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第4回(配布用)pdf 最近の更新履歴 Keisuke Kawata's HP

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Academic year: 2018

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(1)

労働経済学2(第 4 回)

広島大学国際協力研究科教

川田恵介

(2)

前回の復習

• 貢献水準が観察可能ならば、組織の利得ではなく、貢 献水準に報酬を連動させることで、リスクシェアリング とインセンティブの両立が可能

• 貢献水準が観察不能ならば、リスクシェアリングとイン センティブの間にトレードオフが発生する。

• 貢献水準との相関がより強い業績指標を用いることが できれば、トレードオフを緩和できる。

(3)

前回の復習

エージェントの貢献水準

組織の利得

報酬契約 貢献水準との連動が

より強い業績指標

連動

(4)

モデルの拡張

• 本人の業績指標以外にも、賃金は連動している(ライ バルの成績、企業、部署の業績)

• 業務はひとつではない(質と量、仲間の手助け) ここまでのモデル

• エージェントの業務は一つのみ

エージェントは一人

(5)

複数業務(マルチタスク)の問題

労働者は、どのくらい努力するかだけではなく、 も決定している。

例)質と量、労働経済学とゲーム理論、等

企業は労働者に、頑張って働いてもらいたいだけではなく、 それぞれの業務について 努力を投入 してもらいたい、と考えている。

(6)

問題設定

2種類の業務(AB)が存在する。

エージェントは以下を決定する。

貢献水準は、 、から選択する。

2を選択した場合、貢献費用cが発生する。

業務A,Bに貢献水準をどの程度、投入するか

業務Aに投入する努力量を,業務Bに投入する努力 量をとする。

(7)

エージェントの制約式

(8)

プリンシパルの等利潤曲線

B

(9)

エージェントの利得

• エージェントには、(1)外発的動機、(2)内発的動機、 内発的動機によって、 を大きくしたい(= いい仕事がしたい)。

• 利得は、報酬ー貢献費用+b

• 内発的動機は十分に弱く、外発的動機がなければ、 貢献水準2は選択されない。

• エージェントはリスク中立的であるとする。

(10)

プリンシパルの利得

• プリンシパルは、組織の利得、エージェントの総貢献 水準、及び個々の業務への貢献水準、は観察不可能

業務Aについては、確率p()で業績指標h、確率1- p()で業績指標lを観察できる。

業務Bについては、業績指標は

(11)

努力と業績指標のかい離

• 仮に両方の業務について、努力と業績指標の連動が 同程度ならば、前回と同じ議論が適用できる。

• 業績指標と努力の連動は、業務によって異なる。

(例)

• 生産量を計測することは容易だが、質の計測は困難

• 短期的に成果が表れる業務と長期的にしか現れない 業務

(12)

IC条件:貢献の分配

12

• ある貢献水準のもとでのエージェントの利得は

に差がなければ、 を最大にするよ うに、貢献の各業務への割り振りを決定する。

の差が大きい場合、 に多くの貢献を割 くことで、エージェントの利得は増大する。

(13)

• エージェントが貢献水準2を選択する条件は、

の間に十分な差が必要となる。

bが小さければ、すべての貢献をAに注ぎ込む。

IC条件

(14)

• 以上より、プリンシパルの利得を最大にする報酬設 定は以下の2つが考えられる。

固定報酬: を提示し、貢献水準1にと どめる代わりに、貢献の分配を最適にする。(wはIC条 件、� = �を満たすように決まる。)

インセンティブ報酬:

となるように報酬を提示し、貢献水準を2を引き出すかわ りに、貢献の分配を犠牲にする。

固定報酬とインセンティブ報酬

� 2 − � 1 � − � >

(15)

固定報酬

A

• 貢献は低いが、分配は適切になる。

(16)

インセンティブ報酬

A

B

• 貢献水準は高いが、分配は不適切になる。

組織の利得が大きい。

(17)

複数業務(まとめ)

• 業績指標が観察できる業務について、賃金指標と賃

金の連動を強めることで、努力を引き出すことができる。

• しかし努力の分配が、非効率になる。⇒ がよ い場合もある。

• 一般に、業績指標が観察しにくい業務ではなく、観察し やすい業務について業績指標と賃金を連動させること で、努力は引き出しやすくなるが、努力の分配が狂う

(18)

内発的動機VS外発的動機

• 本モデルにおいて、エージェントは内発的動機をもって おり、かつ内発的動機に基づいて行動してもらったほ うが、貢献の分配は望ましいものになる。

• 個々にインセンティブを高めることを目的に、さらに外 発的動機を強めると、内発的動機によって実現されて いた望ましい分配をゆがめてしまう。

⇒外発的動機の強化が内発的動機を

(19)

複数業務(応用)

• 一般に、労働者は自身の業務を行うだけではなく、他 人の業務を「 」をできる場合が多い(モデル上、 業務の一種と解釈できる。)。

• 多くの場合、他人の業務をどの程度助けたのか、を測 定することは、困難である。

• エージェントの努力を引き出す場合、本人の業務成績 に賃金を連動される必要があるが、その場合手助けを

(20)

解決策

• 標準的な経済学の理論に照らし合わせると、「手助け」 は の外部性を持つ。

⇒外部性を内部化できれば、組織の効率性は向上する。

個々人の業績指標にではなく、チーム(例、部署、店舗、 企業全体)の業績指標(例 店舗全体の売上)に、

個々人の賃金を連動させる。

(21)

チーム評価の利点と問題点

• チーム評価導入により、個々の労働者は の業績指標をあげる誘因を持つ。

⇒「手助け」をするインセンティブを向上させる。

• 自身の業務との相関は弱い。

⇒ 問題が発生する。自身がさぼっても、 周りに努力してもらえれば、高い賃金をもらえる。⇒努力

のインセンティブが低下する。

(22)

最適なチームの範囲

• どこまでを一つのチームとするのかが問題

(極端な例)企業全体を一つのチームとみなす(企業の業 績に応じたボーナスの支給、自社の株式を支給)

• チーム規模の拡大は、フリーライダー問題を悪化させ る。⇒外部性が強い労働者を同じチームとすることが、 望ましい(例、「手助け」が大きな意味を持つ労働者同 士のみを同じチームにする。)

(23)

インフルエンス活動

• 「業務」の一種として、インフルエンス活動(自身、ある いは自分のチームに対する評価を変えるために、上司 や評価者に掛け合う、工作活動)がある。

• チーム規模の は、労働者間の賃金格差を増大 させ、結果インフルエンス活動を促進することになる。

(24)

まとめ

• 複数業務が存在する場合、報酬設計には十分な注意 が必要になる。

• 報酬体系の変更は、業績指標を観察できる業務だけ ではなく、業績指標を上手く観察できない業務にも重 大な影響を与える。

• 一般に貢献水準の絶対量と各業務への貢献の分配 の間には、トレードオフが発生する。

参照

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