刊行のことば
国土を海に囲まれているわが国において、安定した経済活動の維持はもとより国民生 活の向上にとって、海運業は欠かすことのできない重要な産業です。本書は海運業の重 要な基盤である船舶自体に関する法律である船舶法及び関係法令の概要並びに船舶法 に基づく手続きを解説したものです。
我々海事代理士は日常業務として各種の海事法令手続きを通じ海運事業者と行政と の間に立ち海運行政の円滑な実施に尽力しています。そのため日頃より船舶法に関する 知識の重要性を痛感しております。
平成 10 年 3 月に刊行した「船舶法及び関係法令の解説（改訂版）」から 17 年が経ち、
船舶法に関する知識を次世代につなげる必要性を感じていましたところ、この度日本財 団の助成を得て「船舶法及び関係法令ガイダンス」を発刊する運びとなりました。
本書には、船舶法の解説、船舶法に基づく手続き、船舶登記に関する記述も含め船舶 に関する幅広い資料を掲載しました。海事代理士をはじめ海事事業者の業務に生かされ ることを切に期待します。
本会は、海事関係者に対する海事知識の普及を事業目的の一つとしており、本書が、
海運事業者等に対する有益な情報の提供となり、国民生活を支える海運業の発展を通じ て国民生活の充実に寄与することを願っております。
最後に、本改訂版の刊行にあたって、本会の趣旨を理解し助成をいただきました日本 財団、公務多忙中にもかかわらず多大のご協力とご指導を賜りました国土交通省海事局 担当官、本書刊行にご尽力いただきました本会船舶部会委員の皆様には深く感謝申し上 げます。
平成 27 年 3 月
一般社団法人日本海事代理士会 会長 松居 紀男
船舶法及び関係法令ガイダンス
目 次
第 １ 章 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ 第 １ 節 船 舶 法 の 意 義 及 び 沿 革 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ 第 １ 款 船 舶 法 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ 第 ２ 款 船 舶 法 の 沿 革 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ 第 ２ 節 船 舶 の 概 念 及 び 分 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ 第 １ 款 船 舶 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ 第 ２ 款 船 舶 の 性 質 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ 第 ３ 款 船 舶 の 分 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ 第 ２ 章 船 舶 の 国 籍 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ０ 第 １ 節 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ０ 第 ２ 節 日 本 船 舶 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ 第 １ 款 日 本 船 舶 の 意 義 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ 第 ２ 款 日 本 船 舶 の 特 権 及 び 義 務 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ２ 第 ３ 章 船 舶 の 識 別 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ６ 第 １ 節 船 舶 の 名 称 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ６ 第 ２ 節 船 籍 港 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ７ 第 ３ 節 船 舶 の 総 ト ン 数 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ７ 第 ４ 節 船 舶 所 有 者 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ８ 第 ４ 章 船 舶 の 総 ト ン 数 の 測 度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ９ 第 １ 節 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ９ 第 ２ 節 船 舶 の 総 ト ン 数 の 測 度 の 申 請 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ２ ０ 第 ３ 節 船 舶 の 総 ト ン 数 の 測 度 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ２ ４ 第 １ 款 総 ト ン 数 測 度 申 請 の 受 理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ２ ４ 第 ２ 款 総 ト ン 数 の 測 度 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ２ ５ 第 ５ 章 船 舶 登 記 － 船 舶 登 記 制 度 － ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ ５ 第 １ 節 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ ５ 第 １ 款 船 舶 の 公 示 制 度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ ５ 第 ２ 款 船 舶 登 記 制 度 が 適 用 さ れ る 船 舶 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ ７ 第 ３ 款 船 舶 登 記 の 意 義 及 び 種 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ３ ９ 第 ４ 款 登 記 す る こ と が で き る 権 利 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ４ ０ 第 ５ 款 船 舶 登 記 に 関 す る 機 関 と そ の 設 備 ・ ・ ・ ・ ・ ４ ０ 第 ２ 節 船 舶 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ４ ２ 第 １ 款 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ４ ２
第 ２ 款 船 舶 の 所 有 権 の 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ５ ０ 第 １ 項 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ５ ０ 第 ２ 項 船 舶 所 有 権 保 存 の 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ５ ２ 第 ３ 項 船 舶 所 有 権 移 転 の 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ５ ６ 第 ３ 款 船 舶 の 表 示 の 変 更 及 び 更 正 の 登 記 手 続 ・ ・ ・ ５ ７ 第 ４ 款 船 舶 所 有 者 の 表 示 の 変 更 の 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ５ ８ 第 ５ 款 船 舶 の 登 記 の 抹 消 登 記 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ５ ９ 第 ６ 章 船 舶 の 登 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ３ 第 １ 節 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ３ 第 １ 款 船 舶 の 登 録 の 意 義 及 び 種 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ３ 第 ２ 款 船 舶 の 登 録 に 関 す る 事 務 管 掌 者 と そ の 設 備 ・ ６ ４ 第 １ 項 管 海 官 庁 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ４ 第 ２ 項 登 録 に 関 す る 物 的 設 備 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ４ 第 ３ 款 船 舶 の 登 録 事 項 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ６ 第 ４ 款 登 録 さ れ る べ き 船 舶 及 び そ の 所 有 者 ・ ・ ・ ・ ６ ８ 第 ５ 款 船 舶 の 登 録 手 続 開 始 の 態 様 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ９ 第 ２ 節 船 舶 の 新 規 登 録 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ９ 第 １ 款 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ６ ９ 第 ２ 款 新 規 