• 検索結果がありません。

D IPA [%]

ドキュメント内 第 1 章 (ページ 140-165)

108

107 106 105 104 103 102

10 0

○: Colony counting method

●: WST-1 method

■: Non detection Bactericidal conc. : BIPA

[+] IPA0%, [×] 5%, [▲] 10%, [◆] 12%, [■] 15%, [●] 20%, [○] 30%, [-] 40%, [□] 70%, [△] 93%

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

131

6.3.3蛍光染色法による細胞膜活性調査

捕捉菌に対する細胞膜活性状態を検証するため,LIVE/DEAD 蛍光染色菌に対する Fluorescent-DEP実験を実施した.10Vpp, 100 kHz, 15 mL/hの条件下における細菌捕捉結 果を図6.18に示す.また,流量30 mL/h時における細菌捕捉結果を図6.19に示す.ここ では同一視野における明視野及び蛍光視野画像を濃度毎に載録した.DIPA = 0 及び5 %試 料では,膜損傷・破壊を示す橙色または赤色蛍光ATCC 11775は殆ど観察されなかった.

6.3.1節と同様,ATCC 11775はDEP実験開始後から電極近傍に捕捉され,ギャップ間に

pearl chainを形成した.相対的なΔGの増加を示した10 ≦ DIPA ≦15%試料では,損傷菌

と正常菌が混在した状態で電極間に捕捉された.また,捕捉ATCC 11775の一部が,液 体の流れに従い電極折り返し部まで滑走し集積する現象が見られた.この現象は,IPA が菌体内へ流入した結果,Fdep 低下を引き起こしたことに基因すると推測され,加温処 理及び本章における薬剤投与によるDEPIM実験において,それぞれ確認されている.こ れらの結果は,Fdepによる保持力が大きく作用する正常菌と,Fdepによる保持作用の小さ い損傷菌が混在した状態でpearl chainを形成した場合,ギャップ間における総合的な菌 保持力を低下させる事を示唆している.一方で,顕著な菌滑走現象は電極間への保持力 低下を誘引させる半面,電極各所(特に電極折り返し部)において菌集積状態を発生さ せることにより,瞬時的な ΔG 増加を助長していると推測される.DIPA ≧20%では捕捉 菌の大多数が膜損傷菌であり,特に DIPA ≧30%では,顕微鏡による目視観察下において 正常菌は確認されなかった.それと同時に滑走現象は大きくなる傾向を示し,特に流量

30 mL/h時において顕著であった.

10Vpp, 1 MHz, 15 mL/hの条件下における細菌捕捉結果を図6.20に示す.1 MHzでは,

DIPA の増加に伴い,ATCC 11775捕捉量の減少が確認されたが,100 kHz時と同様,滑走 現象により高IPA濃度領域(70 ≦ DIPA ≦93%)での菌捕捉量増加が認められた.

加温処理 ATCC 11775 による Fluorescent-DEP 実験同様,本実験においても,細菌を

LIVE/DEAD 剤で蛍光染色することによって, Fdepによる細菌捕捉状況と捕捉菌の細胞

膜活性状態との相関を確認することができた.

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

132

図6.18 染色ATCC 11775に対するDEP捕捉画像(1)

(10Vpp, 100 kHz, 15 mL/h, 実験開始後300 sec) 明視野 同蛍光視野

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

133

図6.19 染色ATCC 11775に対するDEP捕捉画像(2)

(10Vpp, 100 kHz, 30 mL/h, 実験開始後300 sec) 明視野 同蛍光視野

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

134

図6.20 染色ATCC 11775に対するDEP捕捉蛍光画像(3)

(10Vpp, 1 MHz, 15 mL/h, 実験開始後300 sec) 明視野 同蛍光視野

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

135

6.3.4 画像解析ソフトウエアによる蛍光ATCC 11775の蛍光強度解析

前項 6.3.3 で撮影した蛍光菌捕捉画像を用いて,画像解析ソフトウエアによる蛍光

ATCC 11775の蛍光強度を解析した.10Vpp, 100 kHz, 15 mL/hの条件下における蛍光強度

解析結果を図6.21に示す.ここでは蛍光視野画像に対する解析結果を濃度毎に載録した.

また,蛍光強度解析図は,RPG座標軸と見なす3次元空間のうち,X軸に R(赤色)Y

軸にG(緑色)を表す2次元平面座標で示した.

