ある種の分布関数不等式を用いたティープリッツ
及びハンケル作用素の解析
修士論文 ( 東北大学 )
濱田道昭
平成 14 年 1 月 31 日
序論
Dを複素平面の単位開円板, T を複素平面内の単位円周とする. f ∈ L∞(T) に対して, Hardy 空 間 H2上の作用素Tf, Hgを
Tfg = P (f g), Hfg = J(I− P )(fg)
と定義して, それぞれ H2上のToeplitz 作用素, Hankel 作用素と呼ぶ. ここで P は L2からH2へ の射影作用素, J は L2上のunitary 作用素で Jf (w) = wf (w) で定義されるものである. ただし次 の作用素HfをHankel 作用素と呼ぶ研究者も多い: Hfg = (I− P )(fg). この定義より明らかなよ うにHfはH2から(H2)⊥への有界線型作用素である. 本論文では Hfの方をHankel 作用素と呼 ぶが,Hf,Hf はともに類似の性質を持つ作用素である. ひとつの例としては H2, (H2)⊥の標準的 な基底について行列表現をすると, Hf,Hf は共にskew-diagonal が等しい無限行列となる.
Toeplitz 作用素と Hankel 作用素のコンパクト性に対しては昔より多くの研究がなされてきた. その中でも特に美しい結果は, 1970 年代後半に Axler-Chang-Sarason-Volverg ([1],[20]) によって 与えられた, Toeplitz 作用素の semi-commutator のコンパクト性の特徴付けであろう. その証明に はH∞ (:= H2∩ L∞) における関数論 (Corona の定理, Chang-Marshall の定理など) と共に, あ る種の分布関数不等式 (Distribution function inequality) が本質的に使われる. Toeplitz 作用素, Hankel 作用素の解析にこのような分布関数不等式が用いられたのは [1] が最初である. その後 90 年代にZheng ([26]) が, Toeplitz 作用素の semi-commutator のコンパクト性に対するもうひとつ の同値条件を与えた. 以上は次のようにまとめられる.
Theorem 0.1 ([1],[20],[26]) f, g∈ L∞とする. この時以下は同値である. (1) ([Tf, Tg) :=) TfTg− Tf gがコンパクト作用素.
(2)∥Hfkz∥2∥Hgkz∥2→ 0 (z → T).
(3) 任意の m∈ M(H∞+ C) に対して f|supp m∈ H∞|supp m またはg|supp m∈ H∞|supp m
(4) H∞[f ]∩ H∞[g]⊆ H∞+ C.
ここでC は T 上の複素数値連続関数空間を, M (H∞+ C) は H∞+ C の maximal ideal space を, さらに supp m は m の (一意に定まる) 表現測度の support を表すとする (詳細については本 文を参照). さらにこれらの方法を発展させ 1999 年に Gorkin-Zheng は二つの Toeplitz 作用素の commutator のコンパクト性を次のように特徴付けた.
Theorem 0.2 ([10]) f, g∈ L∞とする. この時以下は同値である. (1) ([Tf, Tg] :=) TfTg− TgTfがコンパクト作用素.
(2)∥(Hfkz)⊗ (Hgkz)− (Hgkz)⊗ (Hfkz)∥ → 0 (z → T). (3) 任意の m∈ M(H∞+ C) に対して次のどれかが成り立つ:
(a) f|supp m∈ H∞|supp mかつg|supp m∈ H∞|supp m. (b) f|supp m∈ H∞|supp mかつg|supp m∈ H∞|supp m.
(c) 同時には 0 にならない a, b∈ C が存在して, (af + bg)|supp mが定数. (4) H∞[f, g]∩ H∞[f , g]∩ T
(a,b)̸=(0,0)
H∞[af + bg, af + bg]⊆ H∞+ C.
上の二つの結果に関連して, 比較の為に Brown-Halmos ([3]) による次の結果を挙げておく: TfTg= 0 となる必要十分条件はf ∈ H∞またはg∈ H∞となることである. また TfTg− TgTf = 0 となる
必要十分条件はf, g∈ H∞またはf , g∈ H∞ または, ある同時には 0 にならない複素数 a, b が存 在してaf + bg が定数となることである.
本論文では, Toeplitz 作用素 (正確には analytic Toeplitz 作用素) と Hankel 作用素の積のコンパ クト性, 及び二つの Hankel 作用素の commutator のコンパクト性を Theorem 0.1, Theorem 0.2 と 類似の方法で, ある種の分布関数不等式を用いることにより特徴付けた. 本論文の主結果は以下で ある.
Theorem 0.3 (主結果 1) f ∈ H∞, g∈ L∞のとき次は同値である. (1) TfHgがコンパクト作用素.
(2) limz→T∥Tfkz∥2
°°Hg∗kz
°
°2= 0.
(3) 任意の m∈ M(H∞+ C) に対して f|supp m= 0 または g∗|supp m∈ H∞|supp m. (4) H∞[f , f g∗]∩ H∞[g∗]⊆ H∞+ C
ここでf∗はf∗(w) = f (w) で定義される.
Theorem 0.4 (主結果 2) f, g∈ L∞とする. この時以下は同値である. (1) ([Hf, Hg] =) HfHg− HgHfがコンパクト作用素.
