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パンフレット<広報活動<海洋研究開発機構

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Academic year: 2018

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(1)

国立研究開発法人

海洋研究開発機構

地球環境観測研究開発センター

海洋循環研究グループ

TEL:046-866-3811(代) E-mail : argo@jamstec.go.jp

http://www.jamstec.go.jp/ARGO/

アルゴ(Argo)の名前は、ギリシャ神話の「アルゴ船遠征物語」に出 てくる人類最初の巨船「アルゴ(argo)号」にちなんでいます。

テッサリアの王子イアソン(Jason)は、叔父に、父から奪った王位を 返すようにと迫り、遥か東方のコキリスにある「黄金の羊毛」を持ち 帰れば王位を譲るとの約束を取り付けます。巨船「アルゴ号」を作ら せたイアソンは、ヘラクレスやカストル・ポルックス兄弟ら、ギリシャの 中の50人の勇者とともに、アルゴ号に乗り込んで大航海に出帆しま す。その後、数々の冒険の末に黄金の羊毛を手に入れて帰路につく のです。この遠征を記念してアルゴ号は神に捧げられ、アルゴ座※1

に姿を変えました。

現在、英雄イアソンは最新の海洋観測衛星※2にそ

の姿を変え、海中深くを航行するアルゴ号の大船団 とともに、現代の「黄金の羊毛」、つまり海洋・気候 変動を明らかにするべく、冒険を続けています。

※1 プレストマイオスが著書「メガレ・シタクシス(天文学大系)」の中で定めた「プレス トマイオスの48星座」の一つ。全天で2番目に明るいカノープスを主星とする。日 本からは、冬の夜空の地平線近くに上半分を見ることができる。巨大すぎるとの 理由で、18世紀にフランスの天文学者、ラカイユにより、らしんばん(羅針盤)座、 ほ(帆)座、とも(艢)座、りゅうこつ座の4つに分割されて現在に至る。

※2 最新のレーダー海面高度計を搭載したJason型衛星のこと。アメリカ航空宇宙 局とフランス国立宇宙研究センターとの共同で運用されている。第1号機 (Jason-1)は2001年12月7日に、第2号機(Jason-2)は2008年6月20日に

打ち上げられた。

アルゴの由来

Argo

2015年4月

(2)

地球温暖化に伴って地球が新たに蓄えた熱の90%以上は海に蓄えら れており、地球上の陸地と大気、川と湖、すべてを合わせても、蓄えられた 熱は10%にも届きません。海のわずかな温度の変化は、膨大な熱の出 入りを表しており、地球全体の熱バランスの大きな変化を意味している 可能性が高く、地球環境を考える上で見落とせない要素だといえます。 海を知らずして、地球の未来を語ることはできないのです。一方で、海はと ても観測が難しい対象でもあり、まだ分かっていないことが数多く残され ています。これまで、海洋内部の状態を知るためには、直接船でその海域 まで行く必要があり、空間的にも時間的にも、ごく限られたデータしか得ら れませんでした。そんな中、世界各国が

協力してアルゴ計画を進めることで、 広い海域を常に計測できるようになり ました。私たちは海洋観測を実施し続 けるとともに、世界中で集められたデー タを活用し、地球環境研究、海洋循環 研究を進めていきます。

海洋循環研究グループからのメッセージ

海洋観測

して

、未知

なる

ることが

たちの

使命

です

世界中

をロボットたちがくまなく

観測

その

情報

をオペレーションセンターに

さまざまな

役立

てていく

1980

年代

海洋学者

いた

世界。

それがいよいよ

現実

のもの

となり

、海洋学

たな

歴史

しています

2000

にスタートした

国際

プロジェクト

アルゴ

Argo

)計画」。気候変動

きな

影響

える

観測

するため

、世界中

海洋

3000

以上

のアルゴフロートを

展開

、集

めたデータを

世界中

のだれもが

利用

できるようにするという

壮大

計画

です

。現在、

この

共通

目的

のために

30

える

機関

参加

アルゴフロートによる

けられています

。日本

では

、海洋研究開発機構

中心

となって

創設期

からアルゴ

計画

アルゴフロートの

投入、高品質

なデータ

管理方法

開発、太平洋全域

のアルゴフロート

管理

など

アルゴ

計画遂行

にとって

不可欠

であるあらゆる

役割

っています

Argo

アルゴ

計画

とは

アルゴ計画により、海洋内部の水温、塩分がリアルタイムでわか るようになってきました。さらに、計画の開始から15年以上データ が蓄積され、ようやく長期間の海洋内部の変化についても解析が できるようになってきました。これまでのさまざまな海洋観測データ にアルゴのデータを加えることで、気候変動研究が飛躍的に進化 しています。地球温暖化をはじめとする、長期間の海洋環境変動 を捉え、そのメカニズムを理解するため、世界各国で協力しながら モニタリングを続けていくことが重要です。

