最新スピーカ技術 小型スピーカを中心に

平成１８年度

特許出願技術動向調査報告書

最新スピーカ技術−小型スピーカを中心に−

（要約版）

平成１９年５月

特 許 庁

＜目次＞

第１章

. . . . 1

第２章

. . . . 13

第３章

. . . . 26

第４章

. . . . 28

第５章

. . . . 30

問い合わせ先

特許庁総務部技術調査課 技術動向班

第 １ 章 技 術 の 俯 瞰

第 １ 節 小 型 ス ピ ー カ の 原 理

第 １ 項 動 電 変 換 の 原 理

動 電 変 換 方 式 は 、 変 換 方 式 の 中 で 最 も 代 表 的 な も の で あ り 、 圧 電 変 換 方 式 と と も に 、 広 く 実 用 さ れ て い る 。 動 電 変 換 の 原 理 は 、 図 1- 1 に 示 す よ う に 、 一 様 な 磁 束 密 度 B の 磁 界 の 中 に そ れ と 直 角 に 導 線 を 置 い た も の で 、 導 線 に 電 流 i を 流 す と 、Bとi と の 両 方 に 直 角 に 力 Fが 現 れ る 。 導 線 の 長 さｌの 部 分 に 生 ず る 力 は

で 現 せ る 。

1

図 1- 1 動 電 変 換 の 原 理

動 電 型 ス ピ ー カ は 、 振 動 板 の 形 状 の 違 い に よ り 、 図 1- 2 に 示 す よ う に コ ー ン ( 円 錐 ) 型 と ド ー ム 型 が あ る 。 振 動 板 を 振 動 さ せ る 点 で は 共 通 し て い る が 、 異 な る 点 は 、 コ ー ン 型 は 振 動 板 を コ ー ン の 付 け 根 （ コ ー ン ネ ッ ク ） で 駆 動 す る の に 対 し 、 ド ー ム 型 は 振 動 板 の 外 周 で 駆 動 す る 。 コ ー ン 型 は 振 動 板 の 口 径 の 大 き な も の を 作 れ る の に 対 し 、 ド ー ム 型 は ボ イ ス コ イ ル の 口 径 と 振 動 板 の 口 径 が ほ ぼ 同 じ た め 、 口 径 の 大 き な も の は 作 り に く い 。 従 っ て ド ー ム 型 は 中 音 用 と 高 音 用 が ほ と ん ど で あ る 。

2

図 1- 2 動 電 型 ス ピ ー カ の タ イ プ

1

参 考 ； 音 響 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 、 培 風 館 、 大 賀 寿 郎 他 、 p94∼ p96

2

参 考 ； 特 許 3021058、 p1∼ p2

Bli

F ₌

Bli

F ₌

電流

磁束密度 電磁力

B

i l

Bli

F ₌

電流

磁束密度 電磁力

B

i l

フレーム

マグネット ボイスコイル エッジ ダンパー

振動板

（コーン）

コーン型

マグネット ボイスコイル

磁束 振動板（ドーム）

ドーム型

フレーム

マグネット ボイスコイル エッジ ダンパー

振動板

（コーン）

コーン型

マグネット ボイスコイル

磁束 振動板（ドーム）

ドーム型

第 ２ 項 直 接 放 射 ス ピ ー カ の 原 理

音 の 放 射 の 仕 方 に よ り ス ピ ー カ は 直 接 放 射 ス ピ ー カ と ホ ー ン ス ピ ー カ に 分 け ら れ る 。 直 接 放 射 ス ピ ー カ は 、 音 の 波 長 と 同 程 度 の 寸 法 の 振 動 板 か ら 、 大 気 中 に 直 接 に 音 を 放 射 す る ス ピ ー カ で 、 小 型 ス ピ ー カ は こ の タ イ プ で あ る 。 ホ ー ン ス ピ ー カ は 、 音 の 波 長 よ り 小 さ い 寸 法 の 振 動 板 か ら 、 断 面 積 が 長 さ に 沿 っ て 次 第 に 増 大 す る ホ ー ン を 通 し て 音 を 大 気 中 に 放 射 す る も の で あ る 。

直 接 放 射 ス ピ ー カ の 振 動 板 は 、 軽 く て 適 当 な 剛 性 を 保 つ た め に 浅 い 円 錐 形 の 紙 や プ ラ ス チ ッ ク 材 料 が 使 わ れ て い る 。 振 動 板 が ほ ぼ 一 体 に な っ て 振 動 す る 中 以 下 の 周 波 数 範 囲 で は 、 振 動 板 か ら の 音 の 放 射 は 、 剛 体 円 板 か ら の 放 射 に 近 い と 考 え ら れ る 。 円 板 面 が 図 1- 3 に 示 す よ う に 平 面 の 壁 の 中 に は ま っ て 、 面 と 直 角 の 方 向 に 角 周 波 数 ω の 正 弦 波 振 動 を し 、 円 板 の 片 側 へ だ け 音 が 放 射 さ れ る も の と す る 。

3

図 1- 3 円 形 振 動 面 か ら の 放 射

そ の た め に は 円 板 に 接 し て い る 空 気 を 動 か さ な く て は な ら な い の で 、 速 度Vで 振 動 さ せ る た め に は 、 駆 動 力Fを 必 要 と す る 。FとVの 比 を 放 射 イ ン ピ ー ダ ン ス と い いZ_rと す る と 下 記 で 表 せ る 。

r r

r

^{F V R jX}

Z _{= / = +}

R_rは 音 の エ ネ ル ギ の 放 射 に 関 係 す る 放 射 抵 抗 で 、X_rは 空 気 の 慣 性 に 打 ち 勝 っ て 振 動 さ せ る 放 射 リ ア ク タ ン ス で あ る 。 イ ン ピ ー ダ ン ス と し て は 、 機 械 イ ン ピ ー ダ ン ス Z_mを 持 つ か ら 全 イ ン ピ ー ダ ン ス は Zr＋ Zmと な る 。 音 響 出 力 Paは 、 放 射 抵 抗 Rrだ け が 音 の 放 射 に 役 立 つ の で 、 下 記 の 式 が 成 立 つ 。

2 2

2 _r

* /(

)

r

a

^{R V R F Z Z}

P _{= = +}

( 2) 式 は 大 雑 把 に い う と 、 波 長 λ が 円 板 の 直 径 （2a） よ り 長 い よ う な 低 い 周 波 数 の 範 囲 で は R_r は 周 波 数 の ２ 乗（ ｆ

2

）に 、X_r は 周 波 数 に ほ ぼ 比 例 し 、 波 長 が 直 径 よ り 短 く な る に 従 っ てR_rは 一 定 値 に 、X_rは 0 に 近 づ く 。

3

参 考 ； 音 響 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 、 培 風 館 、 大 賀 寿 郎 他 、 p42∼ p51

F

V

音の放射

角周波数

a

2 _{F ω}

V

音の放射

角周波数

a

2 _ω

イ ン ピ ー ダ ン ス が 慣 性 制 御 の 状 態 で あ れ ば Z_r＋ Z_m ＝ j ω mと な る の で ( 2) 式 は 下 記 の よ う に な る 。

2

2

/( )

* F j m

R

P

₌

_ω

( 3) 式 を 周 波 数 で 示 し た も の が 図 1- 4 で あ る 。Rr ^がｆ

2

＝ ω

2

/ ４ π

2

に 比 例 す る 中 以 下 の 周 波 数 範 囲 （ B） で は 駆 動 力 F が 一 定 な ら ば 音 響 出 力 P_a も 一 定 に な る 。 中 以 上 の 周 波 数 範 囲

