第 6 章 ペンを握る動作を利用したインタラクション手法 52
6.8 gripping の応用
6.8.3 gripping と筆圧を組み合わせたインタラクション手法の応用
実験2,3の結果,grippingと筆圧を同時に利用した入力操作が可能であることがわかった.
つまり,操作を中断せずに二つのパラメータを同時に変更しながら作業を行うことができる.
このような操作が行えるようになることもgrippingの大きな特徴である.ここでは,gripping と筆圧を組み合わせたアプリケーションを二つ示す.
ペイントツール
いくつかのペイントツールでは筆圧をサポートしており,ストローク操作を行いながら筆 圧を加えることで線幅を変更できる.本ツールも同様に筆圧で線幅を変更でき,筆圧を強く するにつれて線幅が太くなる.さらに,grippingにより線の彩度を変更できる.強くペンを握 ると彩度が低くなり,弱く握ると彩度が高くなる.grippingと筆圧を用いると,図6.20のよ
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(a)ペンを休めている状態(グリッドは表示 されない)
(b)描画を開始した状態(グリッドは自動的 に表示される)
図6.19:行動推定アプリケーション
うな線が描ける.図6.20の上の線は筆圧のみ,真ん中の線は握る強さのみ,下の線は両方を 変更しながら描いたものである.それぞれの割り当ては変更することができ,グラデーショ ンの制御や透明度の制御にも割り当てることができる.このようなストローク操作を行いな がら二つのパラメータをペンのみで同時に変更する操作は,grippingを開発したことにより実 現可能になった操作である[123].
本ツールの試用に際して,「両方の力を同時に制御することは難しいと予想していたが,予 想に反して簡単であった」等のコメントが得られた.アプリケーションレベルでの実用性に 関する厳密な評価は今後行う必要があるが,この試用からgrippingと筆圧の組み合わせ操作 のアプリケーションレベルでの高い実用性が期待できることがわかった.
地図ビューア
地図操作はスクロールや,ズーム,書き込み等,さまざまな作業を伴う操作の一つである.
そこで,grippingの離散値入力と連続値入力,および筆圧を利用してペン型デバイスのみで地
図操作を快適に行える地図ビューアを開発した.本ツールを操作する様子を図6.21に示す.
入力操作と呼び出される機能は表6.2のように対応付けを行った.ピンモードでは地図上 にピンを立て,場所の記録等が行える.メモモードでは地図上に手描きのメモを残すことが できる.移動モードでは地図をスクロールできる.これらの操作は離散値を入力後にディス プレイをタップ,もしくはストロークすることで行える.ペン先がディスプレイに接してい ない状態で連続値入力を行うと,地図のズームアウト操作が行える.また,筆圧を入力する ことで地図のズームイン操作が行える.
このように,grippingと筆圧を活用することで,多くのモードがあるアプリケーションでも GUI操作を行うことなく,ペン型デバイスだけでさまざまな操作が可能になる.
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図6.20: grippingと筆圧の組み合わせ操作が可能なペイントツール.上の線は筆圧のみ,真ん
中の線は握る強さのみ,下の線は両方を変更しながら描いた.
図6.21: 地図ビューアを操作する様子
表6.2:地図ビューアにおける操作割り当て インタラクション手法 割り当てた操作
離散値(1) ピンモード 離散値(2) メモモード 離散値(3) 移動モード 連続値入力 ズームアウト
筆圧 ズームイン
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