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(1)

パキスタン-日本考古学共同調査隊 Pakistan Japan Archaeological Mission

※出典が明示してあるもの以外、すべての図・写真の 著作権はPJAMSALUに帰属します:詳細はこちら

※インターネットに接続した環境下では、いくつかのリンクはダイレク トにインターネット上のウェブサイトを開きます。

ヴィーサル・ヴァレー・プロジェクト

2012

パキスタン・シンド州に現代人ホモ・サピエンスの足跡を追う

# 1

Veesar Valley Project 2012

Pursuit of the Modern Human’s tracks on the Southern Route of “Out of Africa”

パキスタン-日本考古学共同調査隊 旧石器時代班-2012

PJAM2012 Palaeolithic chapter

クリックして次へ

v.0.1.5 02-08-2012

財団法人 高梨学術奨励基金 The Takanashi Foundation

for Arts and Archaeology

(2)

はじめに

わたしたち現代人の直接の祖先は、およそ 15万年前、アフリカで誕生しました。

知っていましたか?

そ し て12万 年 前 、 ア フリ カの外へと旅 立ちました。

氷河時代の厳しい気候の中、63 万年前には、海を越え、山を越え、 ア ジ ア へ 、 オ ー ス ト ラ リ ア へ 、 ヨ ー ロッパへ広がりました。

そして氷河時代が終わりを迎え 16千 ~12千 年 前 に は 、 新大陸へ、さらにのちには太平 洋へと進出したのです。

その壮大な旅の証拠が、世界各地の遺跡に残されています

私たちはそうした遺跡のひとつを、発掘しています

クリックして次へ

地図画像:Wikipediaコモンズ

ここで調査をしています

(3)

もくじ

クリックして次へ

・このスライド/シートは、パキスタン-日本考古学共同 調査隊がおこなっている旧石器時代遺跡調査につい て紹介するものです。

・目次や各スライドの をクリックするとジャンプすること もできます。

・さらに詳しく知りたい人は

関連書籍やウェブサイトを紹介しています。

☞もっと知りたい人へ

このスライドについて

(4)

これはNASAが開発提供している衛星写真です

クリックすると、パキスタン、周辺の国名とシンド州の位置が表示されます

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

中国

(中華人民共和国)

パキスタン

インド

スリランカ

バングラデシュ アフガニスタン

イラン

サウジ・アラビア

ネパール イラク

ウズベキスタン

タイ シンド州

どこで調査しているの?

クリックして次へ

私たちは、パキスタン南部、シンド州で調査しています。

(5)

・パキスタン(パキスタン・イスラム共和国)はインド、アフガニスタン、イランの間に位置しています。インド、 スリランカ、バングラデシュなどとともに「南アジア」に含まれます。

・面積は約804km2(日本の2.1倍)、人口は約18千万人2008:世界第6位、日本の1.4倍)、首都はイ スラマバード、おもな言語はウルドゥー語、国民の97%はイスラム教徒です。

・国土の北端はヒマラヤ山脈です。世界第2位の高山K2や氷河があります。国土の南はアラビア海に 面しています。

・日本より南に位置しているので、とくに夏はとても暑くなります。57月には最高気温が45℃以上に なる地域も多く、また雨があまり降りません。砂漠もあります。

・イスラム教が広まる前8世紀以前)には、インダス文明(紀元前25百年ころ)やガンダーラ仏教文化1

5世紀、クシャーン朝時代に最も栄えた)など豊かな歴史と文化が育くまれてきました。

・日本からは、中国、東南アジアなどを経由 する飛行機で、812時間くらいで行くこ とができます。おもな到着地は、カラチ、 ラホール、イスラマバードです。

・モヘンジョ・ダーロやガンダーラの遺跡、 北部の山岳地帯を訪れるツアーも催行され ています。

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

パキスタン

アフガニスタン イラン

インド

アラビア海

パキスタンについて

クリックして次へ

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(6)