（ C） で は 、 駆 動 力 F が 一 定 な ら ば 音 響 出 力 P_aは 周 波 数 の ２ 乗 に 反 比 例 し て 低 下 す る よ う に な る が 、 実 際 の 振 動 板 で は 一 体 で 振 動 せ ず 分 割 振 動 を 起 こ す の が 普 通 で あ る 。 振 動 系 の 基 本 共 振 周 波 数 （ｆ o） 以 下 （ A） で は 、Z_r＋ Z_m ＝ - j ( １ / ω Cm)の よ う に 弾 性 制 御 の 状 態 に な り 、 Paは 周 波 数 の ４ 乗 に 比 例 す る 。 従 っ て 実 際 の ス ピ ー カ で の 低 音 の 限 界 は 低 周 波 域 で はｆ o 付 近 と な る 。 ま た 高 音 は 、 分 割 振 動 を さ ら に 高 い 周 波 領 域 に も っ て く る 設 計 を 行 う 。

4

図 1- 4 駆 動 力 一 定 の 振 動 板 か ら の 音 響 出 力

第 ３ 項 圧 電 変 換 の 原 理

圧 電 変 換 方 式 は 、 水 晶 や ロ シ ェ ル 塩 な ど の 圧 電 性 結 晶 を 使 う も の で 、 電 力 に よ っ て 応 力 を 生 じ る も の で あ る 。 つ ま り 、 圧 電 性 結 晶 は 外 部 電 源 の 電 圧 に よ っ て 結 晶 内 に 電 界 を 加 え る と 結 晶 を 作 っ て い る 正 負 の イ オ ン に 静 電 気 力 が 働 い て 結 晶 を 歪 ま せ よ う と 応 力 を 生 ず る 。 図 1- 5 に 示 す よ う に 、 圧 電 結 晶 か ら あ る 方 向 に 切 り 出 し た 結 晶 板 に 、 ス ク リ ー ン 印 刷 や 蒸 着 に よ っ て 薄 膜 電 極 を 形 成 し 、 外 部 電 源 か ら 電 圧 を 加 え る と 、 板 は 面 積 が 広 く な ろ う と す る 応 力 を 受 け 、 電 圧 の 向 き を 反 対 に す る と 板 は 狭 く な ろ う と す る 。

図 1- 5 圧 電 変 換 の 原 理

4

参 考 ； 音 響 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 、 培 風 館 、 大 賀 寿 郎 他 、 p105∼ p107

A B C

P

一 定

ω

４

周 波 数 （ ）

1 /

ω

２ π ω/

= f

A B C

P

一 定

ω

４

周 波 数 （ ）

1 /

ω

1 /

ω

２ π ω/

= f

＋

−

−−−−−−−−−−−−

＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋

＋

−

−−−−

−−−

−−−

−−

＋＋＋＋

＋＋＋

＋＋＋

＋＋

電極

外部電源

結晶板

ke

f ₌

e

広がる 狭まる

＋

−

−−−−−−−−−−−−

＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋

＋

−

−−−−

−−−

−−−

−−

＋＋＋＋

＋＋＋

＋＋＋

＋＋

電極

外部電源

結晶板

ke

f ₌

e

広がる 狭まる

圧 電 型 ス ピ ー カ の 発 音 の 原 理 は 、 圧 電 結 晶 板 に 金 属 振 動 板 を 張 り 合 わ せ た 極 め て 単 純 な 構 造 で 可 能 と な る 。 外 部 電 源 か ら 電 圧 を 加 え る と 、 結 晶 板 は 面 積 が 広 く な ろ う と す る 応 力 を 受 け る が 、 片 面 が 金 属 板 に 拘 束 さ れ て い る た め 、 結 晶 板 は 伸 び て 金 属 板 に 反 り 変 形 が お こ る 。 電 圧 の 向 き を 反 対 に す る と 板 は 狭 く な ろ う と す る が 、 片 面 が 金 属 板 に 拘 束 さ れ て い る た め 、 結 晶 板 は 縮 ん で 金 属 板 は 逆 側 に 反 り を 起 こ す 。 図 1- 6 に そ の 発 音 の 原 理 を 示 す 。

5

図 1- 6 圧 電 変 換 に よ る 発 音 の 原 理

第 ４ 項 ヘ ッ ド ホ ン ・ イ ヤ ホ ン の 原 理

イ ヤ ホ ン は 、 耳 に あ て て 又 は 耳 に 差 し 込 ん で 使 用 す る ス ピ ー カ で あ り 、 ヘ ッ ド ホ ン は イ ヤ ホ ン を １ 個 な い し ２ 個 ヘ ッ ド バ ン ド で 組 み 合 わ せ た も の で あ る 。 図 1- 7 に 示 す よ う に イ ヤ ホ ン は 電 気 信 号 を 音 に 変 え 、 空 中 に 放 射 し な い で 直 接 に 音 圧 を 耳 の 鼓 膜 に 与 え る よ う に し た も の で あ る 。

図 1- 7 イ ヤ ホ ン の 基 本 的 な 構 造

電 話 用 の イ ヤ ホ ン ま た は ヘ ッ ド ホ ン （ 受 話 器 ） は 周 波 数 範 囲 が 3400Hz と 狭 く て よ い の で 、 振 動 板 を 比 較 的 大 き く し て 感 度 を 上 げ 、 構 造 が 簡 単 ・ 堅 牢 で 量 産 性 の よ い 電 磁 変 換 方 式 が 使 わ れ て い た 。 テ レ ビ や ラ ジ オ に 付 随 し て い る イ ヤ ホ ン も 、 電 磁 変 換 方 式 が 使 わ れ て い て マ グ ネ チ ッ ク イ ヤ ホ ン と 呼 ば れ て 区 別 さ れ て い る 。 一 方 音 楽 な ど を 聴 く た め の 広 周 波 数 範 囲 、 低 歪 の イ ヤ ホ ン や ヘ ッ ド ホ ン は 動 電 型 変 換 方 式 ま た は 圧 電 型 変 換 方 式 が 使 用 さ れ る 。

6

5

参 考 ; J ASj our nal SEPTEMBER2000 No9 携 帯 機 器 な ど 多 方 面 に 活 躍 す る カ ー ド ス ピ ー カ の 開 発 、 小 椋 高 志 他 、 p5∼ p6

6

参 考 ； J AS j our nal 93・ 12 月 号 最 近 の ヘ ッ ド ホ ン の 動 向 、 大 平 郁 夫 、 p12∼ p14

＋

−

圧電素子が伸びた時

＋

−

圧電素子が縮んだ時 圧電素子 圧電素子

金属板 金属板

＋

−

圧電素子が伸びた時

＋

−

＋

−

圧電素子が縮んだ時 圧電素子 圧電素子

金属板 金属板

w。

鼓膜

耳

外耳道 パッド

振動板

S

x

w。

w。

鼓膜

耳

外耳道 パッド

鼓膜

耳

外耳道 パッド

鼓膜

耳

外耳道 パッド

振動板

S

x

w。

第 ２ 節 小 型 ス ピ ー カ の 構 造 と 製 法

第 １ 項 動 電 型 ス ピ ー カ の 構 造 と 各 部 の 材 料

動 電 型 ス ピ ー カ は 構 造 が 単 純 で あ り 、 構 成 す る 部 品 点 数 も 少 な い た め 、 逆 に １ つ １ つ の 部 品 が 持 つ 役 割 が 大 き く な っ て い る 。 １ つ の 部 品 の 材 料 を 変 え る こ と で 大 き く 音 質 が 変 わ る の で 動 電 型 ス ピ ー カ と し て 製 品 を ま と め る う え で 材 料 の 選 定 は 重 要 な 役 割 を 持 っ て い る 。

