ネットワークの構造と
Retweet
の関係
早稲田大学大学院基幹理工学研究科数学応用数理専攻
目次
第1章 Introduction 3
1.1 はじめに . . . 3
第2章 Twitterデータ解析プラットフォーム構築について 4 2.1 使用したソフトウェア . . . 4
第3章 Degreed Based Mean Field Theoryについて 6 3.1 SIS model . . . 6
3.2 Degreed Based Mean Field Theory . . . 7
第4章 ツイートデータとネットワーク構造解析 8 4.1 解析方法 . . . 8
4.2 フォロー数とRetweetについての検証結果 . . . 12
第5章 Networkを考慮した次数とRetweetの関係性 14 5.1 Networkを考慮する理由. . . 14
5.2 拡散ルート特定アルゴリズム . . . 16
5.3 アルゴリズムの検証結果 . . . 20
5.4 Retweetの影響度 . . . 22
5.5 Retweetの影響度の計算 . . . 25
5.6 TwitterネットワークはDBMFに適用できるか . . . 28
第6章 研究成果、今後について 29
第
1
章
Introduction
1.1
はじめに
今日、TwitterをはじめとするSNSは人々の生活に強く浸透し、一つの情報媒体としてその立場を確立
第
2
章
データ解析プラットフォーム構築
について
2.1
使用したソフトウェア
本研究では、まずTwitter API[9]を用いることで10000以上に及ぶツイートデータを取得し、それを 統計処理ソフトR[10]を用いて解析した。その際に使用したソフトウェアを羅列する。
• R version 3.4.2
• RStudio version 1.1.383
RにはTwitter APIにアクセスできる”rtweet”[7]と”twitteR”[8]というpackageがあり、これらを用 いることでツイートの様々な情報を取得することができる。実際に取得したデータサンプルのスクリーン ショットのが図2.1である。尚、プライバシーの観点から一部データにはモザイクをかけている。
図2.1 Screenshot of tweet data
取得できる要素
✓ ✏
text
具体的なツイートの内容。@AAAはユーザー名が AAA の人へのリプライ(返信)、RT @AAAはユーザー名がAAAのユーザーのツイートをリツイートしたことを示す。
favorited
そのツイートが他ユーザーにlike(お気に入り)されたかをTRUEかFALSEで示している。
favoriteCount
そのツイートが他ユーザーにlike(お気に入り)された回数を示している。
replyToSN
そのツイートのリプライ(返信)先のユーザー名。
created
そのツイートがされた時刻をYYYY-MM-DD HH:mm:ssで示される。
truncated
replyToSID
そのツイートのリプライ(返信)先の元のツイートのID。
id
そのツイートのID。
replyToUID
そのツイートのリプライ(返信)先のユーザーのID。
statusSource
そのツイートがされたクライアント名
screenName
そのツイートをしたユーザー名
retweetCount
そのツイートが何回リツイートされたを示す。
isretweeted
そのツイートがリツイートされたをTRUEかFALSEで示している。
longitude
そのツイートがされた位置情報のうちの経度。
latitude
そのツイートがされた位置情報のうちの緯度。
第
3
章
Degreed Based Mean Field Theory
について
3.1
SIS model
今回Twitterでの情報拡散はSIS model であると仮定する。SIS model とは伝染病の伝搬を表す確
率モデルの内の1つである。SはSusceptible、 IはInfectedの頭文字を取ったもので、伝染病の流行 過程を表した2式による微分方程式でモデル化[5]される。病原菌を持っているInfected状態である人 I(t)が、病原菌を受け取りうるSuspectible状態である人S(t)に、病原菌を伝搬させInfected 状態に させる(S(t)→I(t))。また、Infectedである状態の人は一定確率で病気を治癒(I(t)→S(t))し、再び