(2)∥Fz∥ = ∥(Hfkz)⊗ (Hg∗kz)− (Hgkz)⊗ (Hf∗kz)∥ → 0 (z → T). (3) 任意の m∈ M(H∞+ C) に対して次のどれかが成り立つ:
(a) f|supp m∈ H∞|supp m かつg|supp m∈ H∞|supp m. (b) f∗|supp m∈ H∞|supp mかつg∗|supp m∈ H∞|supp m. (c) 同時には 0 にならない a, b∈ C が存在して,
(af + bg)|supp m∈ H∞|supp mかつ(af + bg)∗|supp m∈ H∞|supp m. さらにf, g∈ H∞であるとき上は次とも同値である.
(4) H∞[f, g]∩ H∞[f∗, g∗]∩ T
(a,b)̸=(0,0)
H∞[af + bg, (af + bg)∗]⊆ H∞+ C.
比較のため, Brown-Halmos の手法 ([2]) を用いて示せる次の結果を挙げる:
• TfHg = 0 (f ∈ H∞)⇔ f = 0 or g ∈ H∞.
• HfHg− HgHf = 0⇔ ∃(a, b) ̸= (0, 0), af + bg ∈ H∞ ([25]).
主結果2 の corollary として Hankel 作用素が本質的正規作用素になる必要十分条件も得られる. Theorem 0.3 と 0.4 の証明で用いられる, 分布関数不等式は, それぞれ以下のものである (記号の 詳細については, セクション 2 を参照).
Proposition 0.5 l > 2 を任意に固定する. このとき p, r∈ (1, 2) で 1/l + 1/r = 1/p を満たすも のと, 十分大きな a > 0 に対して, ある定数 Ca > 0 が存在して
¯
¯
¯
nw∈ Iz: A2δ(z)(Sfu)(w)A2δ(z)(Hgv)(w)
< a2£|f|l(z)¤1/l£|g−− g−(z)|l(z)¤1/l inf
w∈Iz
Λr(u)(w) inf
w∈Iz
Λr(v)(w)o¯¯¯ ≥ Ca|Iz|
が 任 意 の f, g ∈ L∞, u ∈ (H2)⊥, v ∈ H∞, 1/2 < |z| < 1 に対して成立する. ここで Ca は lima→∞Ca = 1 となるものを取ることができる.
Proposition 0.6 f, g ∈ L∞を固定する. 任意の 2 < l < 3 と十分大きな a > 0 に対して定数 Ka> 0 と r∈ (1, 2) が存在して
¯
¯
¯
¯
½
w∈ Iz: B2δ(z)(u, v)(w) < a2Nl∥Fz∥(l−1)/l inf
w∈Iz
Λr(u)(w) inf
w∈Iz
Λr(v)(w)
¾¯
¯
¯
¯≥ Ka|Iz| が任意の1/2 <|z| < 1 と u, v ∈ H∞について成立する. さらに Kaはlima→∞Ka = 1 なるよう にとることができる. ここで Nlはl にのみ依存する正定数である.
各セクションの概略であるが, まずセクション 1 では主結果の証明に必要な予備知識を準備する. 論点を明確にするために必ずしも証明は書いていない. 次にセクション 2 では分布関数不等式につ いて統一的に扱った. 中には主結果の証明には使われないものもあるが,今後ほかの適用がなされ る可能性を考慮し, あげられている. そしてセクション 3 ではいくつかの必要な lemma の後に主結 果の証明が述べられている. 最後にセクション A では本文中の補足として f|supp m ∈ H∞|supp m
がf∗|supp m∈ H∞|supp mとは一般には同値にならない例などを述べた.
謝辞
本論文を執筆するにあたって多くの方々にお世話になりました. 木村文彦さん, 瀬戸道生さん両 先輩には数学に限らず多くのことを教えて頂きました. 作用素論・作用素環論セミナーにご出席の 先生方は, 私のつたない発表を聞き, いろいろな有益な助言をしてくださいました. 新潟大学の泉 池先生には, 昨年末に開催された研究集会で, セクション A の例を教えて頂きました. 北海道大学 の中路先生は, 忙しい中英語版の本論文を読んでくださいました. また同じ修士課程2年の青山君, 斎藤君∗), 湯川君は, 3 年間共に同じセミナーの仲間として, お互い刺激しあいながら研究を行って きました. そして指導教官の吉野崇先生は, 私たちのことを 3 年間非常に熱心に指導して下さり, 私 が非常に魅力的なToeplitz 作用素, Hankel 作用素の理論について研究をするきっかけを作って下 さいました. これらすべての皆様にこの場を借りまして深く御礼を申し上げます. 本論文を書き上 げることができたのは皆様の力添えのお陰です. 本当に有難うございました.
∗) 斎藤勉君は平成 14 年 1 月 16 日に事故のため亡くなりました. 今まで一緒に頑張ってきた仲間 をこのような形で失うのは非常に残念でやりきれない気持ちで一杯です. ここに斎藤君のご冥福を お祈りしたいと思います.