動 電 型 ス ピ ー カ を 構 成 す る 要 素 は 機 能 別 に 分 類 す る と 、 振 動 系 （ 振 動 板 、 キ ャ ッ プ ）、 駆 動 系 （ ボ イ ス コ イ ル 、 ボ ビ ン ）、 磁 気 回 路 系 （ マ グ ネ ッ ト 、 ポ ー ル ピ ー ス 、 ヨ ー ク 、 プ レ ー ト ）、 支 持 系 （ ダ ン パ 、 エ ッ ジ ） で あ り 、 こ れ ら の 部 材 を 組 立 構 成 す る 接 着 剤 、 結 合 材 と ハ ウ ジ ン グ （ 又 は フ レ ー ム ） で あ る 。

( 1) 振 動 板 の 特 性 と 材 料

振 動 板 に 要 求 さ れ る 性 能 は 主 に 次 の も の で あ る 。

1) 軽 い こ と ； 重 い 振 動 板 で は 効 率 が 悪 く な り 、 高 音 域 の 上 限 が 低 く な る 。

2) 剛 性 が 大 き い こ と ； 振 動 板 が 柔 ら か い と ボ イ ス コ イ ル の 動 き が 振 動 板 全 体 に 伝 わ ら ず 分 割 振 動 が 起 こ る 。 図 1- 8 に 振 動 板 の 分 割 振 動 を 示 す 。 部 分 部 分 が 勝 手 に 振 動 す る と 特 性 は 乱 れ 、 音 色 に 大 き な 影 響 を 与 え る 。

3) 内 部 損 失 が 大 き い こ と ； 振 動 板 の 振 動 を 停 止 さ せ る 時 、 振 動 エ ネ ル ギ は 振 動 板 内 部 で 吸 収 さ れ て ( 内 部 損 失 ) 静 止 す る 。 内 部 損 失 が 大 き い と 速 や か に 振 動 は 停 止 す る が 、 小 さ い と 長 い 時 間 振 動 が 続 く こ と に な り 、 特 性 は 乱 れ 、 音 色 に 大 き な 影 響 を 与 え る 。

7

図 1- 8 振 動 板 の 分 割 振 動

紙 は こ れ ら の ３ つ の 性 能 を 比 較 的 満 足 し て お り 、 動 電 型 ス ピ ー カ が 発 明 さ れ て 70 年 も 経 つ が 、 振 動 板 に は 主 に 紙 が 使 用 さ れ て い る 。 初 期 の 振 動 板 は 紙 を 打 ち 抜 き 漏 斗 形 に 張 り 合 わ せ た コ ー ン 紙 振 動 板 か ら 抄 造 に よ る シ ー ム レ ス コ ー ン 紙 に 変 化 し た 。 そ の 後 振 動 板 の 補 強 な ど が 考 案 さ れ た 。 解 析 技 術 の 進 歩 に よ り 振 動 板 に 要 求 さ れ る 物 性 値 が 明 確 化 さ れ 、 長 い 間 使 用 さ れ て き た 紙 系 振 動 板 の 物 性 値 （ 比 弾 性 率 ） 改 良 が 限 界 と な り 他 の 素 材 が 求 め ら れ た 。 1970 年 代 に 入 り 紙 の 複 合 化 、 金 属 材 料 の 採 用 が 積 極 的 に 行 わ れ た 。 80 年 代 に 入 り 高 分 子 系 材 料 、 セ ラ ミ ッ ク ス 材 料 が 開 発 さ れ 、 振 動 板 の 紙 離 れ は 更 に 進 ん だ 。

動 電 型 ス ピ ー カ の 振 動 板 材 料 と し て は 、 比 弾 性 率 と 内 部 損 失 に 優 れ た も の が 要 求 さ れ る が 、 ２ つ の 特 性 は 二 律 背 反 の 関 係 に あ り 、 そ れ ぞ れ の 特 性 を 向 上 さ せ な が ら 最 適 な バ ラ ン ス を 取 る こ と が 重 要 で あ る 。

8

7

参 考 ； オ ー デ ィ オ の 基 礎 知 識 、 オ ー ム 社 、 加 銅 鉄 平 、 p34

8

参 考 ； 日 本 音 響 学 界 誌 47 巻 2 号 ( 1991) 、 ス ピ ー カ 振 動 板 材 料 、 竹 之 内 研 一 、 p104

A B 振動板

ボイスコイル

Aの部分とＢの部分が

異なった動きをする。

エッジ

A B 振動板

ボイスコイル

Aの部分とＢの部分が

異なった動きをする。

エッジ

( 2) エ ッ ジ の 特 性 と 材 料

エ ッ ジ は 振 動 板 の 終 端 に 張 り 合 わ せ た 支 持 部 品 で 、 振 動 板 の 振 動 に 対 し て 柔 軟 に 対 応 し か つ 横 振 れ を 防 ぐ 役 目 を 持 っ て い る 。 エ ッ ジ は 慣 性 制 御 の た め 振 幅 値 が 周 波 数 の ２ 乗 に 逆 比 例 し て 増 加 す る た め 、 低 音 域 で の 振 幅 は 大 き く な り 振 動 方 向 の 変 位 に 対 す る 機 械 的 直 線 性 が 重 視 さ れ る 。 こ の た め フ ラ ッ ト な エ ッ ジ か ら コ ル ゲ ー シ ョ ン の 入 っ た 波 形 や ロ ー ル エ ッ ジ に 成 形 で き る 材 料 が 使 用 さ れ る よ う に な っ た 。 さ ら に エ ッ ジ は 中 音 域 に 共 振 が 発 生 し エ ッ ジ 面 の 音 放 射 が あ り 音 色 に 影 響 す る の で 、 エ ッ ジ 材 料 と し て は 共 振 周 波 数 の 低 い 材 料 を 必 要 と す る 。

9

( 3) ボ イ ス コ イ ル の 構 造

ボ イ ス コ イ ル に 電 流 を 流 す と 駆 動 力 が 発 生 す る が 、 こ の 駆 動 力 を 効 率 よ く 引 き 出 す た め に は 磁 極 空 隙 長 を 短 く し て 有 効 磁 束 を 高 く す る こ と と 、 ボ イ ス コ イ ル 導 体 が 多 く の 有 効 磁 束 と 交 差 す る よ う に 磁 極 内 の 有 効 導 体 体 積 の 密 度 を 上 げ る こ と が 大 切 で 、 こ の 両 者 の 比 で あ る 占 有 率 の 向 上 が 特 性 上 重 要 で あ る 。 こ の た め 導 体 形 状 を 平 角 線 に し て コ イ ル 線 間 の 空 隙 を 減 少 さ せ る な ど の 工 夫 を し て 占 有 率 を 上 げ て い る も の も あ る 。 一 方 ス ピ ー カ の 入 力 の 大 部 分 は 熱 エ ネ ル ギ と し て こ こ で 消 費 さ れ る た め 、 ボ イ ス コ イ ル や ボ ビ ン は 耐 熱 性 及 び 放 熱 対 策 な ど 構 造 上 の 工 夫 を 必 要 と す る 。

