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59 変異を誘発すると考えられるグリオキサール‑G付加体との塩基対の推 定構造。 (A)グリオキサール‑G:T埴基対。 (B)グリオキサ‑}レ‑G:A+ 塩基対。 (C)グリオキサール‑G:G塩基対。

キサールによる変異の誘発に関与していることを示唆している。3環性の構造を 有するグリオキサー

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レ心付加体が形成する塩基対の構造については未だ不明で あるが、図59に示した構造をとることが予想される問。グリオキサール崎G付 加体のグリコシド結合まわりのコンフォメーションがanti型をとっている場合 には、 Tと塩基対を形成することが可能となり、 G:C

A:Tトランジッションを 誘発し得るo この Tとの塩基対形成の場合には、通常の Watson‑Crick型の塩 基対と比較して C1'‑C1'間の距離が長くなることが懸念されるo そこで、分子モ デルを組んだところ、 anti型のフリン.フリン塩基対ωと同程度と予想された。

一方、 syn型のコンブオメーションをとっている場合には、フロトン付加したA 及 び G と塩基対を形成することが可能となり、それぞれ G:C

T:A及び G:C

C:Gトランスバージョンを誘発すると考えられるo 尚、グリオキサー

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レ. G付加体に類似した構造を有するフロパノグアニン(図 5‑10)の場合には、プ ロトン付加したA及びGと向様の塩基対を形成することがNMRにより確認さ れている m

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図510 プロパノグアニン残基

大腸菌の系と COS7細胞の系とを比較した場合、グリオキサールの誘発する 変異に相違がみられるが、その理由は明らかではない。しかし、幾つかの原因 が考えられる。第 1に、各々の系における実験方法の違いが考えられるが、こ のことについては第6章で詳しく述べるo 第 2の原因として、大腸菌と捕乳動 物細胞では DNA複製時のDNAポリメラーゼが異なることが挙げられる。また、

グリオキサールがDNAに作用した場合、どのような修復機構により除去される かは不明であるが、その修復機構が異なる可能性もある。さらに、第 3の原因 として、グリオキサー

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レがDNAに作用すると、 3環性の構造を有するグリオキ サール‑dG付加体(図 2)の他にも幾つかの DNA修飾を生じる可能性があるo

例えば、 DNA中のグアニン (G)以外の残基に対する結合が考えられる。実際 に、グリオキサールとヌクレオシドとの反応では、 dGのみならずdAあるいは dCとの付加体形成も報告されている 1010 また、本実験でグリオキサールがA:T 塩基対においても変異を誘発したことは、上記の可能性を示唆するものである。

さらに、 Gとの付加体形成についても図 2に示したグリオキサール‑dG付加体 とは異なる構造を有する付加体を形成する可能性も否定できない。それらの DNA修飾生成時、あるいは DNA修飾生成後の DNA複製過程における DNA ポリメラーゼによる認識、さらには DNA修復過程における修復酵素による認識 等において配列特異性がみられることは十分に考えられるo序論にも述べたが、

これまでに abasicsite、プロパノグアニン等も、系によって異なった変異を誘 発することが報告されている 15‑211020

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さて、 DNA損傷によって変異が誘発される過程には、様々な因子が関与して いると考えられる。 DNA複製における DNAポリメラーゼによる誤った塩基の 取り込み、その後の鎖伸長反応、さらに、複製フォークに作用するエキソヌク レアーゼによる校正作用などが考えられるo 著者は、サルモネラ菌、大湯菌、

補乳動物細胞の 3種の系における変異の解析を行ったが、これらの系では様々 な因子が複雑に絡み合っているため、変異の機構を明確にすることは困難を伴

う。そこで、グリオキサールによる DNA修飾を部位特異的に鋳型DNA中に導 入し、 invitroあるいはlnV1VOにおいて複製反応を行う研究は重要であると考 えられる。しかし、 dGに対するグリオキサールの付加反応は図2に示したよう な平衡反応 (370C、pH7の条件で平衡定数K=0.29 mM‑1)であり、形成され るグリオキサ‑}レ‑dG付加体が不安定であるため、オリゴヂオキシリボヌクレオ チド中への導入は極めて沼難で、あると判断した。

これまでに、活性酸素によって G:C

T:Aトランスバージョンが生じることが 報告されている田・859395103。これまで、この変異の主たる原因は 8ヒドロキシグ アニンであるとされてきた。 8‑ヒドロキシグアニンは代表的な酸化的 DNA擦傷 のーっとして知られており、 A と誤った塩基対を形成することによって G:C

T:Aトランスバージョンを誘発することが報告されている 910。しかし、

今回、グリオキサールは COS‑7細胞において主として G:C→T:Aトランスバー ジョンを誘発することが明らかになった。第 1章及び第 2章に述べたように、

活性酸素の作用により DNA中から生成するグリオキサールの量は 8・ヒドロキ シグアニンに比べてはるかに高いことを鑑みると、活性酸素によって生じる G:C

T:Aトランスバージョンの幾分かはグリオキサールに起因するものであ ると推定されるo 但し、こういった議論をする場合、グリオキサーjレとグアニ ン (G)残基との反応が平衡反応(図 2)であるため、不可逆反応により生成す る 8‑ヒドロキシグアニン等の方が生体内での変異誘発に大きく関与している可 能性も考えられる。しかし、炎症反応等により多量の活性酸素が生成している 場合には、ある程度の期間、生体内にグリオキサール‑G付加体が存在すると予 想されるo生成した付加体の幾分かは、グリオキサールが解離する前に DNA複 製に至り変異を誘発する可能性は十分に考えられる。また、このことを支持す

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る報告として、赤坂と山本は、脂質過酸化の実験で G:C→T:Aトランスバージョ ンを検出しているが、この時 DNA中の 8‑ヒドロキシグアニンは増加していな いことを確認している%。

本実験において、グリオキサールは G:C

C:Gトランスバージョンを 2番目 に高頻度で誘発した。これまでに種々の実験で、この変異が生じることが報告 されているD 時乳動物細胞を過酸化水素で、処理した実験、大腸菌を Fe3+‑EDTA‑

過酸化水素で処理した実験、大腸菌をメチレンブルーで処理した実験、 M13フ ァージDNAをメチレンブルー又はFe2+処理した実験、 Fe2

EDTA処理あるい

は脂質過酸化処理したフラスミドを大腸菌に導入した実験等が挙げられる品

93‑951030 よって、活性酸素によって G:C

C:Gトランスバージョンが誘発され ることは明らかであるが、この変異の原因となる DNA修飾は未だ同定されてい ない。今回著者が得た結果は、少なくとも鴎乳動物細胞においては、活性酸素 による G:C

C:Gトランスバージョンの誘発にグリオキサールが関与している 可能性を示唆しているo

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第 6 章 プラスミドを用いた大腸菌におけるグ