平成14 年 1 月 31 日
目 次
序論 1
1 準備 5
1.1 Hardy 空間 . . . 5
1.2 Toeplitz 作用素・Hankel 作用素 . . . 7
1.3 Corona 定理と Douglas 代数 . . . 9
1.4 その他の準備 . . . 11
2 分布関数不等式 (Distribution function inequality) 13 3 主結果 21 3.1 いくつかの補題 . . . 21
3.2 Toeplitz 作用素と Hankel 作用素の積のコンパクト性 . . . 24
3.3 本質的可換Hankel 作用素 . . . 29
A 補足 36
参考文献 39
1 準備
このセクションでは本論文に必要な予備知識について述べる. 本論文を通じて D は複素平面の単 位開円板を, T は D の境界 (つまり複素平面内の単位円周) を表すものとする. また dσ で T 上の正 規化されたLebesgue 測度を, dA で D 上の正規化された Lebesgue 測度を表す. 1≤ p < ∞ のとき LpでT上p 乗可積分な関数のつくる空間を, L∞で T 上本質的に有界な関数のつくる空間をあら わす(それぞれのノルムを∥·∥p,∥·∥∞と書く). Lp (1≤ p ≤ ∞) は Banach 空間となるが, 特に L2 は内積〈f, g〉 =
R
Tf gdσ を考えることにより Hilbert 空間となる. さらに C で T 上の複素数値連続 関数のつくるBanach 空間を表す. 以上の通り本論文で使用する関数空間は特に断らない限り T 上 で考える. しかし T 以外の上で同様の空間を考える場合は考える集合を明示することにする.
1.1 Hardy 空間
Definition 1.1 (Hardy 空間) 1≤ p ≤ ∞ に対して Lpの部分空間Hpを Hp=
½
f ∈ Lp : Z
T
f (w)wndσ(w) = 0 (∀n > 0)
¾
で定義してHardy 空間と呼ぶ. Hardy 空間 HpはLpの閉部分空間となり, したがって Banach 空 間である. 特に H2は(L2内積で) Hilbert 空間, H∞はBanach 環1) となる. また
H0p=
½
f ∈ Lp: Z
T
f (w)wndσ(w) = 0 (∀n ≥ 0)
¾
と定義する. 定義より H2の基底は{χn}∞n=0, H02の基底は{χn}∞n=1となることがわかる. ここで T上の関数χnをχn(w) = wnと定義する.
単位元を持つ可換Banach 環 A に対して A の maximal ideal space (i.e., A 上のゼロでない複素準 同型全体) を M (A) と表すことにする. M (A) は weak∗ 位相でコンパクトハウスドルフ空間となる. f ∈ A に対して ˆf : M (A)→ C を ˆf (m) = m(f ) (m∈ M(A)) と定義すると ˆf は M (A) 上の連続関 数となる(今後 ˆf (m) を f (m) と書くことも多い). このとき写像 f ∈ A 7→ ˆf ∈ C(M(A)) を Gelfand 変換と呼ぶ. Gelfand 変換は代数的準同型であるが, 特に任意の f ∈ A に対して ∥f∥2=°°f2°° が成 立するならばGelfand 変換は等距離となる ( i.e., A は C(M (A)) の部分集合と Banach 環として同型 になっている). さらに A が可換 C∗環であるときにはGelfand 変換は A から C(M (A)) の上への∗ 等距離同型(i.e., A と C(M (A)) は C∗環として同型) となことが知られている (Gelfand-Naimark の定理). 本論文ではこれら作用素環論の基本理論は既知として扱い証明は行わない. 詳細について は例えば[5] 2 章, 3 章を見よ.
Proposition 1.2 D は M (H∞) の部分集合と同相である. Proof. f ∈ H1, z∈ D に対して
ϕz(f ) = Z
T
f (w)
1− zwdσ(w) (1.1)
と置くときF : z7→ ϕz|H∞が D からM (H∞) の中への同相写像であることを示す.
ϕz|H∞がH∞で可逆であること: ϕzはH1上の有界線形汎関数であり, p∈ P+ (T 上の analytic
1)A が Banach 環であるとは, A が Banach 空間かつ多元環であり, ノルム条件 ∥f g∥ ≤ ∥f ∥∥g∥ (f, g ∈ A) を満たす ことをいう.
polynomial 全体) に対し, ϕz(p) = p(z) となることが容易にわかる. よって ϕzはP+上でmulti- plicative となる. f, g ∈ H∞に対して, ある analytic polynomial {pn}, {qn} が存在して, n → ∞ のとき∥f − pn∥
2→ 0 かつ ∥g − qn∥2→ 0 となるから ϕz(f g) = lim
n→∞ϕz(pnqn) = limn→∞ϕz(pn)ϕz(qn) = ϕz(f )ϕz(g).
よってϕz|H∞はmultiplicative となる.
F の連続性: 任意の f∈ H∞に対して, (1.1) より ϕz(f ) は D で解析的になることより明らか. F の単射性: z1̸= z2とすると, ϕz1(w) = z1̸= z2= ϕz2(w) より従う.
F−1の連続性: M (H∞) で ϕzn→ ϕz とすると, zn= ϕzn(w)→ ϕz(w) = z より従う. ✷ Remark 1.3 これにより今後 D を M (H∞) の部分集合とみなす. 後で述べるように D は M (H∞) で稠密である.
Proposition 1.4 A を H∞とL∞ の間のclosed algebra とすると, M (A) は M (H∞) の部分集 合と同相である.
