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成果報告書 先進的IoTプロジェクト支援事業:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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(1)

2016

情財第

298

先進的

IoT

プロジェクト支援事業

生コンクリート品質連続管理システム

スマートアジテーターの開発

成果報告書

委託先:

GNN Machinery Japan

株式会社

担当メンター:小澤尚志・相田幸一・萩沢巧

(2)

目次

1. 要約 ... 3

2. 背景および目的 ... 3

2.1 生コン業界の現状と本システムがもたらす効果 ... 3

2.2 本システムの活用方法 ... 5

3. プロジェクト概要 ... 7

3.1本システムの目指す機能構成 ... 7

3.2ビジネスモデルの詳細 ... 11

4. 実施内容 ... 14

4.1実証実験協力工場 ... 14

4.2本システムの日本国内での性能、法準拠確認、検証 ... 14

4.3提供価値の検証 ... 20

4.4ビジネスモデル検証 ... 29

5. プロジェクトの成果 ... 41

5.1スマートアジテーターシステムの日本国内での性能、法準拠確認、検証... 41

5.2提供価値の検証 ... 54

5.3ビジネスモデル検証 ... 67

6. 事業化に向けた課題と展望 ... 85

6.1. 本システムの堅牢性に関する課題と今後の対策 ... 85

6.2. コスト削減・品質向上効果の精査など提供価値の更なる精査 ... 85

6.3. エンドユーザーへの提供価値の「見える化」とそれを通じた今後の販売戦略 ... 85

6.4. 取付代理店を通じた販売促進とビジネスモデルの確立 ... 87

6.5. アンケート結果に見るセグメント分析結果と今後のマーケティングプラン ... 88

6.6. 海外製無線設備導入における課題 ... 89

7. 付録 ... 92

7.1. 用語説明 ... 92

7.2. 関連Webサイト ... 93

(3)

1.

要約

本プロジェクトでは、生コン車のドラム部分に取り付けた多機能センサーと、GPS 位置情報 システムを組み合わせた、画期的な生コンクリート品質連続管理システム、スマートアジテータ ー(詳細は 3 章参照。以下「本システム」という。)を用いてユーザーへの提供価値検証とビジ ネスモデル検証を行った。全国の生コン工場5社に本システムのプロトタイプを5台ずつ配備し、 以下7点の実証結果が得られた。

①システムによるコンクリート品質測定精度検証結果

②システム不具合(初期不良)検証(フィールドテスト)結果 ③検証結果及び仮説を元としたコスト削減効果検証

④生コンの事故抑制率の仮説を元とした品質向上検証結果 ⑤付加価値の販売実績検証結果

➅ビジネスモデル検証結果

⑦海外企業との連携においての障壁等の実例

結果、システムには当初初期不良が散見されたものの、測定精度も非常によく、コスト削減にも 一定の効果が確認する事ができた。しかし一方で、海外システムメーカーと日本の中小企業の団 体とのコラボレーションという稀な連携における、様々な問題点も明らかになった。

2.

背景および目的

生コンクリートは、製造後すぐに化学変化が始まり、刻一刻とその状態が変化する特殊な製品 である。これまでは、製造から納入までの変化を経験と勘に基づいて予測する職人的な製造方法 が取られてきた。また、製品検査では人の手によるサンプリング検査が行われてきた。これは統 計的裏付けをもとにしたランダムサンプリングを行うものであり、人が行うことによる不確実性 など、試験の再現性とばらつきが課題とされてきた。今後、業界の人手不足が更に深刻化してい く中で高度化するエンドユーザー(ゼネコン、施工者、発注者など)の品質要求には到底対応し きれない事が予想される。

本システムを導入する事で、人の手を介さない生コン性状の自動計測を行う事が可能となり、 生コン品質の全数管理を実現することができる。これにより、さらなる安全性の確保とともに、 業務従事時間や関連コストを削減する等、生コン・建設業界の様々な問題や課題を解決できると 考えられる事から、本システムの開発、普及を図る礎を築く事を本プロジェクトの大きな目標と した。

本システムで得られた生コンの性状変化データは、いままで知り得る事ができなかった生コン の製造から打設までの貴重なトレーサビリティーデータとなる。現状、このようなデータは本シ ステムでしか取得する事ができない。このデータを活用する事で、エンドユーザーはその顧客に 対し、何らかの不正や事故が無かったことを証明する納入管理データとして提供する事ができる だけでなく、CIMやBIMと連動する事で高度な施工管理を行う事が可能となる。その為、取得 データの潜在的顧客ニーズは非常に高く、管理、販売する事で生コン事業者の新たなビジネスと なる可能性を大いに秘めている。

2.1 生コン業界の現状と本システムがもたらす効果

(1)業界における課題

(4)

の不人気も手伝い、とりわけ、建設業及びその関連業種での人材確保は急務となっている。一方、 施工会社では、数々の偽装や不正問題の発生で、構造物の品質確保のための規制強化や管理業務 負担が増加し続けており、現状熟練者不在になれば管理不能になる恐れが現実のものとなってい る。

しかしながら、これらの現実をもってしても、生コン業界において本システムのようなIoT技 術を活用検討する活発な動きはまだ見られない。

これは、業界の特長として、セメントメーカーが一部都市圏で「みなし大企業」として操業し ているが、そのほとんどが中小零細中心で構成されている。また、セメント主軸の業界ではカル テル除外の協同組合共同販売により競争原理が排除される事で、イノベーションが起こりにくい 構造である事などがあげられる。

減り続ける熟練技術者のスキルを伝承し、品質を維持する事が急務である。

(2)本システム利用による効果

本システムを利用する事で経験と勘に裏打ちされてきたこれまでの職人的技術力を補完する事 ができれば、例え経験が浅い担当者であっても、精度よく生コンを製造する事が可能となり、大 幅な労働環境改善を行える等、様々なメリットが期待できる。

本システムが生コン事業者にもたらすと考えられる様々な効果を【図1】と共に示す。

①製品品質の向上

a.既往のコンクリート試験から人による不確実性・恣意性を排除した史上初の生コンクリー

ト品質評価システム

b.今まで得ることが不可能だった輸送中の生コン性状に関する時系列ビッグデータ(品質変

化・輸送条件・気象条件など)を活用し、高精度の品質変化予測が可能

②製造コストの削減

a.品質変化予測が高精度で可能となり、適正な配合設計が可能(製造原価の削減)

b.製品の歩留まり向上による、費用削減が可能

c.GPSリアルタイム情報表示を活用した配車業務の効率化

d.業務対応時間の短縮(人件費圧縮)が可能

③生コン販売単価の向上

a.付加価値の高い、生コンデータの販売が可能

b.製造販売価格の維持(単価維持の根拠(品質向上、担保の切り札として使用可能)

④労働力確保・労働環境改善

a.熟練を必要とせず高品質製品を安定供給可能

(5)

2.2 本システムの活用方法

本システムは、ユーザーだけでなく、エンドユーザーにも多種多様な効果を生むと考えている。 以下、具体的な活用方法を取りまとめた。

(1)ユーザーでの活用

【運搬中の生コンの状態や車両情報を「生コン事業者」側で監視し、業務改善等に活用】 生コン製造会社の配車、品質管理はもとより、納入先での施工管理の労力が大幅に軽減される。 さらに、収集されたビッグデータにより今まで不可能だった傾向分析や、高精度での製造品質管 理等が可能となる。ドライバーへもリアルタイムで情報をフィードバックできるため、品質管理 に係る労力も軽減することができる。