10

( 4) 磁 気 回 路 の 構 造

動 電 型 ス ピ ー カ の 磁 気 回 路 は 、 大 き な 技 術 変 遷 は 励 磁 型 か ら 永 久 磁 石 へ と 変 わ っ た 点 に あ る 。 そ の 永 久 磁 石 の 材 質 も ア ル ニ コ 磁 石 か ら フ ェ ラ イ ト 磁 石 に 変 遷 し 、 さ ら に 希 土 類 磁 石 に と 変 遷 し て い っ た 。 こ れ に よ り 小 型 で 高 感 度 の 良 い ス ピ ー カ が 作 ら れ る よ う に な っ た 。 し か し 動 電 型 ス ピ ー カ の 磁 気 回 路 の 構 造 は 以 前 と 同 じ で 、 永 久 磁 石 の 磁 束 方 向 と 必 要 と す る 磁 極 で の 磁 束 方 向 が 90° 異 な っ て い る た め 漏 洩 磁 束 が 多 い 構 造 と な っ て い る 。 永 久 磁 石 の 性 能 向 上 と 共 に 、 構 造 の 改 善 が 必 要 で あ る 。

動 電 型 ス ピ ー カ の 磁 気 回 路 の 役 割 は 、 電 気 信 号 を 機 械 振 動 に 正 確 に 変 え る 役 割 を 担 っ て い る 。 ボ イ ス コ イ ル に 発 生 す る 力 Fは 原 理 で も 書 い た よ う に ( 1) で 示 さ れ る 。

( 1)

( 1) 式 を 見 る と 、 振 動 板 に 正 確 に 力 を 伝 え る た め に は 、 ボ イ ス コ イ ル 電 流 i が 歪 む と 振 動 板 に 正 確 に 力Fが 出 な い こ と が 分 か る 。 ボ イ ス コ イ ル 電 流i と ス ピ ー カ へ の 入 力 電 圧Vの 関 係 を 表 し た の が 図 1- 9 に ス ピ ー カ の イ ン ピ ー ダ ン ス と し て 示 す 。 こ れ よ り ボ イ ス コ イ ル 電 流 i は ( 2) で 示 さ れ る 。

)

/( Z

Z

V

i _{= +}

9

参 考 ； 日 本 音 響 学 界 誌 47 巻 2 号 ( 1991) 、 ス ピ ー カ サ ス ペ ン シ ョ ン 材 料 ( エ ッ ジ / ダ ン パ ) 、 石 井 伸 一 郎 他 p139∼ p148

10

参 考 ； 日 本 音 響 学 界 誌 47 巻 2 号 ( 1991) 、 ボ イ ス コ イ ル 材 料 、 山 崎 雄 三 、 p132∼ p138

Bli

F ₌

図 1- 9 ス ピ ー カ の イ ン ピ ー ダ ン ス

( 2) 式 で Zv＋ Zmは 、 ス ピ ー カ の 入 力 端 子 か ら 見 た 電 気 イ ン ピ ー ダ ン ス と な り 、 こ の う ち 、 Z_vは ボ イ ス コ イ ル の 抵 抗 と イ ン ダ ク タ ン ス で あ り 、Z_mは ボ イ ス コ イ ル が 働 く こ と に よ り そ の 反 作 用 と し て 生 じ る イ ン ピ ー ダ ン ス で あ る 。 式 ( 1) と ( 2) は 電 気 信 号 を 機 械 振 動 に 変 え る 仕 組 み を 表 し た も の で あ り 、 入 力 電 圧 V に 対 し て 、 コ イ ル 電 流i を 歪 ま せ な い こ と と は 、 ２ つ の 式 の ど の 項 目 で も 非 直 線 性 が あ っ て は な ら な い こ と で あ る 。 ２ つ の 式 で 非 直 線 性 に な る 要 因 を 挙 げ る と ( 1) 式 か ら は

1) 磁 束 密 度 B； 磁 束 分 布 の 不 均 一 つ ま り ボ イ ス コ イ ル の 振 幅 の 大 き さ に よ っ て B が 変 化 す る 非 直 線 性 と 電 流i の 変 化 に よ るBへ の 影 響

2) ボ イ ス コ イ ル の 長 さ l； 大 振 幅 時 の ギ ャ ッ プ は ず れ 3) ボ イ ス コ イ ル 電 流i； コ イ ル イ ン ダ ク タ ン ス の 非 直 線 性

( 2) 式 か ら は

1) 機 械 振 動 に よ る 反 作 用 ； ダ ン パ ー と エ ッ ジ に よ る 大 振 幅 時 の 機 械 的 非 直 線 性

以 上 を ま と め て 図 1- 10 に ス ピ ー カ の ひ ず み を 示 す 。

11

図 1- 10 ス ピ ー カ の ひ ず み

11

参 考 ； J AS j our nal 1981. 8 月 号 、 ス ピ ー カ と 磁 器 回 路 - 最 近 の 動 向 - 中 園 次 郎 、 p14∼ p15 ボイスコイル電流

入力電圧

i ^Zv

Zm

V

ボイスコイル電流

入力電圧

i ^Zv

Zm

V

低周波数 中周波数 高周波数

最低共振周波数

支持系のひずみ

磁気回路のひずみ

磁束の不均一

振動板の分割振動 コイルの一巻幅

コイル電流による 磁束の変調 コイルインダクタン

スの非直線性

低周波数 中周波数 高周波数

低周波数 中周波数 高周波数

最低共振周波数

支持系のひずみ

磁気回路のひずみ

磁束の不均一

振動板の分割振動 コイルの一巻幅

コイル電流による 磁束の変調 コイルインダクタン

スの非直線性

第 ２ 項 圧 電 セ ラ ミ ッ ク の 製 法 と 圧 電 型 ス ピ ー カ の 構 造 ( 1) 圧 電 セ ラ ミ ッ ク 素 子 の 製 法

セ ラ ミ ッ ク 素 子 と し て は 直 径 又 は 長 さ が 50mmで 厚 さ が 0. 1mm程 度 に な る が 、 昔 は こ れ を 直 ぐ に 作 る こ と が で き な か っ た た め 、 大 型 の 円 柱 又 は 角 柱 を 粉 末 成 形 し て 焼 成 し た 後 、 ス ラ イ ス や 研 磨 を し て 作 っ た た め 、 工 数 が か か り コ ス ト も 安 く な ら な か っ た 。

最 近 で は 積 層 型 セ ラ ミ ッ ク コ ン デ ン サ の 技 術 か ら シ ー ト 成 形 技 術 が 進 み 、 連 続 し た 0. 05mm の グ リ ー ン シ ー ト を 作 っ た 後 に 、 パ ン チ ン グ や カ ッ テ ィ ン グ し て 焼 成 し 、 研 磨 な し で 量 産 が 可 能 に な っ た 。 最 近 の 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス の ス ピ ー カ へ の 急 速 な 採 用 は 、 こ の グ リ ー ン シ ー ト 技 術 の 完 成 に よ る も の で あ る 。

グ リ ー ン シ ー ト の 製 法 は 各 種 あ る が 、 シ ー ト の 特 徴 を 生 か し て 後 工 程 の 焼 成 、 電 極 形 成 ま で 連 結 さ せ れ ば 、 完 全 自 動 化 も 可 能 と な る 。 焼 成 温 度 は 1200℃ で あ る が 、 鉛 の 蒸 発 温 度 が 低 い た め 電 気 炉 中 の 雰 囲 気 を 鉛 過 多 な ど の 対 策 を 行 っ て い る 。 電 極 の 製 法 は 、 従 来 は 銀 ペ ー ス ト に よ る ス ク リ ー ン 印 刷 に よ り 焼 付 け て 形 成 さ れ て い た が 、 銀 が 高 価 な こ と と 素 子 が 薄 く な る と マ イ グ レ ー シ ョ ン が 起 こ っ て 破 損 す る の で 、 Zn、 Cu、 Ni な ど の 安 い 金 属 を 蒸 着 や ス パ ッ タ に よ り 形 成 す る よ う に な っ た 。 素 子 が 薄 く な る ほ ど 強 度 が 弱 く な る の で 、 蒸 着 や ス パ ッ タ な ど 真 空 中 で の 電 極 を 形 成 す る 技 術 は 有 効 で あ る 。