アルゴフロートは2000mまでの海洋をリアルタイムでモニタリング し、そのデータをだれでも利用できるように配信することで、海洋・

気候学の発展に大きな役割を果たしています。最近の研究から、 数年から数十年規模の地球環境の変化に2000mより深い海や、 海氷に覆われる北極・南極海域の変動が重要な役割を果たして いる可能性があります。海洋研究開発機構では4000mまで観測 できるアルゴフロートを企業と共同開発しました。(中綴じページの 左下図をご参照ください)。近い将来、これらの海域を常時モニタ リングできるようになれば、海洋環境変動に関する私たちの理解 はさらに進むことでしょう。さらに、海中の酸性度やクロロフィル濃 度などの新たなデータを集めることで、海洋の生態系を含む海洋 環境変動の理解がより深まるものと期待されています。

地球

未来

につなげるために

世界

がひとつになり

、海

観測

する

観測データの管理

高品質

なデータを

、世界

ける

科学的な成果

しい

時代

海洋環境研究

アルゴフロートの塩分データを用いて全球的な水循環の変化を検知

暖色系は表層の塩分がここ30年で増加したところ、寒色系は逆に減少したところ。もともとの

塩分分布(黒線)と比べると塩分の高い(低い)ところでより塩辛く(甘く)なっていることが分かり

ました。全球的な水循環が活発化したシグナルだと考えられます。

Hosoda et al.(2009). Journal of Oceanography, 65(4), 579-586.

将来への展望

つの

るために

様々な観測技術を駆使した地球環境観測に向けて

アルゴフロートの他にも海洋を観測するさまざまな手法があります。船舶を用いた高精度観測、 人工衛星を用いた全球的な海面観測、海中に係留するブイなどを用いた長期定点観測などそ れぞれが長所を持っています。

また、水中グライダーなど、近年の技術革新・開発により新しい観測手法が確立し、これまで不 可能であった観測が実現しつつあります。これらの長所を組み合わせ、観測網を発展させていく ことにより、より確かな海洋環境の把握が可能になると考えています。

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36 36 36

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60E 120E 180 120W 60W 0 60S

30S EQ 30N 60N

−0.2 −0.15 −0.1 −0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2 (psu)

2015年3月10日現在、稼働しているアルゴフロートの分布。各ポイントで海の中

の観測を繰り返し、リアルタイムでデータを地上に送ってきています。2000年以

降、海洋研究開発機構では、関係省庁、大学、水産高校、民間企業などの協力 によりアルゴフロート投入を実施し、アルゴ計画と二人三脚で海洋環境研究を

進めています。(赤色:日本が投入したフロート、青色:他国が投入したフロート)

アルゴフロートから衛星を通じて送られてくるデータは、さまざまなエ ラーが含まれていることがあります。海洋研究開発機構ではエ ラーを発見し、ほかの観測データを利用して、エラーを補正するな ど、データが高品質になるように管理しています。こうした品質管 理は、国際会議で定められた方法に従ってアルゴ計画に参加す る全ての国で行われています。また、アルゴフロートのエラーを早 期に発見するために海に投入する前に実験室でのセンサー検定 を実施し、海に投入した後は観測中に送られてくる全てのデータを 目視で検査するなど、きめ細かな作業を行っています。

アルゴ計画では全球を6つの海域に分け、各海域にアルゴ海域セ ンター(ARC)を設置して、各海域で得られたデータの品質を均一 に保つチェックを行っています。この

(3)

Ar

g

o Fl

o

at

D

ee

p NINJ

A

Deep NINJAの仕様

■最大観測深度

 4000dbar(4000m)

■全長・空中重量

 210cm・約50kg

■搭載センサー

 圧力、水温、塩分(電気伝導度)

■データ通信方式

 双方向通信(イリジウム衛星)

■測位

 Global Positioning System

■運用寿命

 1年以上(リチウム電池による駆動)

■その他機能

 海氷検知

アルゴフロートの仕様

※アルゴ計画で利用している  フロートを「アルゴフロート」と  呼んでいます。現在、国内外の  メーカーより同等の機能を持った  製品が販売されています。

■最大観測深度

 2000dbar(2000m)