Suspectible状態になる。これがSIS modelの基本的な考え方である。
dI
dt =βS(t)I(t)−µI(t) (3.1)
dS
dt =−βS(t)I(t) +µI(t) (3.2)
β は感染率、µは治癒率を表す。式3.2式3.2は時刻tにおけるS(t)とI(t)の時間変化について表し ている。SIS modelは治癒(I(t)→S(t))しても再び感染する可能性があるのでノードは状態Sと状態I
間で状態遷移を繰り返す可能性がある(図3.1)。
図3.1 SIS model
アすることで、更に多くのユーザーにその投稿の閲覧を可能にし、これが繰り返されることで投稿が拡 散されていく様子がSIS modelと酷似していると言われている。Twitterの場合、投稿機能はツイート、 シェア機能はRetweetであり、S(t)はあるツイートを見ていないユーザー、I(t)はツイートをRetweet
したユーザーと今回仮定する。
3.2
Degreed Based Mean Field Theory
SIS modelは2変数のみで与えられる方程式で必ず定常状態に達する。同じ特徴を持ち、SIS modelを
より発展させ、詳細に伝染病の伝搬を表すモデルが複数提唱されており、その中でもMean-Field Theory
で近似したものの1つが、Degreed Based Mean Field[5]であり、
dρI k(t)
dt =−ρ
I
k(t) +λk[1−ρIk(t)]
∑
k′
P(k′|k)ρI
k′(t) (3.3)
と表される。このとき、ρIk(t)は時刻tにおいて、次数kで状態がInfectedであるノードの割合を表し ている。右式第1項の−ρI
k(t)は治癒(I(t)→S(t))した次数kのノードの個数を示す。第2項は新しく Infectedになるノードについての項で、k[1−ρI
k(t)]は次数kで状態がSuspectibleであるノードの総数
を表し、P(k′|k)は次数kのノードが次数k′と繋がっている確率、ρI
k′は次数k′で状態がInfectedであ
るノードの個数を示している。つまり、第二項は次数kのノードが感染元になりうる次数k′のノードと
繋がっているか、k′がInfectedであるかを明確にし、その後感染率λで次数kのノードは状態S(t)から
I(t)になることを表している。
これをTwitterに当てはめる時、次数はユーザーのフォロワー数であると本論文では仮定する。図3.2、
図3.3おいて次数が異なる2つのノードの図に注目すると次数kのをA、次数k′のノードをA以外の
ノードとする。Aが情報を受け取るためには、B∼Jの内誰かが情報を持っている必要があり、B Jが情 報を持っている確率は一定なので、情報を仕入れる先が多い、図3.3のAの方が情報を受け取る確率が高 いと言える。
第
4
章
ツイートデータとネットワーク構造解析
集めたツイートデータを基にフォロワー数とRetweet の関係性を、実際のデータをもとに検証する。 具体的には、ツイートした人をA、Retweetしたユーザー全てをBとすると、Bの平均フォロー数(何人 のユーザーから情報を得られる状態か)とAをフォローしているのに、Retweetしなかったユーザーの平 均フォロー数を比較する。
4.1
解析方法
はじめにどのユーザーが誰のツイートをRetweetしたか特定する。収集したツイートのtext欄が RT @AAAでscreennameがBBBである場合、BBBがAAAのツイートをRetweetしたことを示してい る。よって、この2つを抜き出し、listを作成する(表4.1のlist)。
tweet user retweet user
AAA BBB
分析したツイートのうちRetweetがN個だとすると、どのユーザーが誰のツイートをRetweetしたか のlistをN個入手できる。
表4.1 list of Retweet user tweet user retweet user
1 AAA BBB
2 AAA CCC
3 AAA DDD
4 FFF TTT
5 III KKK
..
. ... ...