・シンド州は、現在のパキスタンの南東部にあります 。東~南はインドとの国境、南西はアラビア海で す。

・面積は約14km2(北海道の約2倍)、人口は約4240万人、州都はカ ラ チ(パキスタン最大の都市)、シ ンディー語を話すシンド人が多く住んでいます(シンド人は現在のインドにも暮らしているほか、中東諸国や シンガポール、マレーシアにも移民しています)

・州の真ん中をインダス川が流れ、川沿いに平野が広がり農業が盛んです(綿花、米、小麦、サトウキビ、 バナナ、マンゴーなど)。カラチを中心に工業や貿易も盛んで、パキスタン経済の約3(税収ベース)を 占めています。

・インダス川沿いは緑が豊かですが雨はほとんど降らず、砂漠気候に属します。インダス平原の東の タール砂漠、西のキルタール山地はどちらも緑が乏しくとても乾燥した土地です。

・インダス文明最大の都市遺跡モヘンジョ・ ダーロはシンド州の北部にあります。ほか にも多くの遺跡が残されています。

・アレクサンドロス大王(紀元前 世紀)が到 達した一番東の土地です。仏教が広まった 時代には玄奘も訪れました 世紀)

・南アジアで最初にイスラム教が広まった土 地でもあります8世紀)

シンド州について

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

パキスタン

アフガニスタン イラン

インド

アラビア海

次(なにを調査しているの?)へすすむ

シンド州の地理、景観をみる

もくじにもどる

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(7)

クリックすると拡大地図が表示されます

シンド州の地理

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4 SRTM3 +GMv1+GADM

パキスタン

シンド州

バローチースターン州

パンジャーブ州

インド タール砂漠

カラチ

ハイデラバード

サッカル

※色の違いは標高を表しています(青・緑:低い~茶色・白:高い) 森や草原など緑が豊かだという意味ではありません!

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(8)

クリックすると州北部の衛星写真が表示されます

シンド州の地理 ( 2

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4 SRTM3 +GMv1+GADM

パキスタン

シンド州

バローチースターン州

インド タール砂漠

カラチ

ハイデラバード

サッカル

タール砂漠

サッカル

ハイルプール

ラルカーナー

モヘンジョ・ダーロ

(世界遺産)

ヴィーサル・ヴァレー

(調査している場所)

衛星写真から分かること...

・濃い緑色は畑や森です

・白~黄土色は砂漠や岩山です

・おもに810月の衛星写真を合成しているのでイン ダス川が増水して濁っています

クリックして次へ

LandsatTM (USGS/GLCF)

(9)

シンド州の景観

パキスタン

シンド州

インド タール砂漠

カラチ

クリックして次へ

キルタール山地

インド亜大陸とユーラシアの衝突でできた帯状 の山地を涸れ川が流れる。とても乾燥している。

インダス川右岸

インダス川沿いの低地を離れると乾燥した土地が 広がる。運河をつくって灌漑を進めている。

インダス平原

蛇行するインダス川に沿って広がる低地。農業 の中心地だが、時折、洪水の被害に見舞われる。

インダス川左岸/タール砂漠の西端

再び低地を離れると乾燥した土地に。タール砂漠 砂丘と緑の耕作地がせめぎあっている。

(10)

シンド州の景観 ( 2 )歴史と暮らし

パキスタン

シンド州

インド タール砂漠

カラチ

モヘンジョ・ダーロ

インダス文明最大の都市遺跡。紀元前2,500 年ころ(中央の円塔は後の時代に作られた仏舎利塔)

コート・ディジー城

18世紀にタルプール朝によって築かれた城塞。

シンド州北部の田園地帯

小 麦 畑 、 パ ー ム 椰 子 、 砂 丘 。 イ ン ダ ス 川 か ら の 灌 漑 運河によって大穀倉地帯となっている。

カラチ、エンプレス・マーケット

19世紀英領時代に栄え、一時はパキスタンの 首都だったカラチの中心地のひとつ。

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(11)

(どこで調査しているの?)

に戻る 元にもどる

(なにを調査しているの?)