また、規格外品納入による損害発生リスクを抑える事が期待される為、本システムを利用した 場合に、生コン業向けのPL保険の保険料を低減できる特約が成立する可能性がある。これは、 生コン事業者にとって大きなメリットとなり、システム導入の大きな動機付けとなる。

(2)エンドユーザーでの活用

【運搬中の生コンの状態や車両情報を「ゼネコン・施工者・発注者」側で活用】

建設現場向けとしては、リアルタイムでの車両運行情報を生コン事業者と共有できる事で、納 入に関する作業工程が省力化できるだけでなく、無駄な出荷、すなわち残コン、戻りコンと称さ れる廃棄コンクリートの発生を抑制でき、建設コストの削減に直結可能となる。また、トレーサ ビリティーデータを活用する事で、これまで不可能であった全量納品検査が可能となり、何らか の不正や事故が無かったことを証明する納入管理データとして購入者に提供したり、CIMやBIM と連動したりする事で、より高度な施工管理を行う事が可能となり、施工品質向上や、施工管理 の労力が大幅に軽減される事が期待できる。

一方、研究部門においても、コンクリート経時変化を正確に計測、記録できる機能を生かし、 実験用データロガーとして活用する事で、今まで得る事が不可能だった膨大な点数のコンクリー ト変性データを得る事ができる。こうした取得データは研究部門でのニーズが非常に高いと考え られる。

(6)

(3)対象とする市場の考え方

労働力確保や労働環境改善、データ販売に関してはどの地域でもニーズは顕在化しており、全 国の工場でシステム導入の理由として考えられる。

一方、品質向上等による製造コスト削減はその出荷数量により、得られる効果に大きな差が発 生する部分である。現状、日本での生コンの出荷量は、大都市圏に偏重しており、都市部では、 高層建築物等、高度な品質管理が求められる民間構造物が多い。対して、郊外では、戸建建築等、 小規模の民間構造物があるものの、道路や河川、山間での公共事業が大半をしめる。

そうした現状を考慮すると、本システムを経済的なメリットを享受できる物としてだけ捉える のであれば、まず都市部に展開する比較的出荷数量が多く、保有車両が多い事業者に取り入れら れる公算が大きいと考えるのが一般的である。

一方、エンドユーザーであるゼネコン、建設会社においても、本システムから得られるトレー サビリティーデータや、納入に関する有益な情報等の価値は大きいと考えられ、本システムの認 知が進むにつれ、エンドユーザーから生コン事業者に対しての導入奨励が進み、加速度的に設置 数が増加すると予測される。

以上の観点から、本システムを効率的に普及させるためには、その価値に気づいた意識ある全 国の事業者を対象に全国同時に展開し、コスト低減等の経済的メリットのみを目的とした一般的 なユーザー予備軍に対して、運用方法や効果を実際に提示、紹介する手法を取り、ハブ工場化さ せる事が望ましいと考える。

(7)

3.

プロジェクト概要

この章では、本プロジェクトにおいて、検証対象となったシステムの機能構成、及び、ビジネス モデルの詳細を述べる。

3.1本システムの目指す機能構成

運搬中の生コン性状を測定、記録するProbe システムと、GPS車両位置情報や車両のエンジン 運行情報、ドライブレコーダー機能等を持った、車両総合管理システムを統合させた、世界初の 生コンクリート品質連続管理システムをスマートアジテーターと位置づけ、海外のベンチャー企 業と共に開発を進めてきた。システム概要図を【図2】に示す。

本システムは通信端末を内蔵しており、携帯電話回線を使用し、リアルタイムでクラウドサー バーに様々なデータを格納する。利用者(生コン製造会社のみならず、施工者や、発注者等)は、 スマートフォンやタブレット、PC等のデバイスで、いつでも、どこでもデータを確認、分析する 事が可能になり、コスト削減や、利便性が大幅に向上できる。また、得られた膨大な生コンデー タを製造プラント設備にフィードバックする事で、完全なトレーサビリティーの確保や、大幅な 製造品質向上等が見込まれる。

システムの通信用端末にスマートデバイスを用いる事で、様々な機能(例えば、IP無線・カー ナビ・ドラレコ等)をアプリケーションとして任意に追加する事ができ、通信費を含め、安価に 最先端のIoT、ICT技術を導入する事が可能になる事も大きな特長としている。

(8)

(1)開発済みの範囲(Probeシステムとは) ①開発経緯

ドラム内生コンクリート性状記録システム(Probe シス テム)は、カナダのベンチャー企業である IBB Rheology 社の代表、Denis Beaupré氏【写真1】が開発した、画期的 な装置の事である。

Denis氏はRheology(物質の変形および流動一般に関す

る学問分野の事を表し、 日本語では「流動学」とも呼ばれ る。)の教授という肩書をもち、当初から生コンクリートの 性状測定に Rheology の考え方が応用出来る事に着目 していた。

1996年にはProbeシステムの基礎となる、据え置き

型のコンクリート測定装置【写真2】を開発し、販売を開始した。

販売を続けるうちに、ユーザーから生コン車のドラムの中のコンクリートの性状が計測できな いかとの相談を受けるようになる。というのも、カナダやアメリカでは、ドライバッチ輸送とい うものが行われており、その品質安定に腐心していたからで

ある。

生コンクリートとは、砂、砂利、セメント、水を適量混ぜ合 わせたものである。その際、セメントが化学反応を起こして、 徐々に硬化しながら砂や砂利を繋ぎ合わせるいわば接着剤の ような働きをして全体を硬化させていき、コンクリートへと 変化する。

日本の生コン製造工場では、この「生コンクリート」の状 態にしてから、ミキサー車に積載し、建設現場へと運搬する。 建設現場では型枠等を作成し、その中に生コンクリートを流 し込む(打設)する事で、用途に応じた様々な形状にコンク リート構造物を造る事が出来る。

一方、カナダやアメリカでは、輸送距離が長い事や、プラン ト設備を安価に抑える目的で、砂、砂利、セメントだけを混 ぜ合わせた乾燥状態の物をミキサー車に積載し、水だけを後 から添加する方法を取る場合がある。これを「ドライバッチ 輸送」と呼んでいるが、水の添加量を誤ると、重大な品質問題 が発生してしまう恐れがある。

水を添加するのはおのずとドライバーが担う事になり、調整は目視する他なく、経験が必要で あり、品質管理が難しいという側面があった。

これを解決する方法として、人の手を介さない生コン品質の測定システムの登場が待たれてい たのである。

2008年、Denis氏はProbeシステムの開発に着手し、実用化に向けて、実験、研究を続けてい

た。

システムが完成し、販売開始されたのとほぼ同時期、2012年11月にGNNと面識のある海外薬 品メーカーからの紹介を受け、GNN第1回技術発表会で、Denis氏が来日。Probeに関するプレゼ ンテーションを行ったのをきっかけに、日本に10本をテスト導入した。テスト使用の結果、その

【写真1】開発者Denis Beaupré氏】

【写真2】据え置き型

(9)

技術に感銘を受けたことから、2014年10月にGNN会員有志5社にて、当社を設立し、Probeシス テムの販売代理店契約を締結するに至った。

その後、ゼネコン10社との共同実験研究会を立ち上げ、性能的、法規的にも、現在の生コン品 質測定方法にとって代わる事が可能かどうかの性能検証試験、評価等を行ってきた。

