2011年度 工学部 システム創成学科
システム工学基礎
8回目:2011年12月 5日
担 当:青山 和浩
[email protected]
東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻
技術経営戦略学専攻(兼任)
(工学部 システム創成学科 知能社会システムコース 担当)
http://www.msel.t.u-tokyo.ac.jp/
2011年度 工学部 システム創成学科
システム創成学概論
7回目:2011年12月 5日
担 当:青山 和浩
[email protected]
東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻
技術経営戦略学専攻(兼任)
(工学部 システム創成学科 知能社会システムコース 担当)
http://www.msel.t.u-tokyo.ac.jp/
システムの評価 (代替案の総合評価)
狙い:問題解決をする上で,導出された代替案の価値
や優劣を判定することが要求される.多種多様な要素
から構成されるシステム自体が多様な側面を有してい
るので,どのように評価すべきかを決めること自体が
大きな問題となる.代替案の総合評価に有用な手法を
学習し,評価における意思決定を理解する.
システムの評価の要点
階層構造モデルによる
評価と意思決定
評価をすると言うことは「意
思決定」をすると言うことに
等しい。
また,
問題解決のために考案される
代替案や価値の優劣を判定す
ることが「評価」と言える。
意思決定においては,
評価者(評価主体),代替案,
評価基準(尺度)の3つが必
要不可欠。
評価主体と評価基準には何ら
かの関係がある。
無意識のうちに価値というもの
の存在を信じているが,価値は
決して絶対的ではない。
工学の対象となる問題(well-
defined problem)では,
明白な評価関数が存在し,数量
的な評価が可能である。ill-
defined problemは?
価値とは,個人的・主観的な量
であるが,人間が社会を形成し
て集団生活をしていけるのは,
価値観にある程度の共通性・客
観性が存在するからである。
個人的価値と社会的価値を結び
つけるのがシステム工学の役割
である。
4
システム創成学概論 2011
尺度
絶対尺度
原点と単位が不動のものとして決まっている。計られた量の
数値自体が重要な意味を持つ。物理量など。
間隔尺度
測った数値の差だけに意味がある。個人の体温,文化の地域
差など。
順序尺度
数値で表現した値には意味が無く,大小関係だけが意味を持
つ。順位など。
名義尺度
分類や識別のために数を対応させただけ。選手の背番号,学
籍番号
比較可能性と推移性
比較可能性
推移性
う性質
のいずれかになるとい
か,
必ず,
を取り上げたときに,
代替案の中から2個の
∼
∼
x
y
y
x
y
x
,
がなりたつという性質
必ず
であったならば
で,かつ,
もし,
を取り上げたときに,
任意の3つの代替案
∼
∼
∼
z
x
z
y
y
x
z
y
x
,
,
,
6
システム創成学概論 2011
代替案の順序付け
半順序
推移性は成り立つが,必
ずしも全部の代替案が比
較可能でない場合
弱順序
推移性も比較可能性も完
全に成り立つ場合
無差別な選好も含まれる。
全順序
無差別な選好が無く,全
ての代替案に順位がつけ
られる場合
階層構造モデルによる
システムの総合評価
AHP(階層分析法)
意思決定のための構造化法
AHP法の概要と手法
AHP法
Analytic Hierarchy Process
1971年
Thomas L. Saaty
ピッツバーグ大学
不確定な状況や多用な評価基準における意思決
定手法
問題を,目標,評価基準,代替案に分解し,設
定した評価基準によって,目標を最も満足する
代替案を選択する方法.
AHP法
December 5, 2011
10
システム創成学概論 2011レベル2
(レベル k-1 )
レベル3
(レベル k )
レベル1 最終目的
評価属性1 評価属性h 評価属性n
代替案1 代替案1 代替案1 代替案1 代替案1
評価属性h
最終目的
評価基準1 評価属性h 評価基準n
代替案1 代替案 i 代替案 j 代替案 l 代替案 m
評価基準h
AHPの階層図の作成
問題を,目標,評価基準,代替案に分解し,設定した評価基準に
よって,目標を最も満足する代替案を選択する方法.