N ZZZ LLL
名をNodeとし、linkの向きをtweet user からretweet userに設定すると図4.1のようなネットワーク 図が作成できる。今回は”スタバ”の含むツイートを集め解析した。スターバックスコーヒーはトレンドに 入っていなくても、人々の話題になっていて、新商品が発表されるとトレンドになり、プレリリース後と それ以外での情報拡散の違いについて比較しやすいからである。図4.2は2017年12月1日13:00ごろ に”スタバ”が含まれるツイートを5000件抽出した内の500ツイートについてのRetweet状況について プロットしたものであり、図4.1は2017年12月13日21:00ごろに”スタバ”が含まれるツイートを5000
件抽出した内の500ツイートについてのRetweet状況についてプロットしたものだが、プライパシーの 観点からユーザー名をアルファベット表記にしてある。また、各ユーザーがRetweetされた回数につい てまとめたのが、図4.3と4.4である。
図4.1 View of Retweets of 500 tweets in December 1st
アルファベットは発信者のユーザー名、矢印の先にあるノードがRetweetしたユーザーを表す。
図4.2 View of Retweets of 500 tweets in December 13th
アルファベットは発信者のユーザー名、矢印の先にあるノードがRetweetしたユーザーを表す。
4.1と図4.2の中の各ユーザーが何回Retweetされたかまとめたのが、図4.3と図4.4である。
図4.3 Number of Retweets of December 1st
それぞれのノード(アルファベット)のツイートが何回Retweetされたかを表している。
図4.4 Number of Retweets of December 13th
図4.1の矢印は、ユーザーの名前から放射状に描画されいて、ツイートの拡散の向きを表す。つまり、 矢印の始点に位置するユーザーのツイートを矢印が向く方向に位置するユーザーがRetweetしたことを 意味する。図4.1の下部分に注目してみると、AGの周りから多くの矢印(41本)が放射状に出ているの で、これは周りの矢印の先にいるユーザーがAGのツイートをRetweetしたことを表している。更に図
4.3、図4.4に注目すると、1回しかRetweetされていないものばかりで、多くRetweetされたツイート をしたユーザーの数は限りなく少ないことが分かる。ここで、具体的に次数とRetweetの関係性につい て注目する。Aに注目してみると26人のユーザーにツイートをRetweetされているが、その一方で、そ のツイートを見ながらもRetweetしなかったユーザーも存在している。それがAをフォローしているが、
Retweetしなかったユーザー達である(図5.5)。
図4.5 Follower of A
Retweetしたユーザーの次数とそのツイートの発信者をフォローしているユーザーの中で、Retweetし
4.2
フォロー数と
Retweet
についての検証結果
Retweetの有無とユーザーの次数の違いを表した箱ひげ図と平均値をまとめた表を作成した。12月1
日のデータについてのものが図4.6と表4.3であり、12月1日のデータについてのものが図4.7と表4.2
である。
図4.6 Difference of the Follow between Retweeted user or not in Febuary 1st
表4.2 Difference of mean in Febuary 1st Retweetした人 Retweetしなかった人
538 1744
表4.3 Difference of mean in Febuary 13th Retweetした人 Retweetしなかった人
489 677
図4.8 Difference of the degree between Retweeted user or not
赤がRetweetしたユーザーのfollow数、青がRetweetしていないユーザーのfollow数を示す。 赤線がRetweetしたユーザーの平均follow数、青線がRetweetしていないユーザーの平均follow数 である。
第
5
章
Network
を考慮した次数と
Retweet
の関
係性
5.1
Network
を考慮する理由
第4章で今回収集したデータでは、TwitterネットワークにDBMFは適用できないことが分かったが、
これはRetweetをしたユーザーとそうでないユーザーの次数を単純に比較して得られた結果である。一
方で、Twitterネットワークにおいて情報をどのようなルートを通じて得、そしてそれをRetweetで拡散
したかは、情報の拡散過程を知る上で1つの大きな要素になりうる。例えば図5.1、図5.2に注目してみ
ると同じRetweet数が10でもその拡散過程は全く違うものである。
図5.1 Network of 10 Retweets by First
一次拡散と複数拡散による大きな拡散状況の違いは、最終的に情報が拡散するコミュニティの種類に大 きい影響を与える可能性がある。
図5.3 Spread of First Infection Only 図5.4 Spread of Multi-Infection
図5.3、図5.4に注目すると、一次拡散のみの場合、情報は発信者とそのフォロワーしか受け取らないの で1つのコミュニティー内で拡散が終わる。しかし、複数拡散の場合、複数のコミュニティに情報が伝達 する可能性がある。企業が芸能人にTwitter内でPR活動を依頼した場合を考えると、一次拡散の場合 その芸能人のファンのコミュニティしか情報が伝達しないが、複数拡散の場合、芸能人のファンのコミュ ニティとそのファンが他に属している趣味のコミュニティにも情報が拡散する。つまり、少ないRetweet
5.2
拡散ルート特定アルゴリズム
収集したTwitterデータでは、どのユーザーのツイートをRetweetしたかは特定できるが、どのユー
ザーから情報を受け取ったかは分からない。つまり、収集したデータではRetweetが一次拡散、二次拡 散、あるいはそれ以降の拡散なのかを特定できない。そこで、拡散ルートを特定するためのにRetweet
したユーザーAAAのフォロワーに、Retweetした他ユーザーBBBがいたとするとBBBはAAAから 情報を取得したものとする仮定のもと、プログラムを組んだ。発信者とRetweetした人のフォロー関係 を調べ、まず一次拡散かを特定する。その後、一次拡散に該当するユーザーのフォロワーに他のRetweet
したユーザーがいないかを調査し、二次拡散かを特定する。これを繰り返し行っていく。以下が特定する ために作成したプログラムのアルゴリズムの詳細である。
1. 4.1の検証方法と同様にツイートをまずRetweetされたものを抽出し、どのユーザーが誰のツイー
トをRetweetしたかのlistを作成する(表5.1)。
表5.1 list of Retweet user tweet user retweet user
1 AAA BBB
2 AAA CCC
3 AAA DDD
4 FFF TTT
5 III KKK
..
