基礎講 物理 ( 物理学 2 対応 先進 学部 情報学部対象 )
担当 : 福川賢治 (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/kogakuin)
第 1 回 ニュ トン 法則 (6/13)
1. 運動方程式
2. 力 要素
3. 様々 力
第 2 回 運動方程式 一定 力を け 運動 (6/20)
第 3 回 仕 エネ (6/27)
第 4 回 エネ 保存則 (7/4)
第 5 回 単振動 (7/11)
1
運動 法則
物体 質点 あ 時 ( 物体 十分 小さく 点 あ 時 )
以 法則 立
第一法則 ( 慣性 法則 )
物体 力 働 い 静 い 物体 静 あ
動い い 物体 一定 速 ( 加速 ) 一直線 を動 続け
( 注 : 物体 元 運動状態を保 う 性質を慣性 呼ぶ )
第 法則 ( ニュ トン 運動方程式'
質点 加速 物体 力 比例
質量 m を右 式 定義 �� =
第 法則 ( 作用 反作用 法則 )
質点 A 質点 B 力を及ぼ 時 ( 作用 )
時 質点 B 質点 A 大 さ 逆向 力を及ぼ ( 反作用 )
こ 力 一作用線 あ
2
質点 い
1. 大 さ 考え く 良い 質量 あ 良い物体
2. 大抵 物体 遠く 見 ば質点 あ 以 質点を中心 扱う
3. 物体 自転や 建築物等を扱う時 大 さを考え 必要 有
質点 扱うこ い 質点 積 重 積分を用い 記述
( 剛体 力学 弾性体力学 流体力学 )
慣性 法則 運動方程式 関係
運動方程式 � = 0 時 � = 0
一見 慣性 法則 不要 見え
標系自体 加速 運動 い 時 ( 加速 系 ) 慣性 法則 立 い
慣性 法則 立 標系を慣性系 ( 静 系 等加速 運動 系 ) 呼ぶ
運動方程式 慣性系 立 非慣性系 修 必要 あ ( 慣性力 )
慣性 法則 運動を記述 標系を規定
3
運動方程式 単位
SI 単位 : 力学 用い 主 SI 基本単位 3 ( 全部 7 )
m ( ト ) kg ( ) s ( 秒 )
質量 SI 単位 : [kg]
加速 単位 : ( 加速 )=( 速 変化 )/( 時間 ), ( 速 ) = ( 位置 変化 )/ ( 時間 )
従 単位 [m/s 2 ]
従 力 単位 [kg m/s 2 ] ニュ トン [N] いう別 付い い
1 kg 1 m/s 2 = 1 N (SI 組立単位 一 )
= �� 微分を用い 書く = � � �
辺 通常 時間 t 位置 � 速 � 関数 � �, �, �
運動方程式 ( 微分方程式 ) を解く 物体 運動 決定 ( 予言 ) ( 問 1)
4
力 要素
力 要素
1. 大 さ 2. 力 向 3. 作用点 ( 力 働い い 場所 着力点 いう ) あ
力 示 力 矢印 始点 力 作用点 あ
力 合 分解
力 ベ ト 足 算
一 質点 2 力 � � い
� 2 力 等 働 を
� を合力 呼び � を求 操作を力 合 呼ぶ
一方力 質点 い 時 � を � � 分け こ
を求 操作を力 分解 呼び
を分力 呼ぶ 合 異 分解 方法 無数 あ
5
� �
�
重力
重力 ( 電磁気を考え け ば ) 唯一 遠隔力 あ
体 地球 々 間 万有引力 (+ 地球 自転 遠心力 )
自由落 運動を引 起こ 力 あ 重力加速 g = 約 9.8 m/s 2
万有引力
質量を持 全 物体 間 働く力 2 物体 質量を M [kg], m [kg]
力 大 さ F =
��
�
万有引力定数 G = 6.67 × 10 -11 N m 2 /kg 2 ( ン力 比べ 非常 弱い力 )
ン力
電荷 ( 電気量 ) を持 全 物体 間 働く力 2 物体 電荷を Q [C], q [C]
力 大 さ F � = �
�
2 k =9.0 × 10 9 [N m 2 /C 2 ]
重力 比べ比例定数 大 い 電荷 負 電荷 ャン こ 多い
6
垂直抗力
物体 接触 い 時 接触面 垂直 力
大概 接触面 垂直 方向 対 物体 静 こ 時 接触面 垂直方向 合力 0
物体 作用 合力 0 時 こ 力 合 い 呼ぶ
( 注 : 重力 垂直抗力 別個 力 あ 作用 反作用 関係 い!