Proof. η : M (A)→ M(H∞) を η(m) = m|H∞と定義するとη は連続である. また m∈ M(A) よ り, ある m′∈ (L∞)∗≡ C(M(L∞))∗が存在して, m′|A= m かつ∥m′∥ = ∥m∥ = 1 (Hahn-Banach の定理). よってある M (L∞) 上の正規測度 ν が存在して,
m′(f ) = Z
M (L∞)
f dν,ˆ ∥m′∥ = ∥ν∥
となる. また
ν(M (L∞)) = m′(1) = m(1) = 1 =∥m∥ = ∥m′∥ = ∥ν∥ = |ν|(M(L∞))
よりν は正測度であるから m′ はL∞ 上の正値汎関数である. Gleason-Whitney の定理 (cf.[5, Theorem 6.33]) より m′ はm′|H∞ に応じて一意にに決まる. よって η は一対一. したがって η は
同相写像となる. ✷
Remark 1.5 上の証明により m∈ M(A) ならば, m の L∞上へのHahn-Banach の定理による拡 張は常に正値汎関数であり, 拡張は m|H∞ に応じて一意に決まる. 上の証明における M (L∞) 上の 確率測度ν を m∈ M(A) の表現測度 (representing measure) と呼ぶ. 表現測度も m|H∞ に応じて 一意的に定まる. この測度 ν の台 (support) を m の support set とよび supp m と書く.
m∈ M(H∞) に対してこの一意に決まる拡張を ζ(m) とするとき, f ∈ L∞, m∈ M(H∞) に対し てf (m) = ζ(m)(f ) と定義する. この定義は well-difined であり (Gelfand 変換の定義とも矛盾しなˆ い), さらに M (H∞) 上で連続である. 特に z∈ D(⊂ M(H∞)) のとき
f (z) =ˆ Z
T
f (w)Pz(w)dσ(w) (1.2)
となる. ここで PzはPoisson 核と呼ばれ, z∈ D, w ∈ T に対して Pz(w) = (1− |z|2)/|1 − zw|2で 定義される. 今後 z ∈ D に対して ˆf (z) を単に f (z) と書くことにする. さらに f∈ L1に対しても, z∈ D のとき f(z) =RTf (w)Pz(w)dσ(w) と定義して, f の調和拡張 (harmonic extension) と呼ぶ.
H∞(D) を D 上の有界な正則関数全体のつくる空間で, ノルムとして sup norm を入れた空間と する. このとき H∞(D) は Banach 環となるが, H∞とBanach 環として等距離同型となることが 知られている. 同型写像は H∞の元f に対して, H∞(D) の元としてその調和拡張 ˆf を対応させる ものである(逆写像は f∈ H∞(D) に対してその境界値関数を対応させるようなものである). 従っ て今後H∞とH∞(D) の元は区別をしないで考えることを注意しておく.
Definition 1.6 (内部関数・外部関数) f ∈ H∞がinner function (内部関数) であるとは, ほとん どいたるところで|f| = 1 となることである. また g ∈ H2がouter function (外部関数) であると はgP+がH2で稠密となることである. ここでP+はanalytic polynomial 全体を表す.
1.2 Toeplitz 作用素・Hankel 作用素
Definition 1.7 (Toeplitz・Hankel 作用素) f∈ L∞に対し, H2上の作用素Tf, Hf を
Tfg = P (f g) (g∈ H2) Hfg = J(I− P )fg (g ∈ H2)
と定義して, それぞれ H2上のToeplitz 作用素と Hankel 作用素と呼ぶ. ここで P は L2からH2 への射影作用素, J は L2上のunitary 作用素であり f ∈ L2に対して(Jf )(w) = wf (w) で定義さ れるものである.
Remark 1.8 定義から容易にわかるように, J は次の性質を持つ: (1) J2= I (J = J∗).
(2) J(I− P ) = P J (JP = (I − P )J).
Remark 1.9 次の作用素HfをHankel 作用素と呼ぶこともある: Hfg = (I− P )fg (g ∈ H2).
定義よりHf はH2から(H2)⊥への有界線型作用素であり, Hf = JHfとなる. また (H2)⊥上の 作用素Sfを
Sfg = (I− P )(fg) (g ∈ (H2)⊥)
で定義してdual-Toeplitz 作用素と呼ぶ.
Proposition 1.10 (Toeplitz 作用素の性質) f, g∈ L∞のとき次が成立する. (1) Tf∗= Tf.
(2) Tαf +βg= αTf+ βTg, α, β ∈ C. (3) Tf = 0⇔ f = 0.
(4)∥Tf∥ = ∥f∥∞.
(5) f∈ H∞またはg∈ H∞⇒ TfTg= Tf g.
Proof. 定義より容易に示せる. ✷
Proposition 1.11 (Hankel 作用素の性質) f, g∈ L∞のとき次が成立する.
(1) Hf∗= Hf∗. ただし f∗(z) = f (z) とする. (2) Hαf +βg= αHf+ βHg α, β∈ C. (3) Hf = 0⇔ f ∈ H∞.
(4)∥Hf∥ = dist(f, H∞). ただし dist(f, H∞) = inf{∥f − g∥∞: g∈ H∞} とする.
