第8章 国民生活の現状と課題
第3節 物価問題への対応
1.
ふたたびのデフレ懸念
デフレーション
とは:
物価が持続的に下落していく経済現象を指す。
消費者物価
(CPI
コア
)
は
1998
年度から7年連続で下
落した。政府は01年3月に「持続的物価下落をデフ
レと定義すると、現在、日本経済は緩やかなデフレに
ある」としている。
2007
年秋~
2008
年夏に
原油・穀物価格高騰
デフレよりインフレを懸念する声が目立つ。
一般物価の下落とバブル経済崩壊後、資産デフレも進行
した。
資産デフレ:地価や株価などの資産価格の低迷のこと。
1990 年代には世界的にみてもディスインフレが進行した
が、デフレに陥ったのは先進国で日本だけ!!
ディスインフレーション:一般的に、物価上昇率が低く
、インフレが収束した状況。インフレーションからは抜 け出たが、デフレーションにはなっていないという状況 。
世界的なディスインフレは物価上昇率や経済成長率の変
2.
デフレの要因、影響と対応策
デフレの要因は三つがあげられる
1.
安い輸入品の増大などの供給面の
構造要因
2.
景気の弱さからくる
需要要因
3.
金融要因
デフレによる影響
1.
企業の実質債務負担を増加させるので、新規の設
備投資を抑制させる。
2.
物価下落に見合って名目金利や名目賃金が低下し
デフレへの対応策
金融政策
では、
ゼロ金利政策
に加え
量的金融緩和政
策
が実施された。
財政政策
の面では、
経済構造改革
により民間需要を
3.
デフレ以前の物価問題
デマンド・プル・インフレとは、
総供給に対して総需要が上回ることにより生じること。
コスト・プッシュ・インフレとは、
賃金や輸入原材料などのコストが上昇すること。
1960 年代は卸売物価は安定的に推移する一方、消費者物価は持
続的に上昇していた。
1970 年代に入ると、政府は、経常収支の黒字傾向や円切り上げ
にともなう不況に対する懸念に対処するため拡張的な財政・金 融政策をとった。
1972
年には
田中内閣
が
「日本
列島
改造
論
」
を
掲
げて
公
共事
業を
中心
とする
積極
財政が
展開
した。
さらに、
1973
年~
75
年には第
四次中東戦争
を
契機
に
石
油価格が
4倍
になるという
石
油
危機
が
発
生し、
「
狂乱
物価」
とい
わ
れる状況となった。
政府は、総需要抑制策による
引き締
め政策をとるととも
に、
買占
め
防止法
、
緊
急
措置法
などによる物価政策を
行った。
78
年後
半
の
石
油
危機
には前回の経
験
から、
輸入インフ
レ
が
ホ
ー
ムメ
イド・インフレ
に
転
化することを
防ぐ
た
め
早期
に物価対策を
講
じ、日本
銀
行も
金融
引き締
め政策
伝統
的な物価政策の
体系
伝統的なインフレ防止策
第一に、総需要管理政策である。消費、設備投資、在庫など の経済活動全体の水準に影響を与えて総需要を総供給に見 合った水準に保つことにより、物価の安定などの政策目標を
達成しようとするものである。