重力 反作用 物体 地球 力 )
摩擦力 ( 問 7)
物体 接触 い 時 接触面 平行 働く力
静 摩擦力 ( 物体 静 い ) 動摩擦力 ( 物体 運動 い ) あ
最大静 摩擦力 動 出 直前 働く力を最大静 摩擦力 呼ぶ
静止摩擦係数 μ 最大静 摩擦力 大 さを F, 垂直抗力 大 さを N F= μN
摩擦 法則
1. 摩擦力 大 さ 垂直抗力 比例
2. 摩擦力 接触面積 接触面 様子 決
3. 動摩擦力 物体 速 一定
( 最大静 摩擦力 )>( 動摩擦力 ) F= μ’N < μN μ’ 動摩擦係数
7復元力 ( ば 力 )
8
壁
壁
壁
A け伸ば
A
B
|B|=-B け縮
F=-kA(<0)
F=-kB (>0)
ば 力 あい 位置
を x x 小さい範
- x 比例 &フッ 法則'
物体を戻 う 力
復元力 呼ば F= - kx
k [N/m] ば 定数 呼ば
運動方程式 �
� 2
�� 2 = - kx 一般解
一般解 角振動数を � =
�
� � = � �� �� + � � � �� �
こ 等価
� � = � ��� + � −���
� , � , � , � 初期条件
求
O
張力 糸 物体を引 張 力
う 力 調べ 具体的 状況を調べ 必要 あ
運動方程式 解 方
STEP1 問題文 状況を 表現
STEP2 注目 い 物体 働く力を ウント
力 ベ ト ウント 全 力 い ベ ト 和を
STEP3 運動方程式 � � = � を書く ( 右 � STEP 2 考え 力 ベ ト 和 )
分表示 x y z 分 い 式 あ
�� = � , �� = � , �� = �
STEP4 加速 位置 回微分 位置を求 微分方程式を書く
� � �� 2 2 = � , � � �� 2 2 = � , � � �� 2 2 = �
STEP5 微分方程式を解く 関数形を決定
時 決 い定数 出 く
STEP6 STEP5 決 定数を初期条件 ( 初期位置 初速 ) 求
全 時刻 t 位置 速 加速 分
9
運動エ ル 仕事 関係 ( 問 3)
運動方程式 �
��
�� = � 速 ル � 内積
� = � � ( 始め ) � = � � ( 終わ ) ま 積分 実行す
初速 � � , 終わ 速 � � す
�=� �
�=� �
� �� �� ∙ � �� = �=� �=� � � � ∙ � �� 右辺 仕事 W 表す ( ライ 3 目 )
�
�� �� = �
�
�� � ∙ � = � �� �� ∙ � + � ∙ �� �� = � �� �� ∙ � あ
( 辺 )= �=�
�
�=� � �
�� �� �� = �� � − �� �
� = �� 運動エ ル 呼ぶ
従 �� � − �� � = �
( 物体 運動エ ル 変化 ) = ( 物体 さ た仕事 )
基礎講 物理 ( 物理学 2 対応 先進工学部 情報学部対象 )
担当 : 福川賢治 (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/kogakuin)
有用 サイ 武藤さ 講義
(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft13389/education.html)
第 1 回 ニュ ン 法則 (6/13)
第 2 回 運動方程式 一定 力 受け 運動 (6/20)
第 3 回 仕事 エ ル (6/27)
仕事 定義
運動エ ル 仕事 関係
第 4 回 エ ル 保存則 (7/4)
第 5 回 単振動 (7/11)
1
仕事 定義
一直線 物体 動く
A B ま 動く
床 x
� = � , �
∆ = ∆ , 0
( 仕事 Δ W )
= ( 動いた距離 ) × ( そ 方向 掛けた力 )
= � ∆
単位 : [N] × [m]=[N m]=[J] (Joule, ュ ル )
基本単位 表す [kg m 2 /s 2 ]
x
A � = � , 0 B
� = � , �
区間 Δx → 0 す 極限
A B 間 力 � 行う仕事 足し合わせ
� =
�=
�= � � �� =
�=� �
�=� �
