− 2 − − 3 − 急速な高齢化の進行や生活習慣の変化により、疾病構造が変化し、疾病全体に占める悪性新生
物(がん)、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が増加しています。 こうした変化に対応し、すべての国民が、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするた めに、国においては、平成12年に、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を 目的として、「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)」が策定されました。 いわき市においても、この主旨に基づき、平成14年度に、市民の健康づくりを支援するため、「健 康いわき21(第一次)」を策定し、従来の病気の早期発見、早期治療にとどまらず、健康の増進・ 病気の予防という視点に立った積極的な一次予防に重点を置いた対策を推進してまいりました。 その後、「健康日本21」を推進する法的基盤として、平成15年に「健康増進法」が施行され、 平成17年には「食育基本法」、平成18年には「自殺対策基本法」、平成19年には「がん対策基本 法」等が施行されるなど、さまざまな観点からの健康づくりの取組みが強化されています。 このような中、国においては、「健康日本21(第一次)」の運動期間が平成24年度末で終了し、 平成25年度からは、第一次計画期間における課題等を踏まえて、①「健康寿命の延伸と健康格 差の縮小」、②「生活習慣病の発病予防と重症化予防の徹底(NCD※(非感染性疾患)の予防)」、 ③「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」、④「健康を支え、守るための社会環境 の整備」、⑤「栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関 する生活習慣の改善及び社会環境の改善」の五つを柱とする、「21世紀における第二次国民健康 づくり運動(健康日本21(第二次))」がスタートしています。
「健康いわき21(第一次)」については、計画期間を平成26年度末まで延長しておりましたが、 国・県の計画が策定されたことから、延長期間を1年短縮し、「健康日本21(第二次)」やこれ までの進捗状況、この間に明らかになった課題、さらに、東日本大震災による影響等を考慮した 「健康いわき21(第二次)」を策定するものです。
※NCD(Non-Communicable Disease:非感染性疾患)
喫煙や不健康な食事、運動不足、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善に より予防可能な疾患をまとめて「NCD(非感染性疾患)」と位置付けています。
いわき市では、全国的な傾向と同様、出生率の低下とともに人口の高齢化が進行しています。 また、悪性新生物(がん)、虚血性心疾患、脳血管疾患などの「生活習慣病」が増加し、それ に伴う「寝たきり」や「認知症」等が増加する傾向が依然として続いています。
「誰もが安全に、安心して暮らせるまち」の実現に向け、生涯にわたる健康づくりを推進する ためには、市民一人ひとりが実践する健康づくりを総合的に推進していく必要があります。 本計画では、健康課題を明確にし、世代別の数値目標を設定しながら、生活習慣の改善と社会 環境の改善を行い、生活習慣病の発症予防とその重症化予防を徹底させていきます。
また、高齢期においても自立した日常生活を営むことが出来るよう必要な機能の維持及び向上 を図ることにより、健康寿命の延伸を目指すとともに、あらゆる世代の健やかな暮らしを支える
第 1 節 計画策定の背景
第2節 計画の目的
良好な社会環境を構築することにより、地域や社会経済状況の違いによる健康状態の差、いわゆ る健康格差の縮小を目指します。
1 計画期間
「健康いわき21(第二次)」の計画期間は、平成26年度から平成35年度までの10年間とします。
2 ヘルスプロモーションの考え方に基づいた計画
「健康いわき21」は、ヘルスプロモーションの概念に基づいています。