登 録 の 申 請 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ０ 第 ３ 款 新 規 登 録 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ２ 第 １ 項 登 録 申 請 の 受 理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ２ 第 ２ 項 登 録 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ３ 第 ３ 節 船 舶 の 変 更 登 録 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ３ 第 １ 款 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ３ 第 ２ 款 船 舶 の 総 ト ン 数 の 変 更 登 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ４ 第 ３ 款 船 舶 の 船 籍 港 の 変 更 登 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ７ ６ 第 ４ 款 そ の 他 の 船 舶 の 表 示 事 項 の 変 更 登 録 ・ ・ ・ ・ ７ ７ 第 ５ 款 船 舶 所 有 者 に 関 す る 変 更 登 録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ ０ 第 ４ 節 船 舶 の 抹 消 登 録 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ ２ 第 １ 款 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ ２ 第 ２ 款 船 舶 の 抹 消 登 録 手 続 の 開 始 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ ５ 第 ３ 款 船 舶 の 抹 消 登 録 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ８ ７ 第 ５ 節 船 舶 の 登 録 の 訂 正 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ０ 第 １ 款 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ０ 第 ２ 款 登 録 、 登 録 後 の 事 務 処 理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ３ 第 ３ 款 船 舶 の 登 録 の 訂 正 の 実 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ４ 第 ７ 章 船 舶 国 籍 証 書 及 び 仮 船 舶 国 籍 証 書 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ５ 第 １ 節 船 舶 国 籍 証 書 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ５ 第 １ 款 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ９ ５ 第 ２ 款 船 舶 国 籍 証 書 の 交 付 、 書 換 等 の 手 続 ・ ・ ・ ・ ９ ８
第 ３ 款 船 舶 国 籍 証 書 の 検 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ０ ２ 第 ２ 節 仮 船 舶 国 籍 証 書 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ０ ９ 第 １ 款 総 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ ０ ９ 第 ２ 款 仮 船 舶 国 籍 証 書 の 交 付 、 書 換 等 の 手 続 ・ ・ １ １ １ 第 ３ 節 臨 時 航 行 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ ４ 第 ８ 章 小 型 船 舶 に 関 す る 特 例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ ５ 第 １ 節 序 説 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ ５ 第 ２ 節 登 録 及 び 測 度 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ ６ 第 ３ 節 小 型 船 舶 の 検 査 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 他 ・ ・ ・ １ １ ７ 第 ９ 章 罰 則 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ １ １ ８
付 録
資 料 － 法 令 集
付 録 １ １ ． 申 請 書 の 種 類 と 提 出 先 ２ ． 手 数 料 の 納 付
３ ． 船 舶 原 簿 の 記 事 の 記 載 例 付 録 ２ － 書 式 例 集
付 録 ３ ― ロ ー マ 字 表 記 の 基 準
巻 末 国 土 交 通 省 、 地 方 運 輸 局 、 同 運 輸 支 局 、 同 海 事 事 務 所 一 覧
（ 船 舶 法 関 係 事 務 を 取 扱 う 管 海 官 庁 ）
凡 例
法 令 の 略 語 は ， 次 に 掲 げ る も の を 使 用 し た 。 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 法
細 則 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 法 施 行 細 則 手 続 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 法 取 扱 手 続
ト ン 数 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 の ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 法 律 船 登 令 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 登 記 令
船 登 規 則 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 船 舶 登 記 規 則 不 登 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 不 動 産 登 記 法 不 登 令 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 不 動 産 登 記 令 不 登 規 則 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 不 動 産 登 記 規 則 登 免 税 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 登 録 免 許 税 法
小 型 船 舶 登 録 法 ・ ・ ・ 小 型 船 舶 の 登 録 等 に 関 す る 法 律
＜ 用 語 の 定 義 ＞
◎ 管 海 官 庁 ・ ・ ・
国 土 交 通 省 組 織 令 （ 平 成 12 年 政 令 第 255 号 ） 第 212 条 の 表 に 掲 げ る 地 方 運 輸 局 長 、 同 令 第 215 条 の 表 に 掲 げ る 神 戸 運 輸 監 理 部 長 、 地 方 運 輸 局 組 織 規 則 （ 平 成 14 年 国 土 交 通 省 令 第 73 号 ） 別 表 第 2 第 1 号 に 掲 げ る 運 輸 支 局 （ 福 岡 運 輸 支 局 を 除 く 。） を 除 く 運 輸 支 局 の 長 及 び 同 別 表 第 5 第 2 号 に 掲 げ る 海 事 事 務 所 の 長 並 び に 内 閣 府 設 置 法（ 平 成 11 年 法 律 第 89 号 ）第 47 条 第 1 項 の 規 定 に よ り 沖 縄 総 合 事 務 局 に 置 か れ る 事 務 所 で 地 方 運 輸 局 に お い て 所 掌 す る こ と と さ れ て い る 事 務 の う ち 国 土 交 通 省 組 織 令 （ 平 成 12 年 政 令 第 255 号 ） 第 212 条 第 2 項 に 規 定 す る 事 務 を 分 掌 す る 、 そ の 長
◎ Ｄ Ｂ Ｓ ・ ・ ・ 船 舶 登 録 測 度 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム
新造内航船の建造（新規登録）
・資金計画（荷主・銀行）
・見積（造船所）
建造計画
・運航計画の策定（自営・貸渡）
・保険の締結
・船員の確保
・安全管理体制の確認 など 使用計画の策定 造船契約書の締結
起工前：建造等申請書（認定後起工）
竣工後：建造等船舶の竣工届
竣工前：新規登録申請又は変更登録申請 竣工後：新造船完成報告書
内航海運業関係手続 日本内航海運組合総連合会
地方運輸局・運輸支局・海事事務所
・船舶番号・信号符字内定申請
・総トン数測度申請
↓
船舶件名書謄本交付 総トン数計算書謄本交付
・新規登録及び船舶国籍証書交付申請 ↓
船舶国籍証書交付
登録事項証明書申請・交付 船舶法関係手続
着 工
船舶登記関係手続
・製造検査申請（登録長 30m 以上）
・第 1 回定期検査申請
・進水届
・海上公式試運転
・完成検査
船舶安全法・海防法等関係手続
船舶検査証書・同検査手帳交付 海洋汚染等防止証書・同検査手帳交付 その他証書類の交付
・所有権保存登記申請
