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Wavelength λ em [nm]

ドキュメント内 第 1 章 (ページ 117-140)

309 K

320 K

353 K 333 K

298 K 278 K

373 K

[a]

[b] Damaged / Dead area [AD] em620 - 650 nm) [a] Activity area [AL]

(λem510 - 540 nm)

[b]

第5章 熱損傷麦酒酵母を用いた誘電特性と細胞膜活性の相関検証

108

図5.11 JCM 7255及びATCC 11775に対する蛍光強度領域面積の処理温度依存性と

ΔGt / ΔG278との相関

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

260 280 300 320 340 360 380 400

0 50 100 150 200

260 280 300 320 340 360 380 400

Heat treatment temp. [K]

ΔF lu or es ce nc e e mi ss ion ar e a Δ G

t

/ Δ G

278 104

103

102

11775

7255

11775 7255

◆●ΔAD

◆●ΔAL

第5章 熱損傷麦酒酵母を用いた誘電特性と細胞膜活性の相関検証

109

5.3.5 LIVE/DEAD蛍光染色法による生死菌判別及び細胞膜活性の状態観察

捕捉菌に対する細胞膜活性状態を検証するため,LIVE/DEAD 染色した加温処理 JCM 7255に対するFluorescent-DEP 実験結果を図5.12に示す.5.3.2節と同様,JCM 7255は

Fluorescent-DEP実験開始後から電極近傍に捕捉され,電極間にpearl chainを形成した.

278 - 320 K処理試料(図5.12 [a] - [c])では,膜損傷又は破壊を示す橙色または赤色蛍光

ATCC11775の捕捉は殆ど確認されなかった.一方,ΔGの相対的な減少が確認された333

K 処理試料では,微量の細胞膜正常菌と多量の損傷(または死菌)菌が混在した状態で 電極間に捕捉された(図5.12 [e]).また,細胞膜活性を示すSYTO 9由来の緑色蛍光は 高い強度を示した.この観察結果は5.3.4節における蛍光強度スペクトル解析結果と同様 であり,JCM 7255単体が発する蛍光強度が極めて高いことを意味する.333 K以上の高 温処理によって,JCM 7255の細胞膜は大きく損傷し,捕捉されるJCM 7255の殆どがPI 由来の赤色蛍光を呈した.

5.3.4節において,333 K処理におけるΔGの減少は,膜損傷菌の増加及び膜正常菌に

おける呼吸及び細胞膜活動の活性化によって菌体内の導電率が変動した結果,Fdep の低 下を誘発したことに起因すると論述した.蛍光強度スペクトル解析及びFluorescent-DEP 実験の観察結果は,本推測に合致する.一方で,5.3.3節のコロニーカウント計測結果か ら,当該温度で処理された場合,JCM 7255の生育活性は不活されることが判明している.

以上の調査結果は,捕捉された微量の緑色蛍光 JCM 7255 が,高い細胞膜活性を有する 正常菌ではなく,加温処理初期の段階において,細胞壁,細胞膜及び膜周辺構造の萎縮 現象が発生したことによって,菌体内外の物質の流出入機能が遮断された不活菌である 可能性を示唆する.前章において,ATCC 11775では,333 K処理時において本萎縮現象 が発生した可能性に言及し,本状態にある微生物をカプセル菌と称した.ただし,E. coli

の場合,320 Kで相対的に減少したΔGは,カプセル菌が発生した333 K処理において再

度増加した.いずれの菌においても,加温処理初期の段階で発生した委縮現象によって 物質輸送の遮断現象を誘引したと考えられる.よって,ΔG挙動の差異は,細胞壁及び細 胞膜の熱感受性の相違に起因すると考えられる.また,菌体内外における物質の流出入 の強弱は,加温処理によって委縮現象が発生するまでの時間に依存すると推測される.