(5)∥Hf∥ess= dist(f, H∞+ C). ただし∥A∥ess= inf{∥A + K∥ : K はコンパクト作用素 }. Proof. (1)∼(3) は定義により容易に示せる. 残りは容易ではないが良く知られている結果なので
証明は省略する. 例えば [17], [25] などを見よ. ✷
Proposition 1.12 f, g∈ L∞とする. (1)H∗fHg= Hf∗Hg = Tf g− TfTg. (2) f∈ H∞ならばTf∗Hg= HgTf∗. (3) f∈ H∞ならばSfHg =HgTf.
Proof. 定義より容易に示される. ✷
Lemma 1.13 (Adamyan-Arov-Krien Theorem) f ∈ L∞で∥f∥∞< 1 とする. このときあ るunimodular function (i.e., 絶対値が 1) u∈ f + H∞が存在してTuが可逆となる.
Proof. F : C→ [0, ∞) を F (c) = dist(f + c, zH∞) と置く.Proposition 1.11 (4) より F (c) =
∥Hzf +¯¯ zc∥ であるから F は連続関数である.また F (0) = ∥Hzf¯ ∥ ≤ ∥f∥∞< 1 かつ F (c)→ ∞ (|c| →
∞) より中間値の定理を用いるとある c ∈ C に対して F (c) = 1 となる.fc = f + c と置くと dist(¯zfc, H∞) = dist(fc, zH∞) = 1.
これは∥Hzf¯
c∥ = 1 を意味する.また dist(fc, H∞) = dist(f, H∞) < 1 であるから dist(¯zfc, H∞+ C)≤ dist(¯zfc, ¯zH∞) = dist(fc, H∞) < 1
より∥Hzf¯c∥
ess< 1 (Proposition 1.11 (5)). よって Hzf¯cはそのノルムをattain する (一般に作用素 A がノルムを attain しないなら,任意のコンパクト作用素 K に対して∥A + K∥ ≥ ∥A∥ となる).
次にF ∈ ¯zfc+ H∞で∥F ∥∞ = 1 なるものとする.上述の通りある H2の単位ベクトルg で
∥HFg∥ = ∥HF∥ = 1 なるものが存在する.このとき
1 =∥HFg∥ = ∥(I − P )(F g)∥ ≤ ∥F g∥ ≤ ∥g∥ = 1
であるからF が unimodular でなければならない.u = zF と置くと u は unimodular かつ u ∈ f + H∞である.
dist(u, H∞) = dist(f, H∞) < 1
であるから∥Hu∥ < 1. よって任意の h ∈ H2に対して,
∥Tuh∥2=∥uh∥2− ∥Huh∥2≥ (1 − ∥Hu∥2)∥h∥2
であるからTuは左可逆.上で得られた単位ベクトルg∈ H2に対して
∥Tzu¯ g∥2=∥TFg∥2=∥g∥2− ∥HFg∥2= 0
となる.よってTug∈ ker Tz¯であるがTuは左可逆であるから,ある定数λ̸= 0 が存在して Tug = λ となる.よって1∈ TuH2. また
z = Tz1 = TzTu
g
λ= TzTu¯zz g
λ = TzTz¯ hTu
³zg λ
´i
= Tu
³zg λ
´−hTu³zλg´i(0)
であるからz∈ TuH2.帰納的にzn ∈ TuH2(n≥ 0) が得られる.よって Tuはbounded below か
つdense range であるから可逆である. ✷
Remark 1.14 上で u は H∞[u] (i.e.H∞とu で生成される L∞のclosed subalgebra) で可逆であ る.
Proof. ある unimodular 関数 v と outer function uoが存在してu = vuoとできる([5, Corollary 6.25]2)).uoはouter かつ L∞で可逆であるから,H∞で可逆である([5, Proposition 6.20]3)).よっ てTuoは可逆([5, Theorem 7.21]4)).Tu= TvTuo であるからTvも可逆であることがわかる.よっ てあるouter function h が存在して∥v − h∥ = ∥1 − vh∥ < 1 となる ([5, Corollary 7.31]5)).した がってvh は H∞[v] で可逆.ところで uoはouter であり u = vuoであるから,H∞[v] = H∞[u]. さらにh は outer かつ L∞で可逆よりH∞で可逆.したがってu は H∞[u] で可逆である. ✷
1.3 Corona 定理と Douglas 代数
以下のTheorem 1.15, Theorem 1.17 は本論文で本質的な役割を果たす. しかし証明は相当の準 備を必要とし, 本論文の趣旨とは外れるので省略する.
Theorem 1.15 (Carleson の Corona 定理) (cf.[6],[8]) D は M (H∞) に稠密に埋め込める. Definition 1.16 (Douglas 代数) ある inner functions から成る H∞の部分集合B に対して, H∞ とB で生成される L∞のclosed algebra (これを [H∞,B] または H∞[B] と書く) を Douglas 代数 と呼ぶ.
Theorem 1.17 (Chang-Marshall) ([4],[16])
(1) B を L∞とH∞の間のclosed algebra とする. このとき inner functions から成る H∞の部分 集合B が存在して MB = M
[H∞,B]となる.
(2) A, B を L∞とH∞の間のclosed algebra とする. このとき M (A) = M (B) ならば A = B と なる.
Remark 1.18 (1), (2) より L∞とH∞の間の任意のclosed algebra は Douglas 代数である. し たがって今後H∞とL∞の間のclosed algebra を Douglas 代数と呼ぶ.