・（根）抵当権設定登記申請
※製造中に（根）抵当権設定している場 合を除き、船籍港を管轄する法務局
↓
船舶登記簿謄本申請・交付
・船員の雇用（雇入契約書作成）
・船員保険・労災保険・雇用保険に加入
・船員就業規則作成・変更
・労使協定届出（時間外・補償休日等）
・海員名簿・公用航海日誌等、必要書類準備
雇入契約届出手続
船員法・船舶職員法関係手続
小型船舶の登録等に関する法律 船舶安全法・小型船舶安全規則
※搭載艇がある場合
・新規登録申請
・第 1 回定期検査申請
↓ 登録事項通知書 船舶検査証書 船舶検査手帳 手続完了
既存内航船の購入（変更登録）
・内航船資格の確認
・資金計画（荷主・銀行）
・船体、設備、属具の確認
・修繕の要否確認
・抵当権等担保の確認
・引渡し条件の確認
（残油協定・保険切替等）
購入計画・確認
・運航計画の策定（自営・貸渡）
・保険の締結
・船員の確保
・安全管理体制の確認 など 使用計画の策定 売買契約の締結
・新規登録申請書（購入前）
・変更登録申請書（購入後 30 日以内）
・構造改善対策賦課金徴収対象船舶申告書 内航海運業関係手続
地方運輸局・運輸支局・海事事務所
日本内航海運組合総連合会
・変更登録及び船舶国籍証書書換申請 ↓
船舶国籍証書交付
登録事項証明書申請・交付
※船籍港・船名等に変更がある場合は、変更登 録を行った管海官庁が、法務局へ登記の嘱託を するので、当該嘱託登録免許税 1,000 円を収入 印紙で収める必要がある。嘱託書副本が必要な 場合は、返送用の封筒及び郵送料も同時に提 出。
船舶法関係手続
売 買
・船舶検査証書書換申請
・海洋汚染等防止証書書換申請
・その他必要に応じて書換申請 船舶安全法・海防法等関係手続
船舶検査証書交付 海洋汚染等防止証書交付 その他証書類の交付
・（根）抵当権抹消登記申請
・所有権移転登記申請
・（根）抵当権設定登記申請
↓
船舶登記簿謄本交付
・船員の雇用（雇入契約書作成）
・船員保険・労災保険・雇用保険に加入
・船員就業規則作成・変更
・労使協定届出（時間外・補償休日等）
・海員名簿・公用航海日誌等、必要書類準備
雇入契約届出手続
船員法・船舶職員法関係手続
小型船舶の登録等に関する法律 船舶安全法・小型船舶安全規則
※搭載艇がある場合
・移転・変更登録申請
・船舶検査証書書換申請
↓ 登録事項通知書 船舶検査証書 船舶検査手帳
手続完了 船舶登記関係手続
解撤・独航機能撤去（抹消登録）
・見積（解撤事業者）
・日程表（工程）の確認 解撤計画
・内航資格の処分方法
・保険の解約
・船員の雇止
・代替船舶等
解撤後の計画 解撤契約書の締結
着工前：船骸処理完了証明書交付願 監査員が同一性の確認
↓
完了後：監査員が最終確認
船骸処理完了証明書交付
完了後：変更登録申請又は休止届・廃止届 内航海運業関係手続
日本内航海運組合総連合会
地方運輸局・運輸支局・海事事務所
・抹消登録申請書に添付する証明書の交付申請
船舶測度官が着工前に同一性を確認
↓
解撤完了後、船舶測度官による最終確認
↓
解撤・独航機能撤去証明書交付
・上記証明書を添付して、抹消登録申請 ※同時に船舶国籍証書（指定書等含む）返納
↓
登録事項証明書（抹消）申請・交付 船舶法関係手続
着 工
・各証書類に関する返納届
船舶安全法・海防法等関係手続
所有権抹消は抹消登録を行った管海官庁が法 務局へ登記の嘱託をする。
登録免許税は必要ないが、嘱託書副本が必要 な場合は、返信用封筒及び郵送料を提出します。
・船員雇止
・船員保険・労災保険・雇用保険の喪失届
・船員就業規則変更
船員法・船舶職員法関係手続 小型船舶の登録等に関する法律 船舶安全法・小型船舶安全規則
※搭載艇がある場合
・抹消登録申請
・返納届
手続完了 船舶登記関係手続
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第１章 序 説
第１節 船舶法の意義及び沿革
第 １ 款 船 舶 法 の 意 義
船 舶 法 は 、船 舶 の 国 籍 、船 舶 の 総 ト ン 数 そ の 他 の 登 録 に 関 す る 事 項 及 び 船 舶 の 航 行 に 関 す る 行 政 上 の 取 締 等 を 定 め た 法 律 で あ る 。
（ １ ） 船 舶 が 水 上 、 特 に 海 上 を 航 行 す る 場 合 に は 、 海 上 の 特 殊 の 危 険 を 伴 う ば か り で な く 、 船 舶 に 対 し て は 国 家 的 監 督 が 自 由 に 及 ば な い か ら 、 国 家 は 人 命 及 び 財 産 の 安 全 を 図 り 、 船 舶 に 関 す る 秩 序 を 維 持 す る た め 、 海 上 を 航 行 す る 船 舶 に つ い て 各 種 の 公 法 規 定 を 設 け る 必 要 が あ る 。 こ れ が 海 事 公 法 で あ っ て 、海 上 輸 送 の 発 展 と と も に 、現 今 に お い て は 多 数 の 法 令 が あ る（ 注 ）。
船 舶 法 も ま た こ の 要 請 に 応 ず る も の で あ る 。
（ 注 ） 海 事 公 法 は 、 海 事 法 規 の 一 種 で あ る 。 海 事 法 規 と は 、 海 事 、 即 ち 船 舶 の 海 上 航 行 に 直 接 関 連 す る 法 律 関 係 に つ い て の 法 規 を い う 。 現 在 に お け る 海 事 公 法 の 主 要 な 法 律 及 び こ れ ら に 基 づ く 命 令 は 下 記 の 通 り で あ る 。
１ 船 舶 法 （ 明 治 32 年 法 律 第 46 号 ）
２ 船 舶 法 施 行 細 則 （ 明 治 32 年 逓 信 省 令 第 24 号 ） ３ 船 舶 法 取 扱 手 続 （ 明 治 33 年 逓 信 省 公 達 第 363 号 ） ４ 船 舶 登 記 令 （ 平 成 17 年 政 令 第 11 号 ）
５ 船 舶 登 記 規 則 （ 平 成 17 年 法 務 省 令 第 27 号 ）
６ 小 型 漁 船 の 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 政 令 （ 昭 和 28 年 政 令 第 259 号 ） ７ 船 舶 の ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 法 律 （ 昭 和 55 年 法 律 第 40 号 ）
８ 船 舶 のトン数 の測 度 に関 する法 律 施 行 規 則 （昭 和 56 年 運 輸 省 令 第 47 号 ） ９ 船 舶 積 量 測 度 法 （ 大 正 3 年 法 律 第 34 号 ）
10 船 舶 ト ン 数 測 度 心 得 （ 平 成 11 年 国 海 査 第 142 号 ） 11 船 舶 の ト ン 数 測 度 の 解 説 （ 平 成 11 年 国 海 査 第 143 号 ） 12 船 舶 の ト ン 数 測 度 の 特 例 （ 平 成 11 年 国 海 査 第 152 号 ）
13 船 舶 の ト ン 数 に 関 す る 証 書 交 付 規 則 （ 平 成 6 年 運 輸 省 告 示 第 224 号 ） 14 小 型 船 舶 の 登 録 等 に 関 す る 法 律 （ 平 成 13 年 法 律 第 102 号 ）
15 小 型 船 舶 登 録 令 （ 平 成 13 年 政 令 第 381 号 ）
16 小 型 船 舶 登 録 規 則 （ 平 成 14 年 国 土 交 通 省 令 第 4 号 ） 17 日 本 船 舶 で あ る こ と の 証 明 書 交 付 規 則
（ 平 成 14 年 国 土 交 通 省 告 示 第 351 号 ） 18 船 舶 安 全 法 （ 昭 和 8 年 法 律 第 11 号 ）
19 満 載 喫 水 線 規 則 （ 昭 和 43 年 運 輸 省 令 第 33 号 ）
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20 船 員 法 （ 昭 和 22 年 法 律 第 100 号 ）
21 船 舶 職 員 及 び 小 型 船 舶 操 縦 者 法 （ 昭 和 26 年 法 律 第 149 号 ）
22 船 舶 の 所 有 者 等 の 責 任 の 制 限 に 関 す る 法 律 （ 昭 和 50 年 法 律 第 94 号 ） 23 船 舶 油 濁 損 害 賠 償 保 障 法 （ 昭 和 50 年 法 律 第 95 号 ）
24 民 法 （ 明 治 29 年 法 律 第 89 号 ） 25 商 法 （ 明 治 32 年 法 律 第 48 号 ） 26 会 社 法 （ 平 成 17 年 法 律 86 号 ）
27 不 動 産 登 記 法 （ 平 成 16 年 法 律 第 123 号 ） 28 民 事 執 行 法 （ 昭 和 54 年 法 律 第 4 号 ） 29 民 事 保 全 法 （ 平 成 元 年 法 律 第 91 号 ） 30 登 録 免 許 税 法 （ 昭 和 42 年 法 律 第 35 号 ） 31 海 事 代 理 士 法 （ 昭 和 26 年 法 律 第 32 号 ） 32 電 波 法 （ 昭 和 25 年 法 律 第 131 号 ）
33 行 政 機 関 の 保 有 す る 情 報 の 公 開 に 関 す る 法 律（ 平 成 11 年 法 律 第 42 号 ） 34 国 土 交 通 省 組 織 令 （ 平 成 12 年 政 令 第 255 号 ）
35 海 上 衝 突 予 防 法 （ 昭 和 52 年 法 律 第 62 号 ） 36 港 則 法 （ 昭 和 23 年 法 律 174 号 ）
37 航 路 標 識 法 （ 昭 和 24 年 法 律 第 99 号 ） 38 水 路 業 務 法 （ 昭 和 25 年 法 律 第 102 号 ） 39 水 難 救 護 法 （ 明 治 32 年 法 律 第 95 号 ） 40 水 先 法 （ 昭 和 24 年 法 律 第 121 号 ） 41 海 難 審 判 法 （ 昭 和 22 年 法 律 第 135 号 ） 42 検 疫 法 （ 昭 和 26 年 法 律 第 201 号 ） 43 関 税 法 （ 昭 和 29 年 法 律 第 61 号 ） 44 と ん 税 法 （ 昭 和 32 年 法 律 第 37 号 ） 45 海 上 運 送 法 （ 昭 和 24 年 法 律 第 187 号 ） 46 港 湾 運 送 事 業 法 （ 昭 和 26 年 法 律 第 161 号 ） 47 内 航 海 運 業 法 （ 昭 和 27 年 法 律 第 151 号 ） 48 海 上 交 通 安 全 法 （ 昭 和 47 年 法 律 第 115 号 ） 49 漁 船 法 （ 昭 和 25 年 法 律 第 178 号 ）
