症例報告は、あらかじめ予測される効果の分布に比べて劇的(dramatic)である場合は、介入(治
療)と効き目の因果関係は強く患者にとっては強いエビデンスを示唆している。一定のルールに従っ て作成しデータとして蓄積した質の高い観察研究は臨床上の意思決定に有用であり良質なエビデンス が発信できる。
本プロジェクトではUMIN内のINDICEのシステムを活用してオンラインによる症例登録システ
ムを構築した。葛根湯を対象に西洋医学的に診断が確定し、かつ東洋医学的に葛根湯が適応と考えら れる病態に対して投与し劇的な経緯をとった症例報告の収集と評価を目的とする症例集積研究とした。 目標症例数は300例とし公開に値すると判定された症例をUMIN内に設定した閲覧ページに公開する
こととした。書式は簡潔にし、症例は必須項目を指定の上1000字以内に記載することにした。 また著効例とは反対に証に従って処方したにも関わらず副作用が発生する症例も存在すると考えら れることから、その場合には薬事法に規定される医薬品医療機器等安全性情報報告制度に基づき、各 自が厚生労働省または当該医薬品の製造販売業者に対して副作用報告をすることにした。同時にその 報告基準に準じて、副作用名、重篤度、因果関係、転機、瞑眩の可能性について記録するようにした。
倫理面では、1)本プロジェクトは「疫学研究に関する倫理指針」(2005年6月)の「ある疾病の 患者数等を検討するために、複数の医療機関に依頼し、当該疾患の患者の診療情報を収集・集計し、 解析して新たな知見を得たり、治療法等を調べる行為」であり、「観察研究で、かつ、人体から採取 された試料を用いない場合、かつ、既存資料等のみを用いる場合」に相当すると判断した。これにお けるインフォームド・コンセントについては、「研究対象者から必ずしも受けることを要しない。」と されている。2)一方、医療介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン は、個人情報が研究活用される場合には、基本的人権である学問の自由の保障への配慮から、適応さ れないが、自主的な情報管理が求められている。
これらより、「個人情報の取扱い」(2004年12月)には、個人情報取扱いに関する明確かつ適正な規 則の策定、対外的な公表、当該本人の個人情報取り扱いに関する求めに対する迅速な情報提供、患者 ・利用者窓口の設置、などが必要とされる。しかし、学会として、このような対応を行うことは困難 と判断した。以上より、1)必ずしもインフォームド・コンセントは要しない、2)症例の登録にお いて報告者が、連結不可能匿名化を行った上で記載する方法をとる、との方針とした。最終的に本学 会の倫理委員会で「葛根湯による劇的な経過に関する症例集積研究」として審議され最終的に了承さ れた(2007年3月30日)。
現在まだ登録は5例と少ないことから、1)葛根湯という処方が劇的症例という意味で難しすぎた かもしれず処方の制限を撤廃する。2)登録参加までのシステム上の手続きが煩雑であったため、対 象となる症例に対しまず簡単に紙等を媒体に記載し収集し後でインタビューした上で正式なフォーム として登録していく。3)ベストケース収集の目的が会員に十分浸透し得ずかつ登録することによる インセンティブをみつけてい、などが考えられた。
このシステムが種々の薬方に発展すれば、世界で唯一、ベストケースの手法による漢方のエビデン スを確立できる契機になると期待される。
葛根湯プロジェクトの実際
き も と ひ ろ し にしむら こう しのはら せん
○
木元 博史
1)西村
甲
2)篠原
宣
3)1)日本東洋医学会
EBM
特別委員会ベストケースタスクフォース
2)慶應義塾大学医学部漢方医学センター 3)日本漢方生薬製剤協会
略歴
1986年 千葉大学医学部医学科卒業
1990年 千葉大学大学院医学研究科病理系免疫学卒業 医学 博士
1998年 永津さいとう医院 内科
フ
ォ
ー
ラ
ケ
ケ (( ))
葛根湯
実際
葛根湯
実際
第
第6060回日本東洋医学会総会回日本東洋医学会総会 漢方 ビ ン
漢方 ビ ン ええ
2009.6.21(
2009.6.21(日日), ), 東京東京
木元博 1) 2) 西村 1) 3)篠原 宣1) 4)
1)日本東洋医学会EBM特 委員会 ケ タ
2)
永津さいう医院
3)
慶応義塾大学医学部漢方医学センタ
4)日本漢方生薬製剤協会
1
流
流
本 UMIN 利用
ン ン 症例 録 構築
西洋医学的 診断 確定 東洋医学的
葛根湯 適応 考え 病態 対 投
劇的 経緯 症例報告 収集 評価 目
的 症例集積研究
目標症例数 300例 公開 値 定さ
症例 日本東洋医学会 閲覧 公
開
日本 一番処方例数 多い葛根湯 対象
2
経過
経過
ンポ
第57回日本東洋医学会学術総会 2006 大阪
漢方 EBM うあ べ
長 津谷喜一郎 秋葉哲生
序言 漢方 EBM 必要 東洋医学会 活動 背景
秋葉哲生
漢方 ビ ン 現 程 状況 あ ? ビ ン ポ
現状 後 展開 岡部哲郎
日本 ケ 葛根湯 ?