同一階層レベルの評価基準は,互いに独立あるいは独立に近いもの
を選定
階層図の要素
AHPのフロー
問題の階層図
を作成
要素間のペア比較
(一対比較)
評価基準毎に
代替案をペア比較
December 5, 2011
12
システム創成学概論 2011AHP法(第1段階)
問題に対する要素の抽出
要素の数は,(7±2)
総合目的は1
問題を階層構造に分解
各レベルの要素間のペア
比較
重要性の尺度は1,3,
5,7,9
要素がnのときn(n−
1)/2個のペア比較
AHPの概要(第2段階)
ペア比較マトリックスを計算
各レベルの要素間の重みの計算
線形代数の固有値を利用
固有ベクトルを計算し,それを正規化したものが重み
[ ]
[ ]
(
1 2 3 4 5) を求めたい.
2 1 3 2
1
2 3
2 1
2
1 3
1 2
1 2
1
3 2
1
,
/
1
,
/
1
5
3
1
1
5
/
1
1
1
5
/
1
3
/
1
3
/
1
5
1
3
/
1
1
1
5
3
1
3
1
3
1
3
/
1
1
1
/
/
/
/
/
1
/
/
/
/
1
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
a
a
w
w
a
where
V
IV
III
II
I
V
IV
III
II
I
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
A
A
A
A
A
A
A
a
A
T
n T
ij ji
j i ij
m m
m
m m
n
n
ij
=
=
=
=
=
=
=
( )
( )
( 0 . 174 0 . 356 0 . 110 0 . 071 0 . 289 )
1
)
(
0
max max
=
=
=
⋅ =
⋅
−
⋅
⋅ =
∑
T
ij T
w
w
w
n
w
I
n
A
w
n
w
A
したがって,
固有ベクトル
に対する正規化した
は固有値
となり,
固有値
としたとき,
λ
λ
14
システム創成学概論 2011
各要素の重要度の一対比較
mW
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
w
AW
m
m
m
m
m
=
=
4
3
2
1
3
2
1
2
3
2
1
2
1
3
1
2
1
1
/
/
/
/
/
1
/
/
/
/
1
行列Aの固有値( eigenvalue )の式
m: はAの1つの固有値
W:固有ベクトル (eigenvector )
簡便なウェイトの計算(幾何平均法)
[ ]
=
=
1
5
3
1
1
5
/
1
1
1
5
/
1
3
/
1
3
/
1
5
1
3
/
1
1
1
5
3
1
3
1
3
1
3
/
1
1
V
IV
III
II
I
V
IV
III
II
I
a
A
ij( )
( 0.174 0.356 0.110 0.071 0.289 ) ( )
0.279
0.068
0.144
0.347
0.162
0.279
171
.
6
/
1.719
0.068
171
.
6
/
0.422
0.144
171
.
6
/
0.889
0.347
171
.
6
/
2.141
0.162
171
.
6
/
000
.
1
固有値計算
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
=
T T V IV II I II I
w
w
w
w
w
w
w
171
.
6
1.719
0.422
0.889
2.141
000
.
1
1.71877193
15
1
5
3
1
1
:
6
0.42168460
75
/
1
5
/
1
1
1
5
/
1
3
/
1
:
6
0.88908953
9
/
5
3
/
1
5
1
3
/
1
1
:
2.14112737
45
1
5
3
1
3
:
0
.