� � �� �� ��
= �=� �=� � � � � � � ��
一般 場合 ( 問 1, 2, 6,7)
� = � , � 大 さ F す
∆ ル 軌道 方向 向いた大 さ ∆ 微小 ル
2 ル す角 Θ す
( 微小 仕事 Δ W )
= ( 動いた距離 ) × ( そ 方向 掛けた力 )
= ∆ � cos �
= ∆ ∙ � ( ル 内積 定義 )
= � ∆ + � ∆ + � ∆
Θ
� = � , �
A (x A ,y A )
B (x B ,y B )
A B ま 動く 仕事 W
∆ → 0 極限 微小区間 仕事 足し いく い
す わち � =
�=
�= � ∙ �� = � � + � �
= �=� �=� � � � � �� + �=� �=� � � � � �� = �=� �=� � � � ∙ � ��
赤 積分 線積分
呼ぶ
仕事率 P (Power) ( 問 5)
単位時間内 く い 仕事 行わ い 表す物理量
� = �� �� ( 仕事 W 時間微分 表さ )
単位 : [J/s]=[kg m 2 /s 3 ] W (Watt, ワッ ) 表さ
場 概念 ( 問 2,4)
場 時間的 空間的 分布し い 物理量
一般 時間 t 位置 (x,y,z) 関数 表さ
例. 重力場 電磁場
基礎講 物理 ( 物理学 2 対応 先進工学部 情報学部対象 )
担当 : 福川賢治 (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/kogakuin)
有用 サイ 武藤さ 講義
(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft13389/education.html)
進藤さ 講義 ライ
(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft13245/lecture/2015/Phys2/index.html)
第 1 回 ニュ ン 法則 (6/13)
第 2 回 運動方程式 一定 力 受け 運動 (6/20)
第 3 回 仕事 エ ル (6/27)
第 4 回 エ ル 保存則 (7/4)
保存力 ポテン ャルエ ル
ポテン ャルエ ル 計算
多次元 ポテン ャルエ ル 偏微分
力学的エ ル 保存則
第 5 回 単振動 (7/11)
保存力 ポテン ャルエ ル
A 点 B 点ま 力 受け 質点 動く時
一般 質点 受け 仕事量 W
1 , W 2 , W 3 経路 異
し 質点 うけ 仕事 運動経路 い (W
1 = W 2 = W 3 ) 時
質点 動 す力 保存力 呼ぶ
保存力 す 仕事 位置 従
� = � � , , − � � , ,
位置 関数 U(x,y,z) 考え こ
こ 関数 U(x,y,z) 力 � ポテン ャル ( エ ル ) 呼ぶ
1. ポテン ャル カラ 関数 あ ル 扱い 簡単
2. エ ル 保存則 運動 解 く 速 等 情報 得 こ
A
B
W 1
W 2
W 3
2 1
3
標 x 点 標 x +Δ x 点ま 保存力 動く際 仕事 ΔW
ΔW = F x Δ = U(x) – U( +Δ )
ここ � =
− � +∆ −�
∆ (F x Δ 間 一定 場合 )
実際 F
x 運動中変わ え
式 Δ → 0 す � = −
��
�
従 -U(x) F x x い 原始関数 � = − � �
物体 点 A ( 標 x A ) 点 B ( 標 x B ) ま 動く 物体 さ 仕事
� = � � = −� = � − �
ポテン ャルエ ル 計算 ( 問 2, 問 3 )
物理的 興味 あ ポテン ャルエ ル 差
従 基準 点 人間 勝手 定め こ
( 標 原点 人間 勝手 い 同 ) 簡単 ため 一次元 考え
� = � , 0
多次元 ポテン ャル エ ル 偏微分 ( 問 1)
Θ
� = � , �
(x,y)
( +Δ x , +Δ )
短い時間 次元 保存力 � = � , � 受け
点 (x,y) 点 ( +Δ , +Δ ) へ動く物体 微小運動 考え
物体 さ 微小 仕事 ΔW
∆� = � ∆ + � ∆ = � , − � + ∆ , + ∆