以 上 の 法 律 及 び こ れ ら に 基 づ く 命 令 が あ る 。
（ ２ ） 海 事 公 法 は 、 そ の 規 定 の 適 用 に つ い て 船 舶 の 国 籍 、 船 舶 の 種 類 、 船 舶 の 総 ト ン 数 等 を 標 準 と す る も の で あ る か ら 、 船 舶 法 は 、 そ の 基 本 法 と し て 行 政 法 上 重 大 な 意 義 を 有 す る 。
船 舶 は 、外 国 と の 間 を 往 来 し 、公 海 を 航 行 す る の を 常 と す る も の で あ る か ら 、 船 舶 の 国 籍 を 規 定 す る 船 舶 法 は 、 国 際 法 上 に お い て も 重 要 で あ り 、 ま た 、船 舶 の 個 性 な い し 同 一 性 を 識 別 す る 船 舶 国 籍 証 書 に つ き 規 定 す る 船 舶 法 は 、海 上 企 業 に つ い て 規 律 す る 海 商 法（ 商 法 第 三 編 海 商 ）と も 密 接 な 関 係 に あ る 。
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第 ２ 款 船 舶 法 の 沿 革
わ が 国 は 、海 国 で あ る が ゆ え に 、海 事 に 関 す る 法 規 的 事 蹟 は 古 く か ら 存 在 し て お り 、 主 と し て 官 船 に よ る 官 物 輸 送 に 関 す る 取 締 規 則 で あ っ た と い わ れ て い る 。 江 戸 時 代 に は 、 国 内 の 海 上 輸 送 の 発 展 と と も に 海 事 慣 習 法 が 発 達 し た と 言 わ れ 、 現 行 船 舶 法 に 関 す る 沿 革 に つ い て は 、海 上 輸 送 の 国 際 的 交 流 が 確 立 し た 明 治 時 代 以 降 に 求 め る こ と が で き る 。
１ ． 商 船 規 則 そ の 他 の 布 告 の 発 布
明 治 初 年 に お け る 船 舶 及 び 航 海 に 関 す る 統 制 は 軍 防 局 に 所 属 し 、明 治 元 年 4 月 に 軍 防 局 よ り 、軍 艦 、蒸 汽 船 、帆 前 船（ 洋 式 型 帆 船 ）の 委 細 届 出 に 関 す る 布 告 が 出 さ れ た の が 最 初 の も の で あ る と い わ れ て い る 。明 治 2 年 1 月 に は 軍 務 官 よ り 、諸 藩 の 蒸 汽 船 及 び 風 帆 船 と も に 、東 京・横 浜 に 入 港 、出 港 の 際 に は 、東 京 は 軍 務 官 、横 浜 で は 同 地 方 裁 判 所（ 後 の 府 県 ）に 各 々 届 出 し て 鑑 札 の 交 付 を 受 け る こ と を 要 す る 旨 の 布 告 が 出 さ れ 、同 年 6 月 に は 太 政 官 よ り 、外 国 船 の 未 開 港 に お け る 物 品 の 輸 送 を 禁 ず る 布 告 が 出 さ れ て い る 。
明 治 2 年 10 月 に は 、 太 政 官 布 告 第 968 号 を も っ て 、 一 般 人 民 に 対 し て 西 洋 形 風 帆 船 及 び 蒸 汽 船 の 所 有 を 許 し 、且 つ 、こ れ を 保 護 す る 旨 が 定 め ら れ る と と も に 、 翌 明 治 3 年 1 月 27 日 太 政 官 布 告 商 船 規 則 が 制 定 さ れ た 。 商 船 規 則 は 、 わ が 国 最 初 の 船 舶 法 で あ り 、船 免 状 、国 旗 、衝 突 に 関 す る 注 意 、開 港 場 に お け る 貨 物 積 卸 の 際 の 運 上 所（ 後 の 税 関 ）の 免 許 、船 舶 の 出 入 港 、乗 組・船 積 に 関 す る 運 上 所 へ の 届 出 、船 舶 課 税 そ の 他 を 定 め 、ま た そ の 前 文 中 に は 、西 洋 形 船 の 所 有 を 保 護 奨 励 す る 旨 を 述 べ て い る 。ま た 明 治 3 年 2 月 に は 、太 政 官 布 告 第 148 号 を も っ て 、不 開 港 場 取 締 心 得 方 規 則 が 出 さ れ 、外 国 船 の 不 開 港 場 に お け る 密 商 を 禁 じ て い る 。
明 治 8 年 9 月 に は 、太 政 官 布 告 を も っ て 、西 洋 形 船 に 対 し て 万 国 信 号 法 が 採 用 さ れ る こ と に な っ た 。そ の 後 、明 治 12 年 2 月 、第 5 号 布 告 を も っ て 、「 自 今 西 洋 形 商 船 ハ 総 テ 沿 海 府 県 ノ 所 轄 ニ 附 セ ラ レ 同 年 7 月 31 日 マ デ ニ 本 船 ノ 定 繫 港 ヲ 定 メ 其 他 ノ 船 籍 ニ 編 入 」 す べ き こ と と な っ た 。 さ ら に 、 同 年 5 月 第 19 号 布 告 を も っ て 、商 船 規 則 中 の 西 洋 形 商 船 免 状 の 式 が 改 め ら れ 、同 年 同 月 内 務 省 丙 第 25 号 達 に よ り 、 そ の 免 状 請 願 及 び 書 換 出 願 の 手 続 が 定 め ら れ た 。 翌 明 冶 13 年 に は 、 第 10 号 布 告 を も っ て 、 西 洋 形 商 船 免 状 は 、 西 洋 形 船 免 状 と 改 め ら れ た 。し か し 、小 型 船 舶 に 至 る ま で す べ て こ の 制 度 を 適 用 す る こ と は 適 当 で な い と し て 、 明 治 14 年 2 月 第 12 号 布 告 で 、「 自 今 蒸 汽 船 ハ 10 屯 、 風 帆 船 ハ 20 屯 以 下 及 ビ 湖 川 港 湾 ニ 限 リ 運 転 ス ル モ ノ ハ 其 ノ 船 免 状 ヲ 受 有 ス ル ニ 及 ハ ス 」こ と と な っ た 。か く し て 、今 日 の 登 簿 船 と 不 登 簿 船 に 類 似 す る 区 別 が 生 じ た の で あ る 。
さ ら に 、 明 冶 29 年 4 月 、 逓 信 省 令 第 3 号 を も っ て 、 登 簿 船 免 状 取 扱 規 則 が 制 定 さ れ 、 登 簿 船 免 状 下 附 の 手 続 が 改 め ら れ 、 従 前 の 内 務 省 丙 第 25 号 達 は 廃
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止 さ れ た 。 登 簿 船 免 状 取 扱 規 則 は 、 全 文 12 条 よ り 成 り 、 現 行 船 舶 法 の 施 行 ま で 存 続 し 実 施 さ れ た も の で あ る 。 そ の 第 1 条 に は 、「 登 簿 船 免 状 ヲ 受 有 ス ベ キ 船 舶 ヲ 取 得 シ 帝 国 ノ 船 籍 ニ 編 入 ス ル 者 ハ 本 船 管 轄 庁 ヲ 経 由 シ テ 願 書 ヲ 逓 信 省 ニ 差 出 シ 登 簿 船 原 簿 ニ 登 録 ヲ 受 ケ 登 簿 船 免 状 ノ 下 附 ヲ 請 フ 」と 規 定 し 、ま た 願 書 の 記 載 事 項 、添 付 書 類 、管 轄 庁 の 手 続 、登 簿 船 原 簿 の 備 付 及 び そ の 登 録 方 法 を 定 め 、或 い は ま た 、変 更 の 登 録 、登 簿 船 免 状 の 書 換 、再 交 付 、登 簿 船 原 簿 の 削 除 等 の 手 続 を 定 め て お り 、こ こ に お い て 、近 代 的 船 舶 登 録 制 度 が 成 立 し 、船 舶 法 の 基 礎 が 定 め ら れ た の で あ る 。
一 方 、不 登 簿 船 に つ い て は 、明 治 29 年 12 月 逓 信 省 令 第 25 号 を も っ て 、（ 旧 ） 船 鑑 札 規 則 が 制 定 さ れ 、 明 冶 30 年 1 月 1 日 よ り 施 行 さ れ た 。 同 規 則 は 、 登 簿 船 免 状 を 受 有 す る こ と を 要 し な い 船 舶 で あ っ て 、 ① 航 行 の 用 に 供 し な い 船 舶 、
② 登 簿 ト ン 数 5 ト ン 未 満 又 は 積 石 数 50 石 未 満 の 帆 船 、 ③ 櫓 櫂 の み を も っ て 運 航 す る 舟 を 除 い て は 、す べ て 船 鑑 札 を 受 有 す べ き こ と を 定 め て い る 。同 規 則 の 施 行 に 際 し て は 、明 治 4 年 8 月 に 制 定 さ れ た 船 税 規 則（ 商 船 規 則 中 船 税 の 改 補 ） に よ り 従 来 受 有 し て い た 鑑 札 は 、同 規 則 に 定 め る 船 鑑 札 に 代 用 し う る こ と と さ れ た 。 し か し 、 こ の （ 旧 ） 船 鑑 札 規 則 は 、 船 舶 法 に 基 づ き 明 治 40 年 5 月 に 制 定 さ れ た 船 鑑 札 規 則 （ 明 治 40 年 逓 信 省 令 第 24 号 ） の 施 行 に よ り 廃 止 さ れ た 。 ま た 、 船 鑑 札 規 則 も 、 47 年 間 の 永 き に わ た り 施 行 さ れ た が 、 地 方 自 治 法 （ 昭 和 22 年 法 律 第 67 号 ） の 一 部 改 正 （ 昭 和 27 年 法 律 第 306 号 ） に よ り 、 国 に 属 す る 事 務 を 地 方 公 共 団 体 の 長 に い わ ゆ る 機 関 委 任 す る 場 合 に は 、法 律 又 は こ れ に 基 づ く 政 令 に よ り 行 う こ と を 要 す る（ 地 方 自 治 法 第 148 条 ）こ と と な っ た た め 、同 規 則 は 廃 止 さ れ る と と も に 船 舶 法 に 基 づ き 新 た に 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 政 令 （ 昭 和 28 年 法 律 第 259 号 ） が 制 定 さ れ た 。 さ ら に 小 型 船 舶 の 登 録 等 に 関 す る 法 律 （ 平 成 13 年 7 月 4 日 法 律 第 102 号 ） が 制 定 さ れ 、 平 成 14 年 7 月 1 日 か ら 施 行 さ れ 現 在 に 至 っ て い る 。