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パキスタンについて

Wikipedia ・パキスタン

ウェブサイト ・在日本パキスタン大使館 ・パキスタン観光協会(英語)

・財団法人 日本・パキスタン協会

・地球の歩き方 パキスタン(ダイヤモンド社:ISBN978-447805444

・現代パキスタン分析-民族・国民・国家(岩波書店:ISBN978-4000227377

・パキスタンを知るための60章(明石書店:ISBN978-4750317625

・パキスタン独立(勁草書房:ISBN978-4326398973)

・新版 南アジアを知る事典(平凡社:ISBN978-4582126457

・ナショナル・ジオグラフィック日本版20079月号

シンド州について ※シンド州についての日本語の文献やウェブサイトは多くありません。 Wikipedia ・シンド州

・パキスタン-日本考古学共同調査隊では、シンド州の歴史と文化遺産を紹介するウェブページを準備中です。

パキスタンへの渡航について

※パキスタンの一部地域への渡航については外務省から勧告が出されています。 渡航に際しては、十分に情報を収集し渡航先の安全について判断してください。

(私たちは現地調査に際して、事前にシャー・アブドゥル・ラティーフ大学を通じて現地の警察に対応をお願いしています。)

・外務省海外安全情報(パキスタン)

・西遊旅行(ツアー取り扱い、所在地:日本)

・日・パ旅行社(パキスタン旅行全般取り扱い、所在地:パキスタン・イスラマバード)

・パキスタン国際航空(国際、国内線ともウェブ予約、eチケット発券可能:英語のみ)

参考:パキスタン、シンド州について

(12)

Wikipediaコモンズより(File:Humanevolutionchart.png

なにを調査しているの?

クリックして次へ

人類の歴史をしっていますか?

ヨーロッパ アフリカ アジア アメリカ 年代

(百万年前)

原人

(ホモ・エレクトゥス)

原人

(ホモ・エルガスター)

原人

(ホモ・アンテセソール)

※化石人類の名称や分類には異なる見解があります

旧人

(ホモ・ハイデルべルゲンシス /ホモ・ローデシエンシス)

旧人

(ホモ・ネアンデルターレ ンシス)

現代人

(ホモ・サピエンス)

・およそ260万年前、アフリカに登 場した原人(ホモ属)は、アジアや ヨーロッパにも広がりました。

(出アフリカ・パート1

・ヨーロッパに移住したグループは、 ネアンデルタール人に進化しま した。

・一方、アフリカにとどまったグループは20万年 前ころ、道具づくりや美術品製作の能力を進 化させ、現代人ホモ・サピエンスとなりました。

Wikipediaコモンズより

File:Neandertaler_reconst.j pg)

12万年前ころ、アフリカ を 旅 立 っ た ホ モ ・ サ ピ エ ン ス は 、 全世 界 へと 広がっていきました。

(出アフリカ・パート2

Wikipediaコモンズより

File:BBC-artefacts.jpg 南 ア フ リ カ ・ ブ ロ ン ボ ス 洞 窟 か ら 出

土 し た 骨 角 器 、 彫 刻 の あ る オ ー カー(赤土)、石槍

(13)

アジア集団1

(南アジア~各地)

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4 15万年前 :

ホモ・サピエンス、アフリカ に誕生

128万年前*

出アフリカ、南北2ルート? 54万年前:

オーストラリア、ヨーロッパ、 東アジア**(?)へ進出

21万年前:

アメリカ大陸へ進出

アフリカ集団

現代人の広がり:出アフリカ・パート 2

クリックして次へ

*出アフリカ21回だけとす る説と、複数 回あったとする説があります。

**東アジアへは、もっと古くに進出したと する説もあります。

・アフリカを旅立ったホモ・サピエンスは、5万年前にはオーストラリアに到達しました。アラビア~南アジ ア~東南アジアという海沿いの「南回りルート」を辿ったと考えられています。

南アジアの重要性 (その 1

・このため、南アジアに、いつ、どのようなサピエンス集団が到着したのかを解明することが、重要な課 題となっているのです。

【重要】南アジアの北側はヒマラヤ山脈です。いったん海沿いに進んだサピエンスは、ずっと東に進むまで北へ進路を変えることができ ません。

(14)

アジア集団1

(南アジア~各地)

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

アフリカ集団

南アジアで何が起こったのか?

