5. プロジェクトの成果
5.3 ビジネスモデル検証
検作業の教育、習得OJTを参照の事。
③作成物 スマートアジテータープロトタイプシステム(システム本体)
取付マニュアル(一部抜粋)SplitProbeシステムの取付手順書ver1.4
【写真6】 国内テスト取付作業風景
(2)測定精度検証
①目標 本システム(国内仕様)の完成
②結果 Probeシステム部分の測定精度は旧型同等以上を示した。
(a) 工場間の測定差比較検証
・スランプ測定値
各社から収集したデータのうち、故障や、コンクリートの付着等による、異常値を除いたデー タを、以下【表19】に取りまとめた。会社毎に、左からProbe測定値、実測値、Probe測定値か ら実測値を差し引いた、計測差を示している。有効データ数は合計153点となった。
次に、測定差の偏差を求める為に、【図22】のように、測定差(cm)毎の件数を取りまとめ、
会社間での測定結果の傾向を確認した。
【表19】 スランプ値測定結果
各社ごとに傾向をまとめた。
A社:+1.5cmの5件をピークに、バランスよく正規分布している。
B社:+1.0cmの9件をピークに、バランスよく正規分布している。
C社:- 1.0cmの7件をピークに、バランスよく正規分布している。
D社:+1.5~3cmのあたりをピークに、+側にずれた結果多く偏差がおおきい。
E社:±0.0cmの7件をピークにバランスよく正規分布している。
結果、D社を除く4社はピークが‐1.0~+1.5cmの範囲に入り、偏差幅も同じ傾向を示した。一 方、D 社に取り付けた機材や測定方法は他社との差は見られず、旧型の偏差の傾向を考えても、
配合や、骨材等の材料違いに起因する差とも考えられなかった。
今回の検証中、各社で大きく異なる部分(変動の要素)は測定場所(工場・現場)の割合以外に
はなかった為、その傾向を【表20】
にまとめた。
すると、驚く事に各社共に現場で 採取された値の方が、工場で取得し たデータよりも計測差が大きいとい う結果が得られ、かつ、現場採取の 割合が増加するに従い、そのずれが 大きい傾向が示唆された。また、A、
D社においては、現場採取の割合が9
割を超えており、B,C社ではほぼ5割、E社は工場採取が10割という結果と合わせると、よりそ
のような傾向があると考えられた。現場での計測値は、実際の納入検査や、品質確認を目的とし て行われたものを比較データとして採用したものと、Probe による計測値を比較したもので、現
場では、合格範囲に合致させたいという潜在的な恣意性を排除出来ないという現状の問題点が、
図らずも露呈される結果となった。
D 社は、小口の物件への対応数が多い事が特徴で、こうした恣意性が他社と比べ、強く出た結 果が、+側へのずれと、偏差が大きくなった原因だと考えられた。
【図22】 スランプ値測定結果の傾向
【表20】 採取場所による測定精度差
・温度測定値
各社から収集したデータのうち、異常値を除いたデータを、以下【表21】に取りまとめた。会 社毎に、左からProbe 測定値、実測値、Probe測定値から実測値を差し引いた、計測差を示して いる。有効データ数は合計139点となった。
次に、測定差の偏差を求める為に、【図 23】のように、測定差(℃)毎の件数を取りまとめ、工 場間での測定結果の傾向を確認した。
【表21】 温度測定結果
【図23】 温度測定結果の傾向
各社ごとに傾向をまとめた。
A社:±0℃の10件をピークに、バランスよく正規分布している。
B社:+0.5℃の12件をピークに、バランスよく正規分布している。
C社:±0℃の6件をピークに、バランスよく正規分布している。
D社:±0℃の15件をピークに、バランスよく正規分布している。
E社:+0.5℃の11件をピークにバランスよく正規分布している。
結果、すべての会社において、偏差幅も小さく、正しく計測出来た事を示した。
(b)旧型との測定精度比較検証
(a)で得られた結果を元に、各社から得られたデータを1つに取りまとめ、旧型で得られた実証
データとの比較検討を行った。
・スランプ測定値
【図24】は、各社から得られたずれの発生件数別に合算したものである。ずれ幅最大値を±3cm 程とし、0~0.5cmのずれ値をピークとした、非常に綺麗な正規分布を示している。
次に実測結果を新型旧型で比較した、【図25】に旧型、【図26】に新型の結果を示す。
【図24】 発生件数取りまとめ(スランプ値)
【図25】旧型Probeシステムの計測結果分析表
旧型と比較した結果、新型においても、赤い線で示した信頼限界線(±2.5cm)内にきれいに収まり、
かつ、上下の偏りも旧型に比べ少ない事が分かった。
