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3.3
遠端情報入力形発電機PSS定数最適化手法の開発52,53,54,55)
3.3. 1
遠端情報PSSの概要と定式化( 1
)遠端情報入力の背景発電機自体の情報 (白端情報)を用いた2入力形PSS (Ptω形PSS) により基本的に はロバストな安定化が可能となるが, 例えば広域動揺の節にあたる発電機 などのよう に, そのωに広域動揺の情報 があまり含まれない場合はωの広域動揺への感度が小さ くω形PSS による安定化は期待できない。 このような場合, 発電機 から遠方の別の場 所から, 広域動揺が大きく重畳している信号(遠端情報)を 安定化対象発電機ヘ伝送
し, それをPSS入力(遠端情報PSS) とすれば安定化効果 が得られる可能性が高い。 こ の観点からこれまでに, 遠端情報を用いた系統安定化の検討はいくつかなされている
,川4)が, 必要となる情報量が多大であったり線路潮流 選択場所の選定方法については
触れられていない。
そこで, 本節では広域動揺が大きく存在していると考えられる基幹送電線の有効電 力潮流をPSS入力信号とし, その制御系定数を最適に設計することによる広域動揺の 安定化手法と遠端情報 検出地点選定方法を提案した。 多機モデル系統における検証 で3 提案手法による広域動揺の高い安定化効果を明らかにした。
(2
)遠端情報PSSモデル と定数最適化論理 図3.5'こ遠端情報PSSモデルを示す。広域動揺抑制用
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Pg -t惨
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図3.5 遠端情報PSSモデル(AVRブロック含む)
-
45
-このブロック構造自体図3.1のP+ω形PSSと同じである。 ω入力の代わりに遠端情報 (以下, 本節では遠端情報とは送電線有効電力潮流P1 ineを指す) 入力ブロックに置き 換えている。 遠端情報PSSにおける制御分担は, P形PSSがローカル動揺抑制(以下,
P -P S S) , P 1 i ne形PSSが広域動揺抑制用である (以下, P 1 i ne -P S S) 。
最適化のための評価関数は(2.39)式と同じで, P-PSSとP1ine-PSS定数の最適化論理 も, 3.2.2のP+ω形PSSの(3.2),(3.3)式と同じである。
3.3.2
遠端情報検出箇所選定の考え方( 1 )解析対象系統モデル
提案手法の検討のための系統モデルは図207と同じ18機長距離串形系統モデルであ る。 本検討では簡単のために重潮流条件のみを用いた。 主たる安定化対象動揺は3 表 3.6に示す広域第1動揺と第2動揺である。
表3.6 主要な広域動揺固有値
主要動揺 固有値(注) 動揺の特徴
広域第1
+0.05
-串形系統の概ね中央の発電機を動揺の節とする動揺。動揺
(0.29Hz)
-左側発電機群と右側発電機群がほぼ逆位相で動揺(動揺の節から離れるほど動揺振幅が大きし、)。
広域第2 一0.17 -串形系統の2個所を節とする動揺
動揺
(0.50Hz)
-系統両端の発電機はほぼ同位相で動揺し,系統中央部発電機がこれらとほぼ逆位相で動揺する。
L一
(注)上段:ダンピング係数(l/sec) , 下段:周波数(Hz)
(2)自端情報PSS最適化効果
まず, 発電機白端情報だけを用いたPSSでは, 系統中央部の発電機G9は広域動揺を 安定化できないことを確認する。 図3.3の広域動揺の固有ベクトルの特徴から, G1に 比べGgは広域第1動揺に対する安定化効果は期待できない。 図3.6は, G1とGgに図 3.5のP1 ineとして自端情報である発電機有効電力出力を入力しその定数(Tz""T5, G) を最適化した時の固有値の収束過程を示している。 系統左端部に位置するPSS感度の 高いG1は素早く広域動揺が安定化されるのに対してGgは全く安定化できないことを
明らかにした。 こ れを安定化するためには遠端情報をPSSの入力信号とすることが必 要である。
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図3.6 G1, Gg発電機自端情報PSS定数最適化結果
( 3 )遠端情報検出 送電線選定方法
Ggヘ入力する遠端情報として3 送電線HI (母線H-I間)の有効電力潮流を選択し た。 信号を検出する送電線を選択するための二つの簡易的な指標を提案する。
(a)送電線潮流の広域動揺成分の大きさ
広域動揺が大きく重畳している送電線潮済しをPSSの入力信号とすることが重要であ る。 そこ で , 図3.7の棒グラフに広域第1動揺に対する基幹送電線 (母線内~抑)の 潮流の振幅の比較を示す。 中央部発電機Gg出力の値は基幹送電線に対して非常に小さ な値となっており, この信号を入力しでも広域動揺を安定イじすることはできない。
(b)遠端情報PSSの広域第1動揺への感度
GgのPSS端子に位相補償や時間遅れなくゲインのみを介して各送電線有効電力潮流
を直接入力したときの広域第1動揺への固有値感度を折線グラフ(P
1
ineのゲ、インをOか ら0.10ヘ変化させた場合)で示す。 このグラフの大きい送電線有効電力を 遠端情報と してPSSに入力すれば広域動揺が安定化でき る。 本論文では, (a), (b)の結果から,系統中央部の 送電線HIの潮流を発電機GgのPSS入力信号とすれば良い。
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図3.7 送電線潮流固有ベクトルと遠端情報PSS固有値感度
3.3.3
遠端情報PSSによる広域動揺抑制効果(
1
)遠端情報PSS定数最適化結果本節ではGgに上記送電線HIの有効電力潮流を遠端情報としてPSSに付加しその定数 を最適化することによる系統安定化効果について検討する。 遠端情報PSSが低周波数 の動揺のみに応動するよう3 バンドパス帯域が約O.lHz'"'-'O.7Hzとなるリセット回路時 定数は2.0sec, 一次遅れ時定数はO.22secに設定すれば良い。
定数最適化結果と最適化後のPSS定数の値を表3.7に3 この時のシミュレーション波 形を図3.8に示す。 結果をまとめると以下となる。
-自端情報を用いたPSSでは広域第1動揺に感度が無いため安定化できない。
・遠端情報をGgに入力することにより, 従来の広域第1動揺は安定化できる。 図 3.8の波形から見ても十分に安定化できている。
( 2 )解決した問題と残された課題
-解決した問題:発電機の自端情報だけでなく遠端情報も用いたPSSの定数を最適 化することにより3 自端情報入力PSSでは安定化できない広域動 揺も安定化可能とした。 これにより, 任意の発電機による任意の 電力動揺の安定化が可能となることにより, 安定化対策立案の際 の選択肢が増え現有設備をより一層有効利用することができる。