Douglas 代数の maximal ideal space については次のような特徴づけができる.
2)f ∈ L2
が|f | ≥ ε > 0 を満たすとき, ある outer function g が存在して, |g| = |f | となる.
3)ϕ ∈ H∞
がH
∞
で可逆である必要十分条件は, ϕ が L
∞
で可逆かつouter function となることである.
4)ϕ ∈ H∞
のとき, Tϕが可逆である必要十分条件はϕ が H
∞
で可逆となることである.
5)ϕ ∈ L∞をunimodular function とするとき, Tϕが可逆となる必要十分条件は, ある outer function ψ が存在し て∥ϕ − ψ∥
∞< 1 となることである.
Proposition 1.19 B を Douglas 代数とする. よってある inner functions から成る H∞の部分集 合B が存在して B = [H∞,B] となる. このとき
M (B) = \
ϕ∈B
{m ∈ M(H∞) :|ϕ(m)| = 1} .
Proof. m∈ M(B), ϕ ∈ B とする. ϕ ∈ B であるから |m(ϕ)|2 = m(ϕ)m(ϕ) = m(ϕ)m(ϕ) = 1. 逆向きを示す. m∈ M(H∞) を固定する. 任意の ϕ∈ B に対して |m(ϕ)| = 1 とすると, すぐ後に 証明するLemma 1.20 より ϕ|supp mは定数. よって m∈ M([H∞,B]) = M(B) である. ✷ H∞+ C は closed algebra であり (cf.[5, 6.31]), H∞を真に含む最小のDouglas 代数である (cf.[5, Corollary 6.40]) ことが知られている. また Proposition 1.19 を用いると M (H∞+C) は M (H∞)\D と同一視することができる(cf.[5, Corollary 6.42]).
Lemma 1.20 u を unimodular function で m∈ M(H∞) とする. このとき|m(u)| = 1 となる必 要十分条件はu|supp mが絶対値1 の定数になることである.
Proof. |m(u)| = 1 とする. supp m 上で |u| = 1 であるから, m の表現測度を µmとすると 1 =|m(u)| =
¯
¯
¯
¯ Z
supp m
udµm
¯
¯
¯
¯≤ Z
supp m|u|dµ m= 1.
よってu|supp mは絶対値1 の定数となる. 逆は明らか. ✷
Lemma 1.21 m∈ M(H∞), f ∈ L∞とする. このとき
m∈ M(H∞[f ])⇐⇒ f|supp m∈ H∞|supp m.
Proof. (→) Chang-Marshall の定理よりある inner function の部分集合 B が存在して, H∞[f ] = H∞[B] となる. 任意の b ∈ B に対して 1 = |m(bb)| = |m(b)|2 と な る. よって|m(b)| = 1. Lemma 1.20 より b|supp mはunimodular constant. H∞|supp mは閉集合である6) からf|supp m∈
H∞|supp m.
(←) f|supp m∈ H∞|supp mとする. このときある g∈ H∞が存在してf|supp m= g|supp mとなる. m の表現測度を µmとすると
m(ϕ) = Z
supp m
ϕdµm
であるから, 任意の n と任意の h∈ H∞に対して, m(hfn) = m(hgn) = m(h)m(g)n = m(h)m(f )n
である. よって m∈ M(H∞[f ]) である. ✷
Corollary 1.22 m∈ M(H∞) とする. このとき
m∈ M(H∞[f, g])⇐⇒ f|supp m∈ H∞|supp mかつg|supp m∈ H∞|supp m.
Proof. (→) Lemma 1.21 より明らか. (←) Lemma 1.21 の証明より明らか. ✷ 次はD. Sarason による unpublished result である.
6)[12, p207] より support set は weak peak set であるから, [7, p57] より H∞|supp mはC(supp m) の closed algebra になる.
Lemma 1.23 (Sarason) AαをDouglas 代数の族とするとき M (∩Aα) = [∪M(Aα)]∼
が成立する. ただし [X]∼は位相空間X の閉包を表す.
Proof. ([10]) AαのどれかがH∞である時は結果は明らか. よってすべての AαがH∞+ C を 含むと仮定する. [∪M(Aα)]∼ ⊆ M(∩Aα) となることは容易にわかる. 逆の包含関係を示すため にm ∈ M(H∞+ C) かつ m /∈ ∪[M(Aα)]∼とする. このときある m の開集合 V が存在して [V ]∼∩ [∪M(Aα)]∼=∅ となる.
case 1. m が non-trivial point (Gleason part7)が一点でない) の場合
[13] より補間 Blaschke 積 b が存在して, b の零点の閉包が [V ]∼に含まれm(b) = 0 となる. よって b は任意の α に対して Aαで可逆である. よって b∈ ∩Aα. 今 m(bb) = 1 である一方 m(b) = 0 であ るから, m(b)m(b) = 0. よって m /∈ M(∩Aα).
case 2. m が trivial point (Gleason part が一点) の場合.