ネアンデルタール

原図:篠田謙一2007『日本人になった祖先たち』NHKブックス

・アフリカ以外の現代人の祖先をたどると、その多く が南アジアを故郷とすることが遺伝学により指 摘されています。

クリックして次へ

・また5万年前に南アジアで人口爆発があった 可能性も指摘されています。(右上図の赤三角)

南アジア

出典:Atkinson et al. (2008) Molecular Biology and Evolution, 25: fig.2

・その23千年前には、スマトラ島北部のトバ火山 が大噴火を引き起こし世界中の気候が悪化しま した(右上図の灰色の三角)

(15)

トバ大噴火の衝撃?

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

アフリカ集団

クリックして次へ

73千年前に起こったトバ火山の噴火は、人類史 上例を見ない巨大災害でした。噴火の直後には、 年間平均気温が11℃も低下したと試算されていま す。その影響については2つの説が唱えられてい ます。

・第1の説は、大噴火により旧人類*が絶滅した後に、 ホモ・サピエンスが南アジアへ来た、という考え方 です(右上)

アジア集団1

(南アジア~各地)

128万年前?

大噴火以後

トバ大噴火

73千年前)

・第2の説は、大噴火以前に進出していたホモ・サピ エンスが、大災害を乗り越えた後で各地へ広がっ て行った、という考え方です(右下)

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

アフリカ集団

128万年前?

大噴火を克服 5万年前の人口増

トバ大噴火

73千年前)

アジア集団1

(南アジア~各地)

5万年前の人口増

*南アジアにネアンデルタール人は住んでいな かったようです。代わりにナルマダ人という旧人類 が見つかっています。

出典:高橋(2010) JGL, 6-3: 1

(16)

遺跡の発掘調査へ !

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

アフリカ集団

・遺伝学や古環境の研究から見えてきた可能性を明らかにするために、世界中

の考古学者が発掘調査を進めています。

⇒アラビア半島では、サウジ・アラビア、イエメン、オマーン、アラブ首長国連邦の遺跡で、125万 年前の遺跡が発掘され、ホモ・サピエンスが残したものではないかと議論されています。

⇒インドでは、153万年前まで続く遺跡の発掘が進められ、8万年前と4万年前の2回変化があった ことが分かってきました。

このうち4万年前の変化は、細石器や、貝製・ダチョウ卵殻製・石製ビーズの出現など、明らかにサ ピエンスの登場を示すと考えられています。

▲ ?

同じような変化はイラン、アフガニスタ ンでも見つかっています。

ところが ...

まだ調査が進んでいない地域が

残されているのです。

私たちはその空白域で

調査を開始しました !

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(17)

人類の進化、歴史、ホモ・サピエンスの世界への広がりについてはさまざまな説があり、また毎年のように新しい発 見がもたらされているため、まだ定説はありません。最近の日本語の書籍として以下の5冊を挙げておきます。

・人類がたどってきた道-“文化の多様化”の起源を探る(NHKブックス:ISBN978-4140910283

・人類の足跡10万年全史(草思社:ISBN978-4794216250

・日本人になった祖先たち-DNAから解明するその多元的構造(NHKブックス:ISBN978-4140910788

・人類大移動 アフリカからイースター島へ(朝日選書:ISBN978-4022599865

・ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか(角川書店:ISBN978-4041101025

以下の2冊は日本の旧石器時代について書かれたものですが、ホモ・サピエンスの考古学や石器についても詳しく 参考になります。

・シリーズ「遺跡を学ぶ」別冊 ビジュアル版旧石器時代ハンドブック(新泉社:ISBN978-4787709301

・列島の考古学1 旧石器時代(河出書房新社:ISBN978-4309714417

ヴィーサル・ヴァレー地区の旧石器時代遺跡の調査については、学会誌、予稿集で報告しています。日本語で書 かれたものとしては以下の2編があります(六一書房で入手可能です)