木元博
ケ 世界的動向 NCI ノ
NAFKAM 齋偉矢
伝統医学 WHO診療 ン作成 能 ? 元雄良治
3
経過
経過
ン ッ ョン
EBM特 委員会 合 企画 劇的 効い 漢方 経験 ケ ビ ン 2006 大阪
劇的 効い 漢方 経験第2回EBM特 委員会報告 含 2007 広島
劇的 効果 あ 症例 ビ ン 葛根湯 暼効例
2008 仙
倫理委員会 悪化例 扱い
葛根湯プロジェクトにおける倫理、
葛根湯プロジェクトにおける倫理、
個人情報に関する対応
個人情報に関する対応 . 疫学研究 関 倫理指針
成14 6暻17日通 成16 12暻28日改正 成1 暻 6日改正
文部科学省 厚生労働省
葛根湯
位置
葛根湯
位置
疫学研究 関 倫理指針 あ あ
疾病 患者数等 検討 複数
医療機関 依頼 当該疾患 患者 診療
情報 収集 集計 解析 新 知見
得 治療法等 調べ 行為 い
あ 疾病 あ い 当該疾患 葛根湯
投 劇的 経過 疾患 置換
倫理指針 いう疫学研究 近似
7
本
本
倫理面
倫理面
倫理的配慮 ン コンセン
必要 い
個人情報 保持 い 症例 録 い 報告者
連結 能匿 化 行 上 記載 方法
方針
上記 議論 前提 最終的 本学会 倫理委
員会 葛根湯 劇的 経過 関 症例集積
研究 審議さ 最終的 了 さ (2007 3 暻30日)
8
悪化例
副作用
扱い
悪化例
副作用
扱い
薬事法 規定さ 医薬品医療機器等安全 性情報報告制 基 各自 厚生労働
省 当該医薬品 製造販売業者 対
副作用報告
時 報告基準 準 副作用
篤 因果関係 転機 瞑眩 能性 い
記録 う
録
流
録
流
日本東洋医学会 あ 葛根湯
閲覧
込 送
UMIN ID,パ ワ 行
定 サ 実際 ン ン 録
結果
結果
2009 6暻現
録参加施設 13
実際 録 5例
20
録例
録例
1 前 毎日 方 桃腺 膨 く 感 肩 前胸部 痛く いう症状 出現 内科耳鼻咽喉科 専門科 診 精査
原因 明 葛根湯 投 治癒
喘息 作肩 投 高血 改善
花粉症 鼻閉 花粉症 投 軽 喘息 作足 第1指 和感 消 失
交通事故 部 強打 痛目眩複視視 60% あ 投 後複視 著 改善
傷性頸部症候群ケ ッ 類 grade1 診断 湿布消炎鎮痛薬消炎酵素 薬中枢性筋弛緩薬 投 半暻後左後頸部 左肩 骨内側 背部痛 延 い 理学療法 追加 傷ヶ暻後症状軽減 合わ 内服薬 減 廃薬 出来 11暻18日左肩 骨内側 背部痛 持 特 機 運転姿勢 苦痛 あ 就労 耐え くい い 訴え あ
漢方処方 試
21
録例公開紹
案
録例公開紹
案
22
症例4 性 女 齢 46
症例提示 2009 2暻22日 生 交通事故 部 強打 翌23日 当院初診初診 時 痛目眩複視視 60% あ 当院 科整形 科脳 科 治療 4暻
14日漢方内科初診 日複視 対象 葛根湯 T錠1回5錠1日3回15 錠投 現 投 中 あ 併用西洋薬 い漢方医学的 実証 あ 葛根湯 択 上 特 考慮 西洋医学的 部頸部 X線 C T 施行 形態学的異常 随証治療 い服薬開始後2週 間 複視 範囲 著明 縮小 視 約40% 投 開始後6週間 複視 範囲 さ 縮小 視 約20% 時 頸筋群 張 軽快 視力 異常 い動 眼筋群 炎症 主 病態 複視 葛根湯 投 考慮 べ あ
録 理 動機 当該疾患 葛根湯 用い 報告 い;葛根湯 暼効 あ 当該疾患 病態 新 い解釈 能
考察症状や検査値 変化 葛根湯 う 作用 考え 部 強打 動眼筋群 炎症 生複視 葛根湯 強力 抗炎症作用 動眼筋 群 炎症 鎮 伴 複視 軽快 考え
考察 回 疾患病態 対 一般的 治療体系 葛根湯 位置 第一 択
考察葛根湯以 投 考慮 べ 方剤 あ 動眼筋群 浮腫 対 苓散 投 考慮 べ あ 炎症 浮腫 優位 鑑 考察 回 症例報告 踏 え 後 う 臨床研究 望 さ 症例報告 収集
副作用等 無
結語
結語
後 録例 増や 努力
対象 処方 広
公開 関 会員 自 閲覧 術的 問
題 あ 学術総会 間 合わ
後公開 関 構築