ヘルスプロモーションとは、1986年、WHO(世界保健機関)がオタワ憲章で「人々が自ら の健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである」と定義しました。 これは、住民一人ひとりが主役となり、自らの人生をより幸せにするために必要な過程を表して います。つまり、人生の最終目標(ゴール)は、生活の質の向上にあるとし、健康は生活の質を 高めるための最も基本的な資源で、生きる目的そのものではないという考えです。そして、ゴー ルを目指すには一人ひとりの住民が健康な生活を送るための能力を備えることと、一人ひとりを 取り巻く環境を改善することが必要とされています。これを人生の坂道に捉えて下の図のように 表現することができます。
3 一次予防と重症化予防の重視(NCD(非感染性疾患)の予防)
現在、本市の死因の1位から3位を占めるがん、心臓病、脳卒中や、増加が著しい糖尿病、 COPD※はいずれも生活習慣病です。そして、それに伴い病気や介護・医療に関わる社会的負担 が増大することが予想されます。
従来の病気の早期発見、早期治療にとどまるのではなく、引き続き健康の増進・病気の予防と
ライフスタイルづくり
ライフスタイルづくり
幸せな人生
健康教育
受け皿づくり
制度・環境づくり
専門家や周りの 人のサポート
坂道を緩やかにする
健康
健康
健康
坂
道
の
角
度
を
下
げ
る
− 4 − − 5 − いう視点に立った一次予防に重点を置くとともに、合併症の発症や病状進展などの重症化予防を
重視した対策を推進します。
※COPDとは(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)
主として長期の喫煙によってもたらされる肺の炎症性疾患です。咳・痰・息切れを主な症 状として緩やかに呼吸障害が進行するもので、かつて肺気腫、慢性気管支炎と称された疾患 が含まれています。
疾病予防の概念 ○一次予防
疾病の発症そのものを予防することを指す。適正な食事や運動不足の解消、禁煙や節酒、 そしてストレスコントロールといった健康的な生活習慣づくりの取組み(健康教室、保健 指導等)や予防接種や環境改善、外傷の防止などの特殊予防のこと。
○二次予防
疾病の早期発見と早期治療によって疾病が進行しないうちに治してしまうこと。健康診 査、各種がん検診及び人間ドック等の健診事業による疾病の二次予防対策が行われている。 乳がんの自己検診、早期の医療機関受診も二次予防に該当する。
○重症化予防(三次予防)
各健診等により健康状態を把握しながら、生活習慣を起因とする比較的軽度な高血圧症 等については医療機関に受療することで健康状態をコントロールし、その後の脳卒中、虚 血性心疾患、腎不全等の重大な疾病の発症を予防する。また、発症後の適切な治療による 障害の進行防止を指す。リハビリテーションも三次予防に含まれる。
※国の報告によれば、脳卒中、虚血性心疾患の患者の半数以上は発症前に全く医療機関を 受診しておらず、健診時に高血圧症等と指摘された人の約4割は、健診後に医療機関を 受療していません。
(参考:NCDについて)
近年、慢性疾患の発症や悪化は、個人の意識と行動だけでなく、個人を取り巻く社会環境 による影響が大きいため、これらの疾患について、単に保健分野だけでなく、地域、職場等 における環境要因や経済的要因等の幅広い視点から、包括的に施策を展開し、健康リスクを 社会として低減していく「NCD対策」としての概念が国際的な潮流となっています。 がん、循環器疾患、糖尿病及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を中心としたNCDは、世 界的にも死因の約60%を占め(2008年(平成20年)現在)、今後、10年間でさらに77% にまで増加するとの予測もなされており、世界保健機関(WHO)では、「非感染性疾病へ の予防と管理に関するグローバル戦略」(2008年(平成20年)~ 2013年(平成25年)) を策定したほか、2011年(平成23年)には国連におけるハイレベル会合でNCDが取り上 げられる等、世界的にNCDの予防と管理を行う政策の重要性が認識されています。今後、 WHOにおいて、NCDの予防のための世界的な目標を設定し、世界全体でNCD予防の達 成を図っていくこととされています。
− 4 − − 5 −
4 集団アプローチによる対策
健康障害を起こす危険因子を持つ集団のうち、より高い危険度を有する者に対して、その危険 を削減することによって疾病を予防する方法を高リスクアプローチと呼び、集団全体で危険因子 を下げる方法を集団アプローチと呼びます。(下図)
高リスクアプローチは方法論も明確で対象も明確にしやすい反面、影響の量は限られています。 一方、集団全体の予防効果からすれば、集団アプローチが必要です。