野口 淳・G.M.ヴィーサル・Q.H.マッラー・N.シェイフ・近藤英夫(2012a) パキスタン・イスラム共和国シンド州ヴィーサル・ヴァレー地区の 中期・後期旧石器時代資料.旧石器研究8: 169-179,日本旧石器学会

野口 淳・G.M.ヴィーサル・Q.H.マッラー・N.シェイフ・近藤英夫(2012b) パキスタン・シンド州北部ヴィーサル・ヴァレー地区採集の石器 群-型式組成と技術についての予報-.日本旧石器学会第10回講演・研究発表・シンポジウム予稿集: 28,日本旧石器学会(ポ スターはこちら準備中です)

参考:人類の進化・旧石器時代の考古学について

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次(どんな遺跡なの?)へすすむ

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(18)

タール砂漠

サッカル

ハイルプール

ラルカーナー

モヘンジョ・ダーロ

ターリ・ミルワー

どんな遺跡なの ?

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ヴィーサル・ヴァレー地区は、見渡す限り砂丘に囲まれています。

ヴィーサル・ヴァレー

(調査している場所)

一番近くの町(ターリ・ミルワー)から14kmほど離れています。 水がないので農業はできません

遊牧民のキャンプを時折見かけるだけ、行 き交う人もほとんどありません LandsatTM (USGS/GLCF)

(19)

タール砂漠について

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タール砂漠

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

タール砂漠は、現在のインド‐パキスタン国境に広がっています。

ヴィーサル・ヴァレー

年間降水量は100mm前後の地域も多く、とても乾燥しています。 タール砂漠は、北アフリカから中央アジアにかけて

広がる乾燥地帯の東端にあたります。

パキスタン

インド

カラチ

ラホール イスラマバード

デリー

Satellite image: © NASA, by World Wind 1.4

(20)

ヴィーサル・ヴァレー地区の遺跡

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見渡す限りの砂丘ですが... 足もとをよく見ると...

たくさんの石が落ちている場所があります... それが、遺跡です!

落ちているのは、ただの石ころではありません!! 拾い上げたのは...

旧石器人が作った石の道具=石器でした!!

ヴィーサル・ヴァレー地区では、こうした石器が分布する遺跡が90以上見つかっています!!

(21)

どんな石器が見つかっているの ?

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遺跡の時代や、当時の暮らしを考える上で手がかりとなる代表的な石器を並べました。

エンド・スクレイパー

(掻器)

サイド・スクレイパー

(削器) ブレイド(左下:石刃)とブレイド・コア(石刃石核)

両面石器

(22)

どんな石器が見つかっているの ?

ブレイドとブレイド・コア

両面石器

・エンド・スクレイパーは、皮革の加工(皮なめし)に使われ た石器です。

・サイド・スクレイパーは、切ったり削ったりするための石 器です。

・ブレイドは、鋭い刃を両側にもつ石器です。切る道具に 使われたほか、さまざまな石器を作る素材にもなりまし た。ブレイド・コアは、ブレイドを作るために準備されたも のです。

・両面石器は、表裏両面に加工した石器です。斧のような 用途、あるいは切ったり削ったりするための道具と考え られます。

・サイド・スクレイパーと両面石器は、旧人の時代から使われてきた「古い」石器です。

・エンド・スクレイパーとブレイドは、旧人の時代の終わりころ(10万年前以降)から使われ はじめた「新し い」石器です。

とくにヴィーサル・ヴァレー地区のものは、54万年前のホモ・サピエンスが作ったものと よく似ていま す。

・「古い」ものと「新しい」ものが一緒に見つかるヴィーサル・ヴァレー地区は ... 1) 「古い」時代の生活と「新しい」時代の生活の跡が同じ場所で重なっているか ... 2) 「古い」時代と「新しい」時代の移り変わりの境目の時代の遺跡だと考えられます。

つまり、旧人類の時代の終わり~ホモ・サピエンスの時代のはじま

りの頃 ( 84 万年前 ? ) の遺跡と考えられるのです。

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石器についてもっと詳しく

(23)

誰が/どんな調査をしているの ?