12

( 2) 圧 電 ス ピ ー カ の 構 造

薄 い 圧 電 シ ー ト が 量 産 さ れ る よ う に な っ た が 、 薄 く す る と 機 械 的 強 度 が 弱 く な り 、 そ の ま ま で は ス ピ ー カ と す る こ と は 出 来 な い 。 図 1- 11 に ス ピ ー カ 用 圧 電 振 動 板 の 構 造 を 示 す 。 ユ ニ モ ル フ は PZT を 金 属 板 に 接 着 し た も の で 、 最 も 簡 単 な 構 造 で あ り 機 械 的 強 度 も 強 い 。 バ イ モ ル フ お よ び 多 層 構 造 の も の は 接 着 で 製 造 も で き る が 、 内 部 電 極 の 材 料 を 選 ぶ こ と に よ り 一 体 焼 成 で 作 る こ と が で き る 。 こ の 場 合 、 屈 曲 振 動 を 起 こ し 易 い よ う に 各 層 の 分 極 方 向 を 反 転 さ せ て お く 必 要 が あ る 。 両 者 の 感 度 は ユ ニ モ ル フ の 層 数 倍 と な る 。

13

図 1- 11 ス ピ ー カ 用 圧 電 振 動 板

12

参 考 ； J ASj our nal 93. 9 月 号 、 圧 電 ス ピ ー カ の 現 状 と そ の 動 向 、 藤 島 啓 、 p69∼ p70

13

参 考 ； 日 本 音 響 学 界 誌 47 巻 2 号 ( 1991) 、 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス 、 藤 島 啓 、 p155∼ p159 ユニモルフ

金属板 PZT

バイモルフ PZT２層

多層構造 PZT４層

ユニモルフ 金属板

PZT

バイモルフ PZT２層

多層構造 PZT４層

ス ピ ー カ 用 圧 電 振 動 板 の 支 持 方 法 は 図 1- 12 に 示 す 。 圧 電 振 動 板 の 支 持 方 法 の 違 い で そ れ ぞ れ の 基 本 共 振 周 波 数 は 違 っ て く る が 、 こ の 基 本 共 振 周 波 数 を 求 め て 高 調 波 共 振 と の 間 の 特 性 を 使 っ て フ ラ ッ ト な 周 波 数 特 性 の ス ピ ー カ を 設 計 す る こ と が 出 来 る 。

図 1- 12 振 動 板 の 支 持 方 法

着 信 音 用 ス ピ ー カ （ 電 子 ブ ザ ー ） の よ う に 共 鳴 器 を 用 い る 場 合 は 、 図 1- 1- 13 に 共 鳴 器 の 構 造 で 示 し よ う に 振 動 板 の ノ ー ド 支 持 に よ り 能 率 よ く 音 圧 を 上 げ る こ と が で き る 。 そ れ に は 、 共 鳴 器 の 共 振 周 波 数 を 計 算 し て 、 振 動 板 の 共 振 周 波 数 も こ れ に 合 わ せ る 必 要 が あ る 。 こ の 場 合 は 単 音 し か 出 な い の で 、 別 に 振 動 板 の 周 波 数 を ず ら し て メ ロ デ ィ 音 の 出 る 圧 電 サ ウ ン ダ と す る こ と も で き る 。

14

図 1- 13 共 鳴 器 の 構 造

第 ３ 項 サ ラ ウ ン ド サ ウ ン ド の 技 術

サ ラ ウ ン ド サ ウ ン ド の 技 術 は 、 大 別 し て ３ つ の ス テ ー ジ に 分 け ら れ る 。

1) ダ ミ ー ヘ ッ ド マ イ ク を 用 い た 原 音 場 で の 収 音 、 又 は HRTF を 用 い て 電 気 的 に 両 耳 信 号 を 合 成 し て ソ ー ス 音 を 作 成 す る プ ロ セ ス 。

2) 伝 送 、 記 憶 ・ 再 生 （ 必 要 が あ れ ば デ コ ー デ ィ ン グ 処 理 ）

3) ヘ ッ ド ホ ン あ る い は ス ピ ー カ を 用 い た 音 場 の 再 生 （ 通 常 精 度 の 良 い 再 生 の た め に は 何 ら か の 処 理 を 伴 う ）

通 常 の ヘ ッ ド ホ ン に よ る 音 楽 再 生 で は 、 音 像 は 頭 内 に 感 じ ら れ 、 頭 外 に 定 位 す る こ と は な い 。 ヘ ッ ド ホ ン に よ る バ イ ノ ー ラ ル 再 生 ( p. 5) は 、 HRTF ( 頭 部 伝 達 関 数 ， Head Rel at ed Tr ans f er F unc t i on) を ヘ ッ ド ホ ン 再 生 に 適 用 し 、 音 像 の 頭 外 定 位 を 可 能 に す る 技 術 で あ る 。 HRTF は 、 音 源 か ら 受 聴 者 の 耳 ま で の 音 の 伝 達 経 路 を 表 し 、 音 源 の 位 置 や 、 人 毎 に ( す な わ ち ， 頭 部 や 耳 介 等 の 形 状 の 違 い に よ っ て ) 異 な る 特 性 を 示 す 。

HRTF を ヘ ッ ド ホ ン 再 生 に 適 用 す る に は 、 ま ず 、 音 源 ( ス ピ ー カ ) と ダ ミ ー ヘ ッ ド マ イ ク と を 原 音 場 に 設 置 し 、 音 源 と ダ ミ ー ヘ ッ ド の 左 右 マ イ ク と の 間 の 伝 達 特 性 ( ｆ

L^{, ｆ}R^{) を 測 定}

す る 。 次 に 、 ヘ ッ ド ホ ン と ダ ミ ー ヘ ッ ド マ イ ク と の 間 の 伝 達 特 性 ( ｇ = ｇ_L = ｇ_R) を 測 定

14

参 考 ； 日 本 音 響 学 界 誌 47 巻 2 号 ( 1991) 、 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス 、 藤 島 啓 、 p155∼ p159

ノード支持 ノード支持 ノード支持

周辺支持

周辺支持 中心支持中心支持

PZT PZT

し 、 ｆ_L, ｆ_R と の 比 ( ｆ_L / ｇ , ｆ_R / ｇ ) を 求 め 、 音 楽 信 号 に 乗 算 し て 、 ヘ ッ ド ホ ン の L c h, R c h信 号 と す る 。 以 上 の 処 理 に よ り 、 原 音 場 に 近 い 音 像 定 位 感 を 得 る こ と が で き る 。 こ の 様 子 を 図 1- 14に 示 す 。

15

図 1- 14 ヘ ッ ド ホ ン に よ る バ イ ノ ー ラ ル 再 生

15

参 考 ； J AS j our nal j ul y 2000 No7 ヘ ッ ド ホ ン の 変 遷 、 投 野 耕 治 、 p42∼ p43 音源 仮想音源