本計画では、集団アプローチによる考え方を基本として、健康課題を決定しています。
5 目標の設定と評価
健康づくりを効率的に推進するため、第一次計画における評価の結果や各種データなどの情報 をもとに、現状や課題を分析し、「健康日本21(第二次)」の内容を踏まえながら、その課題に 応じた、できるだけ測定可能な指標を用いた数値目標を設定します。数値目標は、計画の実現可 能性を検討したり計画の達成度を評価する際の有効な手段となるとともに、健康づくりに関わる 関係者が協議し、目標を設定し、その達成状況などを随時評価することで、健康づくり運動に反 映させていくことができます。
6 健康づくり支援のための環境整備
市民の主体的な健康づくりを推進するためには、生活習慣を改善し、健康づくりに取り組もう とする個人だけでなく、時間的・精神的にゆとりある生活の確保が困難な者も含め、社会全体と して健康を守る環境整備が必要です。生涯にわたる市民の健康づくりに対する意欲を高め、自己 選択に基づいた健康づくり活動を支援する環境づくりを推進します。
7 ライフステージに応じた健康づくり
高齢化が進む中、年代に応じた健康づくりを行うことで、高齢期における日常生活の自立、社 会生活機能を維持させる観点から、子どもの頃からの健康づくり、働く世代のこころの健康対策乳 幼 児 期
学 童 期 青 年 期
0 歳∼就学前 小・中学生 16 歳∼29 歳
高リスクアプローチ
リスク
集
団
ア
プ
ロ
ー
チ
頻
度
高リスクアプローチと集団アプローチ
高
そのものに着目して、がん、循環器疾患、糖尿病及びCOPDをNCDという疾患として整 理し、包括的な取組みがなされています。
− 6 − − 7 − 等を推進します。
8 地域の連携
市民が自らの生活習慣を見直し、改善するためには、個人だけでなく、健康に関連する全ての 関係機関・団体や企業等が一体となって健康づくりを推進する必要があります。
互いが連携することで、健康教育、健康相談や健診等の保健事業の充実強化が図られることは もちろんのこと、それぞれが持つ多様な手段、機会を有効に活用することで、生涯にわたる一貫 した健康づくりが可能となることから、連携の一層の強化を図ります。
また、地域のソーシャルキャピタルを活用することで、地域の特性をいかした健康づくりが可 能となることから、住民による共助への支援を推進します。
1 いわき市民及び関係者の参画による計画策定
市民が自ら行動する健康づくりとなるよう、市民と協議しながら策定しています。 計画策定にあたっては、次の方法を用いています。
(1)関係機関の代表からなる「いわき市保健医療審議会」において検討しています。 (2)健康づくりに関わる庁内関係課からなる「庁内検討委員会」を設置しています。 (3)住民の実態調査を市民アンケートにより実施しています。
(4)各種団体の要望事項の中から実現可能なものを取り入れています。
2 21世紀に各世代がめざす姿の明確化
各世代がどのような状態であればより豊かな人生を送り質の高い生活ができるのか、21世紀 中に到達する目標をめざす姿として設定しています。
3 世代別の目標値設定
世代によって、それぞれのライフスタイル(食習慣、運動習慣等)が異なり、抱えている健康 問題も異なります。そのため、世代を「乳幼児期」、「学童期」、「青年期」、「壮年期」及び「高齢 期」の5つに分類し、それぞれの世代ごとの健康課題に応じた数値目標を設定します。
本計画では、健康課題に係るそれぞれの指標について、市民全体が目標とすべき数値を設定し ています。
第二次計画における世代別の目標値の設定については、第一次計画の最終評価時において、ほ とんどの項目が目標値を達成できていない状況であったことから、基本的に第一次計画の目標値 を踏襲することとします。
また、いわき市は広域都市であることから、地域によってその気候・風土に違いがあり、ライ
乳 幼 児 期 学 童 期 青 年 期 壮 年 期 高 齢 期
0 歳∼就学前 小・中学生 16 歳∼29 歳 30 歳∼64 歳 65 歳∼
高リスクアプローチ
リスク
集
団
ア
プ
ロ
ー
チ
頻
度
高リスクアプローチと集団アプローチ
高
フスタイル等も異なることが予想されます。このことから、地域に密着したより具体的な計画と するために、地域の実態について調査及び分析を進めながら、各施策に取り組んでいきます。
4 MIDORIモデルの活用
ヘルスプロモーションの展開方法として、アメリカのグリーン博士らによって開発されたプリ シード・プロシードモデル(日本名MIDORIモデル、以下MIDORIモデル)を基本に、第一次計画 を策定しました。MIDORIモデルでは、「診断」→「計画」→「実施」→「評価」のプロセスに 沿って、健康づくりを有効に進めていくことになります。