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私たちは、日本とパキスタンの合同チームです

日本の考古学者、年代測定や3次元計測の専門家が加わって、より詳しい調査を進めます。 ヴィーサル・ヴァレー地区の旧石器時代遺跡は、パキスタン・ハイルプールに所在する、シャー・ アブドゥル・ラティーフ大学考古学研究室が発見しました。

私たちは、みなさんのご支援、ご協力を歓迎します。

メンバー詳細はこちら

(24)

どんな調査をしているの ?

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シャー・アブドゥル・ラティーフ大学

旧石器時代の遺跡 中石器時代の遺跡

タール砂漠

ヴィーサル・ヴァレー

シャー・アブドゥル・ラティーフ大学考古学研究室は、これまでに、インダス平 野、ローフリー丘陵、タール砂漠で数百の遺跡(旧石器~歴史時代まで)を発見 し て い ます。 この 地図 にはそ の う ち、 旧石 器 ~ 中 石 器 時代の 遺 跡 の 位 置 を 示してあります。

この地図は、NASAと日本の経産省が共同で開発したASTER-GDEMによるものです。人工衛星Terra から測定された、タール砂漠の砂丘の形状が分かるほど高精度なデータです。

LandsatTM (USGS/GLCF)

(25)

どんな調査をしているの ?

砂漠の中には何も目印がなく、また精確な地図もありません。 そこでポータブルGPSを使用して位置を記録します。

記録したデータはASTER-GDEMによる地図の上に記します。

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ASTER-GDEMによる地形図を拡大すると、砂丘のかたちがよく分かります。幅1.52km、高さ50m以上もある巨大な砂丘が数kmおきになら んでいるのです。

この調査は、201223月に実施しました。

(26)

どんな調査をしているの ?

遺跡の位置を記録しながら、地形と遺跡の内容も観察します。

・遺跡は、砂丘の頂上付近、斜面、砂丘間の凹地に分布しています。

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・砂丘間の凹地の底には石灰岩の基盤層が露出していて、石器作りの材料となるチャートが豊富にあります。

・凹地の底の遺跡は石器でびっしりと覆われており、多数の石器が作られた場所であることが分かります。

この調査は、201223月に実施しました。

(27)

どんな調査をしているの ?

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・第85地点という中腹の遺跡を選びました。3mほどの小高い丘の上に残された遺跡です。

・エンド・スクレイパーやブレイドなど、お目当ての石器もたくさん拾うことができます。

・凹地の底の遺跡の調査は少々難しそうです(石器が多過ぎる、地層が残っていない...)

・そこで斜面の中腹にある遺跡を調べることにしました。

・この小 高い丘の 下、砂 の地層 の中に何 が埋 まっているのでしょうか?

いよいよ発掘です!

この調査は、201223月に実施しました。

(28)

どんな調査をしているの ?

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・まずはじめに、発掘する場所を決めます。1×1mの調査区(トレンチ)3つ掘り下げることにしました。

・地表面近くは石器が出土するので慎重に、掘り上げた砂はふるいにかけて小さな石器も見逃しません。

・しかし1015cm掘り進むと、石器は出土しなくなりました。あとは、ひたすら砂、砂、砂...

この調査は、201223月に実施しました。

(29)

どんな調査をしているの ?

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砂丘の表面には無数の風紋が残されています。 なぜ、石器は砂丘の表面近くにだけ残されていたのでしょうか?

