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※系統故障条件:送電線AB (母線AB間)の1回線開放(3L-Q)

※シミュレーション手法:電力中央研究所開発のY法プログラムを使用

図2.11 ケース(a)..._(c)のシミュレーション結果比較

-33一

第3章 複数の信号を入力した発電機PSSによる多機系統安定化手法の開発

3. 1

開発手法の背景と概要

様々な系統運用条件下における発電機ローカル動揺と広域動揺といった異なる周波 数領域の動揺現象を, ファジィ論理やH∞制御理論等を用いて安定化するロバスト制

御系の設計手法がいくつか提案されている25,26,27,28,29,30)。 ただし, これらについては,

安定化対象の系統運用条件がただ一つであったり, 現用制御系を最大限に活用し実系 統への実現性のある制御系の設計までには至っていない。 文献(31 )はその意味では有 用性があるが3 基本的に一機無限大母線系統モデルがベースであり, 実系統への適用 には課題が残る。

現有設備の有効利用の観点から発電機励磁制御系に着目した大規模電力系統の安定 化対策として, 第2章では複数の系統条件の固有値を全て安定にするP形PSS定数の最 適設計手法を提案した。 これにより, 幅広い系統運用条件の安定度が確保できるロバ スト性のあるPSS設計を 可能とした。 しかしながら, もう一つの重要なロバスト性で ある3 幅広い周波数領域の電力動揺の安定化という面ではその制御性能(すなわち広 域動揺とローカル動揺の安定化)は改善の余地が残された。 これはPSSの入力信号を 一つに限定していることが主な要因である。 そこで本章では, 大規模系統を対象とし た実用性の高い手法として3 広域動揺とローカル動揺のバランスの良い安定度向上を 図るため, 複数の信号をPSS入力としその定数を最適に設計する以下の2つの手法を 提案する。

( 1 ) 2入力形(P+ω形)PSS定数最適化手法

3.2節では3 発電機有効電力(P)だけでなく回転子の回転速度(ω)も入力信号として

2系列のPSSを構成し(以下, P+ω形PSSと呼ぶ) , 各々の系列に広域動揺とローカル 動揺の安定化の役割を分担させるようなPSS定数最適設計手法を提案する。 これによ り3 動揺形態と周波数の異なる動揺を十分に安定イじすることを可能とした。 しかしな がら, 安定化対象の広域動揺ヘ感度の大きい発電機が限られるなどした場合, 十分な 安定化効果が得られなくなる可能性がある。 したがって3 発電機の設置個所に関わら

ず任意の広域動揺を安定化させる以下の手法を提案する。

(2

)遠端情報入力形PSS定数最適化手法

3.3節では, PSS入力信号の種類を拡張し, 従来の設計対象発電機自体の内部状態変 数だけでなく, 発電機から遠方の信号を新たに入力としたPSSの定数最適化手法を提 案する。 これにより, 任意の発電機による任意の電力動揺の安定化が可能となること により, 安定化対策立案の際の選択肢が増え現有設備をより一層有効利用することが できる。

本章で提案する手法の特徴を表3. 1にまとめた。

表3.1 3章で提案する手法の特徴と位置づけ

一一一一一一一

設計手法 設計対象系統規模(設計対象系統条件) 設計対象動揺と制御性能 現用設定手法 ボード線図に 一機無限大母線系統 ローカル動揺

よる設計 (一つの運用条件) 広域動揺

P形PSS定数最適化手法 ロー力ル動揺

O

( 2章で提案した手法) 広域動揺

任意の動揺

×

Ptω形PSS定数最適化手法 固有値による 大規模系統 ロー力ル動揺

( 3章で提案する手法ー1 ) 自動設計 (複数系統運用条件) 広域動揺

任意の動揺

×

遠端情報入力形PSS定数最適化手法 ローカル動揺

( 3章で提案する手法一2 ) 広域動揺

任意の動揺

O

-35ー

3.2

P+ω形発電機PSS定数最適化手法の開発札50,51,52

)

3.2.1

P+ω形PSSモデルと基本制御性能

(l)P+ω形PSSモデ)レ

図3. 1にP+ω形PSSブロック図を示す(PSS出力はAVRヘ入力される)

0

P形, ω形 各々のPSSの最初の2つのブロックはバンドパスフィルタとして用い固定値とした (定数値は図中に示した)

0

2段の位相補償器、を考慮、しその時定数(T3""'T6, Tg""' T 12)およびPSSゲイン(G1, G2)を最適化対象パラメータとした。

II p J. , G � . I >- 1 .