このように当社が得意とするフィールドテストの結果を受けてIBB社は製品開発・改善を行う という協力体制が構築された。

ベンチャー企業であるIBB社は2016年4月、アメリカのコンクリート、アスファルトプラント 制御システムメーカーであるCommand Alkon社に経営譲渡された。

Command Alkon社はFivecubitsという車両動態管理システムを持っており、アメリカ国内ではす

でに30000台が実稼働していた。これにIBB社が保有する、荷台部分の情報、つまり生コンの状

態を精度よく検知できるセンサー技術を統合することで、より効果的な品質管理を実現できる可 能性が出てきた。

②Probeシステム構成

Probeシステムの構成図を【図3】に示す。

Probe システムは、ミキサー車のドラム部分に取り付けられたプローブセンサー部、その情報

を蓄積、表示するレシーバー部、データを可視化するロギングシステム部の大きく3つの部分に 分けられる。センサー部分には、圧力測定センサー。温度センサージャイロセンサーが組み込ま れ、そこから得られた情報を加工する事で、次の6つの情報を得る事ができる。

a)ドラム回転情報(方向と速度)・ b)スランプ推定値・c)粘性・降伏値・d)温度・e)積載量 f)ステータスの発生時刻

次に測定方法とデータの流れを示す。【図4】に示したように、Probe部はミキサー車のドラムの 表面から中心方向に向けて設置されている。Probe部はドラムの回転と共に、積載された生コン を横断するように接触しながら、圧力や温度を計測していく。Probe部で得られた情報をReceiver

(10)

部が受信すると、圧力値をスランプ値や、粘性、降伏値等の生コン状態を示す指標に換算する。 データは表示部にリアルタイムに表示されながら、時刻と共に記録、蓄積されていく。蓄積され たデータは通信端末を介し、サーバーに送られ、一元管理される。データはグラフ化したり、CSV データとしてアウトプットしたりする事が可能である。

(2)開発範囲(データのリアルタイム転送機能追加と、GPS動態管理システムとの統合)

Probe システムは画期的な生コンの性状記録装置であったが、情報をリアルタイムにサーバーに

転送する事が出来ないというデメリットがあった。当時から当社はスマートアジテーター構想を 思い描いており、旧IBB社と独自に開発を進めていたが、譲渡先企業Command Alkon社(以 下Command社)では、既に保有しているFive Cubitsという車両総合管理システムとProbeシ ステムを統合した、まさに当社の考えるスマートアジテーター同様のシステム構築を模索してい た。

そこで、今回のプロジェクトでは、【図5】に示した、Command社が開発中のシステムをスマ ートアジテーターのプロトタイプと位置づけ、プロジェクト検証を行う事とした。

(11)

(3)電波法認証作業の遅延と疑似的スマートアジテーターによる検証作業

このシステムを日本国内にプロトタイプとして導入するに際し、日本法規準拠対策、日本語化、 不具合修正、日本のユーザー要望の反映等、独自の対応が必要不可欠であり、この部分について、

Command社の協力を得ながら、作業の早期完了を目指していた。

一方、プロジェクト開始時点でCommand社ではメインユーザーあるアメリカ、カナダ向けの、 システム開発作業が継続されていたが、機能的には検証の使用に耐えられるレベルにあると判断 をしていた。

しかし、車両総合管理システムに使用している通信端末日本国内の電波法認証に係る部分で、 機材製造会社の協力が思うように得られず、結果として検証期間内に認証を得るに至らなかった。

期中の時点で、検証内容にも大きな影響が発生する事が予想された為、影響の及ぶ範囲を極力 抑える為に、【図6】に示したような、国内既存のGPSシステムと、Probeシステムを並行的に 使用した、疑似的スマートアジテーターシステムを使用し、提供価値、ビジネスモデルの検証を 行う事とした。

3.2ビジネスモデルの詳細

【図7】に示したように、当社は開発委託先であるCommand 社から、ハードウェア及びデータ 等のサービスの提供を受け、それらの維持管理を行いながら、国内の生コン事業者などのユーザ ーにハードウェア、データサービスを含めたシステム全体の販売、レンタルを行う。Command

Alkon社へは、当社がハードウェア代金、サービス提供料として対価が発生する。

当社とユーザーの関係性としては、当社がユーザーに対しシステム一式の提供を行う対価とし 【図5】本プロジェクトにおける開発予定範囲

(12)

て、システムイニシャルコスト、通信費、及びシステム使用料が課される。

また、ユーザーは本システムを利用して得られたデータを、必要とするゼネコン、施工者、発 注者などのエンドユーザーに対し、外販する事ができる。その際は当社に対しての対価は発生し ない。ただし、エンドユーザーが、様々な所で得られた膨大なデータを自社独自で解析する等の 目的で、ビッグデータとして購入を希望した場合は、その匿名性を確保した上で、当社から直接 販売する事もある。

本システムを全国展開するにあたり、各地域に取付代理店として、サービス拠点を設置し、ユ ーザーに対し、迅速なサポートが可能な体制を構築するための拠点とする。機材、サービスの提 供に関しては当社とユーザーの直接決済となり、取付代理店は、サービス提供料として対価を当 社に請求する。

取付代理店の展開においては、実装経験を活かし、今回の実験導入工場5社を各地の取付代理 店とする事で、国内の販売網構築の礎として全国展開が容易になる事などを見込んでいる。また この取付代理店ビジネスが、各工場の経営向上の一助となる事も目的としている。以下【図 8】 に販売網構築案を示す。

(13)

・3.3検証内容と実績・結果

本システムのもたらす効果を正確に把握する為に、【表1】【表2】に示した3つの検証内容、 目標を設定し、表右側に記載した実績と結果、および詳細・評価を得る事が出来た。

【表1】検証内容と実績・結果 【図8】販売網構築案

検証内容 目標 実績・結果 達成度

①Probe+TrackIt(海外向けモデル)の完成と、日本向け仕様変更 (国内法規対応・日本語化・国内ユーザー要望対応) :システムの完成

①Probe部分の完成と国内導入 △:目標の半分を達成 ②測定精度検証

:旧型同等以上

②測定精度検証 :旧型同等以上を確保

〇:目標を達成 ③堅牢性検証(故障事例等のフィードバック)

:初期不良の改善

③堅牢性検証(故障事例等のフィードバック) :初期不良はすべて改善した。

〇:目標を達成 ①各生コン事業者コスト削減

:コスト削減(人件費)5%

(拘束時間に対し、比較対象の相対業務時間が、何%減らせたか)

①コスト削減結果

:配車部門において平均3.3%(年間169602円)の業務時間削減の実績 :技術部門において、推定平均20.6%(年間1024878円)の業務時間削減推定 :合わせて、12.1%(年間119万4480円)が削減可能

〇:目標を達成 ②生コンPL保険割引率策定に向けた導入効果の実証

:潜在的エラー発生率の測定 :潜在的エラー品の処理費用検証 :納入事故発生率50%削減

②生コンPL保険割引率策定に向けた導入効果の実証 :潜在的エラー発生率の測定:平均9.8%発生(348.3㎥) :削減可能な費用:平均(年間1770万円) :納入事故推定削減率85%

〇:目標を達成 ③付加価値の販売実績の検証(エンドユーザーに対するデータ等販売と、販売実績の検証)

