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7. size assortative mating
オキタナゴでは, Older雄は size assortative matingを行うが, YOY雄で はYOY雌とOlder雌の両者に求愛して size assortative matingが崩れている
ことが明らかになった。
YOY雄がYOY雌とOlder雌の両方に求愛する現象は北米産のウミタナゴ,
Brachyistius 企enatusで知られている(DeMartini, 1988)が, 社会構造など は不明な点、が多かった。 本研究のオキタナゴではYOY雄とOlder雄間で縄張 り行動の見られることが明らかになった。 すなわち, size assorta tive ma ting が崩れてYOY雄, Older雄間でOlder雌を巡る競争が起こる本種では, 両者 間で縄張り行動が行われるものと考えられた。
本種の交尾期の体長組成は, 採集標本, 潜水観察いずれの結果においても YOY個体が中心で, これに少数のOlder個体(1, 2歳)が加わって構成され ていた。 交尾期におけるYOY雄とOlder雄聞の体長差を検討してみると,
Older雄では採集標本によると(以下同様)体長92 mm-107 mmの1歳魚が得 られた。 Older雄聞の体長差は最大1.16倍で、あった。 YOY雄の体長は72・86 mmで, YOY雄聞の体長差は最大1.19倍であった。 最後にYOY雄とOlder雄 間で平均体長を比較すると, Older雄の体長はYOY雄の体長の1.26倍で,
Older雄間やYOY雄閣の体長差に近かった。 さらに本種では, Older雌も体 長1∞-121 mmの1, 2歳魚で構成され, YOY雄に対するOlder雌の体長は平 均値で1.39倍とウミタナゴ属に比べて小さかった。
交尾期の体長, 年齢組成から本種の寿命を検討すると, 春先に生まれた若 魚は秋にYOY個体(当歳)として交尾に参加するが, YOY個体の多くは翌 年秋の交尾期までに死亡し, これらは一生の間に1回しか交尾期を経験しな いと考えられた。 また, YOY個体の一部が生き残ってOlder個体(1, 2歳) として翌年以降の交尾に参加して, これら個体のみが一生の問に2, 3回の交 尾期を経験すると考えられた。
以上のような特徴を持つオキタナゴの結果をウミタナゴ属の2種と比較す ると, 次のようなことが推測される。
(i)YOY雄はOlder雌との体長差が小さい(Older雌/YOY雄=1.39)ため
に, YOY雄とOlder雌聞で精子の受け渡しが可能である。(ii)YOY雄と
Older雄聞の体長差(Older雄/YOY雄=1.26) もOlder雄問(1.16)やYOY 雄間(1.19)同様に小さい。 従って, YOY雄はOlder雄とOlder雌獲得を 巡って競争する利益があるo(iii)本種は多くの個体が一生に1回しか交尾期を 経験しない。 従って, YOY雄は自己の子孫をより多く残すために, 交尾期 にはより多くの雌と交尾する方が適応的だと考えられる。 以上の理由から,
YOY雄はYOY雌とOlder雄の両方に求愛・交尾する, すなわち, Older雌獲 得を巡ってOlder雄と競争して size assortative matingが崩れることが推測さ れた。
8. 摂餌頻度
オキタナゴでは, 摂餌は餌となる動物プランクトンが出現した場合に限ら れたが, その状況下でも, 雌雄, YOY個体とOlder個体問で摂餌頻度に相違 が認められた。
前述のように, 本種ではほとんどの個体が2回目の交尾期を迎える前に死 亡する。 従って交尾期には, YOY雄も雌の獲得を最優先させることが自己 の子孫を残すために適応的であると考えられる。 餌となるプランクトンが出 現する場合にはしばしばYOY雌も多数出現した。 この場合のYOY雄には,
専ら摂餌する個体と, 頻繁に求愛行動を示してその合間に摂餌する個体が認 められ, YOY雄は雌への求愛だけに時間を費やしていなかった。 このこと は, 動物プランクトンの出現個体数には変動があるために, 餌となるプラン
クトンが出現した場合には, 交尾期とはいえ摂餌を優先する場合があること を示している。
Older雄で、もYOY雄より頻度は低かったものの, 餌となるプランクトンが 出現した時には摂餌を行った。 1歳のOlder雄も雌の獲得を最優先させること