■全長・空中重量

 160∼200cm・約20∼50kg

■搭載センサー

 圧力、水温、塩分

■データ通信方式

 単方向通信(アルゴス衛星)  または

 双方向通信(イリジウム衛星)

■運用寿命

 3∼7年以上

 (搭載されている電池の容量に依存)

■その他機能

(4)

アルゴフロートは、各研究機関・省庁の観測船 や、高校・大学の練習船、民間の貨物船などに 乗って投入予定海域に運ばれます。船から投 入されたアルゴフロートは一旦水深1000mまで 潜り、9日間海流とともに漂います。10日後に1 度、2000mまで沈んだのち、水温、塩分、圧力 を計測しながら海面に浮上。海面から通信衛星 へ向けてデータを送信します。送信を終えたあ と、再び1000mの深さまで潜っていきます。この サイクルは搭載されたコンピュータと電池によっ て自動で繰り返され、通常3∼7年間続きます。

アルゴフロートの

観測

サイクル

アルゴフロートの

投入協力

アルゴフロートの中身は、実はとてもシ ンプルです。上部にデータ送受信用 のアンテナ、水温、塩分、圧力を計測 する各センサーが搭載されており、本 体内部には、コントロール基盤、データ 送信装置、浮き沈み用のポンプ、モー ター、電池などが配置されています。

アルゴフロートが浮き沈みする秘密は、内部に蓄えられたオイルにあります。 モーターとポンプによってオイルをアルゴフロートの底にある油室に押し出した り、逆に油室から内部に油を引き込んだりすることによって、アルゴフロート全

体の密度を変化させ、海面から水深2000mまでの冒険を可能にしています。 今までは深度2000mまでの観測が限界でしたが、新たなアルゴフロート

は海面から深度4000mまでの水温・塩分・圧力(深度)を長期間にわ たって観測することが可能になりました。さらに、南極海・北極海での観 測も想定し、浮上中に海面付近で結氷温度に近いマイナス1.79℃を 計測すると自動的に漂流深度に戻り、海氷によるアンテナなどへの損 傷を避けるようプログラミングされています。また、水深の浅い海域で、漂 流中や沈降中に着底したことを検知した場合、やや浮上して浅海域を 回避する機能も備わっています。こうした新機能により、これまでのアル ゴフロートでは観測が困難だった季節海氷域を含め、より広い海域での 運用が可能となり、その観測可能領域は全海洋の9割に達します。

アルゴフロートの

内部構造

より

より

全海洋

9

をカバー

アルゴフロートから送信されたデータは、衛星経由で最終的にフラン スとアメリカにある世界アルゴデータ集積センターに集められ配信さ れます。このデータは世界中のだれでもアクセスでき、さまざまな形で 気候変動研究などに活用されています。また、全球気象通信システム (Global Telecommunications System)を通して気象予報等で

日常的にも利用されています。

アルゴフロート投入の様子

神奈川県立海洋科学高等学校 「湘南丸」

海洋研究開発機構によるアルゴフロートの投入は研究機関、関係省庁、高 校・大学、民間企業にもご協力頂き、行われています。アルゴフロートは各機関 が所有する船で投入海域に運ばれ、研究員、学生、船員のみなさまの手に よって確実に投入されます。

ロートの

オイル 油室

油圧ポンプ バッテリー

浮力調整室 ポンプ

水温・塩分センサー 衛星アンテナ

姿勢安定板 送信装置 エアポンプ

モーター 補強材

浮上・沈降のしくみ

2000m 1000m

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4000m ῝ᾏ⏝䝣䝻䞊䝖

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沈降の方法

油室の体積を 減少させる 油室の体積を

増加させる

浮上の方法

海氷を検知して 危険を回避 水温センサーによって海 面に海氷があると判断し た場合、「Deep NINJA」 は浮上を中止し、データを 保存したまま海中に戻る。 保存されたデータは、次 に海面に浮上したときに まとめて送信される。

着底を検知して 危険を回避 漂流中に海底に着底し たと判断した場合、やや 浮上して浅い海域を脱す る。また沈降中に着底し た場合は、そこから浮上 するなど、状況に応じて 決められた行動を自動的 に実行する。

参照

関連したドキュメント

アドバイザーとして 東京海洋大学 独立行政法人 海上技術安全研究所、 社団法人 日本船長協会、全国内航タンカー海運組合会

本報告書は、日本財団の 2015

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