:納入実数1件以上

③付加価値の販売実績の検証(エンドユーザーに対するデータ等販売と、販売実績の検証) :納入実数1件 (レンタル事業として)

〇:目標を達成 ①取付代理店設立

:5社設立

①取付代理店設立 :5社設立

〇:目標を達成 ②当社からユーザー間の適正なハードウエア販売価格・システム使用料の確定

:ハードウエア販売価格63.5万円/台(取付費用込) :SIM通信費用を含めた1車両あたりの月額費用3300円/月

②当社からユーザー間の適正なハードウエア販売価格・システム使用料の確定 :ハードウエア販売価格67.25万円/台(取付費用込) (37500円UP) :SIM通信費用を含めた1車両あたりの月額費用3800円/月 (500円UP)

〇:目標をほぼ達成 ③ユーザーに対する導入意識調査

:実導入や、前向きに検討する企業数の割合が50%超

:事業展開した際のマーケティングプランの策定及び数値化できないメリットの顕在化

③ユーザーに対する導入意識調査 :実導入や、前向きに検討する企業数の割合が58.3%

:事業展開した際のマーケティングプランの策定及び数値化できないメリットの顕在化

〇:目標を達成

1.スマートアジテーターシステム 性能、法準拠確認、検証

2.提供価値検証

(14)

4.

実施内容

この章では、実際に行った検証内容を詳細に述べる。

4.1実証実験協力工場

今回の検証では、以下【表3】に示したように、立地、規模、顧客層等が異なる全国5社のGNN 加盟生コンクリート製造会社を選定し、実証実験を行った。5 社においては、本システムのプロ トタイプをコンクリートミキサー車 5台ずつに設置、GPS車両位置情報等が表示できるシステム を配車(電話対応者)・製造(オペレータ)・技術(試験担当者)、及び納入(現場担当者)等の担 当部署へ配備し、システムの測定精度の検証を行いながら、コスト削減効果やデータ販売実績等、 どのような具体的なメリットが発生するか検証を行った。

また、機材の取り付けや、保守点検作業、データの活用方法等を実際に各工場の担当者が行う事 で、これら5社が、今後のシステム販売網の基軸となる、旗艦店化(取付代理店)となる事も目 標とした。

また、5社の関係者との情報共有には、以下【図9】にしめした、Facebookのメッセンジャー 機能を活用し、情報共有を出来るだけリアルタイムに行えるよう、心がけた。

4.2本システムの日本国内での性能、法準拠確認、検証

本システムは【図10】に示したように、生コンの性状記録装置部分と、車両総合管理システムか 【表3】実証実験協力工場

(15)

ら構成されている。当時メーカーでは、この二つの部分の統合作業を進めており、これらを輸入 し、テスト使用しながら、日本のユーザー要望を取り入れ、日本法規準拠対策、日本語化、不具 合修正、独自のシステムに改良する事を目標としていた。

車両総合管理システムに関する部分は全く初めて触れる事や、Probe システムも新型に変更さ れた事もあり、いくつかのステップを踏んで、導入を進めていく必要があった。

作業を次の【表4】に示した内容に分け、取りまとめた。

まずはシステムを日本国内に導入する為の手順を進めなければならない。

これには取付作業手順や、使用方法の正しい知識を習得する事が不可欠ある事や、電波法等、国 内の法律に則った準拠作業が必須となる。それらが完了した段階で、国内への配備作業を行い、 実際に使用しながら、性能評価をおこないながら、堅牢性や不具合の確認等、初期不良をなくす ためのフィールドテストを行うという流れを取った。これらを的確に行う事で、今後の市場導入 への道筋となる事も目的とした。

しかしながら、今回OBC部分の電波法認証作業の遅延により、(1),④に示した、日本向け対応に 関するフィードバックを得るには至らなかった為、この部分以外の活動内容として、以下、過程 毎に詳細を取りまとめた。

【図10】本システムの構成図

(16)

(1)Probe+Five Cubits(海外向けモデル)の日本市場導入と、日本向け仕様変更

(国内法規対応・日本語化・国内ユーザー要望対応)

①知識習得

(a)Command Alkon社でのトレーニング受講

当社は旧型のProbeシステムにおいて、充分な知識と理解を持っていたが、車両総合管理シ

ステムに関する部分は全く初めて触れる事や、Probeシステム自体も新型に変更された事もあり、 知識の習得が必要であった。IBB社を買収し、新しくメーカーとなったCommand 社は、これらの 特許をすべて移行管理しており、動態管理システムを含めたすべての製品の使用に関しては、シ ステム利用権の取得という意味合いを含め、定められたトレーニングを受講、認定受諾が必要で あった。

その為、当社から、担当者をカナダ支社に派遣し、以下の3点において、トレーニングを受講す る事となった。

期間:2016年12月20日~23日

場所:Command Alkon Canada

(ア)システム構成確認

・新しいProbeシステムのプロトタイプ現品確認

・車両総合管理システム現品確認(通信端末(OBC)及び、ソフトウエア)

(イ)操作方法習得

・車両総合管理システム

(ウ)取付作業確認

・新しいProbeシステム

・通信端末(OBC)

(b)日本国内でのプロトタイプ取付テスト

メーカーでのトレーニング受講を踏まえ、実際にその手順が日

本国内の車両に対し適応可能かどうかを判断する為、実験参加工場 の1社である東伸コーポレーションの協力の元、実装テストを行っ た。

新型のprobeシステムは、ドラムへのセンサー部分がモデルチェン

ジしており、この部分を重点的に検証する必要があった。 もし、この時点で取付が難しい事が判明した場合は、メーカ

【写真3】トレーニング受講の様子

(17)

ーに変更依頼を行わねばならないため、1 台のプロトタイプを先行輸入し、検証結果をメーカー にフィードバックする事も目的とした。

(c)取付作業手順書の作成

今後の取付代理店の作業従事者向け資料として、取付作業手順書は非常に重要である。

メーカーでは取付手順書は作成しておらず、また、国内独自の取付方法が発見される可能性も有 ったことから、それらを反映した日本向け独自の取付作業手順書を作成する事とした。

②法準拠(OBC部の電波法認証作業)

電波を発する製品を日本国内で使用する場合、電波の利用した際の混信等を防止するため、無 線設備は国の定めた技術基準に適合する必要がある事が電波法により定められている。技術基準 に反する無線設備を用いた無線局(不法パーソナル無線等)の電波利用は不法開設となり、使用 者は法的な問題が発生してしまう。

本システムでは、Probe部分と、車両管理システム部分のOBC(on board computer)がこれに該 当する。

Probe 部分は日本国内向けの認証取得済みの基盤を使用している事から、問題は発生しなかっ

たが、OBC は日本での使用を前提としていなかったため、新たに日本向けの認証を取得する必要 があった。これらをクリアする為に、大きく分け、次の2つの方法が考えらえた。