２ ． 船 舶 法 の 制 定
明 治 27、 28 年 の 戦 役 を 契 機 と し て わ が 国 の 経 済 は 急 激 に 発 展 し た 。 こ れ に 伴 い 、 海 上 輸 送 の 重 要 性 及 び 国 防 上 の 見 地 か ら 諸 種 の 海 運 政 策 が 樹 立 さ れ た 。 こ れ ら の 政 策 は 、客 観 情 勢 の 好 転 と あ い ま っ て 、わ が 国 の 海 運 を 飛 躍 的 に 発 展 さ せ る 原 動 力 と な っ た が 、こ の よ う な 状 況 の 下 に お い て 以 下 の 理 由 か ら 、明 治 32 年 に 遂 に 船 舶 法 の 制 定 が な さ れ た 。 そ の 後 数 次 の 改 正 を 経 て 今 日 に 至 っ て い る 。
（ １ ） 保 有 船 腹 の 急 増 、 航 路 の 伸 長 と と も に 、 海 運 政 策 の 一 環 と し て 、 従 来 き わ め て 不 完 全 で あ っ た 海 事 法 規 の 基 礎 を 定 め る 必 要 が あ っ た 。
（ ２ ）明 治 27 年 の 日 英 通 商 航 海 条 約 の 改 正 条 約 は 、日 本 船 舶 と み な す べ き 標 準 は 、 日 本 の 国 法 に よ る べ き も の と し 、 ま た 沿 岸 貿 易 の 権 利 も 各 本 国 法 の 規 定 に 一 任 す る こ と を 原 則 と し た こ と か ら 、 同 条 約 の 実 施 の た め に か か る 事 項 に 関 す る 法 令 を 整 備 す る 必 要 が あ っ た 。
（ ３ ） 旧 商 法 （ 明 治 23 年 法 律 第 32 号 ） 第 2 編 中 、 船 舶 の 章 は 、 船 舶 の 国 籍 証
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書 の 授 受 、 国 旗 掲 揚 の 権 利 ・ 義 務 及 び こ れ ら の 事 項 に 関 す る 刑 事 制 裁 の よ う な 行 政 法 規 が そ の 大 部 分 を 占 め て い た が（ 注 ）、こ れ ら の 事 項 は 、特 別 法 に 編 入 す る こ と が 適 当 で あ る と し て 、 現 行 商 法 （ 明 治 32 年 法 律 第 48 号 ） の 制 定 に 際 し て こ れ ら は 除 外 さ れ た 。し か し 、同 法 第 5 編（ 現 在 は 第 3 編 ）
－ 海 商 編 － の 実 施 に つ い て 、 こ れ ら の 事 項 は 密 接 な 関 係 を 有 し て い る こ と か ら 、 早 急 に 特 別 法 を 制 定 す る 必 要 が あ っ た 。
（ 注 ） 旧 商 法 は 、 明 治 14 年 ド イ ツ 人 ロ エ ス レ ル が 起 草 し た わ が 国 最 初 の 商 法 典 で あ り 、 明 治 23 年 4 月 27 日 に 公 布 さ れ た 。 3 編 1,064 条 か ら な り 、 そ の 第 2 編 に 海 商 の 規 定 を お き 、 そ の 第 １ 章 に 船 舶 の 国 籍 、 国 旗 に 関 す る こ と 、 総 ト ン 数 の 測 度 、 登 録 及 び 船 籍 証 書 等 に 関 す る 規 定 を 設 け た 。 し か し 、 法 典 論 争 に よ り 、 事 情 急 を 要 す る 商 法 の 一 部 、 即 ち 、 会 社 、 手 形 、 破 産 の 規 定 の み が 明 治 26 年 7 月 1 日 か ら 施 行 さ れ た 。 そ の 残 り の 規 定 も 明 治 31 年 7 月 1 日 か ら 施 行 さ れ た が 、 明 治 32 年 6 月 16 日 現 行 商 法 の 実 施 に よ り 破 産 編 を 除 き 一 年 経 た ず し て 廃 止 さ れ た 。 ま た 一 方 で 旧 商 法 の 船 舶 の 国 籍 等 の 規 定 を 実 施 す る た め 、 明 治 23 年 10 月 9 日 船 籍 規 則 が 公 布 さ れ た が 、 同 規 則 も 旧 商 法 の 施 行 延 期 に 関 連 し て 遂 に 実 施 を 見 る に 至 ら な か っ た 。 し か し こ れ ら の 規 定 は 、 船 舶 法 の 制 定 に つ い て 大 い に 意 義 が あ っ た も の と 考 え ら れ る 。
３ ． 船 舶 法 の 内 容 及 び 関 係 法 令
船 舶 法 は 、明 治 32 年 3 月 8 日 法 律 第 46 号 と し て 公 布 さ れ 、同 年 6 月 16 日 、 商 法 施 行 の 日 と 同 時 に 施 行 さ れ た も の で あ る 。当 時 の 船 舶 法 は 、日 本 船 舶 の 資 格 、日 本 船 舶 の 特 権 、船 舶 の 総 ト ン 数 の 測 度 、船 舶 の 登 記 及 び 登 録 の 義 務 、船 舶 国 籍 証 書 の 授 受 、船 舶 の 国 旗 掲 揚 及 び 航 行 の 条 件 、船 舶 の 表 示 義 務 並 び に 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 規 定 の 命 令 へ の 委 任 等 を 定 め 、さ ら に 附 則 に お い て 、船 舶 登 記 に 関 す る 法 律 上 の 根 拠 及 び 商 行 為 を 目 的 と し な い 航 海 船 に 対 す る 商 法 海 商 編 の 準 用 を 定 め て い た 。
船 舶 法 の 附 属 法 令 と し て は 、 船 舶 法 施 行 細 則 （ 明 治 32 年 逓 信 省 令 第 24 号 ） 及 び 船 舶 法 取 扱 手 続 （ 明 治 33 年 逓 信 省 公 達 第 363 号 ） 並 び に 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 政 令 （ 昭 和 28 年 政 令 第 259 号 ） 及 び 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 省 令（ 昭 和 28 年 運 輸 省 令 第 46 号 ）が あ っ た 。 ま た 、船 舶 法 に 直 接 関 係 を 有 す る 法 令 と し て 船 舶 の ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 法 律
（ 昭 和 55 年 法 律 第 40 号 ）及 び 船 舶 の ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 法 律 施 行 規 則（ 昭 和 56 年 運 輸 省 令 第 47 号 ） 並 び に 船 舶 登 記 規 則 （ 明 治 32 年 勅 令 第 270 号 ） 及 び 船 舶 登 記 取 扱 手 続 （ 明 治 32 年 司 法 省 令 第 35 号 ） が あ っ た 。
（ 注 ）① 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 政 令 及 び 小 型 船 舶 の 船 籍 及 び 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 省 令 は 一 部 改 正 さ れ 題 名 が そ れ ぞ れ 小 型 漁 船 の 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 政 令 及 び 小 型 漁 船 の 総 ト ン 数 の 測 度 に 関 す る 省 令 に 改 め ら れ る と と も に 、 小 型 船 舶 の 登 録 等 に 関 す る 法 律 （ 平 成 13 年 7 月 4 日 法 律 第 102 号 ）、 小 型 船 舶 登 記 令 （ 平 成 13 年 11 月 30 日 政 令 第 381 号 ） 及 び 小 型 船 舶 登 録 規 則 （ 平 成 14 年 2 月 1 日 国 土 交 通 省 令 第 5 号 ） が 制 定 さ れ て い る 。
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② 船 舶 登 記 規 則 は 全 部 改 正 さ れ 、 船 舶 登 記 令 （ 平 成 17 年 政 令 第 11 号 ） が 制 定 、 船 舶 登 記 取 扱 手 続 も 全 部 改 正 さ れ 、 船 舶 登 記 規 則 （ 平 成 17 年 法 務 省 令 第 27 号 ） が 制 定 さ れ て い る 。
第２節 船舶の概念及び分類
第 １ 款 船 舶 の 意 義
船 舶 法 は 、船 舶 自 体 に 関 す る 法 律 で あ る か ら 、ま ず 船 舶 の 意 義 を 明 ら か に し な け れ ば な ら な い 。船 舶 法 は 、船 舶 の 定 義 を 定 め て い な い が 、船 舶 の 国 籍 に 関 す る 規 定 の 趣 旨 及 び 第 20 条 に 掲 げ る 小 型 船 舶 の 例 示 か ら み て 、 社 会 通 念 上 の 船 舶 を さ す も の と 解 釈 で き る 。た だ し 、船 舶 法 施 行 細 則 第 2 条 の 例 外 が あ る 。即 ち 、船 舶 法 上 の 船 舶 と は 、 水 を 航 行 す る 用 途 及 び 能 力 を 有 す る 一 定 の 構 造 物 で あ っ て 、 そ の う ち 、 推 進 器 を 有 し な い 浚 渫 船 等 を 除 い た も の と い う こ と が で き る 。