ダミーヘッド

音源 左耳のインパルス応答 ^{ヘッドホン 左耳のインパルス応答} ヘッドホン

ダミーヘッド

ヘッドホン再生で仮想位置 での定位の再現

信号源

DSP ) / (fL g 受聴者 音源 仮想音源

ダミーヘッド

音源 左耳のインパルス応答 ^{ヘッドホン 左耳のインパルス応答} ヘッドホン

ダミーヘッド

ヘッドホン再生で仮想位置 での定位の再現

信号源

DSP ) / (fL g 信号源

DSP ) / (fL g 受聴者

ス ピ ー カ に よ る 音 楽 再 生 で は 、 図 1- 15に 示 す 様 に 、 ス ピ ー カ S_Lの 再 生 音 は 受 聴 者 の ( 左 耳 E

Lだ け で な く ) 右 耳E_R に も 届 き 、 ま た ス ピ ー カS_Rの 再 生 音 は 受 聴 者 の 左 耳E_L に も 届 く 。 こ の 現 象 を ク ロ ス ト ー ク と 言 う 。 ス ピ ー カ 再 生 で 、 所 期 の サ ラ ウ ン ド 効 果 ( バ イ ノ ー ラ ル 再 生 ) を 得 る た め に は 、 原 音 場 に お い て ダ ミ ー ヘ ッ ド マ イ ク 等 を 用 い て 収 音 さ れ た 信 号 X、 Y を 受 聴 者 の 耳EL^、ERそ れ ぞ れ に 提 示 し 、X がER ^{に 、}Y がEL に 回 り 込 む ク ロ ス ト ー ク を 低 減 す る 必 要 が あ る 。 受 聴 者 両 耳 に 提 示 す べ き 信 号 X、 Y を 、 適 当 な 特 性 A、 B、 C、 Dの フ ィ ル タ で 処 理 す る こ と に よ り 、 ク ロ ス ト ー ク を 打 ち 消 す 技 術 を ク ロ ス ト ー ク キ ャ ン セ ル 技 術 と 言 う 。

ス ピ ー カ S_L と 受 聴 者 の 左 右 耳 E_L、 E_R と の 間 の 音 の 伝 達 特 性 を 、 そ れ ぞ れ 、H_{L L}、 H_{L R}と し 、 ス ピ ー カ SR と EL、 ERと の 間 の 伝 達 特 性 を 、 そ れ ぞ れ HRL、 HRRと す る 。 受 聴 者 の 左 耳 E_L に 信 号 X を 提 示 す る た め に は 、 次 の 関 係 を 満 た す フ ィ ル タ 特 性 A、 B を 求 め れ ば 良 い 。

A・ HL L・ X+B・ HRL・ X＝ X ( 1)

ま た 、X は 受 聴 者 の 右 耳 E_R に 提 示 し な い か ら 、A、 B は 次 の 関 係 も 満 足 し な け れ ば な ら な い 。

A・ H_{L R}・ X+B・ H_RR・ X＝ 0 ( 2) 式 ( 1) と ( 2) か らXを 消 去 し フ ィ ル タ 特 性AとBを 求 め る 。

A= HRR/ ( HL L・ HRR- HL R・ HRL) = HRR/ H ( 3) B= - H_{L R}/ ( H_{L L}・ H_RR- H_{L R}・ H_RL) = - H_{L R}/ H ( 4) た だ し H=( HL L・ HRR- HL R・ HRL)

受 聴 者 右 耳 に 提 示 す る 信 号 Y に つ い て も 、 同 様 に し て 、 フ ィ ル タ 特 性C、 Dは 次 の 様 に 求 め ら れ る 。

C= - H_RL/ ( H_{L L}・ H_RR- H_{L R}・ H_RL) = - H_RL/ H ( 5) D= H_{L L}/ ( H_{L L}・ H_RR- H_{L R}・ H_RL) = H_{L L}/ H ( 6)

図 1- 15 ク ロ ス ト ー ク キ ャ ン セ ル 技 術

A B C D

⊕ ^⊕

x Y

+_- -⁺

HLR HRL ^{頭部伝達関数}

S

S

H

^H

E

E

第 ３ 節 技 術 俯 瞰 図

小 型 ス ピ ー カ の 技 術 課 題 に は 、 小 型 ・ 薄 型 化 、 音 響 特 性 の 向 上 、 信 頼 性 の 向 上 、 製 造 性 の 向 上 、 低 消 費 電 力 化 、 利 便 性 の 向 上 な ど が あ る 。 そ れ ら の 技 術 課 題 を 解 決 す る た め の 要 素 技 術 は 、 動 電 型 小 型 ス ピ ー カ の 技 術 、 圧 電 型 小 型 ス ピ ー カ の 技 術 、 ヘ ッ ド ホ ン ・ イ ヤ ホ ン ・ 補 聴 器 の 技 術 、 小 型 ス ピ ー カ 用 振 動 板 の 技 術 と 小 型 ス ピ ー カ 回 路 の 技 術 で あ る 。 こ れ ら の 技 術 課 題 が こ れ ら の 要 素 技 術 に よ っ て 解 決 さ れ た 場 合 、 期 待 さ れ る 用 途 を 示 し 、 小 型 ス ピ ー カ の 開 発 技 術 全 体 を 俯 瞰 し て ま と め た の が 図 1- 16 に 示 す 小 型 ス ピ ー カ の 技 術 俯 瞰 図 で あ る 。

図 1- 16 小 型 ス ピ ー カ の 技 術 俯 瞰 図 用途

ヘッドホン イヤホン・携 帯音楽端末

携帯電話 _PDA

ノート_PC 薄型_TV 用途

ヘッドホン

ヘッドホン イヤホン・携 帯音楽端末

携帯電話

携帯電話 _PDA

ノート_PC 薄型_TV

要

素

技

術

動電型ス ピーカ

圧電型ス ピーカ

振動板 技術

ヘッドホン・ イヤホン

スピーカ 用回路

技術課題

小型・薄型化・

軽量化 音響特性

の向上 信頼性の向上 製造性の向上 低消費電力化 経済性の向上

利便性の向上

機構の 小型化 一体化 複合化

薄型化

音質・ 音圧の 向上 ノイズ 防止 調整の 容易化

音質・ 音量の 向上 ステレ オ化 音場定 位

対候性 耐熱性

耐衝撃 性

可撓性

組立性

不良防 止・歩留 向上

製造工 数削減

磁力の 有効利 用 変換効 率向上

演算量 低減

操作性 向上 保持性 向上

コスト 低減 環境性

静電・電磁 等小型ス ピーカ

複合化 コスト

低減

要

素

技

術

動電型ス ピーカ

圧電型ス ピーカ

振動板 技術

ヘッドホン・ イヤホン

スピーカ 用回路

技術課題

小型・薄型化・

軽量化 音響特性

の向上 信頼性の向上 製造性の向上 低消費電力化 経済性の向上

利便性の向上

機構の 小型化 一体化 複合化

薄型化

音質・ 音圧の 向上 ノイズ 防止 調整の 容易化

音質・ 音量の 向上 ステレ オ化 音場定 位

対候性 耐熱性

耐衝撃 性

可撓性

組立性

不良防 止・歩留 向上

製造工 数削減

磁力の 有効利 用 変換効 率向上

演算量 低減

操作性 向上 保持性 向上

コスト 低減 環境性

静電・電磁 等小型ス ピーカ

複合化 コスト

低減

第 ２ 章 特 許 動 向 分 析

第 １ 節 調 査 対 象 の 範 囲

日 本 特 許 は PATOL I S・ 特 許 フ ァ イ ル 、 海 外 特 許 に つ い て は Der went Wor l d Pat ent s I ndex で 検 索 を 行 っ た 。 検 索 に 用 い た 検 索 式 を 、 資 料 編 に 示 す 。 時 期 は 1995 年 か ら 2006 年 ８ 月