第5章 熱損傷麦酒酵母を用いた誘電特性と細胞膜活性の相関検証

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図5.12 LIVE/DEAD染色JCM 7255に対するFluorescent-DEP実験

(周波数:100 kHz,印加電圧:10 Vpp,流量:30 mL/h)

[Ⅰ] 電圧印加開始60sec後における電極下流部,[Ⅱ] 同視野900sec後,[Ⅲ] 同視野にお ける赤枠部拡大図,[Ⅳ] 左記[Ⅱ]に対する蛍光視野

[Ⅰ] [Ⅱ] [Ⅲ] [Ⅳ]

第5章 熱損傷麦酒酵母を用いた誘電特性と細胞膜活性の相関検証

111 5.4 まとめ

本章では,実際の発酵に使用されている麦酒酵母(JCM 7255)を実験菌として,E. coli

ATCC 11775と同様に加温処理温度とΔGとの相関性を調査し,酵母やカビなどの真菌に

対する本手法の有効性を検証した.また,蛍光色法などの各種生物学的検査手法を用い て,細胞膜作用を主眼に置いた,熱処理による各代謝状態変化を検証した.

DEPIMの結果,E. coli ATCC 11775における320 K処理試料と同様に,ΔGの相対的な

減少が333 K処理試料において発生した.同時に,LIVE/DEAD試薬による膜活性評価で

は,当該温度において生菌及び死菌を示すSYTO 9及びPIの高い蛍光強度が得られた.

ATCC 1175では,320 K時において同様の計測結果を得ている.また,ATCC 11775では,

高温処理(394 K)において ΔGの上昇は計測されなかったが,JCM 7255では,900 sec

におけるΔGは約9 μSとなった.ΔGの相対的な減少が発生する温度及び高温処理にお

ける ΔG の挙動の相違は,細胞壁の有無,菌径などの菌体構造及び耐熱性の差異による ものと推測される.

以上の結果は,ΔGの変動が加温処理による菌体内外物質の流出入量に大きく依存する

ことを意味する.すなわち,E. coli のような細菌だけでなく,真菌の一種である

S. cerevisiaeに対しても,ΔGを精査することによって,細胞膜による物質輸送活性を間

接的に評価できることを示す.

第5章 熱損傷麦酒酵母を用いた誘電特性と細胞膜活性の相関検証

112 参考文献-5

[1] T. Enjoji, S. Uchida and F. Tochikubo : Proceeding of World Automation Congress 2010, Kobe, Japan (2010) ISIAC#497

[2] T. Enjoji, S. Uchida and F. Tochikubo : Intelligent Automation and Soft Computing, 18 (2012) 153

[3] 直江史郎,澁谷和俊:ファンギフローラY製品カタログ,日本商事

[4] H.Zlotnik, M. P. Fernandez, B. Bowers and E. Cabib: J. Bacteriol., 159 (1984) 1018 [5] 土戸哲明:表面科学,22 (2001) 645

[6] J. Suehiro, R. Yatsunami, R. Hamada and M. Hara: J. Phys. D: Appl. Phys., 32 (1999) 2814

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

113

6

薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の

相関検証

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

114 6.1 諸言

前章までに,熱損傷E. coli ATCC 11775及びS. cerevisiae JSM 7255を用いて,DEPIM 法による細菌状態評価の妥当性を検証してきた.その結果,本手法は,加温処理による 外因ストレス負荷菌の生死状態及び細胞膜活性の変化を簡易的に評価することができる ことが判明した.そこで,本章では,他の外因ストレスによる同様の実験及び数値解析 を実施し,ストレスの相違によって DEPIM におけるコンダクタンス変化量(ΔG)の挙 動がどのように変化するか調査した.