（ １ ） 水 を 航 行 す る も の で あ る 。 水 を 航 行 す る 限 り 、 そ の 水 面 な る と 水 中 な る と を 問 わ な い 。 飛 行 船 や 水 上 飛 行 機 等 は 、 主 と し て 空 中 飛 行 の 日 的 を も っ て 造 ら れ た も の で あ る か ら 船 舶 で は な い 。
（ ２ ） 航 行 の 用 途 及 び 能 力 を 有 す る も の で あ る 。 し た が っ て 、 一 つ の 場 所 に 固 定 す る も の 、 た と え ば 浮 標 、 浮 ド ッ ク 、 浮 ホ テ ル な ど は 船 舶 で は な い 。 こ れ に 対 し て 、 浚 渫 船 、 起 重 機 船 な ど は こ の 要 件 を 充 た す も の で あ り 、 社 会 通 念 上 の 船 舶 で あ る （ 注 1） と 解 す る 。 し か し 、 こ れ ら の 船 舶 は 、 推 進 器 を 有 し な い 限 り 船 舶 法 上 の 船 舶 で は な い （ 注 2）（ 細 則 2 条 ）。 な お 、 こ こ に い う 航 行 の 能 力 は 、 機 械 力 あ る い は 自 力 に よ っ て 航 行 す る 能 力 の み を さ す も の で は な く 、 櫓 櫂 船 や 独 航 機 能 を 有 し な い 艀 （ 被 曳 船 ） な ど も 船 舶 で あ る 。
（ ３ ） 一 定 の 構 造 物 と い う の は 、 材 料 及 び 構 造 の 如 何 を 問 わ ず 、 浮 揚 性 を 有 す る 凹 型 状 態 を 備 え る こ と を 要 す る も の で あ る 。 し た が っ て 、 水 上 ス キ ー 等 は 船 舶 で は な い 。 筏 は 、 こ の 要 件 を 備 え ず 、 ま た 構 成 す る 物 自 体 の 運 送 を 目 的 と す る も の で あ る か ら 船 舶 で は な い 。
（ ４ ） 製 造 中 の 船 舶 は 、 一 般 的 に は 、 現 に 航 行 の 用 途 及 び 能 力 を 有 す る も の で は な い と の 理 由 で 船 舶 で は な い と 解 釈 で き る 。 問 題 と な る の は 、 製 造 が 完 成 し た と き に 初 め て 船 舶 と い え る 、 或 い は 工 事 の 進 行 の 程 度 に よ っ て は 船 舶 と 言 い う る か の 点 で あ る が 、 進 水 後 は 船 舶 法 上 に お い て も 船 舶 と し て 取 扱 う べ き も の と 解 す る （ 注 3）。
引 揚 不 能 の 沈 没 船 や 救 助 不 能 の 難 破 船 は 、前 記 の 要 件 を 失 う も の で あ る か ら 、 同 じ く 船 舶 で は な い 。た だ し 、 こ れ ら の も の は 、 法 律 上 特 定 の 目 的 の 範 囲 内 で 船 舶 と し て 取 扱 わ れ る こ と が あ る 。（ 商 法 690 条 、 833 条 ）
（ 注 １ ） 浚 渫 船 、 起 重 機 船 等 に つ い て は 学 説 が 分 れ て い る 。
（ イ ） こ れ ら の も の は 、 水 上 に お い て 特 定 の 作 業 に 従 事 す る こ と を 目 的 と す る も の で あ る か ら 、 航 行 の 用 途 及 び 能 力 を 有 す る も の と 言 え る が 、 船 舶 法 施 行 細 則 第
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2 条 は 「 ・ ・ 船 舶 ト 看 倣 サ ス 」 と 規 定 し て い る 。
（ ロ ） 推 進 器 を 有 し な い 浚 渫 船 は 主 と し て 港 内 に お い て 操 業 し て お り 、 港 外 に 出 て も 港 の 周 辺 を 浚 渫 す る も の で 、 外 洋 （ 沿 海 以 遠 ） に 出 る こ と は 全 く な い と 言 っ て よ い 。 そ こ で 、 こ の よ う な 実 態 に あ る 船 舶 に は 船 舶 法 第 1 条 ～ 第 3 条 の 規 定 を 積 極 的 に 適 用 除 外 し よ う と し た と 考 え ら れ る 。 船 舶 法 第 20 条 を 置 い た 上 で 更 に 施 行 細 則 第 2 条 を 置 い て い る こ と も そ の 理 由 で あ る 。（ 推 進 器 を 有 し な い 船 で あ っ て も 、 沿 海 区 域 を 越 え て 航 行 す る 場 合 は 、 船 舶 安 全 法 （ 昭 和 8 年 法 律 第 11 号 ） 及 び 関 係 法 令 の 適 用 を 受 け る ）
（ 注 ２ ）（ イ ）船 舶 法 施 行 細 則 第 2 条 の 規 定 は 、例 示 規 定 と 解 釈 す る 。し た が っ て 、浚 渫 船 の ほ か 起 重 機 船 、 砕 岩 船 、 発 電 船 、 く い 打 ち 船 、 燈 船 等 は 運 搬 作 業 を な す も の で な い 限 り 、 推 進 器 を 有 し な け れ ば 船 舶 法 上 の 船 舶 で は な い 。
（ ロ ）船 舶 法 施 行 細 則 第 2 条 は 推 進 器 を 有 し な い 浚 渫 船 に 対 す る 除 外 規 定 と 解 釈 で き る 。 し た が っ て 、 海 底 資 源 掘 削 船 は 船 舶 法 の 船 舶 で あ る が 、 自 航 能 力 を 有 し な い 場 合 に は 船 舶 法 第 20 条 に よ り 登 記 、 登 録 等 を 行 う 必 要 は な い 。（ 推 進 器 を 有 し な い 浚 渫 船 、 起 重 機 船 等 は 、 建 設 機 械 抵 当 法 （ 昭 和 29 年 法 律 第 97 号 ） 及 び 関 係 法 令 に よ り 登 記 す る 事 が で き る 場 合 が あ る ）
（ 注 ３ ） 製 造 中 の 船 舶 で 進 水 後 で あ る も の は 、 取 引 通 念 上 又 は 海 事 諸 法 令 の 適 用 上 、 船 舶 と 解 す る 方 が 適 当 な 場 合 が 多 く 、 ま た 、 船 舶 法 施 行 細 則 第 5 条 に お い て は 、 改 正 前 （ 昭 和 32 年 運 輸 省 令 第 6 号 ） に は 、「 進 水 の と き は 船 舶 国 籍 証 書 又 は 仮 船 舶 国 籍 証 書 の 受 有 前 で あ っ て も 船 舶 に 国 旗 を 掲 げ る こ と を う る も の 」 と 規 定 し て い た 。
第 ２ 款 船 舶 の 性 質
１ ．船 舶 は 、航 行 移 動 す る も の で あ り 、且 つ 、所 有 権 そ の 他 の 権 利 の 客 体 と な る も の で あ る か ら 動 産 で あ る （ 民 法 86 条 ）。
船 舶 は 、動 産 で あ る が 、運 送 を 本 来 の 目 的 と し 、一 般 動 産 の ご と く 取 引 の 客 体 と な る こ と を 主 目 的 と す る も の で は な く 、ま た 容 積 及 び 価 格 が 大 な る こ と に よ り 、不 動 産 に 近 似 す る 性 質 を 有 す る の で 、下 記 の よ う な 法 律 上 不 動 産 に 類 す る 取 り 扱 い を 受 け る こ と が 多 い 。
（ １ ） 強 制 執 行 及 び 競 売 は 、 不 動 産 と 同 一 の 規 定 に 従 う べ き も の と さ れ る （ 民 事 執 行 法 121 条 ）
（ ２ ） 登 記 制 度 が 適 用 さ れ る （ 商 法 686 条 、 681 条 、 民 法 177 条 ）
（ ３ ）（ 根 ） 抵 当 権 設 定 の 登 記 が で き る （ 商 法 848 条 、 民 法 369 条 ）
（ ４ ） 賃 貸 借 の 登 記 が で き る （ 商 法 848 条 、 民 法 605 条 ）
２ ．船 舶 は 、単 な る 物 の 集 合 で は な く 、船 体 、機 関 、ボ イ ラ ー 等 か ら な り 、そ れ 自 体 一 個 の 合 成 物 で あ る 。さ ら に こ れ に 伝 馬 船 、錨 、錨 鎖 、羅 針 盤 等 の 従 物（ 民 法 87 条 ） を 備 え て お り 、 こ れ を 属 具 と い う 。 属 具 は 、 主 物 で あ る 船 舶 の 処 分
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に 従 う も の で あ り 、船 舶 の 属 具 目 録 に 記 載 さ れ た 物 は 、船 舶 の 従 物 と 推 定 さ れ る （ 商 法 685 条 ）。
３ ． 船 舶 は 、 動 産 で あ る が 次 の 諸 点 に お い て 人 と 類 似 の 取 り 扱 い を 受 け る 。
（ １ ） 名 称 （ 法 7 条 ）
（ ２ ） 国 籍 （ 法 1 条 ）
（ ３ ） 船 籍 港 （ 法 1 条 ）
こ れ ら は 、船 舶 の 個 性 を 示 す も の と し て 重 要 で あ り 、第 2 章 及 び 第 3 章 に 詳 説 す る 。
第 ３ 款 船 舶 の 分 類
船 舶 は 、種 々 の 標 準 に よ り 分 類 す る こ と が で き る 。造 船 技 術 上 、海 運 経 営 上 及 び 法 律 上 か ら 見 た 分 類 等 が あ る が 、法 律 上 重 要 な も の を 掲 げ る と 次 の と お り で あ る 。
１ ． 日 本 船 舶 と 外 国 船 舶