（ 調 査 時 点 ） ま で に 公 開 さ れ た も の と す る 。

海 外 特 許 の 対 象 は 、 米 国 特 許 、 欧 州 特 許 、 中 国 特 許 、 韓 国 特 許 、 台 湾 特 許 を 主 体 と し 、 全 世 界 各 国 を 解 析 対 称 と し た 。

解 析 方 法 は 、 日 本 出 願 特 許 （ 18, 079 件 ） か ら マ イ ク ロ ホ ン 技 術 、 超 音 波 技 術 と 大 型 ス ピ ー カ 技 術 と 小 型 ス ピ ー カ 技 術 に 分 け 、 そ の う ち 小 型 ス ピ ー カ に 関 連 す る も の 6, 291 件 に 、 技 術 課 題 と 要 素 技 術 の 分 類 を 付 与 し た 。 ま た 海 外 特 許 （ 11, 901 件 ； 内 訳 米 国 出 願 件 数 5, 682 件 、 欧 州 そ の 他 6, 219 件 ） か ら マ イ ク ロ ホ ン 技 術 、 超 音 波 技 術 、 大 型 ス ピ ー カ 技 術 と 小 型 ス ピ ー カ 技 術 に 分 け 、 そ の う ち 小 型 ス ピ ー カ に 関 連 す る も の 5, 001 件 （ 内 訳 米 国 出 願 件 数 2, 005 件 、 欧 州 1, 948 件 、 中 国 1, 048 件 ） に 、 技 術 課 題 と 要 素 技 術 の 分 類 を 付 与 し た 。 第 ２ 節 特 許 分 類 体 系

表 2- 1 に 小 型 ス ピ ー カ の 要 素 技 術 に 関 す る 分 類 体 系 を 示 す 。 小 型 ス ピ ー カ の 主 要 な 方 式 と し て 、「 動 電 型 小 型 ス ピ ー カ 」、「 圧 電 型 小 型 ス ピ ー カ 」、「 静 電 ・ 電 磁 等 小 型 ス ピ ー カ 」 が あ り 、 そ れ ぞ れ に 対 し て の 回 路 ・ ソ フ ト ウ エ ア 技 術 と し て 、「 小 型 ス ピ ー カ 用 回 路 」 が あ る 。

ま た 、 小 型 ス ピ ー カ の 応 用 技 術 と し て 「 ヘ ッ ド ホ ン ・ イ ヤ ホ ン ・ 補 聴 器 」、 注 目 す べ き 研 究 開 発 テ ー マ と し て 「 小 型 ス ピ ー カ 用 振 動 板 」、「 小 型 ス ピ ー カ 用 磁 石 」 を 大 分 類 と し た 。 大 分 類 の 各 々 に 対 し て 、 詳 細 分 類 と し て 中 分 類 、 小 分 類 を 設 定 し て い る 。

表 2- 1 小 型 ス ピ ー カ の 要 素 技 術 ( 1/ 2)

大 分 類 中 分 類 小 分 類 大 分 類 中 分 類 小 分 類

ボ イ ス コ イ ル が 振 動 板 単 層 構 造

ボ イ ス コ イ ル を 平 面 振 動 板 に 配 置 バ イ モ ル フ 構 造

ボ イ ス コ イ ル を 曲 面 振 動 板 に 配 置 多 層 構 造

振 動 板 の 駆 動 型 式

そ の 他 の 型 式

振 動 素 子 の 構 成

電 極

ボ イ ス コ イ ル セ ラ ミ ッ ク

振 動 部

ボ ビ ン

圧 電 材 料

そ の 他 の 材 料

フ レ ー ム 振 動 板 の 形 状

静 止 部

ヨ ー ク

別 体 振 動 部

結 合 部

フ ィ ル タ ー 保 持 機 構 ･ 部 材

ダ ン パ ー 外 部 接 続

外 部 接 続

補 助 部 材

共 振 抑 止 板

前 面 パ ネ ル ハ ウ ジ ン グ

補 助 部 材

チ ャ ン バ ー ･ ダ ク ト

実 装 と 製 法

接 合 部 材 組 立

圧 電 型 小 型 ス ピ ー カ

駆 動 回 路 ･ 制 御 回 路 接 着 加 工

動 電 型 小 型 ス ピ ー カ

実 装 と 製 法

シ ス テ ム 上 の 配 置

表 2- 1 小 型 ス ピ ー カ の 要 素 技 術 ( 2/ 2)

大 分 類 中 分 類 小 分 類 大 分 類 中 分 類 小 分 類

可 動 鉄 芯 型 動 電 型

磁 気 回 路 の 構 成 圧 電 型

コ イ ル ･ ボ ビ ン ･ リ ー ド

ス ピ ー カ や 部 品 の 試 験

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

サ ウ ン ダ 複 合 型 音 量 制 御

電 磁 型

振 動 板 ･ 支 持 機 構 ス ピ ー カ 駆 動

電 極 の 構 造 ･ 形 状

ス ピ ー カ 用 回 路

ス ピ ー カ 保 護 回 路 静 電 型

振 動 板 遅 延 信 号 の 形 成

電 磁 結 合 型 擬 似 信 号 の 形 成

磁 歪 型 反 転 信 号 の 形 成

圧 力 波 発 生 型 な ど

複 数 ス ピ ー カ へ の 信 号 配 分

信 号 の 加 算 ･ 減 算 静 電 ･ 電

磁 等 小 型 ス ピ ー カ

そ の 他 の 型 式

そ の 他 音 響 的 反 作

用 防 止 回 路

消 去 回 路

材 料 音 声 検 出

形 状 楽 音 検 出

振 動 板

構 造 位 置 ･ 方 向 の 検 出 ･ 演 算

エ ッ ジ

ス ピ ー カ 動 作 検 出 回 路

モ ー ド の 検 出 付 属 物

共 振 器 フ ィ ー ド バ ッ ク

型 に よ る 成 形

小 型 ス ピ ー カ 用 回 路

周 波 数 特 性 補 正 回 路

フ ィ ル タ ー 回 路 小 型 ス

ピ ー カ 用 振 動 板

実 装 と 製 法

そ の 他 の 製 法 フ ェ ラ イ ト 系 材 料

ネ オ ジ ム 系 形 状 形 成 ･ 形 状

形 成 ･ 処 理 小 型 ス

ピ ー カ 用 磁 石

配 置 ･ 構 造 磁 気 回 路 本 体 部 付 属 物 パ ッ ド 部 ヘ ッ ド ホ

ン

バ ン ド 部 本 体 部 イ ヤ ホ ン

付 属 物 全 体 構 造 細 部 構 造 補 聴 器

シ ェ ル の 構 造 ･ 形 成 イ ン タ フ ェ ー ス 補 聴 制 御 回 路 ･ イ ン

タ フ ェ ー ス

電 源 制 御 骨 伝 導 型 式

耳 掛 け 部 ヘ ッ ド

ホ ン ･ イ ヤ ホ ン ･ 補 聴 器

収 納 ･ 保 持 部

第 ３ 節 全 体 動 向

第 １ 項 四 極 に お け る 出 願 状 況

出 願 人 国 籍 別 の 出 願 特 許 件 数 の 年 次 推 移 お よ び 合 計 件 数 の 比 率 を 、 図 2- 1 に 示 す 。 出 願 件 数 で は 日 本 国 籍 出 願 人 に よ る も の が 88％ を 占 め て い る 。 ま た 出 願 件 数 の 推 移 も 年 々 増 加 し て お り 、 2004 年 に は 年 間 の 出 願 件 数 が 700 件 に 迫 っ て い る 。

