15Seika1-3
生化学Ⅰ 第3回小テスト
2016.1.28 問題 1.タンパク質の立体構造に関連する以下の質問に答えなさい。なお,回答にあたり 適宜下の図を参照すること。
上の図は「アルコールデヒドロゲナーゼ」というタンパク質の「二次構造」をハイライト した図で,左右①と②はそれぞれその中から抜粋した二次構造の一例である。
i.「タンパク質の一次構造」はそのタンパク質の ❶ を指す。空欄❶に適当な言葉を 答えなさい。
ii.「タンパク質の二次構造」の定義を説明しなさい。
iii. 上記図①の二次構造について,その名称と特徴を説明しなさい。この二次構造は「平行 型」「逆平行型」の二通りあることが知られている。図①はどちらの型か,答えなさい。 iv.上記図②の二次構造について,その名称と特徴を説明しなさい。また,②に表示された 二次構造の場合,その中には何個のアミノ酸が含まれますか?計算根拠と共にその数を答 えなさい。
v.上記図①はタンパク質の構造内部に埋もれており,逆に②はタンパク質の分子表面にあ る。このことを参考に,次に挙げるアミノ酸は①,②どちらの構造内で見かける可能性が 高いと思いますか?理由と共に答えなさい。
・アスパラギン酸 ・イソロイシン
vi. 上の図のアルコールデヒドロゲナーゼには何個の「ドメイン」があると思われますか?
「ドメイン」の定義と共に,その個数を答えなさい。
問題 2.A,B,2 種類のタンパク質があります。A,B は共に色素を結合しており,Aは黄 色,Bは赤色の色素を結合しています。
A と B が混合された溶液から A,B を分離して回収するため,あるクロマトグラフィー実 験を行うことにしました。以下の実験説明文を読み,質問 i.~iii.に答えなさい。
「この 2 つのタンパク質を少量の緩衝液に溶解した。次に,寒天でできた多孔質のビー ズを詰め,同じ緩衝液で満たしたクロマトグラフィーカラムにこのタンパク質溶液を添加 し,その後緩衝液を流し続けてカラムの下から出てくる溶液を回収した。すると,カラム の下から最初に薄い赤色の溶液が,2 番目に薄い黄色の溶液が回収できた。」
i.このクロマトグラフィー実験の名前を答えなさい。
ii.このクロマトグラフィー実験の「固定相」と「移動相」は何か,それぞれ答えなさい。
①
②
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iii. タンパク質A,タンパク質Bは大きさ(分子量)の異なるタンパク質であることが知られ ている。どちらのタンパク質が分子量の大きいタンパク質であるか,理由と共に答えなさ い。
問題 3.
左に掲載した構造式は「Dガラクトース」という糖の構造式です。 この構造式を参考にして「糖」に関する以下の問いに答えなさい。 i.「糖」の化学的定義を答えなさい。
ii. D-グルコースは D-ガラクトースの4位炭素の立体配置を反転させ た異性体である。D-グルコースの構造を図示しなさい。また,Dガ ラクトースとDグルコースの異性体関係をなんと呼ぶか,答えなさ い。
iii.αDガラクトピラノースの構造式を「ハース式」で図示しなさ い。
iv Lガラクトースの直鎖状構造を図示しなさい。
v. DフルクトースはDグルコースと3,4,5位の炭素の立体配 置が同じである六炭糖の「ケトース」である。βDフルクトフラ ノースの構造をハース式で図示しなさい。
vi.「OαDグルコピラノシル(1→2)βDフルクトフラノシド」の構造式を図 示しなさい。この糖に還元末端はありますか?もしあれば,その場所を矢印で示しなさい。 vii. 「Dグルクロン酸」の直鎖状構造を書きなさい。
viii. 「マルトース」とは,Dグルコピラノースが 2 つ連結した,アミロースの構成単位 に相当する糖の一般名称である。以上の情報を元に,「マルトース」の構造と正式名称を答 えなさい。
C