(a)新しいOBCを開発する。

メリット:国内認証取得済み基盤を使用できるため、電波法認証のハードルが下がる デメリット:新規開発に対する期間、費用

(b)既存のOBCを使用する。

メリット:費用、時間の抑制が可能

デメリット:チップやモジュール、システムのサプライヤーの協力が不可欠、かつ難易度

が高い

メーカーとの協議の結果、時間抑制を1番重要なタスクという事で意見一致し、(b)の選択肢で ある、既存のOBCを使用し、電波法認証作業を進める事となった。

また、認証機関は費用や、認証詳細に対する齟齬が少なくなるだろうという思惑から、日本国内 の機関を使用し、認証作業を進める事となった。

一般的に、電波法は専門的な知識を要し、理解に難しい部分がある。当社の選択の理由への理解 への補助として、ここで電波法認証の基礎的な部分を説明する。

*基礎知識 電波法認証とは

国の定めた技術基準に適合する為には、一般的には使用する機器に対して、「技術基準適合証明・ 工事設計認証」や、「基準認証制度」認証等を取得し、いわゆる「技適マーク」を表示する必要が ある。これら認証の申請、受験作業は、総務大臣の登録を受けた登録証明機関のみが行うことが できるが、申請者は、受けようとする機材の詳細な内部図面や、現品の提示、テストモード電波 の受発信作業等、専門的な知識と技術が不可欠であり、つまるところ、通信機器のサプライヤー 等の協力がないと、申請すら難しいのが現状である。

*技適と設計認証との違い

(18)

(基盤だけ、チップだけ、機材全部と色々なステータスで認証取得が可能。) *電波法の種類

Tマーク 端末機器の技術基準適合認定及び設計認証

既存のネットワーク(3G.4G.有線)につながる機器が受けなければいけない認証 Rマーク 無線設備の技術基準適合証明及び工事設計認証

電波(Wi-Fi,BlueTooth.,3G,4G,ラジコンetc)を発する機器が受ける必要有

OBCに求められる機能のうち、セルラーモジュール、Wi-Fi・BluetoothモジュールがすでにT/R

マークを取得していた場合は、OBC として新たに認証を受ける必要はない。(但し同じ製品でも、 申請者が異なる(流通経路が異なる)場合は、認証されていない機器となる。判断はモジュール 表面に技適マークが記載されているか否か)

*申請者と、メーカーの関係 (設計認証において)

申請者とは、製造者が作った認証を受ける機材に対し、「試験を受けた機材そのままで作られる事 を証明でき、保証する(検査報告が出来る)」 権利(独占販売権)と義務(検査報告)を有する 者であるという定義がある。

よって、メーカー、サプライヤー、販売者等、だれでも申請可能。 *認証を受けられる機関

TELEC等の国内認証機関20社

外国の提携登録外国適合性評価機関 13社

③システム配備 国内5社への取付け

取付代理店設立の一環として、実際に各工場に赴き、OJT 形式で担当者に指導を行いながら、各 社保有車両において、システム5台ずつの取付作業、及び設定作業を行った。

詳細は、後術する4.4ビジネスモデル検証(1)取付代理店設立④システム取付作業、保守点検作 業の教育、習得OJTの記載を参照の事。

(2)測定精度検証 ①スランプ値とは

生コンの性状の測定方法として、世界中広く一般的に行われて いる手法は、スランプ試験と呼ばれるものである。これは、凝 固前の生コンの流動性を測定する方法で、コンクリート打設作 業の難易と効率、ワーカビリティー(workability) を調べる事 を目的としていて、測定値が大きくなるほど、流動性の高い(柔 らかい)事を表す。実際の試験の様子を【図 11】に示す。*図 はウィキペディアより引用

コンクリート構造物の品質確保において、単位量あたりの水 の量は非常に重要で、必要以上に水を添加すると、強度が急激 に低下する事が知られている。この値を単位水量と呼ぶが、コ ンクリートのスランプ値は単位水量と密接に関係しており、ス ランプの変動を詳細に管理、記録する事が出来れば、高い 品質管理能力があると言い換える事ができる。

これまで、スランプ試験は人の手によるランダムサンプリング方式を取らざるを得ず、別途、単

(19)

位水量を測定できる方法が用いられるなど、様々な方法が考えられてきた。

しかし、スランプ値を常時監視、記録できる本システムを用いれば、単位水量測定装置と同等の 重要な指標を管理していると言え、もたらされる効果は非常に大きいと考えられる。

②本システムの測定精度検証の必要性

本システムの測定した値の精度が高くなければ、代替測定方法としては意味をなさない。当社は、 旧型プローブシステムを日本に導入した当初から、測定精度検証を繰り返し行ってきており、そ の精度は、人の手による測定方法と同程度以上の偏差にあり、充分実用に耐えるという結果を得 ている。

一方、新型となったシステムは、測定方法等に大きな変更はないものの、メーカーにおいいても 充分な測定精度検証結果を得られていなかった。

そこで、国内5社の実験協力工場の協力の下、人の手による実測スランプ値と、本システムの計 測したスランプ推定値との偏差を調査し、旧型で得られたデータと比較した結果、同程度の測定 精度である事を目標としてデータを収集した。

③各社からのデータ提出方法

各社において、人の手による測定が行われた際に、本システムに表示されたスランプ値、及び温 度計測値を記録する手法を取った。【表5】に示した、データ記録表を用い、データのばらつき要 因も把握する場合がある為、日時、車両番号、生コンの配合設計値、採取場所も同時に記録した。

④データ取りまとめ方法(スランプと温度計測値)

各社より提出されたデータを取りまとめ、以下2点の確認作業を行った。 ・工場間の測定差比較検証

会社毎にどういった測定傾向があるかの比較検証。測定精度にばらつきがあった場合、何に

起因したものかを検証する事で、測定したデータの信憑性が確認できる。 ・旧型との測定精度比較検証

各社から得られたデータを1つに取りまとめ、旧型で得られた実証データと比較検討 する。この結果が旧型と同等以上であれば、補正などが必要無い事が証明できる。

(20)

(3)堅牢性検証(故障事例等のフィードバック)

本システムは、新型になったばかりであり、メーカーとしても充分なフィールドテストを行って おらず、初期不良や、耐久性等、ハードウェアとしての堅牢性を確認し、不具合修正等の対策行 う必要があった。

もし問題が残ったまま、市場に展開してしまうと、信頼性を損なうだけでなく、その対策に忙殺 され、事業化もままならない。

そこで、国内5社に配備した本システムを使用中に発生した、故障や不具合の報告を取りまとめ、 メーカーにフィードバックする事で、期間中に初期不良対策を完了する事を目標に、情報収集と、 対策を行った。

4.3提供価値の検証

本システムにより提供される価値は、大きく次の2つに分類される。 ・GPS動態管理による、車両の位置情報のリアルタイム表示 ・生コン性状、ドラム作動状態等の車両に関するデータの取得

この提供価値を活用する事で、製造工場ではコスト削減、品質向上が見込まれ、またエンドユー ザーへも様々な価値が提供できる事が想定された。そこでそれら効果を明確に検証できるよう、 人件費(コスト)削減、品質向上、売上向上に関する3点の検証項目を設定し、検証活動を行っ た。以下詳細を述べる。

(21)

(1)生コン事業者コスト削減

人件費を抑制する為には、業務負担の軽減化や、対応時間の短縮等が必要である。

これら効果を数値化する為には、本システムの導入前後で実際にどれくらいの作業時間が軽減さ れたかを示せればよい。

まず、当社は、生コン事業者の業務を細分化し、本システムを導入する事で、生ずる提供価値 から得られる効果を次のように予測した。

①配車・出荷業務(顧客からの電話対応をする部署も含む)

a. GPSを使用した車両現在地の取得

配備車両の削減(渋滞情報の把握・積込み順番の把握・的確な配車業務への寄与) 関係先(納入先・運転手・顧客等)との連絡業務の時間削減

b. 生コン、ドラム状態の把握(納入トラブルの事前把握)