[9, Corollary 3.2] により non-trivial point x∈ V で supp x ⊆ supp m となるものが存在する. この時 case 1 の証明より x /∈ M(∩Aα). Proposition 1.19 より, M (∩Aα) ={m ∈ M(H∞) : u∈ (∩Aα)−1 なる任意の内関数u に対して|m(u)| = 1} であるからある inner function u で ∩Aαで可逆であ るものが存在して, |x(u)| < 1 となる. したがって Lemma 1.20 によって u|supp xは定数ではな い. したがって u は supp m で定数ではないから|m(u)| < 1 となり再び Lemma 1.20 によって
m /∈ M(∩Aα). ✷
1.4 その他の準備
x, y∈ L2に対してL2上のrank 1 作用素 x⊗ y を (x⊗ y)z = 〈z, y〉x
と定義する. x, y, u, v∈ L2, A∈ B(L2) とするとき次は定義により容易に示せる. (1)∥x ⊗ y∥ = ∥x∥∥y∥
(2) (x⊗ y)∗= y⊗ x
(3) (x⊗ y)(u ⊗ v) = 〈u, y〉x ⊗ v
(4) A(x⊗ y) = (Ax) ⊗ y, (x ⊗ y)A = x ⊗ (A∗y) z∈ D に対して T 上の関数 kz(w), ϕz(w) を
ϕz(w) = z− w
1− zw , kz(w) =
(1− |z|2)1/2
1− zw (w∈ T)
と置く. kzはH2の正規化された再生核(normalized reproducing kernel) と呼ばれる. (Kz(w) = 1/(1− zw) を再生核 (reproducing kernel) と呼ぶ. このとき (1.2) により f(z) = 〈f, Kz〉 となる.) Lemma 1.24 z∈ D に対して次が成立.
7)ϕ, ψ ∈ M (H∞) に対して ρ(ϕ, ψ) = sup{|ϕ(f )| : ∥f ∥ ≤ 1, ψ(f ) = 0, f ∈ H∞} と定義する. このとき関係 ∼ を ϕ ∼ ψ ⇔ ρ(ϕ, ψ) < 1 と定義するすると, これは M (H∞) の同値関係になり, これによる同値類を M (H∞) の Gleason 部分と呼ぶ.
(1) ϕz◦ ϕz(w) = w.
(2)|ϕ′z(w)| = |kz(w)|2= Pz(w). (3) kz⊗ kz= I− TϕzTϕz.
Proof. すべて簡単な計算により示せる. ✷
Proposition 1.25 (Littlewood-Paley formula) f, g∈ L2(T) とするとき
〈f, g〉 = f(0)g(0) + Z Z
D∇f(z) · ∇g(z) log 1
|z|dA(z) (1.3)
が成立する. ここで f (z) は f の調和拡張である. また∇ =³∂x∂ ,∂y∂ ´はgradient (勾配) を· は C2 の内積を表す.
Proof. 定義より
∇f(z) · ∇g(z) = ∂f∂x∂g∂x+∂f∂y∂g∂y = 2µ ∂f∂z∂g∂z +∂f∂z∂g∂z
¶
(1.4)
となることが容易に確かめられる. ここで ∂
∂z = 1 2
³∂
∂x− i∂y∂
´, ∂z∂ =12³∂x∂ + i∂y∂ ´と定義する. f = P∞
k=−∞fkeikθ, g =
P∞
l=−∞gleilθをf, g の Fourier 展開とする. このとき〈f, g〉 =P∞k=−∞fkgk, f (z) = f0+P∞k=1fkzk+P∞k=1f−kzk, g(z) = g0+P∞l=1glzl+P∞l=1g−lzl であるからz∈ D に 対して
∂f
∂z =
∞
X
k=1
kfkzk−1 ∂f
∂z =
∞
X
k=1
kf−kzk−1
∂g
∂z =
∞
X
l=1
lgkzl−1 ∂g
∂z =
∞
X
l=1
lflzl−1.
ところが簡単な計算により Z Z
D
zk−1zl−1log 1
|z|dxdy =
1/2k2 k = l 0 k̸= l
であるから(1.3) の右辺は f0g0+P∞k=1fkgk+P∞k=1f−kg−k となりこれは左辺に等しい. ✷
2 分布関数不等式 (Distribution function inequality)
h∈ L2, 1 < r < 2, w∈ T に対して
Λrh(w) = [M (|h|r)(w)]1/r= sup
I:w を含む区間
· 1
|I| Z
I|h(z)| rdσ(z)¸
1/r
と定義する. ただし M (·) で Hardy-Littlewood の maximal function を表す. また Γwで頂点が w∈ T で開きが π/2 である中心と w を結ぶ直線に対して対称な角領域として, Γw,εでΓwとw を 中心とする半径ε の円板との共通部分とするとき
Aε(h)(w) =
" Z
Γw,ε
|∇h(z)|2dA(z)
#1/2
.
と定義する. この右辺の積分はほとんどいたるところの w で存在する ([15]). Izは T の閉部分弧で
中心がz/|z|, 測度 (1 − |z|) であるものとする. また δ(z) = 1 − |z| と置く. さらに f ∈ L2に対し てf+= P f , f−= (I− P )f と置く.
Lemma 2.1 (D.F.I. forHf) ([26, Theorem 6]) l > 2 を任意に固定する. このとき p, r∈ (1, 2) で1/l + 1/r = 1/p を満たすもの8)と, 十分大きな a > 0 に対して, ある定数 Ca> 0 が存在して
¯
¯
¯
nw∈ Iz: A2δ(z)(Hfu)(w) < a[|f−− f−(z)|l(z)]1/l inf
w∈Iz
Λr(u)(w)o¯¯¯ ≥ Ca|Iz|
が任意のf ∈ L∞, u∈ H∞, 1/2 <|z| < 1 に対して成立する. ここで Caはlima→∞Ca = 1 を満た すようにとることができる.