Δ = 0 (y 一定 ) した � ∆ = � , − � + ∆ ,
ここ Δ →0 極限 � = −lim ∆ →
� +∆ , −� ,
∆
こ 右辺 limit 以降 U x 偏微分 び � = −
�� ,
� う
∂ 記号 用い 表す
� = − �� , � , � = − �� , � ま め 書く � = − �� � , − �� � = −∇�
( ∇ : ブラ (nabla) 呼ぶ微分 ル演算子 )
� = �= �= � � ∙ ��
力学的エ ル 保存則 ( 問 4)
前回 ライ 最後 式 �� � − �� � = �
こ 前 力 保存力 場合 成 立 式
� = � , , − � , ,
組 合わせ
�� � − �� � = � , , − � , , す
�� � + � , , = �� � + � , , = ( 定数 )
運動エ ル K = ��
ポテン ャルエ ル U 和 K+U=E 一定
こ エ ル 保存則 呼ぶ
保存力 非保存力
保存力: 重力 万有引力 弾性力 ロン ( 電磁気 ) 力
非保存力 : 摩擦力 垂直効力 抵抗力 人 加え 力 ( 外力 )
保存力 保存さ い 力学的エ ル
実際 化学エ ル 熱エ ル エ ル 原子核エ ル
様々 形態 エ ル 存在し 全エ ル 保存す 考え い
こ う 力学的エ ル 種類 エ ル 転換し い 状態
力学的エ ル 散逸した状態 あ 呼ぶ
例 . 1. 摩擦力 : 力学的エ ル 分子 熱エ ル 変換さ
2. 核反応エ ル : 原子核 質量 エ ル へ 変換さ
2Q 「物理学 2 」対応 第 5 回基礎講座 (2016/7/11) 資料 ( 福川 )
1 単振動の公式について
以下では単振動の運動方程式
md
2x(t)
dt2 = −kx(t) (1.1)
を解くことを考える。ここで、k はばね定数である。ばねの運動では、この微分方程式は 全ての時刻 t で成り立っている必要がある (t = 0 秒で成り立っており、t = 100 秒で成り 立っていないとなどということはありえない)。微分方程式 Eq. (1.1) を見ると
d2x(t)
dt2 ∝ x(t) (1.2)
であることが分かる。∝ は比例している (be proportional to) という意味の数学記号で ある。
ここで、微分方程式 Eq. (1.1) を解く前に指数関数 exについて振り返っておこう。e は自 然対数の底でネイピア数と呼ばれている数である。値は e = 2.71828182845904523536 · · · であり、無限に続く、無理数 (更に細かく言えば超越数) という種類の数である。ネイピ ア数は、初めて対数を研究したジョン・ネイピアに因んでいる。e をはじめて見出そうと したのは、17 世紀後半の数学者であるヤコブ・ベルヌーイであると呼ばれる。ベルヌー イによる e の定義は、現在の高校の教科書でも恐らく主流である、
e ≡ limn→∞ (
1 + 1 n
)n
(1.3) である。これは利子の複利計算の関係で導き出された式である。また、≡ は右辺で左辺 を定義する意味の数学記号である。この定義で、1/n = ∆t と書き換えると、
e = lim
∆t→0(1 + ∆t)
∆t1 (1.4)
となる。ここで、両辺を ∆t 乗すると、∆t → 0 の極限で
e = 1 + ∆t (1.5)
ここで、右辺を 1 になるように変形すると、
∆t→0lim
e∆t− 1
∆t = 1 (1.6)
となる。これは、18 世紀の数学者であるオイラーにより発案された定義であり、以下で はこの定義を用いる。
この定義を用いると、 d(et)
dt = lim∆t→0
et+∆t− et
∆t = e
t lim
∆t→0
e∆t− 1
∆t = e
t
1
から、 d dte
t= et (1.7)
である。つまり、et の t による微分は et となり元に戻ることが容易に分かる。逆に、微 分をして元に戻る関数は指数関数に関係した関数である。従って、Eq. (1.2) が成立する ために、解は
x(t) = eλt (1.8)