日 本 船 舶 と 外 国 船 舶 の 分 類 は 、船 舶 の 有 す る 国 籍（ 第 2 章 ）を 標 準 と す る 区 別 で あ り 、日 本 の 国 籍 を 有 す る 船 舶 を 日 本 船 舶 と し 、日 本 国 籍 を 有 し な い も の は 特 定 の 外 国 の 国 籍 を 有 す る と 否 と を 問 わ ず 外 国 船 舶 と し て い る 。
こ の 分 類 の 実 益 は 、 日 本 船 舶 は 、 外 国 船 舶 が 有 し な い 特 定 の 特 権 （ 法 2 条 、 3 条 等 ） 及 び 特 別 の 義 務 （ 法 6 条 、 ７ 条 等 、 船 舶 安 全 法 1 条 ） を 有 す る 点 に あ る 。
２ ． 商 船 と 非 商 船
商 船 と 非 商 船 の 分 類 は 、船 舶 が 商 行 為 を な す 目 的 の た め 、航 海 の 用 に 供 さ れ る（ 商 法 684 条 ）か 否 か に よ る 区 別 で あ り 、商 船（ 海 商 法 上 の 船 舶 ）に 属 す る も の と し て は 、貨 物 船 、タ ン カ ー 、旅 客 船 、移 民 船 、救 助 作 業 船 、工 作 船 、水 先 案 内 船 等 が あ る 。非 商 船 に 属 す る も の と し て は 、漁 船 、快 遊 船 等 が あ る 。も っ と も 、航 海 の 用 に 供 さ れ る 船 舶 は 、官 庁 又 は 公 署 の 所 有 に 属 す る も の を 除 き 、 非 商 船 で あ っ て も 、 商 法 海 商 編 が 準 用 さ れ る （ 法 35 条 、 同 条 に い う 官 公 署 の 所 有 船 と は 、立 法 趣 旨 か ら し て 、公 用 に 供 さ れ る 船 舶 と 解 さ れ て い る 。し た が っ て 、そ の 所 有 船 で あ っ て も 、公 用 以 外 の 用 に 供 さ れ る と き は 、海 商 法 の 準 用 が あ り 、ま た 私 有 船 で あ っ て も 、公 用 に 供 さ れ る と き は 海 商 法 の 準 用 が な い 。）
か ら 、 こ の 分 類 に よ る 実 益 は 少 な い と 思 わ れ る 。
３ ． 登 簿 船 （ 登 記 船 ） と 不 登 簿 船 （ 不 登 記 船 ）
船 舶 が 、登 記 及 び 登 録 に 適 す る か 否 か に よ る 分 類 で あ る 。登 記 を な し 、且 つ 船 舶 国 籍 証 書 の 交 付 を 受 け る こ と が で き 、ま た こ れ を な す こ と を 要 す る 船 舶 を
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登 簿 船 （ 登 記 船 ） と し （ 商 法 686 条 、 法 5 条 ）、 こ れ ら を な す こ と が で き な い も の を 不 登 簿 船 （ 不 登 記 船 ） と す る （ 商 法 686 条 、 法 20 条 ）。
こ の 分 類 の 実 益 は 、所 有 権 移 転 の 対 抗 要 件（ 商 法 687 条 ）、賃 貸 借 の 登 記（ 商 法 703 条 ） 及 び 抵 当 権 の 目 的 （ 商 法 848 条 、 850 条 、 851 条 ） に つ き 、 異 な る 取 扱 を 受 け る 点 に あ る 。
４ ． 汽 船 と 帆 船
船 舶 の 運 航 装 置 を 標 準 と す る 分 類 で あ る 。汽 船 と は 、主 と し て 機 械 力 を も っ て 運 航 す る 装 置 を 有 す る 船 舶 を い い 、蒸 気 を 用 い る か 否 か を 問 わ な い（ 細 則 1 条 2 項 ）。 帆 船 と は 、 主 と し て 帆 を も っ て 運 航 す る 装 置 を 有 す る 船 舶 を い い 、 推 進 機 関 を 有 す る か 否 か を 問 わ な い（ 注 ）（ 細 則 1 条 3 項 ）。こ の 概 念 に よ る 汽 船 及 び 帆 船 の 区 別 は 、船 舶 法 上 船 舶 の 種 類 と し て 船 舶 原 簿 に 登 録 さ れ る 事 項 で あ る （ 法 5 条 、 細 則 1 条 、 17 条 ﾉ 2・ 1 項 3 号 ）。 そ の 認 定 の 手 続 に つ い て は 第 4 章 第 3 節 で 述 べ る 。
こ の 分 類 の 実 益 は 、船 舶 安 全 法 、海 上 衝 突 予 防 法 、船 員 法（ 同 法 71 条 ）、船 舶 職 員 法 及 び 小 型 船 舶 操 縦 者 法（ 同 法 5 条 別 表 1）等 の 適 用 及 び 救 助 料 の 分 配
（ 商 法 806 条 ） 等 に つ き 、 異 な る 取 扱 を 受 け る 点 に あ る 。
（ 注 ）海 上 衝 突 予 防 法 に お い て は 、機 関 を 用 い て 推 進 す る 船 舶 は 動 力 船 と さ れ る 。ま た 、 機 関 を 用 い て 推 進 す る 船 舶 で あ っ て も 、 帆 を 用 い て 動 力 を 用 い て な い と き は 帆 船 と み な し 、 動 力 を 用 い て い る 船 舶 は 、 帆 を 用 い て い る か 否 か に か か わ ら ず 動 力 船 と さ れ る こ と に 注 意 す べ き で あ る 。
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第２章 船舶の国籍
第１節 総 説
１ ． 船 舶 の 国 籍 の 意 義
船 舶 の 国 籍（ 船 籍 ）と は 、船 舶 が 一 国 に 帰 属 す る 状 態 を い い 、こ れ に よ っ て そ の 船 舶 が 自 国 船 舶 で あ る か 外 国 船 舶 で あ る か の 区 別 を 生 ず る の で あ る 。
船 舶 は 、 種 々 の 点 に お い て 人 的 性 質 を 有 す る か ら 、 自 然 人 の 場 合 と 同 様 に 国 籍 が 定 め ら れ 、 い ず れ の 国 家 の 保 護 監 督 下 に あ る か が 明 ら か に さ れ る 。 わ が 国 に お い て は 、 国 民 分 限 （ 国 籍 の 取 得 ） に つ い て は 、 国 籍 法 に よ り 定 め ら れ る よ う に 、 船 籍 に つ い て は 、 船 舶 法 （ 法 1 条 ） に よ り 定 め ら れ て い る 。
船 舶 の 国 籍 は 、 国 際 法 （ 注 ） 及 び 行 政 法 上 重 要 な 意 義 を 有 す る 。 船 舶 が 公 海
（ 国 家 の 領 有 に 属 し な い 海 の 全 体 。 原 則 と し て 国 権 の 行 使 は で き な い が 例 外 は あ る ） を 航 行 す る 場 合 に は 、 そ の 船 舶 の 所 属 国 の 国 権 が 行 わ れ る ば か り で な く
（ 刑 法 1 条 ）、そ の 国 籍 は 戦 時 に お け る 捕 獲 審 検 の 標 準 と な り 、平 時 に お い て も 無 国 籍 船 は 海 賊 と し て 取 り 扱 い を 受 け る お そ れ が あ る 。
ま た 各 国 の 行 政 法 は 、 自 国 船 舶 で あ る か 否 か に よ り 船 舶 の 取 り 扱 い に つ き 差 異 を 設 け て い る 。 さ ら に 、 船 舶 の 国 籍 は 、 国 際 私 法 上 、 準 拠 法 決 定 の 主 な る 標 準 と な り 、 ひ い て は 海 商 法 上 に お け る 意 義 も ま た 大 で あ る 。
（ 注 ） 各 国 間 の 通 商 航 海 条 約 に お い て は 、 通 例 と し て 国 旗 と 船 舶 国 籍 証 書 と に よ っ て 、 相 手 国 の 船 舶 な る こ と を 認 め る 旨 を 規 定 し て い る 。
２ ． 国 籍 取 得 の 要 件
船 舶 は 、国 際 法 上 に お い て 、必 ず 特 定 の 国 家 の 国 籍 を 有 す べ き も の と さ れ 、ま た 二 重 国 籍 を 有 す る こ と を 禁 止 さ れ て い る が 、 国 籍 取 得 の 具 体 的 要 件 の 決 定 は 、 各 国 の 自 由 な 規 律 に ゆ だ ね ら れ て い る （ 注 ）。 た だ 、 無 海 岸 国 が 船 舶 に 国 籍 を 付 与 す る 場 合 に は 、 1921 年 の バ ル セ ロ ナ の 「 無 海 岸 国 の 船 旗 に 関 す る 権 利 を 承 認 す る 宣 言 」 に よ り 、 無 海 岸 国 の 一 定 の 地 に 登 録 す べ き こ と に な っ て い る 。
船 舶 の 国 籍 に つ い て の 各 国 の 方 針 は 、自 国 の 海 運 業 の 発 達 の 度 と 国 情 の 相 違 に 応 じ て こ れ を 異 に し て い る 。従 来 、各 国 は 法 制 上 船 舶 の 国 籍 の 標 準 と し て 、① 船 舶 の 製 造 地 又 は 材 料 の 産 出 地 、② 船 舶 所 有 権 、③ 船 舶 乗 組 員 の 三 種 を 用 い て い た 。 船 舶 国 籍 法 の 創 始 と さ れ る 1651 年 の イ ギ リ ス の 航 海 条 例 は 、 重 商 主 義 の も と に お い て 、船 舶 の 所 有 と 製 造 地 と 海 員 と の 三 要 件 を 採 用 し た が 、現 在 の 各 国 の 法 令 は 、 こ れ ら の う ち 船 舶 の 所 有 権 の み に 重 点 を お く も の が 多 い 。
（ 注 ）国 籍 取 得 の 要 件 を 各 国 統 一 的 に 定 め よ う と す る 国 際 的 な 動 き が あ り 、1896 年 の 国 際 法 学 会 の ベ ニ ス 会 議 で は 、「 船 舶 に 国 旗 を 掲 げ る 権 利 を 付 与 す る 条 件 を 規 制 す る 規 則 」が 採 択 さ れ た が 実 現 す る に 至 ら な か っ た 。そ の 後 国 際 連 合 が 成 立 す る に 至 り 、