. ... ...
N ZZZ LLL
2. 特定のツイートのRetweetした人のみのlistを新しく作成する。つまり表5.1においてtweet user
がAAAのみのlistを新しく作成する(表5.2)。
表5.2 list of user who retweeted AAA’s tweet retweet user 1 BBB 2 CCC 3 DDD 4 ZZZ .. . ...
folllowerlistを作成する。Retweetしたユーザーがfollowerlistにいる場合、そのユーザーをFirst RetweeterI1とし、残りのユーザーをnth Retweeterとする。
図5.5 Defining the First Retweeter
上図だとBBBとCCC がfollowerlistに入っているのでfirst RetweeterはBBBとCCC、nth
Retweeterはそれ以外のユーザーとなる。この段階で拡散ルートを特定できたものでネットワーク
図を作成したものが図5.6である。
図5.6 3.で特定したネットワーク
4. 次に、first Retweeter のフォロワーを全て取得し、followerlistをユーザー毎に作成する (今回 の例ではBBBと CCC のfollowerlistを作成する必要がある)。n’s Retweeter のユーザーがこ の followerlist にいる場合、そのユーザーをSecond RetweeterI2 とし、残りのユーザーをn’s
Retweeter とする。今回は、どのユーザーから情報を得てRetweet したかを分別する(BBBの
図5.7 Defining the Second Retweeter
この段階で拡散ルートを特定できたものでネットワーク図を作成したものが図5.8である。
図5.8 4.で特定したネットワーク
6. 4.の試行を繰り返すと、どのユーザーのfollowerlistにもなく、nth Retweeterに残っているユー ザーがいる場合がある。これは、Retweetを繰り返し自分のフォロワーから情報を取得し、Retweet
したわけではなく、Twitterの検索機能などを用いネットワーク外から自ら情報を取得し、その取 得した情報をRetweetとしたユーザーであり、これをI0とする。最終的にN 次拡散まで起こり、
最終的なRetweet数をIとすると、
I =I1+I2+I3+...+IN +I0 (5.1)
が成り立つ。情報拡散ルートを全て特定し、作成できる図が図5.9である。
5.3
アルゴリズムの検証結果
今回は例として2種類のデータを用いる。5.2のアルゴリズムを用い、ツイートを誰から受け取り拡散 されたかを特定したものが、表5.3表5.4である。尚、実際に収集したデータを用いているが、プライ バシーの観点からユーザー名をアルファベット表記にしてある。senderがRetweet、あるいは最初にツ イートしたことにより、情報を発信したユーザーであり、情報を受け取り、再びRetweetしたユーザーが
recieverである。
表5.3 listA sender reciever
1 AAA BBB
2 AAA CCC
3 AAA DDD
4 BBB EEE
5 DDD FFF
6 EEE GGG
表5.4 listB sender reciever
1 ABA ABB
2 ABA ABC
3 ABA ABD
4 ABA ABE
5 ABA ABF
6 ABA ABG
7 ABA ABH
8 ABA ABI
9 ABA ABJ
10 ABA ABK
11 ABA ABL
12 ABA ABM
13 ABA ABN
14 ABA ABO
15 ABB ABP
16 ABC ABQ
17 ABC ABR
18 ABD ABT
19 ABE ABS
20 ABK ABT
21 ABL ABU
22 ABN ABV
23 ABP ABW
24 ABV ABX
25 ABV ABY
表5.3において、Retweetしたユーザー周辺のみで構成されるNetwork図を作成したものが図5.10で ある。図5.10ではノードがユーザーでエッジがユーザーが誰にフォローされているかを示している。最 も大きい赤いノードが発信者、その次に大きいピンクのノードがFirst Retweeter、紫色ノードがSecond
Retweeterであり、 赤いエッジが一次拡散、ピンク色のエッジが二次拡散を表す。
図5.10 listAに含まれるユーザーのフォロワーネットワーク
図5.10ではツイートの流れが理解しにくいので、今回はRetweetしたユーザーのみをノードとし、ネッ トワーク図を作成したlistAから作成したものが図5.11で、listBから作成したものが図5.12である。
