2004年11月10日 京都大学吉川研究室セミ ナー資料
生命フ ラ ク チュ オマティ ク ス論への道
フ ラ ク チュ オマティ ク ス入門セミ ナー
山 本 光 璋
東北福祉大学&ゆら ぎスク ール・ ジャ パン
目 次
1 . はじ めに
2 . 日本ゆら ぎ現象研究会のショ ート レビュ ー
3 . ゆら ぎの科学と は
4 . 情報科学と は
5 . 「 ゆら ぎの科学」 の理念を基本理念と する応用情報科学専攻について
6 . 生命フ ラ ク チュ オマティ ク ス論と は
7 . 「 脳単一ニュ ーロン活動の1/fゆら ぎ」 から 学ぶ生命フ ラ ク チュ オマティ ク ス
8 . 睡眠の機能論
9 . 意識論
10. 複雑系制御への応用
11 . 少人数ク ラ スにおける意識の活性化と 創生
12. おわり に
2 . 日本ゆら ぎ現象研究会のショ ート レビュ ー
第1回 ( 1989) ∼ 第 19 回 ( 2004)
学際的・総合的な学問の交流の場を提供してきた
○ 特別講演 分野別テーマ集 ⇒ http:/ / www.fluc tuations.org
第3 回∼第12 回「ゆらぎの科学1∼10」(森北出版)に収録
○ パネルディ スカ ッ ショ ン 「 閉塞感の打破と 大学創り と 」 ( 第16 回)
⇒ http:/ / www.fluc tuations.org 冊子と し て発行、 2004. 7
○ シンポジウム 「 ゆら ぎの科学と 情報科学」 ( 第17 回)
⇒ 山本光璋、 鷹野致和編
「 ゆら ぎの科学と 技術―フ ラ ク チュ オマティ ク ス入門」
( 東北大学出版会) 、 2004
( 1 ) 計測 : 観察、 観測、 測定、 調査、 、 、
( 2 ) 解析 : 時系列解析、 信号解析、 イ オンチャ ネル解析、 、 、
( 3 ) 解釈 : モデル化 ( ボト ムアッ プ、 ト ッ プダウン )
メ カ ニズムの解釈、 理解 ( サイ エンス)
1/f ゆら ぎ・ フ ラ ク タ ルゆら ぎの解釈、 複雑系の理解、 、 、
予測、 診断、 設計、 治療、 制御、 再予測、 、 、 ( テク ノ ロジー)
( 4 ) 発見科学 ( サイ エンス)
( 5 ) 「 ゆら ぎ 」 や「 ゆら ぎを生ずるから く り 」 の人間生活への活用
感性工学、 確率共振、 複雑系制御、 、 、 ( ニュ ー・ テク ノ ロジー)
サイ エンスと テク ノ ロジーの2面性 F luc tuomatic s
3 . ゆら ぎの科学と は
ハード ウエア制御
( テク ノ ロジー)
4 . 情報科学と は
<4-1> 東北大学における情報科学 ( 1993−)
http:/ / www.is.tohoku.ac .jp/ intro/ index- j.html
情報科学の概念と体系化は、コンピュータ技術を中心とした情報技術の発展・普及
と関連する学問分野の形成から大きな影響を受けているが、その萌芽は、言語学・
数学・哲学・倫理学などの伝統的な学問に見出すことができる。それゆえに情報科
学は、
(1)自然科学だけではなく人文・社会科学なども包含する学際的・総合科学分野
として発展させることが本来の姿であろう。すなわち、情報科学は、従来の個
別科学を統合する共通概念としての「情報」に着目することにより、
(2)あらゆる学問分野間の相互作用の中から、単なる技術・知識を越えた新しい
知の地平を切り拓くことを可能にする学問分野として位置づけられる。
● 情報科学は、物事の“ 情報” メカニズムを教えてくれる学問分野であり、一方、人間は情報によって動く存在で あるから、人間に関する情報メカニズムが判れば人間は、自らの行動をデザインできるはずである。
したがって“ 理想的” な情報科学は人間の行動を導いてくれるものに違いない(山本光璋)。
<4- 2>本来人間の科学であるはずの情報科学のバッ ク ボーン、 「 赤池理論」
(1) Akaike, H. , P redic tion and E ntropy. in A C elebration of S tatistic s. A. C . Atkinson and S . E . F ienberg (editors), pp. 1- 24, S pringer, New Y ork. (1985)
(2) 赤池弘次:真理への近さを測る, ゆらぎの科学10, ゆらぎ現象研究会編, 森北出版, p33- 66 ( 1999)
この理論は、ゆらぎの世界に存在する「データ」と、その背景にあるそれぞれのサイエンスが蓄積した
「知識」、さらには「経験」、これら3種類の情報(情報データ群)に基づき、未来の時間経過を示す予 測モデルを統計的合理性規準に則って創出する手法を教えてくれている( 1) , ( 2) , ( 3) , ( 4) , ( 5) 。
ここで知識とは、因果関係が科学的に立証された知識のことであり、経験とは、まだ知識化されていな いが予測に寄与することが期待される情報のことである。
このため、情報科学の研究者は統計科学に精通するだけではなく、実質的な内容を伴うそれぞれのサイ エンスのなかみに入って行くことが肝要である。それは、知識と経験の部分を予測モデルに如何に取り入 れるかの判断は各研究者に任されているからである。
(山本光璋、鷹野致和「ゆらぎの科学と技術―フラクチュオマティクス入門―」より)
( 3) H. Akai ke, Seas onal adj us t ment by a Bayes i an model i ng. , J our nal of Ti me Ser i es Anal ys i s , Vol . 1, No. 1, p 1- 13 ( 1980)
( 4) H. Akai ke, M. I s hi gur o, H. Ooe and S. Nakai : A Bayes i an appr oac h t o t he anal ys i s of ear t h t i des . Pr oc eedi ngs of t he Ni nt h I nt er nat i onal Sympos i um on Ear t h Ti des , J . T. Kuo, ed. , p 283- - 292 ( 1983)
( 5) H. Akai ke, : " On t he r ol e of s t at i s t i c al r eas oni ng i n t he pr oc es s of i dent i f i c at i on" , Pr epr i nt s : SYSI D' 97, 11t h I FAC Sympos i um on Sys t em I dent i f i c at i on, Vol . 1, p1- 8 ( 1997)