Proof. u ∈ H∞, 1/2 < |z| < 1 に対して Hfu = (I− P )u1+ (I − P )u2と分解する. ただし u1= [f−− f−(z)](χ2Izu), u2 = [f−− f−(z)](χT\2Izu) である. ここで χ は特性関数を, 2IzはIz
をz/|z| を中心として測度を 2 倍した T の閉部分弧を表す.
今l > 2, p, r∈ (1, 2) で 1/l + 1/r = 1/p を満たすものを固定する. Step 1. ある定数 C > 0 が存在して
hZ
Iz
{Aε((I− P )u1)}pdσ(w)i1/p ≤ C|Iz|1/p£|f−− f−(z)|l(z)¤1/lw∈Iinf
z
Λru(w) (2.1)
が任意の1/2 <|z| < 1, f ∈ L∞, u∈ H∞に対して成立する.
Proof of step1. [15] より [Aεf ](w) は Lq 有 界(1 < q < ∞) である. また I − P も Lq 有 界 (1 < q <∞) であり u1∈ Lp であることに注意すると,
Z
Iz
{Aε((I− P )u1)}pdσ(w)
≤ ∥Aε((I− P )u1)∥pp≤ C∥u1∥pp
≤ C Z
T|u
1|pdσ(w) = C Z
2Iz
|f−(w)− f−(z)|p|u(w)|pdσ(w)
≤ C|2Iz|
· 1
|2Iz| Z
2Iz
|f−(w)− f−(z)|ldσ(w)
¸p/l· 1
|2Iz| Z
2Iz
|u|rdσ(w)
¸p/r
8)このようなl, p, r は必ず存在する. 0 < ε < (l − 2)/2 に対して, p = l/(l − ε), r = pl/(l − p) とすれば良い
ここで定数C は f∈ L∞, u∈ H∞と1/2 <|z| < 1 に依存しない. また定数 C > 0 が存在して
· 1
|2Iz| Z
2Iz
|u|rdσ(w)
¸1/r
≤ Λru(w)
と, 任意の w∈ 2Izに対してPz(w) > C/|2Iz| が成り立つ. よって Step 1 が成立する. Step 2. l > 2 に対してある C > 0 が存在して, 任意の 1/2 <|z| < 1 に対して,
A2δ(z)((I− P )u2)(k)≤ C[|f−− f−(z)|l(z)]1/l inf
w∈Iz
Λl′(u)(w)
が任意のk∈ Izについて成立する. 但し 1/l + 1/l′ = 1 である. Proof of step 2. z′∈ D に対して
[(I− P )u2](z′) = Z
T
z′ξu2(ξ) 1− z′ξ dσ(ξ). よって[(I− P )u2](z′) は D で co-analytic である. したがって (1.4) より
|∇[(I − P )u2](z′)| ≤ √2 Z
T
|u2(ξ)|
|1 − z′ξ|2dσ(ξ)
= √2 Z
T\2Iz
|[f−(ξ)− f−(z)]u(ξ)|
|1 − z′ξ|2 dσ(ξ) 一方C > 0 が存在して任意の ξ∈ T\2Izとz′∈Sk∈IzΓk,2δ(z)に対して
¯
¯
¯
¯ 1− ξz 1− ξz′
¯
¯
¯
¯≤ C となる. よって z′∈
S
k∈IzΓk,2δ(z)に対して
|∇[(I − P )u2](z′)| ≤ C Z
T\2Iz
|[f−(ξ)− f−(z)]u(ξ)|
|1 − zξ|2 dσ(ξ)
≤ 1 C
− |z|2[|f−− f−(z)|
l(z)]1/l[
|u|l′(z)]1/l′. (2.2) (2.2) の最左辺, 最右辺を 2 乗して z′についてΓk,2δ(z)上積分をすると
(Z
Γk,2δ(z)
|∇[(I − P )u2](z′)|2dA(z′) )1/2
≤ C[|f−− f−(z)|l(z)]1/l[|u|l′(z)]1/l′
となる. ところが non-tangential maximal function は Hardy-Littlewood maximal function の定 数倍で抑えられるから(cf.[8, p22, Theorem 4.2]), 任意の k∈ Izに対してz∈ Γk,2δ(z)であること
より
h|u|l′(z)i1/l
′
≤ sup
z′∈Γk,2δ(z)
h|u|l′(z′)i1/l
′
≤ CΛl′u(k) (∀k ∈ Iz)
となる. よって題意を得る.
Step 3. この step で証明を完了する. Hfu = (I− P )u1+ (I − P )u2であるからMinkowski の不等式よりA2δ(z)(Hfu)(w) ≤ A2δ(z)((I− P )u1)(w) + A2δ(z)((I− P )u2)(w) である. よって i = 1, 2, a > 0 に対して
Ei(a) =
½
ξ∈ Iz: A2δ(z)((I− P )ui)(ξ)≤ a[|f−− f−(z)|l(z)]1/l inf
w∈Iz
Λr(u)(w)
¾