図5.11と図5.12は1つ1つのノードがRetweetをしたユーザーを表していて、拡散の状況が分かり やすいようにツリー状にプロットされている。最も上にあるノードがそのツイートの発信者であり、下に 位置するノードほど複数Retweetを経由し、拡散したユーザー達を表す。図5.12の二次拡散において、 二人から情報を受け取ってるユーザーがいるがこれは、今回のアルゴリズムではどちらから情報を受け 取ったか判定が不可能なのでこのようなネットワーク図になっている。図5.11、図5.12に注目すると、
少ないRetweet数だとしてもその中に二次拡散、三次拡散...が含まれていることが分かった。このネッ
トワーク図を元に、再び次数とRetweetの関係について検証する。そのために、Retweetの影響度を導 入する。
5.4
Retweet
の影響度
5.4.1
Retweet
の影響度とは
第4章では、Twitterネットワークではユーザーのフォロワー数が少ないユーザーがRetweetするこ
とが多いことが分かった。しかし、先行研究においてフォロワー数が多いほどRetweetされやすいとい う結果が出ている[4]。そこで、フォロー数とフォロワー数両方を踏まえ、あるユーザーのRetweetに対
し、そのRetweetがどれだけ影響を与えているかの指数を導入する。
5.4.2
Retweet
の影響度の導入
A1をA2フォローしていて、A1のツイートをA2がRetweetしたと仮定する。このとき、A1のフォ
ロワー数をA1#とし、A2のフォロー数を#A2とする。この時、A1#人に情報が行き渡り、A2は#A2
人から情報を受け取れる状況である(図5.13、図5.14)。
図5.13 Af ollower 図5.14 Bf riends
A2がA1のツイートをRetweet(一次拡散)する確率P1(A2)は、
P1(A2) =A2がA1のツイートを見る確率×A2がRetweetする確率 (5.2)
である。A2は常にTwitterを閲覧しているわけではないので、入手する全てのツイートを見ることは不
可能だと仮定すると、A2がA1の記事を見る確率は、
A1のツイート総数
A2が入手するツイートの総数
(5.3)
2α1,2α2,2α3, ...,2αi(i=#A2)回ツイートするとおく。A2が見るツイートの総数は、 A∑2#
i=1
2αi (5.4)
であり、A1のツイート総数は2αA1なので、A2がA1の記事を見る確率は、
2αA1
∑A2#
i=1 2αi
(5.5)
である。A2がRetweetする確率をβ(A2)とすると、A2がA1のツイートをRetweetする確率P(A2)
は、
P1(A2) = 2αA1
∑A2#
i=1 2αi
β(A2) (5.6)
である。次に、A3がA2がA1のツイートをRetweetしたことで情報を入手し、Retweetした二次拡散
の場合を考える。A3がA2のツイートを見る確率は(5.5)より、
3αA2
A∑3#
i=1 3αi
(5.7)
である。A3がRetweetする確率をβ(A3)とすると、A3がA2のツイートをRetweet(一次拡散)する確
率P1(A3)は(5.6)より、
P1(A3) = 3αA2
∑A3#
i=1 3αi
β(A3) (5.8)
である。A3はA1をフォローしていないので、A2がA1のツイートをRetweetしなければ、情報を得
られない。A3がA2 のツイートをRetweet(一次拡散)する確率とA2がA1のツイートをRetweet(一
次拡散)する確率は独立であるので、A3 がA2がA1のツイートをRetweetしたことで情報を入手し、 Retweet(二次拡散)する確率P2(A3)は、
P2(A3) =P1(A2)×P1(A3) (5.9)
= 2αA1
∑A2#
i=1 2αi
β(A2)× 3αA2
∑A3#
i=1 3αi
β(A3) (5.10)
である。つまり、A1のツイートがAn+1にRetweet(n次拡散)される確率は、
Pn(An+1) = n
∏
j=1
P1(Aj) (5.11)
= n
∏
j=1
jαAj−1
∑Aj#
i=1 jαi
β(Aj) (5.12)
である。次に、#A1のツイートがRetweetによってどれほどの影響力があったのかの指標を導入する。
具体的には、A1のツイートA′の期待値を算出する。確率変数Xの期待値[11]は、
E(X) = ∑ x:p(x)>0
である。(5.1)より、最終的なRetweet数はI=I1+I2+I3+...+IN +I0であり、1つのツイートを
