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モディリアニ=ミラー理論
企業の資金調達の問題を考える。
企業が外部から資金を集める方法は、大きく分けて負債の発 行と株式の発行の2つがある。
これらの資金調達方法を組み合わせて資金調達コストを最小 にすることは、企業財務の問題である。
このような問題意識の背景には、負債と株式の最適な組合せ が存在し、その最適な組合せを実現することによって資金調 達コストを最小にすることが出きるという考え方がある。
しかし、モディリアニとミラーは、ある一定の想定のもとで は負債と株式の最適な組合せは存在しないことを証明した。 つまり、企業が投資を行うために資金調達を考える際、社債 を発行しても新株を発行しても会社の価値に影響を与えない ことが証明できるのである。
モディリアニ=ミラー理論
まず、企業の総価値をV とする。
この総価値は、負債の価値Bとい株式の価値Sの総和で ある。
つまり、
V = B + S が成立する。
ここで、2つの企業が存在することを考える。
ひとつは、必要な資金をすべて株式で調達した企業で、企業 U と呼ぶ。
VU = SU
もうひとつは、必要な資金の一部を負債の薄幸で調達した企 業で企業Lと呼ぶ。
VL= BL+ BL
モディリアニ=ミラー理論
この2つの企業の利益はXで同一であるとする。 また、負債の利子率はrとする。
ここで、モディリアニとミラーはVU = VLであることを主張 している。
このことを示すために、VU > VLやVU < VLである場合に は、その状態が長期間持続することはないことを証明する。
V
U> V
Lである場合
まず、VU > VLであることを想定する。 投資家が行う2つの行動を考えてみる。
1番目の投資行動としては、企業U の株式を、総株数のαだ け保有することを考える。
この投資に必要な金額はαSUであり、それはαVU に等しい。 この企業の収益はXであり、この投資からのαの割合の持 ち分権を保有することになるので、この投資からの収益は αXと計算できる。
2番目の行動として、企業Lの株式を総株式数のαの割合だ け保有し、同時に負債のα部分を購入すると考える。 この投資に必要な金額は、α(SL+ BL)であり、αVLに等 しい。
この企業の収益もXであるが、負債に対する利子の支払い がrBLが必要であるので、利子支払い後の収益はX−rBL である。
いま考えている投資家は、αの持ち分権を保有しているの で、この持ち分権からの収益はα(X − rBL)である。
V
U> V
Lである場合
この投資家は、同時にαの割合で負債を保有しているので、 この負債からの受け取りはαrBLである。
株式の持ち分からの収益と負債からの受け取りを合わせると、 α(X − rBL) + αrBL= αX
となる。
想定からVU > VLであるので、2番めの投資行動に必要な資 金額が少ないことになる。
しかし、2つの投資行動で得られる収益は、αXで等しいこ とになる。
企業Uの株式を保有している投資家はその株式を売却し、そ の資金で企業Lの株式と負債を購入する。
投資家のこれらの行動の結果、企業Uの株式の価格は下落 し、企業Lの株式と負債の価格が上昇することになる。 このような行動は、想定されていたVU > VLの状態が続く
V
U< V
Lである場合
次にVU < VLである場合を考える。 この場合も2つの投資行動を考える。
1番目は、企業Lの株式を総株数のαの割合だけ保有する行 動である。
この際の投資金額はαSLであるが、この金額は、 α(VL−BL)に等しくなる。
収益はα(X − rBL)と計算される。
2番目の投資行動として、企業Uの株式を総株数のαだけ保 有し、αBLの金額を借り入れることを考える。
この投資に、投資家が準備する必要がある資金額は αSU−αBL= α(VU−BL)
と計算される。
収益はα(X − rBL)と計算される。
V
U< V
Lである場合
これらの2つの投資行動から得られる収益は等しい。 しかし、想定からVU < VLであるので、1番目の投資行動の 方が投資に必要な資金が少ない。
したがって、企業Lの株式を保有している投資家は売却し、 企業U の株式を購入する。
投資家のこのような行動の結果、企業Uの株式価格は上昇 し、企業Lの株式の価格が下落することになる。
このような行動は、想定されていた状態VU < VLが発生して いる限り続くので、この状態は持続できないことが分かる。
以上の考察によって、VU = VLであることが分かる。 つまり、同じ収益を企業が得るならば、資金を負債で調達す るか、株式で調達するかは、企業価値と無関係であることが 分かった。
しかしながら、法人税が企業の収益に課せられる場合、特 に、利子支払い後の収益に法人税が課せられるために、利子 支払いから法人税が免除される場合には、モディリアニ=ミ ラー理論は修正が必要となる。