これは、風により砂が常に移動していることを示しています。 植物の根は風に耐えるので、そのまわりだけが削られています。

ところで多くの石器は砂粒よりはるかに重いので、

風の力では動きません。 まわりの砂だけが動いてしまい、石器は取り残されるのです。

調査をした第85地点でも、風下側に厚く砂が積もっていました。 このため、石器が出土する地表から1015cmまでよりも

さらに下の砂は石器よりも古い時代の地層だと考えられます。 そこで次の調査では、以下の2点を集中的に調べます。

1) 石器より下の砂の年代を測定する(OSL法による) 2) 砂がどのように積もって砂丘ができるのかを解明する

もちろん、ほかの地点に残されている石器の調査や、新たな地点の探索も行ないます。

あらたな調査は、 2012 年夏に実施します。成果にご期待下さい !!

(30)

パキスタン-日本考古学共同調査隊

ヴィーサル・ヴァレー・プロジェクト2012メンバー :近藤 英夫 東海大学文学部

野口 明治大学校地内遺跡調査団

下岡 順直 京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設 横山 ㈱ラング

千葉 ㈱ラング

パキスタン:ニローファー・シェイフ シャー・アブドゥル・ラティーフ大学(SALU)副学長 カシード H.マッラー SALU考古学研究室

グーラム M.ヴィーサル SALU考古学研究室・博物館

2012年度の調査研究は、以下の助成・支援により行なわれる予定です。

・平成24年度()高梨学術奨励基金「現代型人類の移住・拡散に関する「南回りルート」の追跡

-パキスタン・シンド州ヴィーサル・ヴァレー地区遺跡群の考古学的調査-」(代表者:野口 淳)

・東海大学学部等研究教育補助金(近藤英夫)

・日本旧石器学会2012年度研究グループ運営助成「南アジアの旧石器時代遺跡研究グループ」

(代表者:野口 淳)

Faculty of Natural Science, Shah Abdul Latif University, KhairpurSALU自然科学部)

PJAM2012 旧石器班メンバー

財団法人 高梨学術奨励基金

The Takanashi Foundation for Arts and Archaeology

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(31)

ヴィーサル・ヴァレー・プロジェクト 2012 #1

・バージョン:0.1.5、更新:2012/08/02 *バージョンによっては最新の情報を反映していない場合があります

・作成・更新:パキスタン‐日本考古学共同調査隊(PJAM)、担当:野口 淳

・このスライド・シートの著作権はパキスタン‐日本考古学共同調査隊に帰属します。

・非営利目的の利用は自由です。再配布は大歓迎ですが、最新の情報を共有していただくために、できる かぎり下記リンクURLを通じてファイルを取得するようにしてください。

・出版物への再利用に際しては、個別の写真・画像の著作権(次項)に留意していただいた上で、作成者にご 一報くださいますようお願いいたします。適切な引用・クレジットについてお伝えさせていただきます。

・出典を示していないすべての写真・画像(ただし各機関・企業・組織等のロゴマークを除く)は作成者に帰属しま す。個別に再利用する際には出典を明記してください。

・出典を示している写真・画像をこのスライド・シートから再引用しないでください!!

このスライドについての詳細

財団法人 高梨学術奨励基金

The Takanashi Foundation for Arts and Archaeology

連絡先等

ヴィーサル・ヴァレー・プロジェクト・ホームページ https://sites.google.com/site/veesarvalley/ 作成担当者メールアドレス fujimicho0 hotmal.com@ (野口 淳)

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(32)

SINDHMAP プロジェクトについて

SINDHMAPはシンド・デジタル文化歴史遺産マッピング・プロジェクトSindh Degital Heritage Mappin Project 略称です。シンド州の多様な文化・歴史遺産(遺跡・建造物・伝統工芸・芸能について、その所在地情報を デジタル・マップとして可視化することをベースとして、画像やそのほかの情報を共有するための枠組みで す。

SINDHMAP プロジェクト

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・現在、シャー・ アブドゥル・ ラティーフ 大学が長年進めて きたシンド 州 北 部 の 考 古 遺 跡 の 情 報 を 基 盤 と し た 分 布 図 の 整 備 と 公 開 の 準備を進めています。

シンド州北部の新石器時代~インダス文明期の遺跡分布(試験版)

参照

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