.をそれぞれ左右に移行すれば pH と pKa に置き換えることができるため,
�� = ��� + ���23 !"#!$$
%
!"#!$$"となる.
ii. 15点 pH=5.00,pKa=4.76 をそれぞれ i.の式に代入すると,���23
!"#!$$%
!"#!$$" = 0.24が得られ,
ここから!"!"#!$$%
#!$$"=1.738 となる.また,問題文より[CH3COO-]+[CH3COOH]=0.5となるため,こ
の連立方程式を解くと[CH3COO-]=0.317 mol/l,[CH3COOH]=0.183 mol/lとなる.
問題3.30点満点 i. ① 3点
リボース
② 3点
塩基
③ 3点
リン酸
ii. 5点2’位に結合している官能基が異なっており,RNA の場合は 2’位に水酸基と水素が(リボース), DNAの場合は 2 つの水素が(デオキシリボース)それぞれ結合している.
iii. 3点
③ iv. 7点
2本のポリヌクレオチド鎖が互い違い(逆平行)の配置で右巻きらせん構造を形成している。塩基
(疎水性)はらせんの内側に,糖とリン酸の主鎖はらせんの外側に配置される。らせんの形の関係上, 主溝と副溝と呼ばれる2種類の溝が分子表面に現れる。2本のポリヌクレオチド鎖は水素結合からな る塩基対により安定化される。アデニンはチミンと2本の水素結合,グアニンはシトシンと3本の水 素結合を形成する。
v. 6点
Griffithの実験では,病原性を見せる S(mooth)型の肺炎双球菌と病原性を持たない変異型の R(ough)型の肺 炎双球菌を用いて「遺伝情報の伝達」に関する実験を行った.彼の実験で特筆するべき結果は「熱で殺菌 して無害化した S と元々無害の生きた R を混合してマウスに投与すると生きた病原性の S が発生した」と いう実験結果である。これは「遺伝情報が何らかの方法で死んだ S から生きた R に伝達された」と言うこ とを示す結果である.そのあと Avery-MacLeod-McCarty の実験ではその遺伝情報の担い手は DNA である ことを突き詰め,「生物の遺伝を司る生体分子は DNA である」という概念が確定した.
<問題 1.アミノ酸の採点方針について>
1.問題 1 の ii., v., そして vii. では「自由記述」で該当するアミノ酸を回答する性質の問題ですの で,本来でしたら「すべての答えが一致してこそ正解」なのですけれども,今回のテストでは部 分点を付与しています.
部分点の与え方は「多数決」「高い得点になる」様にしています.例えば,v.の正解に該当する
「L-メチオニン」(構造③)の答えとして
「③ → L-Methionine → Met → N」と回答した場合,一文字表記の「N」だけが誤答,他 は正解としています.2 個正解・2 個誤答の場合は 2 個分の正解のみをカウントしています(例 えば,「③ → L-Serine → Met → S」は,v.の正解であるセリンとメチオニンがごっち ゃになっていますのでどちらか半分のみ正解にしています).
2.*問題 ii.「芳香族アミノ酸」について:授業では芳香族アミノ酸にグループされるアミノ酸と して 3 つ(Trp, Phe, Tyr)を紹介しました。この分類分けは広く生物科学の教科書や生化学事典に 記載されている定義です.しかしながら,有機化学的にはヒスチジンのイミダゾール基も「芳香 環」の仲間,そのためか Wikipedia ではヒスチジンが芳香族アミノ酸の仲間としてあげられてい ます.これは少数意見のようです.
授業で説明した内容をテストしていることもさることながら,イミダゾール基の芳香性を知っ ているところも評価しても良いと思うのですが,今回のテストでは以下のように配点しました.
<授業で説明した芳香族アミノ酸をすべて正しく回答し,その上更にヒスチジンも答えた人> → 加点なし.
<授業で説明した芳香族アミノ酸の一部回答を誤答した人で,ヒスチジンを書いた人> →誤答の点数分だけ加点
<授業で説明した芳香族アミノ酸の代わりにヒスチジンを答えた人> →加点なし.