同一ユーザーが複数回Retweetすることはできないことからn次拡散されたA1のツイートA′の最終的
な影響度Eall(A′)は(5.13)より、
Eall(A′) = I
∑
i=1 n
∑
j=1
1×Pj(Ai) (5.14)
である。また、同次拡散が複数存在した場合、どちらがより拡散に影響を与えたかを比較する場合を考え る。n次拡散した2人のユーザーをIn1とIn2(In =In1+In2+In3...)とすると(5.14)より、
En1(A′) = 1×P n(A
In1) (5.15)
En2(A′) = 1×P n(A
In2) (5.16)
5.5
Retweet
の影響度の計算
5.4.2で定義したRetweetの影響度を取得済みであるデータを用いて計算する場合を考える。今回、特
定のユーザーが入手するツイートの総数や、各ユーザーがツイートする回数を取得していない。よって今 回は、各ユーザーは1回ツイートするものとし、フォロワー全てのツイートを見れるものとする。つま り、A2が#A2人フォローしているとき、A1のツイートを見る確率は、#1A2 である。また、各ユーザー
がRetweetする確率も測定していないので、全ユーザーのRetweet確率は同じとし、(5.2)式のRetweet
する確率を今回は無視できるものとする。つまり、A2がA1のツイートをRetweet(一次拡散)する確率
P1(A2)は、
P1(A2) = 1
#A2
(5.17)
である。
各ユーザーの次数がどのようになっているか着目するために、図5.11、図5.12に各ユーザーのフォ ロー数によってエッジの太さを変え(太いほど次数が低い=情報を受け取りにくい)、フォロワー数をノー ドにした図が図5.15、図5.16である。図5.16にフォロワー数が記載されていないノードがあるが、これ はそのユーザーのフォロー数フォロワー数を取得しようとした際、そのユーザーアカウントが凍結、ある いは既に削除されていて情報を入手できなかったものである。
28261614815771029468194332418422372686 4876
344 112 3695 3695 312320 1742
223397 545
757
6911
539 821 84 288 795 423 78 236 420 333 589 562 801 2003
1423 129 4831 338 235 1626
931 386 240
303
図5.16 Spread of 25 Retweet Network with degree
5.4.2で定義した影響度を図5.15のデータを用いて計算する。まず、図5.15のネットワークのノード
図5.17 図5.15におけるノード名の割り当て
図5.17において、AのツイートをBがRetweet(二次拡散)する確率は(5.17)より、
P1(B) = 1 #B
(5.18)
= 1
2864 (5.19)
である。
EがBのツイートをRetweet(一次拡散)する確率は(5.17)より、
P1(E) = 1 #E
(5.20)
= 1
184 (5.21)
である。よって、EがAのツイートをRetweet(二次拡散)する確率P2(E)は(5.9)より、
P2(E) =P1(B)×P1(E) (5.22)
= 1
2864× 1
184 = 0.0000019 (5.23)
である。このように全てのノードがAのツイートをRetweet する確率を(5.9)と(5.17)を用い求める と、P1(B) = 0.00035、P1(C) = 0.00287、P1(D) = 0.00043、P2(E) = 0.0000019、P2(F) = 0.000010、
P2(G) = 0.00000034である。次に、最終的なAのツイートの影響度を算出する。(5.14)より、二次拡散 されたAのツイートA′の影響度E
all(A′)は、
Eall(A′) =
I ∑ i=1 2 ∑ j=1
1×Pj(Ai)
= 0.00035 + 0.00287 + 0.00043 + 0.0000019 + 0.000010 + 0.00000034 = 0.003666224
である。次に、EとFどちらが大きい影響を与えたか比較する。Eの影響度EE(A′)は(5.15)より、
EE(A′) = 1×P2(E)
であり、Fの影響度EF(A′)は(5.15)より、
EF(A′) = 1×P2(F) = 0.000010
