オープン質問とクローズ質問
会話の中で、私たちはよく「質問」をします。なぜ質問するのでしょうか? 人は自分の枠組み(価 値観や経験、知識など)でしか言葉の意味やものごとを捉えることができません。心理学ではこの 枠組みを「準拠枠」といいます。準拠枠は一人ひとり違うので同じ言葉でも想像する内容が変わっ てきます。ずれや誤解が生じるのは互いの準拠枠がうまく重なっていないからです。「訊く」という 作業は、お互いのずれや誤解を修正するプロセスだといえます。また、効果的に「質問」を用いるこ とによって、会話をより豊かなものにすることができますし、相手ともっと深く知り合うこともできます。 「質問」には2種類の用い方があります。ひとつはクローズ質問、もうひとつはオープン質問です。
クローズ質問とは、YesかNoとしか答えられない質問のことです。例えば、
「今日は天気がいいねえ?」「そうですね・・・」 「今から東京に行くのですか?」「いいえ」など
これに対してオープン質問とは、YesかNoだけでは答にならない質問のことです。例えば、
「明日の天気はどうなりますかねぇ?」「私は、晴れてほしいのですが雨っぽいですね」 「今からどちらへ行かれるのですか?」「今から名古屋で行くところです」
クローズド質問は、ききたいことにすぐ返事が返ってきますが、自分の認識の枠を越えられません。 オープン質問は、ときに時間がかかりますが、たくさんの情報が得られます。同じ言葉でも、人に よって意味が異なるということは、実際によくあることなのです。よほど意識しないかぎり、同じ認識 には到達できません。
以下の事柄を心に留めておくと「質問」を効果的に用いることができます。
◆自分の解釈を相手に直接確認する
相手の話を正しく聴くために必要なことは,相手の話を聴いて自分が解釈したことが合っ ているかどうかを,話し手である相手自身に直接確認することです。 直接話し手に確認 することで,正しく聴けたか,相手の意図と異なって受け止めていないかが確認できるとと もに,話し手もきちんと自分の話を聴いてくれていると感じます。 一方,ただ頷いたり,相槌 を打ちながら聞いてしまうと,違う意味に解釈していたり,聞き漏らしていたりすることがあ りますし,話し手の方も,特に複雑な話の時は,聞き手に自分の話がきちんと伝わっている かどうか不安になります。
◆クローズ質問で確認する
確認は,質問の形で,相手の話した内容を繰り返したり,自分の言葉で言い換えたりします。 このときのポイントは,相手の答えがYES/NOで返ってくる「クローズ質問」にすることです。 これにより,相手の話したことを確認でき,しかも相手の話の腰を折ったりさえぎったりしな いで済みます。 なお,YES/NOではなく,相手が自由に答えられる形式を「オープン質問」 と言います。オープン質問は相手の考えや意見などをより深く聴くときに適した問いかけで す。
良い会話の例では,相手の話したことについてクローズ質問を中心に,正しく確認しながら 聴いています。このような聴き方であれば,聞き間違いもありません。話し手も安心して話を 進められます。
手が話したいことを十分に伝えきれないまま終わってしまうことが多いので,気をつけましょ う。
◆クローズ質問を使用した言い換え
話し手の話を正しく聴くためには,相手の話した内容を「言い換える」ことが必要です。言い 換える際には,クローズ型の質問を利用します。相手の話した内容の言い換え方には,状 況に応じて,以下のようにいくつかの種類があります。その時の状況によって使い分けま しょう。
繰り返す
相手の話した言葉をそのまま返す。短い言葉や話に使用する。長い話を繰り返すとく どくなるので注意。
ポイント返し
相手の話した内容の中の,ポイントとなるキーワードに絞って返す。長い話で要点が まとまっていないときや複雑な話の時に効果的。
具体例を用いる
相手の話を具体的な内容に置き換えて返す。話が抽象的な時に,具体的な内容を確 認できる。
違う表現に言い換える
異なる言い方やことわざなどにたとえる。ちょうど良い表現があると,内容を確認しや すい。ただし相手の理解レベルに合わせることが必要。
◆オープン質問を使用してより深く聴く
相手の話をそのまま聴くだけではなく,場合によってはより深く掘り下げて聴く必要があり ます。相手の話に耳を傾けて聴いていると,あいまいな点や抽象的な部分があることに気 がつくでしょう。そこで,意識的に質問をして,より深く相手の話を聴きます。掘り下げて聴く ことにより,相手の伝えたいことを明確にすることができ,あいまいな部分をなくした具体的 なコミュニケーションが取れるようになります。 話を掘り下げる場合の注意点は,相手の話 した事を言い換えてから,質問をするということです。聴き手の一方的な質問ばかりでは “尋問”のようになってしまいますし,双方の解釈,認識がずれていたり間違ったまま,会話 が進んでしまったりすることが多いからです。
話の掘り下げ方にも,以下のような種類があります。その時の状況によって使い分けま しょう。
抽象的な言葉・表現を質問で具体化する 感情的な言葉の理由・原因を掘り下げる 「てにをは」など,助詞の使い方に反応する カタカナ言葉,専門用語の意味を明らかにする
隠している部分に対して「とおっしゃいますと?」などの質問で本音を引き出
す
相手の話を「正しく・深く」聴けて,初めて相手の考えや立場も理解できます。交渉であれば相手の
最も関心のある部分,コーチングであれば部下や後輩の悩み・関心事などを明確にできます。この 2つの質問の仕方は,コーチングやネゴシエーションでもベースになる部分なのです。意識的に会 話の中で実践してみましょう。
以下の点にも注意すると良いでしょう。
◆肯定質問と否定質問。
否定質問とは、「なぜ、~をやらなかったのですか?」「なぜ、持ってこなかったのですか?」 など
否定語で聞く質問。聞かれる方は、詰問されているようで居心地悪いものです。逆に肯定質 問では、「どうすれば、できそうですか?」「どうすれば、忘れないと思いますか?」と聞きます。 そうすれば考えることができます。
◆未来質問と過去質問。
過去質問は、「なんであの時こうしなかったの?」と聞かれても、過去には戻れないし変えら れないものです。それよりも、未来質問で、「これからどうしようか?」とか「これからどんな風