という形であると考えられる (他に x(t) = 0 [常に止まっている] という自明な解 (trivial solution)もあるが、ここでは運動する解を考えるので、x(t) ̸= 0 の解を考えよう)。Eq. (1.8) を Eq. (1.1) に代入して、λ を決定する。すると、
d2
dt2x(t) = λ
2eλt
= λ2x(t) であるので、
(mλ2+ k)x(t) = 0 (1.9) が成り立つ。x(t) ̸= 0 の解を考えるので、この式は x(t) で割ることができ、
mλ2+ k = 0 (1.10)
という式を導くことができる。この Eq. (1.10) を微分方程式 Eq. (1.1) の特性方程式と呼 ぶ。m, k がともに正であることに注意すると、λ2 = −k
m は負の数であるので、λ は虚数 を用いて表されることが分かる。すなわち、
i ≡√−1 (1.11)
で定義される虚数単位 (imaginary unit) を用いて、
λ = iω, −iω (1.12)
となる。但し、
ω =√ k
m (1.13)
とした。もともと解を Eq. (1.8) のようにおいていたので、Eq. (1.1) には二つの解 x1(t) = eiωt, x2(t) = e−iωt (1.14) があることが分かる。
微分方程式 Eq. (1.1) の一般的な解を書くために、微分の線形性についても触れておく 必要がある。微分という操作は関数 f1(t)を新たに d
dtf1(t)とする数学上の操作 (数学用語 を用いて言うと、関数から関数への写像) である。微分という操作が線型であるというこ とは、以下の二つの式を満たすことである。a を定数とし、関数を f1(t), f2(t)とすると、
d
dt(f1(t) + f2(t)) = d dt1(t) +
d
dtf2(t) , d
dt(af1(t)) = a d
dtf1(t) . (1.15) 2
この二つの式を用いると、一般に定数 a1, a2 と関数 f1(t), f2(t)に対して d
dt(a1f1(t) + a2f2(t)) = a1 d
dtf1(t) + a2 d
dtf2(t) (1.16) が成り立つことが分かる。通常は線型性と書くとこの式をイメージすることが多い。 Eq. (1.16) を再度時間微分し、Eq. (1.16) 自身を繰り返し用いると、
d2
dt2(a1f1(t) + a2f2(t)) = a1 d2
dt2f1(t) + a2 d2
dt2f2(t) (1.17) が成り立つので、一般には n を整数として
dn
dtn(a1f1(t) + a2f2(t)) = a1 dn
dtnf1(t) + a2 dn
dtnf2(t) (1.18) が成り立つ。
微分方程式 Eq. (1.1) の解を書く話に戻る。Eq. (1.14) の解を用いると、微分の線型性 から、
md
2
dt2(a1x1(t) + a2x2(t)) = m (
a1
d2
dt2x1(t) + a2 d2 dt2x2(t)
)
= a1
( md
2
dt2x1(t) )
+ a2
( md
2
dt2x2(t) )
= a1(−kx1(t)) + a2(−kx2(t))
= −k(a1x1(t) + a2x2(t)) (1.19) である。よって、x1(t) と x2(t) の重ね合わせ
x(t) = a1x1(t) + a2x2(t) = a1eiωt+ a2e−iωt (a1, a2は定数) (1.20) もまた、微分方程式 Eq. (1.1) の解である。Eq. (1.20) の右辺の形を x1(t), x2(t) の一次 結合と呼ぶ。また解がこのような一次結合で表されることを、解の重ね合わせの原理と 呼ぶ。微分方程式 Eq. (1.1) の解は Eq. (1.20) のような、2 つの定数を持つことが知ら れているので、Eq. (1.20) が Eq. (1.1) の最も一般的な解といえる。従って、Eq. (1.20) は Eq. (1.1) の 一般解と呼ばれ、x1(t), x2(t) は Eq. (1.1) の基本解と呼ばれる。基本解 の選び方は一般には無数に存在するが (座標系の設定の仕方が無限に存在するのと同じ)、 x1(t)/x2(t) ̸= c (c は定数) となっている必要がある(このことを x1(t) と x2(t) が一次 独立であると呼ぶ)。x1(t)/x2(t) = cであると (このことを x1(t) と x2(t) が一次従属であ ると呼ぶ)、x1(t) が x2(t) で書けるので、積分定数一つで解が書けてしまう。