C
C
C
C
CH
2OH
OH
H
HO
H
HO
OH
H
H
H O
解答用紙 学籍番号 氏名
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問題 1. 40点
i.❶ 4点 アミノ酸配列
ii. 4点 アミノ酸側鎖の種類によらない比較的短いポリペプチド鎖領域において見られ る規則正しいポリペプチド鎖主鎖の繰り返し構造。(下線部ポイント)
iii.<名称> 3点 βシート <平行 or 逆平行?> 3点 平行型
<特徴> 4点 伸びきった状態のポリペプチド鎖主鎖が2本以上,水素結合網で連結さ れた構造。比較的遠く離れたアミノ酸配列同士が水素結合を形成している場合が多い。連 結したポリペプチド鎖鎖が形成する平面に対し,アミノ酸の側鎖は垂直方向に,さらにア ミノ酸配列に沿って上下交互に配置される。βシートにはポリペプチド鎖の方向がすべて 同じ方向になる平行型βシートと交互に反対に向いている逆平行型βシートの2種類が存 在する。(下線部ポイント)
iv.<名称> 3点 αヘリックス
<特徴> 4点 右巻きのらせん構造である。らせん1巻きに3.6個のアミノ酸残基が 含まれる(らせん5回転で18残基)。らせん1回転で長軸方向に5.4オングストローム 伸びる。n 番目のアミノ酸残基の主鎖 C=O が(n+4)番目のアミノ酸残基の主鎖 N-H と水素 結合を形成する。(下線ポイント)
<アミノ酸の数&根拠> 3点 らせん一巻き 3.6 残基のアミノ酸を含むため,3.6x「らせ ん回転数」が計算式。根拠が正しければ「2 回転(7.2)」「2.5 回転(9)」「3 回転(10.8)」のい ずれの計算結果でも正解とした。ちなみに実測は 11 残基,つまり 3 回転が本当の正解。 v.<アスパラギン酸>4点
側鎖に負電荷を持ち,水との親和性が高いの で分子表面の②に見られる可能性が高い。
<イソロイシン>4点
疎水性残基なので,水から隔離された分子内 部の①で見られる可能性が高い。
vi. 4点 タンパク質の三次構造内で,構造の集合体が複数の「固まり」に分かれているよ うに見える場合,そのそれぞれの構造の固まりを「ドメイン」と呼ぶ。問題のタンパク質 では分子のほぼ中央が切れ目となって 2 つのドメインに分かれている。
問題 2.20点
i. 5点 サイズ排除(ゲル濾過)クロマトグラフィー
ii.(固定相) 5点 多孔質ビーズ (移動相) 5点 緩衝液
iii. 5点 ゲル濾過クロマトグラフィーでは分子量の大きい順に溶出される点を考えると 赤色のタンパク質Bが分子量の大きいタンパク質であることがわかる。
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問題 3.40点;各項目 4 点
i. 3個以上の炭素①からなる直鎖状②のポリヒドロキシ③アルデヒドまたはケトン④
ii.Dグルコース ii.異性体関係
エピマー
iii.αDガラクトピラノース iv. Lガラクトース
v. βDフルクトフラノース vi.
vii. Dグルクロン酸 viii.マルトース
viii.正式名
OαDグルコピラノシル(1→4)αDグルコピラノース
C
C
C
C
C
CH
2OH
OH
H
HO
OH
H
OH
H
H
H O
O
H
OHOH
H
OH
H
OH
CH
2OH
H
H
C C C C C CH2OH
H OH H
OH H
H HO
HO
H O
CH
2OH
OH
H
CH
2OH
OH H
H OH
O
H O
OH
H H
OH H
OH CH2OH
H
CH2OH CH2OH H
OH H H OH
O
O
O
H H
O H
OH H
OH CH2OH
H
H O H
H
OH H
OH CH2OH
H
OH OH C
C C C C COOH
OH H HO
OH H
OH H
H
H O