②製造業務(オペレータ)

a. GPSを使用した車両現在地の取得

納入までの時間確認(経時変化予測)による、製造調整 b. 生コン状態の把握

先行車両の経時変化を納入前に把握する事で、これから製造する生コンへのフィードバック(不 良品発生率の低減・それに対する作業時間削減・廃棄物処理費削減)

③品質技術業務(試験・テスト)

a. GPSを使用した車両現在地の取得

納入までの時間確認(経時変化予測)による、製造調整 現場納入品確認に赴く回数の削減(リアルタイム情報の取得) b. 生コン、ドラム状態の把握

経時変化データ(ビッグデータ)を利用した、配合設計変更へのフィードバック サンプリング作業の代替(作業時間軽減)全量確認の可能性

事故品発生率の低下(規格外品の納入数量の把握と削減対策、及び、効果測定) ④ドライバー業務

a. GPSを使用した車両現在地の取得

他の車両の位置情報把握による、納品精度の向上

無線、電話等による、関係先(納入先・運転手・顧客等)との連絡業務の時間削減 b. 生コン状態の把握

ドラムの回転状況が記録される事から、運搬中、荷卸し中の規則(加水、撹拌、逆転による荷こ ぼし)や納入事故防止へのアラート情報共有(品質向上、作業工程管理)

不良品の納入前検出(対応時間の削減・廃棄物削減)

これらの業務において、人件費抑制、すなわち、作業時間の短縮等の効果を検証する為、実験導 入工場毎に日々の業務内容(対応時間等)を【表 6】に示したデータシートに記入、報告された ものを【表7】のように月次で取りまとめ、分析に使用した。

しかしながら、期中にOBCの電波法認証の遅延問題が発生した為、、国内既存のGPSシステムと、

Probe システムを並行的に使用した、疑似的スマートアジテーターシステムを使用した限定的な

(22)

(2)生コンPL保険割引率策定に向けた導入効果の実証(潜在的エラー発生率の測定と改善効果 の検証:納入事故発生率50%削減)

自動車保険では、エアバックや、イモビライザー等が装着された車両や、ゴールド免許等、一定 【表6】週次データ記録シート

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の条件があると、保険料が割り引かれるというオプションが存在する。

当社は、スマートアジテーターシステムの利用を通じて、生コンPL保険料の割引に貢献出来れば、 ユーザーへの提供価値になるのではと考えた。

保険会社によると、保険料を割り引くためには、システムの導入前後の事故発生状況を比較し た結果、事故発生頻度が明らかに下がったと認められれば保険料の割引を検討できるという。た だし、そのシステムが一般的に広く認識され、かつ一定数以上普及していることが条件となる。 生コンPL保険の設計の観点で言うならば、「システムを導入することにより、どれだけの出荷 トラブル(事故)を防ぐことができたか」が確認できるデータが必要となる。つまり、今回のプ ロジェクト期間中に、本システムを導入した結果、顕著な事故抑制効果が確認され、かつ、今後 導入台数が拡大し、改善傾向がさらにはっきりと示されたと客観的に確認された時に、初めて保 険料料率設定検討の段階に入るという事である。

そのためには、その改善効果を明確に測定、記録する事が非常に重要な要素となるが、現在の 納入試験方法は、納入全数量の中から、一定の頻度でピックアップサンプリングしたものを、人 の手によって測定するものであり、測定者による結果のばらつきや、恣意的な作為が排除できな い。事業者のコスト管理力や、施工期間のひっ迫、納入管理の限界等、様々な業界の現状の要件 から、納入不良(事故)発生数は意図して低くなる方向へと進む事は容易に想像できる。その為、 これをもって、真の事故発生率だと捉える事は、いささか疑問が残る。また、今後i-construction 等の普及により、全量検査等が義務化された場合、今まで意図せずにすり抜けていた納入不良品 分が処理費用として計上される事になり、経営を圧迫しかねない事態となる可能性が否定できな い。

そこで、今回の検証では4.2(2)測定精度検証を目的に得られた実測値と、本システムでのス ランプ測定値、及び納入品の規定値と共に比較検証する事で、「真」の事故発生率を捉える事にし た。問題のある納入事例ごとに、恣意的なものか、本当に品質的に問題があったものかをスクリ ーニングし、本システムの提供価値で、品質改善可能な件数を導き出し、それらを推定改善率と して、算出する手法で検証を行った。

以下、【表8】に示したように、会社毎の真のエラー納入品の割合が把握出来れば、保険割引率 算定の根拠となるばかりでなく、年間推定削減コストも算出でき、システムを導入した際の、よ り実態に即した効果測定が可能となる事を検証目標とした。

(3)エンドユーザーに対するデータ等販売と、販売実績の検証

本システムから得られる様々な提供価値は、生コン事業者だけでなく、エンドユーザーに取っ ても価値があると推測したが、実際に導入されるだけの魅力あるシステムであるかどうかを検証

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する必要があった。そこで、まず、エンドユーザーである共同実験研究会参加ゼネコン社、およ び中小地場ゼネコン社による提供価値試算を行い、提供価値の販売形態や、活用方法、金額を確 定させた。

その結果を用いて、実際に各実験工場にて、エンドユーザーへの販売活動を行い、実績を検証 した。

①共同実験研究会との出会い

我々は2014年、Probeシステムの国内販売に際し、測定機器としての精度やシステム検証を目

的として、参画5社とゼネコン10社とで、共同実験研究会を立ち上げた。

これまでに、研究成果として2015年度から2017年度にかけ、毎年建築、土木両学会での論文発 表を行いながら、本システムの有用性を広く伝えてきた経過がある。

本システムの基幹部分であるProbe部分は、生コンクリートの測定装置であり、いくら技術と して感銘を受けたと言っても、その測定する値が信頼に値する物なのか、また、どういった特徴 があり、どうすれば有用に運用できるのかを日本国内で実際に検証する必要があった。また、測 定装置として、公的に認められなければ、その価値は半減してしまう事は否めない事実である。 しかしながら、我々は中小企業の生コン生産事業者を母体とした企業であり、こうした装置に 対する評価知見の具体的なノウハウを持ちあわせていなかった。

そこで、GNN メンバー社と交流があった、ゼネコン数十社の技術者で組織された共同研究フォー ラムに打診をしたところ、10社から、共同実験研究会の立ち上げに協力いただける事になったの がそもそもの始まりである。

本システムは、我々製造者のみならず、施工者、発注者にもメリットを享受できる。

我々は、いわばエンドユーザーの声を直に聞く事で、技術的な裏付け、確立と、周知を相互に かつ短期間に行えるメリットがある。一方ゼネコン社にとっても、物件確保の一助となりうるよ うな新しい技術提案案件を常に探求しており、相互に魅力ある機材であったと言える。

②システムの価値とVE提案

実際ゼネコン社はどのように「新技術」を使用するのか。 その使用方法とは、『VE提案』技術提案への採用である。

土木、建築物件を問わず、発注者から出されたほとんどの建設案件は、入札制度を利用する。結 果、発注者は費用を押さえつつ、最良の結果が得られるわけであるが、然るに価格のみにフォー カスされがちで、(これが悪評高い「談合」が発生する一要因にもなったわけであるが、)過度な コストダウンを行った結果、施工不良や、工期延長等、技術的な問題が散見された。