実際には、x(t) は物体の位置を表しているのだから、一般解 Eq. (1.20) は実数である はずである。従って、実数の組み合わせで書けるはずである。その準備として、複素数の 共役ということを見ておこう。複素数は実数 a, b を用いて一般に
z = a + ib (1.21)
と表される。a を実部 (real part), b を虚部 (imaginary part) と呼び、よくそれぞれ Re z, Im z と書く。ここで、z の共役複素数 (complex conjugate) ¯z を虚部の符号を変えた、
z ≡ a − ib¯ (1.22)
3
で定義する。共役複素数の共役複素数は元の数に戻るので、
¯¯z = z (1.23)
また z が実数であるということは、b = 0 であるので、
z = ¯z (1.24)
であるということである。また、自身の共役複素数との足し算、または掛け算は z + ¯z = (a + ib) + (a − ib) = 2a,
z ¯z = (a + ib)(a − ib) = a2 − iab + iab + i(−i)b2 = a2+ b2 (1.25) となり、これらは実数になる。
一般解 Eq. (1.20) は書けたわけであるが、解が指数が複素数の指数関数 (以下複素指数 関数と呼ぶ) で表されている。複素指数関数は何か?ということが当然問題になる。指数 が実数の場合の指数関数 (以下実指数関数) を拡張して、複素指数関数を定義する。その ために、マクローリン展開を用いる。マクローリン展開とは、以下のようなものである。 関数 f(z) が z について無限回微分可能 (実は変数が複素数の場合、関数が一回微分可能 ならば無限回微分可能である) とすると、f(z) は多項式の和で表されて、
f (z) = f (0) +( df dz(0)
) z + 1
2! ( d2f
dz2(0) )
z2+ · · · + 1 n!
( dnf dzn(0)
)
zn+ · · · (1.26) となる。ここで、複素指数関数と引数が複素数の三角関数を以下で定義する。
ez ≡ 1 + z + 1 2!z
2+ 1
3!z
3+ 1
4!z
4+ · · · cos z ≡ 1 − 1
2!z
2+ 1
4!z
4+ · · ·
sin z ≡ z − 1 3!z
3+ 1
5!z
5− · · ·
(1.27) ここで、z = iθ と置いて、eiθ を実際に計算すると、
eiθ = 1 + iθ + 1 2!(iθ)
2+ +1
3!(iθ)
3+ 1
4!(iθ)
4
= (
1 −2!1θ2+ 4!1θ4+ · · · )
+ i (
θ −3!1θ3+ · · · )
= cos θ + i sin θ となるので、オイラーの公式
eiθ = cos θ + i sin θ (1.28) が成り立つ。この複素共役は、
cos θ − i sin θ = cos(−θ) + i sin(−θ) = e−iθ (1.29) 4
である。オイラーの公式から
ei(α+β)= cos (α + β) + i sin (α + β) であるが、一方、ei(α+β)= eiαeiβ なので
ei(α+β)= eiαeiβ = (cos α + i sin α)(cos β + i sin β)
= (cos α cos β − sin α sin β) + i(sin α cos β + cos α sin β) であるから、三角関数の加法定理
cos(α + β) = cos α cos β − sin α sin β
sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β (1.30) が直ちに導ける。
