毎日ご飯を食べるだけで花粉症にサヨナラ⁉ そんな夢のようなお米の研究開発が進んでいます。 お米の特徴と免疫の仕組みを活用し、バイオ技術 (遺伝子組換え)で実現する花粉症対策です。
コメを食べて花粉症対策
~ バイオ技術
による
免疫療法~
減感作療法
減感作療法の問題点
①アレルゲンそのものを使うので副作用 (アナフィラキシーショック)の危険性 ②少量投与なので治療に3~5年必要
③通院の手間と注射による苦痛
※注射の必要のない舌下免疫療法も①②の問題あり
アレルゲン(抗原)を薄い濃度から少しずつ増やしながら注射し、 徐々にアレルゲンに慣れさせてアレルギーが起こりにくい体質に 改善する免疫療法
バイオ技術(遺伝子組換え)を利用し、安全性を高めた 改変型アレルゲンを高蓄積させたお米による免疫療法
次世代型免疫療法
アレルゲン
改変 アレルゲン
改変アレルゲンは米粒の 中の難消化性タンパク質 顆粒(PB-I)に高蓄積する
アレルギー反応が 起きなくなる
1μm
加熱しても 有効性に影 響なし スギ花粉米、あるいは
そこから抽出した有効 成分を、数週間~数ヶ 月摂取するだけ
花粉症はアレルギー反応の一種です。 花粉症対策としては、花粉抗原が体内 に入ってもアレルギー反応が起こらな いようにすることが必要です。
現在の主な花粉症治療法は、抗ヒスタ ミン薬やステロイド点鼻薬などで症状 を抑える薬物療法、レーザーによって 粘膜を除去する手術療法などの対処療 法があります。
そして唯一、完全に治療する方法とし
て、減感作療法(アレルゲン免疫療
法)がありますが、副作用の可能性や 治療期間が長期にわたるなどの問題点 があります。
現在開発が進められているお米を用い
た新しい免疫療法では、これらの問題
点を解決するため、いくつかの工夫が 凝らされています。
まず、副作用の危険性を抑えるため、 アレルゲンそのものを使うのではなく、
改変したアレルゲンを使用します。そ
して、大量に摂取できるように、コメ の細胞に含まれるPB-Iという小さな 粒にこの改変アレルゲンをギュッと詰 め込んでいます。これにより、副作用 の危険性がなく、短期間で効率的に花 粉症対策ができると期待されています。 そして、おコメを使うことによる利点 はこれだけではありません。
免疫寛容
これまでの経口免疫療法では、抗原が胃や腸の消化酵 素により分解され、あまり有効ではありませんでした。 一方、PB-Iは消化酵素に強いため、蓄積させたアレ ルゲンが分解されることなく腸まで届きます。腸管に は体内最大の免疫装置があるので、効率よく免疫寛容 が起こります。
理想的な薬物輸送システム(DDS)
ポイント4
PB-Iにより抗原が腸まで届く
アレルゲンである花粉抗原を「食べる」 ことにより、経口免疫寛容システム(※) が働き、抗原が異物として認識されなく なります。
(※)食物などに含まれている大量のタンパク質によって
引き起こされる過敏な免疫反応を防ぐ機構
ポイント1
経口免疫寛容システムの利用
ポイント2
副作用の危険性を低減
副作用(アナフィラキシーショック)の 原因はIgE抗体が関与する過剰なアレル ギー反応です。そこで、アレルゲンの立 体構造を改変することでIgEとの結合性 をなくし、副作用を抑制します。
コメを利用した次世代型免疫療法の4つのポイント
① 毎日ご飯、あるいは有効成分を摂取するだけ!
② 数週間~数ヶ月で効果が期待!
③ 副作用の可能性を最小限に!