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そ の 国 際 法 委 員 会 に お い て 、 国 際 法 の 漸 進 的 発 達 及 び 法 典 化 に 関 す る 諸 問 題 の 一 環 と し て 、 船 舶 の 国 籍 を 採 り 上 げ て い る が 、 国 籍 取 得 の 要 件 の 決 定 に つ い て は 各 国 の 国 内 法 に 一 任 し て い る 。即 ち 、1949 年 の 同 委 員 会 の 第 1 会 期 以 来 、公 海 制 度 及 び 領 海 制 度 を 含 む 海 洋 に 関 す る 諸 問 題 を 重 要 議 題 と し て 審 議 し 、1956 年 の 第 8 会 期 で 最 終 報 告 と し て 作 成 し た「 海 洋 法 案 」は 、1958 年 2 月 下 旬 か ら ジ ュ ネ ー ヴ で 開 催 さ れ た 国 際 会 議 で 討 議 さ れ 、「 公 海 に 関 す る 条 約 」 を 採 択 し た 。
そ の 後 、 平 成 8 年 7 月 20 日 に 「 海 洋 法 に 関 す る 国 際 連 合 条 約 」 が 発 効 し 、 当 該 条 約 に お い て は 、 い ず れ の 国 も 公 海 に お い て 、 自 国 の 国 旗 を 掲 げ る 船 舶 を 航 行 さ せ る 権 利 を 有 す る と 規 定 し （ 90 条 ）、 次 い で 、 い ず れ の 国 家 も 本 来 自 由 に 自 国 船 舶 と し て の 国 籍 付 与 の 条 件 を 定 め る こ と が で き る と い う 従 来 の 一 般 原 則 を そ の ま ま 認 め て い る （ 91 条 1 項 前 段 ）。 た だ そ の 場 合 に 、 そ の 国 籍 が 一 般 に 承 認 さ れ る た め に は 、 旗 国 （ 船 籍 の 属 す る 国 家 ） と 船 舶 と の 間 に 、「 真 正 な 関 連 」 が 存 在 す る こ と を 要 す る （ 91 条 1 項 後 段 及 び 94 条 1 項 ） も の と し て い る こ と は 注 目 に 値 す る 。 こ の 規 定 は 、 い わ ゆ る 便 宜 国 籍 （ 置 籍 ） 船 に つ い て 各 国 の 注 意 を 喚 起 す る た め の も の で あ る 。 ま た 船 舶 は 、 一 国 だ け の 国 旗 を 掲 げ て 航 行 す る も の と し 、 原 則 と し て 公 海 で は 、旗 国 の 排 他 的 管 轄 権 の 下 に お か れ る（ 92 条 1 項 ）が 、航 行 中 の 船 舶 が 自 己 の 便 宜 に よ っ て 、 二 以 上 の 国 旗 を 使 用 す る と い う 国 旗 の 乱 用 に 対 す る 制 裁 と し て 、 係 る 船 舶 は 無 国 籍 の 船 舶 と 同 一 視 さ れ る も の で あ り 、 二 重 国 籍 は 承 認 し な い こ と を 積 極 的 に 規 定 し て い る （ 92 条 2 項 ）。
第２節 日本船舶
第 １ 款 日 本 船 舶 の 意 義
１ ．日 本 船 舶 と は 、日 本 の 国 籍 を 有 す る 船 舶（ 第 1 章 第 2 節 第 1 款 ）を い い 、次 の 船 舶 が 日 本 船 舶 と さ れ る （ 法 1 条 ）。
（ １ ） 日 本 の 官 庁 （ 国 家 の 諸 機 関 ） 又 は 公 署 （ 地 方 公 共 団 体 の 諸 機 関 そ の 他 の 公 の 機 関 ） の 所 有 に 属 す る 船 舶
官 庁 の 所 有 に 属 す る 船 舶 の う ち 、海 上 自 衛 隊 に 所 属 す る 船 舶（ 海 上 自 衛 隊 又 は 防 衛 大 学 校 が 自 ら 本 来 の 目 的 に 使 用 す る 場 合 に 限 る ）は 、当 然 日 本 の 国 籍 を 有 す る 船 舶 で は あ る が 、船 舶 法 の 規 定 の 適 用 が な い 。な お 、海 上 自 衛 隊 が 本 来 の 目 的 の た め に 使 用 す る（ 傭 船 す る 場 合 等 ）日 本 船 舶 た る べ き 私 船 に つ い て も 同 様 で あ る （ 自 衛 隊 法 109 条 ）。
（ ２ ） 日 本 国 民 の 所 有 に 属 す る 船 舶
日 本 国 民 た る 要 件 は 、 国 籍 法 （ 昭 和 25 年 法 律 第 147 号 ） に よ っ て 定 め ら れ る 。船 舶 共 有 の 場 合 に は 、共 有 者 全 員 が 日 本 国 民 で あ る こ と を 要 す る 。
（ ３ ） 日 本 の 法 令 に 依 り 設 立 さ れ た 会 社 で あ っ て 、 そ の 代 表 者 の 全 員 及 び 業 務 執 行 役 員 の 3 分 の 2 以 上 が 日 本 国 民 で あ る 者 の 所 有 に 属 す る 船 舶 （ 注 1）
（ ４ ）（ ３ ）の 会 社 以 外 の 法 人 で 、日 本 の 法 令 に 依 り 設 立 さ れ 、そ の 代 表 者 の 全
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員 が 日 本 国 民 で あ る 者 の 所 有 に 属 す る 船 舶
２ ．日 本 船 舶 た る 要 件 は 、船 舶 の 所 有 権 が 、船 舶 法 第 1 条 に 掲 げ る 自 然 人 又 は 法 人 で あ る こ と を も っ て 足 り 、当 該 所 有 者 が 本 来 の 航 行 の 用 に 供 す る 者 で あ る か 否 か を 問 わ な い も の と 解 す る 。船 舶 が 建 造 さ れ る 場 合 に は 、注 文 者 に 引 渡 さ れ る ま で は 、造 船 者 が 所 有 権 を 有 す る の が 通 例（ 造 船 契 約 の 内 容 に よ り 別 段 の 定 め が 可 能 ） で あ る （ 注 2）。 し た が っ て 外 国 船 籍 に な る 予 定 の 輸 出 船 舶 で あ っ て も 、外 国 の 注 文 者 に 引 渡 さ れ る ま で の 間 は 日 本 船 舶 で あ る こ と が あ り 、海 事 公 法 の 適 用 を 受 け る 場 合 が あ る 。
（ 注 1） 平 成 11 年 の 船 舶 法 改 正 前 ま で は 、「 日 本 に 本 店 を 有 す る 商 事 会 社 で あ っ て 、 合 名 会 社 に あ っ て は 社 員 の 全 員 、 合 資 会 社 に あ っ て は 無 限 責 任 社 員 の 全 員 、 株 式 会 社 及 び 有 限 会 社 に あ っ て は 取 締 役 の 全 員 が 日 本 国 民 で あ る 者 の 所 有 に 属 す る 船 舶 」 と さ れ て い た 。
（ 注 2） 造 船 契 約 に は 、 注 文 者 が 全 部 又 は 大 部 分 の 造 船 材 料 を 供 給 す る 場 合 （ 現 在 こ の 方 法 は ほ と ん ど 行 わ れ な い ） と 、 造 船 者 が 全 部 又 は 大 部 分 の 造 船 材 料 を 供 給 す る 場 合 が あ る 。 前 者 は 請 負 契 約 で あ り 、 後 者 は 仕 事 完 成 の 義 務 と 船 舶 所 有 権 の 移 転 の 義 務 と を 含 む も の で あ り 、 請 負 と 売 買 の 混 合 契 約 で あ る と 解 さ れ て い る 。 造 船 契 約 に は 、 形 式 の 制 限 は な い が 、 大 型 船 舶 の 建 造 に つ い て は 複 雑 な 設 計 を 必 要 と し 、 価 額 も 大 で あ る か ら 、 通 常 詳 細 な 内 容 の 契 約 書 が 作 成 さ れ て い る 。
第 ２ 款 日 本 船 舶 の 特 権 及 び 義 務
１ ． 日 本 船 舶 の 特 権
（ １ ）日 本 の 国 旗 を 掲 揚 す る こ と が で き る（ 法 2 条 ）。国 際 法 上 、国 旗 の 掲 揚 は そ の 国 の 国 籍 を そ の 船 舶 が 有 す る こ と を 推 定 さ せ る 効 果 を 有 す る も の で あ る 。
日 本 船 舶 で な い も の は 、 国 籍 を 偽 る 目 的 を も っ て 日 本 の 国 旗 を 掲 揚 し た と き は 、 捕 獲 を 避 け る 目 的 を も っ て し た と き を 除 き 、 船 長 は 2 年 以 下 の 懲 役 又 は 100 万 円 以 下 の 罰 金 に 処 せ ら れ 、 ま た 、 船 長 の 所 有 又 は 占 有 に 係 る そ の 船 舶 は 没 収 さ れ る こ と が あ る （ 法 22 条 1 項 ）。 国 籍 を 偽 る 目 的 で な く し て 自 国 の 国 旗 以 外 の 旗 章 を 掲 揚 し た 場 合 は 罪 に 問 わ れ な い （ 同 条 2 項 ）。
し た が っ て 、 外 国 船 舶 が わ が 国 に 敬 意 を 表 す る た め 日 章 旗 を 掲 揚 し 、 又 は 日 本 船 舶 が 外 国 の 祝 日 等 に 当 り 、 そ の 所 在 国 の 旗 章 を 掲 揚 す る こ と 等 は 可 能 で あ る 。 ま た 、 捕 獲 を 避 け る 目 的 と は 、 敵 の 捕 獲 を の が れ 、 あ る い は 交 戦 国 の 権 を 行 わ ん と す る 外 国 軍 艦 の 捕 獲 を ま ぬ が れ よ う と す る 目 的 を い う の で あ り 、 こ の よ う な 場 合 は 重 大 な 結 果 を 生 ず べ き も の で は な い の で 罰 則 の 適 用 は 除 外 さ れ る 。
（ ２ ） 不 開 港 場 に 寄 港 し 、 又 は 日 本 各 港 の 間 に お い て 物 品 又 は 旅 客 を 運 送 す る