一般解 Eq. (1.20) を書き直す準備が整った。x(t) は実数であるので、Eq. (1.24) を用い ると、常に x(t) = x(t) が成立する。Eq. (1.20) の複素共役をとると、Eq. (1.29) を用い、
x(t) = a1e−iωt+ a2eiωt (1.31) となる。どんな t に対しても x(t) = x(t) が成立するためには
a1 = a2, a2 = a1 (1.32) である必要がある。ただし Eq (1.23) から、1 番目の式と 2 番目の式は同じ式を表す。し たがって、a1 と a2 はお互いにもう一方の共役複素数なので、
a1 = 1
2(C1 − iC2), a2 = 1
2(C1+ iC2) (C1, C2は実数) (1.33) とおける。ここで、オイラーの公式 Eqs. (1.28), (1.29) を用いて Eq. (1.20) を書き直すと、
x(t) = a1eiωt+ a2e−iωt
= a1(cos (ωt) + i sin (ωt)) + a2(cos (ωt) − i sin (ωt))
= (a1+ a2) cos(ωt) + i(a1− a2) sin (ωt)
∴x(t) = C1cos (ωt) + C2sin (ωt) (1.34) と書ける。これが通常教科書に載っている公式である。ここでは、減衰振動解も導けるよう なかなり一般的な微分方程式の解法を示したが、もちろん、cos (ωt), sin (ωt) が Eq. (1.1) の一次独立な基本解であることは、代入して微分方程式を満たすことを確認すれば、すぐ に分かるので初めから Eq. (1.34) の形に書いてもちろん良い。
また、Eq. (1.34) から三角関数の合成を行うことも多い。合成は以下のように行う。 x(t) = C1cos (ωt) + C2sin (ωt)
= √C12+ C22
( C1
√C12+ C22
cos (ωt) +√ C2 C12+ C22
sin (ωt) )
= √C12+ C22(sin φ cos (ωt) + cos φ sin (ωt))
= A sin (ωt + φ) (1.35)
5
但し、
A =√C12+ C22, φ = tan−1C1
C2 (1.36)
である。また、最後の等式では加法定理 Eq. (1.30) を用いた。この Eq. (1.35) は振動の 式である。この A を振幅 (amplitude), ωt + φ を位相 (phase) と呼ぶ。また、t = 0 の時 の位相 φ を初期位相と呼ぶ。時間 t が 1 [s] 経過すると位相は ω 進むので、T = 2π
ω [s] 経過すると位相が 2π 進んで元の状態に戻る。この T を周期 (period) と呼ぶ。また一秒 間に f = 1
T 振動することも分かる。これを振動数 (frequency) と呼ぶ。また、ω = 2πf を角振動数と呼ぶ。
また、Eq. (1.34) の実数 C1, C2 は初期条件を解いて求めることができる。すなわち、 t = 0 の時 x(0) = x0, dx
dt(0) = v0 とすると、Eq. (1.34) から、 dx
dt(t) = −ωC1sin (ωt) + ωC2cos (ωt) (1.37) なので、C1 = x0, ωC2 = v0 であるため、
x(t) = x0cos (ωt) + v0 ω0
sin (ωt) (1.38) となる。また、解として Eq. (1.35) の表式を用いると、
dx
dt(t) = Aω cos (ωt + φ) (1.39) なので、力学的エネルギー E は
E = 1 2m
( dx dt(t)
)2
+1
2k(x(t))
2
= 1
2m(Aω)
2cos2(ωt + φ) + 1
2kA
2sin2(ωt + φ)
= 1 2kA
2(cos2(ωt + φ) + sin2(ωt + φ)) (∵ Eq. (1.13)を代入)
= 1 2kA
2 (1.40)
となり、時間によらず一定になり、力学的エネルギー保存則が成り立つことが分かる。
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