医療現場において,重篤な患者における病原菌の特定は極めて重要な作業である.一 般に,細菌感染への対処法として各種抗生物質の投与が挙げられる.しかしながら,近 年における新種及び既知菌種の薬剤耐性菌の増加に伴い,高精度かつ迅速に適切な薬剤 物質の種類及び投与量を判断しなくてはならないのが現状である.当該現場における細 菌検査には,主に公定法である培養法が用いられている.培養法は安価である半面,判 定に時間を有するため,本方式で要求される膨大な検査数に即時対応することは困難で ある.また,適切な薬剤種及び濃度評価法として,最小抗生物質濃度(MIC)法が用い られており,近年,96ウェルプレートを用いた自動検査装置が各医療現場に導入されて いる.本装置では多検体分析が可能であるが,寒天培地法同様,培養工程は必須であり,

結局,判定には24時間程度を要する.ゆえに,より迅速な分析法の開発導入が必須とさ れる.

これらの現状を踏まえ,本章では,細菌へのストレス因子として,アルコール類によ る薬剤投与を採用し,DEPIMにおける薬剤投与濃度とΔGの関係について調査した[1],[2]

また,第3 - 5章で用いた各生物学的検査手法に加え,マイクロプレートリーダーによる

生育活性計測を行い,薬剤投与濃度と細菌の膜損傷及び膜活性との相関を精査した.

6.2 実験方法

6.2.1 実験菌種及び菌懸濁液の調整方法

実験菌種として,第3及び4章で使用したE. coli ATCC 11775(以下,ATCC 11775)を 採用した.培養条件及び懸濁液の調整方法は,4.2.2節と同様とした.

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

115

6.2.2 薬剤投与処理手順

ATCC 11775に対する薬剤処理手順を図6.1に示す.本研究では,医療機関等において

消毒薬として使用されているイソプロピルアルコール(C3H8O: IPA)を投与薬剤として 採用した.当実験では,高純度の IPA(試薬特級,99.7%以上含有, Waco Pure Chemical

Industrial)を使用した.標準寒天培地上に生育したATCC 11775を0.15 M D-マンニトー

ル(DM)溶液1.5 mLに適量懸濁させた後,遠心分離(6000 rpm×5 min)を行った.上

澄み液1.4 mLを廃棄した上で,各濃度に調製したIPA溶液1.4mLを添加した.IPA溶液

は,最終濃度が5, 10, 12, 15, 20, 25, 30, 40, 50, 70及び93%となるように事前調製した(図 6.1の工程 5)参照).撹拌後,IPA添加試料を恒温装置(MIR-153, Sanyo)内に10 min 静置した.添加したIPAを除去するために再度遠心分離作業を2回繰り返した後,DM 溶

液1.4 mLを添加し十分撹拌した.最終的にDM溶液で15倍希釈したものを実験試料(以

下,試料)とした.最終試料濃度は約4.0×107 CFU/mLとした.

図 6.1 ATCC 11775に対するIPA薬剤処理手順

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

116 6.2.3 DEPIM実験

DEPIM実験に使用したマイクロフィルタ及び実験装置は,5.2.4節と同様とした.ただ

し,DEPIM実験系における回路中の抵抗器は50 Ωとした.また,電極セルホルダは,

ケーブル内蔵型(CHS01N, Filtechno Japan)を新たに採用した.その概要を図6.2 - 6.4に 示す.当該セルホルダは,前章までに使用していた型と比較してより気密性の高い構造 を有している.また,電極基板への電圧供給を安定化させるために,従来のワニ口クリ ップによる接地法から,Cu 製板ばねによる接地法に改良されている.本研究では,ΔG 挙動における周波数及び流速依存性を検証するため,駆動周波数は100 kHz - 1 MHz,送

液流量は3 - 30 mL/hの範囲で適宜変動させた.正弦波電圧設定値の電圧幅は前章までと

同様,10 V ppに固定した.

図6.2 本研究で使用したケーブル内蔵型電極セルホルダ概略

捕捉菌回収用シリンジ (本実験では不使用)

内部:

マイクロフィルタ + PDMS 流路カバー 電極セルホルダ

PTFE製チューブ 電源ケーブル

流路切替用三方弁 廃液ボトルへ

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