バイオ技術で実現するスギ花粉症対策
経口摂取の利点は、大量投与が 可能であることです。そこで、 コメの胚乳に存在する難消化性 タンパク質顆粒PB-Iに花粉抗原 を高蓄積させます。
ポイント3
大量に摂取できる
日本で広く栽培されている穀物のうち
PB-Iがあるのはイネのみ
PB-II PB-I
2種類のスギ花粉米
Cry j 1
Cry j 2
Cry j 1-F1
200 40 10 2 0ng
Cry j 2 Cry j 1 7連続ペプチド
0 20 40 60 80 100 Cry j2
Cry j1 7連続ペプチド
44/48 46/48 47/48 0/48 45/48 40/48 (92%) (96%) (98%) (0%) (94%) (83%) Cry j1 Cry j2
7連続ペプ チド 7連続ペプ
チド
Cry j1
Cry j2
7Crpに対する免疫反応性(n=48)
7Crp 7Crp
T細胞増殖反応性(有効性) IgE抗体結合性(アレルゲン性)
0 20 40 60 80 100 % 0 20 40 60 80 100 %
212 224235 247 312 330
77 89 96 107 192 204 356 367
Cry j1 Cry j2
(ペクテートリアーゼ)
(ポリメチルガラ クツロナーゼ)
N
N
C (353aa)
C (388aa)
7Crp(ヒト7連続T細胞エピトープ)
N C
澱粉粒 花粉壁表層
+KDEL 96 アミノ酸残基
Original Cry j1
ペクテートリアーゼ
Cryj1(1-353) Glu A2 Cryj1-F1 Glu A2
Cryj1-F2 Glu B1 Glu B1
Cryj1-F3 Glu C Glu C
GluAF1 GluBF2 GluCF3 Cryj1-F1 Cryj1-F2 Cryj1-F3
Cry j 1タンパク質を3分割し、コメの貯蔵タンパク質の 内部に組み込む
• アレルゲンの一部しか含んでいないため、
スギ花粉アレルゲンに対するIgEとの反応
性はきわめて低く、安全性は高いと考えら れる。
• 主要な7種類のT細胞エピトープに対して、
効率的に免疫寛容を誘導する。
⇒スギ花粉症患者によっては効かない可能性
がある。
動物による長期投与毒性試験で安全性を確認 した後、東京慈恵会医科大学と大阪はびきの 医療センターで、ヒトでの安全性、有効性を 確認する臨床研究を実施中。
• アレルゲンの構造を変えているため、スギ
花粉アレルゲンに対するIgEとの反応性は
低く、安全性は高いと考えられる。
• 2種類のアレルゲンの全長を含んでいるの
で、全てのT細胞エピトープに対して免疫
寛容を誘導する。
⇒すべてのスギ花粉症患者に有効性が期待さ
れる。
医薬品原料としての品質規格、安全性等につ いて、PMDAと対面助言を実施。動物を用い
た4週反復投与GLP毒性試験で安全性を確認。
Cry j 1, Cry j 2及び、分割した Cry j 1-F1断片に対するIgE抗
体結合性
農研機構 生物機能利用研究部門 遺伝子 組換え研究推進室では、遺伝子組換え などの小冊子を無償配布しています。 ご希望の方はメールでお問合せ下さい。
内容については コチラから→
生物機能利用研究部門
遺伝子組換え研究推進室
〒305-8602 茨城県つくば市観音台2-1-2 E-mail : [email protected]
スギ花粉アレルゲンの配列の中の、主要
な7つの
T
細胞エピトープを連結したペ
プチド(
7Crp
)を発現させたコメ
スギ花粉アレルゲンである、
Cry j 1
および
Cry j 2
の構造を改変して全長を発現させた
コメ
スギ花粉ペプチド含有米
(キタアケ)
スギ花粉ポリペプチド含有米
(コシヒカリ)
安全性、有効性を十分に確認したのちにみなさんのお手元へお届けできるように、研究開発が進められています。
Cry j 2タンパク質を3分割し、 並び順を入れ替えて再結合
シャッフルCryj2 (SHCryj2)
Original Cry j 2