この問題は公共事業でも表面化し、大問題となった。その現状を打開するべく、平成17年に「公 共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」が施行されるに至る。

品確法の特徴とは、「総合評価落札方式」が取り入れられている事である。工事価格だけでなく、 公共構造物の品質確保・向上など技術提案を求め、それを加点項目として設定する事で、落札者 が選定されるシステムである。

技術提案には安全や環境など対象工事の特徴などにより、その課題は様々に設定されるが、構 造物の品質確保・向上を求められることが多い。

VE提案のVEとは、(Value Engineering)の略で、製品やサービスの価値(V)を、それが果たす

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った考えに基づいて、工程(開発、設計、製造、購買など)での具体的な改善や代替案を提案する ことである。(引用:Weblio辞書)

コンクリート構造物の品質確保についても、強度、耐久性に関してコンクリート配合上、影響 が大きい単位水量の測定が義務付けられ、品質管理項目に加えられた。コンクリートの施工性性 状を表すスランプ(スランプフロー)は単位水量と密接に関係しており、単位水量の変動はスラ ンプの変動を伴う。本システムは出荷時から現場到着時までのスランプを高い精度で計測管理す る事を目的としており、ひいては、コンクリートの強度、耐久性に大きく影響する単位水量と同 等の重要な指標を管理していると言え、実際の技術提案案件では、単位水量の測定管理に関して 対象コンクリートを全量検査できるような機器をVE提案する事例が多くなっている。つまり、本 システムのような、品質やサービスの価値をより向上させる技術はまさに

VE提案にうってつけと判断されたと言ってよい。

③施工者の考える提供価値 ゼネコン社へのアンケート

施工者の考えるシステムの提供価値、妥当な金額を詳細に把握する為、共同研究会に所属する 大手、準大手ゼネコン10社へのアンケートを実施した。

アンケートは、以下の内容を提示し、提供価値を細分化し、受諾に値する金額設定予想値を導 き出す事を目的とした。2017年1月からの1ヶ月間をもちいて、書面で提出、回答を取りまとめ た。

以下、【図13】にアンケート質問内容を取りまとめた。

Probe system共同実験研究会メンバーによる、 エンドユーザーにおけるプローブデータの活用方法 ~~データ購入に関する価格シミュレーションアンケート~~

1・予想される価値と問題点

システムから得らえると予想される様々な価値(有効性)を次の3つのカテゴリーで予想し、問題点を記載

(1)「品質向上面(Q)」

(2)「コスト削減面(C)」

(3)「工数削減・納期短縮面(D)」

2・システム提供予定のサービスに対する施工者として必要な機能要望

(1)リアルタイムでの車両位置情報、生コン状態の情報

(実際の納入や現場管理に使用)

(2)得られたログデータの提供(現場の工程管理・納入先へのデータ提示用として)

(3)研究用データとしての提供(ビックデータの活用)

(4)機材レンタル(技術提案等での使用を想定)

3・提供されるサービスへの適正な値段設定(サービス対価の試算)

(1)建設現場向け

①廃棄物削減に対する価値(残コン・戻りコンの処理費用) ②納入試験を省略できる分の人件費

(全量納入試験等、通常の納入試験以上の管理義務が発生した場合等) ③納入数量に関する取りまとめデータの提供

④物件確保(技術提案)に使用する際の使用料(レンタル等)

(26)

④各社の動きと提案案件への使用とレンタルビジネスの立ち上げ

当初、年数回、全社共通の共同実験を行っていたが、それと並行し、各々で実験使用する等、 ゼネコン社個別の活動が徐々に見受けられるようになった。これらは基礎データの裏付けとして 行われ、社内の技術発表や、土木、建築学会等での論文発表というアウトプットを目的としてい るものが多かった。

その後、徐々に実際の受注予定の施工現場において、本システムを技術提案として使用する動 きが数社から出てきた。そこで問題となったのが、本システムの配備状況である。

当時、本システムはあくまでも実験的な位置づけで、全国で約5社の生コン製造者が購入、設 置していたに過ぎなかった。その為、ゼネコン社からは提案技術として使用したいが、現場の近 隣生コン工場への取付が出来ないかという相談を受けるようになる。

生コンにはJISの規格上、90分以内に収めなければならず、必然的に建設現場の近隣の生コン 工場が供給工場として選定される。しかし、生コン製造者には日本独自の共販制度が存在し、施 工者が特定の生コン工場を独自に選定出来ない可能性が高いという問題がある。また、施工現場 近隣に、協力的なGNNメンバー社が存在しない可能性も高く、本システムを広く使用する為には、 生コン製造者がシステムを購入する以外の方法を構築する必要が出てきた。

それまで我々は、本システムは、生コン生産者自身が品質改善に必要とするもので、生コン生 産者が「購入」、「設置」するものであるという認識しかなかった。

そこで、当初は施工者に本システムを購入してもらい、施工者自ら運用管理利用する方法を考 えたのだが、本システムの特性上、生コン事業者が保有する車両に取り付ける必要があり、施工 者が取付交渉、取付け、取外し、日々のメンテナンス等の手間を考えたとき、導入をためらう事 が予想された。

一方、生コン事業者の根強い抵抗感を感じていた事も否めない事実であった。

今まで、ある意味ブラックボックスであった部分をすべて施工者に明かす事になり、彼らは不 良品納入可否の判断として利用される恐れを危惧したのである。

施工者からの一方的な取付け依頼では、生産者自身へのメリットが全くないという誤ったマイ ナスイメージで捉えられる恐れがあった。そもそも、GNNMJの発足当初からの大きな目的である、 扱う商材は「生コン事業者にとっての武器」足る必要性があり、単に施工者側のメリットだけが 目的に使用される事だけは避けたいという我々の想いもあった。

社内会議を続けるうちに、こうしたシステムを広く普及させていくためには、施工者、生産者、 発注者の相互メリットが絶対に必要という結論に至った。解決策を模索するうち、我々は、施工 者と取り決めた期間内だけ、近隣生コン工場に本システムを設置する事で、データを取得、提供 できるような、レンタルシステムを考案した。

施工者としては、データが得られればよく、手間はかけたくない。また、生産者としても、必 要以外のデータを開示したくなく、手間はかけたくない。その間に立って、すべてを請け負うス タイルであれば、「三方良し」なのではないかという結論であった。

我々は、次のような生コン性状データ記録提供システムレンタル事業として、提案を開始した。

a)取付~メンテナンス~取外しまですべての一連作業請負

b)アウトプットデータ提供(2種類) リアルタイム情報:表示部の瞬間値表示

ロギングデータ:CSVとして提供 c)使用時の立会い

(27)

ポイント:施工者からの依頼を受け、システムの取付、データ取得、データ提供、メンテ ナンス、取外しまでの一連作業をパッケージング化したものを提供し、データ の提供料金として、施工者から対価を得る。

:我々は施工者からの依頼で、情報システムを取付けるという立場である為、取

付工場への折衝等、重要な部分のみ施工者自身で行い、その後の運用はすべて

GNNMJに委託。

⑤地場の公共土木工事を中心に受注する中小建設会社との意見交換会開催

我々の想定するエンドユーザーは大手、準大手だけではなく、地場に根差した施工者も当然該 当する。彼らの意見を集約する事で、より詳細な現場の声を収集する事が出来ると考えた。