1
1
1
3
1
3
/
1
1
:
5 5
5 5
5 5
5 5
5 5
=
+
+
+
+
=
=
×
×
×
×
=
=
×
×
×
×
=
=
×
×
×
×
=
=
×
×
×
×
=
=
×
×
×
×
V
IV
III
II
I
幾何平均を求める
正規化する(合計が1)
December 5, 2011
16
システム創成学概論 2011AHPの概要(第3段階)
コンシステンシー指数
(C.I.)の計算
C.I.=(最大固有値 − 要
素個数)/(要素個数 −
1)
整合性を評価
完全に整合性がある場合
は0
0.1 以下ならばOK
各レベルの重み付けを利
用して,階層全体の重み
付けを計算する。
総合目的に対する各代替
AHPの概要(第4段階)
各レベルの重み付け
を利用して,階層全
体の重み付けを計算
する。
総合目的に対する各
代替案の優先順序を
決定する。
0.174 0.356 0.110 0.071 0.289
0.163 0.530 0.307
December 5, 2011
18
システム創成学概論 2011例題1:車の購入(便益性 1階層)
例題1:車の購入(費用 1階層)
便益性と費用から選択する
December 5, 2011
20
システム創成学概論 2011例題2:誘致球団の選択(2階層)
例題2:誘致球団の選択(2階層)
December 5, 2011
22
システム創成学概論 2011意思決定問題の構造化(ISM法)
意思決定に関する階層構造
24
システム創成学概論 2011
ペア比較(シナリオ1) レシピエントの選択基準を重視
選好要因に関する代替案のペア比較 (シナリオ1)
December 5, 2011
26
システム創成学概論 2011選好順序の算出(シナリオ1)
ペア比較/選好順序の算出 (シナリオ2,3)
ドナーの選択基準を重視
社会的合意を重視
December 5, 2011
28
システム創成学概論 2011閑話休題:選好順序の逆転
情報のDL方法
本講義「システム工学基礎」に関する情報は,
下記URLよりDLできるようにしている。
https://sites.google.com/a/m.sys.t.u-
tokyo.ac.jp/class/e_system/
アップされる情報
講義で使用する資料,参考情報/URL など
受講に関する注意事項,アナウンス など
講義で紹介した手法のツール
AHP法のツールはMS-Exelで用意してある.
ツール:AHP.xls
講義資料:20101209.pdf
システム創成学概論 2011
30
社会的意思決定手法
:選好順位付け
一対比較法 順位法
CR法
出典:わかりやすい意思決定入門 ̶基礎からファジイ理論まで̶:木下栄蔵 著 pp.95-110
順位法
出典:わかりやすい意思決定入門 ̶基礎からファジイ理論まで̶:木下栄蔵 著 pp.95-100
美人コンテスト:投票結果
各審査員(50名)が5人の候補者の美人度を
チェックし,順位Ⅰから順位Ⅴまで順列化する
加重平均による順位付けの問題点
各順位を等間隔と仮定
最上位,最下位は決めやすい
→ 真ん中付近の順位は決めにくい
仮定: ・各順位は,標準正規分
布の面積を等しく分割す
るように存在する.
・各順位の重みをそれぞ
れの順位が占める面積を
等分する位置に定める.
候補者が5の場合,5等分
34
システム創成学概論 2011
標準正規分布を仮定した順位付け
比較
December 5, 2011
36
システム創成学概論 2011比較
一対比較法
出典:わかりやすい意思決定入門 ̶基礎からファジイ理論まで̶:木下栄蔵 著 pp.100-104
シナリオの順位付け
シナリオ
(A,B,C)の
順位付け
P(A>B)=6/10
ABCはAが最も好ましく,
Cが最も好ましくない
選好尺度値の算出 (正規分布での期待値)
40
システム創成学概論 2011
選好尺度値の算出 (正規分布での期待値)
CR法
出典:わかりやすい意思決定入門 ̶基礎からファジイ理論まで̶:木下栄蔵 著 pp.104-110
車種の評価
プラス・マイナス5点法
最も素晴らしい候補に5点
最も駄目な候補に−5点
その他の候補には,−5点から+5点
総合評価の問題
単純に 各審査員の得点を集計し,各対象ごとの
総合得点の順序で評価して良いのか?
反対意見をどのように扱うのか?
微妙な評価の差をどのように扱うのか?
15 ー30 17 5 3 9 ー9
December 5, 2011
44
システム創成学概論 2011集団の総合評価を求める
審査員 l の対象 i,j に対する Contribution function
審査員 l の対象 i,k に対する Contribution function
審査員 l の対象 i,j,k に対する Contribution function
個人の Contribution function の和を集団の選好とした場合
反対意見を重視,微妙な評価の差を除去することを考慮
w
l=1, λ=0, θ=0
意見の一致度
弱い関係
車種の評価グラフ(λ,θの変更)
December 5, 2011
46
システム創成学概論 2011美人コンテスト
評価グラフ
48
システム創成学概論 2011