第 5 章 ペンを握る指の動作を利用したインタラクション手法 41
5.7 Finger Action の応用
第5章 ペンを握る指の動作を利用したインタラクション手法 49 意差が認められた(thumb tapping:p <0.01, index finger tapping: p <0.01).入力ミスの中で センシングミスの回数は両者に大きな違いはないと考えられるため,tappingは別の作業中に 行うと入力操作のミスが多くなることがいえる.
次に,身体的負担について検証する.図5.6のアンケート結果を見ると,タスク1,2とも にgrippingとtappingが3.5を超えていることがわかる.よってgrippingとtappingは,単独 で操作だけを行う場合も別の作業を行いながら操作する場合も,身体的負担を感じることな く操作できることが期待できる.
結果について整理する.grippingは単独で行う場面と,別の作業中に行う場面の両方で実用 性が高い入力操作であるといえる.tappingはgrippingと同様に単独でも別の作業中に行う場 合でも実用性が高いといえる.しかしながら,tappingは別の作業中に行う場合に多くの操作 ミスが発生してしまう.これはtappingが指を一度ペンから離す動作であるためであると思わ
れる.grippingとtappingについて入力操作とアプリケーションの機能とのマッピングを考え
ると,grippingは別の作業中に行う必要があるような機能に,tappingは単独で行うような機
能に割り当てると良い.
rubbingは現時点では実用的であるとはいえない.rubbingが行いにくい原因について,複
数の被験者はセンサの配置の悪さを挙げている.今回の実験で用いたPS Stylusには感圧セン サを再配置できる機構は存在せず,被験者の手の大きさ等を考慮に入れたセンサの配置が行 えなかった.よって,手の大きさを考慮に入れてセンサを配置することにより,rubbingの実 用性の改善が期待できる.
第5章 ペンを握る指の動作を利用したインタラクション手法 50
図5.7:開発したペイントツール
表5.1:ペイントツールにおける操作割り当て インタラクション手法 割り当てた操作
gripping インクの量の調節
index finger tapping インクの散布 index finger rubbing インク色の変更
の割り当ては,それらの対応関係が出来る限りイメージしやすいように考慮した.また,5.6 節の実験で得た,各手法の適性も考慮に入れた.
それぞれの機能について説明する.grippingには筆ペンメタファが応用されている.実際 の筆ペンは強く握ることで多量のインクがにじみ出てくる.本ツールでは,PS Stylusを強く 握りながら描くと太い線になり,弱く握りながら描くと細い線になる.PS Stylusを握る強さ に応じて描かれる線の太さは線形に変化する.grippingは描画作業中に行いやすいことも,こ のように機能を割り当てた一つの要因である.
index finger tappingには筆メタファが応用されている.インクや絵の具を大量に付けた筆
は,筆を軽く叩くとインクや絵の具が紙面に飛び散る.本ツールでは,この筆メタファを利 用しており,PS Stylusを軽く叩くすることにより,インクをキャンバスに散布させることが
できる.PS Stylusを叩く強さに応じて,飛び散るインクの量やペン先から飛び散ったインク
まで距離が変化する.tappingはそれ単独で行うときに操作ミスが少ないことも,このような 機能割り当ての参考にした.
rubbingは実際のペンで一般的に行われている動作ではないため,index finger rubbingと機 能のマッピングはペンメタファを利用してイメージしやすいマッピングにすることが難しい.
そこで,利用頻度が高いことが予想されるインク色の変更機能をindex finger rubbingに割り
当てた.index finger rubbingを行うごとにインクの色相が一定の割合で変化する.
第5章 ペンを握る指の動作を利用したインタラクション手法 51 一般的なペイントツールでは,本ツールで実装しているような簡単な機能であっても必ず GUIを用いたメニュー操作を必要とする.しかしながら,本ツールではFinger Actionを利用 することでメニュー操作なしに三つの機能を使うことができる.一般的に簡単であるとはいえ ないペン型デバイスとGUIを用いたメニュー操作が必要ではないため,ペン入力インタフェー スを用いたコンピュータ操作の操作性向上が期待できる.
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