0 ≦ DIPA ≦12%の領域において,正常菌を表す緑色蛍光強度分布が大半を示しており,

特にDIPA = 5%では顕著であった.これは当該濃度において,緑色由来のSYTO 9が細胞

膜を介して大量に流入したことを示唆する.更に膜損傷を表すPI由来の赤色蛍光はほと んど見られないことから,このSYTO 9流入は膜損傷によるものではなく,細胞膜活動 によるものと判断できる.6.3.3節のDEPIM実験において,DIPA = 5%に対するΔGはIPA 濃度0%(未処理試料)と比較して低下した.また,第4章の加温負荷実験でも,蛍光強 度が高くなる処理温度(320 K)においてΔGは相対的な低下傾向を示した.これらの計 測結果は,細胞膜を介した物質輸送活性の向上或いは膜損傷度合いの上昇によって,媒 質が菌体内へ流入したために,ΔG低下が促進されることを示唆している.15 ≦ DIPA

40%の濃度範囲において赤色蛍光強度は増加傾向を示した.これは,IPA投与によって細

胞膜が損傷したことによる.また,DIPA ≧15%で赤色蛍光強度が急激に増加するという 解析結果は,WST-1法及びコロニーカウント計測結果において生育能力が不活となった IPA濃度範囲に合致する.一方,DEPIMにおいてΔGの上昇傾向(図6.9及び6.10参照)

を示したDIPA ≧50%において赤色蛍光強度は低下した.これは第4章の加温負荷実験で 論述した通り,薬剤投与処理においても,高いDIPAによって,om或いはimが急激に不 活化されたのと同時に,om または ppls 構造の収縮現象を誘発したことにより,薬剤投 与工程の初期時点において,cp内への物質流出が抑制された可能性を示唆するものであ る.

これら低IPA濃度(DIPA = 5%)における蛍光強度増加及び高IPA濃度(特にDIPA = 93%

で顕著)における蛍光強度低下蛍光は,図 6.22 で示した大流量(30 mL/h)実験結果に おいても同様に示された.

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

136

図6.21 蛍光強度解析結果(1)

(10Vpp, 100 kHz, 15 mL/h, 実験開始後300 sec)

蛍光視野 同蛍光強度解析

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

137

図6.22 蛍光強度解析結果(2)

(10Vpp, 100 kHz, 30 mL/h, 実験開始後300 sec)

蛍光視野 同蛍光強度解析

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

138

6.3.5 数値解析による薬剤投与大腸菌の誘電特性評価

本解析では,IPA含有媒質はomを介してpplsへ浸透し,更にimを介して細胞の中心 構造体であるcpへ浸透するモデルを考案した.

最初に,各DIPAに対して,pplsへの浸透率Pp及びcpへの浸透率Pcが同等となる単純 なモデル(図 6.8 [A])を想定した.以下,モデルⅠとする.各DIPAに対するPp及びPc

推定値を表6.2に示す.本モデルにおいて,式(6.1)及び(6.2)は,次式として示される.

(6.7)

(6.8)

すなわち,Pp及びPc推定値は直線的な相関を示す.

DIPAPp及びPc推定値から得られる各

σ

及び

ε

変動値を図6.23に示す.本計算結 果では,

σ

ppls及び

σ

cpは,DIPA増加に伴って直線的に減少した.

ε

ppls及び

ε

cpは,DIPA ≧50%

の範囲において急激な減少を示した.

本計算結果に基づいて実施した,DIPAにおけるRe[K*()]の周波数依存性及び各周波数 におけるRe[K*()]のDIPA依存性の解析結果を図6.24及び6.25に示す.周波数100 kHz において,0 ≦ DIPA ≦ 50%となる範囲では,Re[Kˆ()]は緩慢に低下したが,それ以上の DIPA領域では低下示した.300 kHz では,DIPA ≧40%の場合においてRe[K*()]の低下が 確認された.1 MHzでは,DIPA ≧50%において急激に低下した.これらの結果と図6.9 - 6.11 に示した各周波数におけるΔGのDIPA依存性を比較すると,両者の挙動は相関を示 さない.このことは,各構造に対するIPA含有媒質の浸透率は,本モデルに採用したよ うな単純なDIPA依存ではなく,複雑かつ多段階的に変動していると解釈できる.

なお,第3章の3.3.3節で論述した通り,本DEPIM実験に用いた周波数領域において,

誘電率の挙動は,ΔGの変動要因とはなりえないと推測される.