であるので、影響度はFの方が高いことが分かる。以上の結果より、これまで最終的なRetweet数で拡 散状況を評価していたが、同時拡散が複数存在した場合でも、その中で影響度を評価することができ、ま た、ネットワーク構造を把握することで中途時点での拡散状況も、最終的な拡散状況も評価できるように なった。しかし、今回の検証のように各ユーザーの活動度(ユーザーが全フォロワーの中から特定のユー ザーのツイートを見る確率)や各ユーザーがRetweetする確率が分からなければ、単純なフォロー数の比 較になってしまう。
5.6
ネットワークに
DBMF
は適用できるか
図5.16についてn次拡散毎に平均フォロー数とフォロワー数を表にまとめたのが、表5.5である。
表5.5 Mean of follow and follower of 25 Retweets Network
平均フォロワー数 平均フォロー数
全体 1013 750
1次拡散 569 683
2次拡散 1430 1087
3次拡散 519 388
4次拡散 303 757
図5.16に注目すると、一次拡散を表すエッジの中でも、細いエッジとつながっているノードから二次 拡散が多く発生しているのが分かる。そして、三次拡散が発生している直前の二次拡散を表すエッジに注 目すると、エッジが細くなっているのが分かる。エッジの太さは、情報が受け取りやすい方が細いので、 今回解析したデータでは、フォロー数が高いユーザーが一次拡散をするとその後も拡散が続くことが予想 できる。図5.16と表5.5、一次拡散の平均フォロー数683に対し、一次拡散したユーザーの中でその後も 拡散が続いたユーザーのフォロー数は616、4876、577であるが、フォロー数4876は1つ値が飛び抜け ているため、フォロー数4876抜いて平均値を再び計算すると、一次拡散の平均フォロー数は335であり、 フォロー数616、4876、577は平均より大きい値を取っている。
次に、フォロワー数について考える。一次拡散したユーザーの中でその後も拡散が続いたユーザーの フォロワー数は821、288、801、2003と一次拡散したユーザーの平均フォロワー数である569を超える ものが多い。二次拡散したユーザーの中でその後も拡散(三、四次拡散)が続いたユーザーのフォロワー 数は1423、1626と大きい値を取っている。つまり、フォロワー数が高いユーザーが拡散に大きく影響を 与えるのが分かる。
第
6
章
研究成果、今後について
今回解析したツイートの実データからは、Retweetが複数回されることでできたネットワーク構造を把
握したTwitterネットワークではDBMFは適用できると分かったが、これは全てのユーザーのRetweet
する確率、Twitter内での活動度(ユーザーが全フォロワーの中から特定のユーザーのツイートを見る確 率)を一定にした場合に限る。また、Retweetレア度指数を作成することで、同次拡散が複数存在した場 合でも、その中での希少性を評価することができ、最終的なRetweet数以外にも、Twitterネットワーク での情報の拡散による最終的な影響度を評価することができるようになった。
今後の研究では、
• 解析するデータに含まれるユーザーのTwitter内での活動度の算出
• 解析するデータに含まれるユーザーのRetweetする確率の算出
参考文献
[1] 福島達也.『拡散しやすいツイートとその形態』早稲田大学基幹理工学部応用数理学科, 2016 [2] Sutton J, Gibson CB, Phillips NE, Spiro ES, League C, Johnson B, Fitzhugh SM, Butts CT,
A cross-hazard analysis of terse message retransmission on Twitter, 14794, December 1,2015 [3] 小池達也,高木友博,主観表現と客観表現を用いた Twitter における有益なツイートの推定, DEIM
Forum 2015 A8-1
[4] Dan Zarrella, The Science of ReTweet Report,
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[5] Romualdo Pastor-Satorras, Claudio Castellano,Piet Van Mieghem,Alessandro Vespignani『 Epi-demic processes in complex networks』2015
[6] 豊泉洋,ソーシャルメディア上の口コミによるマーケティングの疫学的伝搬モデル
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[11] Sheldon M. Ross,