よって、目標である、旧型と同等以上の測定精度がある事が実証された。
・温度計測値
【図 27】は、各社から得られたずれの発生件数別に合算したものである。ずれ幅最大値を±3℃ 程度、かつとし、±0℃値をピークとした、非常に綺麗な正規分布を示している。
【図26】新型Probeシステムの計測結果分析表
【図27】 発生件数取りまとめ(温度測定値)
次に実測結果を新型旧型で比較した、【図28】に旧型、【図29】に新型の結果を示す。
旧型と比較した結果、旧型が、若干高めに推移していたのに対し、偏りが少なく、かつ、精度良 く計測できている事が分かった。これは測定精度を上げるべく、機材内の熱電対の設置位置や、
数等の設計変更を行った結果が良くあらわされており、目標である、旧型と同等以上の測定精度 がある事が実証された。
③作成物 スマートアジテータープロトタイプシステム(システム本体)
【図28】旧型Probeシステムの計測結果分析表
【図29】新型Probeシステムの計測結果分析表
(3)堅牢性検証(故障事例等のフィードバック)
①目標 本システム(国内仕様)の完成
②結果 Probeシステム部分の初期不良はすべて改善した。
検証を続けるうちに、製品品質に関係するいくつかの問題点が発見された。
発見された問題点は逐次メーカーに情報を提供し、対応策を得ながら対応を進めた結果、すべて の項目で解決でき、初期不良としてはすべて解決するに至った。
発生した問題不良内容毎に内容と、対応(解決)策を以下【図30】にまとめた。
③作成物 スマートアジテータープロトタイプシステム(システム本体)
【図30】故障・及び対策一覧
5.2提供価値の検証
(1)生コン事業者コスト削減
①目標
・各生コン事業者コスト削減5%
(拘束時間に対し、比較対象の相対業務時間が、何%減らせたかを目標とした)
②結果
・配車部門において平均3.3%(年間169602円)の業務時間削減の実績が得られた。
・技術部門において、推定平均20.6%(年間1024878円)の業務時間削減が見込まれた。
・合計12.1%(年間119万4480円)が削減可能と判断
(a)各社データの取りまとめ
データ取りまとめに関する基本的な考え方と方法
配車・出荷部門において一番効果が発揮されると考えられたのが、GPS を使用した車両現在地
の取得による効果である。これにより、配備車両の削減や、関係先(納入先・運転手・顧客等)
との連絡業務の時間削減が期待できる為、業務時間のうち、これらに費やされる時間の割合を求 め、GPS システムを導入した後に、どれだけ時間削減が出来たかを確認した。また、時間当たり
の単価を2200円として、人件費計算を行った。
検証用のGPSシステムは5社中3社に配備を行ったが、2社はすでにGPSを自社配備していた 為、導入前後の結果をそのまま比較検討出来なかった。そこで、工場毎に、導入前後での変化率 を割り出し、期間全体を、GPS 導入した場合、しなかった場合とそれぞれ「仮定」した補正を行 って、コストがどのように変化したかを確認した。
以下、補正に対する基本的な考え方を記す。
・GPS 情報端末を現場に配備する事で、現場担当者との電話連絡回数は大幅に減らす事が可能
である。打設量が多い現場を抱える会社程、この効果が大きい。打設開始、終了時だけの電 話連絡で済めば、少なく見ても連絡回数が1/3に減少する事が予想される。一方、小口件数 が多い会社ではこの効果が少ないと予想されたが、時間短縮という効果に差は発生しないと 考え、全社導入後1/3になるとして、補正した。
また、GPS 導入前後でこの回数の減少効果が確認できたが上記の理由から、すべての作業を 電話から、GPS 確認作業へ移行するのは難しい事が確認できた。そこで、業務の移行率を算
出する為、出荷台数1回あたりにおける、電話等での連絡対応回数と、GPSで位置確認行っ た作業発生数をそれぞれ算出した。その値を移行前後の補正値として使用し、最終的な効果 として算出した。
・現在地の確認作業はGPSを導入した場合、電話無線機使用からGPS画面確認に完全に移行す ると考えられる為、1分(回)から10秒(回)に短縮として補正した。
但し、GPSを既に使用している会社では、導入前後の補正は行わない。
・ドライバー向けの配達現場の位置情報の提示を目的とした地図等の準備作業は、現状、詳細 地図等をコピーする等、旧態以前とした作業を行っている会社が多い。GPS システムを使用
した場合、この業務は大幅に短縮できる事が予想されたが、疑似的なシステムでの検証を行 った事もあり、前後での効果に差が出なかった。その為、新システム導入前の値は、すべて