IPA

P

D

P P

C

1

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

139

表6.2 α及びβ設定値とPp及びPc推定値の関係(モデルⅠ)

図6.23 DIPAPp及びPc推定値から得られる各

σ

及び

ε

変動値(モデルⅠ)

IPA final conc.[%] α Pp [%] β Pc [%]

DIPA αDIPA αβDIPA

0 0.00 0 0.00 0

0.10 1.00 0.10 1.00 0.10

1 1.00 1 1.00 1

5 1.00 5 1.00 5

10 1.00 10 1.00 10

12 1.00 12 1.00 12

15 1.00 15 1.00 15

20 1.00 20 1.00 20

25 1.00 25 1.00 25

30 1.00 30 1.00 30

40 1.00 40 1.00 40

50 1.00 50 1.00 50

70 1.00 70 1.00 70

93 1.00 93 1.00 93

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

εσ[S/m]

DIPA[%]

σcp

σppls

εcp

εppls

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

140

図6.24 DIPAにおけるRe[K*()]の周波数依存性(モデルⅠ)

図6.25 各周波数におけるRe[K*()]のDIPA依存性(モデルⅠ)

0.6 0.7 0.8 0.9

0.01 0.10 1.00 10.00

Re [K*(ω)]

Frequency [MHz]

Blank 0.1%

1%

5%

10%

12%

15%

20%

25%

30%

40%

50%

70%

93%

10-2 10-1 1 10

DIPA= 0.1%

DIPA= 93%

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

Re [ K* )]

D

IPA

[%]

100 kHz 300 kHz 1MHz

第6章 薬剤投与大腸菌の誘電特性及び細胞膜活性の相関検証

141

モデルⅠによる解析結果を踏まえ,DEPIM及び各生物学的検証実験結果を考慮し,Pp

及びPcを多段階的に変化させたうえで,新たな数値解析を以下に実施した.

ここで,DEPIM結果に基づき,DIPA領域と各周波数におけるΔG挙動の概略傾向を表 6.3に示す.6.3.1節で論述した通り,各 DIPA領域において ΔG は複雑な挙動を示し,特 に100及び300kHzでは,BIPA領域(15 ≦ DIPA ≦ 20%)でΔGの減少が見られた.また,

高濃度領域(DIPA ≧50%)においてΔGは増加した.一方で,1 MHzでは,低濃度から BIPA領域においてΔGは減少し,それ以降の高濃度領域では大きな変化は確認されなかっ た.これらの挙動は,細菌に対する Fdepが複雑に変化していることを示唆している.さ

らにFluorescent-DEP及び画像解析ソフトウエアによる蛍光解析では,細胞膜を介して外

部から流入する IPA 含有媒質の浸透率は,DIPAによって相違するという結果が得られて いる.これらの結果に基づき,当該周波数領域におけるFdep(ここではRe[K*()])の変 動要因である細菌内の

σ

を,各DIPAに対して適宜変化させる必要がある.

以上を踏まえ, Pp及びPcが各DIPAに対して変化する変則モデル(図6.8 [B]参照)を 数値解析に導入した.以下,モデルⅡとする.各DIPAに対するPp及びPc推定値を表6.4 に示す.コロニーカウント計測及び WST-1 法による生育活性評価の結果,低濃度から DIPA濃度領域(0 ≦ DIPA ≦ 20%)において,生菌数は指数関数的に減少する一方で,10 ≦ DIPA ≦ 15%の範囲でΔGが増加したことを勘案し,DIPA = 15%付近で細胞の主要構成であ る

σ

cpが相対的に高い値を示すように,α及びβを任意に設定した.同時に,ΔGが最も 減少する濃度領域(20 ≦ DIPA ≦ 40%)において

σ

が減少するようにα及びβを設定した.

さらに,高濃度領域では,細菌を完全に不活化させながらも,

σ

が増加傾向を示すよう な各構造体の状態を検討しながら両係数を設定した.

以上の結果,DIPA = 20%となる時点でPp及びPcが80%に,またDIPA = 40%となる時点 においてPp及びPcが最大98%に達し,かつ,DIPA ≧ 50%ではPp及びPcが共に減少傾向 を示す浸透モデルを構築した.各DIPAPp及びPc推定値から得られる各

σ

及び

ε

変動

値を図6.26に示す.上記の通り,本モデルにおいて,

σ

cp及び

σ

pplsは,共にDIPA = 40%を 下限とした曲線となる.本計算結果に基づいて実施したDIPAにおけるRe[K*()]の周波数 依存性及び各周波数におけるRe[K*()]のDIPA依存性を図6.27及び6.28に示す.数値解 析の結果,急激浸透作用を基本としたモデルⅠとは異なり,Re[K*()]の全体的な挙動は ΔGのそれに比較的類似し,特にモデルⅠでは得られなかった中濃度DIPA領域でのΔGの

ドキュメント内 第 1 章 (ページ 140-165)