第二次計画においては、原則的に第一次計画で採用した健康指標を引き続き取り入れています。
〈MIDORIモデルについて〉
第1段階 社 会 診 断:住民のニーズや生活の質を把握します。
第2段階 疫 学 診 断:QOL(生活の質)に影響している健康目標や健康課題を確定 します。
第3段階 行動・環境診断:健康課題の解決に必要な保健行動・ライフスタイルや環境要因 を決定します。
第4段階 教育・組織診断:改善すべき保健行動・ライフスタイルに影響を与える準備要因、 実現要因、強化要因の3つの要因を分析します。
第5段階 行政・政策診断:これまで行われてきた政策や資源及び組織内の状況が健康課題 を改善するのに適しているかどうかを診断します。
第6段階 実 行:第1~第5段階の診断に基づき、計画を策定し、必要な健康教 育や施策を実施します。
第7段階 プ ロ セ ス 評 価:教育プログラムの進行状況や資源の活用状況、参加率などを確 認します。
第8段階 影 響 評 価:第3段階、第4段階で設定した目標の達成状況、行動の変化を 評価します。
− 8 −
− 9 −
〈MIDORI モデルの図〉
第 5 段階 行政・政策判断
第 6 段階 実施
第 7 段階 経過評価
第 8 段階 影響評価
第 9 段階 結果評価 第 4 段階
教育・組織診断
第 3 段階 行動・環境診断
第 2 段階 疫学診断
第 1 段階 社会診断
健康づくりの ための教育
健康的な 行動・生活
環 境
健康課題 政策
法規 組織
(計画の策定・実施・評価)
(住民ニーズ診断)
21 世紀中に到達 する目標 めざす姿は 質の高い生活
人が行動をおこす前に必要な準備要因
本人が備えておくべき知識 やってみようという態度 やるべきだとの信念・価値観
人が行動を持続させる強化要因
周りの人達のサポート 本人の満足感・達成感
人に望ましい行動をおこさせる実現要因
各種保健資源や地域資源の利用しやすさ
(利便性や施設などまでの距離、使用料の安さ)
プリシード
プロシード
健康日本21
(第二次)
健康いわき21
(第二次)
健康ふくしま21
(第二次)
新 ・い
わ き
市 総
合 計
画
計 画
基 本
後 期
いわ
き市
食育
推進
計画
新 ・い
わ き
市 子
育 て
支 援
計 画
新 ・い
わき
市障
がい
者計
画
い わ
き 市
高 齢
者 保
健 福
祉 計
画
いわき市地域福祉計画
− 8 −
− 9 −
〈MIDORI モデルの図〉
第 5 段階 行政・政策判断
第 6 段階 実施
第 7 段階 経過評価
第 8 段階 影響評価
第 9 段階 結果評価 第 4 段階
教育・組織診断
第 3 段階 行動・環境診断
第 2 段階 疫学診断
第 1 段階 社会診断
健康づくりの ための教育
健康的な 行動・生活
環 境
健康課題 政策
法規 組織
(計画の策定・実施・評価)
(住民ニーズ診断)
21 世紀中に到達 する目標 めざす姿は 質の高い生活
人が行動をおこす前に必要な準備要因
本人が備えておくべき知識 やってみようという態度 やるべきだとの信念・価値観
人が行動を持続させる強化要因
周りの人達のサポート 本人の満足感・達成感
人に望ましい行動をおこさせる実現要因
各種保健資源や地域資源の利用しやすさ
(利便性や施設などまでの距離、使用料の安さ)
プリシード
プロシード
健康日本21
(第二次)
健康いわき21
(第二次)
健康ふくしま21
(第二次)
新 ・い
わ き
市 総
合 計
画
計 画
基 本
後 期
いわ
き市
食育
推進
計画
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市 子
育 て
支 援
計 画
新 ・い
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市障
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者計
画
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者 保
健 福
祉 計
画
いわき市地域福祉計画
関連する主な計画
○他の計画との関連性
・本計画は、健康日本21は勿論、健康ふくしま21や市の各種計画とも密接に関連
しています。
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