図 2- 1 出 願 人 国 籍 別 出 願 件 数 推 移 と 比 率

（ 解 析 対 象 期 間 ： 1995 年 ∼ 2006 年 7 月 の 公 開 ）

（ 日 本 出 願 ） （ 米 国 出 願 ）

（ 欧 州 出 願 ） （ 中 国 出 願 ）

日本 88% 米国

4% 欧州

6% 中国

0% その他

2%

日本 46%

米国 28% 欧州 20%

中国 0%

その他 6%

日本 35%

米国 17% 欧州

32% 中国

3% その他

13%

日本 53%

米国 14% 欧州 21%

中国 6%

その他 6%

1⁹ 8³

1⁹ 8⁴ 1⁹

8⁵ 1⁹

8⁶ 1⁹

8⁷ 1 98⁸

1⁹ 8⁹ 1⁹

9⁰ 1⁹

9¹ 1⁹

9² 1⁹

9³ 1⁹

9⁴ 1⁹

9⁵ 1⁹

9⁶ 1⁹

9⁷ 19⁹

8 1 99⁹

2⁰ 00 2⁰

0¹ 2⁰

0² 2⁰

0³ 2⁰

0⁴ 2⁰

0⁵ 2⁰

06 その他

中国 欧州

米国 日本

0 100 200 300 400 500 600 700

出 願 件 数

出願年

1⁹ 8³ 1⁹

8⁴ 1⁹

8⁵ 1⁹

8⁶ 1⁹

8⁷ 1⁹

8⁸ 1⁹

8⁹ 1⁹

9⁰ 1⁹

9¹ 1 99²

1⁹ 93 1⁹

9⁴ 1⁹

9⁵ 1⁹

9⁶ 1⁹

9⁷ 1⁹

9⁸ 1⁹

9⁹ 2⁰

0⁰ 2⁰

0¹ 2⁰

0² 2⁰

0³ 2⁰

0⁴ 2⁰

0⁵ 2⁰

0⁶ その他

中国 欧州

米国 日本

0 20 40 60 80 100 120 140

出 願 件 数

出願年

1⁹ 8³

1⁹ 8⁴ 1⁹

8⁵ 1⁹

8⁶ 1⁹

8⁷ 1⁹

8⁸ 1

98⁹ 1⁹

9⁰ 1⁹

9¹ 1⁹

9² 1⁹

9³ 1⁹

9⁴ 1⁹

9⁵ 1⁹

9⁶ 1⁹

9⁷ 1⁹

9⁸ 1⁹

9⁹ 20⁰

0 2 00¹

2 00²

2 00³

2⁰ 04 2⁰

05 2⁰

06 その他

中国 欧州

米国 日本

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出 願 件 数

出願年

1⁹ 8³

1 98⁴

1⁹ 8⁵ 1⁹

8⁶ 1⁹

8⁷ 1⁹

8⁸ 1⁹

8⁹ 1⁹

9⁰ 19⁹

1 1 99²

1⁹ 9³ 1⁹

9⁴ 1⁹

9⁵ 1⁹

9⁶ 1⁹

9⁷ 1⁹

9⁸ 1⁹

9⁹ 2⁰

0⁰ 2⁰

0¹ 2⁰

0² 2⁰

0³ 2⁰

0⁴ 2⁰

0⁵ 2⁰

0⁶ その他

中国 欧州

米国 日本

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

出 願 件 数

出願年

出 願 先 別 出 願 人 国 籍 別 出 願 動 向 （ 日 本 ）

○ 日 本 企 業 の 国 内 に お け る 特 許 取 得 の 意 欲 は 増 加 傾 向 に あ る 。

→特 許 重 視 の 姿 勢 が 窺 え る 。

出 願 先 別 出 願 人 国 籍 別 出 願 動 向 （ 米 国 ）

○ 我 が 国 企 業 の 米 国 で の 権 利 意 識 の 高 さ が 窺 え る 。 出 願 先 別 出 願 人 国 籍 別 出 願 動 向 （ 欧 州 ）

○ 出 願 で は 、 日 ・ 欧 が 拮 抗 し て い る 。 出 願 先 別 出 願 人 国 籍 別 出 願 動 向 （ 中 国 ）

○ 日 本 メ ー カ の 特 許 が 圧 倒 し て い る 。

95 年 以 前 は 優 先 権 を 表 す も の

95 年 以 前 は 優 先 権 を 表 す も の

95 年 以 前 は 優 先 権 を 表 す も の 95 年 以 前 は 優 先 権 を 表 す も の

第 ２ 項 四 極 の 特 許 収 支 ( 1) 出 願 件 数 収 支

日 米 欧 中 の 特 許 出 願 件 数 収 支 を 図 2- 2- 9 に 示 す 。 日 本 か ら 米 国 、 欧 州 、 中 国 へ の 出 願 件 数 が 多 い 。 ま た 欧 州 、 米 国 か ら 中 国 へ の 出 願 件 数 も 多 い 。 米 国 と 欧 州 は 出 願 件 数 が 釣 り 合 っ て い る 。

図 2- 2 日 米 欧 中 特 許 件 数 収 支 （ 出 願 件 数 ）

( 2) 登 録 件 数 収 支

日 米 欧 中 の 特 許 登 録 件 数 収 支 を 図 2- 2- 10 に 示 す 。 日 本 か ら 米 国 、 欧 州 、 中 国 へ の 登 録 件 数 が 多 い 。 ま た 欧 州 、 米 国 か ら 中 国 へ の 登 録 件 数 も 多 い 。 欧 州 か ら 米 国 へ の 登 録 件 数 が 多 い 。

図 2- 3 日 米 欧 中 特 許 件 数 収 支 （ 登 録 件 数 ）

339件 659件 60件

631件

562件

928件 4件 393件

148件

553件 63件

224件 381件

3件

5471件 296件

日本国籍出願人 米国籍出願人 欧州国籍出願人 中国籍出願人

日 本 特 許 6151 件

欧 州 特 許 1689 件 米 国 特 許

1887 件

中 国 特 許 988 件 928 件

296 件 _{659 件}

339 件 148 件

393 件

224 件 4 件

60 件

553 件

3 件

381 件 日 米 欧 中 四 極 特 許 収 支 （ 出 願 ）

○ 日 本 は 、 欧 ・ 米 ・ 中 で 積 極 的 な 出 願 攻 勢 を し て い る。

○ 特 に 中 国 の 市 場 を 見 据 え た 場 合 、 欧 米 を リ ー ド し て い る こ と で 展 開 優 位 性 あ り 。

31件_1件

1274件 54件

433件

580件 1件 269件

49件

223件 12件 73件

199件 1件

112件

88件

日本国籍出願人 米国籍出願人 欧州国籍出願人 中国籍出願人

日 本 特 許 1360 件

欧 州 特 許 400 件 米 国 特 許

1283 件

中 国 特 許 357 件 580 件

54 件

112 件

88 件

49 件 269 件

73 件 1 件

1 件 223 件

1 件

31 件 日 米 欧 中 四 極 特 許 収 支 （ 登 録 ）

○ 対 中 国 に お い て 、 7 割 以 上 の 特 許 を 取 得 し て い る 。