�T T2 _ L ; ,.. L 1+ : �s:� T4 �:J r 1 1+sT6 +sT5 1 ) � I更

_

r- r r

++子

II PSS

G2 sT8 ' 1+sT9 1+sTll I I T

Aω>i .

:::._ I 1 >- -

_ __

I >. .

I _ �. ^

! >- ー -_ I I

-1 +sT8 1 -- ' 1 +sTl0 i -- 1 +刊 2 I I

固定定数:

T 1 =5.0, T 2=0.02, T 7=10.0, T 8=0.05

※残りの定数は最適化対象

P形, ω形PSSの出力リミッタ上下限: :t 0.1

pu

図3.1 P+ω形PSSブロック図

(2)P+ω形PSSの基本制御性能

このP+ω形PSSの基本的な制御特性は, 発電機ローカル動揺(1. OHz程度以上の高周 波数領域)の動揺抑制をP形PSSが担当し, 1. OHz以下の広域動揺の抑制をω形で、実現 させることが一般的な設計指針となる(P形とω形の制御対象周波数分担の原理につ いては, 付録を参照されたい)。 文献(68)ではP+ω形PSSを電力中央研究所の交・直 流電力系統シミュレータの発電機に設置し, P形PSSを短周期動揺抑制用に設定3 ω 形PSSを長周期動揺用に設定することで3 長周期・短周期動揺の抑制に十分な効果を 発揮することが実験結果から確認されている。 ただし, この実験における各PSS定数 の設定方法は, 短(長)周期動揺を発生させるようインピーダンスを調節しそれに対 してP形(ω形)定数のみを単独で最適化し, その後, 各々単独に最適化したP形,

ω形PSS定数をP+ω形としてAVRに加算するものであった。 このようにP形, ω形で、単 独に設計してP+ω形とすることについては3 様々な系統特性や発電機特性が混在する 実際の系統への適用に際して以下のような不具合が生じる可能性が高い。

.p形, ω形単独設計されたものを足し合わせることで予想しなかった不安定動揺が 発生する

・短周期動揺の抑制は一機無限大母線系統を考慮することで比較的簡単に実現できる が, 実系統における長周期広域動揺は系統特性と多くの発電機励磁系特性が相互に関 連しあった現象であるため6), 一機無限大母線系統では実効的な定数の最適化は一般に 困難となる。

3.2.2

複数の系統条件を考慮したP+ω形PSS定数最適化手法

(

1

)固有値感度の重みづけ

本手法で用いた最小化対象の評価関数は, 以下のとおり複数の系統条件の安定度を 評価する(2.39)式と同じである。

F = 合 2詐シC 十 叫 C j { � e

再掲

P+ω形PSS定数を最適化する際に最も重要なことは' いかにしてローカル動揺と広 域動揺の安定化を両立させるかという問題である。 l入力形のみのPSS定数最適化で は, (2.38)式の固有値感度式において, ローカル動揺に対するPSS定数感度と広域動 揺に対する定数感度の符号がしばしば逆となり, トレードオフの関係となりやすい。

このことが両動揺の安定化を難しくしている。 そこで本論文では, p形PSSは高周波 動揺の抑制にω形は低周波動揺の抑制に効果的であるという特性をより積極的に反映 させ, 図3.2のような各PSS定数の固有値感度への重み付けを行い3 より効率的に評価 関数Fの最適解への到達を可能とした。

ω野多PSS P賢多PSS

w1

国是酬

w2

低 f1周波数(Hz) f2

図3.2 帝IJ御対象動揺周波数による固有値感度の重み付け

- 37

-安定化対象動揺固有値の虚数部(周波数)の値f(Hz)によって, 次式のようにP形,

ω形PSS定数への固有値感度の重みWp' Wwを与える。

.p形PSS定数感度への重み ・ω形PSS定数感度重み

f W1 (1注ん)

Wp = �生二笠(1-五)+ 門(1

1

:s 1 :sん)

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