そこで、我々の属する GNN(元気な生コンネットワーク)と積極的に意見交換、交流会を行っ ている、YDN(やんちゃな土木ネットワーク)という、全国の中小土木施工会社の任意団体から2 名、ポンプ圧送事業者等、関連企業2社の4名と共に2017年2月に意見交換会を開催した。

中小の施工会社の置かれた状況を理解する事が、彼らがどのようなデータ、システムを欲して いるか、どこに価値を見出す事が出来るかの理解に直結する。

ここでは、i-constructionと現場対応を中心に、説明する。

⑥YDNが推進する、i-constructionとは

「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産シス テム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取組であるi-Construction(アイ・コ ンストラクション)というスローガンの下、国土交通省が主体となって、活動を進めている。し かしながら、現状、これがi-constructionだという完成形はできていない。

そこで、国交省ではi-construction推進コンソーシアムを創設し、広く普及を進めるべく、多方 面からの情報収集、(様々な分野の産学官が連携して)をおこない、IoT・人工知能(AI)などの 革新的な技術の現場導入や、3次元データの活用などを進めようとしている。

YDN もこの活動に積極的に参加しており、実務でここまでの内容で活用している中小企業は国

内に見当たらなく、新聞社、国交省から取材が多数来ている状況である。

⑦土木の現場の作業工程とi-constructionの効果

スマートアジテーターが提供するデータとの関係を示す前に、実際の土木工事の施工過程を以 下に示しながら、i-construction技術を導入する事で、どういった効果があるかを説明する。

a)測量 (着工前の現状の3D化)

現状人力でやっている。これが、IoT 対応の機材(測量器・ドローン等)を使う事でたとえ ば、5日位かかっていた測量が、半日で終了する。

b)設計 (データの3D化)

現場亜測量データを起こし直し、2Dで図面を描く。これらが自動的にデータ連動するので測

量データがそのまま移行でき、しかも3Dで設計でき、測量データ上にレイヤー表示が出来る ので、細かな修正が事前に可能。

c)施工 (半自動の施工(建設機械の半自動運転))

設計データを建設機械に送る事で、経験の浅いオペレータでも、半自動で施工可能。精度が格 段に良くなる。

(28)

現状再度測量する、または図面で多大なチェック項目をおこなうが、測量、計測のスピードが 格段に向上する。

f)納品

すべての資料が電子データ化で来ているため、取りまとめが早い。(電子データ納品がOK)

以上に示したように、土木の現場の現状は「ほとんどが、今だにアナログ・しかも誤差が大き いという事実」が良くお分かりいただけると思う。

⑧i-construction普及への問題点。

施工者では、「i-conをやっても儲からない」という声が聞こえる。

理由は明白で、わからない、しらない、PCアレルギー等の理由で、すべてのi-con化のタスクを 外注している事に起因している。上記の1~5のi-con化を自社内でやっていれば、当然、人件 費、工期の短縮効果は絶大である。

大手ゼネコンもセクション毎に「下請け」化し、しわ寄せをすべて下請けに回している事から、 ゼネコンが推し進めても、下請け企業はやりたくないという現実がある。

中小建設会社へのつまり、i-con 化は、測量、施工、管理まで一括で行う、中小の地場土木専 業施工者にこそ、一番効果が期待できるのである。

また、現状、i-con の完成形が無く、今まさに広がり始めたばかりである事から、誤解認識が広 がっている事が多い。逆にこの価値に気づいて実行できる施工者にチャンス到来との認識がある 事も事実である。

⑨ポンプ業とi-constructionとのリンク(施工者の本音)

現場での生コン打設業の管理は、施工監督者が行うものであるが、実際の施工現場の最前線で は、配筋工、型枠工、打設業者(ポンプ圧送業者)等、下請け作業者が専門職として、作業を行 っている。

打設のノウハウを持った管理者がいれば、より具体的な内容について協議をする事もあるが、 そうした監督者、管理者が減少の一途をたどっていると言わざるを得ない。

結果、コンクリート打設の出来不出来は、圧送業者等にゆだねられる事も多く、「あとはお任せ で」と言われる事すらある。生コンの打設で困るのが、「次の車が来ない事」である。打継ぎに時 間がかかると、「コールドジョイント」と呼ばれる施工不良が発生する。それを防ぐためには、連 続した作業が欠かせない。配車状況が確認できれば、作業の進め方が非常にスムーズになる。ま た、どういった性状の生コンかが事前に把握する事が出来れば、配管内が閉塞する事例を減らす 事も出来、安全面でも非常に有用である。これらの前日に議題の整理をし、以下の【図14】の内 容にて、結果を取りまとめた。

YDNメンバーによる

エンドユーザーにおけるプローブデータの活用方法 ~~提供価値に関する調査(意見交換会)~~ 1・IPA事業説明

2・スマートアジテーター構想の概念説明(予想提供価値)

3・YDNが推進する、i-construction概要説明

4・スマートアジテーターとi-constructionとのリンク(何に価値を求めるか) 5・ポンプ業とi-constructionとのリンク(施工者の本音)

6・製造者から施工者までが一体となった、我々の欲する生コン総合管理システムとは?

(29)

4.4ビジネスモデル検証

(1)取付代理店設立

本システムを使用する為には、取付作業は元より、故障対応や、保守点検作業等、ユーザー工 場に赴いての実務作業が必須である。

また、全国展開するにあたり、迅速なサポート体制を構築する事が必要不可欠だが、これを

GNNMJ単体で行う事は、費用面や人員確保等を考えた時に、課題が多く、現実的ではなかった。

一方、本システムはミキサー車という特殊な車両に取付なければならない事や、溶接作業等の 能力が必要で、かつ生コンに対する知識も重要となる。例えば自動車整備ディーラー等と代理店 契約等業務委託した場合、その知識の取得だけでも非常に手間がかかり、代理店設立への足かせ となる。そこで、今回の実験導入工場 5社による実装経験を活かし、5社を各地の取付代理店と する事で、全国販売網構築の礎として生かせられないかとの発想に至った。

生コン製造事業者であれば、生コンに対する知識は勿論のこと、車両整備や、溶接作業にも長 けた人材が多い。これらの技能を生かす事が出来れば、生コン販売以外の全く新しい収入源とし て確立出来る事になり、IoT 技術を用いたビジネスモデル構築が出来る先例となりうる事にも注 目し、計画を実行した。

取付代理店として認定する為には、それらの作業に従事できる人材や、機材設備を整備し、シス テムに対する正しい理解と、取付保守作業の実務経験が必須となる。それらを一定レベルで保有 した会社にのみ、取付代理店として認定をおこなうという制度を確立しておけば、今後代理店を 増やす場合においても、平等な評価が行え、比較的簡便に代理店を増やす事が可能となる。 そこで、取付代理店として認定する際に必要なプロセス等を次の①~⑥で抽出し、各社を認定取付 代理店として選出できるかの検証を行った。

①選任者の選出

作業に従事できる人材が確保できているかを確認する為に、必要と考えらえる部門別に選任、 報告を依頼した。以下、【表9】に示した部門毎に、選任者を選出し提出させた。

みつわ社 東伸社 金沢社 泰慶社 野方社

担 当 項 目

【事業統括責任者】 【取付整備担当者】 【PC等ITインフラ担当者】 【交換部品等、物品管理者】 【会計担当者】

担 当 者 名

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